第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 経営方針

当社グループは、企業理念及び経営方針を策定しております。

(企業理念)

「世界のあらゆる物流シーンで、お客様にソリューションを提供し続け、未来創りに貢献する」

(経営方針)

①「安全」……………安全がすべての基本であるという理念の下、常に「安全第一」を心がけます。

②「従業員」…………個性、創造性、挑戦する姿勢を尊重し、働き甲斐のある職場づくりを目指します。

③「お客様」…………物流に携わるすべての人々に心からご満足いただける商品・サービスを提供します。

④「技術」……………最先端の技術により、物流の未来に新しい価値を創造します。

⑤「品質」……………日々の研鑽に努め、世界に選ばれる品質を追求し続けます。

⑥「環境」……………グローバルな視点で地球環境の保全に努め、地域社会の継続的な発展に貢献します。

⑦「コンプライアンス」……法令その他の社会規範を遵守し、誠実かつ公正に事業活動を遂行します。

 

(2) 経営戦略等

当社は2020年11月に、中期経営計画「Logisnext SolutionS 2023」を策定致しました。

 

中期経営計画「Logisnext SolutionS 2023」の骨子

① 課題と外部環境

前・中期経営計画「Perfect Integration 2020」を実行する中で明らかになった課題に加え、市場動向、技術動向、顧客動向、社会情勢など、当社を取り巻く外部環境への対応を織り込みました。

② 2023年度の数値計画

(a) 売上高:5,000億円

(b) 営業利益:300億円〔のれん等償却前〕、営業利益率:6%

(c) 自己資本比率:20%以上

③ 3つの基本戦略

(a)企業耐力の強化

・既存事業の強化

・固定費・変動費の改善

(b)成長戦略の推進

・ソリューション事業の推進による事業領域拡大

・販売ネットワーク再編・強化による利益創出

・市場ニーズを捉えた商品開発によるシェアアップ

(c)ブランド力向上

・“Logisnext”ブランドの活用と認知度向上

・“Logisnext”を核に新しい企業文化の醸成

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度を含む直近3連結会計年度の主要な経営指標は以下の通りです。

 

(単位:百万円)

 

120期

121期

122期

売上高

391,496

465,406

615,421

のれん等償却前営業利益

10,990

13,013

24,995

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

△2,683

717

6,913

純資産額

55,394

63,737

76,027

総資産額

363,357

405,601

475,432

のれん等償却前営業利益率

2.8%

2.8%

4.1%

自己資本利益率

△4.9%

1.2%

10.0%

総資本利益率

△0.7%

0.2%

1.6%

 

(4) 経営環境

全世界でコロナ禍からの経済社会活動の活発化が進む一方、長引くロシア・ウクライナ情勢やインフレの進行と各国中央銀行による利上げから、世界経済は停滞、減速の状況にあります。物流機器業界においては激変する環境に対応して、物流の自動化、脱炭素社会への貢献、安全の向上などを通じて持続可能な社会の実現を果たすことが求められております。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当社においては 「世界のあらゆる物流シーンで、お客様にソリューションを提供し続け、未来創りに貢献する」との企業理念の下、2021年にはサステナビリティ会議を設置、カーボンニュートラルへの挑戦を始めサステナビリティを強く意識した経営を進めております。

2023年度は中期経営計画「Logisnext SolutionS 2023」の最終年度であり、3つの基本戦略、「企業耐力の強化」、「成長戦略の推進」、「ブランド力向上」の総仕上げを目指します。過去2か年度におきましても、生産整流化への取組み、資材費等のコストアップへの対応を進め、また機種統合やお客様の安心・安全に貢献する製品及び人機協調の自動化・自律化製品の開発と提供、全世界での生産拠点、販売拠点の最適化を進めてまいりました。

2023年度もかかる取り組みを継続しつつ、特に「企業耐力の強化」においては安全・品質の確保及びコンプライアンス遵守に努めながら一層の生産整流化、業務効率化を実現し収益力の強化を目指します。また「成長戦略の推進」、「ブランド力向上」におきましても当社製品及びソリューションの提供を通じて社会的課題の解決を図り、将来の成長とロジスネクストブランドの認知度向上を確かなものとしてまいります。

中期経営計画「Logisnext SolutionS 2023」におきましては2023年度数値目標として「売上高5,000億円、のれん等償却前営業利益300億円、同営業利益率6%、自己資本比率20%以上」を掲げました。売上高につきましては、2022年度に6,154億円となり同目標を達成しましたが、さらなる増収を目指し、2023年度の業績を「売上高6,300億円、のれん等償却前営業利益350億円」と見込んでおります。引き続き、各種課題に取り組み、この達成に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下の通りです

なお文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです

 

① ガバナンス

 当社グループにおけるサステナビリティに対するガバナンスとして、2021年に代表取締役社長を議長とし、経営会議メンバーで構成される「サステナビリティ会議」を設置し、年3回開催しております。「サステナビリティ会議」では集中的な議論と検討を通じてサステナビリティ全般に関する戦略、マテリアリティの特定と課題に対する方針・対応の承認、サステナビリティに関する全社の活動の取りまとめ、推進・フォローなどを行い、取締役会に活動状況を報告します。またマテリアリティの活動分野ごとに9つの分科会を設置しており、その一つであるカーボンニュートラル推進委員会においては、活動方針を定め、気候変動を巡る課題とCO₂削減量の目標値などについての議論を実施しております。

 

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② リスク管理

 当社グループではサステナビリティ関連のリスクも含めリスク管理の推進・運営上の最高機関としてリスク・コンプライアンス委員会を設置しております。各部門において半期毎にリスクの洗い出しを行いリスクの分析・評価を実施し半期毎に開催されるリスク・コンプライアンス委員会に報告され、重大リスクの状況及び対策の有効性についての評価を実施し、その結果を取締役会に報告しております。

 

③ 目標と戦略

 当社グループは、世界の物流シーンを支える総合物流機器メーカーとして、国連が提唱する「SDGs」に賛同し、事業活動を通じて社会的課題の解決を図り、地球・社会の持続的発展と未来創りに貢献します。その為にSDGsに対する4つの基本方針として、①地球環境の保全、②地域社会の発展、③人材の育成、④コーポレート・ガバナンスの強化を定め、それに基づき14のマテリアリティを特定しました。

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 それらについて、物流機器市場の見通しやシナリオに基づき、社会的課題の解決と当社グループの持続的成長として「2035年にあるべき姿」の実現に向け、想定されるリスクと機会を策定戦略・方針を議論する為に、中長期戦略検討を開始しサステナビリティ会議で議論しております。その中で「地球環境の保全」については気候変動の対応として三菱重工グループの一員として先行して戦略を定めました。また「人材の育成」についても人的資本についての取り組みとして検討を実施しております。

 

(1)気候変動に関する取組み

a)想定する気候シナリオ

 当社グループは、2つの気候変動シナリオを設定し、2035年における各事業への影響を分析しました。

 1つは、環境への影響を最小限とするため、2100年時点における世界の平均気温の上昇を、産業革命以前と比較して1.5℃以下に抑制しながら経済成長を目指す「気候変動政策厳格化により脱炭素を推進するシナリオ(脱炭素シナリオ)」です。

 もう1つは、現状ベースで化石燃料をエネルギー主体として経済成長を目指す「気候変動政策が厳格化されず引き続き化石燃料に依存するシナリオ(化石燃料依存シナリオ)」で、2100年時点における世界の平均気温が、産業革命以前と比較して4.0℃上昇することが想定されるものです。

 

b)想定した気候シナリオにおける当社グループのリスクと機会

 「脱炭素シナリオ」では、例えば炭素税などの規制が強化され、炭素排出に対するコストが大きく上昇することを想定しています。しかしながら、脱炭素化に対応した当社グループ製品・技術の強みを生かすことでは事業機会も十分に存在するものと考えています。

 一方、「化石燃料依存シナリオ」では、気候変動による物理的リスクが中心となります。

 機会については、当シナリオにおいても現在すでに各種環境規制を推進している先進諸国において今後規制が緩和されることは想定しがたいことから、当社グループの脱炭素技術の優位性を提供することで事業機会が生じると考えています。従って、リスクと機会に対する戦略としては両シナリオに共通のものとして事業に対し2035年断面に対して以下の通り分析しました。

 

[リスク]

世界的な電化への移行に従い、内燃機関に関連する製品・サービスであるエンジン式フォークリフトの 需要減少が想定されます。

[機会]

電化の進展に伴い、競争力のあるバッテリーフォークリフトの需要増が想定されます。

 また、電化・知能化により自動化・自律化を目的とした物流ソリューションの拡大が想定されます。

 

c)目標と戦略

① 目標:2040年カーボンニュートラル宣言

 当社グループは、2021年11月にカーボンニュートラル社会の実現に向けて、目標を策定し発表しています。

 当社グループのCO₂排出量( Scope1,2(注1))を、2040年までにNet Zeroにすることです。また、その中間目標として、2030年までに40%削減(2017年比)します。これは、生産活動に伴う当社グループの工場等からのCO₂排出量の削減です。

 また、当社グループは製品・サービスを通じてお客様のCO₂排出量削減( Scope3(注2))に貢献します。三菱重工グループはグループ全体で2040年までにバリューチェーン全体からのCO₂排出量をNet Zeroにすることを宣言しております。当社グループも物流シーンにおける脱炭素製品や自動化・自律化システムの提供を通じてその目標達成に取り組んでいきます。

(注1)温室効果ガス(GHG)排出量の算定と報告の国際基準であるGHGプロトコルにおけるScope1,2

(注2)温室効果ガス(GHG)排出量の算定と報告の国際基準であるGHGプロトコルにおけるScope3

 

② 目標達成に向けた戦略ロードマップ

 当社グループカーボンニュートラル目標の中間地点である2030年目標の達成に向けて取り組みとして「生産性の向上」、「省エネ活動の推進」、「三菱重工グループの革新的脱炭素技術の導入」を推進していきます。お客様のCO₂排出量削減に向けた製品・サービスの取り組みとしては、「エネルギー効率の良いバッテリーフォークリフト」、「自動化・自律化を実現する物流ソリューション」の開発・提供を通じて推進していきます。

 

(2)人的資本についての取組み

 少子高齢化と労働人口の減少が進む中、社内に異なる経験・技能・属性のある多様な視点や価値観を持った人材がいることは、会社が持続的成長をしていく上で強みとなります。特に経営の中核を担う管理職層が多様性を理解し、各個人のスキルを見出し、引き上げていくことが重要であるため、当社では人材の多様性の確保に向けた取り組みを進めています。また、コロナ禍を契機に、選択型在宅勤務制度などの柔軟な働き方を導入し、働き方改革を推進してきましたが、今後は働きやすさの追求に加え、社員のやりがいにもアプローチした「働きがい改革」へシフトしていきます。「エンゲージメント向上」「多様性の確保」「快適な職場環境の構築」を実行の3本柱として掲げ、一人ひとりが自律的に考え、日々成長していけるような働きがいを感じる会社を目指していきます。

 

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a)エンゲージメント向上

〇 人材育成プログラム(キャリア形成サポート)強化

 中期経営計画基本戦略の一つであるブランド力向上において、「グループ人材育成によるエンゲージメント向上、組織力強化」を掲げています。当社では人材育成制度を拡充し、社員が成長できる機会を促進しています。社員が働きがいを感じるには、一人ひとりが自律的に自分のキャリアを構築できる仕組みが必要です。自分の価値を高める社員を増やすことで、生産性の高い強靭な組織を創るとともに、当社の人的資本を高めることに貢献すると考えています。

 

 

自律的なキャリア形成を支援する仕組み

キャリア面談制度

上司と部下で中長期的なキャリアビジョンについて擦り合わせを行い、目指す姿に向けたアクションを明確にすることで、自律的な行動・成長を促進する制度

キャリアチャレンジ制度

キャリア面談等における異動希望や育成方針について、それを実現する施策を講ずることで、視野や経験値の拡大、モチベーション、スキルアップを図る制度

 

b)多様性の確保

〇 女性活躍推進

 当社は人材の多様性確保の重要な項目に女性活躍推進を位置付け、次の行動計画を定めて取り組んでいます。

 

女性活躍推進法行動計画(計画期間:2021年4月1日~2026年3月31日)

目標1

採用における女性比率20%以上を維持する。

目標2

男性の育児休業取得率を2倍以上に増やす。(目標値9.4%)

目標3

管理職に占める女性労働者の割合を2倍以上に増やす。(目標値3.4%)

 

[上記目標における進捗状況]

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〇 障がい者雇用

 当社は障がいの有無にかかわらず、個々人がそれぞれの希望や能力に沿った活躍ができる環境づくりに取り組み、障がい者雇用を推進しています。(目標値:法定雇用率2.3%超)

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c)快適な職場環境の構築

〇 選択型在宅勤務制度の導入

 個人の意思で最大で週4日の在宅勤務の選択を可能とする選択型在宅勤務制度を導入しました。これにより育児や介護など家庭と仕事を両立させることはもちろん、グローバル化など仕事を取り巻く環境の変化に対応することが可能となりました。

〇 メンタルヘルスケア推進

 高ストレス職場に対する職場活性化面談の実施、ラインケア・セルフケア研修の実施、産業医面談等を継続的に実施し、社員が健康で活力ある働き方ができるようメンタルヘルスケアの諸施策を推進しています。

〇 フリーアドレスの導入

 働き方改革による新しいオフィスの在り方として本社の一部にフリーアドレスを導入しました。部門を超えた社内コミュニケーションの活性化や電子化・省スペース化による業務の効率化を図っています。

 

a)及びc)の目標値(2024年度までの目標)

目標1

社内サーベイの「仕事のモチベーション」スコアを8.3%アップする。

(2022年度実績 48 → 2024年度目標 52)

目標2

社内サーベイの「活性職場数」を2倍にする。

(2022年度実績 16 → 2024年度目標 32)

 

 中期経営計画の最終年度となる2023年度では、失敗を恐れず社員が誇りをもって働く「三菱ロジスネクスト」の企業文化の醸成を行ってまいります。そのために、職場内や部門間を超えたコミュニケーションの活性化を促進する施策を実施するとともに、社員意識調査の調査結果により浮き彫りとなった課題と対策をアクションプランとして職場に落とし込み、それを実行することでスピーディーに人的資本の拡充に努めてまいります。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) リスク管理体制

当社グループは、経営に重大な影響を及ぼすリスクに対して、リスクの未然防止及び顕在時のリスクの最小化を図るため、リスク管理の推進・運営上の最高機関としてリスク・コンプライアンス委員会を設置し、グループ全体のリスク情報を統括・集約し、統一管理する体制を構築しています。半期毎に各部門においてリスクの洗い出しを行い、リスクの分析・評価を実施し重大リスクを決定しております。重大リスクのうち特に優先度の高いリスクについてはアクションプランを作成し、日常よりリスクの低減活動に取り組んでいます。グループ会社についても、各社にリスク管理責任者を配置し、当社に準じたプロセスでリスク管理活動に取り組んでいます。

これらの活動状況については、四半期毎に開催するリスク・コンプライアンス委員会に報告され、重大リスクの状況及び対策の有効性についての評価を実施し、その結果を取締役会に報告しています。なお、リスク・コンプライアンス委員会には常勤監査役も出席し、適宜意見を述べています。

 

《基本方針》

 リスク管理体制を構築し、リスク管理活動を継続的に実践することで、当社の事業活動の永続的な発展を確保する。

1.重大なリスクを特定し、リスクの未然防止に努める。

2.リスクが顕在化した場合、リスクを最小化するとともに速やかな回復に努め、再発防止を図る。

3.お客様、社会、株主、役員及び従業員の利益を損なわないように活動する。

4.役員及び従業員のリスクに対する認識やリスク管理能力を向上させ、社会的要請に応える。

 

《リスク管理体制図》

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《運用イメージ》

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(2) リスクの分類

分類

リスク

内容

主要な取組み

マーケットリスク

事業環境変動リスク

・感染症の拡大、国際情勢等の影響による景気後退

・脱炭素社会の進展による市場変動

・サステナビリティ会議、経営会議等における中長期事業方針、事業戦略の検討、討議

・直販推進、ソリューション事業強化による収益源の多角化

・市場動向の把握と電気車シフト

災害リスク

事業継続リスク

・災害、パンデミック等による事業継続リスク

・BCP策定と継続的な演習、訓練の実施及びBCPの定期的な見直し

オペレーション

リスク

調達リスク

・感染症の拡大、国際情勢の影響や需給逼迫による部品供給の遅れ

・物流混乱による追加費用の発生

・情報収集体制の確立と転注推進、ダブルソース化

・物流業者との関係強化による安定航路の確保

情報セキュリティ

リスク

・外部ハッキング等による機密情報漏洩、業務停止

・ファイアウォール設置、脆弱性診断、クラウドサービス、IoT機器のセキュリティチェック、セキュリティ教育の実施

M&A関連リスク

・買収子会社の事業計画未達等による減損

・シンジケートローンの財務制限条項抵触による資金繰りへの影響

・経営会議等による事前審議

・買収後のシナジー創出の進捗確認や定期的なフォローアップ

品質リスク

・新製品の評価不足による市場クレームの発生

・稼働調査実施と解析・評価への反映

販売リスク

・環境問題等への対応遅れによる顧客離れ

・タイムリーな情報収集と開発計画への反映

財務リスク

与信リスク

・得意先、取引先の経営破綻

・定期的な与信管理

為替・金利変動

リスク

・海外子会社の事業活動停滞及び円換算への影響

・金利上昇による利息負担増加

・マルチカレンシーによるリスク分散

・有利子負債の削減

税制リスク

・移転価格税制対応等による課税リスク

・関係税務当局とのAPA(移転価格税制における事前確認制度)締結推進

カントリーリスク

・政変・テロ等による損害発生

・事業展開の適度な分散

コンプライアンスリスク

法令順守リスク

・下請法、建設業法、独禁法などに抵触するリスク

・教育の徹底と定期的なモニタリング

人材リスク

人材確保リスク

・国内の労働人口減少による人材確保リスク

・DXを活用した教育内容の充実と生産性向上

・インナーブランディング強化による従業員エンゲージメントの向上

訴訟リスク

IPリスク

・知財侵害による訴訟提起

・関連特許の継続的調査

PLリスク

・PL訴訟などの提起後の対応により損失が拡大する

・グループ会社間での情報共有推進

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、インフレ抑制を目的とした各国中央銀行による利上げや昨年2月以来のロシアによるウクライナ侵攻の影響から停滞、減速状況が続いております。また、コロナ禍からの急激な回復局面で引き起こされた、資源高・原材料市況や輸送運賃の高騰・サプライチェーンの混乱は、全体的には改善の兆しが見られるものの、地域によっては依然として継続しております。

 このような中、フォークリフトを始めとする物流機器市場は、国内においては、コロナ禍前と同様の水準で堅調に推移しており、海外においては、米州では景気の減速感もあって買い控えによる若干の需要減少はあるものの物流ニーズは底堅く、依然としてコロナ禍前を上回る需要が継続しております。その一方で、欧州はロシアによるウクライナ侵攻以降の資源高などで企業活動が鈍化し、コロナ禍前の水準は維持しながらも縮小傾向で推移しております。また、アジアは好調であった前年度と同様に高い水準で推移しておりますが、中国はゼロコロナ政策の解除により回復基調にあるものの、年度前半の落ち込みを挽回するには至っておりません。

 当社においては、半導体不足から始まった様々な部品供給の遅れによるリードタイムの長期化、原材料費・輸送費を始めとしたコスト高は前年度から継続していますが、グループ各社の受注は、地域差はあるものの全体としては概ね順調です。国内、海外において生産・出荷の整流化を推進しており、価格適正化の効果も出てきております。しかしながら、サプライチェーンの安定化には未だ不安を抱え、インフレ下における世界経済の先行きは依然として厳しいものと想定され予断を許さない状況が続いています。当社としては、引き続き部品の確保に努めながら生産整流化による更なる出荷促進に取り組むとともに、併せてコストの削減にも注力してまいります。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は4,754億3千2百万円となり、前連結会計年度末より698億3千1百万円の増加となりました。流動資産は、為替の円安影響に加え、売上債権の増加、棚卸資産の増加等により269億8千3百万円増加しました。固定資産は、会計方針の変更で機械装置及び運搬具やリース資産が増加したこと等により、428億4千7百万円増加しました。

 負債合計は3,994億5百万円となり、前連結会計年度末より575億4千1百万円の増加となりました。主な要因は、為替の円安影響に加え、会計方針の変更によるリース債務、その他流動負債及びその他固定負債の増加によるものです。

 また、純資産につきましては、新株予約権及び非支配株主持分を除くと、754億5千5百万円となり、前連結会計年度末より123億2千4百万円増加しました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の獲得による利益剰余金の増加及び為替換算調整勘定の増加によるものです。

 この結果、自己資本比率は15.9%(前連結会計年度末は15.6%)、1株当たり純資産額は707円19銭(前連結会計年度末は592円02銭)となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度における売上高は6,154億2千1百万円(前連結会計年度比32.2%増加)となりました。

 利益面では、原材料や輸送費の高騰影響を受けながらも、売上高の増加に加え、価格適正化の効果が大きく寄与し、営業利益は147億9百万円(同309.4%増加)、経常利益は116億4千6百万円(同259.4%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は69億1千3百万円(同864.0%増加)となりました。

 のれん等償却の影響を除くと、営業利益は249億9千5百万円(前連結会計年度比92.1%増加)、営業利益率は4.1%(同1.3ポイント増)となっております。

 なお、売上高、営業利益、のれん等償却前営業利益については過去最高となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次の通りです。

(国内事業)

 国内事業は、受注が堅調に推移する中、部品欠品のために生じた年度前半の出荷不足を挽回しきれなかったものの、売上高は1,763億2千5百万円(前連結会計年度比1.4%増加)となりました。セグメント利益は、コスト高に比して価格適正化の効果は限定的であり、5億1千万円(同66.8%減少)となりました。

 なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は53億4千1百万円(同16.0%減少)となっております。

 

 

(海外事業)

 海外事業は、米州、欧州、アジアでの販売台数増加に加え、為替の円安影響が追い風となり、売上高は4,390億9千5百万円(前連結会計年度比50.7%増加)となりました。セグメント利益は、売上高の増加や価格適正化の効果が寄与し、141億9千9百万円(同590.7%増加)となりました。

 なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は196億5千3百万円(同195.3%増加)となっております。特に米州においては、好調な受注を背景とした売上高の大幅な増加に加え、販売子会社のレンタル事業の好調もあり、セグメント利益の増加に大きく寄与しました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6億8千3百万円増加し、132億4千5百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度206億2千1百万円に比べ、81億2千1百万円増加し、287億4千3百万円(前年同期比39.4%増加)となりました。税金等調整前当期純利益及び減価償却費計上の増加や法人税等の支払額の増加等があったためです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により支出した資金は、前連結会計年度192億4千3百万円支出に比べ、209億8千9百万円増加し、402億3千3百万円(前年同期比109.1%増加)となりました。これは主に、在外子会社の会計処理変更の影響もあり、有形固定資産の取得による支出が増加し、また米州での新規連結子会社取得による支出等の増加もあったためです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により獲得した資金は、前連結会計年度46億1百万円の支出に比べ、163億3千1百万円収入が増加し、117億2千9百万円の収入となりました。長期借入金の返済による支出の増加があった一方で、その他の金融取引に係る収入等の増加があったためです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前連結会計年度比(%)

国 内 事 業

214,251

104.2%

海 外 事 業

352,025

137.4%

合計

566,276

122.6%

(注)金額は、販売価格によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前連結会計年度比(%)

受注残高

(百万円)

前連結会計年度比

(%)

国 内 事 業

177,094

94.9%

46,988

101.7%

海 外 事 業

526,920

126.2%

295,178

142.4%

合計

704,014

116.5%

342,167

134.9%

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比(%)

国 内 事 業

176,325

101.4%

海 外 事 業

439,095

150.7%

合計

615,421

132.2%

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載の通りです。

当社グループの当連結会計年度における経営成績は、増収増益となったものの、依然としてのれん等償却前営業利益率は中期経営計画における目標値を下回っております。引き続き、国内事業、海外事業のいずれにおきましても、一層の売上増加、シェアアップを目指すとともに、原価低減の推進、固定費の削減等の業務効率化に取組んでまいります。また、当社グループの財政状態については、116期において、ユニキャリア㈱の株式取得に伴う多額の借入れを行ったため、有利子負債が事業規模に比べ多額な状態が続いておりますが、フリーキャッシュ・フローの獲得を通じ、自己資本比率の向上を目指し、財務基盤の一層の強化を図ってまいります。

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因として、「3 事業等のリスク」に記載の通り様々なものがありますが、各種市場情勢の変化に細心の注意を払い、変化への柔軟かつ迅速な対応を継続していくことに尽力いたします。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要」及び上述の通りとなっております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

フリーキャッシュ・フロー

当社グループは、フリーキャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動に支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しています。当社の経営者は、この指標を戦略的投資又は負債返済に充当可能な資金の純額、或いは、資金調達にあたって外部借入への依存度合いを測る目的から、投資家に有用な指標と考えており、以下の表の通りフリーキャッシュ・フローを算出しています。

(単位:億円)

 

121期

122期

営業活動によるキャッシュ・フロー

206

287

投資活動によるキャッシュ・フロー

△192

△402

フリーキャッシュ・フロー

14

△114

 

当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは、△114億円となりました。これは、営業キャッシュ・フローが前連結会計年度に比べ81億円増加した一方で、投資キャッシュ・フローの支出が、有形固定資産の取得による支出及び米州子会社の新規連結子会社取得のための支出により、前連結会計年度に比べ209億円増加したことによります。

当社グループは、フリーキャッシュ・フローの増加を図るため売上債権の流動化、棚卸資産の削減、アセットマネジメントに引き続き取り組んでまいります。

当連結会計年度におきましては、運転資本は、前連結会計年度より211億円増加(前連結会計年度19.2%増加)して1,307億円となっております。

(単位:億円)

 

120期

121期

122期

売上債権

802

893

1,033

棚卸資産

613

967

1,083

仕入債務

△560

△763

△809

運転資本

855

1,097

1,307

前期比増減

30

242

211

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローに加えて他社からの借入れにより事業活動に必要となる資金を調達しております。借入先は金融機関及び当社の親会社である三菱重工業㈱並びにその金融子会社です。

当社グループの資金の流動性につきましては、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を132億円有しており、事業活動のために必要な流動性を確保していると認識しておりますが、加えて当座貸越契約の締結や国内外で当社グループのCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)及び三菱重工業㈱の金融子会社が提供するCMSの利用により機動的な資金需要に対応しております。

 

c.株主還元策

当社は、期中における急激な経済環境変動による業績変動に左右されない安定的、継続的な配当を実施する目的で、配当性向のみならず、「自己資本配当率(DOE※)」も考慮に入れながら、配当を決定しております。

※Dividend On Equity ratio=配当総額÷自己資本(=配当性向×ROE)

DOEは利益を積み上げた自己資本に対して、どの程度を配当に充てるかを表す指標であり、これを指標とすることで、自己資本に対する利益率の指標であるROEと株主還元の指標である配当性向のバランスを図ることが可能となります。

当連結会計年度は、株主各位への配当の充実と企業基盤確立のための内部留保とのバランスに配慮した利益配分を行うという基本方針に則り、1株当たり9円としております。(配当性向:13.9%、DOE:1.4%)

(参考)121期 8円/株(配当性向:118.9%、DOE:1.4%)

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成に際し、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、財政状態及び経営成績に影響を与える見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

詳細については、「第5 経理の状況」の(重要な会計上の見積り)をご参照ください。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません

 

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、中期経営計画「Logisnext SolutionS 2023」を見据えて、当社技術本部の持つ強みを最大限活かしつつ、海外開発拠点とも密接な連携を取って新製品の市場投入を計画通り達成しました。セグメント別の主な研究開発活動は次の通りです。

 

〔国内事業〕

(フォークリフト・特殊搬送車両部門)

当社は、2.0トン積バッテリー式構内運搬車「エレトラック」の高速登坂仕様を開発し、豊洲市場でのデモを経て、特別仕様として納入しました。業界トップクラスの登坂速度を実現するため,新規に走行モーターを開発し、コントローラーも最大出力を増加させるとともに、加速時における制御方式を変更することにより、登坂時や積荷時の加速性能を向上しています。

 

特殊搬送車両においては、CO₂・NOX(窒素酸化物)・PM(黒煙粒子状物質)等の排出量を低減※1 したディーゼル発電機を搭載した「F-ZERO(Future-Zero)」※2 タイプのRTG※3 初号機二基を、川崎港コンテナターミナルへ納入し、2022年9月から稼働しています。

※1 環境省の特定特殊自動車排出ガス規制法の平成26年規制基準値をクリア

※2 燃料電池の搭載及び換装を可能にしたベースモデル製品

※3 Rubber Tired Gantry crane:タイヤ式門型クレーン

 

(物流システム部門)

当社は、マイナス25℃冷凍倉庫対応レーザー誘導方式※4 無人フォークリフト(AGF)「PLATTER AUTO」冷凍倉庫仕様(1.5~3.0トン積)をユーザー様と共同開発し、販売開始しました。マイナス25℃クラスの冷凍倉庫においては霧や結露がレーザーAGF運用の障害となるため、走行ルート上の床面に磁気棒を敷設する磁気誘導方式のAGFを導入する必要がありました。今回の新機種は霧や結露の影響を受けにくい走行制御、磁気誘導方式AGFで培った冷凍環境対策、マイナス25℃クラスに対応した電装品やセンサーを採用し、国内初の製品化を実現したものです。これにより、従来からの課題である低温環境下における作業者の負担や、慢性的な人手不足による業務稼働の不安といった課題を解決します。

※4 レーザースキャナで反射板をスキャンし、車両の現在地を認識しながら走行する方式

 

また、当社は、三菱重工業㈱が開発した自律化・知能化ソリューションコンセプト「ΣSynX(シグマシンクス)」に基づくAGFを三菱重工業㈱と共同で開発しております。このΣSynXコンセプトは、無人搬送車(AGV)やAGFを効率的に連携させる技術や、人や物を検知し回避させる技術など、さまざまなコア技術から構成されております。

これらのコア技術は、順次、当社のAGFに適用し、お客さまの課題解決に直結するソリューションを提供していきます。

 

〔海外事業〕

(フォークリフト部門)

欧州においては、機能・性能・経済性・安全性を向上させたスタッカー(立乗りタイプ1.2~2.0トン積、着座タイプ1.6~2.0トン積)を市場投入しました。

 

北米においては、新電制エンジン(ガソリン/LPG)を搭載し、燃費・サービスインターバルを改善した1.5~3.5トン積エンジンフォークリフト、及び最新の排気ガス規制に適合したディーゼルエンジンを搭載した4.0~5.5トン積エンジンフォークリフトを市場投入しました。

 

中国においては、ディーゼルエンジン搭載のフォークリフトに対し、先進国並の排気ガス規制が施行されたことにともない、これに対応するエンジンを搭載した1.5~5.5トン積フォークリフトを市場投入しました。また、中国独自の安全規格が制定、施行されたため、中国向け全機種をこれに対応するよう設計変更し市場投入しました。

 

当連結会計年度中の研究開発費のセグメント別金額は、国内事業3,076百万円及び海外事業1,963百万円、合計5,040百万円です。