【連結財務諸表注記】
1.報告企業
川崎重工業株式会社(以下、「当社」とする)は日本に所在する企業です。当社の連結財務諸表は2024年3月31日を期末日とし、当社及びその子会社(以下、「当社グループ」とする)、並びに当社グループの関連会社及び共同支配企業に対する持分により構成されます。当社グループは、当社を中心として航空宇宙システム事業、車両事業、エネルギーソリューション&マリン事業、精密機械・ロボット事業、パワースポーツ&エンジン事業及びその他事業を営んでいます。
2.作成の基礎
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たすことから、第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しています。
連結財務諸表は、2024年6月26日に取締役会により承認されています。
当社グループの連結財務諸表は、注記3.「重要性がある会計方針」に記載している金融商品及び確定給付負債(資産)等を除き、取得原価を基礎として作成しています。
連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、別段の記載がない限り百万円未満を切捨てして表示しています。
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行うことが義務付けられています。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しています。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した会計期間と将来の会計期間において認識しています。
連結財務諸表上で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び会計方針の適用に関する判断は、以下のとおりです。
・非金融資産の減損(注記3.(9)「非金融資産の減損」、注記11.「非金融資産の減損」)
・引当金(注記3.(12)「引当金」、注記18.「引当金」)
・収益(注記3.(14)「収益」、注記24.「収益」)
・法人所得税(注記3.(16)「法人所得税」、注記14.「繰延税金及び法人所得税」)
当社グループは、当連結会計年度より、以下の基準書を適用しています。
上記基準書の適用による当社グループの連結財務諸表への重要な影響はありません。
連結財務諸表の承認日までに公表されている基準書及び解釈指針の新設又は改訂のうち、以下を除き、早期適用していない基準等で当社グループの連結財務諸表に重要な影響を及ぼすものはありません。なお、以下基準の適用による影響は検討中です。
3.重要性がある会計方針
子会社とは、当社グループが支配する企業をいいます。
当社グループが、企業への関与により生じる投資企業のリターンが、被投資企業の業績の結果によって変動する可能性があり、かつ投資先に対するパワーによりリターンに影響を及ぼす能力を有している場合に投資先を支配しています。
子会社の財務諸表は、支配開始日から支配終了日までの間、連結財務諸表に含めています。子会社が適用する会計方針が当社グループの運用する会計方針と異なる場合には、当該連結子会社の財務諸表を調整しています。当社グループ内の債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
支配を喪失しない子会社に対する当社グループの所有持分の変動は、資本取引として会計処理しています。当社グループの持分及び非支配持分の帳簿価額は、子会社に対する持分の変動を反映して調整していますが、非支配持分の調整額と受取対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識しています。支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得及び損失は純損益で認識しています。
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配はしていない企業をいいます。
関連会社に対する投資は、取得時に取得原価で認識し、その後は持分法を用いて会計処理しています。投資の取得原価には取引コストを含めています。
連結財務諸表には、他の株主との関係等により、決算日を親会社の決算日に統一することが実務上不可能であるため、親会社の決算日と異なる持分法適用会社に対する投資を含めています。当該持分法適用会社の決算日の差異は3ヶ月を超えることはありません。決算日の差異により生じる期間の重要な取引又は事象については必要な調整を行った上で持分法を適用しています。持分法適用会社が適用する会計方針が当社グループの運用する会計方針と異なる場合には、当該持分法適用会社の財務諸表を調整しています。
損失に対する当社グループの持分が持分法適用会社に対する投資を上回った場合には、長期持分を含めたその投資の帳簿価額をゼロまで減額しています。当社グループが投資先に代わって債務を負担又は支払いを行う場合を除き、それ以上の損失は認識していません。
共同支配の取決めは、当社グループが共同支配(取決めのリターンに重要な影響を及ぼす活動に関する意思決定が、全員一致の合意を必要とする場合にのみ存在する)を有する取決めです。当社グループでは、共同支配の取決めとして共同支配企業があり、当社グループが取決めの純資産に対する権利のみを有する場合、関連会社と同様に、持分法を用いて会計処理しています。
企業結合は、取得法で会計処理しています。
のれんは、移転した対価と被取得企業の非支配持分の金額の合計が、取得日における識別可能な取得資産及び引受負債の公正価値の正味価額を上回る場合にその超過額として測定しています。その差額が負の金額である場合には、即時に純利益として認識しています。
負債又は持分証券の発行に関連するものを除いて、企業結合に関連して当社グループに発生する取得関連コストは発生時に費用処理しています。
外貨建取引は、当初認識時に、取引日の為替レート又はそれに近似するレートで各社の機能通貨に換算しています。
期末日における外貨建貨幣性資産・負債は、期末日の為替レートで機能通貨に換算しています。外貨建非貨幣性項目のうち、取得原価で測定されているものは取引日の為替レート又はそれに近似するレートで、公正価値で測定されるものは、当該公正価値の測定日における為替レートで機能通貨に換算しています。
換算及び決済によって発生した為替差額は、純損益として認識しています。ただし、非貨幣性項目の利得又は損失がその他の包括利益に認識される場合は、当該為替差額もその他の包括利益に認識しています。
在外営業活動体の資産・負債は、取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含め、期末日の為替レートで日本円に換算しています。在外営業活動体の収益及び費用は、為替レートの著しい変動がない限り、期中平均為替レートを用いて日本円に換算しています。為替換算差額はその他の包括利益で認識しています。
在外営業活動体の一部又はそのすべてが処分され、支配又は重要な影響力を喪失した場合には、その他の資本の構成要素に認識した累積換算差額を純損益に振り替えています。
金融資産は、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産及び純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
金融資産は、契約の当事者となった時点で認識しています。通常の方法で売買される金融資産は取引日に認識しています。
金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてが移転している場合において、金融資産の認識を中止しています。
以下の要件をいずれも満たす金融資産を、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
(a)当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている
(b)金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる
償却原価で測定する金融資産は、当初認識時にその取得に直接起因する取引コストを公正価値に加算して測定しています。ただし、重要な金融要素を含まない営業債権は取引価格で当初測定しています。
また、当初認識後は、実効金利法を用いて償却原価で測定しています。
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は公正価値で測定する金融資産に分類しています。
公正価値で測定する金融資産のうち、売買目的で保有していない資本性金融商品への投資については、公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示するという取消不能の選択を行うことが認められており、当社グループでは金融商品ごとに当該指定を行っています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時にその取得に直接起因する取引コストを公正価値に加算して測定しています。また、当初認識後は、公正価値で測定し、その事後的な変動はその他の包括利益として認識しています。その他の包括利益として認識した公正価値の変動額は、認識を中止した場合にその累計額を利益剰余金に振り替えており、純損益には振り替えていません。なお、配当については純損益として認識しています。
上記以外の金融資産は純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値により測定し、その取得に直接起因する費用は、発生時に純損益で認識しています。また、当初認識後は、公正価値で測定し、その事後的な変動は純損益として認識しています。
償却原価で測定する金融資産、契約資産及びリース債権について、予想信用損失に係る引当金を認識しています。
報告日において、ある金融商品に関する信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品に係る引当金を、当該金融商品の存続期間にわたって発生する可能性のあるすべての債務不履行事象から生じる予想信用損失(存続期間にわたる予想信用損失)と同額で測定しています。
報告日において、ある金融商品に関する信用リスクが当初認識以降に著しくは増大していない場合には、当該金融商品に係る引当金を、報告日から12ヶ月以内に発生する可能性のある債務不履行事象によって生じる予想信用損失(12ヶ月の予想信用損失)と同額で測定しています。
ただし、営業債権、契約資産及びリース債権については、引当金を常に存続期間にわたる予想信用損失と同額で測定しています。
信用リスクの著しい増大の評価及び予想信用損失の測定の詳細については、注記21.「金融商品」に記載しています。
非デリバティブ金融負債は、償却原価で測定する金融負債に分類しています。
償却原価で測定する金融負債は、当初認識時にその取得に直接起因する取引コストを公正価値に減算して測定しています。また、当初認識後は、実効金利法を用いて償却原価で測定しています。
金融負債は、契約の当事者となった時点で認識しています。
金融負債が消滅した場合、すなわち、契約中に特定した債務が履行により消滅、免責、取消、又は失効となった時に、かつ、その時にのみ、金融負債の認識を中止します。
当社グループは、通常の営業活動において、為替変動及び金利変動などの市場リスクに晒されています。これらのリスクを管理するため、当社グループは、原則として、リスクの純額を把握し、社内規程に則りデリバティブ取引を必要に応じて締結するなど、リスクを相殺する効果を有する取引を活用して市場リスクの軽減を図っています。当初のヘッジ指定時点において、当社グループは、リスク管理目的、ヘッジ取引を実行する際の戦略、及びヘッジ関係の有効性の評価方法を含む、ヘッジ手段とヘッジ対象の関係を正式に文書化しています。また、ヘッジ手段とヘッジ対象の経済的関係及びリスク管理方針に基づき適切なヘッジ比率を設定しています。
当社グループでは、ヘッジ手段がヘッジ対象期間において関連するヘッジ対象の公正価値やキャッシュ・フローの変動に対して高度に相殺効果を有すると予想することが可能であるか否かについて、継続的に評価を実施しています。
デリバティブは公正価値で当初認識しています。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動は以下のとおり処理しています。
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動は、純損益として認識しています。また、ヘッジされたリスクに対応するヘッジ対象の公正価値の変動については、ヘッジ対象の帳簿価額を修正して、純損益として認識しています。
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動のうち、有効なヘッジと判定される部分は、その他の包括利益として認識し、累積額は、その他の資本の構成要素に含めています。また、ヘッジ効果が有効でない部分は、純損益として認識しています。その他の資本の構成要素に累積された金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える会計期間において、その他の資本の構成要素から純損益に振り替えています。ただし、予定取引のヘッジがその後において非金融資産又は非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、その他の資本の構成要素に累積された金額は、当該非金融資産又は非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しています。
ヘッジ手段が失効、売却、終結又は行使された場合、ヘッジがヘッジ会計の要件を満たしていない場合には、ヘッジ会計を将来に向けて中止しています。予定取引の発生がもはや見込まれない場合には、その他の資本の構成要素に累積された金額は、即時にその他の資本の構成要素から純損益に振り替えています。
デリバティブの公正価値の変動は、純損益として認識しています。
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されています。
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のうちいずれか低い金額で測定しています。
棚卸資産の取得原価は主として個別法、先入先出法、移動平均法に基づいて算定しており、棚卸資産の取得に係る費用、製造費及び加工費、並びに当該棚卸資産を現在の場所及び状態とするまでに要したその他の費用を含めています。
正味実現可能価額は、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除した額です。
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で表示しています。
取得原価には資産の取得に直接関連する費用、資産計上の要件を満たす借入費用並びに解体、除去及び原状回復費用を含めています。
有形固定資産の処分損益は、処分により受け取る金額と有形固定資産の帳簿価額との差額により算出し、純損益で認識しています。
有形固定資産は、その資産が使用可能となった日から、減価償却しています。
減価償却費は償却可能額をもとに算定しています。償却可能額は、資産の取得原価から残存価額を差し引いて算出しています。
土地等の償却を行わない資産を除き、有形固定資産は見積耐用年数にわたり、主に定額法で減価償却を行っています。
主な見積耐用年数は以下のとおりです。
・建物及び構築物 3~50年
・機械装置及び運搬具 2~20年
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、期末日ごとに見直しを行い、必要に応じて改定しています。
開発活動には、新規の又は大幅に改良された製品又は工程を生み出すための計画又は設計を含めています。開発費は、以下の要件をすべて満たした場合のみ資産化しています。
・技術的実行可能性
・完了及び利用・売却意図
・使用・売却能力
・将来の経済的便益
・適切な資源の利用可能性
・信頼性のある測定
将来の経済的便益が流入する可能性を実証することができないため、研究局面に関する支出は資産化せず、発生時に費用として認識しています。
資産化される費用には、材料費、直接労務費、資産の意図した使用のための準備に直接関連する間接費用を含めています。その他の開発費は、発生時に費用として認識しています。
資産化された開発費は、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を差し引いて表示しています。
当社グループが取得したソフトウェア及びその他の無形資産で耐用年数を確定できるものは、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除して計上しています。また、耐用年数を確定できないものは、取得原価から減損損失累計額を控除して計上しています。
子会社の取得により生じたのれんは無形資産に計上しています。当初認識時におけるのれんの測定については、(1)④ 「企業結合」に記載しています。
のれんは、原価モデルを採用し、取得原価から減損損失累計額を控除して測定しています。持分法適用会社については、のれんの帳簿価額を投資の帳簿価額に含めています。
のれん以外の耐用年数を確定できる無形資産は、その資産が使用可能となった日から見積耐用年数にわたって償却しています。償却方法は、開発費については開発対象の製品機種の生産台数に応じた生産高比例法、その他の無形資産については定額法によっています。
主な見積耐用年数は以下のとおりです。
・ソフトウェア 5年
・開発費 2~10年
償却方法、耐用年数及び残存価額は、期末日ごとに見直しを行い、必要に応じて改定しています。
リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識しています。
使用権資産の測定においては原価モデルを採用し、リース開始日における取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。この取得原価は、リース負債の当初測定額に、開始日又はそれ以前に支払ったリース料を調整し、当初直接コスト、リース契約に基づき要求される解体、除去及び原状回復費用を含め、受領済みのリース・インセンティブを控除して測定しています。当初認識後、使用権資産は、開始日から使用権資産の耐用年数の終了時又はリース期間の終了時のいずれか早い方の日まで、定額法により減価償却しています。
リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初測定しています。リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、当社グループの追加借入利子率を用いています。
リース負債は、実効金利法により測定しています。各契約に原資産を購入するオプションやリース期間の延長、解約のオプションが付与されていて、そのオプションを行使する見通しに変化が生じた場合には、リース負債を再測定しています。
なお、リース期間が12ヶ月以内の短期リース及び少額資産のリースについて、使用権資産及びリース負債を認識しないことを選択しており、これらのリースに係るリース料をリース期間にわたり定額法により費用として認識しています。
当社グループは、財政状態計算書において、使用権資産は他の資産として区分し、リース負債を「社債、借入金及びその他の金融負債」に含めて表示しています。
契約上、原資産の所有に伴う実質的なすべてのリスクと経済価値を借手に移転するリースは、ファイナンス・リースとして分類しています。ファイナンス・リース以外のリースは、オペレーティング・リースとして分類しています。
ファイナンス・リース取引においては、正味リース投資未回収額をリース債権(「営業債権及びその他の債権」に含めて表示)として認識しています。未稼得金融収益はリース期間にわたり純投資額に対して一定率で配分し、その帰属する期間に収益認識しています。
オペレーティング・リース取引においては、受取リース料は、リース期間にわたって定額法により収益として認識しています。
当社グループの有形固定資産及び無形資産等の帳簿価額は、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。のれん及び耐用年数を確定できない、又は未だ使用可能ではない無形資産については、年に一度定期的に減損テストを行うほか、減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しています。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いています。資金生成単位については、他の資産又は資産グループからのキャッシュ・イン・フローから概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生成するものとして識別する資産グループの最小単位としています。
減損損失は、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に認識しています。減損損失は純損益として認識しています。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額します。
のれんに関連する減損損失は戻し入れていません。のれん以外の資産については、過去に認識した減損損失は、期末日ごとに、過年度に計上した減損損失の戻入れの兆候の有無を判断しています。そのような兆候が存在する場合は、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が、資産又は資金生成単位の帳簿価額を超える場合、算定した回収可能価額と過年度で減損損失が認識されていなかった場合の減価償却控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻し入れています。
政府補助金は、当社グループが補助金を受領し、その補助金に付帯する諸条件を遵守することが合理的に確かである場合に、公正価値で測定し、以下の方法で認識しています。
資産に関する補助金は、取得原価から補助金を控除して、資産の帳簿価額を算定する方法で認識しています。収益に関する補助金は、関連する費用から当該補助金を控除する方法で認識しています。
(a)確定拠出制度
当社及び一部の子会社では、確定拠出型制度を採用しています。確定拠出年金制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度です。確定拠出年金制度の拠出債務は、従業員が関連したサービスを提供した期間に、従業員給付費用として純損益で認識しています。
(b)確定給付制度
確定給付型制度は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額を、負債又は資産として認識しています。
確定給付制度債務の現在価値及び勤務費用は、予測単位積増方式を用いて制度ごとに算定しています。
割引率は、確定給付制度債務を支払う際に使用する通貨及び見積り支払期日に対応した、期末日時点の優良社債の市場利回りを参照して決定しています。
確定給付制度から生じる再測定は、数理計算上の差異・制度資産に係る収益(利息を除く)及び資産上限額の影響から構成され、それらを即時にその他の包括利益に計上しており、直ちに利益剰余金に振り替えています。
制度が改訂された場合、従業員による過去の勤務に関連する給付金の変動部分は、即時に純損益として認識しています。
退職後給付制度以外の長期従業員債務として、長期勤続を達成時に休暇や手当が付与される制度を有しています。当該長期従業員給付は、従業員が過年度及び当年度に提供したサービスの対価として獲得した将来給付の見積額を現在価値に割り引いて算定しています。
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しています。
賞与については、当社グループが、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的及び推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合にそれらの制度に基づいて支払われる見積額を負債として認識しています。
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループがその金額について信頼できる見積りが可能である法的又は推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高い場合に認識しています。
貨幣の時間価値の影響が重要な場合には、当該引当金は債務の決済に必要と予想される支出額の現在価値で測定しています。
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本から控除しています。
自己株式を取得した場合は、取得に直接関連して発生したコストを含めた支払対価を資本から控除しています。自己株式を処分した場合には、受取対価と自己株式の帳簿価額との差額を資本として処理しています。
当社グループは、以下の5ステップアプローチに基づき、約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと交換に権利を得ると見込んでいる対価を反映する金額で収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務の充足時に(又は充足するにつれて)収益を認識する
当社グループの顧客との契約から生じる収益に関する主要な事業における主な履行義務の内容及び当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)は以下のとおりです。
製品等の販売による収益については、当社グループは顧客との契約に基づいて製品等を引き渡す履行義務を負っており、製品等の引渡時点又は検収時点で支配が顧客に移転すると判断していることから、製品等の引渡日又は検収日に収益を認識しています。製品等の販売による収益は、契約において約束した対価からリベート及び値引きを控除した金額で測定しています。
工事契約、役務の提供に係る収益は、顧客からの受注に基づく製品の製造と、それに伴う製品のメンテナンス等によるものであり、顧客との契約に基づいて財又はサービスを提供する履行義務を負っています。工事契約、役務の提供については、財又はサービスに対する支配を一定期間にわたり移転するため、履行義務の完全な充足に向けて合理的に進捗度を測定することにより収益を認識しています。進捗度の測定は、顧客に移転することを約束した財又はサービスの性質を考慮しています。航空宇宙システム事業、エネルギーソリューション&マリン事業等における工事契約等、発生した原価が履行義務の充足における進捗度に比例する場合は、現時点の累計発生原価の取引全体の見積総原価の割合などに基づくインプット法で進捗度を測定しています。エネルギーソリューション&マリン事業等におけるメンテナンス契約等、一定の期間に亘って提供するサービスに対して固定額を請求する契約や、航空宇宙システム事業における民間航空エンジンのメンテナンス契約や車両事業における鉄道車両の製造等、履行が完了した部分に対する顧客にとっての価値に直接対応する対価の額を顧客から受け取る権利を有する契約の場合、経過した期間の契約期間全体に占める割合や現時点までの履行済みの義務が履行義務全体に占める割合などに基づくアウトプット法に基づいて進捗度を測定しています。なお、進捗度を合理的に見積ることができないが、発生するコストを回収すると見込んでいる場合は、発生したコストの範囲で収益を認識しています。
これらの履行義務に対する対価は、履行義務の充足時点から通常1年以内に受領しています。なお、対価に重要な金融要素は含まれていません。
当社グループでは、製品が契約に定められた仕様を満たしていることに関する保証を提供していますが、当該製品保証は別個のサービスを提供するものではないことから、独立した履行義務として区別していません。
リベート及び事後的な値引きなど、対価の変動を含む取引契約については、その不確実性が解消される際に重要な売上収益の戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲で当該変動価格を見積り、取引価格を決定しています。
また、顧客との契約の履行のためのコストのうち、回収が見込まれる金額を資産計上しています。当該資産は、関連するサービスが顧客へ移転するパターンに応じて償却を行っています。
金融収益及び金融費用は、受取利息、支払利息、受取配当金、為替差損益、デリバティブ損益(その他の包括利益で認識される損益を除く)等から構成されています。受取利息及び支払利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しています。受取配当金は、当社グループの受領権が確定した日に認識しています。
税金費用は、当期税金費用と繰延税金費用から構成されています。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本又はその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益で認識しています。
当期税金費用は、税務当局に対する納付又は税務当局から還付が予想される金額として測定しています。当該税額の算定は、期末日までに制定又は実質的に制定された税率及び税法に従っています。
繰延税金費用は、期末日における資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務基準額との一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除に基づいて算定しています。
繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。また、期末日ごとに見直し、繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くなくなった部分について減額しています。
繰延税金負債は、原則としてすべての将来加算一時差異について認識しています。ただし、以下の場合は繰延税金負債を認識していません。
・予測可能な将来にその差異が解消されない可能性が高い場合の子会社に対する投資に係る差異
・のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異
繰延税金資産及び負債は、期末日に施行又は実質的に施行される法律に基づいて一時差異が解消される時に適用されると予測される税率を用いて測定しています。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産・負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合又は異なる納税主体に課されているものの、これらの納税主体が当期税金資産・負債を純額ベースで決済することを意図している場合、もしくはこれらの税金資産及び負債が同時に実現する予定である場合に相殺しています。
法人所得税の不確実な税務ポジションについて、税法上の解釈に基づき税務ポジションが発生する可能性が高い場合には、合理的な見積額を資産又は負債として認識しています。
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を控除した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しています。
希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在的普通株式の影響を調整して計算しています。
4.事業セグメント
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。当社グループは、製品別を基本とするカンパニー制を採用しており、各カンパニーは、委譲された権限の下、国内及び海外における事業活動を展開しています。従って、当社グループは当該カンパニーを基礎とした製品別を基本とするカンパニー別のセグメントから構成されており、「航空宇宙システム」、「車両」、「エネルギーソリューション&マリン」、「精密機械・ロボット」、「パワースポーツ&エンジン」、「その他」の6つを報告セグメントとしています。
各報告セグメントの主な事業内容は、以下のとおりです。
報告セグメントの会計方針は、注記3.「重要性がある会計方針」で記載している当社グループの会計方針と概ね同一です。
当社グループの報告セグメントに関する情報は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1.セグメント間の内部売上収益又は振替高は、通常の市場価格等にて計上しています。
2.セグメント利益又は損失(事業利益又は事業損失)の調整額△16,256百万円には、セグメント間取引消去△838百万円、セグメントに帰属しない一般管理費等△15,418百万円を含めています。
3.セグメント利益又は損失(事業利益又は事業損失)は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費、持分法による投資損益、その他の収益及びその他の費用を控除しています。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1.セグメント間の内部売上収益又は振替高は、通常の市場価格等にて計上しています。
2.セグメント利益又は損失(事業利益又は事業損失)の調整額△21,723百万円には、セグメント間取引消去△1,753百万円、セグメントに帰属しない一般管理費等△19,970百万円を含めています。
3.セグメント利益又は損失(事業利益又は事業損失)は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費、持分法による投資損益、その他の収益及びその他の費用を控除しています。
製品及びサービスの区分が報告セグメント区分と同一であるため、記載を省略しています。
当社グループの地域別収益は顧客の地理的分布に基づいており、その内訳は注記24.「収益」に記載のとおりです。
当社グループの所在地域別に分析した非流動資産(金融資産、繰延税金資産及び退職給付に係る資産等を除く)の帳簿価額の内訳は、以下のとおりです。
連結売上収益の10%以上を占める顧客の売上収益は、以下のとおりです。
5.子会社及び非支配持分の取得
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
重要な企業結合はありません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
重要な企業結合はありません。
6.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は、以下のとおりです。
現金及び現金同等物は、いずれも償却原価で測定する金融資産に分類しています。
なお、連結財政状態計算書上の残高と連結キャッシュ・フロー計算書上の残高は一致しています。
7.営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は、以下のとおりです。
営業債権及びその他の債権は、その他に含まれるリース債権を除き、いずれも償却原価で測定する金融資産に分類しています。
上記のうち、12ヶ月を超えて回収される営業債権及びその他の債権は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ46,031百万円、66,387百万円です。
8.棚卸資産
棚卸資産の内訳は、以下のとおりです。
費用として認識した棚卸資産の評価減(△は評価減の戻入)の金額は連結損益計算書の売上原価に含めており、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ3,180百万円、203百万円です。
上記のうち、12ヶ月を超えて払出・売却される棚卸資産は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、金額的に重要なものはありません。
9.有形固定資産
有形固定資産の帳簿価額の増減、取得原価並びに減価償却累計額及び減損損失累計額は、以下のとおりです。
帳簿価額
取得原価
減価償却累計額及び減損損失累計額
(注) 1.減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含めています。
2.減損損失は、連結損益計算書の「売上原価」に含めています。
3.減損損失の内容は、注記11.「非金融資産の減損」に記載しています。
10.無形資産
無形資産の帳簿価額の増減、取得原価並びに償却累計額及び減損損失累計額は、以下のとおりです。
帳簿価額
取得原価
償却累計額及び減損損失累計額
(注) 1.償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含めています。
2.減損損失は、連結損益計算書の「売上原価」に含めています。
3.減損損失の内容は、注記11.「非金融資産の減損」に記載しています。
11.非金融資産の減損
当社グループは、以下の資産グループについて減損損失を計上しており、連結損益計算書の「売上原価」に計上しています。
当社グループは、ビジネス・ユニットをもとに、概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生み出す最小の単位である資金生成単位にグルーピングしています。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
前連結会計年度は、その他事業の一部であるPCR検査事業で使用する自動PCR検査ロボットシステムについて、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更等によるPCR検査需要の大幅な減少により今後の使用が見込まれないため回収可能価額まで減額しました。また、航空宇宙システム事業においては、当社が参画している一部の民間航空エンジンプログラムについて、ウクライナ情勢の長期化の影響により、当該プログラムに係る資産を回収可能価額まで減額しました。エネルギーソリューション&マリン事業においては、坂出工場に係る資産について、現在の市場環境を前提に収益性が低下したことに伴うものです。なお、その他事業の資産の回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値により算定し、航空宇宙システム及びエネルギーソリューション&マリンの資産の回収可能価額は使用価値により算定し、それらの価値は主にゼロとしています。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
現在の市場環境を前提に収益性が低下したことに伴い、当社エネルギーソリューション&マリンカンパニーの坂出工場に係る資産について567百万円、当社パワースポーツ&エンジンセグメントの子会社に係る資産について440百万円減損損失を計上したものです。
12.リース
当社グループは、オフィスや倉庫として土地と建物を賃借しています。典型的なオフィスの賃貸借契約の期間は10~20年であり、契約期間終了後に一定期間の賃貸借契約を延長するオプションが含まれている契約があります。
当社グループは、一部の賃貸不動産をオペレーティング・リース又はファイナンス・リースによりサブリースしています。
オフィス等の賃貸借契約には、解約不能期間終了の1年前まで当社グループが行使可能な延長オプションが付されているものがあります。オフィス等の賃貸借契約は借地借家法の適用対象であり、契約満了時に賃貸人が契約更新を拒否する正当な事由がない限り、当社グループは契約を更新することが可能です。契約更新の権利は当社グループだけが行使可能であり、貸手は行使できません。当社グループは、リース開始日に、契約更新の権利を行使することが合理的に確実であるか否かを評価します。当社グループは、当社グループがコントロールできる範囲内にある重大な事象の発生又は重大な状況の変化があった時に、当該オプションを行使することが合理的に確実であるか否かを見直します。
また、当社グループは、オフィス等以外に主に機械装置をリースしており、機械装置リース期間は5~10年です。この中には、契約期間終了時に当社グループが当該資産を購入できるオプションを有しているリースや、当社グループが契約期間終了時のリース資産の残存価値を保証しているリースがあります。
当社グループは、これらの機械装置の使用状況をモニタリングし、報告日時点で残価保証に基づいて支払うと見込まれる金額を再評価することを通じて、使用権資産とリース負債を再測定しています。
その他IT機器等のリースの中には短期リース及び(又は)少額資産のリースが含まれており、そのようなリースについては使用権資産とリース負債を認識していません。
(1)使用権資産
前連結会計年度末及び当連結会計年度末における使用権資産の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度及び当連結会計年度における使用権資産の減価償却費及び増加額は、以下のとおりです。
(2)リース負債
前連結会計年度末及び当連結会計年度末におけるリース負債の満期分析は、注記21.「金融商品」に記載のとおりです。
(3)純損益に認識された金額
使用権資産のサブリースから生じる賃貸収益、及びリース負債の測定に含めていない変動リース料に係る費用に重要性はありません。
(4)リースに係るキャッシュ・アウト・フロー
(5)セール・アンド・リースバック
セール・アンド・リースバックに関する情報は重要性が無いため記載を省略しています。
当社グループが貸手となるリースの情報は重要性が無いため記載を省略しています。
13.その他の金融資産
その他の金融資産の内訳は、以下のとおりです。
(注) 1.デリバティブ資産には、ヘッジ手段として指定したものが含まれており、その公正価値変動のうち有効なヘッジと判定される部分は、その他の包括利益として認識しています。
2.一部の海外LNGタンク建設工事においては、海外下請工事会社の契約不履行等の契約違反により当社は損害(約510億円)を被りました。本事案については、ICC(The International Chamber of Commerce)へ仲裁申立を行っています。なお、本事案は今後仲裁を通じて解決を図っていく予定であり、契約上の権利に基づく金融資産を「その他」に計上しています。
事業上の関係を有しており、長期間保有する株式をその他の包括利益を通じて公正価値で測定するものと指定しています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の主な銘柄及び公正価値は、以下のとおりです。
当社は、主に保有資産の効率化及び有効活用を図るため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の一部を売却することにより、認識を中止しています。期中に売却したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値、累積利得又は損失(△)は、以下のとおりです。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の認識を中止した場合、その他の包括利益として認識されていた累積利得又は損失をその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。期中に累積利得又は損失(税引後)をその他の資本の構成要素から利益剰余金へ振り替えた金額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ△43百万円、△2,130百万円です。
14.繰延税金及び法人所得税
繰延税金資産及び繰延税金資産の発生の主な原因別内訳は、以下のとおりです。
なお、「2.作成の基礎 (5) 会計方針の変更」に記載のとおり、改訂IAS第12号を遡及的に適用し、前年度を修正再表示しています。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 純損益を通じて認識された額の合計と繰延税金費用との差額は、為替の変動によるものです。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 純損益を通じて認識された額の合計と繰延税金費用との差額は、為替の変動によるものです。
当社グループは、繰延税金資産の認識に当たり、繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異の一部又は全部が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しています。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予定される繰延税金負債の取崩し、予測される将来課税所得及びタックス・プランニングを考慮しています。当社グループは、過去の課税所得水準及び繰延税金資産が控除可能な期間における将来課税所得の予測に基づき、前連結会計年度末及び当連結会計年度末における繰延税金資産は、回収される可能性が高いものと考えていますが、当社グループを取り巻く市場の動向や為替変動などの経済情勢により、将来課税所得の予測の不確実性は増大します。
なお、前連結会計年度末及び当連結会計年度末の繰延税金資産のうち、それぞれの前連結会計年度又は当連結会計年度に損失が生じている納税主体に帰属しているものは、それぞれ11,777百万円、105,585百万円です。
当社グループは子会社の投資に係る将来加算一時差異については、報告期間末において配当することが予定されている未分配利益に係るものを除き、繰延税金負債を認識していません。これは、当社グループが一時差異の取崩しの時期をコントロールする立場にあり、このような差異を予測可能な期間内に取崩さないことが確実であるためです。前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、繰延税金負債を認識していない子会社の投資に係る将来加算一時差異はそれぞれ238,290百万円及び319,032百万円です。
法人所得税費用の内訳は、以下のとおりです。
繰延税金費用には、従前は税効果未認識であった税務上の欠損金、税額控除又は過去の期間の一時差異から生じた便益の額と、繰延税金資産の評価減又は以前に計上した評価減の戻入により生じた費用の額を含めています。前連結会計年度及び当連結会計年度において、これに伴う繰延税金費用の増減額はそれぞれ1,248百万円(減少額)、504百万円(減少額)です。
当期税金費用には、従前は税効果未認識であった税務上の欠損金、税額控除又は過去の期間の一時差異から生じた便益の額を含めています。前連結会計年度及び当連結会計年度において、これに伴う当期税金費用の減少額はいずれも軽微です。
法定実効税率と実際負担税率との差異について、原因となった主要な項目の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、当社グループは、主に法人税、住民税及び事業税を課されており、これらを基礎として計算した法定実効税率はいずれも30.5%となっています。ただし、在外子会社についてはその所在地における法人税等が課されています。
15.営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は、以下のとおりです。
営業債務及びその他の債務は、いずれも償却原価で測定する金融負債に分類しています。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、支払手形及び買掛金のうち担保を供している金額、及び担保に供している資産(その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産等)に重要性はありません。
16.社債、借入金及びその他の金融負債
社債、借入金及びその他の金融負債の内訳は、以下のとおりです。
当連結会計年度末における短期借入金及び長期借入金の平均利率は、それぞれ3.613%及び0.781%です。
長期借入金の返済期限は、2024年~2033年です。
社債の契約条項及び返済スケジュールは、以下のとおりです。
当社グループでは、営業取引から生じた債権の一部を譲渡していますが、そのうち債務者が支払いを行わない場合に当社グループに遡及的な支払義務が生じるような流動化資産については、認識の中止の要件を満たさないことから、認識の中止は行っていません。また、契約資産についても譲渡していますが、同様に認識の中止の要件を満たさないことから、認識の中止を行っていません。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、このような譲渡資産を連結財政状態計算書の「営業債権及びその他の債権」にそれぞれ60,616百万円及び83,118百万円、「契約資産」にそれぞれ104,949百万円及び85,152百万円計上しています。また、当該資産の譲渡時に生じた入金額を、関連する負債として「社債、借入金及びその他の金融負債」にそれぞれ同額計上しています。譲渡資産及び関連する負債の帳簿価額は概ね公正価値に近似しています。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
17.従業員給付
当社グループは確定給付型の制度として、退職一時金制度、確定給付企業年金制度及びキャッシュバランスプラン(市場金利連動型年金)を設けているほか、確定拠出型の制度として、確定拠出年金制度を設けています。また、当社においては、退職給付信託が設定されています。
退職一時金制度は、退職者に対し一時金を支給するもので、当社及び一部の子会社が直接退職者へ支払義務を負っています。
確定給付企業年金制度及びキャッシュバランスプラン(市場金利連動型年金)は、会社が委託金融機関に定期的に掛金を拠出することで積立を行っており、受給資格を有する従業員の退職後に、当該積立金から委託金融機関が一時金又は年金を給付します。
確定拠出年金制度は、加入を選択する従業員及び当該従業員の雇用者である会社が、加入期間にわたり掛金を拠出し、加入者自らが積立金の運用を行う制度であり、給付は委託機関が行います。
これらの退職給付制度により、当社グループは数理計算上のリスク(金利リスク、市場リスク等)に晒されています。
確定給付制度債務及び制度資産と連結財政状態計算書に計上した確定給付負債及び資産の純額との関係は、以下のとおりです。
(注) 退職給付に係る資産は、連結財政状態計算書の「その他の非流動資産」に含めています。
確定給付制度債務の現在価値の増減は、以下のとおりです。
(注) 当期勤務費用、利息費用、過去勤務費用は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含めています。
確定給付制度債務の当社の加重平均デュレーションは、前連結会計年度末、当連結会計年度末において、それぞれ14.9年、14.3年です。
制度資産の公正価値の増減は、以下のとおりです。
当社グループは、翌連結会計年度において確定給付制度に対し2,897百万円の掛金を拠出する予定です。
当社グループにおける制度資産の運用は、許容されるリスクの範囲内で、必要とされる総合収益を中長期的に確保することにより、年金給付及び一時金給付の支払を将来にわたり確実に行うために十分な資産を確保することを目的として行っています。
主な運用の目標は、将来にわたって健全な年金財政を維持するに足るだけの収益率を確保することとし、定期的に制度資産の運用状況を専門委員会において客観的に再確認しています。個別資産については、運用科目ごとに市場における収益率を上回る成果を上げるよう努めています。また、資産全体については、少なくとも運用科目ごとの市場における収益率を資産構成比に応じて組み合わせた収益率を上回ることを運用の目標としています。
運用の目標を達成するため、各運用対象資産の期待運用収益率の予測、標準偏差(リスク)及び相関関係を考慮した上で、将来にわたる最適な資産の組み合わせである政策的資産構成割合(以下「政策アセットミックス」という。)を定め、これを維持するよう努めています。この政策アセットミックスは原則として3年ごとに見直しを行っていますが、基金を取り巻く環境に著しい変化があった場合等、必要に応じて見直しを行うこととしています。
重要な数理計算上の仮定として、当社における数理計算に使用している割引率を記載しています。
期末日時点で重要な数理計算上の仮定が0.5%変動した場合の確定給付制度債務の増加額及び減少額(△)は以下のとおりです。当該分析は、他のすべての変数が一定であると仮定しています。当該分析は前連結会計年度と同一の基礎に基づいて実施しています。なお、マイナスは負債の減少を表し、プラスは負債の増加を表しています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、確定拠出制度に係る年金費用は、それぞれ2,727百万円、3,394百万円です。
前連結会計年度及び当連結会計年度において計上した従業員給付費用の総額は、それぞれ294,868百万円、299,711百万円です。
18.引当金
引当金の増減は、以下のとおりです。
保証工事費用の支出に備えるため、過去の実績又は個別の見積りに基づき計上しています。主に発生から1年以内の支出が見込まれます。
当連結会計年度末の未引渡工事のうち、大幅な損失が発生すると見込まれ、かつ、当連結会計年度末時点で当該損失額を合理的に見積ることが可能な工事について、翌連結会計年度以降の損失見積額を計上しています。支出の時期は将来の工事の進捗等に影響を受けます。
その他には資産除去債務や環境対策引当金、制裁金に係る引当金などが含まれています。
19.払込資本及びその他の資本
当社グループは、持続的な企業価値の向上及び財務基盤の強化のために、資本コストを上回る利益を将来に亘って安定的に創出していくことを経営の基本方針としています。
そのため、長期的な株主価値向上のための先進的な研究開発と革新的な設備投資を継続的に行うことと、配当による株主還元を、財務の健全性を維持しつつバランスよく実施していくことが重要だと考えています。
上記を踏まえ、当社グループは税後ROIC及びネットD/Eレシオを重要なモニタリング対象としています。
なお、当社グループが適用を受ける重要な資本規制はありません。
授権株式数及び発行済株式数の増減は、以下のとおりです。
すべての普通株式は無額面であり、すべての発行済株式は全額払込済です。
なお、上記の自己株式数には、業績連動型株式報酬制度により設定された取締役等を受益者とする信託が保有する株式が、前連結会計年度末、当連結会計年度末において、それぞれ398千株、376千株含まれています。
日本における会社法(以下、会社法)では、株式の発行に対して払込み又は給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本剰余金に含まれている資本準備金に組み入れることが規定されています。また、会社法では、資本準備金は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
会社法では、剰余金の配当として支出する金額の10分の1を、資本剰余金に含まれている資本準備金及び利益剰余金に含まれている利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで資本準備金又は利益準備金として積み立てることが規定されています。また、株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができます。
個々の確定給付制度について認識した数理計算上の差異から構成されています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の純変動額の累積額が含まれます。
未発生のヘッジ取引に関連するキャッシュ・フロー・ヘッジ手段の公正価値の純変動額の累積額のうち、ヘッジが有効な部分から構成されています。
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じた為替換算差額から構成されています。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注)2022年6月24日定時株主総会の決議による配当金の総額には、業績連動型株式報酬制度の導入により設定された取締役等を受益者とする信託が保有する株式に対する配当金8百万円が含まれています。
2022年11月10日取締役会の決議による配当金の総額には、業績連動型株式報酬制度の導入により設定された取締役等を受益者とする信託が保有する株式に対する配当金11百万円が含まれています。
(注)2023年6月28日定時株主総会の決議による配当金の総額には、業績連動型株式報酬制度の導入により設定された取締役等を受益者とする信託が保有する株式に対する配当金23百万円が含まれています。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注)2023年6月28日定時株主総会の決議による配当金の総額には、業績連動型株式報酬制度の導入により設定された取締役等を受益者とする信託が保有する株式に対する配当金23百万円が含まれています。
2023年11月8日取締役会の決議による配当金の総額には、業績連動型株式報酬制度の導入により設定された取締役等を受益者とする信託が保有する株式に対する配当金7百万円が含まれています。
(注)2024年6月26日定時株主総会の決議による配当金の総額には、業績連動型株式報酬制度の導入により設定された取締役等を受益者とする信託が保有する株式に対する配当金11百万円が含まれています。
20.その他の包括利益
その他の包括利益の増減は、以下のとおりです。
21.金融商品
当社グループは、金融商品に係る以下のリスクを負っています。
・信用リスク((2)参照)
・流動性リスク((3)参照)
・市場リスク((4)参照)
当社グループの営業債権及びその他の債権、契約資産、その他の金融資産については、顧客等の信用リスクに晒されています。これらの信用リスクに対し、当社グループでは、各事業における営業管理部門が主要な取引先の状況を定期的にモニタリングし、取引相手ごとに期日及び残高を管理するとともに、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っています。また、デリバティブ取引の利用に当たっては、カウンターパーティーの信用リスクを軽減するために格付の高い金融機関とのみ取引を行っているため、当該取引に係る信用リスクは限定的と考えています。なお、特定の取引先について、重要な信用リスクのエクスポージャーはなく、特段の管理を有する信用リスクの過度の集中はありません。また、金融資産の信用リスクに係る最大エクスポージャーは、連結財政状態計算書に表示されている金融資産の減損後の帳簿価額です。
営業債権、契約資産及びリース債権については、常に全期間の予想信用損失と同額で貸倒引当金を測定しています(単純化したアプローチ)。営業債権、契約資産及びリース債権以外の債権等については、原則として12ヶ月の予想信用損失と同額で貸倒引当金を測定していますが、信用リスクの著しい増加がある場合は、全期間の予想信用損失と同額で貸倒引当金を測定しています(原則的アプローチ)。当初認識以降の信用リスクの著しい増大の有無は、期末日ごとに、期日経過の情報などの入手可能で合理的かつ裏付け可能な情報を考慮して判断し、契約で定められた支払期限を30日超過した場合には、金融資産の信用リスクが当初認識時より著しく増大しているとしています。
また、当社グループは、当社グループが担保権の実行などを行わなければ、金融資産の全体又は一部を回収することができない、又は回収が極めて困難であると判断した場合に金融資産が債務不履行になっていると考えます。いずれの金融資産についても、発行者又は債務者の重大な財政的困難、契約違反(債務不履行又は期日経過事象など)、借手が破産又は他の財務上の再編を行う可能性が高くなった場合には、信用減損金融資産として取り扱っています。これらの判断には、過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報を考慮しており、当該情報に基づいて反証可能である場合には、信用リスクの著しい増大は生じていないものと判断しています。また、将来の回収が合理的に見込めない場合には、直接償却しています。
(i)貸倒引当金の対象となる資産の残高の総額
貸倒引当金の対象となる資産の残高の総額は、以下のとおりです。
(ⅱ)債務保証
当社グループは、持分法適用会社、顧客や従業員の金融機関との取引及びリース会社との取引に対して、以下のとおり保証を行っています。
貸倒引当金の金額は、以下のように算定しています。
・営業債権、契約資産及びリース債権
多数の取引先より構成されているため、債権等を取引先の信用リスク特性に応じて区分した上で、過去の貸倒実績に将来の経済状況等の予測を加味して予想信用損失を測定しています。
・営業債権、契約資産及びリース債権以外の債権等
信用リスクが著しくは増大していない資産については、過去の貸倒実績率に基づく引当率を総額での帳簿価額に乗じて予想信用損失を測定しています。
信用リスクが著しく増大している資産及び信用減損金融資産については、当該資産に係る取引先の財務状況等を考慮して個別に算定した回収可能価額と、総額での帳簿価額との差額をもって予想信用損失を測定しています。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 全期間の予想信用損失に等しい金額で測定すべき資産は僅少なため、12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定すべき資産と合わせて開示しています。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 全期間の予想信用損失に等しい金額で測定すべき資産は僅少なため、12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定すべき資産と合わせて開示しています。
なお、いずれの資産についても、前連結会計年度及び当連結会計年度において、貸倒引当金の変動に影響を与えるような総額での帳簿価額の著しい増減はありません。
また、担保として保有する物件及びその他の信用補完をする重要なものはありません。
流動性リスクとは、当社グループが現金又はその他の金融資産により決済する金融負債に関連する債務を履行する際に、困難に直面するリスクのことです。
当社グループは、期限の到来した金融負債の返済義務を履行するに当たり、支払期日にその支払を履行できなくなる流動性リスクに晒されています。そのため、当社グループでは、グループ各社が適時に資金計画を作成・更新し、金融負債返済のための資金を適切に確保することで、流動性リスクを管理しています。
また、キャッシュ・マネジメント・システムにより当社グループ各社間で資金融通を行うほか、資金調達手段の多様化、資金調達環境を考慮した長短のバランスの調整、コミットメントラインの確保などにより、機動的な資金調達能力を維持しています。
金融負債の期日別内訳は、以下のとおりです。
(ⅰ)前連結会計年度(2023年3月31日)
(ⅱ)当連結会計年度(2024年3月31日)
当社グループは運転資金の安定的かつ効率的な調達等を行うため、複数の金融機関と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しています。これらの契約に基づく借入未実行残高等は以下のとおりです。
当社グループは、グローバルに事業を展開していることから、外貨建ての債権債務に係る為替リスクに晒されています。当社及び一部の連結子会社は、外貨建ての営業債権債務について、通貨別月別に把握された為替の変動リスクに対して、主に先物為替予約を利用してヘッジしています。なお、為替の状況により、原則として、輸出に係る予定取引により確実に発生すると見込まれる外貨建ての営業債権から外貨建ての営業債務をネットしたポジションについて先物為替予約を行っています。
当社グループの為替リスクに対するエクスポージャーは、以下のとおりです。
(単位:百万円)
各期末日において、日本円が米ドル、ユーロに対して1%円高になった場合の税引前利益に与える影響は以下のとおりです。本分析においては、その他すべての変数は一定であることを前提としています。
金利リスクの内容及び管理方針
当社グループは、変動金利による借入を行っていることから、金利の変動リスクに晒されています。当社及び一部の連結子会社は、長期借入の一部について、支払金利の変動リスクヘッジとして支払利息を固定化する金利スワップ取引を利用しています。
外貨建営業取引に係る為替変動及び借入金に係る金利変動に伴うキャッシュ・フロー変動リスクをヘッジするために為替予約取引及び金利スワップを利用し、これをキャッシュ・フロー・ヘッジに指定しています。なお、ヘッジ会計に関するヘッジ手段とヘッジ対象、ヘッジ方針、ヘッジの有効性の評価方法等については、注記3.「重要性がある会計方針(3)金融商品④ デリバティブ取引及びヘッジ会計」に記載しています。
(ⅰ) 前連結会計年度末(2023年3月31日)
(ⅱ) 当連結会計年度末(2024年3月31日)
デリバティブ資産又はデリバティブ負債は、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」又は「社債、借入金及びその他の金融負債」にそれぞれ含めています。
キャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金の残高は、以下のとおりです。
純損益に認識したヘッジの非有効部分の金額に重要性はないため、ヘッジ非有効部分を認識する基礎として用いたヘッジ対象の公正価値の変動の記載は省略しています。
(i) 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(ⅱ) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
純損益に認識したヘッジの非有効部分の金額に重要性はないため、純損益に認識したヘッジの非有効部分に関する記載は省略しています。
それぞれのレベルは、以下のように定義付けられています。
レベル1:同一の資産又は負債の活発な市場における(無調整の)相場価格により測定した公正価値
レベル2:レベル1のインプット以外の直接又は間接的に観察可能なインプットを用いて測定した公正価値
レベル3:重要な観察できないインプットを使用して測定した公正価値
公正価値の算定に重要な影響を与えるインプットを複数使用している場合には、それらのインプットがそれぞれ属するレベルのうち、公正価値の算定における優先順位が最も低いレベルに公正価値を分類しています。
金融資産及び金融負債の公正価値の算定方法は以下のとおりです。
短期間で決済されるため、公正価値は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっています。
為替予約は報告期間の末日の先物為替相場に基づき算定しています。また、金利スワップは、報告期間の末日における金利を基に将来予測されるキャッシュ・フローを現在価値に割り引いて算定しています。
活発な市場のある株式等の公正価値は、市場価格に基づいて算定しています。活発な市場のない株式等の公正価値は、原則として、類似会社の市場価格に基づく評価技法等を用いて算定しています。
元利金の合計額を、同様の新規借入を行った場合に想定される利率で割り引いて算定しています。
市場価格に基づいて算定しています。
公正価値で測定される金融商品を評価方法ごとに分析した表は、以下のとおりです。公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替の有無は、報告期間の末日ごとに判断しています。前連結会計年度及び当連結会計年度において、公正価値レベル1とレベル2の間の重要な振替は行われていません。また、公正価値で測定する金融資産は、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」の流動・非流動に区分して計上しています。同様に、公正価値で測定する金融負債は、「社債、借入金及びその他の金融負債」の流動・非流動に区分して計上しています。
(i)前連結会計年度(2023年3月31日)
(ⅱ)当連結会計年度(2024年3月31日)
(a) 評価技法及び重要な観察可能でないインプット
レベル3に分類される活発な市場のない株式等の公正価値については、類似会社の市場価格に基づく評価技法等を用いて算定しています。公正価値の算定に用いる重要な観察可能でないインプットは、株価純資産倍率(0.5倍~2.4倍)及び非流動性ディスカウント(30%)です。公正価値の見積りは、株価純資産倍率の増加(減少)により増加(減少)し、非流動性ディスカウントの増加(減少)により減少(増加)します。
なお、レベル3に分類される金融商品について、観察可能でないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合の公正価値の増減は重要ではありません。
(b) 評価プロセス
レベル3の金融商品に係る公正価値の測定は、関連する社内規程に従い実施しており、測定結果については部門管理者の承認を受けています。
(c) レベル3に分類される金融商品の期首残高と期末残高の調整表
(注) 1. 連結包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」に含まれています。なお、すべてその他の包括利益に認識したもので、純損益に認識したものはありません。
2. 連結損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に含まれています。
3. 投資先を連結子会社化及び持分法適用会社化したことによる振替です。
公正価値で測定されない金融資産及び金融負債の公正価値及び帳簿価額は、以下のとおりです。
(注) 上記以外の償却原価で測定する金融資産及び金融負債の公正価値は、帳簿価額と近似しています。なお、上記の償却原価で測定する金融負債の公正価値ヒエラルキーは、借入金はレベル3、社債はレベル2に分類しています。
22.連結
当連結会計年度末の主要な子会社の状況は、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりです。
当連結会計年度末までに、主要な子会社及び議決権の所有割合に重要な変動はありません。
当社グループには、重要性のある非支配持分が存在する子会社はありません。
該当事項はありません。
23.持分法で会計処理されている投資
当社グループには、重要性のある関連会社はありません。
当社グループには、重要性のある共同支配企業はありません。
前連結会計年度及び当連結会計年度における持分法で会計処理している関連会社の持分の帳簿価額は、それぞれ38,765百万円、47,907百万円です。
また、前連結会計年度及び当連結会計年度における持分法で会計処理している共同支配企業の持分の帳簿価額は、それぞれ38,675百万円、43,047百万円です。
該当事項はありません。
当社グループは、一部の関連会社及び共同支配企業の金融機関借入金に対して、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ14,036百万円、9,974百万円の債務保証を行っています。
24.収益
当社グループは、注記4.「事業セグメント」に記載の6つの事業を基本として構成しています。その上で、顧客との契約から生じる収益についての理解のため、一部(「航空宇宙システム」、「エネルギーソリューション&マリン」、「精密機械・ロボット」)を、更に製品の種類に基づき区分した形で収益を分解しています。製品の種類別の内訳及び地域別の内訳と報告セグメントとの関連は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
② 地域別の内訳
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
③ 返金負債
当社が、民間航空エンジンの国際共同事業体であるInternational Aero Engines, LLC(以下、「IAE社」という。)を通じて参画しているPW1100G-JMエンジンプログラム(以下、「同プログラム」という。)は、運航上重要な問題が発生したため、現在、IAE社とともに状況改善に向けて対応を進めています。当社は同プログラム参画メンバーとして発生する損失の一部を負担することとなるため、耐空性改善命令により発生する損失の一部負担分として59,611百万円を連結財政状態計算書の「返金負債」へ計上するとともに、60,047百万円を連結損益計算書の「売上収益」から減額しています。
当社グループの各セグメントにおける主な収益計上方法は以下のとおりです。
・「航空宇宙システム」、「車両」、「エネルギーソリューション&マリン」
これらセグメントにおいては、民間航空機向け分担製造品や民間航空エンジン分担製造品などの製品の販売のほか、鉄道車両の製造や各種プラントの建設などの工事契約の実施及びそれらのメンテナンス契約などの役務の提供を行っています。製品の販売については、主に一時点で充足される履行義務のため、原則として物品の引渡日又は検収日に収益を認識しています。工事契約の実施及び役務の提供については、一定の期間にわたり充足される履行義務のため、合理的に進捗度を測定し収益を認識しています。進捗度の測定は、主として発生したコストに基づいたインプット法により行っていますが、メンテナンス契約等の役務の提供や、鉄道車両の製造等の一部の工事契約については、アウトプット法により行っています。
「航空宇宙システム」では、当社が参画している民間航空エンジンプログラムに関連して負担する費用の一部について、顧客に支払われる対価として、当該金額を見積もって売上収益から減額しています。また、民間航空エンジンプログラムに関して当社が参画割合に応じて負担する一種の値引きについて、収益認識時に当該値引きの金額を変動対価として見積もって売上収益から減額しています。
・「精密機械・ロボット」、「パワースポーツ&エンジン」、「その他」
これらセグメントにおける建設機械市場向け油圧機器や各種ロボット、二輪車及び四輪車などの製品の販売については、主に一時点で充足される履行義務のため、原則として物品の引渡日又は検収日に収益を認識しています。
顧客との契約から生じた債権、契約資産及び契約負債の内訳は以下のとおりです。
顧客との契約から生じた債権は、連結財政状態計算書上の「営業債権及びその他の債権」に含まれています。
契約資産は、主として一定の期間にわたり履行義務が充足される契約において、報告期間の末日時点での進捗度に基づいて測定した履行義務の充足分と交換に受け取る対価に対する権利のうち、債権を除いたものです。契約資産は、対価に対する権利が時の経過のみを要求される無条件な状態となった時点で顧客との契約から生じた債権に振り替えられます。契約資産の増減は、主として収益認識(契約資産の増加)と、営業債権への振替(契約資産の減少)により生じたものです。
契約負債は、主として顧客と約束した財又はサービスを顧客に移転する前に前受金として対価の支払いを受けた際に認識しています。その後、当社グループが履行義務を充足した時点で契約負債としての認識を中止し、収益として認識しています。契約負債の増減は、主に前受金の受取り(契約負債の増加)と、収益認識(契約負債の減少)により生じたものです。
認識した収益のうち、期首時点の契約負債残高に含まれていたものの金額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ179,729百万円、225,223百万円です。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、過去の期間に充足していた履行義務から認識した収益の額に重要性はありません。
残存履行義務に配分した取引価格の総額及び収益の認識が見込まれる期間は、以下のとおりです。なお、顧客との契約から生じる対価の中に、取引価格に含まれていない重要な変動対価の額等はありません。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) パワースポーツ&エンジン事業については、主として見込み生産を行っていることから、残存履行義務に配分した取引価格を表示していません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) パワースポーツ&エンジン事業については、主として見込み生産を行っていることから、残存履行義務に配分した取引価格を表示していません。
各報告セグメントの残存履行義務は、当連結会計年度末から起算して以下の期間に収益として認識することを見込んでいます。
・航空宇宙システム:約9割が2年以内、約1割が2年超
・車両:約9割が1年以内、約1割が1年超
・エネルギーソリューション&マリン:約9割が5年以内、約1割が5年超
・精密機械・ロボット:1年以内
・その他:1年以内
当社グループが資産計上している契約履行コストは、民間航空エンジン事業における顧客との契約の履行のためのコストのうち、回収が見込まれる金額を資産計上したものです。当該資産は、連結財政状態計算書上「棚卸資産」に計上し、関連するサービスが顧客へ移転するパターンに応じて償却を行っています。前連結会計年度及び当連結会計年度における、資産計上した契約履行コストに係る償却費は、2,208百万円及び12,867百万円です。
25.その他の資産及び負債
その他の資産の内訳は、以下のとおりです。
その他の負債の内訳は、以下のとおりです。
26.販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費の内訳は、以下のとおりです。
27.その他の収益及び費用
その他の収益の内訳は、以下のとおりです。
その他の費用の内訳は、以下のとおりです。
28.金融収益及び金融費用
金融収益の内訳は、以下のとおりです。
金融費用の内訳は、以下のとおりです。
29.政府補助金
当社グループが受領した政府補助金は、主に研究開発活動に係るものです。
前連結会計年度及び当連結会計年度において受領した政府補助金は、それぞれ8,092百万円、11,591百万円です。なお、当該金額のうち、収益に関する補助金は研究開発費から控除し、資産に関する補助金は取得した資産の取得原価から控除しています。
30.1株当たり当期利益
基本的1株当たり当期利益及び算定上の基礎は、以下のとおりです。
(注)1 希薄化後1株当たり当期利益については、潜在株式が存在しないため記載していません。
2 資本において自己株式として計上されている取締役等を受益者とする信託が保有する当社株式は、1株当たり当期利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めています。(前連結会計年度末:398,600株、当連結会計年度末:376,200株)
31.関連当事者
当社グループとの関連当事者との間の取引及び債権債務の残高は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 総原価を勘案して、当社希望価格を提示し、価格交渉の上、取引条件を決定しています。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 総原価を勘案して、当社希望価格を提示し、価格交渉の上、取引条件を決定しています。
取締役に対する報酬は、以下のとおりです。
32.後発事象
該当事項はありません。