第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(当事業年度末)現在において当社グループが判断したものです。

(1) 経営方針

当社グループは、企業理念及び経営方針を策定しております。

(企業理念)

「世界のあらゆる物流シーンで、お客様にソリューションを提供し続け、未来創りに貢献する」

(経営方針)

①「安全」……………安全がすべての基本であるという理念の下、常に「安全第一」を心がけます。

②「従業員」…………個性、創造性、挑戦する姿勢を尊重し、働き甲斐のある職場づくりを目指します。

③「お客様」…………物流に携わるすべての人々に心からご満足いただける商品・サービスを提供します。

④「技術」……………最先端の技術により、物流の未来に新しい価値を創造します。

⑤「品質」……………日々の研鑽に努め、世界に選ばれる品質を追求し続けます。

⑥「環境」……………グローバルな視点で地球環境の保全に努め、地域社会の継続的な発展に貢献します。

⑦「コンプライアンス」……法令その他の社会規範を遵守し、誠実かつ公正に事業活動を遂行します。

 

(2) 経営戦略等

当社は2020年11月に、中期経営計画「Logisnext SolutionS 2023」を策定致しました。

 

中期経営計画「Logisnext SolutionS 2023」の骨子

① 課題と外部環境

前・中期経営計画「Perfect Integration 2020」を実行する中で明らかになった課題に加え、市場動向、技術動向、顧客動向、社会情勢など、当社を取り巻く外部環境への対応を織り込みました。

② 2023年度の数値計画

(a) 売上高:5,000億円

(b) 営業利益:300億円〔のれん等償却前〕、営業利益率:6%

(c) 自己資本比率:20%以上

③ 3つの基本戦略

(a)企業耐力の強化

・既存事業の強化

・固定費・変動費の改善

(b)成長戦略の推進

・ソリューション事業の推進による事業領域拡大

・販売ネットワーク再編・強化による利益創出

・市場ニーズを捉えた商品開発によるシェアアップ

(c)ブランド力向上

・“Logisnext”ブランドの活用と認知度向上

・“Logisnext”を核に新しい企業文化の醸成

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度を含む直近3連結会計年度の主要な経営指標は以下のとおりです。

 

(単位:百万円)

 

119期

120期

121期

売上高

448,918

391,496

465,406

のれん等償却前営業利益

18,182

10,990

13,013

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

△5,392

△2,683

717

純資産額

57,178

55,394

63,737

総資産額

373,492

363,357

405,601

のれん等償却前営業利益率

4.1%

2.8%

2.8%

自己資本利益率

△8.9%

△4.9%

1.2%

総資本利益率

△1.5%

△0.7%

0.2%

 

(4) 経営環境

新型コロナウイルス感染症の世界的流行の継続とロシア・ウクライナ情勢の混迷が、回復基調にあった世界経済に影を落とし、グローバリズム時代の転換期を迎えております。物流業界においては、アフターコロナを見据えた自動化・省人化投資を始め、受注環境は堅調に推移しているものの、資源高やサプライチェーン混乱による供給難が生産・販売拡大の制約となっており、激変する環境へ臨機応変に対応し、物流最適化を通じた持続可能な社会の実現を果たすことが、現在の物流機器業界が抱えるテーマとなってきております。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当社においては 「世界のあらゆる物流シーンで、お客様にソリューションを提供し続け、未来創りに貢献する」との企業理念の下、2021年にはサステナビリティ会議を設置、カーボンニュートラルへの挑戦を始めサステナビリティを強く意識した経営を進めております。2年目を迎える中期経営計画「Logisnext SolutionS 2023」の遂行については、2023年度数値目標である、「連結売上高5,000億円、のれん等償却前営業利益300億円、自己資本比率20%」の達成に向け、以下の重要課題に対処することで、社会的課題への解決に貢献しつつ、中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

1.国内事業

・供給困難部品への即応など増産体制整備

・資材費、輸送費高騰対策

・インナーブランディング強化による従業員エンゲージメントの向上

・DX推進活動の加速による業務改革の実現

・リチウム・イオン電池対応

・AGF(Automated Guided Forklift)・港湾などソリューション事業の拡大

2.海外事業

・供給困難部品への即応など増産体制整備

・資材費、輸送費高騰対策

・インナーブランディング強化による従業員エンゲージメントの向上

・米国での直販強化・ソリューション事業拡大

・欧州でのブランド戦略の推進

・APACでのリチウム・イオン電池対応とソリューション事業の展開

・中国での生産・販売体制の見直し

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)リスク管理体制

当社グループは、経営に重大な影響を及ぼすリスクに対して、リスクの未然防止及び顕在時のリスクの最小化を図るため、リスク管理の推進・運営上の最高機関としてリスク・コンプライアンス委員会を設置し、グループ全体のリスク情報を統括・集約し、統一管理する体制を構築しています。半期毎に各部門においてリスクの洗い出しを行い、リスクの分析・評価を実施し重大リスクを決定しております。重大リスクのうち特に優先度の高いリスクについてはアクションプランを作成し、日常よりリスクの低減活動に取り組んでいます。グループ会社についても、各社にリスク管理責任者を配置し、当社に準じたプロセスでリスク管理活動に取り組んでいます。

これらの活動状況については、四半期毎に開催するリスク・コンプライアンス委員会に報告され、重大リスクの状況及び対策の有効性についての評価を実施し、その結果を取締役会に報告しています。なお、リスク・コンプライアンス委員会には常勤監査役も出席し、適宜意見を述べています。

《基本方針》

 リスク管理体制を構築し、リスク管理活動を継続的に実践することで、当社の事業活動の永続的な発展を確保する。

1.重大なリスクを特定し、リスクの未然防止に努める。

2.リスクが顕在化した場合、リスクを最小化するとともに速やかな回復に努め、再発防止を図る。

3.お客様、社会、株主、役員及び従業員の利益を損なわないように活動する。

4.役員及び従業員のリスクに対する認識やリスク管理能力を向上させ、社会的要請に応える。

《リスク管理体制図》

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《運用イメージ》

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(2)リスクの分類

分類

リスク

内容

主要な取組み

マーケットリスク

事業環境変動リスク

・新型コロナウイルス感染症、国際情勢等の影響による景気後退

・脱炭素社会の進展による市場変動

・直販推進、ソリューション事業強化による収益源多角化

・市場動向の把握と電気車シフト

災害リスク

事業継続リスク

・災害、パンデミック等による事業継続リスク

BCP策定と定期的なメンテナンス

オペレーション

リスク

調達リスク

・新型コロナウイルス感染症、国際情勢の影響や需給逼迫による部品供給の遅れ

・物流混乱による追加費用の発生

・情報収集体制の確立と転注推進、ダブルソース化

・物流業者との関係強化による安定航路の確保

情報セキュリティリスク

・外部ハッキング等による機密情報漏洩、業務停止

・ファイアウォール設置、脆弱性診断、クラウドサービス、IoT機器のセキュリティチェック、セキュリティ教育の実施

M&A関連リスク

・買収子会社の事業計画未達等による減損

・シンジケートローンの財務制限条項抵触による資金繰りへの影響

・経営会議等による事前審議

・買収後のシナジー創出の進捗確認や定期的なフォローアップ

品質リスク

・新製品の評価不足による市場クレームの発生

・稼働調査実施と解析・評価への反映

販売リスク

・環境問題等への対応遅れによる顧客離れ

・タイムリーな情報収集と開発計画への反映

財務リスク

与信リスク

・得意先、取引先の経営破綻

・定期的な与信管理

為替・金利変動リスク

・海外子会社の事業活動停滞及び円換算への影響

・金利上昇による利息負担増加

・マルチカレンシーによるリスク分散

・有利子負債の削減

税制リスク

・移転価格税制対応等による課税リスク

・関係税務当局とのAPA(移転価格税制における事前確認制度)締結推進

カントリーリスク

・政変・テロ等による損害発生

・事業展開の適度な分散

コンプライアンスリスク

法令順守リスク

・下請法、建業法、独禁法などに抵触するリスク

・教育の徹底と定期的なモニタリング

人材リスク

人材確保リスク

・国内の労働人口減少による人材確保リスク

・DXを活用した教育内容の充実と生産性向上

・インナーブランディング強化による従業員エンゲージメントの向上

訴訟リスク

IPリスク

・知財侵害による訴訟提起

・関連特許の継続的調査

PLリスク

・PL訴訟などの提起後の対応により損失が拡大する

・グループ会社間での情報共有推進

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況
 当連結会計年度における世界経済は、日本を含めてコロナ禍からの経済活動の復調傾向が継続している中での推移となりました。しかしながら、近年類を見ない災禍からの急激な回復局面で、需要に供給が追い付かず資源高・原材料市況や輸送運賃の高騰・サプライチェーンの混乱を引き起こしており、米国のインフレ高進なども生じて、様々な業種で生産及びコスト面に大きな影響を及ぼしています。また、2月にはロシアによるウクライナ侵攻もあり、世界経済の今後の不透明感は増すばかりとなっています。

 このような中、フォークリフトを始めとする物流機器市場は、国内においては、コロナ禍前と同様の水準で堅調に推移、海外においては、一部地域で顕著に観察された反動需要が一巡したものの、物流ニーズの高まりによりコロナ禍前を上回る水準で推移しています。

 当社においても、グループ各社の受注は引き続き好調ではあるものの、半導体不足の影響を始めとした様々な部品供給の遅れによるリードタイムの長期化、原材料費・輸送費を始めとしたコスト高の影響を大きく受けております。受注増加に応じた生産・出荷を実現し納期順守すべく、部品供給の確保・整流化に取組むとともに、コストの削減にも引き続き注力しているところです。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の収束が依然として見えない中で生じたロシアによるウクライナ侵攻が世界経済の回復に深刻な影響を及ぼすことは間違いなく、世界経済の不確実性の高まりは未曽有の水準にあると思われます。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は4,056億1百万円となり、前連結会計年度末より422億4千3百万円の増加となりました。主な要因は、売上債権の増加、棚卸資産の増加によるものです。

 負債合計は3,418億6千3百万円となり、前連結会計年度末より339億1百万円の増加となりました。主な要因は、仕入債務の増加によるものです。

 また、純資産につきましては、新株予約権及び非支配株主持分を除くと、631億3千1百万円となり、前連結会計年度末より82億7千8百万円増加しました。主な要因は、為替換算調整勘定の増加によるものです。

 この結果、自己資本比率は15.6%(前連結会計年度末は15.1%)、1株当たり純資産額は592円02銭(前連結会計年度末は514円70銭)となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度における連結売上高は4,654億6百万円(前連結会計年度比18.9%増加)となりました。フォークリフト需要のコロナ禍からの復調が売上高の増加に寄与しています。

 利益面につきましては、原材料や輸送運賃の高騰影響を受けながらも、売上高の増加と固定費の抑制効果により、営業利益は35億9千2百万円(同125.3%増加)、経常利益は32億4千万円(同60.9%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益7億1千7百万円(前連結会計年度26億8千3百万円の純損失)となりました。

 なお、のれん等償却の影響を除くと、営業利益は130億1千3百万円(前連結会計年度比18.4%増加)、営業利益率は2.8%(同ポイント増減なし)となっております。

 

 また、「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており当連結会計年度の売上高が17億9千9百万円減少売上原価が4億7百万円減少販売費及び一般管理費が16億4百万円減少し営業利益経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ2億1千2百万円増加しております詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

(国内事業)

 国内事業は、フォークリフト需要がコロナ禍前と同様の水準で堅調に推移していることもあり、売上高は1,739億5千4百万円(前連結会計年度比3.2%増加)となりました。セグメント利益は、特にアフターサービス・補用部品、産業用エンジンの売上高の増加が寄与し、15億3千7百万円(同122.5%増加)となりました。

 なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は63億5千8百万円(同12.3%増加)となっております。

 

(海外事業)

 海外事業は、フォークリフト需要がコロナ禍前を超える水準で推移しており、売上高は2,914億5千1百万円(前連結会計年度比30.7%増加)となりました。セグメント利益は、売上高の増加が寄与する一方で、原材料市況や輸送運賃の高騰等により減殺され、20億5千5百万円(同127.4%増加)となりました。

 なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は66億5千5百万円(同24.9%増加)となっております。

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ24億3千7百万円減少し、125億6千2百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により増加した資金は、前連結会計年度334億8千万円に比べ、128億5千9百万円減少し、206億2千1百万円(前年同期比38.4%減少)となりました。これは主に、売上債権・棚卸資産の増加によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動で支出した資金は、前連結会計年度224億7千5百万円に比べ、32億3千1百万円減少し、192億4千3百万円(前年同期比14.4%減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出は増加したものの、短期貸付金の減少が進んだものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により支出した資金は、前連結会計年度119億3千1百万円に比べ、73億3千万円減少し、46億1百万円となりました。これは主に、前連結会計年度には非支配株主への払戻による支出があった影響と借入金返済の減少によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前連結会計年度比(%)

国 内 事 業

205,643

113.8%

海 外 事 業

256,172

152.1%

合計

461,816

132.3%

(注)金額は、販売価格によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前連結会計年度比(%)

受注残高

(百万円)

前連結会計年度比

(%)

国 内 事 業

186,622

109.7%

46,219

137.8%

海 外 事 業

417,494

166.8%

207,354

255.0%

合計

604,117

143.7%

253,574

220.8%

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比(%)

国 内 事 業

173,954

103.2%

海 外 事 業

291,451

130.7%

合計

465,406

118.9%

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

当社グループの当連結会計年度における経営成績は、増収増益となったものの、依然として営業利益率は同業他社を下回っております。引き続き、国内事業、海外事業のいずれにおきましても、一層の売上増加、シェアアップを目指すとともに、原価低減の推進、固定費の削減等の業務効率化に取組んでまいります。また、当社グループの財政状態については、116期において、ユニキャリア株式の取得に伴う多額の借入れを行ったため、有利子負債が事業規模に比べ多額な状態が続いておりますが、フリーキャッシュ・フローの獲得を通じ、自己資本比率の向上を目指し、財務基盤の一層の強化を図ってまいります。

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因として、「2 事業等のリスク」に記載のとおり様々なものがありますが、各種市場情勢の変化に細心の注意を払い、変化への柔軟かつ迅速な対応を継続していくことに尽力いたします。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要」及び上述のとおりとなっております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

フリーキャッシュ・フロー

当社は、フリーキャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動に支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しています。当社の経営者は、この指標を戦略的投資又は負債返済に充当可能な資金の純額、或いは、資金調達にあたって外部借入への依存度合いを測る目的から、投資家に有用な指標と考えており、以下の表のとおりフリーキャッシュ・フローを算出しています。

(単位:億円)

 

120期

121期

営業活動によるキャッシュ・フロー

335

206

投資活動によるキャッシュ・フロー

△225

△192

フリーキャッシュ・フロー

110

14

 

当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは、14億円となりました。これは、営業キャッシュ・フローが

前連結会計年度に比べ128億円減少した一方で、投資キャッシュ・フローの支出が、有形固定資産の取得による支出が増えたものの、短期貸付金の回収により前連結会計年度に比べ32億円減少したことによります。

当社グループは、フリーキャッシュ・フローの増加を図るため売上債権の流動化、棚卸資産の削減、アセットマネジメントに引き続き取り組んでまいります。

当連結会計年度におきましては、運転資本は、前連結会計年度より242億円増加(前連結会計年度比28.3%増加)して1,097億円となっております。

(単位:億円)

 

119期

120期

121期

売上債権

846

802

893

棚卸資産

620

613

967

仕入債務

△641

△560

△763

運転資本

825

855

1,097

前期比増減

△3

30

242

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローに加えて他社からの借入れにより事業活動に必要となる資金を調達しております。借入先は金融機関及び当社の親会社である三菱重工業㈱並びにその金融子会社です。

当社グループの資金の流動性につきましては、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を126億円有しており、事業活動のために必要な流動性を確保していると認識しておりますが、加えて当座貸越契約の締結や国内外で当社グループのCMS(キャッシュマネジメントシステム)及び三菱重工業㈱の金融子会社が提供するCMSの利用により機動的な資金需要に対応しております。

 

c.株主還元策

当社は、期中における急激な経済環境変動による業績変動に左右されない安定的、継続的な配当を実施する目的で、配当性向のみならず、「自己資本配当率(DOE※)」も考慮に入れながら、配当を決定しております。

※Dividend On Equity ratio=配当総額÷自己資本(=配当性向×ROE)

DOEは利益を積み上げた自己資本に対して、どの程度を配当に充てるかを表す指標であり、これを指標とすることで、自己資本に対する利益率の指標であるROEと株主還元の指標である配当性向のバランスを図ることが可能となります。

当連結会計年度は、株主各位への配当の充実と企業基盤確立のための内部留保とのバランスに配慮した利益配分を行うという基本方針に則り、1株当たり8円としております。(配当性向:118.9%、DOE:1.4%)

(参考)120期 8円/株(配当性向:-、DOE:1.6%)

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成に際し、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、財政状態及び経営成績に影響を与える見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

詳細については、「第5 経理の状況」の(重要な会計上の見積り)をご参照ください。

 

4【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません

 

 

5【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、中期経営計画「Logisnext SolutionS 2023」を見据えて、当社技術本部の持つ強みを最大限活かしつつ、海外開発拠点とも密接な連携を取って新製品の市場投入を計画通り達成しました。セグメント別の主な研究開発活動は次の通りです。

 

〔国内事業〕

(フォークリフト・特殊搬送車両部門)

エンジンフォークリフトについては、自社グループ製各種エンジンを搭載し、最新の排出ガス基準に適合した優れた環境性能と経済性を考慮した低燃費の両立を実現した「ERSIS(エルシス)」(0.9~3.5 トン積)の販売を開始しました。スムーズな走行と加速、トップクラスのマスト上昇速度やパワフルな登坂能力などオペレーターにとって頼もしい作業性能を備え、車両統合管理システム「IPS※1」の各種機能による高い安全性も実現しています。さらにマストやトランスミッション、リアアクスルなど車体各部に自社開発コンポーネントを採用し、重量物荷役作業に欠かせない信頼性と耐久性を確保しています。

※1 IPS : Integrated Presence System

 

その他、大型フォークリフト運転時に AI(人工知能)による人の接近を検知・警告する機能を有したフォークリフト AI 人検知システム「グッドファインダー」の販売を開始しました。「グッドファインダー」は独自の AI 映像解析技術により、計11台の監視カメラで捉えた映像から人のみを高速・高精度で判別、車両と人との接近を検知すると、警告音と LED 点灯により運転者へ危険を知らせ周囲の安全確認を促します。また、停車時に人を検知すると車両の発進を抑える発進抑制機能も標準装備しています※2。監視カメラは近距離用と遠距離用の2種類があり、車速によって検知範囲を自動で切り替えます。多数のカメラを搭載することにより死角を極限まで少なくし、取得した画像から深層学習※3を用いて車両周囲の人のみを検知するコントローラは、映像処理時の動作遅れを生じさせない処理能力も有しています。

※2 公道走行仕様車両は除きます。

※3 ディープラーニングとも呼ばれ、音声の認識や画像の特定、識別、予測などをコンピュータに学習させる

機械学習の手法の一つです。自動運転車をはじめ、さまざまな分野への実用化が進められています。

 

特殊搬送車両について、スラグダンプトラック・自走式ベルトコンベアでは、特定特殊自動車排出ガス2014年基準適合エンジン搭載モデルの市場投入を開始し、ストラドルキャリア・RTG※4でも環境負荷の低い動力源への置き換えを進めております。また、RTGでは、運転者の作業環境改善に向けた遠隔自働システムの開発を進めております。

※4 Rubber Tired Gantry crane:タイヤ式門型クレーン

 

(物流システム部門)

当社は、有人フォークリフトの搬送サイクルに近づくために、国内トップクラスの搬送速度を実現し、物流倉庫への導入に最適なレーザー誘導方式無人フォークリフト「プラッターオート H タイプ」を、2021年8月に発売いたしました。有人フォークリフト用に設置された通路幅とラックスペースでの運用を可能とし、マルチテナント倉庫での柱ピッチに最適なラック配置に対応することが可能となり、倉庫内エリアの有効活用に貢献します。また、レーザー誘導方式の採用により床面工事が不要の為、レイアウト変更が容易であり、環境負荷の大幅低減を実現し、工事制限のある貸し倉庫などへの導入を可能としております。さらに、作業者との共存が必要となる物流倉庫での使用を想定し、安全性にも配慮しており、車両の全周囲をカバーする障害物センサーによる旋回時の巻き込みを防止、フォーク先端に接触検知機構による荷役動作中の異常にも迅速に対応するほか、4色LEDライトが待機・異常停止・充電中などの状態を周囲の作業者に分かりやすく表示します。

 

また、当社は、三菱重工業㈱が開発した自律化・知能化ソリューションコンセプト「ΣSynX(シグマシンクス)」に基づくAGFを三菱重工業㈱と共同で開発しております。このΣSynXコンセプトは、無人搬送車(AGV)や無人フォークリフト(AGF)を効率的に連携させる技術や、人や物を検知し回避させる技術など、さまざまなコア技術から構成されております。

今後、このΣSynXを適用したAGFである新コンセプト機「SynX-Vehicle」で検証するコア技術は、順次、当社のAGFに適用し、お客さまの課題解決に直結するソリューションを提供していきます。

 

〔海外事業〕

(フォークリフト部門)

欧州においては、バッテリーフォークリフトについて、エンジンフォークリフト代替として使用可能な、パワーとパフォーマンスを持ちつつ、クラス最高の電費を実現する「EDiA XL」(4.0~5.5トン積)を市場投入しました。

「EDiA XL」は、登坂時や加速時に一時的に駆動力を上げる「オートブースト」、マスト下降時の振動逓減制御、滑りやすい路面での左右輪のトルク制御によるスリップ抑制など先進的な新機能を搭載しました。カーボンニュートラル社会の実現に向け、これからますます電動フォークリフトの需要増加が見込まれる中、市場ニーズに応えられる製品です。また、「EDiA EX」(2.5~3.5トン積)に同先進的新機能を搭載しアップデートを実施、市場投入しました。

 

北米においては、バッテリーフォークリフトについて、欧州向カウンターバランス車(1.4~2.0トン積)に北米規格適合仕様を追加し市場投入しましたが、引き続き伸長するバッテリーフォークリフトのアプリケーション多様化の対応を進めていきます。

 

中国においては、国内向け「ALESIS(アレシス)」と同様、バッテリーフォークリフト(1.0~3.5トン積)の統合モデルを大連工場で生産を開始、市場投入しました。国内向けと同様に、オペレーターのスキルに合わせて操作フィーリングを設定できる「カスタムフィーリングシステム」や作業時の安全を確保する「センシング制御システム」などの機能を装備し、また広く見やすい広視界設計や旋回時の安定性を改善する低重心構造設計の採用による「使いやすさ」と「快適性」、さらに防水・防塵規格「IPX4」レベルの達成による「信頼性」と「耐久性」を向上しました。

 

当連結会計年度中の研究開発費のセグメント別金額は、国内事業2,573百万円及び海外事業2,076百万円、合計4,649百万円です。