第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、政府、日銀の経済・金融政策の継続を背景に、企業収益や個人消費の回復に足踏みがみられるものの、堅調な雇用・所得情勢を受けて、景気は緩やかな回復基調が続いた。一方、世界経済においては、混迷する中東情勢、中国を始めとするアジア諸国における景気の下振れ懸念や英国のEU離脱問題に伴う金融資本市場の影響に加え、米国の新政権移行後の政策は不確実性が高く、先行きは依然として不透明な状況となっている。

 このような状況のもと、当連結会計年度の売上高については、新造船の工事進行基準適用船の売上隻数が2隻減少(15隻→13隻)したが、貨物船の売上がほぼ完了し、1隻当たりの売上高が高い大型フェリー、RORO船に変わってきたこと及び工事進捗率の違い等により307億91百万円(前年度比4.2%増)となった。また、営業利益は、連続建造効果による生産性の向上及び固定費の削減等により5億47百万円(前年度比418.8%増)、経常利益は前連結会計年度の為替差益から当連結会計年度では為替差損となったことにより3億7百万円(前年度比39.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億76百万円(前年度比32.4%増)となった。

 

 

 セグメントの業績は次のとおりである。

 

①船舶事業

 新造船市場においては、依然として船腹過剰な状態が継続しており、中国の景気後退などによる荷動き量の頭打ちや世界経済の先行き不透明感を背景に新造船商談案件は前年と比べ激減し、船価も低迷が続いている。

 改修船事業についても、海運市況の低迷から工事費用が抑制され、国内及び国外造船所との熾烈な競争により、受注・採算面ともに厳しい状況が続いた。

 このような状況のもと、当社は、引き続き2工場(瀬戸田工場、因島工場)体制の強みを活かした効率的な生産活動と徹底したコストダウンに努めた。また、船主のニーズにあった多種多様な船種船型を受注して、プロダクトミックスを積極的に推進することにより、変動の激しい新造船マーケットの動向に柔軟に対応してきた。なお、当社は、地球環境問題が企業の社会的責任として重要であることを十分に認識し、環境性能を踏まえた省エネ船(エコシップ)の開発・設計を進めるとともに全社を挙げて省エネ・環境保護活動に取り組んでいる。

 この結果、当連結会計年度の船舶事業全体の業績については、売上高302億43百万円(前年度比4.5%増)、セグメント利益14億33百万円(前年度比46.0%増)となった。

 受注については、一部プロジェクトの延期等あったが、新造船7隻(フェリー、プロダクトキャリア、RORO船)他で256億74百万円を受注し、受注残高は、新造船16隻他で450億38百万円となった。

 

 

②その他

 陸上・サービス事業については、公共・民間設備投資は、持ち直しの動きに足踏みがみられ、個人消費についても力強さを欠いており、厳しい受注環境が続いた。

 このような状況のもと、当連結会計年度の業績については、売上高10億76百万円(前年度比12.7%)、セグメント利益7百万円(前年度はセグメント損失13百万円)となった。

 

 

 なお、上記の金額には、消費税等を含んでいない。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より25億12百万円減少し、86億27百万円となった。

 各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりである。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は18億69百万円(前年同期は63億47百万円の獲得)となった。

 これは主に、消費税等の還付による獲得があったものの、前受金の減少等があったことによるものである。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は6億76百万円(前年同期は4億65百万円の使用)となった。

 これは主に、固定資産の取得による支出によるものである。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は1億92百万円(前年同期は1億74百万円の獲得)となった。

 これは主に、長期借入れによる収入が返済による支出を上回ったことによるものである。

 

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりである。

 

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期

自己資本比率

23.7%

21.9%

25.5%

時価ベースの自己資本比率

11.2%

7.5%

11.6%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

1.27年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

59.33倍

 1.自己資本比率:自己資本/総資産

 2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

 3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動キャッシュ・フロー

 4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動キャッシュ・フロー/利払い

 (注1)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算している。

 (注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算定している。

(注3)営業活動キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用し、有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としている。

       また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用している。

 (注4)平成27年3月期及び平成29年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率、インタレスト・カバレッジ・レシオの指標については、営業活動キャッシュ・フローがマイナスのため記載を省略している。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度におけるセグメントの生産実績は次のとおりである。

セグメントの名称

当連結会計年度

    (自 平成28年4月 1日

    至 平成29年3月31日)

前年増減比(%)

船舶事業(百万円)

27,875

1.5

報告セグメント計(百万円)

27,875

1.5

その他(百万円)

662

17.9

合計(百万円)

28,538

1.8

  (注)1.金額は当連結会計年度の製造原価によっている。

 2.内部取引は控除している。

 3.上記の金額には、消費税等を含んでいない。

(2)受注実績

 当連結会計年度におけるセグメントの受注実績は次のとおりである。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前年増減比(%)

金額(百万円)

前年増減比(%)

船舶事業

25,674

△20.5

45,038

△9.2

報告セグメント計

25,674

△20.5

45,038

△9.2

その他

550

△4.5

14

21.6

合計

26,225

△20.2

45,052

△9.2

  (注)1.前連結会計年度に受注したもので、当連結会計年度に値引、値増のあったものは受注高で修正した。

         2.セグメント間の取引については相殺消去している。

 3.上記の金額には、消費税等を含んでいない。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度におけるセグメントの販売実績は次のとおりである。

セグメントの名称

当連結会計年度

     (自 平成28年4月 1日

     至 平成29年3月31日)

前年増減比(%)

船舶事業(百万円)

30,243

4.5

報告セグメント計(百万円)

30,243

4.5

その他(百万円)

547

△7.1

合計(百万円)

30,791

4.2

 

(注)1.総販売高に対する割合が10%以上の販売先に対する販売実績は次のとおりである。

 

販売先

工事内容

総販売高に対する割合・金額

前連結会計年度

 ジャパンマリンユナイテッド㈱

新造船工事

10%~25%

 川崎近海汽船㈱

新造船工事

(2,954~7,386百万円)

 住友商事㈱

新造船工事

合計

 

40%~45%

(11,817~13,295百万円)

当連結会計年度

 ジャパンマリンユナイテッド㈱

新造船工事

10%~20%

 鹿児島船舶㈱

新造船工事

(3,079~6,158百万円)

 光洋海運㈱

新造船工事

合計

 

40%~45%

(12,316~13,856百万円)

2.セグメント間の取引については相殺消去している。

3.上記の金額には、消費税等を含んでいない。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、顧客第一の経営姿勢を堅持しながら時代の変化を先取りし、競争力のある強固な企業体質を確立して株主の期待に応えるとともに、社会と地域に貢献する信頼性の高い企業集団を目指している。

 当社は、中堅造船所として技術力を国の内外から高く評価されており、その技術力をもとに多種多様な船舶の建造及び修理を事業の核にして積極的な経営を推進し、顧客の信用を高めるとともに、業績向上に向け努力を続けていく。

 

(2)目標とする経営指標

 平成30年3月期業績予想のうち、特に売上高305億円及び営業利益5億円の達成を重点目標として、更なる建造コスト削減、固定費削減に当社グループが一丸となって取り組み、収益の向上に努めていく所存である。

 

(3)会社の対処すべき課題等

 当社を取り巻く事業環境においては、海運市況は徐々に回復の兆しが見られるものの、造船業界は船腹及び建造設備の過剰な状態の解消にはいましばらく時間を要し、低迷する船価水準の改善は厳しい状況である。また、米国をはじめとする各国の経済政策等により、大幅に為替の変動する可能性もあり、円高リスクや鋼材価格の上昇の懸念を含め、見通しの下振れリスクには充分な注意が必要な状況が続くと思われる。

 このような状況のもと当社グループとしては、次の6項目を最重要課題として、取り組んで行く方針である。

1.エコシップ等の顧客ニーズに対応する多種多様な船種船型の開発・営業・製造(プロダクトミックス)の推進

2.戦略的な資材費対策と固定費の削減

3.受注一貫体制(営業・設計・調達・現業)の充実とリスク管理の徹底

4.優秀な人材確保と体系的教育の実施

5.公平・公正な財務情報の公開と有効で効率的な企業統治及び内部統制の維持・運用

6.省エネ・環境保護活動の推進

 

 これらを当社グループが一丸となって実行し、業績の向上に最大限の努力を続ける所存である。

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状況及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1)資機材価格の市況変動について

 当社グループの主力事業である新造船事業において、製造コストに占める資機材価格の割合が高いため、資機材

価格の市況変動は、コストインパクトが大きく、業績と財政状況に影響を及ぼす可能性がある。

 これに対して、資機材価格の直近の状況を受注に反映し、市況変動に対するリスクをヘッジしている。

 

(2)市況及び競合等の影響について

 当社グループの主力事業である新造船事業において、世界経済の動向に伴う貨物の荷動量及び船舶の需給関係等による受注価格の変動が、業績と財政状況に影響を及ぼす可能性がある。

 これに対して、当社の技術力を活かした「プロダクトミックス」による受注活動を行い、市況及び競合等に対するリスクをヘッジしている。

 

(3)為替の変動について

 為替相場の大幅な変動がある場合には、業績と財政状況に影響を及ぼす可能性がある。

 これに対して、当社は、新造船については基本的には円建契約を原則としているが、外貨建契約船がある場合は為替相場の変動を注視しながら、先物予約を行うなどして為替変動リスクをヘッジすることとしている。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)日立造船㈱、ジャパンマリンユナイテッド㈱と、相互の繁栄を目的に営業、設計、技術面での支援、人的交流など、経営全般についての基本協定書を締結している。

  なお、日立造船㈱からは、従来どおり経営面での指導を受けている。

(2)日立造船㈱と新造船の主力工場である因島工場の土地、建物等について賃借契約を締結している。

6【研究開発活動】

  当社グループの研究開発活動は、船舶事業において、新船型の開発等を行っており、当連結会計年度の研究開発費の総額は179百万円である。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施している。詳細については、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載している。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

①概要

  詳細については、「第2 事業の状況 1 (1)業績」に記載している。

 

②財政状態の分析

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

総資産

32,909

29,348

△3,561

負債

25,697

21,856

△3,840

純資産

7,212

7,491

278

 

ア.総資産

  前連結会計年度末の329億9百万円から35億61百万円減少し、293億48百万円となった。

 これは主に、現金及び預金、流動資産のその他に含まれる未収消費税及び固定資産の減少等によるものである。

イ.負債

 前連結会計年度末の256億97百万円から38億40百万円減少し、218億56百万円となった。

 これは主に、支払手形及び買掛金、前受金の減少等によるものである。

ウ.純資産

 前連結会計年度末の72億12百万円から2億78百万円増加し、74億91百万円となった。

 これは主に、利益剰余金、その他有価証券評価差額金の増加等によるものである。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析

 詳細については、「第2 事業の状況 1(2)キャッシュ・フローの状況」に記載している。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 詳細については、「第2 事業の状況 4事業等のリスク」に記載している。