(1)業績
当連結会計年度の国内車両販売台数は、前年度に比べ9,812台(13.9%)増加の80,341台となった。
海外車両販売台数は、北米などの先進国での販売は堅調に推移した一方、新興国/資源国での販売が減少し前年度に比べ11,589台(2.6%)減少の425,978台となり、国内と海外を合わせた連結総販売台数は、前年度に比べ1,777台(0.3%)減少の506,319台となった。
売上高については、前年度に比べ262億円(1.4%)増加の1兆9,531億円となった。内訳は、国内が7,884億円(前年度比13.7%増)、海外が1兆1,647億円(前年度比5.6%減)である。
損益については、国内販売が増加した一方で、海外向け販売が減少したことに加え、為替の円高による影響により、営業利益は1,464億円(前年度比14.6%減)となった。また、経常利益は1,520億円(前年度比18.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は938億円(前年度比18.2%減)となった。
なお、当社グループは、自動車及び部品並びに産業用エンジンの製造、販売(自動車事業)を主な事業とする単一セグメントであるため、セグメントの業績の記載を省略している。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)については、営業活動により獲得した資金1,513億円を、投資活動に873億円、財務活動に553億円、それぞれ資金を使用したこと等により、前連結会計年度に比べて14億円増加し、2,606億円となった。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除して計算した、フリーキャッシュ・フローは、639億円の資金流入(前年度比76.6%増)となっている。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により獲得した資金は、1,513億円(前年度比13.8%増)となった。
これは、税金等調整前当期純利益を1,489億円、減価償却費を631億円計上した一方で、売上債権の増加により57億円、たな卸資産の増加により77億円、リース債権及びリース投資資産の増加により226億円、法人税等の支払により472億円の資金流出などがあったことによるものである。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により使用した資金は、873億円(前年度比9.7%減)となった。
これは、固定資産の取得による支出が1,016億円あったことが主な要因である。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により使用した資金は、553億円(前年度比17.0%減)となった。
これは、長期借入の返済で429億円、短期借入金の純増減で139億円、配当金の支払で252億円、及び非支配株主への配当金の支払いで179億円の資金の流出があった一方で、長期借入を行ったことにより資金が470億円流入したことが主な要因である。
(1)生産実績
前連結会計年度及び当連結会計年度の生産実績は、次のとおりである。
|
|
前連結会計年度 (自 平成27年4月 至 平成28年3月) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月 至 平成29年3月) |
増減 |
|||
|
台数 (台) |
金額 (百万円) |
台数 (台) |
金額 (百万円) |
台数 (台) |
金額 (百万円) |
|
|
大型・中型車 |
63,008 |
- |
61,534 |
- |
△1,474 |
- |
|
小型車 |
430,426 |
- |
399,012 |
- |
△31,414 |
- |
|
計 |
493,434 |
- |
460,546 |
- |
△32,888 |
- |
|
海外生産用部品 |
- |
81,904 |
- |
57,610 |
- |
△24,294 |
|
エンジン・コンポーネント |
- |
147,414 |
- |
154,092 |
- |
6,677 |
|
その他 |
- |
145,874 |
- |
138,430 |
- |
△7,444 |
(注)1.海外生産用部品、エンジン・コンポーネント、その他の金額は、販売価格による。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていない。
3.上記の表には、関連会社の生産実績は含まれていない。
(2)受注状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は、過去の販売実績と将来の予想に基づいて、見込み生産を行っている。
(3)販売実績
前連結会計年度及び当連結会計年度の販売実績は、次のとおりである。
|
|
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
増減 |
||||
|
台数(台) |
金額 (百万円) |
台数(台) |
金額 (百万円) |
台数(台) |
金額 (百万円) |
||
|
|
国 内 |
29,231 |
254,770 |
35,191 |
316,095 |
5,960 |
61,324 |
|
|
海 外 |
35,938 |
176,831 |
37,144 |
177,266 |
1,206 |
434 |
|
大型・中型車計 |
65,169 |
431,601 |
72,335 |
493,361 |
7,166 |
61,759 |
|
|
|
国 内 |
41,298 |
136,852 |
45,150 |
149,626 |
3,852 |
12,773 |
|
|
海 外 |
401,629 |
813,572 |
388,834 |
765,615 |
△12,795 |
△47,956 |
|
小型車他計 |
442,927 |
950,425 |
433,984 |
915,242 |
△8,943 |
△35,182 |
|
|
|
国 内 |
70,529 |
391,622 |
80,341 |
465,721 |
9,812 |
74,098 |
|
|
海 外 |
437,567 |
990,404 |
425,978 |
942,882 |
△11,589 |
△47,522 |
|
車両計 |
508,096 |
1,382,027 |
506,319 |
1,408,603 |
△1,777 |
26,576 |
|
|
|
海 外 |
- |
81,764 |
- |
58,043 |
- |
△23,721 |
|
海外生産用部品 |
- |
81,764 |
- |
58,043 |
- |
△23,721 |
|
|
|
国 内 |
- |
50,323 |
- |
56,989 |
- |
6,665 |
|
|
海 外 |
- |
42,777 |
- |
46,322 |
- |
3,544 |
|
エンジン・コンポーネント |
- |
93,101 |
- |
103,312 |
- |
10,210 |
|
|
|
国 内 |
- |
251,201 |
- |
265,729 |
- |
14,528 |
|
|
海 外 |
- |
118,871 |
- |
117,497 |
- |
△1,374 |
|
その他 |
- |
370,073 |
- |
383,227 |
- |
13,153 |
|
|
|
国 内 |
- |
693,148 |
- |
788,440 |
- |
95,292 |
|
|
海 外 |
- |
1,233,818 |
- |
1,164,745 |
- |
△69,073 |
|
売上高合計 |
- |
1,926,967 |
- |
1,953,186 |
- |
26,219 |
|
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりである。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
トリペッチ いすゞ セールス㈱ |
310,801 |
16.1 |
303,819 |
15.6 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれていない。
当社グループは、社会、環境との調和を求め、お客様から信頼していただける良きパートナーとして共に発展することを目指し、経営の基本方針として、次の企業理念・行動指針を掲げている。
・企業理念 : 「運ぶ」を支え、信頼されるパートナーとして、豊かな暮らし創りに貢献します。
・行動指針 : 私たちは、信頼を全ての基本とし、自ら考え、行動し続けます。
(商品) 「真のニーズを研究し、魅力ある商品・サービスの創造」
(自己) 「約束を守り、誠実で、迅速な対応」
(組織) 「世界の仲間とチームワークで達成」
当社グループを取り巻く経営環境は、アジア、中近東、アフリカをはじめ新興国市場での需要の増加が期待されるが、同時にグローバルな事業展開を強化する欧米メーカーとの競争の激化が見込まれる。
また、先進国においては、環境技術や安全技術等の高い先進技術を用いた商品が求められる一方、新興国においては、耐久性やメンテナンス性、低コストを重視した商品が求められるなど、商品ニーズの二極化が進行している。
このような経営環境のもと、当社グループでは、平成27年5月、これまで進めてきた成長路線を更に拡大・深化させ、技術と製品で「運ぶ」を支える「ものづくり事業」と、ライフサイクルで「運ぶ」を支える「稼働サポート事業」の両輪事業による成長と一環連携構築を掲げた「中期経営計画」(平成28年3月期から平成30年3月期まで)を策定した。
この「中期経営計画」では、まず「ものづくり事業」では日本、アセアン、タイの3つの拠点に中国、インドを加えた3+2極のグローバルものづくり体制を推進するとともに、市場ごとに異なるニーズに応える商品ラインナップの拡充とこれを支える技術の強化に取り組んでいく。一方、製品の販売後もお客様の稼働を支えていく「稼働サポート事業」では、先進国での高度なサポートの更なる進化と新興国での事業展開強化によるサポート体制の確立と、より市場に近い営業体制への移行を進めていく。さらに、両事業をつなぐ取組みや、次代に向けた基盤づくりにも取り組んでいく。同時に、品質の管理・向上とコンプライアンス体制の強化にも、一層の力をいれて取り組んでいく。
また、この「中期経営計画」においては、十分な成長費用の投入を確保しつつ、安定的な収益・財務構造を維持・向上を目指すための客観的な指標として、連結売上高・連結営業利益・自己資本当期純利益率および総還元性向を掲げている。
なお、本文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において当社グループが判断したものである。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において当社グループが判断したものである。
(1)主要市場の経済状況・需給動向及び価格の変動
当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車の需要は、当社グループが製品を販売している国・地域及びその市場における経済状況の影響を受けるため、当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。また他社との価格競争により当社製品の価格変動を引き起こす可能性がある。
(2)金利変動
当社グループは日頃よりキャッシュ・フローの管理に努めているが、資金調達に係わるコストは、市場金利が急激に上昇した場合、支払利息の負担が増大するなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
(3)為替変動
当社グループの事業には、世界各地における製品の生産と販売が含まれている。各地域における売上、費用、資産、負債を含む現地通貨建の項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されている。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性がある。また、為替変動は、当社グループが購入する原材料の価格や販売する製品の価格設定に影響し、その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
(4)大口顧客企業への依存
当社グループは、当社製品である自動車やその構成部品等を、トリペッチ いすゞ セールス㈱(タイ国バンコク市)や、ゼネラル モーターズ コーポレーション(アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト市)およびそのグループ企業などの大口顧客企業に販売・供給している。これらの顧客企業への売上は、顧客企業の生産・販売量の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受け、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
(5)資材、部品等のサプライヤー及び業者
当社グループは、生産に必要な原材料、部品及び製品を外部のサプライヤーから調達しているが、サプライヤーの能力を大幅に超えるような需給状況になった場合や、サプライヤーに生じた事故や不測の事態により供給能力が大幅に低下した場合は、十分な量を確保することができなくなる可能性がある。これらの供給の遅れや、不足が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。また、需給の逼迫などにより原材料等の価格が高騰し、生産性向上などの内部努力や価格への転嫁などにより吸収できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
(6)研究開発
当社グループの置かれた経営環境は競争の激化や市場ごとに異なる商品ニーズの多様化などが見込まれる。このような経営環境に対応し、「運ぶ」を支える「ものづくり事業」を推進していくには高い技術と市場のニーズを的確にとらえた製品を提供する研究開発への取組みが不可欠であるが、もし求められる技術水準への到達や適正な市場ニーズの把握に失敗や遅延した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
(7)製品の欠陥
当社グループは国内外の各工場で世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造している。しかし、万が一大規模なリコールを実施する場合には多額のコストが発生し、また製造物賠償責任については保険に加入しているが、この保険により填補できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
(8)合弁事業
当社グループは、いくつかの国において、各国の法律上の、あるいはその他の要件により合弁で事業を行っている。これらの合弁事業は、合弁相手の経営方針、経営環境などの変化により影響を受けることがあり、そのことが、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
(9)災害等による影響
当社グループは生産工程の中断による潜在的な悪影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っているが、災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できない可能性がある。また、新型インフルエンザなどの疫病・感染症などが世界的に流行した場合には、当社グループの生産活動及び販売活動に大きな支障をきたす可能性がある。
(10)IT化社会におけるリスク
近年はビジネスの現場において、顧客情報の収集・利用や営業秘密としての技術情報の活用、設備の自動制御など、情報技術の利活用が不可欠なものとなっている。こうしたITネットワークにおけるシステム障害やコンピューターウィルス、サイバー攻撃による収益性の悪化やブランドイメージ毀損などのリスクは、様々な安全対策を実施してはいるが完全には排除できない。
(11)有価証券投資
当社グループは、製品を生産・販売・流通させ、あるいは取引先との間の良好な関係を構築または維持するために有価証券投資を行っている。このうち、市場性のあるものについては、株価下落により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。また、市場性のないものも含め、経営環境の急激な変化などにより投資先企業の財政状態が著しく悪化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
(12)会計上の見積額の変動
連結財務諸表の作成にあたり「退職給付に係る負債」や「繰延税金資産」など会計上の見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき見積りを行っているが、見積り特有の不確実性があるため、金額の見直しや実際の結果と異なる場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
(13)国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの製品の生産及び販売活動は、日本国内のみならず広く海外で行われている。これらの海外市場での事業展開には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在している。
・ 不利な政治または経済の変動
・ 人材の採用と確保の難しさ
・ 未整備の技術インフラが、製造等の当社グループの活動に悪影響を及ぼす、または当社グループの製品やサービスに対する顧客の支持を低下させる可能性
・ 潜在的に不利な税影響
・ テロ、戦争、自然災害、その他の要因による社会的混乱
これらの事象は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
(14)知的財産保護の限界
当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、または限定的にしか保護されない状況にある。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造するのを効果的に防止できない可能性がある。
(15)法的規制等
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障、関税、その他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けている。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管理、環境保全・リサイクル・安全関連の法規制の適用も受けている。これらの規制の予期しない改廃や運用の変更は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。特に排出ガス規制は、環境意識の高まりにともない、更に強化される傾向にある。これを遵守するための投資等は多額となり、将来、これらの投資に見合う売上を実現できない場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
|
契約締結時期 |
相手方 |
契約の種類 |
契約の概要 |
|
|
国籍 |
名称 |
|||
|
平成16年8月 |
日本 |
日野自動車株式会社 |
株主間 |
両社の共同出資により設立したジェイ・バス株式会社とその100%子会社であるいすゞバス製造株式会社並びに日野車体工業株式会社の3社が合併するにあたり、日野自動車株式会社との間において、バスの開発の一部及び生産に関する事業をジェイ・バス株式会社に統合する。 |
|
平成18年12月 |
日本 |
伊藤忠商事株式会社 いすゞ自動車販売株式会社 |
株主間 |
伊藤忠商事株式会社との間において、国内販売事業に関連するライフサイクル事業を行う統括会社の運営及び資本出資について合意し、統括会社であるいすゞ自動車販売株式会社がライフサイクル事業の運営を開始する。 |
|
平成26年10月 |
日本 |
三菱商事株式会社
|
基本覚書 |
タイにおける両社協業の最適化を目指し、泰国いすゞエンジン製造㈱、いすゞモーターズインターナショナルオペレーションズタイランドリミテッドその他の現地事業体の当社出資比率引き上げを含む協業枠組みの変更につき合意する。 |
当社グループでは世界中のお客様に、心から満足していただける商品とサービスを提供していくため、先進国向けにはトラック・バスやピックアップトラック、ディーゼルエンジンにおける最新技術の研究開発を、また、新興国向けにはそれぞれの国・地域のニーズに対応した最適な商品開発を進めている。
当社グループの研究開発活動は、当社の開発部門(当連結会計年度末のスタッフの人数は2,334名)を中心に、先進技術、基礎技術の研究に取り組み、開発技術力の強化を図っている。
特に、経済技術・環境技術の向上が世界規模で求められるなか、商用車メーカーとして環境負荷の少ないクリーンディーゼルエンジン及びディーゼルエンジンをベースとしたHEV(ハイブリッド)車の開発に積極的に取り組む一方、CNG(圧縮天然ガス)車などの低排出ガス燃料車の普及促進に加えて、代替エネルギーのDME(ジメチルエーテル)車といったクリーンエネルギー車の開発も推進するなど、低公害車の開発・普及とエネルギーセキュリティへの貢献にも、積極的に取り組んできた。
また、社会的要請である安全技術についても従来より、衝突安全性の向上、先進視覚サポート技術、商用車用テレマティクスをはじめとする技術開発並びに装着の拡充を図っている。なかでも本年5月には日野自動車株式会社との間で、自動運転システムの実用化に向けてのベース技術となるITS(路車間・車車間通信)システムや高度運転支援(自動操舵・隊列走行)技術について、共同開発することに合意。これにより安心・安全な交通社会の実現に向け開発の効率化とスピードアップを図っていく。同社とはこれに加え、2019年の市場投入を目指し、国産初のハイブリッド連節バスの共同開発でも合意した。この開発により、従来のバスと比べて効率的な大量輸送と環境負荷の低減に取り組んでいく。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は914億円である。
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりである。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において当社グループが判断したものである。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、貸倒引当金、たな卸資産、投資、繰延税金資産、退職給付に係る負債及び資産、製品保証引当金などの計上に関して、見積りによる判断を行っている。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りとは異なる場合があり、業績に悪影響を与える可能性がある。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えている。
① 貸倒引当金
当社グループは貸倒懸念債権等特定の債権について、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上している。相手先の財務状況が悪化するなどその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性がある。
② たな卸資産
当社グループはたな卸資産について、推定される将来需要及び市場状況に基づき収益性の低下の程度を見積もり、評価減を計上している。実際の需要または市場状況が推定より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性がある。
③ 投資の減損
当社グループは非公開会社への投資について、投資先の財政状態が著しく悪化し、かつ回復可能性が見込めない場合に減損処理を行っている。将来の投資先の業績不振などにより、現在反映されていない評価損の計上が必要となる可能性がある。
④ 繰延税金資産
当社グループは繰延税金資産について、将来の実現性が高い税務計画に基づき回収可能性があると判断した金額まで計上している。今後、繰延税金資産の全部または一部が将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産が調整され、費用が増加する可能性がある。
⑤ 退職給付に係る負債及び資産
当社グループは退職給付債務及び年金資産について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出している。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の長期収益率などがある。それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されているが、前提条件の変化等が退職給付債務及び年金資産に悪影響を与え、費用が増加する可能性がある。
⑥ 製品保証引当金
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に充てるために、保証書の約定に従い、過去の実績を基礎に見積りを行い、製品保証引当金を計上している。実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合、見積り額の修正が必要となる可能性がある。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 当連結会計年度の概況
当連結会計年度の経営成績は、売上高1兆9,531億円(前年度比1.4%増)、営業利益1,464億円(前年度比14.6%減)、経常利益は1,520億円(前年度比18.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は938億円(前年度比18.2%減)となった。
② 売上高
当連結会計年度の売上高は、1兆9,531億円(前年度比1.4%増)と増加した。
国内商用車市場において、燃費・経済性に優れた商品の投入により、普通トラックで36.2%(前年度比2.9ポイント増)、2-3トンクラスで41.1%(前年度比1.9ポイント増)と引き続き高いシェアを維持することができた。底堅い代替需要や政府の景気刺激策等もあり、普通トラックの全需は98,106台(前年度比11.2%増)、2-3トンクラスの全需についても103,660台(前年度比5.6%増)と増加している。この結果、国内売上は7,884億円(前年度比13.7%増)と増加した。
アジア地域への売上高は5,296億円(前年度比2.2%減)と減少しているが、タイ市場においてはLCV(ピックアップトラックおよび派生車)で33%と高い水準のシェアを引き続き維持している。
北米地域への売上高は1,733億円(前年度比22.7%増)と増加している。これは米国経済が堅調に推移しており、全需が増加したことに加え、現地における販売促進活動によるものである。
その他地域への売上高は4,618億円(前年度比16.2%減)と減少している。これは、主に中近東・アフリカ等での販売が減少したことによる。
③ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は1,464億円(前年度比14.6%減)となった。
増益要因として、原価低減活動200億円、経済変動49億円が挙げられる一方、円高による為替変動298億円、売上変動及び構成差104億円、成長戦略関連費用90億円等が減益要因となっている。
この結果、当連結会計年度における売上高営業利益率は7.5%(前年度8.9%)となった。
④ 営業外損益
当連結会計年度における営業外損益は55億円の利益であり、前連結会計年度に比べて95億円減益となっている。
持分法による投資利益は55億円となり、前連結会計年度に比べて35億円の減益となっている。
また、受取利息及び受取配当金の減少にともない、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた純額は21億円の益となり、前連結会計年度に比べて11億円悪化した。為替差損は7億円となり、前連結会計年度に比べて33億円悪化している。
⑤ 特別損益
前連結会計年度には、特別損失で、固定資産処分損、減損損失等が挙げられ、特別利益で、固定資産売却益及び段階取得に係る差益等があり、特別損益は3億円の損失であった。
当連結会計年度は31億円の損失となり、前連結会計年度に比べて27億円悪化している。当連結会計年度の主な項目として、特別損失で、固定資産処分損、減損損失等が挙げられ、特別利益で、固定資産売却益等が挙げられる。
⑥ 税金費用
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額とを加えた金額は、前連結会計年度では500億円の損失であったが、当連結会計年度では406億円の損失となった。
⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、主にアセアン現地法人、中国現地法人、北米現地法人、国内部品製造会社の非支配株主に帰属する当期純利益からなり、前連結会計年度の216億円に対し、当連結会計年度は143億円となった。
⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は938億円となり、前連結会計年度に比べて208億円の減益となった。1株当たり当期純利益は119.13円となった。
(3)当連結会計年度の財政状態の分析
① 資産
当連結会計年度末における総資産残高は1兆8,808億円となり、前連結会計年度末に比べて715億円増加している。
主な内訳としては、現金及び預金が104億円、繰延税金資産が43億円減少した一方で、有形固定資産が372
億円、リース債権及びリース投資資産が226億円、受取手形及び売掛金が72億円、たな卸資産が68億円、投資有価証券が54億円増加している。
② 負債
当連結会計年度末における負債総額は、9,187億円となり、前連結会計年度末に比べて70億円増加している。
主な要因としては、その他流動負債のうち、未払金が123億円増加したことによる。
③ 純資産
当連結会計年度における純資産は9,621億円となり、前連結会計年度末に比べて644億円増加している。
主な要因としては、親会社株主に帰属する当期純利益938億円を計上した一方で、配当に伴い利益剰余金が252億円、為替換算調整勘定が122億円、非支配株主持分が26億円減少したこと等による。
自己資本比率は43.5%(前連結会計年度末41.5%)となっている。
(4)当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析は、第2「事業の状況」の1「業績等の概要」に記載している。