(1)業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は,年度前半には中国をはじめとする新興国経済の景気減速の影響等もあり,輸出が弱含みで推移し,個人消費及び民間設備投資の回復にも遅れがみられたものの,全般的には緩やかな回復が続きました。また,世界経済は,アジア新興国等において弱さが見られたものの,先進国を中心として,緩やかな回復基調にありました。
このような経済環境のもと,当社グループは平成25年4月よりスタートした3か年の中期経営計画「グループ経営方針2013」の最終年度として,同方針に基づいたグループの成長を加速する取組みを進めてきました。
当連結会計年度の受注高及び売上高は,受注高は前期比3.5%減の1兆6,053億円,売上高は5.7%増の1兆5,393億円となりました。
損益面では,営業利益は,「航空・宇宙・防衛」セグメントにおいて大幅な増益になったものの,当社が受注し,引渡し前の一部のボイラ工事案件において,設計指示と異なる溶接材料を使用したこと(以下,「溶接不適合」という。)によって必要となった当該溶接部位の補修費用の計上や,昨年来,工事採算の悪化が続いているF-LNG・海洋構造物事業での費用増加及びトルコ イズミット湾横断橋建設工事の工程キャッチアップ費用を計上した影響により,前期比65.1%減の220億円となりました。経常利益は,為替差損益の悪化の影響もあり,前期比82.8%減の97億円となりました。また,親会社株主に帰属する当期純利益については,江東区豊洲所在の土地等の売却などによる固定資産売却益や,退職給付信託の設定益を特別利益として計上しましたが,前述のボイラ溶接部位の補修に伴って発生した工程遅延や,トルコ イズミット湾横断橋建設工事での足場(キャットウォーク)落下事故に伴って発生した工程遅延などにより,複数の受注工事において,契約上定められている納期遅延に係る費用を請求される可能性を考慮し,その損失見込み額を特別損失として計上したことにより,前期比83.2%減の15億円にとどまりました。
報告セグメント別の概況は次のとおりです。
(単位:億円)
|
報告セグメント |
受注高 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年度比 |
|||||
|
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
前年度比 増減率 (%) |
(26.4~27.3) |
(27.4~28.3) |
増減率(%) |
||||
|
売上高 |
営業 損益 |
売上高 |
営業 損益 |
売上高 |
営業 損益 |
||||
|
資源・ エネルギー・ 環境 |
5,827 |
5,327 |
△8.6 |
4,153 |
240 |
4,524 |
△22 |
8.9 |
- |
|
社会基盤・海洋 |
1,787 |
1,285 |
△28.1 |
1,886 |
△32 |
1,681 |
△489 |
△10.9 |
- |
|
産業システム・ 汎用機械 |
4,150 |
4,218 |
1.6 |
4,117 |
102 |
4,047 |
126 |
△1.7 |
23.8 |
|
航空・宇宙・防衛 |
4,680 |
5,156 |
10.2 |
4,348 |
395 |
5,002 |
584 |
15.0 |
47.7 |
|
報告セグメント 計 |
16,446 |
15,987 |
△2.8 |
14,505 |
706 |
15,255 |
198 |
5.2 |
△71.9 |
|
その他 |
752 |
657 |
△12.6 |
628 |
12 |
698 |
21 |
11.1 |
67.7 |
|
調整額 |
△555 |
△591 |
- |
△575 |
△86 |
△560 |
0 |
- |
- |
|
合計 |
16,643 |
16,053 |
△3.5 |
14,558 |
632 |
15,393 |
220 |
5.7 |
△65.1 |
<資源・エネルギー・環境>
受注高は,ガスプロセスにおいて,米国向けエルバ島天然ガス液化設備の受注があったものの,前期に米国向けコーブポイント天然ガス液化設備の受注があったことの反動により,前期に比べ減少しました。
売上高は,米国向けコーブポイント天然ガス液化設備の工事が進捗しているガスプロセスの増加等により,前期に比べ増収となりました。
営業損益は,ボイラにおいて,溶接不適合により補修が必要となった工事での大幅な採算悪化があったことに加え,ガスプロセスにおいてコスト増加見通しを織り込んだことで,営業赤字となりました。
<社会基盤・海洋>
受注高は,インド向け貨物専用鉄道橋やバングラデシュ向け橋梁建設及び既存橋改修事業等の受注がありましたが,現在受注活動を実質的に停止しているF-LNG・海洋構造物において前期に大型案件の受注があったことの反動などにより,前期に比べ減少しました。
売上高は,トルコ イズミット湾横断橋建設工事の売上高が減少した影響などにより,前期に比べ減収となりました。
営業損益は,F-LNG・海洋構造物における愛知工場の生産混乱や工程・工法の見直しに伴う追加費用の計上のほか,トルコ イズミット湾横断橋建設工事における工程キャッチアップ費用の計上により,大幅な営業赤字となりました。
<産業システム・汎用機械>
受注高は,運搬機械,圧縮機及び小型原動機の増加により,前期に比べ増加となりました。
売上高は,熱・表面処理や圧縮機の増収があったものの,製紙機械及び車両過給機の減収により,前期に比べ減収となりました。
営業利益は,引合費用等,販管費の増加はあったものの,熱・表面処理,圧縮機及び車両過給機の採算改善などにより,前期に比べ増益となりました。
<航空・宇宙・防衛>
受注高は,防衛省向け航空エンジンの増加により,前期に比べ増加しました。
売上高は,為替円安の影響などにより民間向け航空エンジンが増加したことや,防衛機器システムにおいて艦艇用ガスタービンの引渡しがあったことなどにより,前期に比べ増収となりました。
営業利益は,次世代大型機用航空エンジンGE9Xに関わる開発費などの増加があったものの,上述の増収効果及び民間向け航空エンジンの採算改善により,前期に比べ大幅な増益となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下,「資金」という。)の残高は,前連結会計年度末と比較して110億円増加し,1,036億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は953億円(前連結会計年度は635億円の獲得)となりました。主な資金の増加項目は,減価償却費の計上で582億円,前受金の増加で565億円,未払費用の増加で373億円,一方で主な資金の減少項目は,前渡金の増加で129億円,たな卸資産の増加で121億円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用された資金は355億円(前連結会計年度は746億円の使用)となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得による支出528億円,有形及び無形固定資産の売廃却による収入335億円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用された資金は475億円(前連結会計年度は334億円の獲得)となりました。これは主に,長期借入れによる収入508億円,短期借入金の減少389億円,長期借入金の返済による支出335億円,コマーシャル・ペーパーの減少120億円によるものです。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示し,比率は四捨五入表示しています。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと,次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
資源・エネルギー・環境 |
455,373 |
11.0 |
|
社会基盤・海洋 |
183,653 |
△4.8 |
|
産業システム・汎用機械 |
413,682 |
2.6 |
|
航空・宇宙・防衛 |
451,549 |
5.9 |
|
報告セグメント 計 |
1,504,257 |
5.0 |
|
その他 |
65,148 |
18.9 |
|
合計 |
1,569,405 |
5.5 |
(注)1 金額は販売価格によっており,セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には,消費税等は含まれていません。
3 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。
(2)受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと,次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前期比(%) |
期末受注残高 (百万円) |
前期末比(%) |
|
資源・エネルギー・環境 |
532,733 |
△8.6 |
843,469 |
10.9 |
|
社会基盤・海洋 |
128,571 |
△28.1 |
194,306 |
△16.2 |
|
産業システム・汎用機械 |
421,836 |
1.6 |
138,036 |
14.1 |
|
航空・宇宙・防衛 |
515,611 |
10.2 |
541,067 |
5.9 |
|
報告セグメント 計 |
1,598,751 |
△2.8 |
1,716,878 |
5.7 |
|
その他 |
65,748 |
△12.6 |
24,774 |
△20.6 |
|
調整額 |
△59,176 |
- |
- |
- |
|
合計 |
1,605,323 |
△3.5 |
1,741,652 |
5.2 |
(注)1 各セグメントの受注高は,セグメント間の取引を含んでおり,調整額でセグメント間取引の合計額を消去しています。
2 各セグメントの受注残高は,セグメント間の取引については相殺消去しています。
3 消費税等は含まれていません。
4 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと,次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
資源・エネルギー・環境 |
452,476 |
8.9 |
|
社会基盤・海洋 |
168,139 |
△10.9 |
|
産業システム・汎用機械 |
404,767 |
△1.7 |
|
航空・宇宙・防衛 |
500,208 |
15.0 |
|
報告セグメント 計 |
1,525,590 |
5.2 |
|
その他 |
69,853 |
11.1 |
|
調整額 |
△56,055 |
- |
|
合計 |
1,539,388 |
5.7 |
(注)1 各セグメントの売上高は,セグメント間の取引を含んでおり,調整額でセグメント間取引の合計額を消去しています。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
一般財団法人 日本航空機エンジン協会 |
154,261 |
10.6 |
175,853 |
11.4 |
3 販売実績は売上高をもって示します。ただし,消費税等は含まれていません。
4 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。
事業規模の拡大による利益の成長を目指す「グループ経営方針2013」の最終年度である平成27年度は,当初の利益目標に対して,ボイラ工事における溶接不適合に対応するための費用の増加や,F-LNG・海洋構造物事業での採算悪化及びトルコ イズミット湾横断橋建設工事における工程キャッチアップ費用の増加等の影響によって,大幅な未達となりました。
ボイラの溶接不適合に対しては,「全社重要品質不適合対策会議」を設置し,全社的な特別点検を行なうとともに,品質管理体制の強化などの再発防止策を検討,実施しております。F-LNG・海洋構造物事業及びトルコ イズミット湾横断橋建設工事については,安全かつ早期の工事完成を目指すとともに,プロジェクト遂行体制の強化に向けて,全社的な取り組みを最優先で推し進めています。加えて,集中と選択の加速による事業運営リソースの確保やリスク マネジメント システムの再構築などに取り組んでいきます。
ブラジル経済の減速等により,経営状態が悪化していたEASへの出資については,当社の連結子会社であるJEIが保有するEAS出資持分の全てを,EASの株主であるCamargo Corrêa グループ及びQueiroz Galvão グループへ譲渡することで合意し,平成28年4月に譲渡を実行しました。
平成28年5月19日に,当社の連結子会社である㈱IHIインフラシステムが施工しております「新名神高速道路 余野川橋工事他1橋(鋼上部工)工事」において,架設作業中の仮受設備(ベント)が,転倒する事故が発生しました。現在,関係者と協議を行ないながら,事故の原因究明及び再発防止への取り組みを進めています。
平成27年度に顕在化した課題に対する反省を踏まえ,「収益基盤の強化」を掲げた「グループ経営方針2016」の初年度である平成28年度については,ステークホルダーからの「信頼回復」をテーマに,次の諸施策を実施していきます。
①ものづくり力強化を目指した品質システム,業務システムの改革
本年4月に設置した「ものづくりシステム戦略本部」を核に,品質保証システムの再構築に取り組むとともに,設計・生産システムを含むエンジニアリング プロセスの改革,職場における業務プロセス改善による業務の効率化に取り組み,品質を含むものづくり力の強化と品質不適合の再発防止策の徹底を図ります。
②プロジェクト遂行体制の運用徹底による工事利益の確保
工事利益の確保に向けて,新分野の工事のみならず初号機要素の洗い出しを徹底し,審査を確実に実施していきます。また,見積精度の向上やモニタリング体制を継続的に強化していくとともに,プロジェクト進行状況の見える化と各ステージにおいて有識者によるレビューを実施していくことにより,工事採算の下振れ防止を徹底していきます。
③事業戦略の確実な実行による収益の確保
「グループ経営方針2016」に基づき,新たなポートフォリオマネジメントを導入し,事業戦略の方向性と定量目標を組み合わせたSBU別の「ミッション」の達成に向け,各種施策を確実に実行して収益を確保していきます。また,ROIC経営を徹底し,キャッシュ・フロー創出力を高めるとともにM&Aや他社との提携など外部リソースも活用し,構造改革を確実に推進していきます。
④お客さま価値創造に向けた取り組みによるビジネスモデル変革
お客さま価値の創造に向けた取り組みを徹底することにより,受注を確保していきます。また,グループ共通機能(「ソリューション」,「高度情報マネジメント」,「グローバルビジネス」)を積極的に活用し,競争優位性のあるビジネスモデルの創造と横展開を早期に実現していきます。
当社は,具体的な数値目標として,「グループ経営方針2016」の最終年度である平成30年度に,連結営業利益率7%,投下資本利益率(ROIC)10%,D/Eレシオ0.7倍以下の達成を掲げています。
製品・サービスの高度化による社会の発展への貢献を通じて収益性を高め,資本市場から求められる資本効率や株主還元を実現し,持続的な企業価値の創造を図ることにより,信頼される企業グループを目指していく所存です。
事業の状況,設備の状況,経理の状況に記載した事項のうち,当社グループの経営成績,株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお,文中における将来に関する事項は,当連結会計年度末(平成28年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは,以下のリスクを認識した上で,必要なリスク管理体制を整え,リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に最大限努めています。
(1)競争環境と事業戦略
わが国の経済は,国内需要が各種経済対策の効果もあって底堅く推移し,世界経済の成長率が次第に高まることなどを背景に,緩やかに回復していくことが期待されます。しかし,当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国内民間設備投資を取り巻く環境については,輸出競争力の低下や生産拠点の海外移転により,当面は厳しい競争環境が続くと考えられます。
また,世界経済については,米国を牽引役として引き続き回復傾向にあり,全体としては次第に加速していくと考えられますが,米国の政策金利引上げに向けた動きの影響,欧州,中国やその他新興国経済の先行き,原油価格下落の影響,地政学的リスク等の懸念があり,先行きの不確実性は引き続き大きい状況です。
当社グループは,事業の集中と選択,経営資源の集中投入を進めるとともに,グローバルな事業運営を加速していくこととしています。しかし,国内市場における厳しい競争環境の継続や世界経済の成長鈍化,さらには業界再編に伴う競争環境の急激な変化などのリスクが顕在化し,競合企業との間で当社グループの製品・サービスが性能・品質・価格面で十分な競争優位性を得られない場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)他社との連携・M&A,事業統合
当社グループは営業協力,技術協力,生産協力や事業合弁の形で多くの他社との共同事業活動を行なっています。また,成長市場への事業展開の加速,要素技術の補完,シナジーの創出などを目的とした有効なM&Aを活用しています。しかし,経済環境の変化,法的規制,予期せぬ費用増加等の影響により,当初期待された効果を出せない可能性があります。また,当初期待した効果を享受できないと判断された場合は,他社との連携による事業統合の中断,解消を決断する可能性があり,その結果として業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)カントリーリスク
当社グループの調達・生産・輸出・販売・建設等の諸活動は,米州やヨーロッパ,アジア・オセアニア地域等グローバルに展開されていますが,それぞれの地域・国において政治・経済の混乱並びにそれに起因する為替取引の凍結・債務不履行・投資資産の接収,想定していなかったテロ・労働争議の発生等のカントリーリスクが存在します。また,政情不安やデフォルト等により事業の継続や拠点経営が困難になる可能性があります。貿易保険の付保徹底やカントリーリスクに関する情報の収集とグループ内の啓蒙に努めてはいますが,リスクが顕在化した場合は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社が海洋資源開発関連事業を推進するため資本参加したものの,ブラジル経済の減速等により経営状態が悪化していたブラジル造船会社EASへの出資については,当社の連結子会社であるJEIが保有するEAS出資持分の全てを,EASの株主であるCamargo Corrêa グループ及びQueiroz Galvão グループへ譲渡することで合意し,平成28年4月に譲渡を実行しました。
(4)資材調達
当社グループはキーとなる主要部品を自社グループ内で製造するよう努めている一方で,複数のグループ外調達先より原材料・部品・サービスの供給を受けています。主要な原材料・部品の市況動向については日常から情報収集に努め安定調達に努めるとともに,調達先の品質・納期等の管理を徹底し,特定の調達先への過度の集中・依存をさけるべく調達先の分散化等を進め,リスクの低減に取り組んでいます。しかしながら,原油・鋼材価格等の急激な変化,あるいは国際情勢の急激な変化による供給不足等の問題が生じた場合,コストアップ,品質管理上の問題,納期遅延等の問題が生じる可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。
(5)保証債務等
当社グループは,事業活動を営む上で必要かつ合法的と確認したものについて,債務の保証等を行なっていますが,経済環境の悪化の長期化や事業の失敗等により債務者の財務状態の悪化が生じた場合,保証の履行を債権者より求められる可能性があります。保証債務等に係る情報は第5「経理の状況」の「注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載しています。
(6)受注契約
当社グループは,個別にお客さまと受注契約を締結した後に製品を生産する場合が多く,請負金の大きい工事については受注契約締結前に多面的な社内審査を行なっています。しかし,契約締結後に当初想定できなかった経済環境の変化や検討不足,予期しないトラブルの発生,JV等のパートナー企業の経営悪化等により,見積コストを上回る工事の発生,お客さまから要求された性能・納期の未達によるペナルティーの支払い,追加の費用の発生等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。また,受注契約のお客さま都合による取り消しのケースでは,受注契約条件の中で違約金条項を設定する等そのリスク回避に最大限努力しているものの,必ずしも支出したコストの全額が回収できない可能性があります。
平成27年3月,当社の連結子会社である㈱IHIインフラシステムが施工を手掛けているトルコ・イズミット湾横断橋建設工事では,主塔間に架設していた主ケーブル架設用の足場(キャットウォーク)の一部が破断し,海面上に落下する事故が発生しました。この事故によって生じた工程遅延に伴い,当連結会計年度においては,工程キャッチアップ費用や,契約上定められている納期遅延に係る費用を請求される可能性を考慮しその損失見込み額を計上しました。工程は終盤となっており,平成28年6~7月の交通開放に向けて取り組んでいます。
また,当連結会計年度において多額の損失を計上したF-LNG・海洋構造物事業については,シンガポール向けドリルシップ船体建造工事は,工程終盤となっており,大型機器の試運転を順次実施中です。また,ノルウェー向けFPSO船体建造工事については,お客さまと納期変更の合意を行なったほか,平成28年6月初旬から,愛知工場等で建造した大型ブロックについて,シンガポールYardへの移送を開始しており,7月から,スーパーバイザーを派遣して管理の徹底を図りつつ,船体一体化及び艤装・電装工事を進めていきます。LNG船用SPBタンク建造工事については,1~4番船のうち,1番船は平成28年6月下旬から船体へのタンク搭載を開始する予定としており,その後2~4番船の搭載作業を4~5か月ごとに進めていく予定です。
(7)技術契約
当社グループは,国内外において多岐にわたる機種・技術分野を取り扱うため,他社との間に技術供与・受領に関する契約を締結する場合が多くなっています。締結前には,不利若しくは履行不能な条件の有無や,必要条件の欠落が無いか等,十分な社内審査を行なっています。しかし,事前の検討不足や契約条件の理解不足等により過大な保証・補填・ペナルティーが発生する,あるいは事業上の制約を受ける等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。
(8)生産・製造
当社グループは第3「設備の状況」の「主要な設備の状況」にあるとおり,各地に生産拠点を有しますが,生産施設に影響を及ぼす自然災害,停電,あるいは生産活動をスローダウンさせざるを得ない資機材の入手困難,電力の制限が,事業継続計画(BCP)の想定範囲を超えることがありえます。また,生産量が想定以上に急激に変動した場合,生産能力調整が即応できない場合もありえます。これらの結果,業績の悪化を招くおそれがあります。
(9)品質保証
当社グループは,製品の品質確保に努めるとともに,お客さまに安全に使っていただくために,製品安全・機械安全を確保するための設計時のリスクアセスメントの徹底及びお客さまへの注意喚起と情報提供の拡大を図っています。また,当社グループの製品は,品質や安全に関するさまざまな法的規制による制約を受けているため,これらの規制の遵守に努めるとともに,製造物責任賠償保険(P/L保険)に加入する等の対策を講じています。しかしながら,大規模な事故やクレームの発生及び製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は,多額のコストに加えて当社グループの社会的評価に重大な影響を及ぼすことが考えられ,これによって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
当連結会計年度においては,一部のボイラ工事において,当社の在インドネシア子会社であるPT Cilegon Fabricators(以下,「チレゴン工場」という。)が製作した溶接部位の一部に溶接不適合が判明し,補修費用の計上とともに,納期遅延のリスクが高まりました。補修作業は順調に進捗しており,現地搬入済みであった4工事のうち,2工事については補修作業を完了し,残2工事については,平成29年度下期までに完了の見込みとなっています。チレゴン工場については,溶接士及び溶材管理者の資格管理制度・教育制度を改善したほか,独立した品質保証部の設置等を実施するなど,品質管理体制及びガバナンス強化に向けた取り組みを進めています。
(10)知的財産
当社グループは保有する知的財産の適切な保全(特許・実用新案・先使用権の取得)に努めています。しかし,機種や技術分野は多岐にわたるため,第三者による当社グループの製品・技術の模倣や解析調査等技術的に凌駕しようとする動きを完全に防止することが困難な場合があります。
また,当社グループが将来に向けて開発している製品・技術が,潜在的に他社等の知的所有権を侵害してしまう場合や,従業員の発明に対して適切に対応しない場合は,損害賠償等を求められ当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(11)研究開発
当社グループの研究開発活動に係る情報は第2「事業の状況」の「研究開発活動」に記載されています。これら研究開発活動は事業の性格上,多額の投資とともに長期の開発時間が必要とされるという特性があります。そのため,実用化の機会の逸失や事業戦略・市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかず,当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(12)法令・規制
当社グループは,グローバルに事業の展開をすすめる上で,日本のみならず,各国・各地域の各種法令,行政による許認可や規制の制約を受けており,その遵守に努めています。しかし,法律・規制に対する理解が不十分,又は予期せぬ変更への対応が適切でない場合等には,各種法令等に違反したと判定され,過料や課徴金による損失や営業停止等の行政処分による機会逸失を被る,あるいはそれに伴う社会的評価の低下によって,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
係争中の重要な訴訟案件のうち,当社グループの経営に重大な悪影響を及ぼす可能性のある訴訟は存在しません。しかしながら,現時点で認識していない想定外の訴訟が発生した場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)情報システム
当社グループは技術情報及び事務管理情報のデータ処理のために多額の投資を行なっています。これらシステム運用並びに導入・更新に際しては,システムトラブルや情報の外部漏洩が発生しないよう最大限の対策を講じていますが,外部からのコンピュータウィルスの感染やハッキングの被害,ホストコンピュータ・サーバ・ネットワーク機器の障害や紛失・盗難,ソフトウエアの不備等によるシステム障害の発生と業務停止,情報の外部漏洩等の事態が発生する可能性があり,それに伴い当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)安全衛生
当社グループは事業所及び建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じていますが,万一不測の事故・災害等が発生した場合には,生産活動に支障をきたし,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは,各種損害保険等に加入する等の対策を講じていますが,大規模な事故や災害が生じた場合,損害の全てを保険求償できない可能性があります。
(15)環境保全
当社グループには,製造工程で,大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所・子会社等があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い,万一外部に漏洩した場合においても,その拡大を最小限に抑えるための対策を講じています。しかしながら,想定外の事態が発生した場合には,社会的評価の低下を招くとともに,損害賠償責任が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(16)災害・システム不全
当社グループは,伝染病・感染症の世界的流行(パンデミック),地震・洪水等の大規模災害,テロ等の犯罪行為,情報システムの機能不全によって,業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても,その影響を最小限に抑えるべく,事業継続計画(BCP)の整備,非常時を想定した訓練等を実施しています。しかし,想定規模を超える災害やシステム不全が発生した際は,事業を適切に遂行することができず当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(17)為替動向
外貨に対して円が上昇した場合は外貨建輸出工事における円換算後の入金額は目減りし,下落した場合は現地通貨建の海外調達において円換算支出額の増加を招く等,業績に及ぼす影響も大きくなります。そのため,外貨建の資産と負債のポジションの不均衡に対して,一定の方針に基づき為替予約やマリーの徹底によるリスクヘッジに努めていますが,想定以上の為替変動が発生した場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(18)金利動向
金利が上昇した場合,当社グループの支払利息が増加し金融収支が悪化します。また,財務活動において借入金又は社債の発行条件が悪化する可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(19)資金調達・格付
当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており,自己資本と利益に関する財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同条項に抵触した場合,同ローンの借入れ条件の見直しや期限前弁済義務が生じるおそれがあり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また,格付機関が当社グループの格付を引き下げた場合,当社グループの財務活動において不利な取引条件で取引をせざるを得ない,あるいは一定の取引ができなくなる可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(20)税務
繰延税金資産の計算は,将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて個別に資産計上・取崩を行なっていますが,将来の課税所得の予測・仮定が変更され,繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合,当社グループの繰延税金資産は減額され,その結果,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(21)与信管理
当社グループは,世界中のお客さまに製品・サービスを提供しており,その多くが掛売り又は手形取引となっています。当社はこれに対し,グループ全体で与信管理体制の強化と債権保全の徹底に努めているものの,重要なお客さまが破綻し,その債権が回収できない場合には,当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(22)人材育成
当社グループの将来の成長,技能の伝承は有能な従業員による部分が大きく,高い技術力と技量を有する従業員の確保及び技能の伝承は当社グループの経営課題のひとつです。このようなキーパーソンとなりうる人員を確保あるいは育成できなかった場合には,当社グループの将来の成長,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)技術導入契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
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当社 |
ABB TURBO |
スイス |
ターボ過給機 |
契約品目の日本における独占製造権 |
平成10年9月24日から JV終了日まで |
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当社 |
GEAE |
米国 |
T700-401C, T700-701Cターボ シャフトエンジン |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
平成元年9月26日から 平成30年4月30日まで |
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当社 |
GEAE |
米国 |
F110-129ターボ ファンエンジン |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
平成8年9月27日から 平成31年4月30日まで |
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当社 |
GEAE TECHNOLOGY,INC. |
米国 |
J79ターボ |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
平成14年3月18日から 平成30年4月30日まで |
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当社 |
ROLLS-ROYCE CORPORATION |
米国 |
T56-A ターボプロップ エンジン |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
平成20年11月7日から 平成30年10月31日まで |
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当社 |
UNITED |
米国 |
F100ターボ ファンエンジン |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
昭和53年6月27日から 平成31年9月30日まで |
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当社 |
UNITED |
米国 |
F135ターボ ファンエンジン |
契約品目の日本における非独占製造権 |
平成25年10月17日から 平成36年9月30日まで |
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㈱ディーゼル ユナイテッド (連結子会社) |
MAN Diesel & Turbo France SAS |
フランス |
汎用中速ディーゼルエンジン |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
平成23年1月1日から 平成28年12月31日まで |
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㈱ディーゼル ユナイテッド (連結子会社) |
Winterthur Gas & Diesel Ltd. |
スイス |
汎用低速ディーゼルエンジン |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
平成21年1月1日から 平成36年12月31日まで |
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㈱IHIエアロ スペース (連結子会社) |
LOCKHEED MARTIN CORP. |
米国 |
多連装ロケット システム |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
平成5年1月20日から 平成28年8月31日まで |
(2)技術供与契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
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IHI建機㈱ (連結子会社) |
IHIMER S.p.A |
イタリア |
ミニショベル |
契約品目の製造・販売に関する独占的権利の供与 |
平成14年8月31日から 平成29年3月31日まで |
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㈱IHIシバウラ (連結子会社) |
無錫珀金斯芝浦発動機有限公司 |
中国 |
ディーゼルエンジン |
契約品目に係る技術の独占実施権の供与 |
平成21年1月1日から 平成32年8月1日まで |
当社グループ(当社及び連結子会社)は,事業本部,セクターや連結各社と技術開発本部が密接に連携・協力し,資源・エネルギー・環境,社会基盤・海洋,産業システム・汎用機械,航空・宇宙・防衛のセグメントにおける各製品の競争力強化,及び今後の事業拡大・創造につながる基礎研究から実用化研究までを強力に推進しています。また,国内外の大学や研究機関との産学官連携による共同研究にも積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は416億円です。
各セグメント別の主な研究開発の成果及び研究開発費は次のとおりです。
(1)資源・エネルギー・環境
エネルギー・プラントセクター,原子力セクター及び技術開発本部と連結子会社により,ボイラ,原動機プラント,ガスプロセス,原子力等に係る研究開発を行なっています。
連結子会社で研究開発を行なっているのは,主に新潟原動機㈱,㈱IHI環境エンジニアリング,㈱ディーゼルユナイテッドです。
当連結会計年度の主な成果として,石炭焚火力発電所において,国内最大規模のバイオマス混焼試験として混焼率25%(熱量比率)の実証,予混合・希薄燃焼方式,低速2ストローク型デュアルフュエルエンジンW6X72DFフルスケール実証機運転試験の実施等が挙げられます。当セグメントに係る研究開発費は69億円です。
(2)社会基盤・海洋
社会基盤セクター,海洋・鉄構セクター及び技術開発本部と連結子会社により,橋梁,F-LNG・海洋構造物,交通システム等に係る研究開発を行なっています。
連結子会社で研究開発を行なっているのは,主に新潟トランシス㈱,㈱IHIインフラシステムです。
当連結会計年度の主な成果として,安全性の強化と海上避難生活への配慮を追求したモデルチェンジ型津波救命艇の開発,建造が本格化しているIHI-SPBタンクの生産効率を高める自動溶接技術やFSW(摩擦撹拌接合)技術の開発等が挙げられます。当セグメントに係る研究開発費は7億円です。
(3)産業システム・汎用機械
産業・ロジスティックスセクター,車両過給機セクター,回転機械セクター及び技術開発本部と連結子会社により,車両過給機,運搬機械,熱・表面処理,圧縮機,舶用機械,パーキング等に係る研究開発を行なっています。
連結子会社で研究開発を行なっているのは,主にIHI Charging Systems International GmbH,㈱IHIシバウラ,IHI運搬機械㈱,㈱IHIスター,㈱IHIフォイトペーパーテクノロジー,IHI Hauzer Techno Coating BV,IHI建機㈱です。
当連結会計年度の主な成果として,ハイブリッド自動車や燃料電池車をターゲットとした電動過給機等を含む過給機の新機種開発,メンテナンスコスト削減と機器トラブルを未然に防止するデッキクレーン向け新型浄油システムの開発,IoT・ビッグデータを活用した物流設備向けクラウド型設備保守支援サービスの開発及び提供開始等が挙げられます。当セグメントに係る研究開発費は78億円です。
(4)航空・宇宙・防衛
航空宇宙事業本部及び技術開発本部と連結子会社により,航空エンジン,ロケットシステム・宇宙利用,防衛機器システム等に係る研究開発を行なっています。
連結子会社で研究開発を行なっているのは,主に㈱IHIエアロスペース,㈱IHIキャスティングスです。
当連結会計年度の主な成果として,かねてより当社が開発に参画していた民間航空機エンジン「PW1100G-JM」部品の量産化技術の確立及び量産部品の製作・出荷開始等が挙げられます。また,次世代大型旅客機 Boeing777Xに搭載される民間航空エンジン「GE9X」の開発を進めています。
当セグメントに係る研究開発費は129億円です。
(5)その他
ソリューション統括本部,高度情報マネジメント統括本部,新事業推進部,技術開発本部及び情報システム部等の本社部門と連結子会社により,新技術・新事業分野及び共通基盤技術に係る研究開発を行なっています。
連結子会社で研究開発活動を行なっているのは,主に㈱IHI検査計測,明星電気㈱,IHI NeoG Algae合同会社です。
当連結会計年度の主な成果として,3次元レーザレーダ方式踏切障害物検知装置における日本企業初のSIL4認証取得,NEDO殿の委託を受けて行っている微細藻由来バイオ燃料製造技術開発における屋外大規模培養試験での藻体の安定的増殖の成功,ICTを製品の予防保全に活用するためのデータ分析技術の開発,戸建住宅における電気自動車向け非接触給電システムの実証実験等が挙げられます。当セグメントに係る研究開発費は130億円です。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示しています。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は,わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。連結財務諸表の作成にあたり,連結貸借対照表上の資産,負債の計上額,及び連結損益計算書上の収益,費用の計上額に影響を与える判断,見積りを行なう必要があります。当社グループの重要な会計方針のうち,判断,見積りを行なう割合が高いものは,貸倒引当金,受注工事損失引当金などの各引当金の計上,退職給付債務の算定,繰延税金資産の回収可能性の判断などがあります。これらの判断,見積りについては合理的な方法により算定していますが,見積り特有の不確実性が存在するため,将来において認識される業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。これらのうち,重要なものについては,「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載しています。
(2)経営成績の分析
①概要
当社グループの当連結会計年度の売上高は,前連結会計年度比5.7%増の1兆5,393億円となりました。損益面については,営業利益が220億円,経常利益が97億円,親会社株主に帰属する当期純利益が15億円となりました。
②売上高
売上高は,前連結会計年度と比べて835億円増加し,1兆5,393億円となりました。
橋梁が減収となったものの,民間向け航空エンジン,ガスプロセスが増収となったため,全体として増収となりました。なお,海外売上高は,前連結会計年度比5.1%増の7,969億円,連結売上高に対する占有率は52%(前連結会計年度は52%)となりました。
③営業損益
営業損益は,前連結会計年度と比べて412億円悪化し,220億円の利益にとどまりました。
民間向け航空エンジンにおいて増収による増益効果や採算改善等があったものの,F-LNG・海洋構造物での追加費用の計上及びトルコ イズミット湾横断橋建設工事での事故の影響や,ボイラでの溶接不適合に伴う採算悪化等によって,全体として減益となりました。
④営業外損益及び経常損益
営業外損益は,前連結会計年度の67億円の損失(純額)から,123億円の損失(純額)となりました。これは主として,為替差損益の悪化による影響によるものです。
この結果,経常損益は前連結会計年度と比べて468億円悪化し,97億円の利益にとどまりました。
⑤特別損益
特別損益は,前連結会計年度の292億円の損失(純額)から,113億円の損失(純額)となりました。これは,前連結会計年度において,ブラジル造船会社EASについて,ブラジルの経済混乱等により財政状態が悪化したため同社に関わる関係会社事業損失290億円を計上していましたが,当連結会計年度においては,江東区豊洲所在の土地等の売却などによる固定資産売却益や,退職給付信託の設定益を特別利益として計上した一方で,ボイラの溶接部位の補修に伴って発生した工程遅延や,トルコ イズミット湾横断橋建設工事での足場(キャットウォーク)落下事故に伴って発生した工程遅延などにより,複数の受注工事において,契約上定められている納期遅延に係る費用を請求される可能性を考慮して,その損失見込み額を特別損失として計上したことによるものです。
⑥親会社株主に帰属する当期純損益
上述の要因を反映して,親会社株主に帰属する当期純損益は前連結会計年度の90億円の利益に対し,75億円悪化して15億円の利益にとどまりました。これにより,1株当たり当期純利益の金額は,前連結会計年度の5円88銭に対し,0円99銭となりました。
(3)当連結会計年度末の財政状態の分析
資産及び負債,純資産の状況
当連結会計年度末における総資産は1兆7,150億円となり,前連結会計年度末と比較して241億円増加しました。主な増加項目は,繰延税金資産で305億円,現金及び預金で119億円,原材料及び貯蔵品で68億円,受取手形及び売掛金で65億円,主な減少項目は,投資有価証券で276億円です。
負債は1兆3,816億円となり,前連結会計年度末と比較して504億円増加しました。主な増加項目は,前受金で551億円,未払費用で363億円,受注工事損失引当金で246億円,主な減少項目は,関係会社損失引当金で197億円,短期借入金で195億円,未払法人税等で149億円です。
純資産は3,333億円となり,前連結会計年度末と比較して262億円減少しました。これには,親会社株主に帰属する当期純利益15億円,剰余金の配当による減少92億円,その他有価証券評価差額金の減少150億円が含まれています。
以上の結果,1株当たり純資産額は,前連結会計年度末と比較して17円87銭減少して,206円16銭となり,自己資本比率は,前連結会計年度末の20.5%から18.6%となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金・設備資金については,借入金や社債,コマーシャル・ペーパー及び自己資金により充当しています。当連結会計年度末の有利子負債残高はリース債務を含めて3,745億円であり,前連結会計年度末と比較して361億円減少しています。これは主に財務活動により短期借入金が減少したことなどによるものです。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,036億円であり,主要銀行とのコミットメントライン契約や当座貸越枠,コマーシャル・ペーパーなど多様な調達手段とあわせて,十分な流動性を確保しています。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示しています。