第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月29日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)当社の経営方針・企業理念・行動方針

 当社グループは、社会、環境との調和を求め、お客様から信頼していただける良きパートナーとして共に発展することを目指し、経営の基本方針として、次の企業理念・行動指針を掲げています。

・企業理念 : 「運ぶ」を支え、信頼されるパートナーとして、豊かな暮らし創りに貢献します。

・行動指針 : 私たちは、信頼をすべての基本とし、自ら考え、行動し続けます。

  (商品) 「真のニーズを追究し、魅力ある商品・サービスの創造」

  (自己) 「約束を守り、誠実で、迅速な対応」

  (組織) 「世界の仲間とチームワークで達成」

 

(2)当社の対処すべき課題

 当社グループを取り巻く事業環境は、為替リスクや地政学的リスクの増大など、今後も予断を許さない状況が続くことが見込まれます。また、中長期的には、電動化やコネクテッド技術の普及など、大きな環境変化が予想されます。

 このような環境変化に耐え、柔軟に適応していくために、2030年に向けて、当社グループの中長期に目指す姿を“人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレインのエクセレントカンパニーとして、広く愛される会社”と定めることとしました。今後は、この中長期に目指す姿の実現に向け、社会とともに持続可能な成長を続けていくために、社会的価値の創造に取り組んでいくこととし、この活動をスタートするにあたり、「中期経営計画」(2019年3月期から2021年3月期まで)を策定しています。

 

 この中期経営計画で当社グループは、中長期に目指す姿の実現に向け、既存事業をより深く掘り進め、収益の拡大に努めるとともに、お客様や社会が抱える課題に対して新しい価値・ソリューションを提供するなど、新たな事業領域への挑戦も念頭に、以下の①~⑦に掲げる7つの課題の解決に向けた取組みを進めて参ります。

 

 2020年6月現在、世界的に流行が継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、経済及び企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予見することは困難です。当社グループでは、COVID-19の流行継続、再流行や社会状況の変化は、マクロ経済やサプライチェーンへの影響を通して、製品の需要や生産・流通、ひいては事業活動、経営成績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があると認識しております。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大規模、収束の時期、第2波の高さなど先行きは不透明であるものの、現段階で各国市場情報から回復が見込まれる時期を想定し、需要を予測しております。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による当連結会計年度の業績への影響は軽微ではありましたが、今後各国の需要は落ち込みが本格化し厳しい時期が続くと想定しています。一方で、物流は動いており、今年度中に需要回復は始まると想定しています。

 そのような中、当社グループは、感染拡大防止の対策に積極的に取り組むとともに、『運ぶ』を支える企業として、お客様が必要とされる車両をお届けし、アフターサービスによって稼働を支えていくことで「関係者と従業員の安全」及び「社会的責任」の両立を果たして参ります。

 次に挙げる7つの課題については、自動車業界・商用車業界におけるお客様のご期待や技術的変革に対応するため中長期的な観点から抽出したものであり、COVID-19の影響によりその重要性がさらに増していく可能性があると考えております。

 

①協創活動によるビジネス革新

 商用車市場では、お客様のニーズの多様化が進み、今後10年、20年の目線では、クルマや部品などハードを個別に提供するのみでは、お客様のご期待に十分応えられる時代ではなくなると考えております。また、物流業界全体における生産性向上の要請は、ドライバー不足問題等と相まって、さらに高まりをみせています。

 このような環境変化に対して、当社グループは、「『運ぶ』を支え、信頼されるパートナー」として、よりお客様の課題に直接解決できるよう、従来型のモノやサービスを売るといったビジネスモデルを発展させ、お客様等との協創による新たな価値創造に積極的に取り組んでいます。

 具体的には、社内で研究開発を進め製品を上市・販売するだけでなく、お客様の抱える課題を理解し、積極的にその課題解決を当社グループ内外の経営資源を活用して行っています。その成果の一例としては以下のとおりです。

・物流の省人化と効率化に貢献する「ダブル連結トラック」

・車両データの常時モニタリングを通じ、お客様の使われ方に合わせた最適な整備メニューを提供する「リスク細分型メンテナンスリース」

・ドライバーの労働環境や集配作業の効率化を図る「EVウォークスルーバン」

 今後も、このようなお客様の課題を出発点とした新たなソリューションの創出を目指していきます。

 

②海外CV事業の拡大

 商用車市場は、日本を含む先進国においては今後も漸減が予想される一方で、新興国においては人口の増加・産業の発展を背景にした物流需要の増加が見込まれ、市場全体を力強く牽引していくものと考えております。

 当社グループでは、従前より「アセアン・中東・アフリカ」地域を重点地域として定め、ディストリビューター・アフターサービスセンター等の設置による新車販売からアフターサービスまでをトータルでサポート可能な基盤を構築してきました。

 また製品・製造面では、 2018年にインドネシアにて製造・販売を開始した新興国向けモデル「TRAGA」を、2019年よりフィリピンにても販売を開始し、周辺諸国への販売拡大も検討しています。今後は、その基盤を最大限活用し、日本発の車両に加え、アセアン・中国拠点発の車両の拡販活動を進めていきます。

 

③LCV事業の強靭化

 当社グループは、ご好評を頂いているピックアップトラック「D-MAX」やその派生車である「mu-X」といったモデルを海外において提供しており、おかげさまでタイ国内において当社のLCVはシェアトップクラスを維持しております。一方で、お客様のライフスタイルは日々変化し、LCVのご利用方法も多様化が進んでいます。

 このような中、当社グループは、「お客様の真のニーズを追究し、魅力ある商品・サービスの創造」を通じて、多様化するニーズに対応した商品を提供し続けることを目指します。

 具体的な取組みとして、タイにおいては、2019年10月に、従来のどのような悪路でも走破できるタフな性能という長所は残し、環境性や安全性、快適性といった機能について刷新を図った「D-MAX」の新モデルを投入し、ご好評を頂いています。

 また、当社LCV事業としての安定成長を図っていくためには、タイ以外の地域における販売の強化も重要です。

 この課題に対する主な取組みとして、アフリカ・中近東等への拡販に加え、LCVの販売網が未整備である地域においても、CV拠点とのシナジーを有効に活用しながら販売基盤を整備し販売の強化を図るほか、製造拠点を整備したインドを新興国ワークフォース供給拠点と位置づけ、海外への輸出を開始いたしました。

 これらの取組みを通じ、当社LCVの拡販活動を進めていきます。

 

④パワートレイン事業の強化

 当社グループは、CV用パワートレインで培った製造・開発技術の活用により産業用エンジン・他商用車向けOEM等のパワートレイン事業を展開してきました。他方、当社のパワートレイン事業は、現状、お客様ニーズの全てに応えるだけの商品ラインナップを揃えられているわけではないと考えております。

 このような中、当社グループは、「受託型ビジネスから提案型ビジネスへの転換」を通じて、より多くのお客様に使って頂ける商品を提供していきたいと考えております。

 具体的な取組みとして、2019年3月には提案型ビジネスへの転換の実現のため、パワートレインの企画から生産・販売までを事業軸で強化することを狙い「PT事業本部」を新設しました。また同時に、開発の効率化やコスト競争力の強化、商品ラインナップの強化の観点からアライアンスも積極的に活用しています。その一例として、2019年には世界No.1の規模を持つエンジンメーカーであるカミンズとパワートレイン事業に関する包括契約を締結しました。

 これらの取組みを通じ、多様化するお客様のニーズにさらに迅速・柔軟に対応し、当社の経営を支える事業へと成長させていきます。

 

⑤先進技術開発の加速

 現在、自動車業界には「CASE」に代表される技術革新の波が押し寄せ、急激かつ大きな変革期を迎えています。商用車に求められる先進技術は、乗用車同様、パワートレイン、先進安全、自動運転、コネクテッドなど多岐にわたっております。

 当社グループは、商用車メーカーとして求められる、安心・安全性、経済・利便性、環境性といった価値を創造するため、この変革期を機会として捉え、「先進安全」「コネクテッド」「高効率ICE(※)」「EV(電動化)」「隊列走行・自動運転」を5つの重点領域として定め、「先端技術開発の加速」による競争力の強化を図っていきます。

 「高効率ICE」領域においては、当社グループは、ディーゼルエンジンの先進企業として、長年、市場を牽引してきました。今後も更なる高効率化・クリーン化を追求し、お客様ニーズと環境に考慮した技術開発を続けていきます。

 また、「コネクテッド」領域においては、当社グループの車載端末搭載車の展開は2002年にまでさかのぼります。以降、基盤の拡大や改善を図りながら対象車を拡大し、2019年以降、通信基盤「PREISM」を標準装備するに至ります。20年近い継続的な取組みの結果、2020年度末には車載端末搭載車が25万台まで拡大する見込みであり、これらの強固な基盤及び長年培ったノウハウ・データを活用し、今後も安定稼働・高稼働のための「コネクテッド」領域の技術開発を進めていきます。

 他にも、「先進安全」領域では、自動運転技術や歩行者検知技術等の先進的な技術の開発・製品の実装によりお客様の安全に対するニーズに応えていきます。2019年の大型トラック「ギガ」改良においては、大型車の死角に入った車両や歩行者の検知機能や、車線内走行維持のための操舵アシスト機能などを追加しました。また、同じく2019年に発売したハイブリッド連節バス「エルガデュオ」では、前後を走行する車両との適切な距離を保持しながらの隊列形成機能や、路面上の誘導線をカメラで認識することによる乗降の負担が少ない位置への自動操舵機能等を搭載しております。

 さらに、「EV」領域においては、先進国を中心に電動化をはじめとするパワートレインの多様化が求められる中、従来以上に環境に優しいEVトラックの開発に対応すべく、小型トラック「エルフ」をベースとした「エルフEV」のモニターを開始しております。このような取組みにより先端技術開発を加速し、製品への実装を進めていきます。

(※)略語 ICE:Internal Combustion Engine

 

⑥デジタルイノベーションの推進

 昨今、製造業全体においてIoTやAIの技術革新を活用した取組みが進められております。

 このような中、当社グループは、「お客様の真のニーズを追究し、魅力ある商品・サービスの創造」のために「デジタルイノベーションの推進」を通じた成長モデルを構築していきたいと考えております。

 具体的には、デジタルイノベーションを、新たな価値を創造していく「攻めのIT」とグループの持てる力を十二分に発揮する基盤整備のための「守りのIT」の2つに区分し、両者を全社横断的に進めていきます。

 「攻めのIT」においては、ITを活用した新たな事業価値創造を進めていきます。当社グループでは、前項でも記した車載端末搭載車を活用し、既に、運行管理・ドライバー支援・稼働サポート等の支援を行うサービス「MIMAMORI」を展開しております。今後も収集する情報の多角化・分析技術の高度化により、一層の利便性や快適性を提供する新ソリューションを創出していく予定です。

 「守りのIT」においては、ITによるオペレーション革新を進めていきます。今後、基幹系情報システムの刷新やAI活用による業務オペレーション革新・ガバナンス強化を図っていきます。このうち、基幹系情報システムの刷新については、販売・在庫・生産管理の各システムのリアルタイム連携を図り、サプライチェーンの最適化を目指すものです。

 

⑦新規事業の創出

 当社グループでは、「運ぶを支える」という考えのもと、物流事業者様のニーズに合致した、課題解決に資するための商品やサービスをこれまで提供して参りました。例えば、物流業界における喫緊の課題である労働人口減少・人手不足に着目し、効率的な日常(運行前)点検を可能にする携帯アプリ「PRE START CHECK(プレスタートチェック)」や、RFID等の技術から取得した積荷情報を共有することでドライバーの作業負荷低減を目指す「積荷情報のコネクテッドサービス」、架装物の情報を架装メーカーと共有することでお客様の課題に対するソリューションを提供する「架装のコネクテッドサービス」等のトライアルを2019年より開始しております。

 加えて、新しいモビリティサービスの実現・普及を目指すため、MONET Technologies㈱と資本・業務提携に関する契約を締結しました。MONET Technologies㈱との協業により、当社グループを含む自動車メーカー8社の車両データの同社プラットフォームへの連携や幅広い業界との協働を実現し、新規事業の創出を加速していく予定です。

 今後もお客様が直面している課題を解決するために、専門のマーケティングチームの組成等、体制面を整備し、お客様の業務や事業をより深く理解することを通じて、当社が構築してきた独自の通信プラットフォームなどと融合させ、新たなソリューションの創出に取り組んでいきます。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月29日)現在において当社グループが判断したものです。

 

 当社グループでは、グループ全体のリスク管理の責任者として、「グループCRMO(Chief Risk Management Officer/リスクマネジメント責任役員)」を設置し、全社的なリスク管理のプロセスを主導しています。

 グループCRMOは、

・定期的に当社グループの経営上・事業遂行上でのリスクを特定・評価します。

・これらリスクを適切に管理、特に低減するとともに、リスクが顕在化して危機に転化した場合はその影響を極小化する等、各種リスク対策を企画・実行します。

・定期的に「リスク管理確認会議」を主催し、リスク対策の進捗状況、顕在化したリスクを把握し、対策やリスク認識の不断の見直しを行います。

 

1.世界経済・金融市場・自動車市場に起因するリスク

(1)主要市場の経済状況・総需要の変動

 当社グループの全世界における売上高のうち、主要な部分を占める自動車の需要は、当社グループが製品を販売している国・地域、特に日本、タイ、米国などの市場における経済状況の影響を受けます。

 当社グループは経済状況・需要動向の見通しの正確な把握に努めるとともに、製品を販売する市場の分散によって影響を極小化していますが、当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)自動車市場における競争

 当社グループの全世界における売上高のうち、主要な部分を占める自動車市場は、激しい競争が繰り広げられています。かかる競争環境の激化は当社製品の競争力に影響を及ぼし、価格変動やシェア変動を引き起こす可能性があります。競争に影響を与える要素は製品性能、安全性、燃費、環境負荷、価格、アフターサービス等多岐にわたり、各国の市場ごとで重視される要素は異なります。

 当社グループは主要市場での競争力を維持・強化するため、これら要素の改善に取り組みながら、競争力の高い製品について継続的に開発・生産・販売並びにそのアフターサービスを実施していますが、他社との競争に劣後した場合や予期しない業界再編が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)為替および金利の変動

 当社グループの事業には、世界各地における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産、負債を含む現地通貨建の項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レート、特に米ドル、タイバーツの為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。さらに、為替変動は、当社グループが購入する原材料の価格や販売する製品の価格設定に影響します。

 また、当社グループは日頃よりキャッシュ・フローの管理に努めていますが、資金調達に係わるコストは、市場金利が急激に上昇した場合、支払利息の負担が増大するなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは為替および金利の変動による影響を極小化すべく、現地生産に加えて、金利スワップおよび先物為替予約取引を含むデリバティブ金融商品の活用を行っています。

 しかし、為替および金利の大きな変動が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2.事業に関するリスク

2-1.主に「外部環境への当社グループの対応」に起因する事業リスク

(4)新しい技術革新やビジネスモデル変化などへの対応

 当社グループの事業に関わる外部環境は大きく変化しています。商用車市場のお客様ニーズの多様化や商用車を用いたビジネスモデルの変化、「CASE」に代表される技術革新、生産・販売・アフターサービス・バックオフィス業務におけるデジタルイノベーションの推進、ESG投資やSDGs達成への期待の高まりなどの技術変化や社会変化は、当社グループの事業の拡大と深耕の好機です。

 当社グループはこうした技術変化や社会変化に速やかに対応するため、常設部署を設置し、全社横断の複数プロジェクトを推進しています。しかし、万が一、これらの技術変化や社会変化に速やかかつ十分に対応できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)研究開発

 当社グループの置かれた事業環境は競争の激化や市場ごとに異なる商品ニーズの多様化などが見込まれます。このような経営環境に対応し、「運ぶ」を支える「ものづくり事業」を推進していくには高い技術と市場のニーズを的確にとらえた製品を提供する研究開発への取組みが不可欠です。

 当社グループは、将来の市場ニーズの予測、研究開発分野の優先順位付けを通じて、新たな技術や製品の開発に取組んでいますが、もし求められる技術水準への到達や適正な市場ニーズの把握に失敗や遅延した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)合弁事業をはじめとするアライアンス

 当社グループは、いくつかの国において、各国の法律上の、あるいはその他の要件により合弁で事業を行っています。また、国内外の販売ではディーラーやディストリビュータと提携し、研究開発では合弁事業や業務提携を行っています。

 当社グループは合弁相手やアライアンス先の経営状況、ガバナンス、その他重要な非財務情報も含め、様々な情報をもとに業務提携の要否を検討します。

 しかし、合弁相手やアライアンス先の経営方針、経営環境の変化等当社グループが管理できない要因により、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)販売・供給における特定チャネルへの依存

 当社グループは、当社製品である自動車やその構成部品等を、トリペッチいすゞセールス㈱(タイ国バンコク市)や、ゼネラルモーターズ・コーポレーション(アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト市)など当社グループ内外の特定チャネルを通じて販売・供給しています。当社グループの販売・供給における特定チャネルの依存について、取引先の業績悪化等により市場への供給・流通量が減少した場合、または取引先の信用不安等による貸倒れが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは大口顧客企業との関係を維持するとともに、新規顧客の開拓によるリスク分散を図っています。しかし、これらの顧客企業への売上は、顧客企業の生産・販売量の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受け、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)資材、部品等の調達の遅れや不足、調達価格の高騰

 当社グループは、生産に必要な原材料、部品及び製品を外部のサプライヤーから調達していますが、サプライヤーの能力を大幅に超えるような需給状況になった場合や、サプライヤーに生じた事故や不測の事態により供給能力が大幅に低下した場合は、十分な量を確保することができなくなる可能性、確保が遅れる可能性があります。また、需給の逼迫などにより原材料等の価格が高騰し、生産性向上などの内部努力や価格への転嫁などにより吸収できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、サプライヤーの生産能力、信用リスク、製品等の品質、コストを定期的に把握し、調達に遅れや不足が生じる事態がないように努めていますが、資材や部品等の大幅な不足や価格の高騰が生じた場合、大規模地震等の自然災害等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2-2.主に「当社グループ内部」に起因する事業リスク

(9)コンプライアンス・レピュテーション

 当社グループでは、関係法令等の遵守はもちろん、ステークホルダーからの期待に応えるという意味でもコンプライアンスを徹底しています。

 当社グループでは、法令等の違反を未然に防止する体制並びにコンプライアンスに関わる案件を察知した場合には速やかに対応する体制を構築しています。

 またコンプライアンスの推進や体制整備について、客観的な助言・監督・評価を仰ぐことを目的として、社長の諮問機関であるコンプライアンス委員会を設置しています。同委員会には、コンプライアンスの推進に必要な公明性、透明性を確保するため、社外から有識者(弁護士等)を委員として招聘しています。

 しかし、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、法令違反の事実、あるいは対応の内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与える場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、各国の個人情報保護、贈収賄禁止、独占禁止・不正競争禁止に関する法令等への重大な違反が認められ、高額な制裁金が課せられた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)製品の欠陥

 当社グループは国内外の各工場で世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しています。品質の維持及び改善のため、当社グループは「品証・CS委員会」を通じて、不具合情報の早期発見と共有、品質向上のための全社横断的検討、全社的な品質マネジメントの運用状況の監視を実施しています。また製品の欠陥等を原因とする損害賠償が必要な場合に備えて、製造物賠償責任保険に加入しています。

 しかし、万が一大規模なリコールを実施する場合や、製造物責任賠償を実施するが製造物賠償責任保険により填補できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)IT化社会における情報セキュリティに関するリスク

 当社グループの事業にとって、顧客情報の収集・利用や営業秘密としての技術情報の活用、設備の自動制御などの情報技術の利活用、生産活動を含む業務全般でのITネットワークの安定的利用が不可欠なものとなっています。当社グループの事業は、こうした情報、情報技術、ITネットワークに依存しています。

 当社グループでは、当該リスク管理責任者や専門組織を設置し、個人情報や機密情報の保護、データやシステムの可用性の維持、各種情報の改竄防止等の情報セキュリティの維持・改善を目的に、様々な安全対策を実施しています。

 しかし、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合、企業としての信用低下、顧客等に対する損害賠償責任が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。また、システム障害やコンピューターウイルスへの感染、サイバ一攻撃等が発生した場合には、業務の中断や、データの破損・喪失などを引き起こす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)知的財産保護に関するリスク

 当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の国・地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、又は限定的にしか保護されない状況にあります。

 当社グループは知的財産保護のための取組みを進めています。しかし、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない場合や知的財産権侵害訴訟による製造・販売の差し止めや損害賠償金の請求が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(13)優秀な人材の確保・定着、パフォーマンスの発揮等

 当社グループの事業では、人材が最も重要な資産と考え、当社グループの事業推進に必要となる技能・能力をもった人材の確保に努めるとともに、従業員一人一人のモチベーション、熱意、技能、能力、パフォーマンスを高め、当社グループに定着させるための取組みを進めています。しかし、今後の人材獲得競争の一層の激化により、優秀な人材確保・定着がより困難になっていく可能性があります。

 また、当社グループの従業員構成は日本企業の多くと同様に、シニア層に集中しています。それに伴って、将来的には円滑な技能伝承や適切な人員配置が困難となる可能性があります。

 当社グループでは計画的な採用、適切な人員配置・再配置、教育・育成・キャリアアップに関わる制度運用、適切な人事考課制度運用により、優秀な人材の確保と定着に努めています。しかし、これらの対応が十分ではない場合、従業員の離職、モチベーション低下、技能伝承の失敗、競争力の低下によって、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2-3.主に「当社グループ外部」に起因する事業リスク

(14)法的規制等

 当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障、関税、その他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けています。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管理、環境保全・リサイクル・安全関連の法規制の適用も受けています。特に排出ガス規制は、環境意識の高まりにともない、さらに強化される傾向にあります。これを遵守するための投資等は多額となり、将来、これらの投資に見合う売上を実現できない可能性があります。

当社グループは各国、特に日本、米国、タイ、中国、欧州地域における法規制等の動向の情報収集を行い、法規制の変化に備えた投資や新技術・製品の開発を行っています。

しかし、万が一、規制等の予期しない改廃や運用の変更があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)国際的活動及び海外進出に潜在するリスク

 当社グループの製品の生産及び販売活動は、日本国内のみならず広く海外で行われています。これらの海外市場での事業展開には特に以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しています。

・政治及び経済状況の変動

・許認可等に関する一方的な政策変更、当社グループ財産の直接的又は間接的収用

・潜在的に不利な税影響

・送金や兌換の規制

・人材の採用と確保の難しさ

・未整備の技術インフラや社会インフラ(電力、上下水、道路、港湾等)

・テロ、戦争、自然災害、経済制裁、その他の要因による社会的混乱

 

 当社グループは、各国におけるリスクを把握するとともに対策を講じていますが、こうしたリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 

(16)災害等

 当社グループは全世界で事業を展開しているため、様々な災害リスクにさらされています。大規模地震や風水害等の自然災害、停電又はその他の中断事象、疫病・感染症が顕在化した場合、当社グループの生産活動、販売活動、その他事業活動に影響が生じる可能性があります。特に主要な事業拠点が集中する日本・南関東に大規模な災害等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは生産工程等の事業中断による潜在的な悪影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行い、災害等が発生した場合の行動計画を予め策定、それに基いた訓練を実施しています。また新型インフルエンザやその他の未知の感染症等についても予防・対応計画を予め策定し、それに基いた訓練を実施しています。さらに新型インフルエンザやその他の未知の感染症等についても、日頃より外部コンサルタントの活用等によりグローバルな情報の早期入手に努め、必要に応じて適切な対応を行うとともに、マスク等の適正な備蓄を行っています。

 しかし、災害等による影響を完全に防止又は軽減できない可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 2020年6月現在、世界的に流行が継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、経済及び企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予見することは困難です。当社グループでは事業拠点における感染予防策の実施、在宅勤務をはじめとするテレワーク等、COVID-19による影響を極小化するための各種措置を講じています。しかし、COVID-19の流行継続、再流行や社会状況の変化は当社グループの事業活動、業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当連結会計年度の経済状況は、米中貿易摩擦問題を契機とした中国市場の景気減速が、周辺新興国・資源国に波及するなど、全体的に厳しい状況が続きました。加えて、第4四半期には新型コロナウイルス感染症が急速に広まり、世界経済に大きな影響を及ぼしました。

 商用車市場は、これまで順調な回復を続けてきたタイ市場が悪化に転じた他、資源国市場も景気低迷を受け伸び悩むなど、多くの地域で需要が減少しました。また国内も、小型車において排ガス規制対応の反動減があり、全需が減少しました。なお、新型コロナウイルス感染症による影響は、当連結会計年度においては軽微なものにとどまりました。

 このような経営環境の中、当社は中期経営計画で掲げた中長期に目指す姿「人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレインのエクセレント・カンパニーとして広く愛される会社」を目指し、お客様の使用条件や利用方法の変化に対応できる車両づくりに取り組んでまいりました。

 主な成果として、第一に、生産台数が400万台を超え、世界約100カ国以上に展開しているピックアップ・トラック「D-MAX」を8年ぶりにフルモデルチェンジいたしました。ピックアップ・トラックは、私的な乗用車として使うことができると同時に、商用車としても使用できる貨客兼用車で、特にタイにおいて、幅広い支持を得ております。これまでにD-MAXは、タイ国内において、2019年度モストポピュラーピックアップ、最優秀省燃費ピックアップ、ベストライフピックアップを受賞するなど、トップブランドとしての地位を確立してまいりました。今回のフルモデルチェンジでは、‘Efficient and Robust’を開発コンセプトとし、燃費性能、安全性を高めつつ、多様な使用環境、様々な使い方に耐えうる車を実現いたしました。第二に、「ぶつからない」「つかれない」「こわれない」を開発コンセプトに、大型トラック「ギガ」を改良し発売いたしました。歩行者検知機能付プリクラッシュブレーキ(衝突被害軽減/衝突回避支援)をはじめとした各種先進安全装備や、遠隔地でも確認可能な車両モニタリング項目(コネクテッド機能)を拡充し、レーンキープアシスト(LKA)の機能を追加することで、運転自動化レベル2相当の高度運転支援を実現しております。さらには、効率的な大量輸送を実現するため、路線バスでは世界初の「ドライバー異常時対応システム(EDSS:Emergency Driving Stop System)」を搭載し、安心・安全な交通社会の実現に貢献する国産初のハイブリッド連節バス「エルガデュオ」を日野自動車と共同開発し、発売いたしました。また、当社は安全性の向上や、交通事故の解消といった社会課題の解決に取り組むため、ドライバー異常時対応システム(EDSS)やBOA(ブレーキ・オーバーライド・アクセラレーター)を全車標準装備した大型路線バス「エルガ」および中型路線バス「エルガミオ」を発売しました。大型観光バス「ガーラ」もドライバー異常時対応システム(EDSS)の性能が向上するなど、各種先進安全装置の充実により、総合的な商品力を強化いたしました。

 当連結会計年度の国内車両販売台数は、小型車はシェア42.4%と高い評価を得たものの、全需減少にともない販売台数は減少しており、前連結会計年度に比べ3,078台(4.1%)減少の71,353台となりました。

 海外車両販売台数は、主にアジアで全需が減少したことを受け、前連結会計年度に比べ20,021台(4.4%)減少の437,870台となりました。この結果、国内と海外を合わせた連結総販売台数は、前連結会計年度に比べ23,099台(4.3%)減少の509,223台となりました。

 これらの結果、当連結会計年度の業績は次のとおりです。

 

 

当連結会計年度

 

前連結会計年度比

売上高

20,799億円

 

△692億円

△3.2%

営業利益

1,405億円

 

△361億円

△20.5%

経常利益

1,508億円

 

△381億円

△20.2%

親会社株主に帰属する当期純利益

812億円

 

△322億円

△28.4%

(為替レート)

USD/JPY

109円(111円)

THB/JPY

3.51円(3.43円)

AUD/JPY

74円(81円)

注:( )内は前期の為替レート

 

 損益につきましては、原価低減活動を進めたものの、販売台数の減少に加え、ピックアップトラックの輸出拠点となるタイのバーツ高や米ドル・豪ドル安による為替影響を受け、営業利益は1,405億円(前連結会計年度比20.5%減)となりました。また、経常利益は1,508億円(前連結会計年度比20.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は812億円(前連結会計年度比28.4%減)となりました。

 

 なお、当社グループは、自動車及び部品並びに産業用エンジンの製造、販売(自動車事業)を主な事業とする単一セグメントであるため、セグメントの業績の記載を省略しています。
 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて211億円増加し、2兆1,520億円となりました。

 負債は、前連結会計年度末に比べて41億円増加し、1兆187億円となりました。

 純資産は、前連結会計年度末に比べて170億円増加し、1兆1,333億円となりました。

 自己資本比率は44.3%(前連結会計年度末43.6%)となりました。

 有利子負債については、前連結会計年度末に比べて393億円増加の3,367億円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、営業活動により獲得した資金1,237億円を、投資活動に926億円、財務活動に251億円、それぞれ資金を使用したこと等により、前連結会計年度末に比べて13億円減少し、3,039億円となりました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除して計算した、フリーキャッシュ・フローは、310億円の資金流入(前連結会計年度比55.6%減)となっています。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 営業活動により獲得した資金は、1,237億円(前連結会計年度比21.0%減)となりました。

 これは、税金等調整前当期純利益を1,435億円、減価償却費を762億円計上し、売上債権の減少により232億円の資金流入があった一方で、たな卸資産の増加により250億円、リース債権及びリース投資資産の増加により191億円、仕入債務の減少により140億円、法人税等の支払により441億円の資金流出などがあったことによります。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 投資活動により使用した資金は、926億円(前連結会計年度比7.0%増)となりました。

 これは、固定資産の取得による支出が1,034億円あったことが主な要因です。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 財務活動により使用した資金は、251億円(前連結会計年度比76.5%減)となりました。

 これは、長期借入の返済で372億円、配当金の支払で280億円、及び非支配株主への配当金の支払で206億円の資金の流出があった一方で、長期借入の実行で590億円の資金の流入があったことが主な要因です。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。

 

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

前連結会計年度比

台数

(台)

金額

(百万円)

台数

(%)

金額

(%)

大型・中型車

57,629

△5.3

小型車

402,027

△5.1

459,656

△5.1

海外生産用部品

42,662

△26.1

エンジン・コンポーネント

189,410

△7.5

その他

145,720

2.5

 (注)1.海外生産用部品、エンジン・コンポーネント、その他の金額は、販売価格によります。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3.上記の表には、関連会社の生産実績は含まれていません。

b.受注実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、過去の販売実績と将来の予想に基づいて、見込み生産を行っています。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。

 

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

前連結会計年度比

金額(百万円)

増減率(%)

 

国 内

277,689

2.0

 

海 外

181,818

△13.8

大型・中型車計

459,507

△4.9

 

国 内

154,269

0.7

 

海 外

836,563

△4.8

小型車他計

990,833

△4.0

 

国 内

431,959

1.5

 

海 外

1,018,381

△6.6

車両計

1,450,341

△4.3

 

海 外

43,112

△24.9

海外生産用部品

43,112

△24.9

 

国 内

68,951

△13.2

 

海 外

62,695

△2.1

エンジン・コンポーネント

131,647

△8.3

 

国 内

326,337

3.8

 

海 外

128,498

8.3

その他

454,835

5.1

 

国 内

827,247

1.0

 

海 外

1,252,688

△5.8

売上高合計

2,079,936

△3.2

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

トリペッチ いすゞ セールス㈱

397,869

18.5

387,774

18.6

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月29日)現在において当社グループが判断したものです。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(イ)概観

[CV販売]

 当連結会計年度におけるCV車両の販売台数は、前連結会計年度から13,564台(5.2%)減少の245,266台となりました。

 国内では、小型車において排ガス規制対応の反動減を受けた全需の減少により販売台数が減少し、前連結会計年度から3,078台(4.1%)減少の71,353台となりました。海外では、中近東やアフリカでは回復が見られたものの、市場悪化によりアジアでの販売台数が減少した結果、全体では前連結会計年度から10,486台(5.7%)減少の173,913台となりました。

 なお、国内の普通トラックのシェアは、安定した販売を行い、前連結会計年度比+0.7%の32.5%と増加しました。また、小型トラックのシェアは、排ガス規制対応前の駆け込み需要を効果的に取り込み、前連結会計年度比+1.8%の42.4%と増加しました。

 

・CV車両販売台数

 

 

前連結会計年度(台)

当連結会計年度

(台)

 

増減台数

(台)

増減率

(%)

国内

大型・中型

28,864

28,945

 

81

△0.3

 

小型

45,567

42,408

 

△3,159

△6.9

 

74,431

71,353

 

△3,078

△4.1

北米

大型・中型

1,371

1,422

 

51

3.7

 

小型

28,683

27,561

 

△1,122

△3.9

 

30,054

28,983

 

△1,071

△3.6

アジア

大型・中型

22,509

16,061

 

△6,448

△28.6

 

小型

47,818

45,283

 

△2,535

△5.3

 

70,327

61,344

 

△8,983

△12.8

その他地域

大型・中型

19,456

19,375

 

△81

△0.4

 

小型

64,562

64,211

 

△351

△0.5

 

84,018

83,586

 

△432

△0.5

合計

大型・中型

72,200

65,803

 

△6,397

△8.9

 

小型

186,630

179,463

 

△7,167

△3.8

 

258,830

245,266

 

△13,564

△5.2

 

[LCV販売]

 当連結会計年度におけるLCV車両の販売台数は、前連結会計年度から9,535台(3.5%)減少の263,957台となりました。

 アジアでは、主にタイの景気減速の影響などを受け、販売台数は前連結会計年度から微減の180,722台となりました。その他地域においては、豪州や欧州での販売台数が減少した結果、全体では前連結会計年度から9,007台(9.8%)減少の83,235台となりました。

 なお、タイではLCVの全需が減少しましたが、後半期から新型モデルの生産が始まり、モデル切替の影響があった中、シェアは31.1%と前年のレベルを維持しました。

 

・LCV車両販売台数

 

前連結会計年度

(台)

当連結会計年度

(台)

 

増減台数

(台)

増減率

(%)

アジア

181,250

180,722

 

△528

△0.3

その他地域

92,242

83,235

 

△9,007

△9.8

273,492

263,957

 

△9,535

△3.5

 

[パワートレイン出荷]

 当連結会計年度における産業用エンジンの出荷基数は、中国の建機需要の不透明感を受け減少し、前連結会計年度から12,691台(9.4%)減少の122,886台となりました。

 

・産業用エンジン出荷基数

 

前連結会計年度

(台)

当連結会計年度

(台)

 

増減台数

(台)

増減率

(%)

135,577

122,886

 

△12,691

△9.4

 

(ロ)当連結会計年度の経営成績についての分析

[売上高]

 売上高につきましては、主にアジアをはじめとする海外車両販売台数の減少等により前連結会計年度に比べ、692億円(3.2%)減少の2兆799億円となりました。内訳は、国内が8,272億円(前連結会計年度比1.0%増)、海外が1兆2,526億円(前連結会計年度比5.8%減)です。

 

[営業利益]

 当連結会計年度の営業利益は1,405億円(前連結会計年度比20.5%減)となりました。

 主な変動要因としては、原価低減活動による120億円などが増益となった一方で、販売量の減少等による売上変動/構成差による209億円、為替変動による163億円、経済変動による85億円、費用増減他による24億円などで減益になったことによるものです。

 この結果、当連結会計年度における売上高営業利益率は6.8%(前連結会計年度8.2%)となりました。

 

・営業利益の増減分析(前連結会計年度比)

(億円)

原価低減活動

120

売上変動/構成差

△209

為替変動

△163

経済変動

△85

費用増減他

△24

合計

△361

 

[営業外損益]

 当連結会計年度における営業外損益は102億円の利益であり、前連結会計年度に比べて19億円減益となっています。

 支払補償費が前連結会計年度に比べて8億円増加したことが主な減益要因です。

 また、支払利息の増加にともない、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた純額は46億円の利益となりましたが、前連結会計年度に比べて5億円悪化しました。為替差損益は前連結会計年度は為替差損を計上したのに対して、今期は3億円の為替差益を計上しました。

 

[特別損益]

 当連結会計年度における特別損益は73億円の損失となり、前連結会計年度に比べて44億円の減益になりました。当連結会計年度の主な項目として、特別損失で、固定資産処分損、減損損失、投資有価証券評価損等が挙げられ、特別利益で、固定資産売却益、投資有価証券売却益が挙げられます。

 

[税金費用]

 法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額とを加えた金額は、前連結会計年度では480億円の損失でしたが、当連結会計年度では410億円の損失となりました。

 

[非支配株主に帰属する当期純利益]

 非支配株主に帰属する当期純利益は、主にアセアン現地法人、北米現地法人、国内部品製造会社の非支配株主等に帰属する当期純利益からなり、前連結会計年度の246億円に対し、当連結会計年度は212億円となりました。

 

[親会社株主に帰属する当期純利益]

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は812億円となり、前連結会計年度に比べて322億円の減益となりました。1株当たり当期純利益は110.14円となりました。

 

(ハ)当連結会計年度の財政状態についての分析

[資産]

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて211億円増加し、2兆1,520億円となりました。

 主な要因といたしましては、売上債権が338億円、投資有価証券が213億円減少した一方で、有形固定資産が305億円、リース債権及びリース投資資産が191億円、たな卸資産が162億円、その他流動資産が115億円増加したことによります。

 

[負債]

 負債は、前連結会計年度末に比べて41億円増加し、1兆187億円となりました。

 主な要因といたしましては、仕入債務が252億円、未払費用が42億円、未払法人税等が35億円減少した一方で、有利子負債が393億円増加したことによります。

 

[純資産]

 純資産は、前連結会計年度末に比べて170億円増加し、1兆1,333億円となりました。

 これは利益剰余金が528億円増加した一方、為替換算調整勘定が157億円、その他有価証券評価差額金が131億円、非支配株主持分が61億円減少したことなどによります。

 

(ニ)経営上の目標の達成状況についての分析

 業績や経営指標の数値と照らした経営分析として、当連結会計年度において、売上高は2兆799億円、営業利益率は6.8%、自己資本利益率は8.6%、総還元性向は34.5%となりました。
 中期経営計画で掲げた目標のうち総還元性向(3ヵ年平均で30%)については、安定的・継続的な剰余金の配当を実施したことで、目標値を上回りました。一方で売上高(2兆2,000億円から2兆3,000億円)、営業利益率(3ヵ年平均で9.0%)、自己資本利益率(3ヵ年平均で12.0%)については、市場環境の悪化による販売台数の減少に、タイバーツ高や米ドル・豪ドル安など為替相場の変動による採算性の悪化も加わった結果、目標値を下回りました。

 このうち、世界的に流行が継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響は、当連結会計年度においては軽微なものにとどまりました。各国の需要は今後落ち込みが本格化し、厳しい時期が続くものの、物流は動いており今年度中のどこかで需要回復は始まると想定しています。

 事業活動の制約は長期化すると考えられますが、感染拡大防止の対策に積極的に取り組むとともに、『運ぶ』を支える企業として、お客様が必要とされる車両をお届けし、アフターサービスによって稼働を支えていくことで「関係者と従業員の安全」及び「社会的責任」の両立を果たしてまいります。

 

(ホ)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

[キャッシュ・フローの状況]

 第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

 

[資金需要]

 当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。

 設備投資の状況については、第3「設備の状況」1「設備投資等の概要」に記載のとおりです。

 

[資金調達の状況]

 運転資金については返済期限が1年以内の短期借入金で、通常各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については原則として資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。今後、投融資の実行に伴い借入金・社債等による資金調達を検討する可能性があります。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」⑤「連結附属明細表」「借入金等明細表」に記載のとおりです。

 

[資金の流動性]

 当連結会計年度を含む3ヵ年で生み出される当社グループのキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと財務活動によるキャッシュ・フローの合計額の見通し)は累計4,000億円から5,000億円になると見込まれ、このうち、総額3,500億円程度を事業投資に充てる予定であります。具体的には、これまでの拠点投資に代わり、商品力強化やデジタルイノベーションに向けた投資が求められることに加えて、先進技術開発の推進や新事業創出を目的とした戦略投資を加速していきます。

 市場への還元は安定的・継続的であることを旨とし、自己資本利益率の改善とセットでバランスを取っていきます。各年度の総還元性向について当連結会計年度を含む3ヵ年平均として30%を目標としています。
 また、手元資金の流動性には絶えず注視が必要ですが、当社グループは現金及び現金同等物に加え、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、金融市場の急激な環境変化にも対応できる流動性を保持していると考えています。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、貸倒引当金、たな卸資産、固定資産、投資、繰延税金資産、退職給付に係る費用及び負債、製品保証引当金などの計上に関して、見積りによる判断を行っています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りとは異なる場合があり、業績に悪影響を与える可能性があります。

 当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えています。

 なお、新型コロナウイルス感染症は、経済及び企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予見することは困難なことから、当連結会計年度末以後、2021年3月期の一定期間にわたり当該影響が継続するとの仮定のもと、会計上の見積りを行っております。

 

[貸倒引当金]

 当社グループの保有する債権は、その大半がディストリビューター・販売会社向けの売掛金で構成されています。これら債権のうち、一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。

 従って、景気動向による貸倒実績率の上昇や、貸倒懸念債権等特定の債権の債務者の財務状況が悪化するなどその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

 

[たな卸資産]

 当社グループでは、車両・エンジン等の製品及び仕掛品に加え、原材料・部品等のたな卸資産を保有しております。これらのたな卸資産については、市況の悪化等により収益性の低下が認められる場合には、将来需要及び供給等の推定に基づきその収益性の低下の程度を見積もり、評価減を計上しています。

 従って、実際の需要又は供給等が推定より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

[固定資産]

 当社グループは、固定資産の減損会計の適用に際し、生産用資産及び販売関連資産は主として事業会社単位、遊休資産は個々の資産グループとしてそれぞれグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュフローを見積もっております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、損益に影響を与えることがあります。

 

[投資]

 当社グループでは、投資有価証券として非公開会社の株式を保有しております。非公開株式をはじめとする時価のない有価証券については、原則として移動平均法による原価法によって評価しておりますが、投資先の財政状態が著しく悪化し、かつ回復可能性が見込めない場合に投資先の純資産額等を基に減損処理を行っています。

 従って、将来の投資先の業績不振等が発生した場合、現在反映されていない評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

[繰延税金資産]

 当社グループは繰延税金資産について、将来の実現性が高い税務計画に基づき回収可能性があると判断した金額まで計上しています。

 従って、市場や経済情勢の悪化、当社グループの競争力の低下等の要因により、当社グループの業績が悪化し、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産が調整され、費用が増加する可能性があります。

 

[退職給付に係る費用及び負債]

 退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。

 それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されていますが、今後、経済環境の変化による割引率の低下や市場環境の悪化による年金資産の長期期待収益率の低下等、さらには退職率・死亡率等の変化が発生した場合、退職給付費用及び負債に悪影響を与え、費用及び負債が増加する可能性があります。

 

[製品保証引当金]

 当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に充てるために、製品保証引当金を計上しています。製品保証引当金は、製品・地域毎の保証書の約定に従い、保証期間中の当社製品に対して、保証期間にわたって発生しうる費用を、過去の保証実績率を基に見積りを行っております。
 従って、実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。

 

[リコールに関連する債務]

 当社グループでは、製品のリコール等が発生した際にその費用の支出に充てるために、未払費用を計上しています。当該債務は、リコールとなる対象台数・不具合の内容・発生する費用・当社グループの責任の有無等を基に、個別に見積りを行っております。

 従って、実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

契約締結時期

相手方

契約の種類

契約の概要

国籍

名称

2004年8月

日本

日野自動車株式会社

株主間
協定書

両社の共同出資により設立したジェイ・バス株式会社とその100%子会社であるいすゞバス製造株式会社並びに日野車体工業株式会社の3社が合併するにあたり、日野自動車株式会社との間において、バスの開発の一部及び生産に関する事業をジェイ・バス株式会社に統合。

2006年12月

日本

伊藤忠商事株式会社

いすゞ自動車販売株式会社

株主間
協定書

伊藤忠商事株式会社との間において、国内販売事業に関連するライフサイクル事業を行う統括会社の運営及び資本出資について合意し、統括会社であるいすゞ自動車販売株式会社がライフサイクル事業の運営を開始。

2014年10月

日本

 

三菱商事株式会社

 

基本覚書

タイにおける両社協業の最適化を目指し、泰国いすゞエンジン製造株式会社、いすゞモーターズインターナショナルオペレーションズタイランドリミテッドその他の現地事業体の当社出資比率引き上げを含む協業枠組みの変更につき合意。

 

5【研究開発活動】

 当社グループでは、世界中のお客様に満足していただける商品とサービスを提供していくため、トラック・バスやピックアップ・トラック、ディーゼルエンジン等における最新技術の研究開発を行うとともに、その技術を用いることで多くの国・地域のお客様のニーズに対応した最適な商品の開発に取り組んでいます。

 当社グループを取り巻く事業環境は、中長期的には、EV、コネクテッド、自動運転などの先進技術の市場投入が進むと予想され、過去のトレンドとは異なる大きな環境変化が顕在化していくと捉えています。また、お客様のニーズも多様化しており、近い将来、車両や部品などのハードだけでは、お客様のご期待に十分に応えられる時代ではなくなってくることが想定されます。
 このような環境変化に対して、当社グループの研究開発活動としては、「人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレインのエクセレントカンパニーとして、広く愛される会社」の実現、そのため策定した「中期経営計画」(2019年3月期から2021年3月期まで)の取り組みとして、既存商品ラインナップの強化及び新商品投入を支えるとともに、先進技術開発も加速して取り組んでいます。

 当連結会計年度の研究開発活動の成果として、大型トラック「ギガ」については、歩行者検知機能付プリクラッシュブレーキ(衝突被害軽減/衝突回避支援)をはじめとした各種先進安全装備を拡充しました。また、ステアリングの操作をアシストするレーンキープアシスト(LKA)をカーゴ系の主力車型にオプション展開したことで、運転自動化レベル2相当の高度運転支援を実現しました。また、居住性の向上、空力と空間を両立させた、全高3.8m級の新ハイルーフを新たに開発しました。さらに、コネクテッド機能を進化させ、遠隔地でも確認可能な車両モニタリング項目(尿素水残量、バッテリー電圧、安全装置の作動状況など)を拡充しました。

 小型トラック「エルフ」については、ハイブリッド車に2016年度排出ガス規制に対応したエンジン(4JZ1)を搭載し、クラストップレベルの燃費性能を実現しました。

 バス事業においては、国産初のハイブリッド連節バス「エルガデュオ」を投入しました。日本の道路事情を踏まえた車両寸法とし、効率的な大量輸送を実現しました。また、路線バスでは世界初の「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」を搭載しました。さらに、ハイブリッドシステムの採用により環境負荷にも配慮しています。大型路線バス「エルガ」及び中型路線バス「エルガミオ」についても、EDSSを全車標準装備しました。

 LCV事業においては、ピックアップ・トラック「D-MAX」を8年ぶりにフルモデルチェンジし、デザインを一新しました。燃費性能、安全性を高めつつ、多様な使用環境、様々な使い方に耐えうる車を目標に開発し、競合車をリードする燃費及びCO排出量を実現するとともに、市場ニーズに合わせた先進安全装備を積極的に採用しました。さらに、合理的な結構、高張力鋼板の広範な採用により軽量かつ強固な車体を実現しました。

 このほか、グローバルの事業基盤構築を推し進めており、新興国向け商用車の開発拠点「いすゞ・グローバル・CVエンジニアリング・センター」の成果物である新興国向けトラックや、中国発の大型トラックやインドネシア発の軽量トラック等、海外拠点発のトラック等の、アジア、及びその周辺国への投入・拡大を実現しました。

 一方、先進技術の分野における取り組みとしては、商用車の技術開発を通じて提供する価値、すなわち「安心・安全性」、「経済・利便性」、「環境性」の追求のため、スピードアップに向けて適宜アライアンスを活用することも念頭におきつつ、5つの領域「隊列走行自動運転」、「先進安全」、「コネクテッド」、「EV」、「高効率ICE」において、さらに技術力を高めるべく進めています。

 その中でも、EVや高効率ICEについては、商用車に求められる経済合理性や使い勝手等を踏まえ、当面、電気、ディーゼル、天然ガスの3つのパワートレインをラインナップとして保有しつつ、お客様それぞれの用途・ニーズに応じた商品提供と、それを支える研究開発を続けていきます。特にディーゼルに関しては、当社グループが強みとする領域であり、お客様からのご期待に応えていくため、さらなる効率化やクリーン化等の取り組みを通じ、引き続きグローバルディーゼルエンジン市場を牽引していきます。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は980億円です。