第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、政府、日銀の経済・金融政策による企業収益の改善を背景に、設備投資には底堅さがみられた一方、実質賃金の低下や消費者マインドの悪化に加え、年明け以降に加速した株安、円高により先行きは依然として不透明な状況が続いている。また、世界経済は、米国で雇用情勢の改善や内需の底堅さ等から景気回復が続いている反面、中国経済の減速、新興国経済の停滞・通貨安に加え、原油等の資源価格の下落により成長率が低迷し、予断を許さない状況が続いている。

 このような状況のもと、当連結会計年度の業績については、新造船の工事進行基準適用船の売上隻数が1隻減少(16隻→15隻)したが、船種の違い等により1隻当たりの売上高が増加し、売上高295億44百万円(前年度比14.4%増)、営業利益1億5百万円(前年度比21.9%減)、経常利益2億20百万円(前年度比85.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2億9百万円(前年度比57.1%増)となった。

 

 

 セグメントの業績は次のとおりである。

 

①船舶事業

 新造船市場においては、新しい規制導入を回避するための駆け込み需要や、行き過ぎた円高の修正等により受注環境が一時的に改善し、わが国造船業界の手持ち工事量は回復してきた。しかし、中国の景気後退などによる市況悪化の影響を受け、ばら積み運搬船等の需要が減少した上、他の船種を含めた世界の新造船市場における需給ギャップの解消も見通せず、早期の市況回復は期待できない状況である。

 改修船事業についても、海運市況の低迷から工事費用が抑制され、国内及び国外造船所との熾烈な競争により、受注・採算面ともに厳しい状況が続いた。

 このような状況のもと、当社は、引き続き2工場(瀬戸田工場、因島工場)体制の強みを活かした効率的な生産活動と徹底したコストダウンに努め、自動車運搬船、RORO船やフェリー等の開発、建造に取り組んできた。また、船主のニーズにあった多種多様な船種船型に対応できる高い技術力と設計力を強みとして、マーケットの変化に柔軟に対応しながら営業活動を展開してきた。なお、当社は、地球環境問題が企業の社会的責任として重要であることを十分に認識し、環境性能を踏まえた省エネ船(エコシップ)の開発・設計を進めるとともに全社を挙げて省エネ・環境保護活動に取り組んでいる。

 この結果、当連結会計年度の船舶事業全体の業績については、売上高289億54百万円(前年度比14.6%増)、セグメント利益9億81百万円(前年度比2.8%増)となった。

 受注については、貨物船、フェリー、自動車運搬船、計8隻他で322億77百万円を受注し、受注残高は、新造船16隻他で496億7百万円となった。

 

 

②その他

 陸上・サービス事業については、公共・民間設備投資は、緩やかに持ち直しているものの、地方では景気回復が遅れており、厳しい受注環境が続いた。

 このような状況のもと、当連結会計年度の業績については、売上高9億54百万円(前年度比6.9%増)、セグメント損失13百万円(前年度はセグメント損失18百万円)となった。

 

 

 なお、上記の金額には、消費税等を含んでいない。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より62億30百万円増加し、111億39百万円となった。

 各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりである。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は63億47百万円(前年同期は10億28百万円の使用)となった。

 これは主に、仕入債務、前受金の増加及び売上債権の減少等によるものである。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は4億65百万円(前年同期は3億47百万円の使用)となった。

 これは主に、固定資産の取得による支出によるものである。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は1億74百万円(前年同期は5億87百万円の使用)となった。

 これは主に、長期借入れによる収入が返済による支出を上回ったことによるものである。

 

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりである。

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期

自己資本比率

20.3%

23.7%

21.9%

時価ベースの自己資本比率

9.0%

11.2%

7.5%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

1.27年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

59.33倍

 1.自己資本比率:自己資本/総資産

 2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

 3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動キャッシュ・フロー

 4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動キャッシュ・フロー/利払い

 (注1)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算している。

 (注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算定している。

(注3)営業活動キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用し、有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としている。

       また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用している。

 (注4)平成26年3月期及び平成27年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率、インタレスト・カバレッジ・レシオの指標については、営業活動キャッシュ・フローがマイナスのため記載を省略している。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度におけるセグメントの生産実績は次のとおりである。

セグメントの名称

当連結会計年度

    (自 平成27年4月 1日

    至 平成28年3月31日)

前年増減比(%)

船舶事業(百万円)

27,464

16.6

報告セグメント計(百万円)

27,464

16.6

その他(百万円)

562

0.3

合計(百万円)

28,026

16.2

  (注)1.金額は当連結会計年度の製造原価によっている。

 2.内部取引は控除している。

 3.上記の金額には、消費税等を含んでいない。

(2)受注実績

 当連結会計年度におけるセグメントの受注実績は次のとおりである。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前年増減比(%)

金額(百万円)

前年増減比(%)

船舶事業

32,277

9.3

49,607

7.2

報告セグメント計

32,277

9.3

49,607

7.2

その他

576

4.7

11

△52.3

合計

32,853

9.3

49,619

7.1

  (注)1.前連結会計年度に受注したもので、当連結会計年度に値引、値増のあったものは受注高で修正した。

         2.セグメント間の取引については相殺消去している。

 3.上記の金額には、消費税等を含んでいない。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度におけるセグメントの販売実績は次のとおりである。

セグメントの名称

当連結会計年度

     (自 平成27年4月 1日

     至 平成28年3月31日)

前年増減比(%)

船舶事業(百万円)

28,954

14.6

報告セグメント計(百万円)

28,954

14.6

その他(百万円)

589

5.9

合計(百万円)

29,544

14.4

 

(注)1.総販売高に対する割合が10%以上の販売先に対する販売実績は次のとおりである。

 

販売先

工事内容

総販売高に対する割合・金額

前連結会計年度

 STEVENS LINE CO.,LTD.

新造船工事

10%~15%

 FAITH MARITIME LTD.

新造船工事

 AFRICAN JAY SHIPPING CO.LTD.

新造船工事

(2,582~3,873百万円)

 AFRICAN ROOK SHIPPING CO.LTD.

新造船工事

合計

 

40%~45%

(10,329~11,620百万円)

当連結会計年度

 ジャパンマリンユナイテッド㈱

新造船工事

10%~25%

 川崎近海汽船㈱

新造船工事

(2,954~7,386百万円)

 住友商事㈱

新造船工事

 

合計

 

40%~45%

(11,817~13,295百万円)

2.セグメント間の取引については相殺消去している。

3.上記の金額には、消費税等を含んでいない。

3【対処すべき課題】

 造船業界においては、依然として存在する大量の過剰船腹によって市況の低迷が続き、特にバルク市況においては、より深刻な状況に陥っている。中長期的には、世界経済の回復に伴う海上荷動量の増加、老齢船・不採算船のスクラップの進展などにより、需給ギャップは解消し、海運市況も好転していくものと期待するが、短期的には厳しい状況が続くものと予想される。

 このような状況のもと当社グループとしては、次の6項目を最重要課題として、取り組んで行く方針である。

1.エコシップ等の顧客ニーズに対応する多種多様な船種船型の開発・営業・製造(プロダクトミックス)の推進

2.戦略的な資材費対策と固定費の削減

3.受注一貫体制(営業・設計・調達・現業)の充実とリスク管理の徹底

4.優秀な人材確保と体系的教育の実施

5.公平・公正な財務情報の公開と有効で効率的な企業統治及び内部統制の維持・運用

6.省エネ・環境保護活動の推進

 これらを当社グループが一丸となって実行し、業績の向上に最大限の努力を続ける所存である。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状況及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1)資機材価格の市況変動について

 当社グループの主力事業である新造船事業において、製造コストに占める資機材価格の割合が高いため、資機材

価格の市況変動は、コストインパクトが大きく、業績と財政状況に影響を及ぼす可能性がある。

 これに対して、資機材価格の直近の状況を受注に反映し、市況変動に対するリスクをヘッジしている。

 

(2)市況及び競合等の影響について

 当社グループの主力事業である新造船事業において、世界経済の動向に伴う貨物の荷動量及び船舶の需給関係等による受注価格の変動が、業績と財政状況に影響を及ぼす可能性がある。

 これに対して、当社の技術力を活かした「プロダクトミックス」による受注活動を行い、市況及び競合等に対するリスクをヘッジしている。

 

(3)為替の変動について

 為替相場の大幅な変動がある場合には、業績と財政状況に影響を及ぼす可能性がある。

 これに対して、当社は、新造船については基本的には円建契約を原則としているが、外貨建契約船がある場合は為替相場の変動を注視しながら、先物予約を行うなどして為替変動リスクをヘッジすることとしている。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)日立造船㈱、ジャパンマリンユナイテッド㈱と、相互の繁栄を目的に営業、設計、技術面での支援、人的交流など、経営全般についての基本協定書を締結している。

  なお、日立造船㈱からは、従来どおり経営面での指導を受けている。

(2)日立造船㈱と新造船の主力工場である因島工場の土地、建物等について賃借契約を締結している。

6【研究開発活動】

  当社グループの研究開発活動は、船舶事業において、新船型の開発等を行っており、当連結会計年度の研究開発費の総額は145百万円である。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施している。詳細については、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載している。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

①概要

  詳細については、「第2 事業の状況 1 (1)業績」に記載している。

 

②財政状態の分析

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

総資産

30,164

32,909

2,745

負債

23,023

25,697

2,673

純資産

7,140

7,212

72

 

ア.総資産

  前連結会計年度末の301億64百万円から27億45百万円増加し、329億9百万円となった。

 これは主に、現金及び預金が増加したものの売掛金、投資有価証券の減少等によるものである。

イ.負債

 前連結会計年度末の230億23百万円から26億73百万円増加し、256億97百万円となった。

 これは主に、支払手形、買掛金及び前受金が増加したものの工事損失引当金の減少等によるものである。

ウ.純資産

 前連結会計年度末の71億40百万円から72百万円増加し、72億12百万円となった。

 これは主に、利益剰余金と土地再評価差額金が増加したもののその他有価証券評価差額金の減少等によるものである。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析

 詳細については、「第2 事業の状況 1(2)キャッシュ・フローの状況」に記載している。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 詳細については、「第2 事業の状況 4事業等のリスク」に記載している。