第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において,前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

なお,当第3四半期連結会計期間において,個別決算における海外連結子会社に係る関係会社株式評価損の計上と,連結決算において国内関連会社に係る債務保証損失引当金の計上を行ないました。

海外連結子会社IHI INC.に係る関係会社株式評価損を計上する要因となった北米で遂行中の大型プロジェクトについては,据付工事の遅れに対し現状の納期確保に必要な費用を計上しましたが,工事の状況は適切にモニタリングしており,有効な対策を適時に立てられる体制を整えています。

また,国内関連会社における債務保証損失引当金繰入額については,インフルエンザワクチン原薬の製造を主たる事業とする当社の関連会社㈱UNIGENに係る保証債務110億円に対するものであり,アステラス製薬㈱による組換えインフルエンザHAワクチンの製造販売承認申請取り下げを受けて,当該保証債務の履行可能性及び回収可能性を見積もり,計上しました。なお,当社は,本年1月31日に保有するUNIGENの全株式をアピ㈱へ譲渡しました。

 

2【経営上の重要な契約等】

(1)技術導入契約

当第3四半期連結会計期間において,契約期間が満了し更新された重要な契約は,次のとおりです。

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

㈱ディーゼル

ユナイテッド

(連結子会社)

MAN Diesel & Turbo France SAS

フランス

汎用中速ディーゼルエンジン

契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得

平成23年1月1日から平成29年12月31日まで

(注)上記契約については,平成29年1月1日から平成29年12月31日までの更新を行ないました。

 

(2)技術供与契約

当第3四半期連結会計期間において,IHI建機㈱を連結の範囲から除外したため,以下契約については,

  重要な契約より除外しました。

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

IHI建機㈱

(連結子会社)

IHIMER S.p.A

イタリア

ミニショベル

契約品目の製造・販売に関する独占的権利の供与

平成14年8月31日から平成29年3月31日まで

 

3【財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は,当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

 

(1)業績の状況

第3四半期連結累計期間のわが国経済は,輸出や生産において持ち直しの動きが見られたものの,急激な為替変動や企業収益の改善に足踏みが見られるなど,依然として不透明な状況が継続しています。また,世界経済は,全体としては緩やかに回復しているものの,英国のEU離脱問題をはじめとした欧州における政治の混乱,米国における新大統領の政策動向のほか,中国経済の停滞や,アジア新興国等での経済低迷など,景気の先行きには不透明感が増しています。

このような事業環境下において,当社グループの当第3四半期連結累計期間の受注高は前年同期比5.8%減の9,287億円となりました。また,売上高は前年同期比1.9%減の1兆382億円となりました。損益面では,営業利益は,北米で遂行中の大型プロジェクトでの採算悪化があったものの,前年同期にボイラ工事において溶接部位の補修費用が発生したことの影響や,社会基盤・海洋での赤字幅縮小により,前年同期に比べ139億円増益の194億円となりました。経常利益は,為替差損の悪化に加え,雑損金の増加もあり,前年同期に比べ67億円増益の87億円にとどまりました。

親会社株主に帰属する四半期純損益は,特別損失として,当期に債務保証損失引当金繰入額などを計上したものの,前年同期に契約納期遅延に係る費用を計上した影響などにより,前年同期に比べ赤字幅が251億円縮小し,91億円の損失となりました。

なお,債務保証損失引当金繰入額は,本年1月31日に㈱UNIGENの全株式をアピ㈱へ譲渡したことを踏まえ,回収可能な見積額を控除した金額としています。

 

当第3四半期連結累計期間の報告セグメント別の状況は以下のとおりです。

(単位:億円)

報告セグメント

受注高

前第3四半期

当第3四半期

前年同期比

増減率

前第3

四半期

連結

累計期間

当第3

四半期

連結

累計期間

前年

同期比

増減率

(%)

連結累計期間

連結累計期間

(27.4~27.12)

(28.4~28.12)

(%)

売上高

営業

損益

売上高

営業

損益

売上高

営業

損益

資源・

エネルギー・

環境

3,320

2,698

△18.7

3,126

△74

2,973

△158

△4.9

社会基盤・海洋

1,045

911

△12.9

1,117

△357

1,075

△167

△3.8

産業システム・

汎用機械

3,172

3,186

0.4

2,894

72

2,985

112

3.1

56.4

航空・宇宙・防衛

2,249

2,341

4.1

3,346

434

3,226

416

△3.6

△4.3

報告セグメント 計

9,788

9,137

△6.6

10,485

74

10,261

203

△2.1

173.2

その他

478

500

4.6

415

5

487

10

17.4

97.5

調整額

△406

△350

△318

△24

△367

△18

合計

9,860

9,287

△5.8

10,581

55

10,382

194

△1.9

251.1

 

<資源・エネルギー・環境>

受注高は,ボイラにおいて前年同期に大型案件の受注があったことの反動や,原油安の影響によって陸舶用原動機の受注が低迷していることにより,前年同期に比べ減少しました。

売上高は,ボイラにおいて大型工事の進捗に伴う増収があったものの,プロセスプラントの減収及び,陸舶用原動機の販売減少により,前年同期に比べ減収となりました。

営業損失は,陸舶用原動機の減収の拡大に加えて,プロセスプラントにおいて北米で遂行中の大型プロジェクトでの採算悪化の影響などにより,赤字幅が拡大しました。

 

<社会基盤・海洋>

受注高は,コンクリート建材や橋梁・水門の減少により,前年同期に比べ減少しました。

売上高は,事業統合を行なったシールド掘進機の増収があったものの,橋梁・水門が,トルコ イズミット湾横断橋建設工事の完成に伴って減収となった影響もあり,前年同期に比べ減収となりました。

営業損失は,橋梁・水門の採算改善のほか,前年同期におけるF-LNGの大幅な採算悪化の反動により,前年同期に比べ赤字幅が縮小しました。

 

<産業システム・汎用機械>

受注高は,建機の事業譲渡による影響はあったものの,車両過給機や製紙機械,熱・表面処理の増加により,前年同期に比べほぼ横ばいとなりました。

売上高は,建機の事業譲渡による影響のほか,農機・小型原動機の減収があったものの,車両過給機,回転機械及び物流・産業システムの増収により,前年同期に比べ増収となりました。

営業利益は,上記の増収に加え,パーキング,物流・産業システム及び回転機械の採算改善により,前年同期に比べ増益となりました。

 

<航空・宇宙・防衛>

受注高は,ロケットシステム・宇宙利用や航空エンジンの増加により,前年同期に比べ増加しました。

売上高は,為替円高の影響などにより民間向け航空エンジンが減少したことや,前年同期に防衛機器システムにおいて艦艇用ガスタービンの引渡しがあったことにより,減収となりました。

営業利益は,次世代大型機用航空エンジンGE9Xが量産準備のステージに移行したことにより研究開発費が減少したものの,為替円高による航空エンジンの減収の影響により,前年同期に比べ減益となりました。

 

(2)財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末における総資産は1兆7,178億円となり,前連結会計年度末と比較して28億円増加しました。主な増加項目は,仕掛品で554億円,現金及び預金で46億円です。主な減少項目は,受取手形及び売掛金で638億円です。

負債は1兆3,988億円となり,前連結会計年度末と比較して171億円増加しました。主な増加項目は,有利子負債で494億円,前受金で280億円,債務保証損失引当金で98億円,主な減少項目は,支払手形及び買掛金で181億円,受注工事損失引当金で112億円です。

純資産は3,190億円となり,前連結会計年度末と比較して143億円減少しました。これには親会社株主に帰属する四半期純損失91億円,為替換算調整勘定の減少113億円が含まれています。

以上の結果,自己資本比率は,前連結会計年度末の18.6%から17.5%となりました。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金・設備資金については,借入金や社債,コマーシャル・ペーパー及び自己資金により充当しています。当第3四半期連結会計期間末の有利子負債残高はリース債務を含めて4,239億円であり,前連結会計年度末と比較して494億円増加しています。これは主に事業活動による運転資金の増加及び投資資金を外部借入等で調達したことによります。

当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は1,080億円であり,主要銀行とのコミットメントライン契約や当座貸越枠,コマーシャル・ペーパーなど多様な調達手段とあわせて,十分な流動性を確保しています。

 

(4)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における,グループ全体の研究開発活動の金額は228億円です。なお,当第3四半期連結累計期間において,当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(5)経営戦略の現状と見通し

当社グループは,平成28年度を初年度とする3か年の中期経営計画「グループ経営方針2016」をスタートしています。同方針でメインテーマとして掲げている「収益基盤の強化」を実現するため,① 品質を含めたものづくり力を強化する,② 事業戦略の実行力を高める,③ 工事利益を安定的に確保できる体制を整備する,④ お客さまの価値創造に向けたソリューションを提供し,また製品・サービスを高度化する,という4つの方針に基づく各種施策を実施しています。経営目標の実現に向けた取り組みを着実に展開していくことを通じて,引き続きステークホルダーの皆様の「信頼回復」に傾注してまいります。

 

なお,北米で遂行中の大型プロジェクトについては,最終納期に影響はないものの,据付工事の中で遅れが発生し,工程キャッチアップするための増員を行ないました。工事完成までに要する費用を見積もったところ作業単価の上昇の影響もあり,採算が悪化する結果となりました。すでに,工事の状況を適切にモニタリングし有効な対策を適時に立てられる体制を整えています。

 

昨年度来当社グループの業績予想下方修正の主要因となってきたF-LNGにおける3プロジェクトのうち,シンガポール向けドリルシップ船体建造工事については,発注者との間で契約内容の見直しに合意し,昨年12月に引き渡しを行ないました。

残る2プロジェクトについても,ノルウェー向け洋上浮体式石油生産貯蔵積出設備(FPSO)船体建造工事については,管理者及び技術者を30名規模でシンガポールの下請造船所へ派遣し,進捗管理・品質管理を充実させています。また,国内向けLNG船用SPBタンク建造工事(4タンク×4隻)については,1番船は4タンクの搭載を終え,2月中旬の引き渡しに向け最終作業を実施しています。2番船以降には,完成したドリルシップ船体建造工事から人員をシフトしており,愛知工場のリソースを集中的に使用することで,引き渡しに向けて取り組んでいます。

 

 

(注)数値表記について,億円表示は切捨て,その他は四捨五入表示しています。