第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)経営方針

 当社グループは、顧客第一の経営姿勢を堅持しながら時代の変化を先取りし、競争力のある強固な企業体質を確立して株主の期待に応えるとともに、社会と地域に貢献する信頼性の高い企業集団を目指している。

 当社は、中堅造船所として技術力を国の内外から高く評価されており、その技術力をもとに多種多様な船舶の建造及び修理を事業の核にして積極的な経営を推進し、顧客の信用を高めるとともに、業績向上に向け努力を続けていく。

 

(2)経営戦略

①新造船事業

 (a)一般貨物船、自動車運搬船などの外航船及びフェリー、ロールオン/ロールオフ型貨物船などの内航船のプロダクトミックスの推進

 (b)受注一貫体制(営業・設計・調達・現業)の充実によるコスト競争力の強化とリスク管理の徹底

 (c)2工場への戦略的な設備投資による業容の拡大とコストダウン

 

②改修船事業

 顧客の信頼を得た高度な技術力・技能力でさらなる高品質化とコストダウン

 

③全般事項

 (a)安定的な株式配当の充実と財務体質の強化

 (b)戦略的な人材採用による若手技術者・技能者の確保及び教育

 (c)優秀なベテランの有効活用と技術・技能の伝承

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 平成31年3月期業績予想のうち、特に売上高285億円及び営業利益5億円の達成を重点目標として、さらなる建造コスト削減、固定費削減に当社グループが一丸となって取り組み、収益の向上に努めていく所存である。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題等

 わが国の経済の先行きについては、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くものと期待されるが、各国の経済政策に起因する影響が危惧されるなど、景気の先行きは引き続き不透明である。

 このような状況の下、当社を取り巻く事業環境においては、海運市況は海上荷動きや運賃水準が回復傾向をみせ、ようやく回復の兆しが現れてきた。しかし、海運市況の本格的な回復には、海上荷動きのさらなる増加と老齢船や不採算船のスクラップが進むことによる船腹過剰な状態が大幅に改善されることが必要となる。よって受注環境の改善は、なお時間を要するものの、SOx(硫黄酸化物)規制やCO2(二酸化炭素)の排出量削減規制が2020年から強化されることにより、船主側の対応が具体的に進むことで、改造や代替建造の需要が増えてくることが期待される。

 このような状況のもと当社グループとしては、次の7項目を最重要課題として、取り組んで行く方針である。

1.エコシップ等の顧客ニーズに対応する多種多様な船種船型の開発・営業・製造(プロダクトミックス)の推進

2.戦略的な資材費対策と固定費の削減

3.受注一貫体制(営業・設計・調達・現業)の充実とリスク管理の徹底

4.優秀な人材確保と体系的教育の実施

5.公平・公正な財務情報の公開と有効で効率的な企業統治及び内部統制の維持・運用

6.省エネ・環境保護活動の推進

7.自己資本比率及び自己資本利益率の向上

 

 これらを当社グループが一丸となって実行し、業績の向上に最大限の努力を続ける所存である。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)資機材価格の市況変動について

 当社グループの主力事業である新造船事業において、製造コストに占める資機材価格の割合が高いため、資機材

価格の市況変動は、コストインパクトが大きく、業績と財政状況に影響を及ぼす可能性がある。

 これに対して、資機材価格の直近の状況を受注に反映し、市況変動に対するリスクをヘッジしている。

 

(2)市況及び競合等の影響について

 当社グループの主力事業である新造船事業において、世界経済の動向に伴う貨物の荷動量及び船舶の需給関係等による受注価格の変動が、業績と財政状況に影響を及ぼす可能性がある。

 これに対して、当社の技術力を活かした「プロダクトミックス」による受注活動を行い、市況及び競合等に対するリスクをヘッジしている。

 

(3)為替の変動について

 為替相場の大幅な変動がある場合には、業績と財政状況に影響を及ぼす可能性がある。

 これに対して、当社は、新造船については基本的には円建契約を原則としているが、外貨建契約船がある場合は為替相場の変動を注視しながら、先物予約を行うなどして為替変動リスクをヘッジすることとしている。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりである。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による経済政策、日銀の金融緩和政策のもと、好調な世界経済の影響により企業収益に改善がみられ、雇用・所得情勢が堅調に推移する中、個人消費も改善が進むなど、景気は緩やかな回復基調で推移した。世界経済においては、米国は堅調な雇用情勢により景気拡大が続いており、一部の国の経済保護政策による懸念はあるものの、物流の増加により景気は徐々に回復する傾向にある。また、アジアにおいては、中国などの一部で成長率が鈍化していく可能性があるものの、世界的な景気改善を背景に堅調に推移した。

 このような状況のもと、当連結会計年度の経営成績については、売上高298億37百万円(前年度比3.1%減)、営業利益4億23百万円(前年度比22.8%減)、経常利益3億49百万円(前年度比13.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3億8百万円(前年度比11.4%増)となった。

 当連結会計年度の財政状態については、資産は前連結会計年度末に比べ2億41百万円増加し、295億89百万円、負債は、前連結会計年度末に比べ53百万円増加し、219億10百万円、純資産は、前連結会計年度末に比べ1億88百万円増加し、76億79百万円となった。

 

 

 セグメントの業績は次のとおりである。

 

(a) 船舶事業

 海運マーケットには回復の兆しがみられるものの、船腹及び造船能力の過剰による新造船建造需要の低迷が続いており、船価の本格的な回復には至らず、厳しい1年となった。

 また、改修船事業については、海運市況の影響により修繕費用が抑制され、国内及び国外造船所との熾烈な受注競争を余儀なくされ、受注・採算面ともに厳しい状況が続いた。

 このような状況のもと、コスト競争力の強化のため、2工場(瀬戸田工場、因島工場)体制の強みを活かしたより効率的な生産性向上の取組みに加え、資機材費の削減については、海外調達を拡大するなど、さらなるコストダウンを徹底しておこなってきた。また、受注においては、豊富な建造実績のある内航フェリー、ロールオン/ロールオフ型貨物船(RORO船)を中心に、代替需要を確実に受注することに努めてきた。

 なお、当社は、地球環境問題が企業の社会的責任として重要であることを十分に認識し、環境性能を踏まえた省エネ船(エコシップ)の開発・設計を進めるとともに全社を挙げて省エネ・環境保護活動に取り組んでいる。

 この結果、当連結会計年度の船舶事業全体の業績については、売上高292億66百万円(前年度比3.2%減)、セグメント利益13億4百万円(前年度比9.0%減)となった。

 受注については、新造船8隻(フェリー、RORO船)、修繕船他で334億8百万円(前年度比30.1%増)を受注し、受注残高は、新造船17隻他で491億81百万円(前年度比9.2%増)となった。

 

 

(b) その他

 陸上・サービス事業については、公共・民間設備投資は緩やかに増加しており、個人消費についても持ち直しの動きが見られた。

 このような状況のもと、当連結会計年度の業績については、土木建設工事の需要に回復の兆しが見られたことなどにより売上高12億14百万円(前年度比12.9%増)、セグメント利益12百万円(前年度比65.2%増)となった。

 

 

 なお、上記の金額には、消費税等を含んでいない。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より9億74百万円減少し、76億53百万円となった。

 各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりである。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は1億62百万円(前年度は18億69百万円の使用)となった。

 これは主に、仕入債務が増加したものの、売上債権及びたな卸資産についても増加したことによるものである。

 また、前年度に比べ使用した資金が減少した理由としては、前年度は消費税の還付8億68百万円があったものの、前受金の減少29億17百万円の影響により使用した資金は18億69百万円となったが、当年度は、前受金の減少が51百万円と抑えられたため、使用した資金は1億62百万円となった。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は5億85百万円(前年度は6億76百万円の使用)となった。

 これは主に、固定資産の取得による支出によるものである。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は2億29百万円(前年度は1億92百万円の獲得)となった。

 これは主に、長期借入金の返済による支出が、長期借入れによる収入を上回ったことによるものである。

 

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりである。

 

平成28年3月期

平成29年3月期

平成30年3月期

自己資本比率

21.9%

25.5%

26.0%

時価ベースの自己資本比率

7.5%

11.6%

8.7%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

1.27年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

59.33倍

 1.自己資本比率:自己資本/総資産

 2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

 3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動キャッシュ・フロー

 4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動キャッシュ・フロー/利払い

 (注1)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算している。

 (注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算定している。

(注3)営業活動キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用し、有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としている。

       また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用している。

 (注4)平成29年3月期及び平成30年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率、インタレスト・カバレッジ・レシオの指標については、営業活動キャッシュ・フローがマイナスのため記載を省略している。

③生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

当連結会計年度

    (自 平成29年4月 1日

    至 平成30年3月31日)

前年増減比(%)

船舶事業(百万円)

27,477

△1.4

報告セグメント計(百万円)

27,477

△1.4

その他(百万円)

666

0.6

合計(百万円)

28,143

△1.4

 (注)1.金額は当連結会計年度の製造原価によっている。

 2.内部取引は控除している。

 3.上記の金額には、消費税等を含んでいない。

(b) 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前年増減比(%)

金額(百万円)

前年増減比(%)

船舶事業

33,408

30.1

49,181

9.2

報告セグメント計

33,408

30.1

49,181

9.2

その他

592

7.6

35

144.8

合計

34,001

29.7

49,216

9.2

 (注)1.前連結会計年度に受注したもので、当連結会計年度に値引、値増のあったものは受注高で修正した。

 2.セグメント間の取引については相殺消去している。

 3.上記の金額には、消費税等を含んでいない。

 

(c) 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

当連結会計年度

     (自 平成29年4月 1日

     至 平成30年3月31日)

前年増減比(%)

船舶事業(百万円)

29,266

△3.2

報告セグメント計(百万円)

29,266

△3.2

その他(百万円)

571

4.3

合計(百万円)

29,837

△3.1

 

 (注)1.総販売高に対する割合が10%以上の販売先に対する販売実績は次のとおりである。

 

販売先

工事内容

総販売高に対する割合・金額

前連結会計年度

 ジャパンマリンユナイテッド㈱

新造船工事

10%~20%

 鹿児島船舶㈱

新造船工事

(3,079~6,158百万円)

 光洋海運㈱

新造船工事

合計

 

40%~45%

(12,316~13,856百万円)

当連結会計年度

 FENG LI MARITIME CORPORATION

新造船工事

10%~40%

 川崎近海汽船(株)

新造船工事

(2,983~11,934百万円)

 Nissho Shipping Panama Inc.

新造船工事

合計

 

50%~60%

(14,918~17,902百万円)

 2.セグメント間の取引については相殺消去している。

 3.上記の金額には、消費税等を含んでいない。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日現在において過去の実績等を勘案し合理的に判断して見積りを行っているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。

 なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載している。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 (a)経営成績の分析

 

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ9億53百万円減少し、298億37百万円(前年度比3.1%減)となった。これは主に、海運市況の影響により、修繕費用が抑制されるなど、改修船において売上隻数はほぼ同数であるが1隻当たりの売上高が減少したことによるものである。

 

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ1億24百万円減少し、4億23百万円(前年度比22.8%減)となった。これは主に、船舶事業において、新造船建造需要の低迷が続いているなど、船価の本格的な回復に至っておらず、前連結会計年度に比べて売上対象船の収益性が低くなったことによるものである。

 

(経常利益)

 当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ41百万円増加し、3億49百万円(前年度比13.6%増)となった。これは主に、前連結会計年度に発生した為替差損(1億58百万円)の影響が当連結会計年度にはなかったことによるものである。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ31百万円増加し、3億8百万円(前年度比11.4%増)となった。これは主に、経常利益の増加によるものである。

 

 なお、詳細については、「第2 事業の状況 3(1)経営成績等の状況の概要」に記載している。

 (b)財政状態の分析

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

資産

29,348

29,589

241

負債

21,856

21,910

53

純資産

7,491

7,679

188

 

(資産)

  前連結会計年度末の293億48百万円から2億41百万円増加し、295億89百万円となった。

 これは主に、現金及び預金が減少したものの、受取手形及び売掛金、流動資産のその他に含まれる未収消費税等が増加したことによるものである。

 

(負債)

 前連結会計年度末の218億56百万円から53百万円増加し、219億10百万円となった。

 これは主に、1年内返済予定の長期借入金が減少したものの、支払手形及び買掛金が増加したことによるものである。

 

(純資産)

 前連結会計年度末の74億91百万円から1億88百万円増加し、76億79百万円となった。

 これは主に、利益剰余金の増加によるものである。

 

 (c)経営成績に重要な影響を与える要因について

 詳細については、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載している。

 

 (d)資本の財源及び資金の流動性

 

(キャッシュ・フローの状況の分析)

 詳細については、「第2 事業の状況 3(1)②キャッシュ・フローの状況」に記載している。

 

(資金需要)

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、資機材の仕入れなど、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用である。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものである。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入金を基本としている。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は82億12百万円となっている。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は76億53百万円となっている。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)日立造船㈱、ジャパンマリンユナイテッド㈱と、相互の繁栄を目的に営業、設計、技術面での支援、人的交流など、経営全般についての基本協定書を締結している。

  なお、日立造船㈱からは、従来どおり経営面での指導を受けている。

(2)日立造船㈱と新造船の主力工場である因島工場の土地、建物等について賃借契約を締結している。

5【研究開発活動】

  当社グループの研究開発活動は、船舶事業において、新船型の開発等を行っており、当連結会計年度の研究開発費の総額は160百万円である。