第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

[会社の経営の基本方針]

当社グループは、カワサキグループ・ミッションステートメントにおいて、「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する“Global Kawasaki”」をグループミッションとして掲げ、「航空宇宙システム、エネルギー・環境プラント、精密機械・ロボット、船舶海洋、車両、モーターサイクル&エンジン」を主な事業分野として、最先端の技術で新たな価値を創造し、顧客や社会の可能性を切り開く企業グループを目指しています。
 また、「選択と集中」「質主量従」「リスクマネジメント」を指針とし、資本コストを上回る利益を安定的に創出するとともに、先端的な研究開発と革新的な設備投資を持続的に行い、将来に亘る企業価値の向上を図ること、すなわち「Kawasaki-ROIC経営」の推進を経営の基本方針に掲げ、収益性・安定性・成長性を重視した事業ポートフォリオの構築に取り組んでいきます。

 

[目標とする経営指標]

目標とする経営指標は、利益(営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)及び資本効率を測る指標である投下資本利益率(ROIC = EBIT(税引前利益 + 支払利息) ÷ 投下資本(有利子負債 + 自己資本))としています。
 そして、最低限確保すべきハードルレートであるROIC8%を連結グループ全体で早期に上回るべく、事業を細分化したビジネスユニット(BU)毎の利益率管理をこれまで以上に徹底し、当社グループ全体の企業価値向上を図ることとしています。
 これらの経営指標の改善の結果として自己資本利益率(ROE = 親会社株主に帰属する当期純利益 ÷ 自己資本)の向上も図っていきます。

 

[中長期的な会社の経営戦略・対処すべき課題]

当社グループは、水素サプライチェーン実証をはじめとしたエネルギー関連事業や医療事業における開発・投資なども進め、10年先の事業イメージ実現への道のりを着実に歩んできております。しかし、2016年度から2018年度までを対象期間とした中計2016では、各種の大型プロジェクトの損失や低迷した市場の回復が遅れる中で、将来に向けた成長投資を積極的に行ったこともあり、中計2016の数量目標は未達となりました。

上記の反省を踏まえ、2019年度から2021年度までを対象とする新たな中期経営計画(以下、中計2019)を策定しました。中計2019では、まずは将来の成長に備えた財務基盤の強化を最優先課題とし、全体最適の観点から経営資源の投入先を厳選していくとともに、以下の施策を実行していきます。

 

1.収益力向上、フリー・キャッシュ・フロー改善

2018年度には車両事業において大規模損失を計上するなど、中計2016の数量目標未達の主要因は、大型プロジェクトの損失にあります。また、将来の成長に向けた投資や老朽化設備の更新投資も膨らんだことなどから、フリー・キャッシュ・フローも低迷しました。中計2019では重点投資分野と位置付けられた事業を除き、収益力の向上並びにフリー・キャッシュ・フロー創出を最優先に注力していきます。
 また、円高懸念も高まりつつある中、短期的なリスクヘッジとしての為替予約はもちろん、グローバルサプライチェーンの強化、物価・為替の変動などに伴う契約における価格調整(エスカレーション条項)の適用、価格への転嫁など事業特性に見合った対応策を追求するとともに、為替変動に強い事業運営体制の構築を目指していきます。

 

2.プロジェクトリスク管理の徹底

受注前のリスクチェック機能強化による徹底的なリスク排除、プロジェクトリスク管理委員会における履行中の案件のモニタリング強化などを進めています。今後は、これまでの失敗事例などから得られた教訓のグループ内共有、見識者による受注前審査の充実、初品要素の多い案件や大規模受注案件における各種規律の策定などにも着手し、プロジェクトリスク管理を徹底していきます。

 

 

3.品質管理体制の強化

全社的な品質管理体制の総点検を踏まえて、全社の品質管理について、新たに設置したTQM推進部を中心に、製品・業務プロセスの要求特性に整合したTQM(Total Quality Management)体制を確立し、品質管理教育の徹底など、経営レベルを含む全社・全部門への展開を図っているところです。
 この施策に基づき、「N700系新幹線台車枠の製造不備」に関しても、今後このようなことが発生しないよう、2018年9月28日の当社公表内容のとおり、再発防止のための是正策に取り組んでおります。

 

4.事業ポートフォリオによる事業の位置づけ明確化、成長分野への厳選投資

将来を見据え、成長・安定・挑戦すべき領域に位置づける事業をバランス良く配置するため、事業ポートフォリオ(事業規模、収益性、成長性などの構成)を継続的に見直すとともに、中計2019期間において優先的に投資する成長分野を厳選します。更には、付加価値を高めるため、製品軸のみならず開発/調達/設計/製造/販売/サービスなどのバリューチェーンにも注目したビジネスモデルの転換を図っていきます。また、船舶海洋事業、車両事業の再建に向けた諸施策も断行します。

 

5.組織・風土改革

Kawasaki Workstyle Innovation活動(K‐Win活動)を通じて、変化に果敢に挑戦できるよう従業員の意識改革に取り組むとともに、スピードを意識し前向きな挑戦を促進する人事諸制度の実現を目指します。また、ダイバーシティ(多様性)を推進し、育児や介護などへの配慮だけでなく、様々な価値観や考えを持った人財が個性や能力を存分に発揮できるよう働きやすい職場環境を整備していきます。

 

 

なお、個別事業における課題については以下のとおりです。

① 航空宇宙システム事業

P-1固定翼哨戒機・C-2輸送機の修理・部品供給を含めた量産の着実な推進及び派生型機への展開、ボーイング787分担製造品量産の着実な推進及び777Xの開発・量産立ち上げ、民間航空機用ジェットエンジンの新機種開発の推進及び増産対応

 

② エネルギー・環境プラント事業

コアハード強化とその組み合わせによる最適システム構築、分散型エネルギー供給システムの提案、CO2フリー社会に貢献するシステムの構築、海外パートナーシップ強化による新興国・資源国を中心とした海外事業の拡大

 

③ 精密機械・ロボット事業

油圧機器のショベル分野における増産体制の早期実現、高シェアの維持・拡大とショベル以外の建設機械/農業機械分野向けの拡販、ロボットにおいては既存分野のシェアアップ、及びduAro、技能伝承システム「Successor」、手術支援ロボットなど新ロボットマーケットの開拓・拡大に向けた継続的な取り組み

 

④ 船舶海洋事業

坂出工場におけるガス関連船を主体とした選別受注と徹底した生産性向上活動によるコスト競争力の強化、中国合弁会社との共同購買・分担建造など一体運営の更なる深化、潜水艦増艦に対する神戸工場の基盤構築

 

⑤ 車両事業

品質管理の再構築、顧客ニーズに適合した技術・製品による競争力強化、コスト競争力の強化、アジア新興国における受注拡大、IoTを活用したメンテナンス事業及び軌道モニタリング事業参入等のストック型ビジネスの拡大、海外生産・海外調達及びパートナーシップの活用などグローバルな最適事業遂行体制の構築

 

⑥ モーターサイクル&エンジン事業

“Kawasaki”らしい魅力ある強いモデルの継続投入、顧客価値に根ざした高いブランドの実現、先進国市場での更なるプレゼンスの向上、新興国市場におけるコスト競争力の一層の強化及び新規市場開拓、連結ベースのマネジメントの徹底効率化

 

 (注)  上記の将来に関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、設備の状況、経理の状況のうち、当社グループの経営成績、株価及び財務状況等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、記載事項のうち将来に関する事項は当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。

当社グループは、グローバルかつ持続的な事業運営を可能とする全社的リスク管理の取組みに必要な体制を整え、当社グループにおける重要リスクを以下のとおり認識した上で、リスク発生の回避及びリスクが顕在化した時の影響の極小化に努めています。

 

(1) 政治・経済情勢

当社グループは、日本国内はもとより米州・アジア・欧州をはじめ世界各地で事業展開をしています。このため、それぞれの地域における政治・経済の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替レートの変動

当連結会計年度における当社グループの連結売上高に占める海外向け売上高は57%であり、米ドル、ユーロ等の外貨建取引が多く存在します。外貨建取引については、総原価に占める外貨建コストの比率を高める等の為替変動リスクの軽減を図るとともに、為替動向を考慮しながら計画的に為替予約等のヘッジを行っていますが、製造拠点の多くが日本国内に立地しているため、海外取引に関わるリスクを負っています。

 

(3) カントリーリスク

当社グループは、海外市場における事業の拡大を図っており、製品・サービスの輸出に加えて、海外での現地生産やプラント等の建設工事、販売・調達等の活動をグローバルに展開しています。製品仕向地や生産・工事・販売・調達等を行う国や地域での紛争・政情不安・デフォルト、貿易制裁、宗教・文化の相違、特殊な労使関係等により、円滑な業務遂行が妨げられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 個別プロジェクト管理

当社グループは、お客様との個別契約に基づき受注する案件が多く、請負金額が大きい工事等の重要な案件については、応札時や受注契約時をはじめ、プロジェクト開始後も本社と事業部門でリスク分析やリスクへの対応等の十分な検討を行っています。しかし、当初想定できなかった政治・経済情勢の変動等による資材費や労務費の高騰、設計変更や工程の混乱等によって、当初見積り以上にコストが膨らみ、当該案件の損益悪化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 大規模災害

当社グループは、台風、地震、洪水、パンデミック等の各種大規模災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、事業継続計画(BCP)の策定、緊急連絡体制の整備、定期的な点検や訓練の実施等を進めています。しかし、このような災害による人的・物的被害の発生や資材・物流の停滞等が、当社グループの事業活動(特に工場での生産活動)に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、災害による損害が損害保険等で十分にカバーされる保証はありません。

 

(6) 情報セキュリティ

当社グループは、業務を通じて入手した取引先の機密情報や個人情報、また設計・技術・営業等の事業活動に係る機密情報を多数保有しています。これらの情報を保護するため、ITシステムを含む情報管理の体制を構築し保全システムの整備・更新、従業員への教育等を行い、情報漏えい防止に努めています。しかし、サイバー攻撃などによるコンピュータウィルスの感染、不正アクセスや盗難、その他不測の事態により機密情報が消失、もしくは社外に漏えいした場合、当社グループの業績や信用・評判等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7) 人財の確保・育成

当社グループの各職場で長年培ってきた技術・技能を有する優秀な人財の多くが退職時期を迎え、我が国の少子化の進行とも相まって当社グループの事業活動や競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。その中で、積極的な採用活動を行い優秀な人財の確保に努めるとともに、技術・技能の伝承や人財の育成を進めていますが、労働市場の動向などによっては計画どおり人財の確保ができない場合や、変化速度の速い必要スキルと育成達成のアンバランスなどが当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 資金調達

当社グループは、将来見通しを含めた金利動向等を勘案して資金調達を実施し、低金利・安定資金の確保に努めていますが、金利の変動をはじめとする金融市場の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) アライアンス

当社グループは、国内外の幅広い事業分野において、他社と業務提携、合弁事業等のアライアンス関係を築いています。これらの実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から十分に検討を行っていますが、市場環境の変化、事業競争力の低下、相互の経営戦略の見直し等を理由として、アライアンス等が解消又は変更された場合、あるいは目論見どおりの効果を実現できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 法令・規制

当社グループは、グローバルに事業を展開しており、国内外各地で関連する法令・規制の適用を受けます。このため、その遵守はもちろんのこと、川崎重工グループ行動規範を制定し適時内容の整備・見直しを行うとともに、その研修・啓蒙などによりコンプライアンスの強化を図っています。しかし、万一個人的な不正行為を含む重大な法令違反等のコンプライアンスリスクが発生した場合には、多額の過料・課徴金による損失や業務停止命令による受注機会損失の可能性があるほか、これに伴う社会的評価の低下が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 環境規制

当社グループは、国内外に製造設備を多数保有しており、各種環境規制の対象となる有害物質を使用している事業所やグループ会社があります。これらの有害物質は、法令を順守し適正に管理(排出基準・保管基準・取扱作業基準等)しています。また、万一、規制を超える排出等を行った場合の緊急事態を想定し、健康被害や、環境影響を最小限に抑制するための各種対策を講じています。ただし、天変地異などの想定外の事態により環境への悪影響が発生した場合には、社会的評価の低下を招くとともに工場の操業停止や損害賠償責任等が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 品質管理

当社グループは、品質や安全に関する法令・規則の遵守に努めるとともに、製品の品質確保や製品安全、機械安全のリスクアセスメントを通じて、常に信頼性の向上に努めています。しかし、外注先のグローバル化や複数化による品質リスクの高まり、人的リソース不足や外注依存による技術・技能の空洞化等から、製品の品質に起因する事故、あるいはクレームやリコールにより、損害賠償や訴訟費用等の多額のコストが発生することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが支払う損害賠償額が製造物責任賠償保険でカバーされる保証はありません。

 

(13) 労働安全衛生

当社グループは、各事業所及び建設工事現場等における労働安全衛生管理には様々な対策を講じていますが、不測の事故、職場環境の不備・欠陥等により重大な労働災害や健康被害が発生した場合には、生産活動等に支障をきたすとともに社会的評価の低下を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(14) 資材調達

当社グループは、原材料・部品・機器等を国内外の多くの取引先から調達しており、安定した調達を行うため原材料や部品等の市場動向を注視するとともに、取引先の品質管理を徹底しながら特定の取引先への過度の集中を避け複数化を図っています。しかし、取引先が限定される特殊性のある原材料や部品の調達が滞ることで当社グループの生産活動に支障をきたしたり、原材料・部品等の価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 研究開発

当社グループの研究開発活動に係る情報は、「第2 事業の状況 5 研究開発活動」に記載しています。これらの研究開発は、多額の費用と研究期間を要するため、研究開発が計画どおり進まず実用化の機会を喪失した場合や、市場ニーズとの不整合が生じ実用化に至らなかった場合、実用化しても十分な成果が得られなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 知的財産

当社グループは、保有する特許権や実用新案権等の知的財産の適切な管理・保全に努めています。しかし、保有する知的財産が多岐にわたるため、第三者による侵害を完全に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品や技術が他社等の知的財産を侵害し、損害賠償等を請求され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 関係会社

当社グループは、多数の関係会社を有しています。これらの関係会社は当社と相互に密接な協力体制を築く一方、独立会社として自主的な経営を行っているため、その事業の動向や結果が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しています。

 また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っています。

(1) 経営成績及び財政状態の状況

① 連結業績の概況

世界経済は、実体経済が好調な米国を中心に緩やかな成長が継続する一方、一部の新興国・資源国経済の減速などにより、総体的に勢いを欠く状況となっています。これらに加え、米中貿易摩擦に起因する企業業績の悪化が顕在化しつつあることや、英国のEUからの離脱が延期となったものの、合意なき離脱の可能性は残っていることなどから、今後の実体経済の先行きに対する不透明感が続いており、引き続き世界景気の下振れリスクに十分な注視が必要です。

国内経済は、設備投資の緩やかな増加や企業収益の改善などの影響を受け、緩やかに回復しています。今後も、総じて緩やかな成長が期待されますが、米国をはじめとする各国の経済政策などにより円高に振れる可能性もあることから、引き続き為替相場に対しては注視が必要です。

このような経営環境の中で、当連結会計年度における当社グループの連結受注高は、船舶海洋事業などで増加となったものの、車両事業、航空宇宙システム事業での減少により、全体として減少となりました。連結売上高は、車両事業などでの減収があったものの、モーターサイクル&エンジン事業や精密機械・ロボット事業などでの増収により、全体として増収となりました。利益面に関しては、営業利益は船舶海洋事業での改善やエネルギー・環境プラント事業での増益などにより、全体で増益となりました。経常利益は営業利益の増益があったものの、民間航空エンジンの運航上の問題に係る負担金などにより、減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減益などにより、減益となりました。

この結果、当社グループの連結受注高は前期比220億円減少1兆5,859億円、連結売上高は前期比205億円増収1兆5,947億円、営業利益は前期比80億円増益640億円、経常利益は前期比53億円減益378億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比14億円減益274億円となりました。また、ROIC※は4.5%、ROEは5.8%となりました。

 ※ROIC = EBIT(税引前利益 + 支払利息) ÷ 投下資本(有利子負債 + 自己資本)

 

② セグメント別業績の概要

航空宇宙システム事業

航空宇宙システム事業を取り巻く経営環境は、防衛省向けについては、厳しい防衛予算の中で一定程度の需要が存在しています。民間航空機については旅客数の増加に伴って機体・エンジンともに需要が増加しています。

このような経営環境の中で、連結受注高は、民間航空エンジン分担製造品が増加したものの、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品が減少したことにより、前期に比べ672億円減少4,316億円となりました。

連結売上高は、民間航空エンジン分担製造品が増加したものの、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品が減少したことにより、前期に比べ55億円減収4,639億円となりました。

営業利益は、民間航空機向け分担製造品の収益性改善などにより、前期に比べ17億円増益326億円となりました。

 

 

エネルギー・環境プラント事業

エネルギー・環境プラント事業を取り巻く経営環境は、海外では資源開発や石油・天然ガス関連投資が回復基調にあることに加え、アジアではエネルギーインフラ整備需要が継続しています。また環境・省エネルギー投資意欲の向上などにより、分散型電源の需要が増加しています。国内ではごみ焼却プラントや産業機械において老朽化設備等の更新需要が継続しています。一方で分散型電源は、潜在的需要は大きいものの、電力自由化を睨んで投資計画が若干遅れ気味になっています。

このような経営環境の中で、連結受注高は、国内向けコンバインドサイクル発電プラントや国内向けLNGタンクを受注したことなどにより前期に比べ398億円増加2,635億円となりました。

連結売上高は、国内向けごみ処理施設や海外向け化学プラントの工事量減少があったものの、エネルギー事業の工事量増加などにより、前期に比べ14億円増収2,530億円となりました。

営業利益は、エネルギー事業での採算改善などにより、前期に比べ39億円増益116億円となりました。

 

精密機械・ロボット事業

精密機械・ロボット事業を取り巻く経営環境は、建設機械市場向けでは、中国市場におけるショベル販売競争は日々激しくなってきており、中国市場でシェアを落としている外資系建機メーカーを中心に中国マーケット(特に中小型)の先行きに対する懸念・不透明感の声は上がっているものの、未だ当社生産能力を超える需要があり、増産対応を進めています。中国市場の状況については引続き注視しています。ロボット市場向けでは、米中貿易摩擦の影響による中国市場での設備投資延期や半導体メーカーの投資先送りにより足元の市況は悪化しており、海外市場は今後暫くの間は不安定な状況が続くと予想されますが、年度後半には半導体投資が再開され需要は回復に向かうと見られ、国内市場においては、人共存分野など産業分野全般において需要は着実に拡大していくとみています。

このような経営環境の中で、連結受注高は、半導体向けロボットが減少したものの、建設機械市場向け油圧機器が増加したことにより前期に比べ153億円増加2,224億円となりました。

連結売上高は、半導体向けロボットが減少したものの、建設機械市場向け油圧機器が増加したことにより、前期に比べ230億円増収2,220億円となりました。

営業利益は、売上は増加したものの、増産対応費用や研究開発費等の販管費の増加などにより、前期並みの213億円となりました。

 

船舶海洋事業

船舶海洋事業を取り巻く経営環境は、新造船価の緩やかな回復基調や環境規制強化に伴うガス燃料推進船需要の顕在化がある一方で、LNG開発プロジェクトの遅れによるLNG運搬船需要の後ろ倒し、韓国政府による造船業支援政策の継続などにより、依然として厳しい状況にあります。

このような経営環境の中で、連結受注高は、防衛省向け潜水艦を受注したことなどにより、オフショア作業船にかかる造船契約の合意解除を行った前期に比べ764億円増加811億円となりました。

連結売上高は、LNG運搬船とLPG運搬船の構成変動等により、前期に比べ166億円減収789億円となりました。

営業損益は、減収があったものの、建造コストの改善などにより、前期に比べ49億円改善して10億円の営業利益となりました。

 

車両事業

車両事業を取り巻く経営環境は、国内については老朽化車両の更新需要が安定的に存在しています。海外については、米国では注力市場であるニューヨーク地区をはじめ新造・更新需要が増加しており、またアジアでは日本政府によるインフラ輸出促進に伴って新興国での需要が増加しています。

このような経営環境の中で、連結受注高は、ニューヨーク・ニュージャージー港湾局向け通勤電車などを受注したものの、ニューヨーク市交通局向け新型地下鉄電車などを受注した前期に比べ1,210億円減少1,360億円となりました。

連結売上高は、米国やアジアなど海外向けが減少したことなどにより、前期に比べ170億円減収1,246億円となりました。

 

営業損益は、前期に続き米国向け案件における採算の悪化などにより、前期に比べ13億円悪化して137億円の営業損失となりました。

 

モーターサイクル&エンジン事業

モーターサイクル&エンジン事業を取り巻く経営環境は、二輪車では主に欧州において市場の緩やかな成長が持続しており、新興国向けでも市場の底打ちの兆しが見えつつあります。また、四輪車では主に北米において市場が安定した成長を続けており、汎用エンジン市場も堅調に推移しています。

このような経営環境の中で、連結売上高は、先進国向け二輪車や四輪車の増加により、前期に比べ251億円増収3,568億円となりました。

営業利益は、売上は増加したものの、米国における鋼材等資材価格の上昇、新興国通貨安の影響などにより、前期に比べ8億円減益143億円となりました。

 

その他事業

連結売上高は、前期に比べ100億円増収951億円となりました。

営業利益は、前期に比べ4億円減益25億円となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

④ 財政状態の状況

(資産)

流動資産は、棚卸資産の増加等により前期末比205億円増加し、1兆1,363億円となりました。

固定資産は、設備投資による有形固定資産の増加等により前期末比332億円増加し、7,025億円となりました。

この結果、総資産は前期末比538億円増加1兆8,388億円となりました。

 

(負債)

負債全体では、退職給付に係る負債の増加や民間航空エンジンの運航上の問題に係る引当金の計上等により前期末比429億円増加1兆3,465億円となりました。有利子負債は、前期末比72億円減少の4,394億円となりました。

 

(純資産)

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加、配当金の支払による減少等により、前期末比108億円増加4,922億円となりました。

 

 

 

⑤ 目標とする経営指標に基づく経営成績等に関する分析

当社グループは、前中期経営計画「中計2016」の最終年度でもある当連結会計年度に、最低限確保すべき水準としているハードルレートROIC8%以上を達成することを目標としていましたが、将来に向けた設備投資の集中や車両事業における損失の計上等により、ROICは4.5%と目標を大きく下回る結果となりました。

次期中期経営計画「中計2019」では、2021年度で達成すべきROICの目標を10%以上とし、収益強化やコスト削減の取り組み、アフターサービス事業の売上増といった施策を確実に実行することで、その達成を目指していきます。

なお、前連結会計年度及び当連結会計年度の全社及びセグメントごとのROICは、次のとおりです。

(単位:%)

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

変動

航空宇宙システム

7.8

5.0

△2.8

エネルギー・環境プラント

8.0

9.3

1.3

精密機械・ロボット

22.9

19.8

△3.1

船舶海洋

△21.3

3.2

24.5

車両

△26.2

△26.4

△0.2

モーターサイクル&エンジン

9.4

 8.4

△1.0

全社

3.9

 4.5

0.6

 

 

船舶海洋事業においては、建造コストの改善などに伴いEBITが大きく増加したことなどから、前期に比べ24.5ポイント上昇しました。一方で精密機械・ロボット事業においては、設備投資に伴う投下資本の増加などにより、前期に比べ3.1ポイント低下しました。また、航空宇宙システム事業においては、民間航空エンジンの運行上の問題に係る負担金によるEBITの減少などにより、前期に比べ2.8ポイント低下しました。

 

(注) 上記の将来に関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。

 

(2) 資本の財源及び資金の流動性

① キャッシュ・フローの状況

当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は前期比39億円増683億円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、前期比537億円増1,097億円となりました。これは主に、売上債権の減少によるものです。また、当連結会計年度における収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益378億円、減価償却費590億円、売上債権の増減額589億円であり、支出の主な内訳は、たな卸資産の増減額653億円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、前期比47億円増853億円となりました。これは主に、設備投資に係る支払の増加によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、前期比575億円減197億円(前期は377億円の収入)となりました。これは主に、配当金の支払によるものです。

 

 

② 財務政策

当社グループの運転資金・投資向け資金等の必要資金については、主として営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源としていますが、必要に応じて、短期的な資金については銀行借入やコマーシャル・ペーパーなど、設備投資資金・投融資資金等の長期的な資金については、設備投資・事業投資計画に基づき、金融市場動向や固定資産とのバランス、既存借入金及び既発行債の償還時期などを総合的に勘案し、長期借入金や社債などによって調達しています。
  当社グループは上述の多様な資金調達源に加え、複数の金融機関とのコミットメントライン契約を締結しており、事業活動に必要な資金の流動性を確保しています。また、当社と国内子会社間、また海外の一部地域の関係会社間ではキャッシュ・マネジメント・システムによる資金融通を行っており、グループ内の資金効率向上に努めています。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比増減(%)

航空宇宙システム

465,917

+17.9

エネルギー・環境プラント

225,915

△9.0

精密機械・ロボット

191,127

+14.5

船舶海洋

79,814

△15.3

車両

149,654

△0.1

モーターサイクル&エンジン

271,280

+10.0

その他

120,248

+6.1

合計

1,503,958

+6.3

 

(注) 1 上記金額には、消費税等は含みません。

2 金額は、生産高(製造原価)によっています。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比増減(%)

受注残高(百万円)

前期比増減(%)

航空宇宙システム

431,662

△13.4

696,097

△4.0

エネルギー・環境プラント

263,568

+17.8

381,563

+4.6

精密機械・ロボット

222,466

+7.4

46,392

+0.8

船舶海洋

81,152

+1,609.0

101,622

+2.4

車両

136,080

△47.0

517,965

+4.7

モーターサイクル&エンジン

356,847

+7.5

その他

94,211

+11.0

19,416

△4.5

合計

1,585,989

△1.3

1,763,058

+0.7

 

(注) 1 上記金額には、消費税等は含みません。

2 モーターサイクル&エンジン事業については、主として見込み生産を行っていることから、受注高について売上高と同額とし、受注残高を表示していません。

3 セグメント間の取引については、受注高及び受注残高から相殺消去しています。

 

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比増減(%)

航空宇宙システム

463,958

△1.1

エネルギー・環境プラント

253,041

+0.5

精密機械・ロボット

222,095

+11.6

船舶海洋

78,974

△17.4

車両

124,689

△12.0

モーターサイクル&エンジン

356,847

+7.5

その他

95,136

+11.8

合計

1,594,743

+1.3

 

(注) 1 上記金額には、消費税等は含みません。

2 販売高は、外部顧客に対する売上高です。

3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

防衛省

237,737

15.1

216,989

13.6

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術援助契約(導入)

契約会社名

契約の相手方・国籍

契約の対象品目

対価

契約の始期・終期

川崎重工業㈱

(当社)

Lockheed Martin

Corporation

(米国)

P-3C対潜哨戒機

(1)イニシャルペイメント

(2)ロイヤルティ

(3)技術資料代

(4)技術者訓練費

1978年6月30日

(2019年8月31日まで)

Boeing

Intellectual

Property Licensing

Company

(米国)

CH-47ヘリコプタ

(1)イニシャルペイメント

(2)ロイヤルティ

(3)技術資料代

(4)技術者訓練費

(5)技術者招へい費

1985年1月14日

(2020年4月21日まで)

Leonardo MW Ltd.
(英国)

EH-101ヘリコプタ

(1)イニシャルペイメント
(2)ロイヤルティ
(3)技術資料代

2004年9月12日
(2020年11月30日まで)

Honeywell

International Inc.

(米国)

T55-L-712、

712Aターボシャフトエンジン

(1)イニシャルペイメント

(2)ロイヤルティ

(3)技術資料代

(4)アニュアルフィー

1984年12月12日

(2023年5月31日まで)

Saab Kockums AB

(スウェーデン)

スターリングエンジン

(1)イニシャルペイメント

(2)ロイヤルティ

(3)技術指導料

1990年9月30日

(2040年12月31日まで)

MAN Diesel & Turbo

(デンマーク)

2サイクル陸舶用ディーゼルエンジン

(1)ロイヤルティ

(2)技術資料代

(3)技術者招へい費

(4)技術者訓練費

1981年5月18日

(2021年12月31日まで)

Safran Helicopter
Engines

(フランス)

RTM322ターボシャフトエンジン

(1)イニシャルペイメント
(2)ロイヤルティ

2003年12月26日
(2021年9月30日まで)

Rolls-Royce Power
Engineering plc

(英国)

舶用ガスタービンモジュール

(1)イニシャルペイメント

(2)ロイヤルティ

(3)技術者招へい費

1991年8月28日

(2030年4月30日まで)

 

 

(2) 技術援助契約(供与)

契約会社名

契約の相手方・国籍

契約の対象品目

対価

契約の始期・終期

川崎重工業㈱

(当社)

南通中遠海運川崎船舶工程有限公司

(中国)(注)

13,360TEUコンテナ船

(1)イニシャルペイメント

(2)ロイヤルティ

2012年3月27日

(8隻目の引渡し日まで)

 

(注) 南通中遠海運川崎船舶工程有限公司は、持分法適用関連会社です。

 

 

5 【研究開発活動】

当会計年度は、「中計2016」の最終年度として、掲げた開発目標の実現に向けて、事業部門と本社技術開発本部とが一体となって当社グループの持ち得る技術を結集し、技術のシナジーや最新の情報通信技術(ICT/IoT)も活用しながら、研究開発に取り組みました。

また、国の第5次エネルギー基本計画に示されている「水素社会の実現」を見据え、日本・豪州政府機関や関係各社とも連携して、水素の製造から輸送・貯蔵・利用までのサプライチェーンの早期構築に向けた取り組みにも注力しています。

当連結会計年度における研究開発費は487億円であり、各事業セグメント別の主な研究開発の内容及び費用は以下のとおりです。

 

航空宇宙システム事業

航空宇宙事業では、次期航空機事業への展開を目指し、P-1固定翼哨戒機/C-2輸送機の近代化・派生型、回転翼機の近代化・派生型、及びデブリ除去衛星をはじめとした宇宙機器システムなどの研究開発を実施するとともに、それらの開発に不可欠な基盤技術の強化を図りました。また、ロボット事業とのシナジーを活かし、次世代民間航空機の生産効率を向上させる自動化・ロボット化技術の開発のほか、革新生産技術の開発やICT/IoTを活用したスマートファクトリー化への取り組みを進めています。

航空エンジン事業では、次世代民間エンジン国際共同開発に備え、圧縮機・燃焼器、及びギア関連技術や革新的な生産技術に関する研究開発に取り組んでいます。また、防衛エンジン事業分野においては、自社開発エンジンの実用化に向けた研究開発への取り組みを進めています。

当事業に係る研究開発費は61億円です。

 

エネルギー・環境プラント事業

エネルギー分野では、ガスタービンの高効率化や、ガスエンジンの更なる効率・信頼性向上、低コスト化に向けた技術開発に加え、100MW級CCPP(コンバインドサイクル発電プラント)の開発・市場投入等の海外展開を見据えた製品開発や、水素ガスタービンの開発等に取り組んでいます。

プラント分野では、水素サプライチェーンの構築に向けて、産業用として初となる純国産独自開発の水素液化システムの開発や、液化水素貯蔵・揚荷基地の技術実証を推進しているほか、CO2分離回収システムの実用化開発を実施しています。また、世界的な資源有効利用、環境重視のニーズの高まりに対応し、バイオマスボイラの開発や新型セメント排熱ボイラの改良検討を継続実施するとともに、ごみ焼却発電プラントについて、ICT/IoTを活用した遠隔監視による状態把握やデータの活用による最適運用・運転支援技術の開発等に取り組んでいます。

また、舶用推進システム分野では、環境規制強化に向けた舶用ガスエンジンの開発や推進機器の性能向上、ハイブリッド推進システム等の次世代技術・システムの開発に取り組んでいます。

当事業に係る研究開発費は39億円です。

 

精密機械・ロボット事業

精密機械事業においては、ショベル分野における圧倒的なシェア維持を目指し、油圧ポンプ・モータ、コントロール弁等の高性能化や、燃費と操作性の更なる向上を目指した新たな油圧システムの開発に取り組んでいます。また、ショベル以外の建設機械分野や農業機械分野への拡販を見据え、マーケットニーズに応じた小型軽量・高効率・高機能な油圧ポンプ・モータ、コントロール弁の開発並びにシリーズ展開を進めるとともに、水素関連事業として燃料電池車用高圧水素減圧弁等の開発に取り組んでいます。

ロボット分野では、遠隔操縦による人間とロボットの協調作業を通してAI学習し、熟練技術者の動きを再現することで技能伝承も可能とする新ロボットシステム「Successor」の開発をしました。また、双腕型スカラロボット「duAro」の適用拡大に向けた高機能化の取り組み等に加え、将来市場の大きな伸びが期待される医療・ヘルスケア分野への展開を目指した医療用ロボットや、堅牢な体と柔軟な環境対応能力を兼ね備えたヒューマノイドロボット等の研究開発にも取り組んでいます。

当事業に係る研究開発費は62億円です。

 

 

船舶海洋事業

コア・コンピタンスである低温・高圧ガス技術や環境負荷低減技術を強化するとともに、LNG/LPGと重油双方を燃料とする2元燃料エンジンを搭載した新船型LNG/LPG運搬船や、LNG/LPG燃料推進システム、LNG燃料供給船の開発に加えて、AUV※等の水中機器の開発、船舶運航管理支援システム「SOPass」の機能拡大に向けた開発に取り組んでいます。また、水素サプライチェーンの構築に向け、世界初となる液化水素運搬船の実証船開発に注力しています。

当事業に係る研究開発費は11億円です。

(※ AUV: Autonomous Underwater Vehicle)

 

車両事業

アジアを中心とした成長市場での新車販売力強化と適正利益の確保を目指した次世代標準車両における低コスト化技術の開発や、次世代新幹線向け高速車両の開発、車両信頼性向上・安全対策・メンテナンス性向上等のための高機能装置の開発、自動化・ロボット化による合理的生産技術の開発等に取り組んでいます。また、ストック型ビジネスの拡大を目指して、各種センシングやICT/IoTを活用した車両・軌道の状態監視等による効率的なメンテナンスシステムの開発を推進しています。

当事業に係る研究開発費は8億円です。

 

モーターサイクル&エンジン事業

Kawasakiのブランド力強化を目指して、快適性とスポーツ性を両立させたアドベンチャーモデル「VERSYS 1000」、スマートフォン接続機能や高度な電子制御ライダーサポート技術を搭載した「VERSYS 1000 SE」や、Kawasakiが誇るビッグバイクの始祖である「W1」の血脈を受け継ぐ「W800 STREET/W800 CAFE」、更に米国市場で人気を博する四輪製品ラインアップにタフで機能性に優れた「MULE PRO-MX」を追加する等の新機種開発を行いました。また、かつてない新しいライディング体験の提供を目指し、人工知能を活用したモーターサイクルの開発も継続推進しています。

当事業に係る研究開発費は156億円です。

 

本社部門・その他

本社技術開発本部は、当社グループの更なる企業価値向上を目指し、事業部門と一体となって「新製品・新事業」の開発に取り組むとともに、急激な社会変化に対応した新たな技術開発にも積極的に挑戦し、将来に向けた基盤技術の育成・強化を進めています。

また、ICT/IoT活用によるものづくり革新や新たなサービス事業の創出についても、事業部門と協力して取り組み、製品ライフサイクル全体での競争力強化を進めています。

更に、日本・豪州における各種液化水素インフラの開発・実証を着実に推進するとともに、商用化に向けた技術開発を積極的に推進しています。

これら本社部門に係る研究開発費は146億円です。