文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業集団(当社および連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略・経営指標等
当社グループは、中核である新造船事業においては、当社、佐世保重工業株式会社、函館どつく株式会社の造船3社の統合効果の最大化により、コスト削減と性能・品質・サービスの一層の改善や充実により顧客満足度を高め、他社との差別化を図ってまいります。
新造船事業にとって避けることができない大きな需要変動に企業集団として対応するため、修繕船事業、鉄構・機械事業など非新造船事業のより一層の強化によるグループの事業基盤再編・強化を図り、長期的視野に立ったグループ経営により収益力の安定と向上、造船専業各社との差別化に努めてまいります。また、修繕船、鉄構・機械などの非新造船事業の収益力を強化し、造船専業各社との差別化を図るなど事業分野・事業形態の多様化や再構築に積極的に取り組み、収益の安定化と健全な財務体質の維持に努めてまいります。
海洋立国である日本のさらなる経済成長の一翼を担う造船事業者、修繕事業者、海事事業者、社会インフラ事業者として、株主、顧客などお取引先の皆様から信頼され、成長を期待される「存在感」ある企業グループの形成を目指しております。
今後とも株主はもとより顧客・取引先・従業員などの様々なステークホルダーとの信頼関係を維持・発展させて経営基盤を強化し、企業価値の向上・株主共同の利益の確保に努めてまいります。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
① 新造船事業
世界の新造船市場においては、不安定な海運市況や環境規制強化による船舶の陳腐化リスクを見定めたいとして新規発注を手控える動きに加えて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による世界経済の大きな落ち込み懸念により引合いは殆ど途絶え、各国造船所の手持工事量は減少の一途をたどっております。また、環境規制強化に対応するために新造船の建造コストは増加しており、市場船価と造船所が希望する船価とのミスマッチは解消しておりません。需給のアンバランスが拡大する中で、中国、韓国の最大手造船所の経営統合計画や中国での国営造船所集約による巨大造船所グループの発足、また国内においても今治造船株式会社によるジャパンマリン ユナイテッド株式会社への資本参加と両社間の営業・設計での業務提携を発表するなど、世界的に業界再編と供給力調整の動きも活発化しております。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた世界経済の後退により、海運市況の回復にはしばらく時間がかかると見込まれ、各国造船所の統合や淘汰などさらなる業界の再編が進むことも考えられます。
厳しい業界環境下で当社グループの造船3社は、統合効果の最大化を達成するために新造船建造体制の再編と運営の一体化を加速させ、競争力の強化と需要変動に柔軟な対応が可能な体制の構築に全力を尽くしております。特に当社伊万里事業所と佐世保重工業株式会社においては、地理的に近接しているという条件を生かし、設備の近代化が進んでいる当社の伊万里事業所を主工場とし、艤装関連設備に恵まれた佐世保重工業株式会社の特性を生かした生産体制の再構築に着手しており、本年4月から佐世保重工業株式会社向けブロックの当社製作が本格化いたします。今後はスピード感をもって造船3社の受注・設計・製造・品質保証・資材調達等の一体運営のさらなる強化を図り、競争力のある新造船事業の構築に邁進します。
また、商品開発については、設計、製造、資材調達、営業、品質保証との連携をより強化し、他社との共同開発や共同研究にも積極的に取り組むなど、性能・品質の向上とコスト競争力を両立させて一層顧客満足度を上げるとともに、将来の環境規制強化に向けた研究・開発を進めてまいります。
② 修繕船事業
函館どつく株式会社、佐世保重工業株式会社ともに長年の歴史と伝統に裏付けられた高度な技術力と立地の優位性を最大限に生かし、安定的な受注量の確保に努めてまいります。修繕船事業の主力である艦艇工事は、年度によって大型案件の多寡による操業の山谷が大きいものの、艦艇の大型化や延命工事の増加が期待されることから、大手造船所との提携により技術力の強化に努めます。官庁船や一般商船、特殊船、漁船等の修繕・改造工事にも積極的に取り組み、ドック回転率の改善による安定収益の確保に努めてまいります。両社で受入態勢の連携強化を進めるためにグループ全体としての統括運営機能を創設し、両社の協力体制をより一層向上させる取り組みも開始しており、今後も受注量の拡大に取り組んでまいります。
③ 鉄構・機械事業
当社および函館どつく株式会社が担う橋梁分野においては新設橋梁の発注量が低水準で推移し、佐世保重工業株式会社が担う舶用機器分野においても新造船需要の回復が見通せない状況であり、厳しい受注環境が続くものと予想されますが、顧客満足度の向上とコスト競争力の強化により安定的収益の維持・拡大に努めます。橋梁分野においては今後確実に需要の増加が見込まれる保全・補修工事への取り組みを強化し、将来にわたる社会インフラの維持・発展に貢献するとともに、その他の分野においても、これまで培ってきた技術力を生かして新たな分野の開拓にも積極的に取り組み、受注および販路の拡大を図ることで、収益の改善を目指してまいります。
④ その他事業
その他事業を担う各社が市場環境の急速な変化に対応できるよう、グループの事業ポートフォリオの最適化に取り組んでまいります。また、当社グループにおける各事業の役割と責任を明確化し、各事業の収益力とグループ各社への貢献度を高め、グループ収益基盤の強化・発展を図ってまいります。
当企業集団の経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性があるリスクには以下のようなものがあります。しかし、以下の記載が事業等のリスクをすべて網羅するものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当企業集団(当社および連結子会社)が判断したものであります。
① 政治・経済情勢
グループの中核である新造船事業におきまして、新造船の需要は海運市況に大きく左右されるため、世界経済の悪化や地政学的リスクの高まりなどの影響により海運市況が低迷した場合、新造船需要が後退し、受注の確保が難しくなります。また、修繕船事業や鉄構・機械事業におきましても、国内外の政治・経済情勢の動向を受けて受注環境が変化します。
新造船需要に関しては、将来の環境規制強化により、数多くの船主は規制対応を見定めたいと新規投資を手控える動きを続けており、加えて2020年に入り、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により世界経済は急速に悪化し、ドライ貨物を中心に海運市況は大きく落ち込みました。コロナ禍の収束を見通すことが困難であることにより、今後も海運市況は不透明な状況が続き、市況回復にはしばらく時間がかかると予想されます。
そのような中、商品力アップのため、将来の環境規制に適合した新たな船型開発を中心に、燃費性能、品質の向上など、将来の市場のニーズに応える高品質な商品の研究・開発に幅広く取り組んでまいります。
②事業環境・競争環境
新造船市場は国内外造船所との受注競争に晒されておりますが、加えて新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により新造船需要の回復が極めて見通し難い中、韓国・中国造船所が仕事量確保を優先し安価な船価を提示するなど、少ない案件をめぐる熾烈な受注獲得競争により、低船価の状況が続いております。
その一方で、韓国の最大手造船所の経営統合計画や中国での国営造船所集約による巨大造船所グループの発足、また国内においても今治造船株式会社によるジャパン マリンユナイテッド株式会社への資本参加、双方の営業・設計での業務提携の発表など、世界的にも業界再編との動きが活発化しております。
当社グループにおきましては、国内の他社との戦略的提携を視野に入れつつ、将来を見据え、名村造船所伊万里事業所、佐世保重工業、函館どつくの3造船所の統合効果の最大化を目標に新造船建造体制の再編と運営の一体化を加速し、建造コストの削減をはじめ競争力の強化を目指してまいります。
また、新造船事業においては、受注から竣工引渡しまで通常およそ2~3年の期間を要します。厳しい受注環境下において仕事量確保のためやむを得ず受注する場合や将来を見据えて戦略的に受注する場合などは赤字受注となることもあり、受注時点で工事損失引当金を計上する場合があります。船価の建値はほぼ米ドルであり、売上高及び工事損失引当金の計上額は、為替レート変動の影響を受けます。
当期におきましても、戦略的な受注活動を行い、当連結会計年度末の工事損失引当金は10,485百万円となりました。受注船の完工・引渡等による取崩しにより前期末と比較して3,232百万円減少しております。
厳しい新造船市場の環境下、当社グループ建造船の性能面や品質面での差別化を図るとともにコスト合理化策を進め、損失をミニマイズするように努めてまいります。
③ 環境規制
地球温暖化が世界的な問題であることに対応して、船舶から排出される硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、二酸化炭素(CO₂)などに対して、国際海事機関(IMO)は年限で具体的な排出制限目標を定めております。そのため今後建造される船舶に関しては、本船に新たな機器の据付や舶用燃料の切り替えなどの対策を施す必要があり、設計部隊と営業部隊と共同で海運会社を訪問し、排出制限に伴うニーズや顧客の要望事項を的確に情報収集し、複数の具体的な船型開発に取り組んでおります。また、自動運航等の次世代技術の適合を目指す研究開発は急務となっており、規制に対応するための技術革新や船型開発・設計等を中心として製造コストが大幅に上昇しております。
研究開発体制および生産体制をより一層強化する一方で効率化を図るとともに、関連する舶用機器メーカーの協力も得つつ、コストダウンにつなげてまいります。
④ 為替動向
新造船事業は輸出比率が高く、受注の大半は米ドル建ての契約であり、売上高および入金額や工事損失引当金は為替レートの変動の影響を受けます。
当連結会計年度における売上計上の米ドル額は830百万米ドル、その平均レートは1米ドル当たり108円57銭であり、グループ全体の連結売上高の約80%を占めております。
為替レート変動の影響を軽減する対策として、為替動向を考慮しながら取締役会で定めた一定の方針に基づき計画的に為替予約を実施しております。しかしながら、急激な円高が生じた場合には、業績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 個別受注契約
新造船事業では受注から竣工引渡しまでの期間が長期間に亘るため、その間の経済情勢の変化の影響を受けて、当初見積もりより建造コストが増加する可能性があります。また、建造船は、顧客ごとの仕様要求に応じた受注生産となっているため、受注契約時に十分な事前検討を行っておりますが、当初予期されなかった事柄が後日発生し設計変更や工程遅延等により、建造コストが増加する可能性があります。
主要子会社である佐世保重工業株式会社の新造船事業においては、過年度において生じた工程混乱により業績が悪化し、当連結会計年度においても、納期のずれ込み船の原価が大幅に悪化したこと等により厳しい業績となりました。しかしながら、これらの建造船は完工・引渡済みであり、当連結会計年度末現在では、納期遅延の問題は収束しております。
なお、海運市況悪化のため船主、船会社の業績は厳しくなっておりますが、当社は受注に際して顧客の信用力や風評について情報を収集し、また案件によっては商社を主契約者として顧客の信用リスクを軽減するなど、個別の対応を行っております。
⑥ 資材調達
主要な原材料・資機材において、価格の急激な変動、国際情勢の急変や災害等による供給不足の問題が生じた場合、製造原価が上昇するのみならず、調達品の納期遅れによる工程遅延等の問題が発生する可能性があります。
特に新造船事業においては船殻構造規則の強化や環境規制に関するルール改正に伴い製造原価が上昇する傾向が続いており、また主要原材料である鋼材価格の動静が製造原価の大きな変動要因になっております。
そのため、日頃より市場動向を注視し、取引先各社と連携して長期安定調達体制を確保するとともに、価格面においてもVA/VE活動等を幅広く行い、製造原価削減に取り組んでおります。
⑦ 人材確保・育成
当社グループにおいて人材は重要な経営資源であり、将来を担う人材の採用・育成と円滑な技術・技能の伝承に努めておりますが、労働市場の動向によっては計画通りの人材確保ができず、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 品質保証
当社グループは、品質や安全に関する法令等を遵守し、製品の品質向上に常に努めておりますが、性能に起因する大規模な事故や不具合が発生した場合、損害賠償や訴訟費用等により多額の費用が発生し、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 労働安全衛生
当社グループは、事業所及び建設工事現場等における労働安全衛生管理に様々な対策を講じていますが、不測の事故等により重大な労働災害や健康被害が発生した場合には、生産活動に支障をきたし、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 災害
当社グループは、大規模な地震や風水害等の自然災害や火災・その他の災害等の発生に備えて設備の点検、訓練の実施、連絡体制の整備などを進めておりますが、このような災害等による生産設備の損壊、物流機能の麻痺等の直接的な被害や、電力不足が解消されないこと等の間接的な被害が発生した場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 情報セキュリティ
当社グループは、事業を通じて入手した取引先等の機密情報や当社グループの設計・技術・営業等に関する機密情報を保有しており、これらの情報の保護に努めておりますが、コンピュータウィルスの感染や不正アクセス等によりこれらの情報が流出あるいは消失した場合、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 投資有価証券の減損
当社グループが保有する投資有価証券のうち、時価のあるものについては時価が著しく下落した場合に、時価のないものについては実質価額が著しく低下した場合に、投資有価証券評価損を計上することがあります。
当連結会計年度においては1,913百万円の投資有価証券評価損を特別損失として計上しております。
保有する投資有価証券については継続保有に資するかを毎年検討しており、保有の意義・合理性が乏しくなったと判断される株式については、適宜、縮減を図ってまいります。
⑬ 固定資産の減損
当社グループが保有する固定資産について、経営環境の変化等により将来キャッシュ・フローの見通しが低下した場合等に減損損失を計上することがあります。
当連結会計年度においては73百万円の減損損失を特別損失として計上しております。
新造船事業を取り巻く環境は厳しい状況が続いておりますが、当社、佐世保重工業株式会社、函館どつく株式会社の3社を中心としたグループ一体運営を進め、収益力向上と将来キャッシュ・フローの改善につなげてまいります。
⑭ 感染症の蔓延によるリスク
当社グループの従業員が新型コロナウイルスなどの感染症に罹患した場合、工場の操業停止などにより当社グループの事業活動に支障をきたし、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
これら感染症の感染防止のため、当社グループではテレワーク・時差出勤の拡大や国内外の出張禁止、工場における検温の実施等の感染症対策を実施しております。
当連結会計年度における当企業集団(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当企業集団の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業集団(当社および連結子会社)が判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦問題による世界経済の減速の影響を受けて製造業を中心に国内景況感が悪化するなど不透明な状況が続く中、本年に入り新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により国内外の経済は急激に落ち込み、先行きについても極めて厳しい状況が続くと見込まれます。
日本造船工業会によりますと、2019年暦年における世界新造船竣工量は前年同期比14.4%増の6,614万総トン、新造船受注量は前年同期比17.7%減の4,149万総トンとなりました。竣工量については2020年7月以降の竣工船が対象となるIMO(国際海事機関)の調和共通構造規則(H-CSR)の適用を回避するために駆け込み建造があった影響もあり前年同期よりも大幅に増加しましたが、その反動もあって受注量が前年同期よりも大幅に減少し、世界の新造船手持工事量は16年ぶりの低水準となりました。本年度後半から新造船需要には回復の兆しが見え、2020年春節明けの商談の活発化が期待されておりましたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により世界経済の減速と海運・造船市況の低迷はしばらく続くと予想されることから、船主の新造船発注意欲は大きく減退しました。一方、新型コロナウイルスによる急速な景気悪化に対して各国政府が積極的な景気刺激策を打ち出すものと予測され、感染の沈静化とともに世界貿易を担う海上輸送が正常化し、新造船需要も回復することが期待されます。
当企業集団におきましては、当連結会計年度の最重要課題として、中核事業である新造船事業の積年の問題であった佐世保重工業株式会社における工程混乱の後遺症である後続船の納期遅延などの抜本的解決に取り組み、完工・引渡船が2017年は2隻、2018年は4隻にとどまった両年度からのずれ込み船を含め同社は本年度に9隻を完工・引渡し、納期問題をほぼ解決させました。
当連結会計年度の売上高は、中核である新造船事業において、佐世保重工業株式会社が前年度竣工予定船が本年度にずれ込み前年より増収となったものの、当社および函館どつく株式会社は需要環境に合わせて操業度を低下させたことに加え、何れも船価の低い新造船が売上対象となったことで売上総額は減少し、修繕船事業においては佐世保重工業株式会社の国内艦艇の大型定期検査工事が端境期であったこと、前第2四半期連結累計期間まで鉄構・機械事業の主要子会社でありましたオリイメック株式会社が当連結会計年度には連結対象外となったこと等により111,887百万円(前年同期比10.2%減)となりました。損益面では、新造船事業において、売上対象船が総じて低船価であった上に佐世保重工業株式会社の当期売上ずれ込み船の原価が大幅に悪化したこと、鋼材など資材価格の高止まりや佐世保重工業株式会社の納期問題解決を最優先させたこともあってグループを挙げて取り組んでおりますコスト合理化計画の進捗が遅れていること、当連結会計年度末の米ドル為替レートが前年末と比較して円高になったことにより工事損失引当金の実質的な繰入額が増加したことなどにより、営業損失は16,022百万円(前年同期は4,114百万円の営業損失)、経常損失は16,284百万円(前年同期は3,872百万円の経常損失)となり、特別損失として投資有価証券評価損1,913百万円を計上した結果、税金等調整前当期純損失は17,958百万円(前年同期は1,006百万円の純利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は18,030百万円(前年同期は621百万円の純利益)となりました。なお、当社は、保有する連結子会社である佐世保重工業株式会社の株式について8,205百万円の減損処理を行いましたが、連結決算上は消去されるため、連結業績への影響はありません。
当期末の連結自己資本比率は40.2%、当社単体の自己資本比率は51.2%であります。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、「機械事業」につきまして、オリイメック株式会社が連結子会社から外れたことにより事業内容の類似性および関連性の観点からセグメント区分の見直しを行い、佐世保重工業株式会社における舶用機械事業を第1四半期連結会計期間より従来の「鉄構陸機事業」と統合し、セグメントの名称を「鉄構・機械事業」に変更しております。これにより報告セグメントを従来の「新造船事業」、「修繕船事業」、「機械事業」、「鉄構陸機事業」および「その他事業」から、「新造船事業」、「修繕船事業」、「鉄構・機械事業」および「その他事業」の区分に変更しております。
以下の前年同期比較につきましては、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。
新造船事業
受注から完工まで1年を超える新造船事業では工事進行基準を採用しております。
当連結会計年度の売上高は、佐世保重工業株式会社において工程混乱による納期遅延の解決を最優先させたことにより完工が前期から当期にずれ込んだことから、当社グループとして過去最高の竣工量となりましたものの、売上対象船が何れも低船価であったことから、90,174百万円(前年同期比5.6%減)となりました。一方、損益面につきましては、低船価であったことに加えて佐世保重工業株式会社の当期ずれ込み船の原価が予想以上に悪化したこと、グループのコスト合理化計画の進捗の遅れと当連結会計年度末の米ドル為替レートが前年末と比較して円高になったことにより工事損失引当金の実質的な繰入額が予想より増加したことなどの影響により営業損失は15,617百万円(前年同期は4,273百万円の営業損失)となりました。
当連結会計年度におきましては、超大型油送船(VLCC)3隻、大型鉱石運搬船(VLOC)3隻、大型撒積運搬船2隻、中型油送船4隻、中型撒積運搬船6隻、ハンディ型撒積運搬船6隻の合計24隻を完工し、超大型油送船(VLCC)2隻、大型撒積運搬船1隻、中型撒積運搬船6隻、ハンディ型撒積運搬船1隻、小型内航船1隻の合計11隻を受注し、受注残高は138,801百万円(前年同期比 34.1%減)となりました。
グループのコスト合理化計画の一環として検討しておりました当社伊万里工場における佐世保重工業株式会社向け大型ブロックの製作は、本年4月1日より本格的に始まりました。船殻重量の50%に相当する平行部ブロックの大部分を伊万里の平行部ブロック専用設備で製作することにより製作費が削減されることに加えて、佐世保重工業株式会社の社外工を操業量に見合った人数に削減することにより製造現場の本社工比率が従来に比べて2倍に改善され、技能のレベルアップと管理密度の改善によるコストダウンや新造船需要減少に弾力的な対応を図ります。
環境規制が国際的に強化される中、次世代を見据えた環境負荷の低い船舶の研究開発に取り組み、LNGを燃料とする世界初の大型石炭専用船の受注が内定しています。本船は環境負荷の低減に向けた有効な手段の一つであるLNGを主燃料として使用することにより、二酸化炭素や硫黄酸化物等の排出量を大幅に削減しており、低炭素社会の実現に寄与できるものと考えております。
なお、当連結会計年度における売上計上の米ドル額は830百万米ドルで、その平均レートは1米ドル当たり108円57銭であります。
修繕船事業
佐世保重工業株式会社および函館どつく株式会社が担う修繕船事業におきましては、艦艇工事を主力としつつ、立地特性を生かした官庁船、一般商船、特殊船、漁船の修繕工事に積極的に取り組んでおります。当連結会計年度の売上高は、函館どつく株式会社は順調に推移したものの佐世保重工業株式会社において国内艦艇の大型定期検査工事等が端境期であったことから期中の完工が減少し10,142百万円(前年同期比19.1%減)、営業利益は359百万円(前年同期比34.9%減)となりました。
なお、当連結会計年度末受注残高は4,094百万円(前年同期比7.3%増)であります。
鉄構・機械事業
当連結会計年度の売上高は、鉄構部門においては九州地方整備局ご発注の大川高架橋P31-P34(548トン)などを予定通り完工し、舶用クランク軸などの舶用機器部門においては売上を伸ばしましたが、主要子会社でありましたオリイメック株式会社が当連結会計年度には連結対象外となったことにより減少し、6,476百万円(前年同期比45.4%減)、営業利益は582百万円(前年同期比47.7%減)となりました。
なお、当連結会計年度末受注残高は5,063百万円(前年同期比8.1%減)であります。
その他事業
当連結会計年度の売上高は5,095百万円(前年同期比9.5%増)、営業利益は1,284百万円(前年同期比90.0%増)となりました。
なお、当連結会計年度末受注残高は627百万円(前年同期比17.6%減)であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、工事完成基準で記載しております。
3 なお、鉄構・機械事業のオリイメック株式会社を除く前年同期増減率は21.6%です
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、工事完成基準で記載しております。
3 なお、鉄構・機械事業のオリイメック株式会社を除く受注高の前年同期増減率は△23.3%です。
また、前期末の受注残高にはオリイメック株式会社による受注残高は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、工事完成基準で記載しております。
3 なお、鉄構・機械事業のオリイメック株式会社を除く前年同期増減率は△12.8%です。
流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、現金及び預金が減少したこと、新造船事業において前期末までに計上済みの売掛金が工事完成に伴って減少したこと等により、前連結会計年度末比36,140百万円減少し、84,818百万円となりました。
固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、投資有価証券の時価下落による減少等により、前連結会計年度末比555百万円減少し、53,304百万円となりました。
流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、主に前受金および工事損失引当金が減少したこと等により、前連結会計年度末比15,983百万円減少し、61,721百万円となりました。
固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、主に長期借入金が減少したこと等により、前連結会計年度末比1,795百万円減少し、20,353百万円となりました。
純資産
当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等に伴い、利益剰余金が減少したこと等により、前連結会計年度末比18,917百万円減少し、56,048百万円となりました。
現金及び現金同等物につきましては、前連結会計年度末に比べ21,933百万円減少し、44,256百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、11,639百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度末に比べ3,974百万円増加しており、これは主に税金等調整前当期純損失となりましたものの、工事損失引当金が減少したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、6,983百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度末に比べ12,578百万円減少しており、これは主に前連結会計年度は連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が多額に計上されていたこと、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,297百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度末に比べ2,018百万円減少しており、これは主に借入れによる収入が減少したことなどによるものであります。
当社グループの事業活動にかかる運転資金については、主として営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源とし、必要に応じて不足分について銀行借入による調達を実施しております。設備投資資金等の長期的資金については、設備投資計画や事業投資計画に基づき、金利動向や既存借入金の償還時期等を総合的に勘案した上で長期借入金(や社債)等により調達することを基本方針としております。
主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、また国内金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、今回の新型コロナウイルス感染症などの不測の事態に対応できる体制を整えています。
当社グループの資金需要は、営業活動については、鋼材や資機材などの原材料費および外注加工費、人件費のほか、技術力強化や新船型開発、品質向上のための研究開発費が主な内容となっております。投資活動については、生産効率の改善や競争力強化のための設備投資・更新等の費用があります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
収益計上基準として工事進行基準を適用する工事について、決算日における工事進捗度は原価比例法を用いており、工事進捗度は期末日までに発生した実績原価を工事原価総額で除して算定されます。特に新造船事業においては、受注から竣工引渡しまで通常およそ2~3年の期間を要することから、工事原価総額を構成する各原価要素について不確実性があります。
工事原価総額は材料費、労務費及び経費で構成されますが、材料費は原材料価格等の変動の影響を受け、労務費及び経費は将来の原価低減施策の効果の発現や工程管理の良否に依存することから、一定の仮定をおいて見積もっております。
材料費は期末日における原材料価格等の水準が一定期間継続するとの仮定をおいており、また労務費及び経費の見積りについては、直近の実績を基礎として今後の生産計画等を加味して合理的に見積もっております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において売上高の金額に重要な影響を与える可能性があります。
決算日時点の手持受注工事のうち、工事原価総額が受注金額を超過することが確実視される工事について、損失額を見積り、工事損失引当金を計上するとともにその繰入額を売上原価に含めて処理しております。
工事原価総額の見積りについて、①で記載のとおり、材料費は期末日における原材料価格等の水準が一定期間継続するとの仮定をおいており、また労務費及び経費の見積りについては、直近の実績を基礎として今後の生産計画等を加味して合理的に見積もっております。
また、受注金額はほぼ米ドル建てであるため為替レート変動の影響を受けます。将来の為替レートについて期末日における水準から大きく変動しないとの仮定をおいて見積もっております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する工事損失引当金及び工事損失引当金繰入額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループでは主として確定給付型の退職金制度を採用しております。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、予想昇給率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
固定資産の減損損失認識判定を実施するにあたり、資産グループの継続的使用によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローを見積もっております。将来キャッシュ・フローは、承認された中期経営計画を基礎とし、新造船の船価は市場の景気サイクルを反映するため現在及び過去の状況を考慮して合理的に見積もっています。また、原材料価格や為替相場の変動などの情報を整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。中期経営計画の見積期間を超える期間の将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提となった数値に、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえ、将来戦略を織り込んだ生産・受注計画を用いて見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において固定資産の減損損失を計上する可能性があります。
特に記載すべき事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、顧客ニーズに対応すべく新船型や新機種の開発、既存製品の品質向上、生産性向上などを中心に取り組み、研究開発費の総額は
研究開発活動をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
① 新造船事業
環境に配慮した省燃費船型の研究や既存製品の品質向上、船型開発を中心とした開発等を外部研究機関とも連携し取り組み成果をあげつつあります。研究開発費の総額は
② 修繕船事業および鉄構・機械事業ならびにその他事業
取扱商品の拡大をねらい新たな製品等の研究開発、既存製品の品質向上を目的とした開発等を行い成果をあげつつあります。研究開発費の総額は158百万円であります。