当第3四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生は以下のとおりです。
(重要事象等)
当社グループは中核である新造船事業において、世界的な需給ギャップから生じた競争環境の激化と市場価格低迷や連結子会社である佐世保重工業株式会社によるアフラマックスタンカー建造に係る工程混乱などの影響により、前連結会計年度まで4期連続の営業損失およびマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しました。また、第1四半期連結会計期間からの新造船需要の緩やかな回復と船価上昇を見込んでおりましたが、新型コロナウイルス感染症や米中摩擦の影響による世界経済の急激な落ち込みにより国内外の船社・船主が新規投資を抑制したため、船価は厳しく推移し、当第3四半期連結累計期間においても営業損失を計上しています。
このような状況下、当社は主要な連結子会社である佐世保重工業株式会社の新造船事業継続に向けて、老朽設備の更新・整備、要員の派遣、生産システムの近代化、当社伊万里事業所との一体運営など様々な手段を講じてきましたが、受注環境が一段と悪化して受注残が急激に減少した上に、内外の新鋭造船所に比べて大きく見劣りするコスト競争力を短期間に改善させることが困難であることから、同社と共に抜本的な事業再構築を検討してまいりました結果、同社の前身である海軍工廠の発足時から主要業務としてきた艦艇修繕船事業を柱とし機械事業との両輪による強みを生かした安定収益体質の構築を図り、既受注船の最終引渡(2022年1月予定)を以って新造船事業を休止することを決定いたしました。このようなグループを挙げた新造船建造体制の再編を推進するとともに、価格競争に晒されない技術力のある船型の受注、修繕船事業や鉄構・機械事業などの非造船事業のさらなる収益力強化および資機材の廉価購買や聖域無き徹底したコストダウンなどを実施することで業績改善に努めてまいります。
また、十分な現預金を確保しているとともにシンジケート方式によるコミットメントライン設定を更新するなど取引金融機関とは継続して良好な関係にあることから、翌連結会計年度を含めて当面の資金繰りに懸念はないものと判断しております。
将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、判断したところによるものであります。
(1) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあったものの、一部の製造業には生産の回復や輸出持ち直しの動きがみられました。
先行きについては、改善の動きが続くことが期待されますが、内外の感染拡大による下振れリスクも懸念されております。
日本造船工業会によりますと、2020年1月から9月までの世界の新造船受注量は1,842万総トン(前年同期比41.2%減)、新造船竣工量は4,567万総トン(前年同期比11.8%減)と2016年以降は継続して新造船の受注量が竣工量を下回り、過剰船腹の調整が進んだことから海運市況は改善基調に入りました。しかしながら新造船需要は、船主にとって環境規制厳格化による新造船の陳腐化やコロナ禍による世界経済の低迷と米中摩擦などによる海上荷動量の減少などが懸念材料となり新規発注を手控えたこと、加えて日本市場においては、中国造船所の安値攻勢もあって厳しい状況が続いております。この結果、世界の新造船手持工事量は12,195万総トン(前年同期比12.6%減)、特に日本の手持工事量は1,970万総トン(前年同期比28.6%減)と大きく減少し、多くの造船所は生産体制の再編や操業計画の見直しと仕事量の確保が大きな課題となっております。
このような事業環境下ではありますがコロナ禍の沈静化に伴う海上荷動量の増加、環境規制強化による既存船退出圧力と代替新造船需要の期待など、新造船需要環境の改善が期待されます。
国内においては、海洋立国である日本の海事産業を再構築し、事業再編と生産性向上等により国際競争力の強化を目指す政策が検討されており、新型コロナウイルス感染症が収束した後の世界経済の再成長と新造船の需要回復を見越して、次世代に求められる温室効果ガス排出量の大幅削減船などの環境配慮型船の技術開発にも積極的に取り組んでまいります。
当第3四半期連結累計期間の業績は、修繕船事業および鉄構・機械事業の売上高が前年同期比で増加したものの、中核である新造船事業において受注環境に合わせて操業量を下方に修正したことや円高の影響により、売上高は73,432百万円(前年同期比12.6%減)となりました。損益面では、グループを挙げてのコスト削減活動により原価率は大幅に改善されましたが、依然として低船価船の建造・引渡が続いていることから、営業損失は7,945百万円(前年同期は13,140百万円の営業損失)、経常損失は8,878百万円(前年同期は13,342百万円の経常損失)にとどまり、当社の連結子会社である佐世保重工業株式会社が、厳しい受注環境にあって体質強化に多くの時間と費用が見込まれる新造船事業を休止し、同社の強みである艦艇修繕船事業を柱とし機械事業との両輪による安定収益体制の構築を図る方針を決定したことにより、当第3四半期連結累計期間にて固定資産の減損損失8,243百万円を計上した結果、税金等調整前四半期純損失は17,215百万円(前年同期は13,729百万円の純損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は17,077百万円(前年同期は13,811百万円の純損失)となりました。
当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は35.5%(前年同期末は40.9%)であります。
主力の新造船事業は、売上の対象となる隻数・船型・船価は四半期毎に異なりますし、操業量の調整にも大きく影響されます。また、資機材価格や為替などの大きな変動要因があり、それに伴って採算も変動いたします。工事損失引当金額につきましても、受注残全船を対象に四半期毎の洗い替えによる増減に加え、新規受注に伴う新たな計上もあり得ます。これらの事情もあって第3四半期業績と年度業績とは必ずしも連動いたしません。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
新造船事業
受注から完工まで1年を超える新造船事業では工事進行基準を採用しております。
当第3四半期連結累計期間の売上高は57,614百万円(前年同期比18.2%減)、営業損失は7,136百万円(前年同期は12,480百万円の営業損失)となりました。
当第3四半期連結累計期間におきましては、超大型油送船(VLCC)1隻、大型撒積運搬船2隻、中型撒積運搬船8隻、ハンディ型撒積運搬船3隻等の合計15隻を完工し、大型撒積運搬船2隻、中型撒積運搬船1隻を受注した結果、受注残高は96,177百万円(前年同期比37.3%減)となりました。
グループを挙げての原価削減活動の効果により製造原価率は大幅に改善されつつあるものの、依然として低船価船の建造・引渡が続いており、業績不振が長期化している状況を改善するため、佐世保重工業株式会社の新造船事業の休止を決議するなどグループにおける体制の抜本的な再構築による事業体質の改善を推進いたします。
なお、当第3四半期連結累計期間における売上計上の米ドル額は541百万米ドルで、その平均レートは1米ドル当たり105円95銭であります。
修繕船事業
函館どつく株式会社および佐世保重工業株式会社が担う修繕船事業は、艦艇工事を主力としつつ、立地特性を生かした官庁船、一般商船、特殊船、漁船の修繕工事にも積極的に取り組んでおります。当第3四半期連結累計期間の売上高は8,033百万円(前年同期比34.8%増)となりましたが、新たに挑戦した特殊船の定期検査案件において工事物量の見積りの誤り等により大幅な損失となったため、営業損失は70百万円(前年同期は148百万円の営業損失)となりました。この経験を生かした技術力・管理体制の強化により今後の営業拡大に繋げる所存であります。
なお、佐世保重工業株式会社の新造船事業休止に伴い、修繕船事業を同社の柱とし強化・拡大を進めてまいります。
当第3四半期連結会計期間末の受注残高は5,430百万円(前年同期比4.0%減)であります。
鉄構・機械事業
当第3四半期連結累計期間の売上高は、橋梁の中型工事等を予定通り完工し、4,278百万円(前年同期比13.9%増)となりましたが、佐世保重工業株式会社が担う舶用機器の収益が伸び悩んだこと等から、営業利益は189百万円(前年同期比37.7%減)となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は4,908百万円(前年同期比28.3%減)であります。
その他事業
当第3四半期連結累計期間の売上高は3,507百万円(前年同期比9.0%減)、営業利益は479百万円(前年同期比37.2%減)となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は1,135百万円(前年同期比56.1%増)であります。
(2) 財政状態の状況
流動資産
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、現金及び預金が減少したこと等により、前連結会計年度末比18,878百万円減少し、65,940百万円となりました。
固定資産
当第3四半期連結会計期間末における固定資産は、主に固定資産の減損損失を計上したこと等により、前連結会計年度末比6,519百万円減少し、46,785百万円となりました。
流動負債
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、主に支払手形及び買掛金が減少したこと、前受金が減少したこと等により、前連結会計年度末比8,721百万円減少し、53,000百万円となりました。
固定負債
当第3四半期連結会計期間末における固定負債は、主に長期借入金が減少したこと等により、前連結会計年度末比1,055百万円減少し、19,298百万円となりました。
純資産
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上等に伴い、利益剰余金が減少したこと等により、前連結会計年度末比15,621百万円減少し、40,427百万円となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当企業集団の経営方針・経営戦略等に重要な変更および新たに定めたものはありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当企業集団が優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発活動は、顧客ニーズに対応すべく新船型や新機種の開発、既存製品の品質向上、生産性向上などを中心に取り組み、研究開発費の総額は334百万円となりました。
研究開発活動をセグメント別に示すと、主なものは次のとおりであります。
新造船事業
環境に配慮した省燃費船型の研究や既存製品の品質向上、船型開発を中心とした開発等を外部研究機関とも連携し取り組み成果をあげつつあります。研究開発費の総額は293百万円であります。
修繕船事業
修繕技術の向上や取扱商品の拡大をねらい新たな製品等の研究開発等を行い成果をあげつつあります。研究開発費の総額は37百万円であります。
鉄構・機械事業
取扱商品の拡大を狙い新たな製品等の研究開発、既存製品の品質向上を目的とした開発等を行い成果をあげつつあります。研究開発費の総額は4百万円であります。
当第3四半期連結会計期間において、特に記載すべき事項はありません。