当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「インフラストラクチャー創造企業」として、健全経営のもと、最高品質のものづくりを通じて社会基盤の充実と発展に幅広く貢献していくことを企業理念としております。その実現に向けて、「お客様の満足」「会社の発展」「規範の遵守」に価値を置き、「責任感」「コミュニケーション」「人材育成」「自己変革」「挑戦」の5つを社員一人ひとりの行動指針として掲げて、事業を運営しております。
(2)中長期的な経営戦略及び目標とする経営指標
当社の中期経営計画「日車変革2030」において、2030年までになりたい姿を表す長期ビジョン「現場に安全と信頼をスマートに提供し、お客様の課題を解決するビジネスパートナーになる」を掲げ、このビジョンの達成に向けて重点的に取り組む事項を以下の3本柱として推進しております。
①「収益力(利益を稼ぎ出す力)の徹底強化」
②「成長のための事業基盤改革」
③「ビジネスモデル変革の実現」
これにより、「連結売上高経常利益率5%の安定的確保」を経営指標として、売上高に対する利益を確保することを目指しております。
(3)経営環境及び対処すべき課題
当社は、次期連結業績見通しを踏まえ、品質向上や低コスト化、業務の効率化を更に推進し、経営体力の強化に努めてまいります。各事業別の経営環境及び対処すべき課題は以下の通りです。
(鉄道車両事業)
アフターコロナにおける鉄道事業者の車両更新需要の縮小など、今後も厳しい受注環境が継続すると見込まれます。このような環境下において、新幹線電車をはじめ、特急型車両、通勤型車両、事業用車両等、幅広い車種に対応できる強みを活かしつつ、安全、品質、保守に磨きをかけ進化させた次世代を築くブランドN-QUALISによる差別化や、車両の空力性能向上等を始めとする技術開発を推進してまいります。また、生産プロセスの改善によるコスト低減に努め、競争力の強化を継続して進めてまいります。
(建設機械事業)
国内市場では都市部における再開発需要が継続して見込まれ、国外市場では多少の波はあるものの今後も一定の建設需要が継続すると見込まれます。このような市況において、杭打機をはじめとする建設機械の製造・開発ノウハウを活かし、各地域のニーズに合った柔軟な対応を進めてまいります。また、建設現場におけるCO2排出量の削減や労働力不足を補う省人化等の市場ニーズを捉え、建設機械の電動化・自動化等を実現するとともに、保守の分野において顧客の省力化に資するサービス等を開発することにより、競争力の強化に努めてまいります。
(輸送用機器・鉄構事業)
輸送用機器は、各種タンクローリ、製鉄所向けキャリヤ、無人搬送装置については今後も更新需要を中心に一定程度の需要があると見込まれるものの、厳しい受注環境にあることは変わりません。このような環境下において、主力の高圧ガスタンクローリや大型陸上車両(キャリヤ)を中心に、将来的なエネルギー動向や労働力不足を補う省人化等の市場ニーズを捉えた新製品の投入や新技術の導入に向けた技術開発を進めており、キャリヤの自動運転システム「N-SEMAC」を発表しております。また、設計の標準化等によるコスト低減を進めることで、競争力の強化と新規顧客の開拓に努めてまいります。
鉄構は、新設橋梁は引き続き一定量の発注量があるものと予測されますが、厳しい受注環境が継続するものと思われます。一方、高速道路の大規模更新・大規模修繕の発注量が増加傾向にあるなど老朽化対策による補修・保全事業の重要性が一層高まっております。このような環境を踏まえ、新設橋梁は引き続き技術提案能力の強化に努め、受注量を確保するとともに、補修・保全事業では、東海道新幹線の大規模改修工事における橋梁補修の工事実績を通じて蓄積したノウハウを活かして道路橋の補修・保全工事の受注に努めてまいります。
(エンジニアリング事業)
鉄道事業者向け機械設備、穀物乾燥調製貯蔵施設及び製紙機械は社会基盤として不可欠な設備であり、今後も一定の需要が継続すると見込まれます。これらの設備には安全性向上、省力化に加え、高齢化や労働力不足を補う省人化や保守性の向上が求められており、市場ニーズにきめ細かく対応する提案を進めることにより、収益確保に努めてまいります。
当社は、過去の米国向け大型鉄道車両案件において発生した多額の損失による財務状況の悪化への対応として、2017年4月に豊川製作所、鳴海製作所、衣浦製作所の工場資産を当社の親会社(東海旅客鉄道㈱)へ譲渡し、さらに、同年11月に親会社より350億円の長期借入を行いました。
2021年度より上記の長期借入金の返済を開始し、また、譲渡した工場資産のうち豊川製作所を2023年3月に親会社から買い戻しました。引き続き、長期借入金を着実に縮減し財務基盤の強化に努めるとともに、現在取り組んでいる経営改善の取組みを進め、経営体力の強化を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する考え方及びTCFDの提言への取組み
当社は、取締役会において、当社のサステナビリティについての取組みの基本方針を策定しております。また、当社の重要なサステナビリティ課題に対する取組みの推進主体として、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、長期的な視点で当社にとって重要なサステナビリティ課題を特定した上で、その解決に向けた取組みを推進しております。
<日本車両 サステナビリティ基本方針>
日本車両は、企業理念に掲げる「最高品質のものづくり」を通じて、社会基盤の充実と発展に幅広く貢献し、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指します。
長期ビジョンに掲げる「お客様の課題を解決するビジネスパートナー」として、鉄道の環境優位性をより一層高めるため鉄道車両事業に磨きをかけるとともに、各事業の活動を通じて、気候変動リスクなどの地球環境問題や少子高齢化に伴う労働力不足への対応といったお客様の課題、ひいては社会全体の課題の解決に貢献していきます。
明治29年(1896年)創業以来の伝統と技術を守りながら、将来にわたって「現場に安全と信頼をスマートに提供」する役割を果たしていくため、ステークホルダーから当社への期待を受け止め、さらなる事業基盤の強化に取り組んでいきます。
<重要課題>
① 環境負荷の低い製品・サービスの提供
② 自動化・省力化に資する製品・サービスの提供
③ 脱炭素社会におけるものづくり
④ 働きがいのある職場づくり
また、これらに加え、気候変動については、2021年12月にTCFD(注)提言への賛同を表明しており、気候変動に関するリスクと機会を分析することで、長期にわたる安定的な事業運営に活かすとともに、持続可能な社会の実現にも貢献していきます。詳しくは、
https://www.n-sharyo.co.jp/finance/2025TCFD.pdf
(注)TCFDはTask Force on Climate-related Financial Disclosures の略で、気候関連の情報開示等を検討するため、金融安定理事会(FSB)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォースです。その最終報告書では、企業等に対し、気候変動が事業に与えるリスク及び機会の把握と開示等を推奨しております。
(2) 人材育成や活躍推進の取組み
当社が掲げる企業理念である「最高品質のものづくりを通じて、社会基盤の充実と発展に幅広く貢献していく」ことを実現するためには、優秀な人材を確実に確保し育成していくことが極めて重要であり、「ものづくりは人づくり」を信念に人材育成に取り組んでおります。
また、2022年11月には、当社グループにおける健康経営の推進に関する理念として「日本車両グループ安全安心・健康宣言」を策定しました。全ての従業員が健康でいきいきと仕事に従事し、幸福(Well-being)を実現できるように、職場における安全・安心を確保するとともに従業員の心と体の健康づくりの支援にこれまで以上に積極的に取り組んでまいります。そういった取組みを通じて経営理念を実現し、ひいては当社グループの持続可能性の確保と企業価値の維持向上につなげていきたいと考えております。
なお、優良な健康経営を実践している企業として、経済産業省より「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されました。
(人的資本・知的財産への投資等)
人材の育成は経営の最重要課題のひとつであるという認識のもと、企業理念の実践と長期ビジョンの実現のため、年間を通じて以下のような教育研修を実施しております。
(主な教育研修)
・新入社員研修
・階層別研修
・技能研修(製造技能、安全・品質管理や改善手法等の体得)
・マネジメント研修(課長・部長クラス。マネジメント力の強化)など
また、2021年10月には、賃金や昇進などにかかる人事制度を刷新しました。刷新にあたっては、労使で議論を重ね、長期雇用を前提として安心して一体感を持って仕事に打ち込める環境を整えるとともに、社員一人ひとりの成長意欲を高め、その努力に適切に報いることができる制度としました。
(女性の活躍推進)
当社では、全ての社員が安心して前向きにいきいきと仕事ができる環境づくりを大切にしています。女性社員の就業環境についても、その持てる力を存分に発揮できるように、ジョブローテーションを通じたキャリア形成や仕事と育児との両立支援などに積極的に取り組んできているところであり、2019年には愛知県より「あいち女性輝きカンパニー」の認証を受けております。
幹部候補である女性総合職の現在の人員数は約60名(正社員の約3%)で社歴が浅い社員が多い(平均勤続年数約8年)ことから、現時点で経営職(管理職)やリーダー職(係長級)として活躍している社員は限定的ですが、経営職に登用する女性社員数を10年後には20名程度にしていくことを目指しております。足下では、2021年4月から5年間で、リーダー職(係長級)に就く女性社員を40名程度としていく目標を掲げ、その達成を目指しているところです。
これからも、女性社員の経営職(管理職)への登用のみならず、女性社員の採用拡充と職域の拡大やジョブローテーションを通じたキャリア形成、仕事と育児の両立支援制度のさらなる充実を進めてまいります。
当社グループの業績や財務状況などに影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月27日)現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクがこれらに限られるものではありません。また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
(販売活動に係るリスク)
(1)受注契約
当社グループは、請負金額が大きい等の重要な受注案件について、受注契約締結前に工程、原価、契約等のリスクについて各部門における受注審査や取締役会等の会議体を通じ社内検討を十分行っておりますが、原材料の高騰や設計変更など受注時の社内検討を超えた変更があった場合には、事業採算の悪化により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法令・規制
当社グループにおいては、法令・規制の遵守を徹底するために「日本車両グループ倫理規程」を定め、その規程に基づいて遵守体制のチェックや発生した問題への対処策の検討を行うためコンプライアンス委員会を設置しております。また、法令遵守のための行動基準を定めた「私たちの行動規範」を全社員へ配布することや知悉度確認の実施などコンプライアンス意識の浸透・定着及び知識の向上に努めております。しかしながら、当社グループの事業活動の上で各国・各地域の各種法令や規制等の制約を受けており、法令・規制の変更への対応が適切でない等の場合には、過料・課徴金等による損失や行政処分等による受注機会の損失、またそれらに伴う社会的評価の低下により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(生産活動・開発に係るリスク)
(3)原材料及び部品調達
当社グループの事業には、受注から納入まで時間を要する個別受注案件が多いことから、その間の需給環境の変化による影響を受けやすくなっております。適時調達や歩留まりの向上を進めるなど需給環境の変化に対応するよう努めておりますが、原材料、部品等の急激な価格変動が発生し製品の販売価格に十分に転嫁できない場合や、部品等の大幅な納期遅延により工程に影響が及んだ場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)クレームの発生
当社グループは、健全経営のもと、最高品質のものづくりを通じて社会基盤の充実と発展に幅広く貢献することを企業理念として掲げております。2024年度より、品質に関する全社方針を定め、各事業本部においても「品質第一」意識の浸透や設計・製造品質の向上などの重点取組事項を定めることにより、各職場のレベルアップを図っております。しかしながら、予測できない原因により品質問題が発生し、重大なクレームが発生した場合には当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)特定ベンダーへの依存
当社グループは、部品のさらなる安定的な供給を目指すべくベンダーの拡大に努めておりますが、部品によっては供給できるベンダーが少なく、予期せぬベンダーの廃業や操業停止等があった場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(気候変動・環境に関するリスク)
(6)気候変動
当社グループは、「環境活動方針」を制定し、脱炭素社会・循環型社会の実現に向けた取組みを推進しております。とりわけ気候変動への対処は重要な課題であると認識しており、災害時の事業継続計画を策定するとともに、カーボンニュートラルに資する製品・サービス開発を進めてまいります。気候変動に起因する自然災害が激甚化し、当社グループやベンダーの施設が損傷などの被害を受け、生産・販売等の事業活動に影響が及んだ場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7)環境規制
当社グループは、有害物質の使用及び取扱い、廃棄物処理、製品含有化学物質並びに土壌・地下水汚染の規制などを目的とした様々な環境法令の適用を受けており、環境規制及び関連法規等を順守するため、リサイクル推進による廃棄物の最終処分量の削減やエネルギー効率の良い生産設備への更新などを順次進めております。しかし、将来における環境規制の変更により、当社グループにとって更に多くの対応が必要になった場合、あるいは製品の開発、生産、販売・サービス活動等に支障をきたした場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(事故・災害等に関するイベント性のリスク)
(8)訴訟リスク
当社グループの各事業活動に関連して、事業運営に関する訴訟リスクが継続的に存在することから、重要な訴訟等が提起された場合は、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)情報セキュリティ
当社グループは、技術や営業等事業の機密情報を有するとともに、取引先等の機密情報に接しております。機密情報の外部への流出を防止するため、社内規程の整備やセキュリティシステムの強化等を講じているほか、情報セキュリティに関する教育を実施するなどコンプライアンス意識の浸透・定着に努めております。しかしながら、情報管理上不測の事態が生じて機密情報が滅失ないし漏洩し、社会的評価が低下した場合に、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)事故・災害等
当社グループにおいては、発生した労働災害について取締役会等の会議体へ報告を行い実施された対策等についてチェックを行う体制を整備することでリスク管理を徹底し労働安全に取り組んでおります。また、地震・台風等を想定した事業継続計画を策定しております。しかしながら、製作所における不測の事故、大規模災害や感染症の大規模な流行等が発生した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期の我が国経済は、企業収益の改善等により景気は緩やかな回復の動きが見られましたが、継続的な物価上昇や通商政策など米国の政策動向等による影響を注視する必要があり、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
このような経営環境のもと、当連結会計年度の当社グループの業績は、鉄道車両事業、建設機械事業、輸送用機器・鉄構事業の売上が増加したことなどにより、売上高は前連結会計年度比9.4%増加の96,340百万円となりました。利益面につきましては、建設機械事業、輸送用機器・鉄構事業の利益が増加したことなどにより、営業利益は前連結会計年度比14.4%増加の6,935百万円、経常利益は前連結会計年度比15.7%増加の7,297百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比19.2%増加の6,416百万円となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりです。
・鉄道車両事業
JR東海向け及びJR西日本向けN700S新幹線電車やJR東海向け315系電車のほか、東京都交通局向け電車、名古屋鉄道向け電車などの売上があり、公営・民営鉄道向け車両の売上が前連結会計年度に比して増加したことなどにより、鉄道車両事業の売上高は44,746百万円と前連結会計年度比10.2%増加となりました。
・建設機械事業
大型杭打機、小型杭打機、全回転チュービング装置などの売上があり、国内向けの大型杭打機や部品等の売上が前連結会計年度に比して増加したことなどにより、建設機械事業の売上高は22,809百万円と前連結会計年度比7.6%増加となりました。
・輸送用機器・鉄構事業
輸送用機器におきましては、民生用バルクローリ、大型自走式キャリヤ、無人搬送装置、貨車などの売上があり、LNGタンクトレーラの売上が前連結会計年度に比して増加しました。
鉄構におきましては、圏央道飯沼川高架橋、佐世保道路須崎橋、東海環状自動車道養老IC本線橋、国道1号清水立体庵原高架橋などの売上があり、道路橋の売上が前連結会計年度に比して増加しました。
以上の結果、輸送用機器・鉄構事業の売上高は22,182百万円と前連結会計年度比20.4%増加となりました。
・エンジニアリング事業
鉄道事業者向け機械設備のほか、各地のJA向け営農プラント、家庭紙メーカー向け製造設備などの売上がありましたが、鉄道事業者向け機械設備の売上が前連結会計年度に比して減少したことなどにより、エンジニアリング事業の売上高は6,548百万円と前連結会計年度比15.5%減少となりました。
また、財政状態は以下のとおりです。
・資産
前連結会計年度末に比べ5,232百万円減少し、131,164百万円となりました。これは、主に投資有価証券、短期貸付金が減少したことなどによるものであります。
・負債
前連結会計年度末に比べ7,653百万円減少し、66,515百万円となりました。これは、主に電子記録債務、長期借入金が減少したことなどによるものであります。
・純資産
前連結会計年度末に比べ2,420百万円増加し、64,648百万円となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益を計上したため利益剰余金が増加したことなどによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,819百万円減少し、11,528百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,447百万円の資金の増加となりました。前連結会計年度が2,478百万円の資金の減少であったことと比べ、売掛金及び契約資産の回収が進んだことや税金等調整前当期純利益が増加したことなどから、3,925百万円の増加となりました。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,721百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度が1,442百万円の資金の減少であったことと比べ、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどから、278百万円の減少となりました。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,557百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度が4,001百万円の資金の減少であったことと比べ、長期借入金の返済による支出が減少したことなどから、444百万円の増加となりました。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
鉄道車両事業(百万円) |
44,686 |
+7.0 |
|
建設機械事業(百万円) |
18,199 |
△3.9 |
|
輸送用機器・鉄構事業(百万円) |
21,764 |
+18.2 |
|
エンジニアリング事業(百万円) |
7,988 |
+1.9 |
|
その他(百万円) |
1 |
△83.4 |
|
合計(百万円) |
92,640 |
+6.5 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
b.受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
鉄道車両事業 |
49,826 |
+50.0 |
102,791 |
+5.2 |
|
建設機械事業 |
26,312 |
+42.5 |
19,538 |
+21.8 |
|
輸送用機器・鉄構事業 |
30,222 |
+30.8 |
37,053 |
+27.7 |
|
エンジニアリング事業 |
6,622 |
△29.1 |
3,785 |
+2.0 |
|
その他 |
52 |
△22.9 |
- |
- |
|
合計 |
113,037 |
+34.3 |
163,169 |
+11.4 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
鉄道車両事業(百万円) |
44,746 |
+10.2 |
|
建設機械事業(百万円) |
22,809 |
+7.6 |
|
輸送用機器・鉄構事業(百万円) |
22,182 |
+20.4 |
|
エンジニアリング事業(百万円) |
6,548 |
△15.5 |
|
その他(百万円) |
52 |
△22.9 |
|
合計(百万円) |
96,340 |
+9.4 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
東海旅客鉄道㈱ |
34,414 |
39.1 |
29,078 |
30.2 |
(2)経営者の視点による経営成績などの状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績について
(売上高)
鉄道車両事業、建設機械事業、輸送用機器・鉄構事業の売上高が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ8,281百万円増加の96,340百万円となりました。
(営業利益)
建設機械事業、輸送用機器・鉄構事業の利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ875百万円増加の6,935百万円となりました。
(経常利益)
前連結会計年度に比べ991百万円増加の7,297百万円となりました。これは、営業利益の増加などによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
前連結会計年度に比べ1,034百万円増加の6,416百万円となりました。これは経常利益の増加などによるものです。
セグメント別の売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
・鉄道車両事業
増収の一方で、売上案件の製品構成群の変化により、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ27百万円減少の2,734百万円となりました。
セグメント別資産は、前連結会計年度に比べ1,513百万円減少の42,475百万円となりました。
・建設機械事業
増収により、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ457百万円増加の4,255百万円となりました。
セグメント別資産は、前連結会計年度に比べ140百万円減少の22,746百万円となりました。
・輸送用機器・鉄構事業
増収に加え、個別案件の利益が改善したことから、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ849百万円増加の1,804百万円となりました。
セグメント別資産は、前連結会計年度に比べ2,246百万円増加の22,692百万円となりました。
・エンジニアリング事業
減収に加え、個別の案件で損失を引き当てたことなどにより、前連結会計年度に比べ559百万円減少のセグメント損失831百万円となりました。
セグメント別資産は、前連結会計年度に比べ1,244百万円増加の6,428百万円となりました。
財政状態について
財政状態については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
キャッシュ・フローの状況の分析・検討について
キャッシュ・フローの状況の分析・検討については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主要製品は、鉄道車両や橋梁など受注生産品がその多くを占め、それぞれの受注単位も比較的大きいことから、各年度により製造ないし売上の製品構成が大きく変化します。このため、操業度の平準化や製品毎に異なる仕様への効率的な対応が恒常的な課題となります。この課題に対し、受注案件毎の工程・原価等の変動を適時適切に管理する体制を整備しております。
また、受注から納入まで時間を要する案件が多いため、原材料価格の変動が経営成績に大きく影響することから、原材料については、適時調達や歩留まりの向上を進めるなど需給環境の変化に対応するための取組みを行い、コスト上昇の抑制に努め、リスク低減に努めてまいります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、健全な財務バランスを保ちつつ、事業活動に必要な資金の安定的な確保及び流動性の維持に努めております。主な資金使途としては、製造能力の維持・向上を目的とした設備投資、生産する製品の原材料費、人件費や外注費、各製品の競争力を強化するための新技術・新工法の導入に係る研究開発費等があります。それらの資金については、内部資金を充当するほか、親会社(東海旅客鉄道㈱)グループが運営するCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)に参画し、親会社との連携強化により当座必要となる資金をCMSから機動的に調達できる状態としているため、資金流動性については、資金計画に基づき想定される需要に十分対応できる資金を確保しております。
重要な会計上の見積り及び仮定について
当社グループの連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行っております。当社グループが行った重要な会計上の見積り及び使用した仮定は継続して見直しを行っており、その変更による影響は、見積り及び仮定の不確実性により、将来の期間において資産又は負債の帳簿価額に対して重要な修正を求める可能性があります。当社グループが行った重要な会計上の見積り及び使用した仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1)技術受入契約
なし
(2)技術援助契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
日本車輌製造㈱ (当社) |
ピーティー(プルセロ)・インダストリ・クレタ・アピ社 (インドネシア) |
客車高速走行用台車 |
・契約調印後一定額の一時金 ・売上数量に対し一定額 ・技術指導料 |
1993.10.28~ 2025.10.27 (自動延長条項付) |
(3)固定資産の賃貸借契約に関する契約
2017年4月に工場資産を当社の親会社である東海旅客鉄道㈱へ譲渡しましたが、工場資産は当社の事業用資産であり、譲渡後においても当社の使用継続を可能とするため、当社は東海旅客鉄道㈱との間で賃貸借契約を締結し、従前どおり工場として使用を継続しております。なお、譲渡資産のうち、2023年3月に豊川製作所を親会社から買い戻しました。
当社グループの事業の主幹をなす鉄道車両、建設機械、輸送用機器・鉄構、エンジニアリングなどの各分野では、「日車変革2030」に掲げた長期ビジョン「現場に安全と信頼をスマートに提供し、お客様の課題を解決するビジネスパートナーになる」に基づき、技術力の強化と品質・生産性の向上を図り各製品の競争力を強化するとともに、環境負荷低減や省人化など変化する社会ニーズに対応して新技術を取り入れた製品及びサービスの開発を進めております。
また、当社のものづくりの基盤となる技術の研究について大学などの研究機関と連携し積極的に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発は以下のとおりであります。なお、研究開発費については、各セグメントに配分できない費用387百万円が含まれており、当連結会計年度の当社グループの研究開発費は
(1)鉄道車両事業
鉄道車両本部が中心となり、鉄道車両関連の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果として、特急車両用ステンレス構体の開発などN-QUALISブランドのコンセプトである安全性・品質・保守性の向上に関する技術開発及びその実用化が挙げられます。
鉄道車両事業に係る研究開発費は、
(2)建設機械事業
建設機械本部が中心となり、杭打機、全回転チュービング装置などの基礎工事用機械の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果として、コンパクトな機体で他社同等出力を実現した新型障害撤去機の開発、施工管理システムの機能強化開発、当社建機の所在地や稼働情報等を一元管理する稼働管理システムの開発が挙げられます。
建設機械事業に係る研究開発費は、
(3)輸送用機器・鉄構事業
輸機・インフラ本部が中心となり、化工機、産業車両等の輸送用機器の開発、道路橋、鉄道橋などの鋼構造物の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果として、省人化ニーズに対応した大型自走式キャリヤ向け自動搬送システム(N-SEMAC)の開発、橋梁における現場施工の品質向上に関する技術の開発が挙げられます。
輸送用機器・鉄構事業に係る研究開発費は、
(4)エンジニアリング事業
エンジニアリング本部が中心となり、鉄道用機械設備、営農施設関連の研究開発を行い、製品の競争力強化と新製品開発に取り組んでおります。
エンジニアリング事業に係る研究開発費は、