以下の記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 経営方針
当社グループは、パワー、インダストリー&社会基盤、航空・防衛・宇宙等、社会を支える様々な分野で、卓越した技術力に裏付けされた信頼できる製品・サービスの提供を通して、人々が安全で豊かな生活を営める社会の進歩に貢献することを経営の基本方針としている。
この基本方針に基づき、経営の基盤となる技術力・ものづくり力の向上、伸長事業への設備投資や研究開発、人材等の経営資源の集中、急速に進展するグローバル化への対応等の施策を実施し、事業体質の一層の強化に努めている。
(2) 経営戦略等
当社グループは、事業成長と財務健全性のバランスを取った経営により、長期安定的に企業価値を向上させることを目指している。当連結会計年度を初年度としてスタートした中期経営計画「2018事業計画」では、「グローバル水準の持続性と成長力を有する企業体格の実現」、「事業構造改革の定着」、「長期ビジョンに基づく成長戦略の推進」の基本方針に基づき、各種施策を強力に推進している。
(3) 対処すべき課題
中期経営計画「2018事業計画」の2年目においては、TOP*1という経営指標を目指し、市場環境の変化に対応しつつ成長分野へ積極的に資金を配分して事業成長を追求するとともに、生産性の向上、サービス事業の拡大等で事業利益を底上げして財務健全性を確保する経営を推進していく。
*1 Triple One Proportion(売上収益:総資産:時価総額=1:1:1の状態をあるべき姿と考えるもの)
ア. 成長戦略の推進
成長戦略を進めていくに当たっては、社会的共通価値であるESG*2やグローバル指標であるSDGs*3を念頭に、短期・中長期両方の視点での事業拡大を図っていく。
短期的には、新興国を中心に需要が堅調に推移している中量産品事業や、サービス・メンテナンス事業を確実に伸ばしていく。また、地球温暖化係数の極めて低い家庭用エアコン、水素焚きガスタービン、EV*4向け電動コンプレッサなどの製品を通じて、環境負荷の低減、低炭素化、電動化といった領域で更なる事業展開を進めていく。さらに、防衛・宇宙などの先端分野で培った技術を他の製品事業分野にも取り入れ、安心・安全の確保に資するトータル・ソリューションの提供などにも経営資源を投入する。
中長期的には、「MHI FUTURE STREAM」(中長期的な視点で既存事業の転換や新規事業の創出に取り組む活動)を通じて、新たな事業機会の創出や、エネルギー・環境事業の構造転換に引き続き取り組んでいく。新たな事業分野の例としては、洋上風力発電など再生エネルギーの拡大と再生エネルギーの変動を補うための調整電源及び蓄エネルギーシステムが挙げられる。また、二酸化炭素の有効活用/固定化のためのバイオマス利用、二酸化炭素回収貯留(CCS*5)などの分野がある。これらについて社外の知見を有効に取り入れて事業機会を創出していくため、当社の技術や設備等を活用できる社外ベンチャーとの共創の場を設けていく予定である。
*2 Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)
*3 Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)
*4 Electric Vehicles(電気自動車)
*5 Carbon dioxide Capture and Storage
イ. グローバル・グループ経営体制の整備
当社グループは、卓越した多様な技術をコアとする事業群で構成される企業グループとしての強みを更に生かすために、グローバル・グループ経営体制の整備を目指していく。社会のニーズに応えながら、様々なライフサイクルにある事業の間でリソースを効果的に循環させ、安定性と成長性を両立できるよう、グループ本社のポートフォリオマネジメントを強化し、人材・資金・技術といったリソースを、グローバル展開や成長領域に戦略的に配分・投入していく。また、経営に柔軟性とスピード感を持たせるため、権限移譲等により個々の事業部門の自律性を高めつつも、グループ全体として調和の取れた成長も追求していく。さらに、意思決定の迅速化、経営への参加意識の向上を目指して、シンプルでフラットな経営体制への移行を図るとともに、経営人材の多様化なども推進していく。これにより、グローバル化が進む当社グループの活動領域において様々な価値観やバックグラウンドを有する人材の能力を最大限活かすとともに、異なった意見を持つ多様な人材が、既存の枠を越えて活発に交流することを通じて、新たな変革を生み出す企業風土の形成に努めていく。
ウ. 三菱日立パワーシステムズ株式会社の構造転換
一層の事業規模拡大や事業基盤強化のための施策として、三菱日立パワーシステムズ株式会社では、CO2削減に貢献する最新機種の更なる発電効率の向上で製品競争力の強化を図るとともに、脱炭素社会を見据えた100%専焼水素ガスタービンや自動運転等の新技術開発も進め、中長期的に堅調に推移する見通しのガスタービン市場で、優位性を高めていく。石炭火力発電市場については、環境負荷低減等のニーズを踏まえ、IoT技術や遠隔監視を活用して発電設備の運転を最適化するデジタルソリューションサービス(MHPS-TOMONI®)により、クリーンで経済効率性の高い発電を可能にするサービス事業を強化する。さらに、電力需要者等との連携を深化させて設備全体の経済性向上を図るエネルギーマネジメントシステム(ENERGY CLOUD®)の展開も進める。また、将来におけるエネルギー関連事業の構造転換を見据え、固定費削減や生産拠点の再編のほか、新たな人材教育プログラムの展開などに引き続き取り組んでいく。
エ. MRJ事業の推進
MRJの開発は最終の飛行試験段階に入っており、TC*6取得に引き続き全力を注いでいく。また、量産初号機のお客様への引渡しに向けたカスタマーサポート体制の構築に万全を期すとともに、当社グループ内で更なるシナジーを発揮できる最適な量産体制の構築や、北米市場へ投入する主力モデルの開発とサービス体制の充実に本格的に取り組んでいく。
*6 Type Certificate(型式証明)
当社グループは、以上の諸施策に加え、今後もコンプライアンスやCSRを経営の重要課題としつつ、より一層の企業価値向上を図るとともに社会の持続的発展に貢献していく。
当社グループ(当社及び連結子会社)を取り巻くリスク要因には、為替変動・金利等の経済リスク、貿易制限・カントリーリスク等の政治リスク、製造物責任等の法務リスク、自然災害・事故等の災害リスク、株価変動・投資等の市場リスクをはじめ様々なものがあるが、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。
なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の変動に係る事項
ア.経済情勢
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)は、日本及び世界各国・地域の経済情勢変動の影響を受ける可能性がある。日本では民間設備投資等の推移、海外では米国・欧州や新興国の経済情勢の変動が挙げられるが、複雑化する今日の世界経済の下では、必ずしも当社グループが事業を展開している当該国又は地域経済の情勢のみの影響を受けるとは限らない。
イ.輸出・海外事業
当社グループは、世界各国・地域における輸出・海外事業の拡大を図っているが、部品の現地調達や現地工事に伴う予期しないトラブル、納期遅延や性能未達による契約相手方からの請求、契約相手方のデフォルト等の要因が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。さらに、当社グループは、新興国での総合的なインフラ整備等に積極的に参画するなど、新たなビジネスモデルの構築・拡大に取り組んでいるが、各国政府が民間企業を主導して新興国を中心とした大規模インフラ開発案件の受注活動に力を入れており、激しい競争に必ず勝ち残るという保証はない。
ウ.為替レートの変動
当社グループの輸出・海外事業の取引は、主に米ドルやユーロ等の外貨建てで行われており、為替レートの変動が当社グループの競争力に影響を与える可能性がある。また、国内事業においても為替レートの変動による海外競合企業のコスト競争力の変化により、当社グループの競争力に影響が生じる可能性がある。さらに、国内競合企業と当社グループの為替レート変動に対する影響度合いが異なる場合は、国内外における当該企業との競争力にも影響が生じる可能性がある。当社グループは外貨建て取引にあたり、資材の海外調達拡大による外貨建て債務の増加及び為替予約等によりリスクヘッジに努めているが、為替レートの変動は当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。
エ.資金調達
当社グループは、将来見通しも含めた金利動向を勘案して資金調達を実施しており、低利・安定資金の確保に努めているが、金利の大幅な変動をはじめとする金融市場の状況変化は、将来における当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。
オ.退職給付費用及び債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上設定した前提条件に基づいて算出している。その主要な前提条件は退職給付債務の割引率であり、期末日における優良社債の利回りに基づき決定している。これらの前提条件は妥当なものと判断しているが、実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。
(2) 特定取引先への依存等に係る事項
ア.M&A・アライアンス
当社グループは、多くの製品事業について、他社とのM&A・アライアンスを通じて、その強化・拡大を図っているが、市場環境の変化、事業競争力の低下、他社における経営戦略の見直し、その他予期せぬ事象等を理由として、これらのM&A・アライアンスが目論見どおり実現できない場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。
なお、当社は、2017年7月に、株式会社日立製作所(以下「日立」)との火力発電システムを主体とする事業統合に関して、Mitsubishi Hitachi Power Systems Africa Proprietary Limitedが譲渡を受けた南アフリカ共和国でのボイラ建設プロジェクトに係る譲渡価格調整金等の支払を求め、日立を被申立人とする仲裁を申し立てた。
イ.資材調達
当社グループの事業活動には、原材料、部品、機器及びサービスが第三者から適時・適切に、かつ十分な品質及び量をもって供給されることが必要である。このうち一部の原材料・部品等については、その特殊性から調達先が限定されているものや調達先の変更が困難なものがあり、これら原材料・部品等の品質上の問題、供給不足、納入遅延及び災害に伴う生産停止等の発生は、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。また、需給環境の変化等による原材料・部品等の供給価格の高騰は、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
(3) 特定製品・技術に係る事項
ア.製品競争力
当社グループは、性能・信頼性・価格面で常に顧客から高い評価を得るよう、更には市場の動きを先取りした新たな機能やソリューションを提案できるよう、研究開発や設備投資を中心にした製品競争力の強化を進めているが、国内外の競合企業において当社グループのそれを上回る製品競争力の強化が行われるなどした場合には、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。
イ.製品の品質等
当社グループは、製品の品質や信頼性の向上に常に努力を払っているが、製品の性能、納期上の問題や製品に起因する安全上の問題について契約相手方やその他の第三者から国内外で請求を受け、また訴訟等を提起される可能性がある。これらについて、当社グループが最終的に支払うべき賠償額が製造物責任賠償保険等で補填されるという保証はない。また、製品の仕様変更や工程遅延等に起因するコスト悪化が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。
ウ.知的財産
当社グループは、研究開発の成果である知的財産を重要な経営資源の一つと位置づけ、この経営資源を特許権等により適切に保全するとともに、第三者への技術供与や第三者からの技術導入を行っている。しかしながら、必要な技術導入を第三者から必ず受けられる(又は有利な条件で受けられる)という保証はない。また、知的財産の利用に関して競合企業等から訴訟等を提起され敗訴した場合、特定の技術を利用できなくなり、また損害賠償責任を負い、事業活動に支障をきたすおそれがある。従業員又は元従業員から、職務発明の対価に関する訴訟が提起されないという保証はない。
(4) 法的規制に係る事項
ア.法令・規制
当社グループは、国内外で各種の法令・規制(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・反ダンピング法等の経済法規、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法等の事業関連法規、金融商品取引所の上場規程等)に服しており、当社グループでは法令遵守の徹底を図っている(「第4 提出会社の状況」の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に当社の状況を記載)。法令・規制に関しては、当社グループは、当局等による捜査・調査の対象となるほか、当局等から過料、更正、決定、課徴金納付、営業停止等の行政処分若しくはその他の措置を受け、また当局やその他の利害関係者から損害賠償請求訴訟等を提起される可能性がある。
なお、2013年9月に、当社が米国司法省との間で、特定の顧客向けのカーエアコン用コンプレッサ及びコンデンサに係る販売に関して米国独占禁止法に違反した事実があったことを認め、司法取引に合意したことに関連して、当社及び当社の子会社を含む複数の事業者に対し民事賠償を求める訴訟が北米において提起され、これに対応している。
イ.環境規制
当社グループは、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、廃棄物処理、有害物質の使用、省エネルギー及び地球温暖化対策等に関し、国内外において各種の環境規制に服している。これらの規制が将来厳格化された場合や、過去、現在及び将来の当社グループの事業活動に関係し、法的責任に基づき賠償責任を負うこととなった場合、また社会的責任の観点から任意に有害物質の除去等の対策費用を負担するなどした場合は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。
(5) 従業員、関係会社等に係る事項
ア.人材の確保
当社グループの競争力は、研究開発、設計、調達、製造、建設等の各職種における優れた専門的知識や技能を持った従業員により支えられている。当社グループは、グローバルな事業活動を一層進める中で優秀な人材を多数確保するため、国内に加え海外でも積極的な採用活動を行っているが、必ずしも十分に確保できる保証はない。また、技術・技能伝承の強化等、人材の育成にも努めているが、十分な効果が出るという保証はない。
イ.関係会社
当社の連結子会社、関連会社及び共同支配企業は、当社と相互協力体制を確立している一方、自主的な経営を行っているため、これら関係会社の事業や業績の動向が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。
(6) その他の事項
ア.災害
当社グループは、暴風、地震、落雷、洪水、火災、感染症の世界的流行(パンデミック)等の各種災害に対して損害の発生及び発生時の損害の拡大を最小限におさえるべく、点検・訓練の実施、連絡体制・事業継続計画(BCP)の整備に努めているが、このような災害による物的・人的被害及び社会インフラの重大な障害・機能低下により当社グループの活動(特に工場等における生産活動)が影響を受ける可能性がある。また、これによる損害が損害保険等で補填されるという保証はない。
イ.情報セキュリティ
当社グループは、事業の遂行を通じて、顧客等の機密情報に多数接しているほか、当社グループの技術・営業・その他事業に関する機密情報を保有している。コンピュータウィルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により、機密情報が滅失若しくは社外に漏洩した場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。なお、次の記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。また、当社グループは、当連結会計年度から従来の日本基準に替えてIFRS(国際会計基準)を適用しており、前連結会計年度の財務数値は、IFRSに組み替えて表示・比較している。
(1) 経営成績の状況の概要及び分析・検討内容
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題等の影響を受けて、中国での景気停滞や
欧州経済の減速が見られたものの、米国では緩やかに景気拡大が続いた。我が国経済も、雇用の回復や個人消費の持直しなどを背景に、緩やかな回復基調が続いた。
このような状況の下、当連結会計年度における当社グループの受注高は、インダストリー&社会基盤セグメントが増加したものの、回復が若干遅れた航空・防衛・宇宙セグメントとパワーセグメントが減少したことにより、前連結会計年度を153億32百万円(△0.4%)下回る3兆8,534億26百万円となった。
売上収益は、パワーセグメントとインダストリー&社会基盤セグメントが増加したものの、航空・防衛・宇宙セグメントで減少したことにより、前連結会計年度を73億35百万円(△0.2%)下回る4兆783億44百万円となった。
事業利益は、全てのセグメントで増加したことに加え、固定資産売却益を計上したことなどにより、前連結会計年度を1,285億47百万円(+221.0%)上回る1,867億24百万円、税引前利益は前連結会計年度を1,433億91百万円
(+365.5%)上回る1,826億24百万円となった。
また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度から1,086億75百万円改善し、1,013億54百万円と
なった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
ア. パワー
世界的に低炭素化・再生可能エネルギーへの転換が進む中、石炭火力発電プラントの受注キャンセルが発生したものの、運転中の発電システムのサービス事業やコンプレッサ、航空機用エンジンが伸長した。これらの結果、受注高は、前連結会計年度を110億43百万円(△0.8%)下回る1兆4,265億4百万円となった。
売上収益は、原子力、コンプレッサや航空機用エンジンの増加等により、前連結会計年度を426億51百万円
(+2.9%)上回る1兆5,251億8百万円となった。
事業利益は、売上収益増に伴う利益の増加のほか、洋上風車の持分法投資損益の改善などにより、前連結会計年度を452億7百万円(+51.6%)上回る1,328億97百万円となった。
イ. インダストリー&社会基盤
海外を中心に堅調に推移するインフラ投資を背景に化学プラントや商船が伸長したほか、新興国を中心とする穏やかな景気の拡大基調を受けて、物流機器、冷熱製品等が増加したことなどにより、受注高は、前連結会計年度を1,406億70百万円(+8.2%)上回る1兆8,520億59百万円となった。
売上収益は、受注が堅調であった物流機器、冷熱製品が増加したことに加え、製鉄機械も増加したことなどにより、前連結会計年度を177億92百万円(+0.9%)上回る1兆9,078億71百万円となった。
事業利益は、交通システムの収益改善や物流機器の売上の増加等により、前連結会計年度を290億77百万円
(+70.8%)上回る701億32百万円となった。
ウ. 航空・防衛・宇宙
新型護衛艦の受注があった艦艇が増加したものの、その他の防衛関連製品、宇宙機器、民間航空機がいずれも減少したため、受注高は、前連結会計年度を1,039億49百万円(△14.5%)下回る6,106億66百万円となった。
売上収益は、一部機種が次世代機種への移行期にある民間航空機に加えて、防衛関連、宇宙機器のいずれも減少したため、前連結会計年度を407億26百万円(△5.7%)下回る6,775億77百万円となった。
事業利益は、MRJ開発費用の減少等によって前連結会計年度から260億88百万円改善し、374億69百万円の損失となった。
エ. その他
受注高は前連結会計年度を401億86百万円(△35.4%)下回る733億23百万円、売上収益は前連結会計年度を490億87百万円(△40.7%)下回る716億61百万円、事業利益は前連結会計年度を315億33百万円(+709.6%)上回る359億77百万円となった。
(2) 財政状態の状況の概要及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの資産は、契約資産が減少したことなどにより、前連結会計年度末から1,060億33百万円減少の5兆1,427億23百万円となった。
負債は、社債、借入金及びその他の金融負債が減少したことなどにより、前連結会計年度末から1,609億89百万円減少の3兆3,939億1百万円となった。
資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益1,013億54百万円の計上等により、前連結会計年度末から549億55百万円増加の1兆7,488億21百万円となった。
以上により、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は27.8%(前連結会計年度末の26.6%から+1.2ポイント)となった。
(3) キャッシュ・フローの状況の概要及び分析・検討内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ160億1百万円(△5.3%)減少し、2,832億35百万円となった。当期における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、4,049億24百万円の資金の増加となり、前連結会計年度に比べ8億28百万円(△0.2%)減少した。これは、税引前利益が増加した一方、運転資金の減少幅が縮小したことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,618億69百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ763億23百万円支出が減少した。これは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が減少したことに加え、有形固定資産及び無形資産の売却による収入が増加したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,555億77百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ1,432億43百万円支出が増加した。これは、短期借入金等の返済が増加したことなどによるものである。
(4) 経営方針・経営戦略及び経営指標等に照らした経営成績等の分析・検討
当社グループは「2018事業計画」において、事業成長と財務健全性のバランスをとった経営により長期安定的に企業価値を向上させることを目指しており、この達成状況を、グループ独自の指標であるTOP(Triple One Proportion。売上収益、総資産、時価総額の比率で、1:1:1をあるべき姿と考えるもの。)で総合的に評価している。
当連結会計年度においては、受注高及び売上収益については大型案件のキャンセルや翌年度以降への受注ずれ込みなどの影響により前連結会計年度並みとなったが、全セグメントで事業利益が増加するとともに、フリー・キャッシュ・フローが運転資金の削減により当初の計画値を大きく上回る2,430億円となったほか、有利子負債が過去最低水準となった。
当社グループは、「2010事業計画」以来、強固な財務基盤の構築及び経営の効率化を目指して様々な事業構造改革に取り組んできたが、その成果が着実に財務数値に表れてきたものと評価している。この結果、「2018事業計画」の初年度である当連結会計年度において、同事業計画では2020年度の目標として掲げた財務基盤面の計画達成に目途を付けることができ、翌年度以降、これまで以上に成長投資への資金配分ができるようになった。
一方で、流動資産の効率化は着実に進捗しているものの、固定資産残高は2014年度以降2兆円規模で横ばいの状況にあり、大幅な事業規模の伸長がない中で固定資産回転率が緩やかに悪化している点については対応が必要であると認識している。
経営指標との関係では、「2018事業計画」の最終年度に当たる2020年度のTOPの目標を、売上収益、総資産、時価総額の比率で0.9:1:0.5としているところ、初年度に当たる当連結会計年度の同比率の実績は、0.8:1:0.3となった。これは、「2018事業計画」の途中経過としては概ね計画どおりであるものの、最終年度に目標とする比率と比較してアンバランスな状態である。
このように、当社グループは安定的にフリー・キャッシュ・フローを創出しており、財務基盤の強化も着実に進んでいるものの、今後は、TOPの目標達成に向けて、戦略的な成長投資により事業規模の成長を図るとともに、低稼働状態にある固定資産の再活用による固定資産の効率化や不採算事業への対策などにより、収益性を高め、企業価値の向上を図っていく必要があると認識している。
(5) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
|
パワー |
1,515,946 |
+4.9 |
|
インダストリー&社会基盤 |
1,879,381 |
△4.5 |
|
航空・防衛・宇宙 |
652,683 |
△9.6 |
|
その他 |
19,209 |
△51.8 |
|
合計 |
4,067,221 |
△2.6 |
(注)1.上記金額は、大型製品については契約金額に工事進捗度を乗じて算出計上し、その他の製品については完成数量に販売金額を乗じて算出計上している。
2.セグメント間の取引については、各セグメントの金額から消去している。
3.上記金額には、消費税等は含まれていない。
② 受注実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
|||
|
受注高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
受注残高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
|
パワー |
1,426,504 |
△0.8 |
3,297,839 |
△4.1 |
|
インダストリー&社会基盤 |
1,852,059 |
+8.2 |
1,181,956 |
△7.2 |
|
航空・防衛・宇宙 |
610,666 |
△14.5 |
914,300 |
△7.6 |
|
その他 |
73,323 |
△35.4 |
311 |
△95.1 |
|
調整額 |
△109,126 |
― |
― |
― |
|
合計 |
3,853,426 |
△0.4 |
5,394,408 |
△5.5 |
(注)1.受注高については、「パワー」、「インダストリー&社会基盤」、「航空・防衛・宇宙」及び「その他」にはセグメント間の取引を含んでおり、「調整額」でセグメント間の取引を一括して消去している。
2.受注残高については、セグメント間の取引を各セグメントの金額から消去している。
3.上記金額には、消費税等は含まれていない。
③ 販売実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
|
パワー |
1,525,108 |
+2.9 |
|
インダストリー&社会基盤 |
1,907,871 |
+0.9 |
|
航空・防衛・宇宙 |
677,577 |
△5.7 |
|
その他 |
71,661 |
△40.7 |
|
調整額 |
△103,874 |
― |
|
合計 |
4,078,344 |
△0.2 |
(注)1.「パワー」、「インダストリー&社会基盤」、「航空・防衛・宇宙」及び「その他」にはセグメント間の取引を含んでおり、「調整額」でセグメント間の取引を一括して消去している。
2.上記金額には、消費税等は含まれていない。
(6) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されている。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っている。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用、及び3.重要な会計方針)」に記載している。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向、為替動向、資材費動向、海外事業における個々の契約、事故・災害、ものづくり力低下等がある。
市場動向については、当社グループの事業が関係する市場の多くにおいては、国内外の巨大企業との熾烈なグローバル競争が今後も展開されると予想されることから、当社グループを取り巻く経営環境は依然として厳しい状況で推移するものと認識している。こうした中、当社グループは、グローバル市場におけるリスクへの対応力を高め、名実ともに存在感のある企業グループとして勝ち残り、成長していくため、事業規模の拡大と利益増大による財務基盤の強化を図るとともに、企業統治・業務執行体制を高度化していく。
為替動向については、当社グループの輸出・海外事業の取引が主に外貨建てで行われていることから、事業競争力や経営成績に与える影響が大きく、為替変動リスクを最小限に抑える必要がある。このため、海外調達や海外生産を拡大し外貨建て債務を増加させることで外貨建て債権に係る為替リスクの低減を図るとともに、円建て契約の推進やタイムリーな為替予約の実施等によるリスクヘッジにも取り組んでいく。
資材費動向については、鋼材、非鉄金属、原油等の価格上昇への対応、設計の標準化、部品の共有化、標準品の採用推進、包括契約・海外生産の拡大等に取り組むほか、資材取引先との関係を強化し、従来以上に密接な情報交換を行い、更なるコスト削減努力を行っていく。
海外事業における個々の契約については、現地調達資材の品質不良・納期遅延、現地労働者の技量不足や労働慣習の特異性に加え、契約条件の片務性等のリスクがある。これらのリスクを回避・低減するため、契約の締結前に、事業部門だけではなくコーポレート部門も関与し、現地で調達・労働契約等を締結する際の留意事項を確認するとともに、顧客との契約条件については徹底した事前検証を行い、片務的条件の排除を図っていく。
事故・災害については、現場作業に携わる作業員の意識改革など継続的な現場管理活動により、経営に重大な影響を与えるような事故・災害の事前抑制に努めていく。
ものづくり力低下については、特に世代交代に伴う技術・技能の伝承問題等が懸念されるが、生産プロセス革新に向けた合理化投資やものづくり技術等への研究開発投資を集中的に行うとともに、人材の強化・育成に取り組むことで、ものづくり基盤の維持・強化を図っていく。
(8) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ア. キャッシュ・フロー計算書に係る分析
「(3)キャッシュ・フローの状況の概要及び分析・検討内容」に記載のとおりである。
イ. 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための引合費用等の販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化及び新規事業立上げに資するための研究開発費が主な内容である。投資活動については、事業伸長・生産性向上及び新規事業立上げを目的とした設備投資並びに事業遂行に関連した投資有価証券の取得が主な内容である。
今後、成長分野に対しては必要な設備投資や研究開発投資、投資有価証券の取得等を継続していく予定である。全体的には、将来見込まれる成長分野での資金需要も見据え、最新の市場環境や受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行っていく予定である。
ウ. 有利子負債の内訳及び使途
2019年3月31日現在の有利子負債の内訳は下記のとおりである。
|
(単位:百万円) |
|
|
合計 |
償還1年以内 |
償還1年超 |
|
短期借入金 |
170,124 |
170,124 |
— |
|
長期借入金 |
289,989 |
45,428 |
244,561 |
|
社債 |
205,000 |
65,000 |
140,000 |
|
合計 |
665,114 |
280,553 |
384,561 |
当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していることもあり、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要がある。近年の事業規模拡大により、これら必要資金は増加する傾向にあるが、その一方で、引き続き資産圧縮に努め、期限の到来した借入金を返済してきた結果、当連結会計年度末の有利子負債の構成は、償還期限が1年以内のものが2,805億53百万円、償還期限が1年を超えるものが3,845億61百万円となり、合計で6,651億14百万円となった。
これらの有利子負債は事業活動に必要な運転資金、投資資金に使用しており、資金需要が見込まれる火力発電システム、民間航空機等の伸長分野を中心に使用していく予定である。
エ. 財務政策
当社グループは、運転資金、投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について有利子負債による調達を実施している。
長期借入金、社債等による長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしている。
一方で、有利子負債を圧縮するため、キャッシュマネジメントシステムにより当社グループ内での余剰資金の有効活用を図っており、また、営業債権、棚卸資産の圧縮や固定資産の稼働率向上等を通じて資産効率の改善にも取り組んでいる。
自己株式については、事業計画の推進状況、当社の業績見通し、株価動向、財政状況及び金融市場環境の改善等を総合的に勘案して取得を検討していくこととしている。
(9) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下、「日本基準」)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりである。
なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていない。
① 要約連結貸借対照表(日本基準)
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (2018年3月31日) |
当連結会計年度 (2019年3月31日) |
|
資産の部 |
|
|
|
流動資産 |
3,579,212 |
3,337,951 |
|
固定資産 |
|
|
|
有形固定資産 |
867,884 |
839,986 |
|
無形固定資産 |
212,781 |
178,170 |
|
投資その他の資産 |
827,774 |
910,283 |
|
固定資産合計 |
1,908,440 |
1,928,440 |
|
資産合計 |
5,487,652 |
5,266,392 |
|
|
|
|
|
負債の部 |
|
|
|
流動負債 |
2,538,219 |
2,411,847 |
|
固定負債 |
784,963 |
648,062 |
|
負債合計 |
3,323,183 |
3,059,909 |
|
|
|
|
|
純資産の部 |
|
|
|
株主資本 |
1,719,918 |
1,784,995 |
|
その他の包括利益累計額 |
104,874 |
66,459 |
|
新株予約権 |
2,129 |
1,956 |
|
非支配株主持分 |
337,547 |
353,071 |
|
純資産合計 |
2,164,469 |
2,206,482 |
|
負債純資産合計 |
5,487,652 |
5,266,392 |
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
|
売上高 |
4,110,816 |
4,078,344 |
|
売上原価 |
3,379,874 |
3,309,684 |
|
売上総利益 |
730,942 |
768,660 |
|
販売費及び一般管理費 |
604,412 |
587,986 |
|
営業利益 |
126,530 |
180,673 |
|
営業外収益 |
35,272 |
31,932 |
|
営業外費用 |
47,340 |
45,158 |
|
経常利益 |
114,462 |
167,447 |
|
特別利益 |
31,303 |
49,416 |
|
特別損失 |
17,723 |
15,139 |
|
税金等調整前当期純利益 |
128,042 |
201,724 |
|
法人税等合計 |
31,868 |
56,837 |
|
当期純利益 |
96,173 |
144,886 |
|
非支配株主に帰属する当期純利益 |
25,689 |
25,948 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
70,484 |
118,938 |
要約連結包括利益計算書
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
|
当期純利益 |
96,173 |
144,886 |
|
その他の包括利益 |
8,694 |
△38,404 |
|
包括利益 |
104,868 |
106,482 |
|
(内訳) |
|
|
|
親会社株主に係る包括利益 |
75,244 |
81,922 |
|
非支配株主に係る包括利益 |
29,623 |
24,559 |
③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
|
(単位:百万円) |
|
|
株主資本 |
その他の包括利益累計額 |
新株予約権 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
|
当期首残高 |
1,679,407 |
100,113 |
2,536 |
322,059 |
2,104,118 |
|
当期変動額 |
40,511 |
4,760 |
△407 |
15,487 |
60,351 |
|
当期末残高 |
1,719,918 |
104,874 |
2,129 |
337,547 |
2,164,469 |
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
|
(単位:百万円) |
|
|
株主資本 |
その他の包括利益累計額 |
新株予約権 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
|
当期首残高 |
1,719,918 |
104,874 |
2,129 |
337,547 |
2,164,469 |
|
会計方針の変更による累積的影響額 |
△15,198 |
- |
- |
△932 |
△16,131 |
|
会計方針の変更を反映した当期首残高 |
1,704,719 |
104,874 |
2,129 |
336,614 |
2,148,337 |
|
当期変動額 |
80,276 |
△38,415 |
△173 |
16,456 |
58,144 |
|
当期末残高 |
1,784,995 |
66,459 |
1,956 |
353,071 |
2,206,482 |
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
345,109 |
258,100 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△137,181 |
△78,673 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△152,113 |
△196,681 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
1,607 |
△3,478 |
|
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
57,422 |
△20,732 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
242,404 |
299,237 |
|
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額 |
2 |
5,934 |
|
連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額 |
△592 |
△1,203 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
299,237 |
283,235 |
⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
(「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の適用)
当社グループは「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 平成30年3月30日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 平成30年3月30日)を、当連結会計年度より適用している。
この基準は、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識することを要求している。
収益認識に関する会計基準等の適用については、収益認識に関する会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、当連結会計年度の期首から新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を利益剰余金に加減算している。
この結果、当連結会計年度における要約連結貸借対照表は、投資その他の資産が65億93百万円増加し、流動資産が905億46百万円、流動負債が3,228億7百万円、利益剰余金が151億98百万円減少している。また、当連結会計年度における要約連結損益計算書は、売上高が74億23百万円、売上原価が101億65百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ27億42百万円増加している。
当連結会計年度の期首の純資産に累積的影響額が反映されたことにより、要約連結株主資本等変動計算書の利益剰余金の期首残高は151億98百万円減少している。
当連結会計年度の要約連結キャッシュ・フロー計算書は、税金等調整前当期純利益が27億42百万円増加している。
なお、1株当たり情報に与える影響は軽微である。
(10) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と、日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりである。
前連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 38.IFRSの初度適用」に記載のとおりである。
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
(開発無形資産)
日本基準では、開発費を研究開発費として発生時に販売費及び一般管理費として費用処理するとともに、新製品及び新機種の量産化に係る費用等の一部は仕掛品やその他の固定資産として計上していた。IFRSでは、開発費の資産化の要件を満たすものについては、無形資産として認識している。
この結果、「無形資産」が5,508億32百万円増加し、「棚卸資産」が3,793億20百万円、「その他の非流動資産」が181億30百万円減少した。また、「販売費及び一般管理費」が337億75百万円減少した。
(非金融資産の減損)
日本基準では、資産から見込まれる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額との比較により減損損失の認識要否を判定していた。IFRSでは、回収可能価額を、資産から見込まれる割引後将来キャッシュ・フローに基づく使用価値として算定し、当該回収可能価額が帳簿価額を下回った一部の有形固定資産及び無形資産について減損損失を認識している。
この結果、「有形固定資産」が660億90百万円、「無形資産」が5,333億15百万円減少し、「その他の費用」が680億44百万円増加した。
(のれん)
日本基準では、のれんを一定期間にわたり償却していたが、IFRSでは償却を行わないため、日本基準で移行日以降に計上したのれん償却額を戻し入れている。
この結果、「のれん」が332億29百万円増加し、「販売費及び一般管理費」が162億80百万円減少した。
(1) 菱重ファシリティー&プロパティーズ株式会社との吸収合併契約
当社は、2018年5月8日、当社の子会社である菱重ファシリティー&プロパティーズ株式会社(以下、「菱重F&P」という。)との間で吸収合併契約(株主総会の決議による承認を要しない吸収合併契約)を締結することを決定し(定款の定めに基づく取締役会における決議による委任に従い、当該委任を受けた取締役が決定したもの)、同日、菱重F&Pとの間で吸収合併契約を締結した。
本吸収合併の概要は、以下のとおりである。
ア. 本吸収合併の目的
菱重F&Pは、2018年7月1日付で、同じく当社子会社であるMHIファシリティーサービス株式会社に対して、同社の工場・施設管理事業を会社分割して関連する資産・負債の移管を行うが、菱重F&Pに残置した資産(社宅・寮、賃貸物件他)と負債について当社に吸収合併させるものである。
イ. 合併の方法
当社を存続会社とする吸収合併方式で、菱重F&Pは解散する。
ウ. 合併に際して発行する株式及び割当
当社100%出資子会社との合併であるため、本吸収合併による株式割当その他の対価の交付は行わない。
エ. 合併比率の算定根拠
なし
オ. 引継資産・負債の状況
当社が承継する資産の額は831億円、負債の額は44億円である。
カ. 本吸収合併後の承継会社の概要(2019年3月31日現在)
|
商号 |
三菱重工業株式会社 |
|
本店の所在地 |
東京都千代田区丸の内三丁目2番3号 |
|
代表者の氏名 |
取締役社長 宮永 俊一 |
|
資本金の額 |
265,608百万円 |
|
事業の内容 |
船舶・海洋、原動機、機械・鉄構、航空・宇宙、汎用機・特殊車両、その他事業における製造等 |
(2) その他重要な契約
|
契約会社名 |
相手方 |
内容 |
契約日付 |
摘要 |
|
|
名称 |
国籍 |
||||
|
三菱重工業㈱ (当社) |
㈱日立製作所 |
日本 |
火力発電システムを主体とする分野での事業統合に関する統合比率、範囲、合弁会社の概要、その他諸条件に係る基本契約 |
2013年6月11日 |
(注)1 |
|
火力発電システムを主体とする分野での事業統合に関する、合弁会社の運営等に係る契約 |
|||||
|
三菱重工業㈱ (当社) 三菱日立製鉄機械㈱ (連結子会社) |
Siemens Aktiengesellschaft |
ドイツ |
製鉄機械事業の統合に向けた各社の権利義務、諸条件及び合弁会社の概要等に係る契約 |
2014年5月7日 |
(注)2 |
|
製鉄機械事業の統合手続に係る契約 |
|||||
(注)1.当該契約に係る事業は、三菱日立パワーシステムズ㈱で行っている。
2.当該契約に係る事業は、Primetals Technologies, Limited(英国)で行っている。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、各製品の競争力強化や今後の事業拡大につながる研究開発を推進している。
各セグメント別の主な研究開発の状況及び費用は次のとおりであり、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は総額で
(1) パワー
エネルギー供給や環境対応に係る市場ニーズに対応した付加価値の高い製品とソリューションビジネスの拡大に対応した技術の研究開発に取り組んでいる。
当セグメントに係る研究開発費は
・AI・IoT技術を活用し顧客のエネルギー利用状況や設備稼働状況を高精度に予測・検知するエネルギーソリューションサービス「ENERGY CLOUDⓇ Service」の開発
・水素社会の実現に向け、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトにて「水素混焼ガスタービン」と「水素専焼ガスタービンの要素技術」の開発及び内閣府主導の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)にて「アンモニア利用ガスタービンコンバインドサイクル」の開発
・タービン入口温度を高く維持したまま燃焼器の空冷化を可能とした次世代空冷システムを採用した「空冷式1650℃級ガスタービン」の実機開発
・原子力プラントにおける「安全性向上技術」、経済産業省公募プロジェクトへの参画による「東京電力福島第一原子力発電所等の事故対応技術」及び「既設プラントの廃止措置に関わる技術」の開発
・舶用機械における「新型軸流過給機」及び「新型ラジアル過給機」の開発
(2) インダストリー&社会基盤
各産業向けの基礎設備及び社会インフラ等を提供するために、市場・需要の多様化に対応した製品固有の研究開発を行うとともに、共通性のある、最新かつ高度な先進技術の幅広い製品適用に取り組んでいる。
当セグメントに係る研究開発費は
・環境にやさしいノンフロン冷媒を採用した新型高性能ターボ冷凍機「ETI-Zシリーズ」の開発(平成30年度省エネ大賞で最高位の「経済産業大臣賞」を受賞)
・エネルギー利用効率、CO2削減効果及び経済性の高い「コージェネレーションシステム用ガスエンジン(1000kW:GS16R2、450kW:GS6R2)」の開発(日本ガス協会の2018年度技術賞を2件受賞)
・地球温暖化ガス抑制の要請に対応した船型開発や船舶推進プラント開発及び排ガスSOxの規制に対応した低硫黄燃料使用による排ガスクリーン化や排ガス浄化装置開発等、船舶における環境対応技術の開発
(3) 航空・防衛・宇宙
日本のリーディングカンパニーとして、長年にわたり航空・防衛・宇宙開発で培った技術を駆使して、最先端の製品開発に取り組んでいる。
当セグメントに係る研究開発費は
・世界最高レベルの運航経済性と客室快適性を兼ね備えたリージョナルジェット旅客機「MRJ」の開発
・低コストで高い信頼性を有するH3ロケットの開発
・民間航空機に用いられる製造自動化、3Dプリンタ・レーザ技術等の革新的製造技術の開発
・複数無人機の運用をAI技術でサポートする沿岸警備システムの開発
・重要インフラの制御システム向け等のサイバーセキュリティ技術の開発
(4) その他・共通
当社グループ次期製品の市場競争力確保のために必要となるキー技術や、次期・次世代の製品開発に必要かつ複数製品の共通基盤となるプラットフォーム技術開発に取り組んでいる。
「その他・共通」に係る研究開発費は10,423百万円であり、主な研究開発は次のとおりである。
・各種プラント遠隔監視サービス向け低コスト常時計測・診断技術の開発
・先進AI技術を用いたリスク要因検出の支援システムの開発