当社グループの経営方針,経営環境及び対処すべき課題等は,以下のとおりです。
なお,文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは,社会とともに発展するよき企業市民であることを第一義とし「技術をもって社会の発展に貢献する」,「人材こそが最大かつ唯一の財産である」との経営理念のもと,21世紀の環境,エネルギー,産業・社会基盤における諸問題を,「ものづくり技術」を中核とするエンジニアリング力によって解決し,地球と人類に豊かさと安全・安心を提供するグローバルな企業グループを目指しています。
この基本方針を実現するため,当社グループ社員には,「グローバル」,「ものづくり技術・エンジニアリング力」,「世界に通用する業務品質」の観点から卓越した能力を持つプロフェッショナル集団となることを求めています。また,製品・サービスの高度化による社会の発展への貢献を通じて収益性を高め,資本市場から求められる資本効率や株主還元を実現し,持続的な企業価値の創造を図ることで,信頼される企業グループを目指しています。
このような中で当社グループは,ESGを経営の中心に据えています。人権を尊重し,多様な人財が活躍する企業風土を原動力として,事業活動を通じて気候変動問題を解決し,自然と技術が調和するサステナブルな社会の実現を目指しています。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び経営指標
当社グループは,2023年5月に,2023年度を初年度とする3か年の中期経営計画「グループ経営方針2023」を公表しました。これまで2020年度から実行した中期経営計画「プロジェクトChange」期間を通じて,ライフサイクルでの価値提供事業(ライフサイクルビジネス)やアンモニアバリューチェーン事業などへの取り組みを進めてきましたが,今回の経営方針では,持続的な高成長を実現する事業変革をより具体的かつ本格的に進めると同時に,劇的な環境変化へ対応可能な企業体質への変革を加速していきます。
「グループ経営方針2023」の取り組み,経営目標
① 持続的な高成長を実現する事業の変革
事業を通じて社会課題を解決し,社会と当社グループの持続的な高成長を両立するためには,お客さま事業のライフサイクルを通じた価値の提供と,バリューチェーン全体を構築することによる価値の向上が重要となります。「グループ経営方針2023」では,事業を次の3つに区分し,いずれについてもライフサイクルとバリューチェーンを強く意識しながら取り組んでいきます。
a.成長事業:航空エンジン・ロケット分野
航空エンジン・ロケット分野は,当社グループの成長を牽引する事業と位置付けました。
民間分野のみならず防衛分野でも強化・拡大を図る航空エンジン・ロケット事業や,環境にやさしく経済効率も高い航空機を実現するため,装備品及び機体の軽量化や電動化,SAF(持続可能な航空燃料)の開発,ロケットの打上げサービス及び打上げに付随して取得される宇宙・地上・海中データの利活用など,ライフサイクルとバリューチェーン全体を意識して事業を拡大していきます。
b.育成事業:クリーンエネルギー分野
クリーンエネルギー分野は,航空エンジン・ロケット分野と双璧をなし,当社グループの成長を牽引する事業に育成すべく取り組んでいきます。
当社グループはアンモニアの燃焼技術において世界をリードする位置にありますが,今後は,貯蔵や輸送も含めたアンモニアバリューチェーン全体を構築し価値向上を図ることで,社会やお客さまに貢献できるように努めます。また,燃料製造プロジェクトへの投資など,新たなビジネスモデルの構築にも取り組んでいきます。
c.中核事業
資源・エネルギー・環境,社会基盤,産業システム・汎用機械分野は,引き続き当社グループの中核を担う事業と位置付けました。
これらの事業は,これまでのビジネスの延長ではなく,お客さまのライフサイクルにより深く入り込み,そこから得られた知見をフィードバックすることで,さらに進化した製品・サービスをお客さまに提供していきます。また,成長事業及び育成事業に対して投下するキャッシュや人財などの経営資源を捻出するために,業務プロセスの改革やデジタル基盤の活用による業務効率化とともに,事業の見直しも進めていきます。
② 環境変化への対応,変革を実現しうる企業体質への変革
当社グループは,ESGを軸とする経営を徹底するとともに,事業変革のために不可欠な情報デジタル基盤の高度化,そして企業体質の変革を成し遂げる上で最も重要である変革人財の育成・獲得を積極的に進めていきます。
③ 資源配分と経営目標
営業キャッシュ・フロー1,000億円以上の継続的な創出により,成長・育成事業を中心に3年間で5,000億円以上の投資を実施します。また,安定配当を基本方針として連結配当性向30%を目指します。
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財務目標 |
2025年度 |
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ROIC(税引後) |
8%以上 |
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営業利益率 |
7.5% |
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CCC |
100日 |
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(参考) 売上収益 |
17,000億円 |
(注)各指標の算出方法は次のとおりです。
・ROIC :(1-法定実効税率)×(営業利益+受取利息+受取配当金)
÷(親会社の所有者に帰属する持分+有利子負債の金額)
・CCC :運転資本÷売上収益×365日
・運転資本:営業債権+契約資産+棚卸資産+前払金-契約負債-営業債務-返金負債
(3)会社の対処すべき課題
会社の対処すべき課題につきましては,前項「(2)中長期的な会社の経営戦略及び経営指標」における中期経営計画「グループ経営方針2023」での取り組みに記載のとおりです。
<長期的な課題>
ESG経営
当社グループは,自然と技術が調和する社会を創るために,取り組むべき社会課題を「脱CO₂の実現」,「防災・減災の実現」,「暮らしの豊かさの実現」としています。地球規模で問題となっている気候変動への対策として,温室効果ガスの排出量を減らす「緩和」と,その影響に備えて被害を軽減する「適応」に取り組み,暮らしの豊かさを実現していきます。
・社会課題の解決
当社グループは,2050年までに,バリューチェーン全体で,カーボンニュートラルを実現することを宣言しました。自社の事業活動によって直接・間接に排出される温室効果ガス(Scope1・2)だけでなく,私たちの上流及び下流のプロセスで排出される温室効果ガス(Scope3)の削減に取り組み,カーボンニュートラルを目指します。具体的には,既存技術を活用した「トランジション」と,新しい技術による「トランスフォーメーション」の2段階で取り組んでいきます。
また,自然災害に強く経済的なインフラ整備と,人的被害ゼロを実現する災害・被害予測とインフラを統合するシステムを構築し,安心・安全で暮らしやすいコミュニティの実現を目指します。橋梁を中心とした高度保全の知見を強みとして,センシング技術・モニタリング技術を活用し,予防診断技術の高度化を進め,適時適切なインフラの保全事業を拡大展開し,非常時には強く,平時には快適な,デュアルユースとなるインフラを備えたコミュニティの実現に取り組んでいきます。
・人権の尊重
当社グループは,「IHIグループ基本行動指針」において,地球的課題を意識し,あらゆるステークホルダーの期待に応えるために私たちがなすべきことを定めています。この指針に基づき,2020年12月に「IHIグループ人権方針」を定めました。国際規範に基づく人権啓発活動を通じて,人権を尊重する企業文化の醸成と事業活動全般にわたる人権尊重の取組みを推進することで,あらゆる人びとに対する人権尊重の責任を積極的に果たしていきます。また,サプライチェーンにおいても,取引先と協働して社会的責任を果たしていくCSR調達に取り組むことを,「IHIグループ調達基本方針」に定めました。
バリューチェーンを通じて,事業活動によるステークホルダー・ライツホルダーに対する負の影響を予防・低減し,すべての人の豊かな生活を実現するために取り組みます。
・多様な人材の活躍
持続可能な社会を実現するには,多様性を受け入れ,環境の変化を的確に把握し対応することが必要です。
社会の発展に貢献するという経営理念や,自然と調和した社会を創るという目指す姿を,社員一人ひとりが理解し,企業としての使命を自覚することが必要です。会社と社員が,お互いの成長に貢献し合う関係性を保ちながら,個人と組織のベクトルを合わせていくことが重要であると考えています。
また,当社グループは,人材の多様性を尊重し受け入れる「ダイバーシティ&インクルージョン」を重要な価値観とし,多様なバックグラウンド・多様な経験・異なる視点を持った多様な人材が活躍できる環境を整備していきます。また,社員一人ひとりがより幅広い視野・経験を身に着けるための制度の拡充や,さまざまな機会提供を行なっていきます。
・ステークホルダーからの信頼の獲得
事業を通じて社会課題を解決し,企業価値を高めるためには,グループが本来有する力を最大限に発揮できるよう基盤を築くこと,また,あらゆるステークホルダーとの積極的な対話を行なうことが重要であると考えています。
当社グループは「技術をもって社会の発展に貢献する」「人材こそが最大かつ唯一の財産である」を経営理念に掲げ,1853年の創業以来,時代時代における社会課題の解決に貢献してきました。持続可能な社会の実現と企業として持続的に成長することを目指し,変わりゆく社会課題に向き合い,従前以上に自然環境や社会に配慮しながら,その解決に事業機会を見出すことを「IHIグループのESG経営」として,2021年11月に表明しました。
当社グループでは,地球環境とそこに暮らす人びとが持続可能であるために,未来世代も含めたあらゆる人びとが,豊かに安心して暮らすことができる社会―「自然と技術が調和する社会」を創ることをありたい姿としています。そのために,「気候変動への対策」,「人権の尊重」,「多様な人財の活躍」,「ステークホルダーからの信頼の獲得」を優先的に取り組むべき重要な課題として特定しました。
(1)ガバナンス
当社グループは,持続可能な社会を実現するために,環境と社会に対する貢献と責任,それらを実現するためのガバナンスに関して,明確な価値観を示した経営を行なう必要があると考えています。
この「ESG経営」において重要と考える事項を重要課題として特定し,取組み方針,推進体制及び実行計画について協議・決定する場として,ESG経営推進会議を設置しています。ESG経営推進会議はCEOが議長を務め,執行役員以上の全役員を構成員として,原則年2回開催しています。
環境,人権やコンプライアンスなど,全社にまたがる課題については,適宜,全社委員会を設置することで,委員会で審議・決定した方針が各部門の具体的な施策に反映される体制にしています。
これら会議や委員会における議論のうち,経営上の重要な意思決定に関わるものについては,経営執行における意思決定機関である経営会議での審議を経て,取締役会に付議しています。
なお,コーポレート・ガバナンスの状況については,
(2)リスク管理
当社グループでは,短期的な事業リスクに加えて,中長期の時間軸で事業環境に変化を及ぼすサステナビリティ関連のリスクについても,事業活動に係るリスクとして管理しています。具体的には,中長期的に当社グループに及ぼす影響を評価し,それらを短期的な事業リスクに落とし込んでいます。内部監査部門・コーポレート部門・事業領域・事業部門(関係会社を含む)の役割と責任を明確化し,重層的なリスク管理体制のなかで管理しています。
なお,リスク管理体制の詳細については,
(3)重要な戦略並びに指標及び目標
①戦略
当社グループは,持続可能な社会の実現と企業として持続的に成長するために,ESGを価値観の軸において,社会・環境に配慮した適切な経営を行なっています。
気候変動への対策は地球規模で取り組むべき社会課題であり,ESG経営においてより重要な課題としています。気候変動の緩和のための取り組みは,既存技術や現有設備を活用した温室効果ガス排出量の削減と,新しい技術や仕組みの構築による削減の2段階で進め,バリューチェーン全体でカーボンニュートラルを実現することを事業機会と捉えています。
これまでの当社グループ製品を対象としたライフサイクルビジネスをお客さまのバリューチェーンに拡大し,提供する環境価値を向上することで,お客さまのカーボンニュートラル実現に貢献してまいります。お客さまのバリューチェーン視点でのライフサイクルビジネスを通じて創出した経営資源は,カーボンニュートラルに資する新技術・新システムの開発や成長・育成事業に投下するとともに,これらの新技術・新システムを当社グループ内に積極的に導入することで,当社の事業活動におけるカーボンニュートラルの早期実現と持続的な高成長につなげていきます。
なお,ライフサイクルビジネスや成長・育成事業などの詳細については,
②指標及び目標
当社グループは,2050年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを実現することを「カーボンニュートラル2050」として宣言しました。自社の事業活動によって直接・間接に排出される温室効果ガス(Scope1・2)に加えて,私たちの上流及び下流のプロセスで排出される温室効果ガス(Scope3)の削減をはかることで,カーボンニュートラルを目指します。
温室効果ガス(Scope1・2)については,2030年度に「2019年度排出量からの半減」を目標として設定しました。
当社グループのCO₂排出量の推移は,2023年8月頃に発行予定の
(4)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標
①戦略
当社グループは,不安定さが常態化する新たな社会環境に対応するには,企業体質を一段と強化する必要があると考えています。事業・企業体質の変革をグローバルで成し遂げる上で最も重要である変革人財の育成・獲得を積極的に進めていきます。
持続的かつアジャイルに自己変革する能力と企業文化を実現するために,グローバルレベルの専門性やマネジメント力を獲得し企業文化として定着化すること,エンゲージメントとウェルビーイングを向上することを目指します。そのために,リスキリングの機会を提供し,自律的キャリア形成を支援していきます。
②指標及び目標
当社グループは,多様なステークホルダーと連携・協働して問題を解決する人財が活躍でき,事業を通じて関わるあらゆる人びとの人権が尊重される企業グループになることを目指しています。とりわけ経営幹部候補の多様化や,若い世代の多様な視点・発想を経営に活かしていく取組みを進めています。
経営幹部候補の多様化は役員に占める女性比率を指標としています。日本経済団体連合会が掲げる「2030年30%へのチャレンジ」に賛同し,2030年までに役員に占める女性比率を30%以上にすることを目標に据えています。併せて,変革への挑戦を評価する制度改革と風土醸成の進捗を,従業員意識調査の結果などでモニタリングをします。
なお,
(1)リスク管理に関する当社グループの基本方針
当社グループでは,リスク管理を経営の最重要課題の一つととらえ,グループ全体で強化に取り組んでいます。
リスク管理の基本目的は,事業の継続,役員並びに従業員とその家族の安全確保,経営資源の保全,社会的信用の確保です。そして,次のとおり行動指針を定め,これに沿ったリスク管理を行なっています。
①IHIグループの事業継続を図ること
②IHIグループの社会的評価を高めること
③IHIグループの経営資源保全を図ること
④ステークホルダーの利益を損なわないこと
⑤被害が生じた場合には,速やかに回復を図ること
⑥事態が発生した場合には,責任ある行動をとること
⑦リスクに関する社会的要請を反映すること
(2)当社グループのリスク管理体制
当社グループでは,リスク管理全般にかかわる重要事項を検討する機関として,CEOを議長とするリスク管理会議を設置し,取り組み方針や年次計画,是正措置などの重要事項を検討しています。
重点的に対処すべきリスクを「IHIグループリスク管理活動重点方針」として定め,当社の各部門及び海外を含む関係会社は,この方針に沿って主体的・自律的にリスク管理活動を進めています。
グループ全体に共通するリスクについては,主に当社のコーポレート部門から構成されるグループリスク統括部門が専門性を活かした情報提供や教育を実施し,各部門のリスク管理活動を支援しています。また,内部監査部門は,グループのリスク管理体制の整備状況及び運用状況について監査を実施し,適正性確保に努めています。
また,強固なリスク管理を行なうため,内部監査部門・コーポレート部門・事業領域・事業部門(関係会社を含む)の役割と責任を明確化したリスク管理体制を構築しています。関係会社を含む事業部門は,リスクの特定と直接対応にあたり,事業領域は,事業部門のリスク管理活動に対する監視及び指示と,新しいリスクの予兆検知を担当します。当社のコーポレート部門は,事業部門,事業領域によるリスク管理活動に対する評価及び助言,未認識リスクへの注意喚起,新しいリスクの予兆検知,顕在化したリスク事象の水平展開を担当し,内部監査部門はそれらリスク管理機能の保証を担当します。
(3)2023年度のリスク管理活動
2023年度の「IHIグループリスク管理活動重点方針」では,重点テーマとして,次の事項について注力することとしています。
①強固な事業運営基盤の確保を妨げるリスクへの対応
・コンプライアンス
・品質保証
・経済安全保障
・情報セキュリティ
・人権の尊重
・人財リスク
②事業シナリオの実行を妨げるリスクへの対応
「強固な事業運営基盤の確保」を妨げるリスクへの対応として,コンプライアンス及び品質保証体制については,2019年度に制定した「IHIグループ行動規範」,「IHIグループ品質宣言」の下,IHIグループ全員がコンプライアンス徹底を誓う「コンプライアンスの日」(毎年5月10日)に関する活動や,声の出る職場づくりの推進等,過去の教訓を風化させない職場環境づくりを進めています。経済安全保障,情報セキュリティ,人権の尊重,人財確保に関する取り組みについては,(4)事業等のリスクに記載しています。また,「事業シナリオの実行」を妨げるリスクについては,資機材価格の急激な変動による影響や国際情勢の急激な変化への対応を含め,当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化していることを鋭敏に捉えた上で,4つの事業領域がそれぞれの戦略を遂行するにあたって阻害要因となるリスクに迅速・的確に対応するべく,重点的な管理を進めています。
また,事業計画に潜むリスクを網羅的に確認するため,多岐にわたる事業関連リスクについて,対応計画と実施状況を継続的に評価・確認し,必要に応じてリスク評価を含めた対応計画の見直しを進めています。
(4)事業等のリスク
事業の状況,設備の状況,経理の状況に記載した事項のうち,当社グループの業績,財政状態に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
文中における将来に関する事項は,当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは,以下のリスクを認識した上で,必要なリスク管理体制を整え,リスク顕在化の回避及びリスク顕在化時の影響の極小化に最大限努めています。
当社グループは,ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や米中の政治上の確執をはじめとする国際情勢の悪化,世界的なインフレの進行やエネルギー不足,人財不足,そして激甚災害の多発など,不安定さが常態化する社会環境を踏まえ,万が一に備える体制の構築を通じて,劇的な環境変化に対応可能な企業体質への変革を加速していきます。
また,当社グループは,経営環境の変化による「リスク」と「機会」の適切な把握をグループ全体の課題として捉え,環境変化の中で従来事業の枠を超えた事業変革を進める際に潜むリスクの識別と,重要なリスクの特定・分析,及び機動的なリスク管理の推進に取り組んでいます。
① 社会的責任
a. 法令・規制
当社グループは,グローバルに事業の展開を進める上で,日本のみならず各国・各地域の各種法令,行政による許認可や規制の制約を受けており,その遵守に努めています。こうした法令等に強化や改正が生じた場合,それらへの対応コストが当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。一方,各種法令等に対する理解が不十分,又は予期せぬ変更への対応が適切でない場合等に各種法令等に違反したと判定され,過料や課徴金,追徴課税等による損失や営業停止等の行政処分によって機会逸失を被る,あるいはそれに伴う社会的評価の低下によって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
他のリスクに記載した項目を除いて,係争中の訴訟案件のうち,当社グループの経営に重大な悪影響を及ぼす可能性のある訴訟は存在しないものと認識しています。しかしながら,現時点で認識していない想定外の訴訟が発生した場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
b. 品質保証
当社グループは,お客さまの満足,安全,安心を実現する製品・サービスを提供するために品質マネジメントシステムを構築し品質を保証する仕組み・体制を整備しています。このシステムの中には,お客さま要求を含む必要な要求事項の反映や計画段階で想定されるリスクへの対応も含まれます。しかし,想定外の事態が発生した場合には,お客さまの評価や社会的評価の低下を招くとともに損害賠償等が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
c. 環境保全
当社グループには,製造工程で,大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所・子会社等があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い,万一外部に漏洩した場合においてもその拡大を最小限に抑えるための対策を講じています。しかしながら,想定外の事態が発生した場合には,社会的評価の低下を招くとともに損害賠償責任が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
d. 人権
当社グループは,国際規範とIHIグループ人権方針に基づき,サプライチェーンも含めた事業活動全般にわたる人権尊重の取組みを推進しています。具体的には,人権に関わるリスクを把握・評価し,人権に対する取組みの効果を検証・改善する,人権デュー・ディリジェンスの実施,サプライチェーンにおいても,人権・労働・安全衛生・環境・情報管理などに十分配慮しながら,お取引先と協働して社会的責任を果たしていくCSR調達等に取り組んでいます。しかしながら,当社グループの事業活動において,人権の侵害や人権を軽視した事象が発生した場合,社会的信用の喪失,あるいはお客さまとの取引停止や損害賠償責任の発生などにより,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
e. 安全衛生
当社グループは事業所及び建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じていますが,万一不測の事故・災害等が発生した場合には,生産活動に支障をきたし,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは,各種損害保険等に加入する等の対策を講じていますが,大規模な事故や災害が生じた場合,損害のすべてを保険求償できない可能性があります。
② 外部環境変化への備え
a. 競争環境と事業戦略
当社グループは,中期経営計画「グループ経営方針2023」の下,不安定さが常態化する社会環境においても,持続的な高成長を実現する取組みを推進しています。
ただし,航空旅客需要,自動車生産台数,その他消費・設備投資動向,資源・エネルギー価格,サプライチェーンにおける資機材価格・輸送費,人件費などの動向により市場環境が変動する中で,当社グループの製品・サービスの市場における競合企業に対する優位性が急激に変化する場合があり,その場合は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
b. 他社との連携・M&A
当社グループは営業協力,技術協力,生産協力や事業合弁の形で多くの他社との共同事業活動を行なっています。また,成長市場への事業展開の加速,要素技術の補完,シナジーの創出などを目的としたM&Aなども有効に活用しています。しかし,経済環境の変化,法的規制,予期せぬ費用増加等の影響により,当初期待された効果を出せない可能性があります。また,当初期待した効果を享受できないと判断された場合は,他社との連携による共同事業の中断,解消を決断する可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
c. カントリーリスク
当社グループの調達・生産・輸出・販売・建設等の諸活動はグローバルに展開されています。各国・各地域の政治・経済の混乱並びにそれに起因する為替取引の凍結・債務不履行・投資資産の接収,想定していなかったテロ・労働争議の発生や,政情不安やデフォルト等により事業の継続や拠点経営が困難になった場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらリスクに対し,貿易保険の付保徹底やカントリーリスクに関する情報の収集とグループ内の啓蒙,事業継続計画(BCP)の作成・見直し等の体制強化に努めています。
本項目については,ロシアによるウクライナ侵攻やミャンマーの政変,米中の政治上の確執,経済安全保障問題による影響の拡がり等,不確実性が高まっていることから,重要度が上昇していると認識しています。
d. 経済安全保障
昨今のグローバル化の進展の中,国家間の経済依存関係は深化し,経済活動と安全保障は不可分な関係にあります。ロシアによるウクライナ侵攻や米中の政治上の確執等,国際情勢の急激な変化に伴い,日本を含め各国の政策や法規制が変更され,サプライチェーンの強靭化や先端的な重要技術の開発等,経済安全保障に係る課題が生じています。これらの課題を解決できないまま,各国の政策変更等により当社グループの生産,調達,輸出その他の事業活動が制約を受けた場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
e. 自然災害・疾病・紛争テロ
当社グループは,新型コロナウイルスのような大規模な感染症の拡大,地震・洪水等の激甚災害,テロ等の犯罪行為,情報システムの機能不全等によって業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても,その影響を最小限に抑えるべく,規定や事業継続計画(BCP)を見直すとともに,必要に応じて非常時を想定した訓練等を実施しています。しかし,想定規模を超える災害やシステム不全が発生した際には事業を適切に遂行できず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 経営リソース・企業活動
a. 人財確保
当社グループの事業基盤を維持し,将来の成長につなげていくためには,事業活動に必要な人財の獲得,定着,育成が必要になります。キーパーソンとなりうる人財を確保できなかった場合には,当社グループの将来の成長,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
b. 為替動向
外貨に対して円が上昇した場合は外貨建輸出工事における円換算後の入金額は目減りし,下落した場合は現地通貨建の海外調達において円換算支出額の増加を招く等,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼします。そのため,外貨建資産と負債のポジションの不均衡に対して,一定の方針に基づき為替予約やマリーの徹底によるリスクヘッジに努めていますが,想定以上の為替変動が発生した場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
c. 金利動向
金利が上昇した場合,当社グループの支払利息が増加し金融収支が悪化します。また,財務活動において借入,又は社債発行の条件が悪化する可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
d. 資金調達・格付
当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており,自己資本と利益に関する財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同条項に抵触した場合,同ローンの借入れ条件の見直しや期限前弁済義務が生じる可能性があり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また,格付機関が当社グループの格付を引き下げた場合,当社グループの財務活動において不利な条件で取引をせざるを得ない,あるいは一定の取引ができなくなる可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
e. 保証債務等
当社グループは,事業活動を営む上で必要かつ合理的と確認したものについて,債務の保証等を行なっていますが,経済環境悪化の長期化や事業の失敗等により債務者の財政状態が悪化した場合,保証の履行を債権者より求められる可能性があります。
保証債務等に係る情報は,第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「40.偶発債務」に記載しています。
f. 税務
繰延税金資産の計算は,将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて個別に資産計上・取崩を行なっていますが,将来の課税所得の予測・仮定が変更され,繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合,当社グループの繰延税金資産は減額され,その結果,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また,国境をまたぐ当社グループ会社間の取引価格の設定においては,適用される移転価格税制の遵守に努めていますが,税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受けた場合,追徴課税や二重課税が生じることにより,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
g. 与信管理
当社グループは,世界中のお客さまに製品・サービスを提供しており,その多くが掛売り又は手形取引となっています。当社はこれに対し,グループ全体で与信管理体制の強化と債権保全の徹底に努めているものの,重要なお客さまが破綻し,その債権が回収できない場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
2023年5月に航空会社が破産申請したことにより,当社が民間航空機エンジンの国際共同事業会社を通じて参画しているエンジンプログラムにおいて,当社が間接的に保有する営業債権の一部が回収不能となる可能性が生じました。本件を受けて,当社グループでは,債権回収リスクを低減するため債権管理の高度化に向けた検討を進めています。
h. 情報セキュリティ
当社グループは,技術情報及び事務管理情報並びにそれらを処理するための情報システムを事業に活用する上で,相応の情報セキュリティ対策を講じるとともに,サイバー攻撃の巧妙化やテレワークの増加等を考慮した対策の強化,従業員への情報セキュリティ教育の徹底に努めています。しかし,サイバー攻撃,情報機器や文書の紛失・盗難,ハードウェアの故障やソフトウェアの不備により,情報流出やシステム障害に伴う業務停止の事態が発生する可能性があり,それに伴い当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
i. 研究開発
当社グループの研究開発活動に係る情報は,第2「事業の状況」6研究開発活動に記載されています。これら研究開発活動は事業の性格上,多額の投資とともに長期の開発期間が必要とされるという特性があります。そのため,実用化機会の逸失や事業戦略・市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
j. 知的財産管理
当社グループは保有する知的財産の適切な保全(特許・実用新案・先使用権の取得)に努めています。しかし,第三者による当社グループ製品・サービスの模倣や解析調査等技術的に当社グループに影響を与えるような動きを完全に防止することが困難な場合があります。
また,当社グループが将来に向けて開発している製品・サービスが,意図せず他社等の知的所有権を侵害してしまう場合や,従業員の発明に対して適切な対応を取らなかったとみなされた場合に損害賠償等を求められ,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
k. 技術契約
当社グループは,国内外において多岐にわたる製品・サービスを取り扱うため,他社との間に技術供与・導入に関する契約を締結する場合があります。締結前には,当社グループに不利若しくは履行不能な条件が無いか,必要条件の欠落が無いか等,十分な社内審査を行なうよう努めています。しかし,事前の検討不足や契約条件の理解不足等により計画を超える保証・補填・ペナルティーが発生する,あるいは事業上の制約を受ける等の可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
l. プロジェクト管理
当社グループは,個別にお客さまと受注契約を締結した後に製品を生産する場合が多く,請負金の大きい工事については受注契約締結前に多面的な社内審査を行なっています。しかし,契約締結後に当初想定できなかった経済環境の変化や検討不足,予期しないトラブル,JV等のパートナー企業の経営悪化等により見積コストを上回る工事の発生,お客さまから要求された性能・納期の未達によるペナルティーの支払い,追加費用の発生等の可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,お客さま都合による受注契約の取り消しのケースでは,受注契約条件の中で違約金条項を設定する等そのリスク回避に最大限努力しているものの,必ずしも支出したコストの全額を回収できない可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
プロジェクトのモニタリングについては,全社レベルのモニタリングの継続・強化,有識者によるリスクレビューの徹底に取り組んでいます。引き続き徹底したプロジェクト管理を強化していきます。
なお,当社グループが北米で遂行したプロセスプラント案件について,納期の未達によるペナルティーの請求書受領に関する情報は,第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「40.偶発債務」に記載しています。
m. 調達・物流
当社グループはキーとなる主要部品を自社グループ内で製造するよう努めている一方で,複数のグループ外調達先より原材料・部品・サービスの供給を受けています。主要な原材料・部品の市況動向については日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに,調達先の品質・納期等の管理を徹底し,特定の調達先への過度の集中・依存を避けるべく調達先の分散化等を進め,リスクの低減に取り組んでいます。しかしながら,資機材価格の急激な変動,特殊鋼などの需給バランスの変化や国際情勢の急変に加え,激甚災害や新型コロナウイルスのような大規模な感染症の拡大に伴う当社グループのサプライチェーン途絶等の問題が生じた場合,コストアップ,納期遅延等の問題が生じたり,人権尊重への取り組みや,サステナブルな社会を実現するためにCSR調達を推進していく過程で,調達コストが上昇したりする可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
n. 生産・製造
当社グループは,第3「設備の状況」2主要な設備の状況にあるとおり,各地に生産拠点を有しますが,生産施設に影響を及ぼす激甚災害,新型コロナウイルスのような大規模な感染症の拡大,ロシアによるウクライナ侵攻など国際情勢の急激な変化に伴う生産遅延・停止・サプライチェーンの途絶,停電,あるいは生産活動に影響を与える資機材の入手困難,電力制限が,BCPの想定範囲を超えた場合,あるいは生産量が当社グループの想定以上に急激に変動した場合,生産能力調整が十分にできない可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は,ロシア連邦によるウクライナ侵攻の長期化などの地政学リスクの高まり,世界的なインフレや金融引き締めなどにより,先行き不透明な状況が続きました。一方,低迷していた中国経済は,ゼロコロナ政策の解除を契機に,内需を中心に一時的な持ち直しの動きが見られました。わが国経済については,コロナ禍から経済活動が正常化していく中で,世界的なインフレの影響は受けつつも,景気は緩やかに持ち直しています。
当社グループの主力事業である民間向け航空エンジンは,サプライチェーンの混乱は続くものの,新型コロナウイルス感染症により落ち込んだ旅客需要の回復に伴って,スペアパーツ販売などのアフターマーケットはおおむね順調に推移しました。
車両過給機においては,半導体不足は解消しつつあるものの,世界的な景気減退リスクが懸念される中,自動車会社の生産台数は緩やかな回復にとどまりました。
当社グループの事業全体として,原材料価格の高騰は,多くの事業の採算性に影響を及ぼしていますが,為替が円安水準で推移していることに加えて,販売価格への着実な反映や工事採算の改善などによる成果も現れ始めています。
当社グループは,「プロジェクトChange」という取り組みにおいて,当連結会計年度までの期間を環境変化に即した事業改革への準備期間と位置づけ,成長軌道への回帰と成長事業の創出に取り組んできました。とくに,製品・サービス事業からライフサイクルでの価値提供(ライフサイクルビジネス)へのビジネスモデル転換や収益基盤の強化を推進してきました。
このような取り組みにより,当社グループの当連結会計年度の受注高は前年度比8.3%増の1兆3,661億円となり,売上収益についても,15.3%増の1兆3,529億円となりました。
損益面では,営業利益は,前年度に保有資産の売却益を計上したことによる減益や原材料価格の高騰の影響はあるものの,民間向け航空エンジンでスペアパーツ販売の増加と採算改善,原子力関連機器の増収やカーボンソリューションでの採算改善などに加え,為替が円安で推移したことにより,4億円増益の819億円となり,報告セグメントのすべてで増収増益となりました。一方で,税引前利益は,持分法による投資損失や為替差損の計上などにより,227億円減益の648億円,親会社の所有者に帰属する当期利益は215億円減益の445億円です。
当連結会計年度の報告セグメント別の業績は以下のとおりとなりました。
(単位:億円)
|
報告セグメント |
受注高 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前期比 |
|||||
|
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
前期比 増減率 (%) |
(2021.4~2022.3) |
(2022.4~2023.3) |
増減率(%) |
||||
|
売上収益 |
営業 損益 |
売上収益 |
営業 損益 |
売上収益 |
営業 損益 |
||||
|
資源・ エネルギー・ 環境 |
3,738 |
3,934 |
5.2 |
3,444 |
229 |
3,713 |
262 |
7.8 |
14.2 |
|
社会基盤・海洋 |
1,810 |
1,340 |
△25.9 |
1,673 |
153 |
1,710 |
170 |
2.2 |
11.2 |
|
産業システム・ 汎用機械 |
3,845 |
4,559 |
18.6 |
3,769 |
128 |
4,365 |
180 |
15.8 |
40.2 |
|
航空・宇宙・防衛 |
3,047 |
3,727 |
22.3 |
2,652 |
△93 |
3,641 |
361 |
37.3 |
- |
|
報告セグメント 計 |
12,441 |
13,562 |
9.0 |
11,540 |
418 |
13,431 |
975 |
16.4 |
133.1 |
|
その他 |
547 |
539 |
△1.5 |
627 |
△10 |
542 |
13 |
△13.5 |
- |
|
調整額 |
△376 |
△440 |
- |
△439 |
406 |
△444 |
△168 |
- |
- |
|
合計 |
12,612 |
13,661 |
8.3 |
11,729 |
814 |
13,529 |
819 |
15.3 |
0.6 |
<資源・エネルギー・環境>
世界各国でカーボンニュートラル化に向けた動きが加速しており,環境負荷低減に向けた課題は,国・地域やお客さまの事情により多様化しています。化石資源からの脱却は,エネルギー分野の電力・ガスといったユーティリティ部門だけでなく,鉄鋼や化学をはじめとした産業分野でも素材の製造プロセスの脱CO₂化に向けた動きに広がりがみられます。
このような事業環境のもと,受注高は,東南アジアでの大型発電所プロジェクトの受注などで増加しました。
売上収益は,原子力などで増収となりました。
営業利益は,原子力で工事進捗やカーボンソリューションでの採算改善により増益となりました。
<社会基盤・海洋>
国内においては,インフラの老朽化や気候変動による自然災害の激甚化の対策として国土強靭化政策は継続されており,流域治水や橋梁の維持,修繕,事後保全の更なる推進が求められています。一方,人口減少の中,建設分野における人手不足は常態化しており,インフラ整備・維持管理を着実に行なうため,省人化・自動化及びDXの推進による生産性向上が求められています。
このような事業環境のもと,受注高は,橋梁・水門等で減少しました。
売上収益は,橋梁・水門などで増収となりました。
営業利益は,橋梁・水門での増収や海外案件の採算改善により増益となりました。
<産業システム・汎用機械>
自動車業界を中心に影響の大きかった,中国におけるロックダウンによる混乱は解消されたものの,産業分野全体としては人件費・原材料・エネルギー価格の高騰が常態化しており,資機材の供給不足・長納期化が続いている状況です。
その一方で,産業分野のメガトレンドとして,エネルギーを多く使用する業界を中心としたカーボンニュートラルへのニーズや,労働人口の減少による省人化に対するニーズの高まりは一層加速しています。また,世界経済の分断化によって地産地消の自律的な社会への転換が進展しています。これらの変化は,新たなビジネスを創出する機会となっています。
このような事業環境のもと,受注高は,車両過給機や運搬機械などで増加しました。
売上収益は,為替が円安で推移した影響もあり,車両過給機や熱・表面処理,回転機械などで増収となりました。
営業利益は,パーキングや物流・産業システムで減益となったものの,車両過給機や回転機械の増収などで増益となりました。
<航空・宇宙・防衛>
世界の旅客需要は着実に回復をしており,当社のエンジンは燃費及び運用コストにおける優位性から,アフターマーケットでの収益も回復を継続しています。また,防衛予算の増額,宇宙産業の市場拡大の流れを受け,防衛・宇宙事業においても,新たな価値創造を図り,競争力向上を目指していきます。一方で,サプライチェーンの混乱や物価高騰は継続しており,将来の事業環境は依然として不透明なところもあるため,変化に打ち勝つ事業体質構築に向け,DXの活用による生産性向上等,コスト構造強化をさらに推進し,成長を加速していきます。
このような事業環境のもと,受注高は,民間向け航空エンジンなどで増加しました。
売上収益は,民間向け航空エンジンでのエンジン本体・スペアパーツの販売増加に加え,為替が円安で推移した影響もあり増収となりました。
営業利益は,民間向け航空エンジンでの,スペアパーツの販売増加や新製エンジンの原価低減や性能改善に伴うプログラム関連費用の負担減少などで黒字に転じました。
なお,文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において判断したものです。
b.資産及び負債,資本の状況
当連結会計年度末における総資産は1兆9,419億円となり,前連結会計年度末と比較して622億円増加しました。主な増加項目は,棚卸資産で343億円,営業債権及びその他の債権で304億円,主な減少項目は,現金及び現金同等物で207億円です。
負債は1兆4,857億円となり,前連結会計年度末と比較して130億円増加しました。主な増加項目は,社債及び借入金で214億円です。有利子負債残高はリース負債を含めて5,194億円となり,前連結会計年度末と比較して139億円増加しました。これには,「脱CO₂の実現」の取組みの一環として発行したトランジション・ボンドを含みます。
資本は4,562億円となり,前連結会計年度末と比較して492億円増加しました。これには,親会社の所有者に帰属する当期利益445億円が含まれています。
以上の結果,親会社所有者帰属持分比率は,前連結会計年度末の20.3%から22.2%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下,「資金」という)の残高は,前連結会計年度末と比較して207億円減少し,1,247億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは541億円の収入超過(前連結会計年度は1,141億円の収入超過)となりました。これは,調達品の価格上昇や納入遅れに備えた在庫の確保などにより棚卸資産が増加したものの,利益の獲得により資金が増加したためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは523億円の支出超過(前連結会計年度は279億円の収入超過)となりました。これは,有形固定資産の取得による支出があったためです。前年同期は有形固定資産の取得による支出があった一方で,保有資産の売却による収入により収入超過となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは240億円の支出超過(前連結会計年度は1,214億円の支出超過)となりました。これは,配当金の支払や金融負債の返済による支出があったためです。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示し,比率は四捨五入表示しています。
③生産,受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと,次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
資源・エネルギー・環境 |
384,267 |
9.4 |
|
社会基盤・海洋 |
170,288 |
0.3 |
|
産業システム・汎用機械 |
434,025 |
12.8 |
|
航空・宇宙・防衛 |
368,957 |
32.2 |
|
報告セグメント 計 |
1,357,537 |
14.6 |
|
その他 |
33,805 |
12.1 |
|
合計 |
1,391,342 |
14.5 |
(注)1. 金額は販売価格によっており,セグメント間の取引を相殺消去しています。
2. 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。
b.受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと,次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前期比(%) |
期末受注残高 (百万円) |
前期末比(%) |
|
資源・エネルギー・環境 |
393,402 |
5.2 |
565,718 |
7.2 |
|
社会基盤・海洋 |
134,094 |
△25.9 |
218,410 |
△12.7 |
|
産業システム・汎用機械 |
455,982 |
18.6 |
201,033 |
11.2 |
|
航空・宇宙・防衛 |
372,759 |
22.3 |
293,455 |
3.4 |
|
報告セグメント 計 |
1,356,237 |
9.0 |
1,278,616 |
2.9 |
|
その他 |
53,938 |
△1.5 |
20,879 |
△8.7 |
|
調整額 |
△44,003 |
- |
- |
- |
|
合計 |
1,366,172 |
8.3 |
1,299,495 |
2.7 |
(注)1. 各セグメントの受注高は,セグメント間の取引を含んでおり,調整額でセグメント間取引の合計額を消去しています。
2. 各セグメントの受注残高は,セグメント間の取引を相殺消去しています。
3. 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと,次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
資源・エネルギー・環境 |
371,397 |
7.8 |
|
社会基盤・海洋 |
171,038 |
2.2 |
|
産業システム・汎用機械 |
436,526 |
15.8 |
|
航空・宇宙・防衛 |
364,172 |
37.3 |
|
報告セグメント 計 |
1,343,133 |
16.4 |
|
その他 |
54,277 |
△13.5 |
|
調整額 |
△44,470 |
- |
|
合計 |
1,352,940 |
15.3 |
(注)1. 販売実績は売上収益をもって示します。
2. 金額はセグメント間の取引を含んでおり,調整額でセグメント間取引の合計額を消去しています。
3. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
一般財団法人 日本航空機エンジン協会 |
88,214 |
7.5 |
157,344 |
11.6 |
4. 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。
(2)経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は,IFRSに準拠して作成されています。連結財務諸表の作成に当たり,見積りが必要となる事項については,合理的な基準に基づき,会計上の見積りを行なっています。
詳細については,第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「3.重要な会計方針」,及び注記「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループ及びセグメントごとの経営成績の状況は(1)経営成績等の状況の概要の①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりです。
当社グループは,「プロジェクトChange」での取り組みにおいて,当連結会計年度までの期間を環境変化に即した事業改革への準備期間と位置づけ,成長軌道への回帰と成長事業の創出に取り組んできました。
成長軌道への回帰については,製品・サービス事業からライフサイクルでの価値提供へのビジネスモデル転換をはかりました。ライフサイクルビジネスの売上収益は2019年度比+35%となり,「プロジェクトChange」の目標を達成しています。また,コスト構造強化にも取り組み,DXの活用による生産性向上や業務プロセスの改革が進んでいます。
成長事業の創出については,新たなビジネスモデルとして,アンモニアバリューチェーン事業への取り組みを本格化してきました。その結果,「プロジェクトChange」での経営目標は達成できなかったものの,過去最高水準の営業利益を実現することができ「グループ経営方針2023」につながる準備は整いつつあります。
「プロジェクトChange」のもとで準備した事業変革を本格化していくため,「グループ経営方針2023」では,当社の成長をけん引する成長事業として航空エンジン・ロケット分野を,また将来の事業の柱として期待される育成事業としてクリーンエネルギー分野を位置づけ,これらの成長・育成事業に経営資源を大胆にシフトし,投資を実行していきます。中核事業である資源・エネルギー・環境,社会基盤,産業システム・汎用機械の各分野では,引き続き事業ポートフォリオの変革を通して継続的な成長シナリオを描き,投資に必要なキャッシュを創出していきます。また,それらを実現するために必要な人財並びにDXへの投資を進め,企業文化,企業体質の変革を進めていきます。
|
|
2019年度 (2020年3月期) |
2020年度 (2021年3月期) |
2021年度 (2022年3月期) |
2022年度 (2023年3月期) |
「プロジェクトChange」 2022年度 経営目標 |
|
ROIC |
4.1% |
2.2% |
6.4% |
6.3% |
10%以上 |
|
営業利益率 |
3.8% |
2.5% |
6.9% |
6.1% |
8%以上 |
|
CCC |
92日 |
124日 |
112日 |
120日 |
80日 |
(注)各指標の算出方法は次のとおりです。
・ROIC :(1-法定実効税率)×(営業利益+受取利息+受取配当金)
÷(親会社の所有者に帰属する持分+有利子負債の金額)
・CCC :運転資本÷売上収益×365日
・運転資本:営業債権+契約資産+棚卸資産+前払金-契約負債-営業債務-返金負債
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.財務戦略の基本的な考え方
当社グループは,事業基盤の強化やキャッシュ創出力向上の取組みを通じて得られた自己資金を原資として,財務基盤の拡充と株主還元のバランスを取りながら,事業変革のための投資を進めていくことを財務戦略の基本方針としています。
2022年度のキャッシュ・フローは,営業活動によるキャッシュ・フローが541億円の収入となり,投資活動によるキャッシュ・フローは523億円の支出となりました。合計したフリー・キャッシュ・フローは17億円となり,前連結会計年度に対して1,403億円減少しました。「プロジェクトChange」の取組みの成果により,キャッシュを稼ぐ力の基盤は確立できたものの,運転資本削減に課題が残っています。
引き続き当社グループは,「グループ経営方針2023」で掲げる業務プロセス改革やデジタル基盤の高度化による,業務効率化と固定費・変動費の削減,CCCの改善により,継続的に営業キャッシュ・フローの創出を図り,成長・育成事業への最適な資金配分により,持続的な高成長を実現する企業体質への変革を実現し,企業価値向上へつなげていきます。
b.資金調達の方針
当社グループの運転資金,投資向け資金等の必要資金の財源については,主として営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金を財源とすることを原則としていますが,必要に応じて,短期的な資金については銀行借入やコマーシャル・ペーパーなど,設備資金・投融資資金等の長期的な資金については,金融市場動向や既存借入金及び既発行債の償還時期等を総合的に勘案し,長期借入金や社債等によって調達しています。
外部からの資本・資金調達については,関連するリスクを適切にコントロールした上で,資本コストを最小化する調達を実現することを資金調達の基本方針としています。
また,当社グループ内部では,グループガバナンスの向上,資金効率の向上及び資本コストの低減を図り,企業価値向上に寄与するため,グループ一体となった資金調達・資金収支管理を実施しており,当社と国内子会社間,また海外の一部地域の関係会社間ではキャッシュ・マネジメント・システムによる資金融通を行ない,グループ内の流動性確保,資金効率向上に努めています。
c.資金需要,資金調達及び流動性の分析
当社グループの主な資金需要は,事業活動に必要な運転資金,成長事業創出のための研究開発費及び設備投資等です。
当連結会計年度末の有利子負債残高はリース負債を含めて5,194億円となり,前連結会計年度末に対して139億円増加しました。これは主として,事業活動による運転資金の増加を外部借入で調達したことや社債を発行したことによるものです。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,247億円であり,前連結会計年度末と比較して207億円減少しています。手元資金の流動性については現金及び現金同等物に加え,主要銀行とのコミットメントライン契約や当座貸越枠,コマーシャル・ペーパーなど多様な調達手段とあわせて,今後も十分な水準を確保していきます。
また,資金調達にあたっては流動性の確保の観点に加え,「脱CO₂の実現」の取り組みの一環として,2022年6月に,機械セクターで初のトランジション・ボンドを発行しました。
外部借入においてもESGファイナンスを積極的に取り組んできました。ESGを軸においた経営をファイナンス面から促進すべく,今後もESGファイナンスに積極的に取り組んでいきます。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示しています。
技術導入契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
当社 |
GEAE |
米国 |
T700-401C, T700-701Cターボ シャフトエンジン |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
1989年9月26日から 2025年4月30日まで |
|
当社 |
GEAE |
米国 |
F110-129ターボ ファンエンジン |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
1996年9月27日から 2030年4月30日まで |
|
当社 |
Rolls-Royce Corporation |
米国 |
T56-A ターボプロップ エンジン |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
2008年11月7日から 2028年10月31日まで |
|
当社 |
Rolls-Royce Corporation |
米国 |
T56-A-427A ターボプロップ エンジン |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
2019年9月16日から 2029年9月30日まで |
|
当社 |
United |
米国 |
F100ターボ ファンエンジン |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
1978年6月27日から 2025年9月30日まで |
|
当社 |
United |
米国 |
F135ターボ ファンエンジン |
契約品目の日本における非独占製造権 |
2013年10月17日から 2027年9月30日まで |
|
㈱IHI原動機 (連結子会社) |
Man Energy Solutions France Sas |
フランス |
汎用中速ディーゼルエンジン |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
1995年11月14日から 2023年12月31日まで |
|
㈱IHI原動機 (連結子会社) |
Winterthur Gas & Diesel Ltd. |
スイス |
汎用低速ディーゼルエンジン |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
2009年1月1日から 2024年12月31日まで |
|
㈱IHI回転機械 エンジニアリング (連結子会社) |
ABB Turbo |
スイス |
ターボ過給機 |
契約品目の日本における独占製造権 |
1998年9月24日から JV終了日まで |
|
㈱IHIエアロ スペース (連結子会社) |
Lockheed Martin Corporation. |
米国 |
多連装ロケット システム |
契約品目の製造・販売に関する非独占的権利の取得 |
1993年1月20日から 2023年8月31日まで |
当社グループ(当社及び連結子会社)は,「グループ経営方針2019」に基づくグループ技術戦略を定め,社会とお客さまの課題解決に関わる技術に重点をおき研究開発に取り組んできました。資源・エネルギー・環境,社会基盤・海洋,産業システム・汎用機械,航空・宇宙・防衛の各セグメントにおける製品の競争力強化,及び今後の事業拡大・創造につながる基礎研究から実用化研究までを,事業領域,本社部門並びに技術開発本部が密接に連携・協力し,推進しています。加えて,国内外の大学や研究機関との産学官連携による共同研究にも積極的に取り組んでいます。
また,2020年11月に公表した「プロジェクトChange」において,成長事業分野を「カーボンソリューション」,「保全・防災・減災」,「航空輸送システム」の3つに再定義しました。その上で,2021年度に新設した社長直轄の戦略技術統括本部が,成長事業に必要な戦略技術として,「カーボンソリューション」分野においてはアンモニアの製造・輸送・使用を含むバリューチェーン構築を目指す技術,「保全・防災・減災」分野では自然環境の観測・モデリングによる災害の予測やそれらに応じたインフラ制御,並びに,生態系保全を含めた環境価値創出に係る技術,「航空輸送システム」分野では機体システムの電動化による脱炭素化に係る技術を選定し,獲得活動を主導しています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
各セグメント別の主な研究開発の成果及び研究開発費は次のとおりです。
(1)資源・エネルギー・環境
資源・エネルギー・環境事業領域,技術開発本部並びに戦略技術統括本部では,地域・お客さまごとに最適な総合ソリューションを提供することにより脱CO₂・循環型社会に貢献することを目指し,エネルギー,カーボンソリューションに係る研究開発を行なっています。
当連結会計年度の主な成果として,世界初となる液体アンモニア100%燃焼によるガスタービンでのCO₂フリー発電の達成,GE社とのアンモニア専焼大型ガスタービン開発に関する覚書の締結,碧南火力発電所のアンモニア混焼実証事業における大規模混焼開始時期の前倒し,CO₂と水素から燃料をつくるメタネーション装置の開発,東北大学とのアンモニアバリューチェーン共創研究所の設置が挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は
(2)社会基盤・海洋
社会基盤・海洋事業領域と技術開発本部では,橋梁・トンネルを軸に,安全・安心な社会インフラの実現のためグローバルかつライフサイクルにわたり貢献することを目指し,保全・防災・減災,橋梁・水門等に係る研究開発を行なっています。
当連結会計年度の主な成果として,センシング・通信・データ技術を活用するIoTボルトを用いた長大吊橋モニタリングシステムの運用開始,ドイツにおける踏切障害物検知装置の製品認証取得,BIM/CIMへの取組みが挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は
(3)産業システム・汎用機械
産業システム・汎用機械事業領域と技術開発本部では,お客さまと共にオペレーションの最適化をライフサイクルで徹底追求することにより,産業インフラの発展に貢献することを目指し,車両過給機,パーキング,回転機械,熱・表面処理,運搬機械,物流・産業機械システムに係る研究開発を行なっています。
当連結会計年度の主な成果として,世界最大手の自動車パワートレインエンジニアリング会社AVL社の燃料電池システム向けにIHI電動ターボチャージャー(ETC)の搭載決定,JFEスチール株式会社とのトラック自動搬送システムの実証試験の開始,3次元ピッキングシステム「SKYPOD」の技術開発拠点・体験型ショールームとなる「横浜ロジラボ」の開所,国内初となるリモコン操作が可能な小型ハンマーナイフ式草刈機の開発,ファインバブル技術を用いた除菌水「Re:Clear(リクリア)」専用の霧化式空間除菌装置の開発が挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は
(4)航空・宇宙・防衛
航空・宇宙・防衛事業領域と技術開発本部では,先進技術により,航空輸送,防衛システム及び宇宙利用の未来を切り拓き,豊かで安全な社会の実現に貢献することを目指し,航空エンジン,ロケットシステム・宇宙利用に係る研究開発を行なっています。
当連結会計年度の主な成果として,ノースロップ・グラマンとの小型・高機動人工衛星の協業に関する覚書の締結,次期戦闘機の国際共同開発への参画,航空機推進系大出力電動モータ試作機の開発成功,住友林業との宇宙コラボレーションによる熱帯泥炭地管理コンサルティングサービスの開始,海と宇宙の連携による海上安全の向上に向けた「衛星VDESコンソーシアム」の設立,JAXA F7エンジンでの1400℃級CMCシュラウド実証試験の実施が挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は
(5)その他
本社部門と技術開発本部では各事業領域と連携しながら,各セグメントの将来を担う新技術・新事業分野及び中長期的な研究開発を担当し,同時に,共通基盤技術に係る研究開発を行なっています。
当連結会計年度の主な成果として,持続可能な航空燃料(SAF)合成技術開発においてCO₂からの炭化水素生成で世界トップレベルの収率を確認,IoT機器会社GUGENとエネルギーのグリーン化やCO₂排出削減に取り組むお客さまの活動を価値化し脱炭素化を促進する共同プロジェクトを開始したことなどが挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は126億円です。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示しています。