当社グループは、社会、環境との調和を求め、お客様から信頼していただける良きパートナーとして共に発展することを目指し、経営の基本方針として、次の企業理念・行動指針を掲げています。
・企業理念 : 「運ぶ」を支え、信頼されるパートナーとして、豊かな暮らし創りに貢献します。
・行動指針 : 私たちは、信頼を全ての基本とし、自ら考え、行動し続けます。
(商品) 「真のニーズを研究し、魅力ある商品・サービスの創造」
(自己) 「約束を守り、誠実で、迅速な対応」
(組織) 「世界の仲間とチームワークで達成」
当社グループを取り巻く事業環境は、為替リスクや地政学的リスクの増大など、今後も予断を許さない状況が続くことが見込まれます。また、中長期的には、電動化やコネクテッド技術の普及など、大きな環境変化が予想されます。
このような環境変化に耐え、柔軟に適応していくために、2030年に向けて、当社グループの中長期に目指す姿を“人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレイン(注)のエクセレントカンパニーとして、広く愛される会社”と定めることとしました。今後は、この中長期に目指す姿の実現に向け、社会とともに持続可能な成長を続けていくために、事業活動を通じた社会課題の解決と、社会的価値の創造に取り組んでいくこととし、この活動をスタートするにあたり、「中期経営計画」(2019年3月期から2021年3月期まで)を策定しています。
この中期経営計画で当社グループは、既存事業をより深く掘り進め、収益の拡大に努めるとともに、中長期に目指す姿の実現に向けた、既成概念にとらわれない新たな事業領域への挑戦も念頭に、「お客様との協創活動によるビジネス革新」「海外CV事業の拡大」「LCV事業の強靭化」「パワートレイン事業の強化」「先進技術開発の加速」「デジタルイノベーションの推進」及び「新規事業の創出」の7つの課題の実現につとめていきます。
同時に、品質の管理・向上とコンプライアンス体制の強化にも、一層の力をいれて取り組んでいきます。
また、この中期経営計画においては、高い成長性と強固な収益力発現の客観的な指標として、最終年度である2021年3月期の連結売上高や計画期間中の3期平均の連結営業利益率を掲げるほか、資本効率の指標として計画期間中の3期平均の自己資本利益率も掲げました。このほか、財務の方針として持続的な成長を確かなものとするため、中長期を見据えた事業投資を推し進めつつ、株主還元を着実に実施していくこととし、2019年3月期から2021年3月期までのキャッシュ・フローと配分について、営業活動によるキャッシュ・フローと財務活動によるキャッシュ・フローの合計額、設備投資と戦略投資の合計額及び計画期間中の3連結会計年度の平均の総還元性向を掲げています。
なお、本文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月26日)現在において当社グループが判断したものです。
|
(注)文中「CV」「LCV」「パワートレイン」とあるのはそれぞれ「商用車」「ピックアップトラック及び派生車」「エンジン、トランスミッション及び駆動系のコンポーネント」のことを示します。 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月26日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)主要市場の経済状況・需給動向及び価格の変動
当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車の需要は、当社グループが製品を販売している国・地域及びその市場における経済状況の影響を受けるため、当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また他社との価格競争により当社製品の価格変動を引き起こす可能性があります。
(2)金利変動
当社グループは日頃よりキャッシュ・フローの管理に努めていますが、資金調達に係わるコストは、市場金利が急激に上昇した場合、支払利息の負担が増大するなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)為替変動
当社グループの事業には、世界各地における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産、負債を含む現地通貨建の項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、為替変動は、当社グループが購入する原材料の価格や販売する製品の価格設定に影響し、その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)大口顧客企業への依存
当社グループは、当社製品である自動車やその構成部品等を、トリペッチ いすゞ セールス㈱(タイ国バンコク市)や、ゼネラル モーターズ コーポレーション(アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト市)及びそのグループ企業などの大口顧客企業に販売・供給しています。これらの顧客企業への売上は、顧客企業の生産・販売量の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受け、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)資材、部品等のサプライヤー及び業者
当社グループは、生産に必要な原材料、部品及び製品を外部のサプライヤーから調達していますが、サプライヤーの能力を大幅に超えるような需給状況になった場合や、サプライヤーに生じた事故や不測の事態により供給能力が大幅に低下した場合は、十分な量を確保することができなくなる可能性があります。これらの供給の遅れや、不足が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、需給の逼迫などにより原材料等の価格が高騰し、生産性向上などの内部努力や価格への転嫁などにより吸収できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)研究開発
当社グループの置かれた経営環境は競争の激化や市場ごとに異なる商品ニーズの多様化などが見込まれます。このような経営環境に対応し、「運ぶ」を支える「ものづくり事業」を推進していくには高い技術と市場のニーズを的確にとらえた製品を提供する研究開発への取組みが不可欠ですが、もし求められる技術水準への到達や適正な市場ニーズの把握に失敗や遅延した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)製品の欠陥
当社グループは国内外の各工場で世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しています。しかし、万が一大規模なリコールを実施する場合には多額のコストが発生し、また製造物賠償責任については保険に加入していますが、この保険により填補できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)合弁事業
当社グループは、いくつかの国において、各国の法律上の、あるいはその他の要件により合弁で事業を行っています。これらの合弁事業は、合弁相手の経営方針、経営環境などの変化により影響を受けることがあり、そのことが、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)災害等による影響
当社グループは生産工程の中断による潜在的な悪影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っていますが、災害、停電又はその他の中断事象による影響を完全に防止又は軽減できない可能性があります。また、新型インフルエンザなどの疫病・感染症などが世界的に流行した場合には、当社グループの生産活動及び販売活動に大きな支障をきたす可能性があります。
(10)IT化社会におけるリスク
近年はビジネスの現場において、顧客情報の収集・利用や営業秘密としての技術情報の活用、設備の自動制御など、情報技術の利活用が不可欠なものとなっています。こうした情報技術やITネットワークについては様々な安全対策を実施していますが、システム障害やコンピューターウィルスへの感染、サイバー攻撃等が発生した場合には、業務の中断や、データの破損・喪失などを引き起こす可能性があります。またその結果、当社グループのブランドイメージ毀損や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)情報セキュリティ
当社グループは、個人情報や機密情報の保護のための情報セキュリティの取組みをはじめとして、法令等の遵守については未然防止の対策を講じていますが、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合、企業としての信用低下、顧客等に対する損害賠償責任が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)有価証券投資
当社グループは、製品を生産・販売・流通させ、あるいは取引先との間の良好な関係を構築又は維持するために有価証券投資を行っています。このうち、市場性のあるものについては、株価下落により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、市場性のないものも含め、経営環境の急激な変化などにより投資先企業の財政状態が著しく悪化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)会計上の見積額の変動
連結財務諸表の作成にあたり「退職給付に係る負債」や「繰延税金資産」など会計上の見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、金額の見直しや実際の結果と異なる場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの製品の生産及び販売活動は、日本国内のみならず広く海外で行われています。これらの海外市場での事業展開には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しています。
・ 不利な政治又は経済の変動
・ 人材の採用と確保の難しさ
・ 未整備の技術インフラが、製造等の当社グループの活動に悪影響を及ぼす、又は当社グループの製品やサービスに対する顧客の支持を低下させる可能性
・ 潜在的に不利な税影響
・ テロ、戦争、自然災害、その他の要因による社会的混乱
これらの事象は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)知的財産保護の限界
当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、又は限定的にしか保護されない状況にあります。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造するのを効果的に防止できない可能性があります。
(16)法的規制等
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障、関税、その他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けています。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管理、環境保全・リサイクル・安全関連の法規制の適用も受けています。これらの規制の予期しない改廃や運用の変更は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に排出ガス規制は、環境意識の高まりにともない、更に強化される傾向にあります。これを遵守するための投資等は多額となり、将来、これらの投資に見合う売上を実現できない場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(17)コンプライアンス・レピュテーション
当社グループでは、法令等の遵守については違反の未然防止の対策並びにコンプライアンスに係る案件を察知した場合には速やかに対応する体制を構築しています。しかしながら、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、法令違反の事実、あるいは対応の内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与える場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて643億円増加し、2兆1,308億円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べて345億円増加し、1兆145億円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて298億円増加し、1兆1,163億円となりました。
自己資本比率は43.6%(前連結会計年度末44.5%)となりました。
有利子負債については、前連結会計年度末に比べて177億円増加の2,973億円となりました。
当連結会計年度の売上高は、2兆1,491億円(前連結会計年度比3.8%増)となりました。
営業利益は1,767億円(前連結会計年度比6.0%増)となりました。また、経常利益は1,890億円(前連結会計年度比8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,134億円(前連結会計年度比7.4%増)となりました。
なお、当社グループは、自動車及び部品並びに産業用エンジンの製造、販売(自動車事業)を主な事業とする単一セグメントであるため、セグメントの業績の記載を省略しています。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます)につきましては、営業活動により獲得した資金1,565億円を、投資活動に865億円、財務活動に1,069億円、それぞれ資金を使用したこと等により、前連結会計年度末に比べて246億円減少し、3,053億円となりました。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除して計算した、フリーキャッシュ・フローは、699億円の資金流入(前連結会計年度比0.3%増)となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により獲得した資金は、1,565億円(前連結会計年度比11.5%減)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益を1,861億円、減価償却費を699億円計上した一方で、売上債権の増加により179億円、たな卸資産の増加により298億円、リース債権及びリース投資資産の増加により145億円、法人税等の支払により532億円の資金流出などがあったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により使用した資金は、865億円(前連結会計年度比19.1%減)となりました。
これは、固定資産の取得による支出が947億円あったことが主な要因です。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により使用した資金は、1,069億円(前連結会計年度は44億円の資金流出)となりました。
これは、自己株式の取得による支出で794億円、長期借入の返済で356億円、配当金の支払で266億円、及び非支配株主への配当金の支払で191億円の資金の流出があった一方で、長期借入の実行で500億円の資金の流入があったことが主な要因です。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
前連結会計年度及び当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。
|
|
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
増減 |
|||
|
台数 (台) |
金額 (百万円) |
台数 (台) |
金額 (百万円) |
台数 (台) |
金額 (百万円) |
|
|
大型・中型車 |
61,058 |
- |
60,859 |
- |
△199 |
- |
|
小型車 |
407,873 |
- |
423,566 |
- |
15,693 |
- |
|
計 |
468,931 |
- |
484,425 |
- |
15,494 |
- |
|
海外生産用部品 |
- |
71,801 |
- |
57,738 |
- |
△14,063 |
|
エンジン・コンポーネント |
- |
178,047 |
- |
204,745 |
- |
26,697 |
|
その他 |
- |
149,014 |
- |
142,232 |
- |
△6,782 |
(注)1.海外生産用部品、エンジン・コンポーネント、その他の金額は、販売価格によります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3.上記の表には、関連会社の生産実績は含まれていません。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、過去の販売実績と将来の予想に基づいて、見込み生産を行っています。
c.販売実績
前連結会計年度及び当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
|
|
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
増減 |
||||
|
台数(台) |
金額 (百万円) |
台数(台) |
金額 (百万円) |
台数(台) |
金額 (百万円) |
||
|
|
国 内 |
30,571 |
283,505 |
28,864 |
272,172 |
△1,707 |
△11,333 |
|
|
海 外 |
39,766 |
214,667 |
43,336 |
210,894 |
3,570 |
△3,772 |
|
大型・中型車計 |
70,337 |
498,173 |
72,200 |
483,066 |
1,863 |
△15,106 |
|
|
|
国 内 |
41,691 |
140,560 |
45,567 |
153,256 |
3,876 |
12,695 |
|
|
海 外 |
389,864 |
824,055 |
414,555 |
879,047 |
24,691 |
54,991 |
|
小型車他計 |
431,555 |
964,616 |
460,122 |
1,032,303 |
28,567 |
67,687 |
|
|
|
国 内 |
72,262 |
424,066 |
74,431 |
425,428 |
2,169 |
1,362 |
|
|
海 外 |
429,630 |
1,038,722 |
457,891 |
1,089,941 |
28,261 |
51,218 |
|
車両計 |
501,892 |
1,462,789 |
532,322 |
1,515,370 |
30,430 |
52,580 |
|
|
|
海 外 |
- |
71,599 |
- |
57,397 |
- |
△14,201 |
|
海外生産用部品 |
- |
71,599 |
- |
57,397 |
- |
△14,201 |
|
|
|
国 内 |
- |
68,679 |
- |
79,472 |
- |
10,792 |
|
|
海 外 |
- |
58,334 |
- |
64,052 |
- |
5,718 |
|
エンジン・コンポーネント |
- |
127,014 |
- |
143,525 |
- |
16,510 |
|
|
|
国 内 |
- |
294,164 |
- |
314,273 |
- |
20,109 |
|
|
海 外 |
- |
114,792 |
- |
118,602 |
- |
3,809 |
|
その他 |
- |
408,957 |
- |
432,876 |
- |
23,918 |
|
|
|
国 内 |
- |
786,911 |
- |
819,175 |
- |
32,263 |
|
|
海 外 |
- |
1,283,448 |
- |
1,329,993 |
- |
46,544 |
|
売上高合計 |
- |
2,070,359 |
- |
2,149,168 |
- |
78,808 |
|
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
トリペッチ いすゞ セールス㈱ |
380,772 |
18.4 |
397,869 |
18.5 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、貸倒引当金、たな卸資産、投資、繰延税金資産、退職給付に係る負債及び資産、製品保証引当金などの計上に関して、見積りによる判断を行っています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りとは異なる場合があり、業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
[貸倒引当金]
当社グループは貸倒懸念債権等特定の債権について、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。相手先の財務状況が悪化するなどその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
[たな卸資産]
当社グループはたな卸資産について、推定される将来需要及び市場状況に基づき収益性の低下の程度を見積もり、評価減を計上しています。実際の需要又は市場状況が推定より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
[投資の減損]
当社グループは非公開会社への投資について、投資先の財政状態が著しく悪化し、かつ回復可能性が見込めない場合に減損処理を行っています。将来の投資先の業績不振などにより、現在反映されていない評価損の計上が必要となる可能性があります。
[繰延税金資産]
当社グループは繰延税金資産について、将来の実現性が高い税務計画に基づき回収可能性があると判断した金額まで計上しています。今後、繰延税金資産の全部又は一部が将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産が調整され、費用が増加する可能性があります。
[退職給付に係る負債及び資産]
当社グループは退職給付債務及び年金資産について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の長期収益率などがあります。それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されていますが、前提条件の変化等が退職給付債務及び年金資産に悪影響を与え、費用が増加する可能性があります。
[製品保証引当金]
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に充てるために、保証書の約定に従い、過去の実績を基礎に見積りを行い、製品保証引当金を計上しています。実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合、見積り額の修正が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(イ)当連結会計年度の経営成績についての分析
当連結会計年度は、外部環境が想定より厳しく、市況や為替の影響が出たものの、中期経営計画で掲げた7つの重要課題に取り組み、過去最高の売上高と営業利益を達成しました。今後は更に厳しい環境が想定されますが、引き続き中期経営計画の重要課題に取り組んでいきます。
[売上高]
当連結会計年度の国内車両販売台数は、小型車の排ガス規制切替前の駆け込み需要を取り込み、前連結会計年度に比べ2,169台(3.0%)増加の74,431台となりました。
海外車両販売台数は、タイでピックアップトラックが好調だったことに加え、アジアやアフリカの市場回復もあり、前連結会計年度に比べ28,261台(6.6%)増加の457,891台となりました。この結果、国内と海外を合わせた連結総販売台数は、前連結会計年度に比べ30,430台(6.1%)増加の532,322台となりました。
車両以外の商品の売上高につきましては、海外生産用部品が前連結会計年度に比べ142億円(19.8%)減少し573億円となり、エンジン・コンポーネントは、産業用エンジンの販売基数が伸びたことにより前連結会計年度に比べ165億円(13.0%)増加の1,435億円となりました。また、その他の売上高は、アフターセールスなどの保有事業を伸ばした結果、前連結会計年度に比べ239億円(5.8%)増加の4,328億円となりました。
これらの結果、売上高につきましては、タイ市場のピックアップトラックやエンジン・コンポーネント、保有事業の伸びにより前連結会計年度に比べ788億円(3.8%)増加の2兆1,491億円となりました。内訳は、国内が8,191億円(前連結会計年度比4.1%増)、海外が1兆3,299億円(前連結会計年度比3.6%増)です。
[営業利益]
当連結会計年度の営業利益は1,767億円(前連結会計年度比6.0%増)となりました。
減益要因として、経済変動78億円、為替変動71億円等が挙げられる一方で、原価低減活動142億円、売上変動及び構成差181億円等が増益要因となりました。
この結果、当連結会計年度における売上高営業利益率は8.2%(前連結会計年度8.1%)となりました。
[営業外損益]
当連結会計年度における営業外損益は122億円の利益であり、前連結会計年度に比べて53億円増益となっています。
持分法による投資利益は79億円となり、前連結会計年度に比べて13億円の増益となっています。
また、受取利息の増加にともない、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた純額は52億円の益となり、前連結会計年度に比べて14億円改善しました。為替差損は前連結会計年度に比べて9億円改善しています。
[特別損益]
当連結会計年度における特別損益は28億円の損失となり、前連結会計年度に比べて53億円の減益になりました。当連結会計年度の主な項目として、特別損失で、固定資産処分損、減損損失、災害による損失、投資有価証券評価損等が挙げられ、特別利益で、固定資産売却益、負ののれん発生益、段階取得に係る差益等が挙げられます。
[税金費用]
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額とを加えた金額は、前連結会計年度では490億円の損失でしたが、当連結会計年度では480億円の損失となりました。
[非支配株主に帰属する当期純利益]
非支配株主に帰属する当期純利益は、主にアセアン現地法人、北米現地法人、国内部品製造会社の非支配株主等に帰属する当期純利益からなり、前連結会計年度の213億円に対し、当連結会計年度は246億円となりました。
[親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,134億円となり、前連結会計年度に比べて77億円の増益となりました。1株当たり当期純利益は150.18円となりました。
(ロ)当連結会計年度の財政状態についての分析
[資産]
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて643億円増加し、2兆1,308億円となりました。
主な要因といたしましては、現金及び預金が187億円減少した一方で、たな卸資産が314億円、有形固定資産が254億円、売上債権が213億円増加したことによります。
[負債]
負債は、前連結会計年度末に比べて345億円増加し、1兆145億円となりました。
主な要因といたしましては、有利子負債が177億円、メンテナンス引当金が10億円、仕入債務が72億円増加したことによります。
[純資産]
純資産は、前連結会計年度末に比べて298億円増加し、1兆1,163億円となりました。
主な増加要因といたしましては利益剰余金が867億円増加、非支配株主持分が196億円増加した一方、主な減少要因といたしましては、取得等による自己株式が791億円増加したことによります。
(ハ)資本の財源及び資金の流動性についての分析
[キャッシュ・フローの状況]
第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要に記載のとおりです。
[資金需要]
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。
設備投資の状況については、第3「設備の状況」1「設備投資等の概要」に記載のとおりです。
[資金調達の状況]
運転資金については返済期限が1年以内の短期借入金で、通常各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については原則として資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」⑤「連結附属明細表」「借入金等明細表」に記載のとおりです。
[資金の流動性]
当連結会計年度を含む3ヵ年で生み出される当社グループのキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと財務活動によるキャッシュ・フローの合計額の見通し)は累計4,000億円から5,000億円になると見込まれ、このうち、総額3,500億円程度を事業投資にあてる予定であります。具体的には、これまでの拠点投資に代わり、商品力強化やデジタルイノベーションに向けた投資が求められることに加えて、先進技術開発の推進や新事業創出を目的とした戦略投資を加速していきます。
市場への還元は安定的・継続的であることを旨とし、自己資本利益率の改善とセットでバランスを取っていきます。各年度の総還元性向について当連結会計年度を含む3ヵ年平均として30%を目標としています。
また、手元資金の流動性には絶えず注視が必要ですが、当社グループは現金及び現金同等物に加え、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、金融市場の急激な環境変化にも対応できる流動性を保持していると考えています。
(ニ)経営上の目標の達成状況についての分析
業績や経営指標の数値と照らした経営分析として、当連結会計年度において、売上高は2兆1,491億円、営業利益率は8.2%、自己資本利益率は12.3%、総還元性向は94.3%となりました。
中期経営計画で掲げた目標のうち自己資本利益率(3ヵ年平均で12.0%)及び総還元性向(3ヵ年平均で30%)については、自己株式の取得を行ったこと等により目標値を上回りました。一方で売上高(2兆2,000億円から2兆3,000億円)及び営業利益率(3ヵ年平均で9.0%)については、新興国市場で見込んだ市場回復が想定よりも下振れしたことや品質関連費用が増加したこと等により目標値を下回りました。
|
契約締結時期 |
相手方 |
契約の種類 |
契約の概要 |
|
|
国籍 |
名称 |
|||
|
2004年8月 |
日本 |
日野自動車株式会社 |
株主間 |
両社の共同出資により設立したジェイ・バス株式会社とその100%子会社であるいすゞバス製造株式会社並びに日野車体工業株式会社の3社が合併するにあたり、日野自動車株式会社との間において、バスの開発の一部及び生産に関する事業をジェイ・バス株式会社に統合。 |
|
2006年12月 |
日本 |
伊藤忠商事株式会社 いすゞ自動車販売株式会社 |
株主間 |
伊藤忠商事株式会社との間において、国内販売事業に関連するライフサイクル事業を行う統括会社の運営及び資本出資について合意し、統括会社であるいすゞ自動車販売株式会社がライフサイクル事業の運営を開始。 |
|
2014年10月 |
日本 |
三菱商事株式会社
|
基本覚書 |
タイにおける両社協業の最適化を目指し、泰国いすゞエンジン製造株式会社、いすゞモーターズインターナショナルオペレーションズタイランドリミテッドその他の現地事業体の当社出資比率引き上げを含む協業枠組みの変更につき合意。 |
当社グループでは、世界中のお客様に満足していただける商品とサービスを提供していくため、トラック・バスやピックアップトラック、ディーゼルエンジン等における最新技術の研究開発を行うとともに、その技術を用いることで多くの国・地域のお客様のニーズに対応した最適な商品の開発に取り組んでいます。
当社グループを取り巻く事業環境は、中長期的には、EV(電動化)、コネクテッド、自動運転などの先進技術の市場投入が進むと予想され、過去のトレンドとは異なる大きな環境変化が顕在化していくと捉えています。また、お客様のニーズも多様化しており、近い将来、車両や部品などのハードだけでは、お客様のご期待に十分に応えられる時代ではなくなってくることが想定されます。
このような環境変化に対して、当社グループの研究開発活動としては、「人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV(商用車)・LCV(ピックアップトラック及び派生車)とパワートレイン(エンジン、トランスミッション及び駆動系のコンポーネント)のエクセレントカンパニーとして、広く愛される会社」の実現、そのため策定した「中期経営計画」(2019年3月期から2021年3月期まで)の取り組みとして、既存商品ラインナップの強化及び新商品投入を支えるとともに、先進技術開発も加速して取り組んでいます。
研究開発活動の成果として、当連結会計年度に市場に投入した商品として、大型トラック「ギガ トラクタ」については、2016年排出ガス規制に対応しつつ、省燃費性能を実現。また車型ラインナップをさらに充実させるとともに、ETC2.0を標準設定すること等により、運行中の利便性も向上しました。
中型トラック「フォワード」については、通信端末を標準搭載することによりコネクテッド化し、車両コンディションの遠隔把握及び本データを活用した高度純正整備「PREISM(プレイズム)」の実施を可能としました。同時に、安全性向上アイテムの追加、高度OBD対応等、総合的な商品力強化を実施しました。
小型トラック「エルフ」については、新たにプリクラッシュブレーキをはじめとした先進安全装置を標準装備(一部車型を除く)し、通信端末を標準搭載、高度純正整備「PREISM(プレイズム)」の実施を可能とするとともに、2016年排出ガス規制に対応しながらクラストップレベルの燃費性能に磨きをかけました。
このほか、グローバルの事業基盤構築を推し進めており、新興国向け商用車の開発拠点「いすゞ・グローバル・CVエンジニアリング・センター」の成果物である新興国向けトラックや、中国発の大型トラックやインドネシア発の軽量トラック等、海外拠点発のトラック等の、アジア、及びその周辺国への投入・拡大を実現。また、LCV事業の強靭化についても、市場やお客様の多様化するニーズに対応するべく、従来からの、どのような悪路でも走破できるタフな性能という長所は残しつつ、環境性や安全性、快適性といった機能の向上を目指し開発に取り組んでいます。
一方、先進技術の分野における取り組みとしては、商用車の技術開発を通じて提供する価値、すなわち「安心・安全性」、「経済・利便性」、「環境性」の追求のため、スピードアップに向けて適宜アライアンスを活用することも念頭におきつつ、5つの領域「隊列走行自動運転」、「先進安全」、「コネクテッド」、「EV」、「高効率ICE(内燃機関)」において、さらに技術力を高めるべく進めています。
その中でも、EVや高効率ICEについては、商用車に求められる経済合理性や使い勝手等を踏まえ、当面、電気、ディーゼル、天然ガスの3つのパワートレインをラインナップとして保有しつつ、お客様それぞれの用途・ニーズに応じた商品提供と、それを支える研究開発を続けていきます。特にディーゼルに関しては、当社グループが強みとする領域であり、お客様からのご期待に応えていくため、さらなる効率化やクリーン化等の取り組みを通じ、引き続きグローバルディーゼルエンジン市場を牽引していきます。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は