文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月25日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)当社の経営方針・企業理念・行動方針
当社グループは、社会、環境との調和を求め、お客様から信頼していただける良きパートナーとして共に発展することを目指し、経営の基本方針として、次の企業理念・行動指針を掲げています。
・企業理念 : 「運ぶ」を支え、信頼されるパートナーとして、豊かな暮らし創りに貢献します。
・行動指針 : 私たちは、信頼をすべての基本とし、自ら考え、行動し続けます。
(商品) 「真のニーズを追究し、魅力ある商品・サービスの創造」
(自己) 「約束を守り、誠実で、迅速な対応」
(組織) 「世界の仲間とチームワークで達成」
(2)当社の対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、為替リスクや地政学的リスクの増大など、今後も予断を許さない状況が続くことが見込まれます。また、カーボンニュートラルへの潮流加速や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行など、社会環境の変化の中にあっても社会インフラとしての物流の安定性・安全性への期待など、一層の事業環境の変化が予想されます。
このような環境変化への対応は当社グループの社会的使命と責務であり、これらの変化への柔軟な適応は当社グループの持続可能な成長のためには必要不可欠であると認識しています。そのため当社グループでは、2030年に向けての中長期に目指す姿を“人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレインのエクセレントカンパニーとして、広く愛される会社”と定め、この中長期に目指す姿の実現に向けた取り組みを進めております。前中期経営計画(以下、「前中計」という)期間中(2019年3月期から2021年3月期まで)も、この中長期に目指す姿の実現に向け「攻め」の施策を展開し、アライアンス体制構築の完遂やピックアップトラックのフルモデルチェンジによる商品競争力強化等の成果を達成することができました。
今後は、中長期に目指す姿の実現に向け、社会とともに持続可能な成長を続けていくために、社会的価値の創造に一層取り組んでいくこととし、「中期経営計画 2024」(2022年3月期から2024年3月期まで)を策定致しました。
この「中期経営計画2024」では、当社グループは「既存事業の拡大・収益向上」を図ると共に、「カーボンニュートラル戦略」および「進化する物流へ商用車メーカーとして貢献」の2つを「イノベーションの基軸」としてその実現・実装に向けて取り組んでまいります。そして、変革期を乗り越え、認められ、存続できる企業(=サステナブルな企業)となるべく「ESGを視点とした経営への進化」を強化して参ります。
2021年6月現在、世界的に流行が継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、経済及び企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予見することは困難です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行継続・再流行(新規変異株の流行を含む)、ワクチンの効果、社会・経済状況の変化は、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
一方で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により人々の生活様式が変化した社会において、社会インフラとしての物流の重要性はさらに高まっており、商用車メーカーとしての社会的責務である安定的な車両供給および稼働支援がこれまで以上に求められるようになってきています。
そのような中、当社グループは、事業拠点における感染予防策の実施、在宅勤務をはじめとするテレワーク等、COVID-19による影響を極小化するための各種措置を講じることにより、『運ぶ』を支える企業として、お客様が必要とされる車両をお届けし、アフターサービスによって稼働を支えていくことで「関係者と従業員の安全」及び「社会的責任」の両立を果たして参ります。
「中期経営計画 2024」で挙げている次の3つの軸は、自動車業界・商用車業界におけるお客様のご期待や技術的変革に対応するため中長期的な観点から抽出したものです。
①既存事業の拡大・収益向上
カーボンニュートラルの潮流の世界的な加速や社会インフラとしての物流の安定性・安全性への期待といった社会的要請への対応には、CASE(※)をはじめ多額の研究開発費・投資が必要となります。当社グループでは、財務健全性を維持しつつその原資を確保するため一層の収益力の強化を図り、「中期経営計画 2024」の最終年度である2024年3月期には、売上高2兆7,500億円、営業利益2,500億円を目標とします。そして、この中計施策の効果を中長期的に拡大し、5年後の2026年3月期に売上高3兆円・営業利益3,000億円につなげていくことを目指します。
そのための施策が、次に挙げる「商品/販売/サービス力強化」および「ものづくり革新」となります。
※略語:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリング)、Electric(エレクトリック、電動化)の総称
a.商品/販売/サービス力強化
ニーズの多様化が進んだ商用車市場においてお客様に選ばれ続けるためには、多様化するニーズに対応した商品力、その魅力をお客様に届ける販売力、さらに、商品販売以降の機会においてもお客様に価値提供するサービス力が必要不可欠であると当社グループでは考えています。
当社グループでは、前中計期間中も、環境性や安全性・快適性といった機能について刷新を図ったピックアップトラック「D-MAX」やその派生車である「MU-X」の新モデル投入による販売増を実現してきました。また、日本国内においては通信基盤「PREISM」の全車標準搭載による稼働サポート事業の展開により収益基盤の強化を図りました。
「中期経営計画 2024」期間中も引き続き商品・販売・サービス力の強化を目指していきます。具体的には、2021年4月にボルボ・グループより事業取得したUDトラックス株式会社との連携を進め、商品の相互補完、両社の拠点インフラを活用した販売力・サービス体制の向上など国内外のCV事業を更に強化していきます。また、LCV事業においてはタイなどで投入済みの新型LCVを120か国以上へ展開すると同時に、価格競争力を高めたワークホース車型の充実により商用ユースのお客様にも販路を拡大します。海外CV事業は、販売先地域での需要状況、使われ方、商品要望に鑑み、より柔軟に商品仕様の設定、稼働保証プログラム等も組み合せ、お客様に選んでいただくための取り組みを進めます。
b.ものづくり革新
当社グループでは、価格競争力の維持・向上と、適正な利益の確保による投資原資の獲得の双方の観点から、ものづくり革新の実現による一層の効率化が必要であると考えております。当社グループでは、前中計期間中も市場(販売地)近接のものづくり・サービス体制の定着を図り、各国において効率化・シェア上昇を達成しておりますが、今後も一層の効率化を推進していきます。
具体的には、UDトラックス株式会社とのシナジー効果を最大限に発揮し、開発・物流・生産・購買の各局面で実現してまいります。また、LCV事業では、新型LCVをタイと南アフリカで生産キャパシティを相互に補完可能な体制に転換します。
加えて、CASE対応等で増加が見込まれる開発費・商品投資については前中計期間中に構築したアライアンスパートナーと新技術分野での協業、また既存領域では共同して取組み、お互いの得意領域を補完し合うことで、リソース負担の大幅な増加を回避します。
②イノベーションの基軸への取り組み
当社グループでは、カーボンニュートラルと物流インフラへの期待などの社会的要請を踏まえ、次に挙げる「カーボンニュートラル戦略」と「進化する物流へ商用車メーカーとして貢献」をイノベーション推進の基軸に据え、集中的にリソース投入をしてまいります。当面はほとんどが社会実装のための実証実験の段階とはなりますが、5年後、10年後のイノベーションが実現する様に取り組みを加速します。
a.カーボンニュートラル戦略
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」をはじめ、カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向けた世界的な潮流は一層加速しています。当社グループとしても、2050年の社会が豊かで持続可能な社会であるために気候変動対策を重点課題の一つと捉えています。
当社グループでは2020年3月に中長期的視野で地球環境問題に取り組むための方向性を示す「いすゞ環境長期ビジョン2050」を策定しました。「いすゞ環境長期ビジョン2050」に基づき、当社グループでは2050年までに製品のライフサイクル全体、および事業活動から直接排出される温室効果ガス(GHG)ゼロに向けた取組みを進めています。
このような商品生産から廃棄までのライフサイクル全体を通じたCO2削減活動に取り組む姿勢が評価され、当社グループは2020年度には国際環境非営利団体CDPより気候変動対策に関する企業調査において最高評価であるAリストに認定されました。
今後も、商用車においても電動化/脱CO2化への転換が強く求められることを踏まえ、アライアンスパートナーとの協業を図りつつ積極的に対応を進めていく予定です。具体的には、新車商用車において2025年まではまずバッテリーEVやFCVの技術の実証を図ります。次に2030年頃までには経済性の成立を含め、選択した技術での量産化の準備を進めます。2030年代は商品ラインナップを整備・改良していく量産販売拡大の期間になると想定しています。並行して内燃機関に頼らざるをえない用途や使用条件に対し、カーボンニュートラル燃料活用の検討をすすめてまいります。電動化に向けた具体的目標やスケジュールの見通しは日々変わっており、今後も進捗を随時公表してまいります。
b.進化する物流への商用車メーカーとしての貢献
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う生活様式の変化により物流の社会インフラとしての重要性が一層増大し、その安定性・安全性への期待の高まりを背景とした物流の効率化が益々大きな社会課題になってきています。
当社グループとしても進化する物流への商用車メーカーとして貢献を図るべく、コネクテッド技術や自動運転技術などの先端技術の開発・活用に取り組んでまいります。
まず、コネクテッド技術については、これまでも当社グループでは、業界に先駆けて車載端末「PREISM」の活用により運行管理・ドライバー支援・稼働サポートサービス「MIMAMORI」などのコネクテッドサービスを展開してきました。今後、サービスメニューの拡大とオープン化が必要と考え、当社グループのみならず他社製の商用車を併用しているお客様においても総合的に稼働サポート可能なサービスの提供を目指していきます。
具体的には、より高度な運行管理や稼働サポートサービスを提供するため、当社と富士通株式会社との合弁会社がもつ商用車に関する車両コンディション情報や位置情報などの遠隔取得データを新たな商用車情報基盤に統合いたします。また、2021年3月に商用事業における新たな協業に合意した日野自動車株式会社およびトヨタ自動車株式会社とも連携し、日本国内での商用コネクテッドの共通プラットフォーム作りを目指します。お客様は各社共通のサービスを活用し、またビッグデータの活用が新たなサービスの発展を誘発し、それらが物流の効率化や脱炭素の取り組みの一助となることを目指します。
次に自動運転技術については、これまで当社グループでは隊列走行の実証実験や藤沢工場内での市街地自動配送実験などを通じて基礎を固めてきました。今後は、実際の活用場面を想定した実証実験を行い、現実の使用環境での有用性や問題点の検証を踏まえ、普及策の検討を加速します。加えて、アライアンスパートナーとの共同開発による開発の早期化を図り、最適化された社会インフラの早期実現を目指します。
③ESGを視点とした経営への進化
今後の商用車市場は、異業種からの参入の加速により競合企業の一層のグローバル化・多様化が想定されます。当社のコンペティター、パートナー、ステークホルダーも多様化しグローバルに広がっており、この状況変化の中でも認められる企業であり続ける為に、今までの企業体質・風土・経営の在り方を変える必要を強く認識しています。ESGを視点とし、先行するグローバルリーディングメーカーをベンチマークしつつ、この変革に取り組みたいと考えます。次の3つの視点を持ち、世界標準、社会価値、透明性などさまざまな視点に応えられる経営づくりを目指してまいります。
a.株主価値重視
当社グループには多様なステークホルダーが存在しており、こうしたステークホルダーとの適切な協働を欠いては、持続的な成長を実現することは困難です。その中でも資本提供者である株主は要となる存在であり、コーポレートガバナンスの規律の起点となるものです。
そこで、当社グループでは一層の株主価値を重視した経営を推進し、資本効率の向上により2026年3月期にROE15%を目指します。また、株主還元も強化し、配当性向は「中期経営計画 2024」期間平均で40%を目標と致します。加えて、資金状況を踏まえつつ機動的な自社株取得も検討していきます。
b.ガバナンス強化と開示拡充
当社グループの持続的成長のためには、株主をはじめとするステークホルダーとの適切な協働を欠かすことはできません。当社グループでは、協働のための前提となる、コーポレートガバナンスの実効性向上および適切な情報開示を一層推進していきます。
当社グループでは、ガバナンスの一層の強化を図るため、2021年6月25日開催の第119回定時株主総会において必要な定款変更等への承認を経て監査等委員会設置会社へ移行いたしました。また、取締役会による経営の監督機能強化およびその多様性の向上のため、今後、取締役の1/3を社外取締役とする体制といたします。
適切な情報開示の拡充については、財務報告の国際企業間の比較を容易にし、資金調達および株主価値向上を図ることを目的に、将来的なIFRS適用に向けて準備を進めるとともに、その適用時期について検討を進めてまいります。また、統合報告書を新たに発行することにより非財務情報の開示の一層強化を目指していきます。
c.イノベーションを創出する集団
カーボンニュートラルの潮流の世界的な加速や社会インフラとしての物流の安定性・安全性への期待等の社会的要請に応え、当社グループが持続的な成長を実現するためには、絶えずイノベーションを創出しつづけることのできる集団へと当社グループが変革していく必要があります。
そのため、人材の多様性を高めるとともに、多様な人材が「活躍を可能とする仕組み」を整え強い集団への成長を志向します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月25日)現在において当社グループが判断したものです。
当社グループでは、グループ全体のリスク管理の責任者として、「グループCRMO(Chief Risk Management Officer/リスクマネジメント責任役員)」を設置し、全社的なリスク管理のプロセスを主導しています。
グループCRMOは、
・定期的に当社グループの経営上・事業遂行上でのリスクを特定・評価します。
・これらリスクを適切に管理、特に低減するとともに、リスクが顕在化して危機に転化した場合はその影響を極小化する等、各種リスク対策を企画・実行します。
・定期的に「リスク管理確認会議」を主催し、リスク対策の進捗状況、顕在化したリスクを把握し、対策やリスク認識の不断の見直しを行います。
1.世界経済・金融市場・自動車市場に起因するリスク
(1)主要市場の経済状況・総需要の変動
当社グループの全世界における売上高のうち、主要な部分を占める自動車の需要は、当社グループが製品を販売している国・地域、特に日本、タイ、米国などの主要国市場における経済状況の影響を受けます。
また商用車市場は日本においては今後漸減が予想される一方で、新興国においては物流需要の増加が見込まれることから、当社グループは一部の新興国市場を重点地域と定め、拡販活動を進めています。そのため、一部の新興国市場における経済状況もまた、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは経済状況・需要動向の見通しの正確な把握に努めるとともに、製品を販売する市場の分散によって影響を極小化していますが、当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
また、2021年3月期累計の国内外の車両販売台数はCOVID-19の影響により前連結会計年度を下回ったものの、直近ではCOVID-19流行前の水準に戻りつつあります。
しかし、自動車の需要は市場の経済状況の影響を強く受けるため、COVID-19の流行継続・再流行、社会・経済状況の変化は当社グループの事業活動、業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。COVID-19流行による世界的な物流キャパシティの逼迫が続き、海運コンテナ等の物流サービスを十分に利用できない場合、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)自動車市場における競争
当社グループの全世界における売上高のうち、主要な部分を占める自動車市場は、激しい競争が繰り広げられています。かかる競争環境の激化は当社製品の競争力に影響を及ぼし、価格変動やシェア変動を引き起こす可能性があります。競争に影響を与える要素は製品性能、安全性、燃費、環境負荷、価格、アフターサービス等多岐にわたり、各国の市場ごとで重視される要素は異なります。
当社グループは主要市場での競争力を維持・強化するため、これら要素の改善に取り組みながら、競争力の高い製品について継続的に開発・生産・販売並びにそのアフターサービスを実施していますが、主要市場や新興国市場等での他社との競争に劣後した場合や予期しない業界再編が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)為替および金利の変動
当社グループの事業には、世界各地における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産、負債を含む現地通貨建の項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レート、特に米ドル、タイバーツの為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。さらに、為替変動は、当社グループが購入する原材料の価格や販売する製品の価格設定に影響します。
また、当社グループは日頃よりキャッシュ・フローの管理に努めていますが、資金調達に係わるコストは、市場金利が急激に上昇した場合、支払利息の負担が増大するなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは為替および金利の変動による影響を極小化すべく、現地生産に加えて、先物為替予約取引を含むデリバティブ金融商品の活用を行っています。
しかし、為替および金利の大きな変動が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
2.事業に関するリスク
2-1.主に「外部環境への当社グループの対応」に起因する事業リスク
(4)新しい技術革新やビジネスモデル変化などへの対応
当社グループの事業に関わる外部環境は大きく変化しています。商用車市場のお客様ニーズの多様化や商用車を用いたビジネスモデルの変化、「CASE」に代表される技術革新、生産・販売・アフターサービス・バックオフィス業務におけるデジタルイノベーションの推進、ESG投資やSDGs達成への期待の高まりなどの技術変化や社会変化は、当社グループの事業の拡大と深耕の好機です。
当社グループはこうした技術変化や社会変化に速やかに対応するため、常設部署を設置し、全社横断の複数プロジェクトを推進しています。しかし、万が一、これらの技術変化や社会変化に速やかかつ十分に対応できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)研究開発
当社グループの置かれた事業環境は競争の激化や市場ごとに異なる商品ニーズの多様化などが見込まれます。このような経営環境に対応し、「運ぶ」を支える「ものづくり事業」を推進していくには高い技術と市場のニーズを的確にとらえた製品を提供する研究開発への取組みが不可欠です。
当社グループは、将来の市場ニーズの予測、研究開発分野の優先順位付けを通じて、新たな技術や製品の開発に取組んでいますが、もし求められる技術水準への到達や適正な市場ニーズの把握に失敗や遅延した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、アライアンス及び部品メーカーとの協業を通じて新たな技術や製品の入手をしていますが、もしアライアンス先や部品メーカーが求められる技術水準への到達に失敗や遅延した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)合弁事業をはじめとするアライアンス
当社グループは、いくつかの国において、各国の法律上の、あるいはその他の要件により合弁で事業を行っています。また、国内外の販売ではディーラーやディストリビュータと提携し、研究開発では合弁事業や業務提携を行っています。
当社グループは合弁相手やアライアンス先の経営状況、ガバナンス、その他重要な非財務情報も含め、様々な情報をもとに業務提携の要否を検討します。
しかし、合弁相手やアライアンス先の経営方針、経営環境の変化等当社グループが管理できない要因により、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)販売・供給における特定チャネルへの依存
当社グループは、当社製品である自動車やその構成部品等を、トリペッチいすゞセールス㈱(タイ国バンコク市)や、ゼネラルモーターズ・コーポレーション(アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト市)など当社グループ内外の特定チャネルを通じて販売・供給しています。当社グループの販売・供給における特定チャネルの依存について、取引先の業績悪化等により市場への供給・流通量が減少した場合、または取引先の信用不安等による貸倒れが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは大口顧客企業との関係を維持するとともに、新規顧客の開拓によるリスク分散を図っています。しかし、これらの顧客企業への売上は、顧客企業の生産・販売量の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受け、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)資材、部品等の調達の遅れや不足、調達価格の高騰
当社グループは、生産に必要な原材料、部品及び製品を外部のサプライヤーから調達していますが、サプライヤーの能力を大幅に超えるような需給状況になった場合、サプライヤーに生じた事故や不測の事態により供給能力が大幅に低下した場合、あるいは海運コンテナ等の調達に不可欠な物流サービスを十分に利用できない場合は、生産に必要な量の原材料、部品及び製品を確保することができなくなる可能性、確保が遅れる可能性があります。また、需給の逼迫などにより原材料等の価格が高騰し、生産性向上などの内部努力や価格への転嫁などにより吸収できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、サプライヤーの生産能力、信用リスク、製品等の品質、コストを定期的に把握し、調達に遅れや不足が生じる事態がないように努めていますが、半導体等をはじめとする資材や部品等の大幅な不足や価格の高騰が生じた場合、大規模地震等の自然災害等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
2-2.主に「当社グループ内部」に起因する事業リスク
(9)コンプライアンス・レピュテーション
当社グループでは、関係法令等の遵守はもちろん、ステークホルダーからの期待に応えるという意味でもコンプライアンスを徹底しています。
当社グループでは、法令等の違反を未然に防止する体制並びにコンプライアンスに関わる案件を察知した場合には速やかに対応する体制を構築しています。
またコンプライアンスの推進や体制整備について、客観的な助言・監督・評価を仰ぐことを目的として、社長の諮問機関であるコンプライアンス委員会を設置しています。同委員会には、コンプライアンスの推進に必要な公明性、透明性を確保するため、社外から有識者(弁護士等)を委員として招聘しています。
しかし、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、法令違反の事実、あるいは対応の内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与える場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、各国の個人情報保護、贈収賄禁止、独占禁止・不正競争禁止に関する法令等への重大な違反が認められ、高額な制裁金が課せられた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)製品の欠陥
当社グループは国内外の各工場で世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しています。品質の維持及び改善のため、当社グループは「品証・CS委員会」を通じて、不具合情報の早期発見と共有、品質向上のための全社横断的検討、全社的な品質マネジメントの運用状況の監視を実施しています。また製品の欠陥等を原因とする損害賠償が必要な場合に備えて、製造物賠償責任保険に加入しています。
しかし、万が一大規模なリコールを実施する場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、実際に発生した費用が事前に計上した未払費用を大きく上回る場合や、製造物責任賠償を実施するが製造物賠償責任保険により填補できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)IT化社会における情報セキュリティに関するリスク
当社グループの事業にとって、顧客情報の収集・利用や営業秘密としての技術情報の活用、設備の自動制御などの情報技術の利活用、生産活動を含む業務全般でのITネットワークの安定的利用が不可欠なものとなっています。当社グループの事業は、こうした情報、情報技術、ITネットワークに依存しています。
当社グループでは、当該リスク管理責任者や専門組織を設置し、個人情報や機密情報の保護、データやシステムの可用性の維持、各種情報の改竄防止等の情報セキュリティの維持・改善を目的に、様々な安全対策を実施しています。
しかし、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合、企業としての信用低下、顧客等に対する損害賠償責任が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。また、システム障害やコンピューターウイルスへの感染、サイバ一攻撃等が発生した場合には、業務の中断や、データの破損・喪失などを引き起こす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、アライアンス先との情報セキュリティに関する契約を締結し、個人情報や機密情報の保護、データやシステムの可用性の維持、各種情報の改竄防止等の情報セキュリティの維持・改善を目的に、様々な安全対策を実施しています。しかし、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合、企業としての信用低下、顧客等に対する損害賠償責任、アライアンス先に対する損害賠償責任が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)知的財産保護に関するリスク
当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の国・地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、又は限定的にしか保護されない状況にあります。
当社グループは知的財産保護のための取組みを進めています。しかし、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない場合や知的財産権侵害訴訟による製造・販売の差し止めや損害賠償金の請求が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(13)優秀な人材の確保・定着、パフォーマンスの発揮等
当社グループの事業では、人材が最も重要な資産と考え、当社グループの事業推進に必要となる技能・能力をもった人材の確保に努めるとともに、従業員一人一人のモチベーション、熱意、技能、能力、パフォーマンスを高め、当社グループに定着させるための取組みを進めています。しかし、今後の人材獲得競争の一層の激化により、優秀な人材確保・定着がより困難になっていく可能性があります。
また、当社グループの従業員構成は日本企業の多くと同様に、シニア層に集中しています。それに伴って、将来的には円滑な技能伝承や適切な人員配置が困難となる可能性があります。
当社グループでは計画的な採用、適切な人員配置・再配置、教育・育成・キャリアアップに関わる制度運用、適切な人事考課制度運用により、優秀な人材の確保と定着に努めています。しかし、これらの対応が十分ではない場合、従業員の離職、モチベーション低下、技能伝承の失敗、競争力の低下によって、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
2-3.主に「当社グループ外部」に起因する事業リスク
(14)法的規制等
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障、関税、その他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けています。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管理、環境保全・リサイクル・安全関連の法規制の適用も受けています。特に排出ガス規制は、環境意識の高まりにともない、さらに強化される傾向にあります。これを遵守するための投資等は多額となり、将来、これらの投資に見合う売上を実現できない可能性があります。
当社グループは各国、特に日本、米国、タイ、中国、欧州地域における法規制等の動向の情報収集を行い、法規制の変化に備えた投資や新技術・製品の開発を行っています。
しかし、万が一、規制等の予期しない改廃や運用の変更があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの製品の生産及び販売活動は、日本国内のみならず広く海外で行われています。これらの海外市場での事業展開には特に以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しています。
・政治及び経済状況の変動
・許認可等に関する一方的な政策変更、当社グループ財産の直接的又は間接的収用
・潜在的に不利な税影響
・送金や兌換の規制
・人材の採用と確保の難しさ
・未整備の技術インフラや社会インフラ(電力、上下水、道路、港湾等)
・テロ、戦争、自然災害、経済制裁、その他の要因による社会的混乱
当社グループは、各国におけるリスクを把握するとともに対策を講じていますが、こうしたリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(16)災害等
当社グループは全世界で事業を展開しているため、様々な災害リスクにさらされています。大規模地震や風水害等の自然災害、停電又はその他の中断事象、疫病・感染症が顕在化した場合、当社グループの生産活動、販売活動、その他事業活動に影響が生じる可能性があります。特に主要な事業拠点が集中する日本・南関東に大規模な災害等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは生産工程等の事業中断による潜在的な悪影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行い、災害等が発生した場合の行動計画を予め策定、それに基づいた訓練を実施しています。また新型インフルエンザやその他の未知の感染症等についても予防・対応計画を予め策定し、それに基づいた訓練を実施しています。さらに新型インフルエンザやその他の未知の感染症等についても、日頃より外部コンサルタントの活用等によりグローバルな情報の早期入手に努め、必要に応じて適切な対応を行うとともに、マスク等の適正な備蓄を行っています。
しかし、災害等による影響を完全に防止又は軽減できない可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響
2021年6月現在、世界的に流行が継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、経済及び企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の拡がり方や収束時期等を予見することは困難です。
当社グループでは事業拠点における感染予防策の実施、在宅勤務をはじめとするテレワーク等、COVID-19による影響を極小化するための各種措置を講じています。
また、2021年3月期累計の国内外の車両販売台数はCOVID-19の影響により前連結会計年度を下回ったものの、直近ではCOVID-19流行前の水準に戻りつつあります。
しかし、COVID-19の流行継続・再流行(新規変異株の流行を含む)、ワクチンの効果、社会・経済状況の変化は当社グループの事業活動、業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(17)気候変動
当社グループは、気候変動リスクを最も重要な社会課題の一つとして位置づけ、気候変動そのものを緩和するための取組みや気候変動による影響への対応・取組みを進めています。
当社グループは、産業革命以前からの世界の平均気温上昇を2度未満に抑え、1.5度未満を目指す「パリ協定」を支持しています。また、当社グループは、国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献すべく、「いすゞ環境長期ビジョン2050」を策定しました。「いすゞ環境長期ビジョン2050」中の気候変動関連取組みとして、当社グループは2050年までに、当社グループ製品のライフサイクル全体での温室効果ガス(GHG)ゼロ、および当社グループの事業活動から直接排出されるGHGゼロを目指します。
なお、当社グループによる気候変動対策は外部機関から高い評価を得ています。国際的に影響力のある国際環境非営利団体CDPより気候変動対策に関する企業調査において、最高評価であるAリストに認定されました。
また当社グループは、気候変動に伴う気象災害の頻発による事業中断、脱炭素社会に向けた各種規制が当社グループの業績及び財政状態に与える影響を極小化するため、事業継続態勢の高度化、GHGゼロの製品開発・市場投入に取り組んでいます。
しかし、気候変動そのものを緩和するための取組みや気候変動による影響への対応・取組みが不十分である場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度の経済状況は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大の影響を大きく受けました。商用車市場も、第3四半期以降は回復傾向にあるものの、新型コロナウイルスの感染症の感染拡大により需要が大きく落ち込みました。
このような経営環境の中、当社は前中期経営計画(2019年3月期から2021年3月期まで)(以下、「前中計」という)で掲げた中長期に目指す姿「人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレインのエクセレント・カンパニーとして広く愛される会社」を目指し、取り組んでまいりました。
具体的には、アライアンス体制の構築に引き続き、取り組みました。2020年10月にボルボ・グループと商用車分野における戦略的提携に関する基本契約を締結し、2021年4月より本格的な協業を開始しております。この戦略的提携によりそれぞれが得意とする領域を相互に補完しながら、お互いの持つ優れた技術とスケールメリットを活かし、商用車における既存技術および先進技術開発の協業を進めます。共に物流の将来課題に挑み、社会とお客様に提供する価値の最大化と、商用車業界の新たな価値の創造を目指してまいります。加えて、2021年3月には日野自動車株式会社およびトヨタ自動車株式会社と新たな協業で輸送課題の解決やカーボンニュートラル実現への貢献を目指すことで合意しました。当社と日野自動車株式会社が培った商用事業基盤に、トヨタ自動車株式会社のCASE技術を組み合わせることで、CASEの社会実装・普及に向けたスピードを加速し、商用車を使って人・モノの移動を支える輸送業が直面する、輸送効率の向上、ドライバーの人手不足や長時間労働をはじめとする様々な課題やカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指していきます。
当連結会計年度の国内車両販売台数は、小型車はシェア40.8%と高い評価を得たものの、全需減少にともない販売台数は減少しており、前連結会計年度に比べ10,282台(14.4%)減少の61,071台となりました。
海外車両販売台数は、主にアジアで全需が減少したことを受け、前連結会計年度に比べ44,806台(10.2%)減少の393,064台となりました。この結果、国内と海外を合わせた連結総販売台数は、前連結会計年度に比べ55,088台(10.8%)減少の454,135台となりました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は次のとおりです。
|
|
当連結会計年度 |
|
前連結会計年度比 |
|||
|
売上高 |
19,081 |
億円 |
|
△1,717 |
億円 |
△8.3% |
|
営業利益 |
957 |
億円 |
|
△448 |
億円 |
△31.9% |
|
経常利益 |
1,042 |
億円 |
|
△466 |
億円 |
△30.9% |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
427 |
億円 |
|
△385 |
億円 |
△47.4% |
(為替レート)
|
USD/JPY |
106.0円(108.7円) |
|
THB/JPY |
3.42円(3.51円) |
|
AUD/JPY |
76.2円(74.2円) |
注:( )内は前期の為替レート
損益につきましては、原価低減活動による採算改善や費用削減を進めたものの、売上高減少を受け、営業利益は957億円(前連結会計年度比31.9%減)となりました。また、経常利益は1,042億円(前連結会計年度比30.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は427億円(前連結会計年度比47.4%減)となりました。
なお、当社グループは、自動車及び部品並びに産業用エンジンの製造、販売(自動車事業)を主な事業とする単一セグメントであるため、セグメントの業績の記載を省略しています。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて928億円増加し、2兆2,449億円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べて212億円増加し、1兆399億円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて716億円増加し、1兆2,050億円となりました。
自己資本比率は45.5%(前連結会計年度末44.3%)となりました。
有利子負債につきましては、前連結会計年度末に比べて201億円減少の3,165億円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、営業活動により獲得した2,229億円を、投資活動に934億円、財務活動に552億円、それぞれ資金を使用したこと等により、前連結会計年度末に比べて826億円増加し、3,866億円となりました。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除して計算した、フリーキャッシュ・フローは、1,295億円の資金流入(前連結会計年度比317.2%増)となっています。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により獲得した資金は、2,229億円(前連結会計年度比80.2%増)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益を868億円、減価償却費を823億円計上し、たな卸資産の減少により384億円、仕入債務の増加により159億円の資金流入があった一方で、売上債権の増加により112億円、法人税等の支払により306億円の資金流出などがあったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により使用した資金は、934億円(前連結会計年度比0.8%増)となりました。
これは、固定資産の取得による支出が978億円あったことが主な要因です。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により使用した資金は、552億円(前連結会計年度比119.8%増)となりました。
これは、長期借入の返済で848億円、配当金の支払で214億円、及び非支配株主への配当金の支払で162億円の資金流出があった一方で、長期借入の実行で433億円、社債の発行で500億円の資金流入があったことが主な要因です。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。
|
|
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前連結会計年度比 |
||
|
台数 (台) |
金額 (百万円) |
台数 (%) |
金額 (%) |
|
|
大型・中型車 |
49,102 |
- |
△14.8 |
- |
|
小型車 |
346,282 |
- |
△13.9 |
- |
|
計 |
395,384 |
- |
△14.0 |
- |
|
海外生産用部品 |
- |
34,039 |
- |
△20.2 |
|
エンジン・コンポーネント |
- |
202,211 |
- |
6.8 |
|
その他 |
- |
142,517 |
- |
△2.2 |
(注)1.海外生産用部品、エンジン・コンポーネント、その他の金額は、販売価格によります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3.上記の表には、関連会社の生産実績は含まれていません。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、過去の販売実績と将来の予想に基づいて、見込み生産を行っています。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
|
|
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前連結会計年度比 |
|
|
金額(百万円) |
増減率(%) |
||
|
|
国 内 |
244,683 |
△11.9 |
|
|
海 外 |
149,653 |
△17.7 |
|
大型・中型車計 |
394,337 |
△14.2 |
|
|
|
国 内 |
133,424 |
△13.5 |
|
|
海 外 |
774,484 |
△7.4 |
|
小型車他計 |
907,909 |
△8.4 |
|
|
|
国 内 |
378,108 |
△12.5 |
|
|
海 外 |
924,138 |
△9.3 |
|
車両計 |
1,302,246 |
△10.2 |
|
|
|
海 外 |
32,358 |
△24.9 |
|
海外生産用部品 |
32,358 |
△24.9 |
|
|
|
国 内 |
51,198 |
△25.7 |
|
|
海 外 |
98,463 |
57.0 |
|
エンジン・コンポーネント |
149,661 |
13.7 |
|
|
|
国 内 |
322,326 |
△1.2 |
|
|
海 外 |
101,556 |
△21.0 |
|
その他 |
423,883 |
△6.8 |
|
|
|
国 内 |
751,633 |
△9.1 |
|
|
海 外 |
1,156,517 |
△7.7 |
|
売上高合計 |
1,908,150 |
△8.3 |
|
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
トリペッチ いすゞ セールス㈱ |
387,774 |
18.6 |
338,907 |
17.8 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月25日)現在において当社グループが判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)概観
[CV販売]
当連結会計年度におけるCV車両の販売台数は、前連結会計年度から44,537台(18.2%)減少の200,729台となりました。
国内では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、前半期に全需が大きく落ち込みました。後半期はほぼ前年並みまで回復しましたが、前半期の全需の減少による影響を受け、前連結会計年度から10,282台(14.4%)減少の61,071台となりました。海外でも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、前半期は全需が大きく落ち込みましたが、後半期からは市場は総じて回復基調へ転じました。その結果、全体では前連結会計年度から34,255台(19.7%)減少の139,658台となりました。
なお、国内の普通トラックのシェアは、安定した販売を行い、前連結会計年度比+1.3%の33.8%と増加しました。また、小型トラックのシェアは、排ガス規制対応前の駆け込み需要による反動減もあり、前連結会計年度比△1.6%の40.8%と減少しました。
・CV車両販売台数
|
|
|
前連結会計年度 (台) |
当連結会計年度 (台) |
|
増減台数 (台) |
増減率 (%) |
|
国内 |
大型・中型 |
28,945 |
26,757 |
|
△2,188 |
△7.6 |
|
|
小型 |
42,408 |
34,314 |
|
△8,094 |
△19.1 |
|
|
計 |
71,353 |
61,071 |
|
△10,282 |
△14.4 |
|
北米 |
大型・中型 |
1,422 |
1,572 |
|
150 |
10.5 |
|
|
小型 |
27,561 |
19,765 |
|
△7,796 |
△28.3 |
|
|
計 |
28,983 |
21,337 |
|
△7,646 |
△26.4 |
|
アジア |
大型・中型 |
16,061 |
11,986 |
|
△4,075 |
△25.4 |
|
|
小型 |
45,283 |
31,180 |
|
△14,103 |
△31.1 |
|
|
計 |
61,344 |
43,166 |
|
△18,178 |
△29.6 |
|
その他地域 |
大型・中型 |
19,375 |
15,910 |
|
△3,465 |
△17.9 |
|
|
小型 |
64,211 |
59,245 |
|
△4,966 |
△7.7 |
|
|
計 |
83,586 |
75,155 |
|
△8,431 |
△10.1 |
|
合計 |
大型・中型 |
65,803 |
56,225 |
|
△9,578 |
△14.6 |
|
|
小型 |
179,463 |
144,504 |
|
△34,959 |
△19.5 |
|
|
計 |
245,266 |
200,729 |
|
△44,537 |
△18.2 |
[LCV販売]
当連結会計年度におけるLCV車両の販売台数は、前連結会計年度から10,551台(4.0%)減少の253,406台となりました。
アジアでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を受け、前半期に全需が大きく落ち込みましたが、第2四半期以降は回復基調が続きました。その結果、販売台数は前連結会計年度から14,475台(8.0%)減少の166,247台となりました。その他地域においては、後半期より新型モデルの販売が本格化したこと等により、全体では前連結会計年度から3,924台(4.7%)増加の87,159台となりました。
なお、タイではLCVの全需が減少しましたが、引き続き新型モデルが高評価をいただき、シェアは42.3%(※)と前年を上回りました。
(※前連結会計年度までは1月~12月までの累計実績を表示しておりましたが、当連結会計年度より4月~
3月までの累計実績を表示しています。)
・LCV車両販売台数
|
|
前連結会計年度 (台) |
当連結会計年度 (台) |
|
増減台数 (台) |
増減率 (%) |
|
アジア |
180,722 |
166,247 |
|
△14,475 |
△8.0 |
|
その他地域 |
83,235 |
87,159 |
|
3,924 |
4.7 |
|
計 |
263,957 |
253,406 |
|
△10,551 |
△4.0 |
[パワートレイン出荷]
当連結会計年度における産業用エンジンの出荷基数は、好調な中国の建機需要を受け、前連結会計年度から15,135台(12.3%)増加の138,021台となりました。
・産業用エンジン出荷基数
|
|
前連結会計年度 (台) |
当連結会計年度 (台) |
|
増減台数 (台) |
増減率 (%) |
|
計 |
122,886 |
138,021 |
|
15,135 |
12.3 |
(ロ)当連結会計年度の経営成績についての分析
[売上高]
売上高につきましては、主に国内・海外における車両販売台数の減少等により前連結会計年度に比べ、1,717億円(8.3%)減少の1兆9,081億円となりました。内訳は、国内が7,516億円(前連結会計年度比9.1%減)、海外が1兆1,565億円(前連結会計年度比7.7%減)です。
[営業利益]
当連結会計年度の営業利益は957億円(前連結会計年度比31.9%減)となりました。
主な変動要因としては、原価低減活動による90億円および新型コロナウイルス感染症に関する特別損失を含む費用増減他による121億円が増益要因となった一方で、販売量の減少等による売上変動/構成差による660億円が減益要因になったことによるものです。
この結果、当連結会計年度における売上高営業利益率は5.0%(前連結会計年度6.8%)となりました。
・営業利益の増減分析(前連結会計年度比)
(億円)
|
費用増減他 |
122 |
|
原価低減活動 |
90 |
|
為替変動 |
0 |
|
経済変動 |
0 |
|
売上変動/構成差 |
△660 |
|
合計 |
△448 |
[営業外損益]
当連結会計年度における営業外損益は85億円の利益であり、前連結会計年度に比べて17億円減益となっています。
主に支払補償費が前連結会計年度に比べて22億円減少し増益要因となった一方で、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた純額は25億円の利益となりましたが、受取利息等の減少により前連結会計年度に比べて21億円減少したほか、持分法による投資利益が29億円減少したことが減益要因となりました。
[特別損益]
当連結会計年度における特別損益は174億円の損失となり、前連結会計年度に比べて100億円の減益になりました。当連結会計年度の主な項目として、特別損失で、固定資産処分損、減損損失、新型コロナウイルス感染症に関する損失が挙げられ、特別利益で、固定資産売却益、投資有価証券売却益が挙げられます。
[税金費用]
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額とを加えた金額は、前連結会計年度では410億円の損失でしたが、当連結会計年度では342億円の損失となりました。
[非支配株主に帰属する当期純利益]
非支配株主に帰属する当期純利益は、主にアセアン現地法人、北米現地法人、国内部品製造会社の非支配株主等に帰属する当期純利益からなり、前連結会計年度の212億円に対し、当連結会計年度は98億円となりました。
[親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は427億円となり、前連結会計年度に比べて385億円の減益となりました。1株当たり当期純利益は57.91円となりました。
(ハ)当連結会計年度の財政状態についての分析
[資産]
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて928億円増加し、2兆2,449億円となりました。
主な要因といたしましては、たな卸資産が355億円、繰延税金資産が146億円減少した一方で、現金及び預金が833億円、投資有価証券が371億円、売上債権が208億円増加したことによります。
[負債]
負債は、前連結会計年度末に比べて212億円増加し、1兆399億円となりました。
主な要因といたしましては、有利子負債が201億円減少した一方で、仕入債務が259億円、その他流動負債が117億円増加したことによります。
[純資産]
純資産は、前連結会計年度末に比べて716億円増加し、1兆2,050億円となりました。
主な要因といたしましては、剰余金の配当を214億円行った一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を427億円計上したことに加え、その他有価証券評価差額金が273億円、為替換算調整勘定が133億円増加したことによります。
(ニ)経営上の目標の達成状況についての分析
業績や経営指標の数値と照らした経営分析として、当連結会計年度において、売上高は1兆9,081億円、営業利益率は5.0%、自己資本利益率は4.3%、総還元性向は51.8%となりました。
前中計で掲げた目標のうち総還元性向(3ヵ年平均で30%)については、安定的・継続的な剰余金の配当を実施したことで、目標値を上回りました。一方で売上高(2兆2,000億円から2兆3,000億円)、営業利益率(3ヵ年平均で9.0%)、自己資本利益率(3ヵ年平均で12.0%)については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響に加え、新興国の通貨安や需要の低迷などにより、目標値を下回りました。
このような中、当社グループは、既存事業の効率化やコスト低減に加えてアフターサービスの強化など事業基盤の盤石化を図るとともに、アライアンスの推進など前例にとらわれない積極的な施策を講じることにより、厳しい市場環境でも耐え抜くことができる強靭な事業基盤の構築に努めてまいりました。
なお、依然として世界的に流行が継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響については、地域によって差はあるものの、当連結会計年度を底として、概ね2022年度までに需要が回復するものと想定しています。
一部の地域において、事業活動の制約は継続するものと考えられますが、感染拡大防止の対策に積極的に取り組むとともに、「運ぶ」を支える企業として、お客様が必要とされる車両をお届けし、アフターサービスによって稼働を支えていくことで「関係者と従業員の安全」及び「社会的責任」の両立を果たしてまいります。
(ホ)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
[キャッシュ・フローの状況]
第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
[資金需要]
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。
設備投資の状況については、第3「設備の状況」1「設備投資等の概要」に記載のとおりです。
[資金調達の状況]
運転資金については返済期限が1年以内の短期借入金で、通常各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については原則として資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。今後、投融資の実行に伴い借入金・社債等による資金調達を検討する可能性があります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」⑤「連結附属明細表」「社債明細表」「借入金等明細表」に記載のとおりです。
[資金の流動性]
CASEの時代を迎え、当社を取り巻くコンペティター、パートナー、ステークホルダーは多様化しかつグローバルに広がりました。このような状況変化のなかでも認められる企業であり続けるためには、今までの経営風土のあり方を変える必要性を強く認識しています。
当社は今後、「ESGを視点とした経営」を基本に置き、先行するグローバルメーカーをベンチマークし、この変革に取り組みたいと考えています。グローバル化、多様化するステークホルダーの皆様と共に発展するため、安定した自己資本の積み上がりを背景に、資本効率をより重視する経営を目指し、変化の激しい不透明な時代にあっても持続安定的な株主還元の実現を目指してまいります。
具体的には、当社が提供する商品とサービス力の強化を通じ社会的価値を高めることにより資本効率を高め、5年後のROE15%を目指します。
また、変化の激しい不透明な時代にあっても持続安定的な株主還元を実現するため、「中期経営計画 2024」(2022年3月期から2024年3月期まで)の期間中の配当性向は平均40%を目指します。さらに、資本の効率を重視する経営の一環として、機動的な自社株取得も検討してまいります。
当社グループは、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画に基づき、事業で創出される営業キャッシュ・フローを原資に投資、借入返済、株主還元に充当し、M&A等に係る資金は主として借入金、社債等で対応することによってこれらの目標の実現に向け取り組んでまいります。
なお、手元資金の流動性には絶えず注視が必要ですが、当社グループは現金及び現金同等物に加え、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、金融市場の急激な環境変化にも対応できる流動性を保持していると考えています。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、貸倒引当金、たな卸資産、固定資産、投資、繰延税金資産、退職給付に係る費用及び負債、製品保証引当金などの計上に関して、見積りによる判断を行っています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りとは異なる場合があり、業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、経済及び企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の拡がり方や収束時期等を予見することは困難なことから、重要な会計上の見積りにあたっては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う不確実性を加味し、一部の市場において当連結会計年度の需要減少が翌連結会計年度以降継続することを前提としています。
[貸倒引当金]
当社グループの保有する債権は、その大半がディストリビューター・販売会社向けの売掛金で構成されています。これら債権のうち、一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
従って、景気動向による貸倒実績率の上昇や、貸倒懸念債権等特定の債権の債務者の財務状況が悪化するなどその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
[たな卸資産]
当社グループでは、車両・エンジン等の製品及び仕掛品に加え、原材料・部品等のたな卸資産を保有しております。これらのたな卸資産については、市況の悪化等により収益性の低下が認められる場合には、将来需要及び供給等の推定に基づきその収益性の低下の程度を見積もり、評価減を計上しています。
従って、実際の需要又は供給等が推定より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
[固定資産]
当社グループは、固定資産の減損会計の適用に際し、資産グループを事業用資産、遊休資産及び賃貸用資産に区分し、遊休資産及び賃貸用資産については、個々の物件ごとにグルーピングしております。
当該事業用資産及び賃貸用資産について、市場価格の下落、収益性の低下等により減損の兆候を把握した場合には、個別に回収可能性を検討しております。
有形固定資産の回収可能価額の決定にあたっては、使用価値または正味売却価額のいずれか高い方の金額としています。
使用価値の算定にあたっては、当該製造・販売子会社の経営者によって承認された事業計画を基礎として、資産グループから生じる将来キャッシュ・フローを見積り、これを現在価値に割引いています。将来キャッシュ・フローの算定に重要な影響を与える仮定は、主に市場における総需要やシェア並びに成長率です。また、使用価値の算定に重要な影響を与える仮定は割引率です。市場における総需要やシェア並びに成長率は、当社グループの過去の実績や外部情報機関による予測データを参考に、関係する市場動向や現時点で入手可能な情報に基づく経営環境の変化等を考慮しています。割引率は、加重平均資本コストを使用しています。
正味売却価額の算定にあたっては、資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して行っています。その時価は、第三者による鑑定評価額に基づき、原則として観察可能な市場価格に基づく価額としていますが、市場価格が観察できない場合には、インカム・アプローチや陳腐化を加味したコスト・アプローチによって算定された価額など資産の特性等にしたがって合理的に算定された価額としております。
なお、算定にあたっては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う不確実性を加味し、当連結会計年度の当該新興国市場の需要減少が翌連結会計年度以降継続することを前提としています。これらについて、当社グループは入手可能な最新の情報を基に継続的に見直しています。
[投資]
当社グループでは、投資有価証券として非公開会社の株式を保有しております。非公開株式をはじめとする時価のない有価証券については、原則として移動平均法による原価法によって評価しておりますが、発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が著しく低下し、かつ回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合は、当該有価証券に対する減損処理を行い、実質価額をもって貸借対照表価額としています。
関係会社株式等時価のない有価証券の実質価額は、原則として一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成された発行会社の直近の財務諸表にその後の状況で財政状態に重要な影響を及ぼす事項を加えたものを基礎に、資産等の時価評価に基づく評価差額等を加味した1株当たりの純資産額に所有株式数を乗じることにより算定しています。実質価額が著しく低下したときとは、実質価額が取得価額に比べて50%程度以上低下した場合としています。
回復可能性の判定にあたっては、発行会社の取締役会等といった意思決定機関で承認された中長期の事業計画等の実行可能性や合理性についても検討を行います。
回復可能性の判定を行った結果、実質価額が著しく低下し、かつ回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない有価証券については、取得価額を実質価額まで減額しています。
回復可能性の判定に用いる事業計画の見積りに重要な影響を与える仮定は、主に市場における総需要やシェアです。これらについて、当社は入手可能な最新の情報を基に継続的に見直しています。
自動車の需要は経済状況の影響を強く受けるため、景気後退及びそれに伴う市場における総需要の縮小により将来の投資先の業績不振等が発生した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
[繰延税金資産]
当社グループは繰延税金資産について、将来の実現性が高い税務計画に基づき回収可能性があると判断した金額まで計上しています。
従って、市場や経済情勢の悪化、当社グループの競争力の低下等の要因により、当社グループの業績が悪化し、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産が調整され、費用が増加する可能性があります。
[退職給付に係る費用及び負債]
退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。
それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されていますが、今後、経済環境の変化による割引率の低下や市場環境の悪化による年金資産の長期期待収益率の低下等、さらには退職率・死亡率等の変化が発生した場合、退職給付費用及び負債に悪影響を与え、費用及び負債が増加する可能性があります。
[製品保証引当金]
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に充てるために、製品保証引当金を計上しています。製品保証引当金は、製品・地域毎の保証書の約定に従い、保証期間中の当社製品に対して、保証期間にわたって発生しうる費用を、過去の保証実績率を基に見積りを行っております。
従って、実際の発生費用が見積りの金額よりも悪化した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。
[市場措置(リコール等)に関連する債務]
当社グループでは、製品のリコール等が発生した際にその費用の支出に充てるために、未払費用を計上しています。当該未払費用は、リコール等となる見積り対象台数に台当たり市場措置額を乗じることで算出しています。リコール等に関連する債務の算出に用いた主要な仮定は、個別案件ごとの見積り対象台数、台当たり市場措置額です。
見積り対象台数は、主務官庁への届出等に基づく台数に個別の無償補修作業の実施率を考慮すること等によって算出をしています。台当たり市場措置額は、主務官庁への届出等に基づく個別の無償補修作業に必要となる部品代、作業工数等を見積ることによって算出しています。
これらについて、当社グループは個々のリコール等に対する実際の費用の発生状況を精査することによって継続的に見直しております。
当社グループは、リコール等に関連する債務について妥当な算定ができており、これまでの実際の結果と算定額に重要な乖離はありません。
しかしながら、リコール等に関連する債務の見積りにあたっては、主要な仮定の見積りに不確実性が存在することから、実際のリコール等の費用が見積りの金額から乖離した場合等においては、見積り額の修正が必要となる可能性があります。
また、万が一大規模なリコール等を新たに実施する場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
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契約締結時期 |
相手方 |
契約の種類 |
契約の概要 |
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国籍 |
名称 |
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2004年8月 |
日本 |
日野自動車株式会社 |
株主間 |
両社の共同出資により設立したジェイ・バス株式会社とその100%子会社であるいすゞバス製造株式会社並びに日野車体工業株式会社の3社が合併するにあたり、日野自動車株式会社との間において、バスの開発の一部及び生産に関する事業をジェイ・バス株式会社に統合。 |
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2006年12月 |
日本 |
伊藤忠商事株式会社 いすゞ自動車販売株式会社 |
株主間 |
伊藤忠商事株式会社との間において、国内販売事業に関連するライフサイクル事業を行う統括会社の運営及び資本出資について合意し、統括会社であるいすゞ自動車販売株式会社がライフサイクル事業の運営を開始。 |
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2014年10月 |
日本 |
三菱商事株式会社 |
基本覚書 |
タイにおける両社協業の最適化を目指し、泰国いすゞエンジン製造株式会社、いすゞモーターズインターナショナルオペレーションズタイランドリミテッドその他の現地事業体の当社出資比率引き上げを含む協業枠組みの変更につき合意。 |
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2020年10月 |
スウェーデン |
Aktiebolaget Volvo |
株式譲渡 |
AB Volvo社との間において、同社が保有するUDトラックス株式会社の全株式を、当社が取得することを合意。 |
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同上 |
同上 |
同上 |
協業基本 |
AB Volvo社との協業分野及び同社との協業における意思決定の枠組について合意。 |
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同上 |
同上 |
Volvo Technology Aktiebolaget (VTEC社) |
技術協業 |
AB Volvo社が100%保有する開発管理会社であるVTEC社との間において、技術協業の意思決定の枠組、費用負担の原則及び知的財産権の取扱いについて合意。 |
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2021年3月 |
日本 |
トヨタ自動車株式会社 日野自動車株式会社 |
共同企画 |
トヨタ自動車株式会社及びそのグループ会社である日野自動車株式会社との間において、商用車CASE領域における協業について合意。 |
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同上 |
同上 |
トヨタ自動車株式会社 |
資本提携に関する合意 |
トヨタ自動車株式会社との間において、相互に株式を保有する形での資本提携について合意。 |
当社グループでは、世界中のお客様に満足していただける商品とサービスを提供していくため、トラック・バスやピックアップ・トラック、ディーゼルエンジン等における最新技術の研究開発を行うとともに、その技術を用いることで多くの国・地域のお客様のニーズに対応した最適な商品の開発に取り組んでいます。
当社グループを取り巻く事業環境は、中長期的には、EV、コネクテッド、自動運転などの先進技術の市場投入が進むと予想され、過去のトレンドとは異なる大きな環境変化が顕在化していくと捉えています。また、お客様のニーズも多様化しており、近い将来、車両や部品などのハードだけでは、お客様のご期待に十分に応えられる時代ではなくなってくることが想定されます。
このような環境変化に対して、当社グループの研究開発活動としては、「人々の生活環境、社会の生産活動を支えるCV・LCVとパワートレインのエクセレントカンパニーとして、広く愛される会社」の実現、そのため策定した「中期経営計画」(2019年3月期から2021年3月期まで)の取り組みとして、既存商品ラインナップの強化及び新商品投入とともに、先進技術開発も加速して取り組みました。
当連結会計年度の研究開発活動の成果として、大型トラック「ギガ トラクタ」については、ブラインドスポットモニター、歩行者検知機能付プリクラッシュブレーキ(衝突被害軽減/衝突回避支援)、全車速ミリ波車間クルーズ、一部車型には軸重モニターを標準設定し、各種先進安全装備を拡充しました。また、居住性の向上、空力と空間を両立させた、全高3.8m級の新ハイルーフ仕様を開発しました。また、車両のみならず、コネクテッド機能を進化させ、遠隔地でも確認可能な車両モニタリング項目(尿素水残量、バッテリー電圧、安全装置の作動状況など)を拡充しました。
中型トラック「フォワード」については、国内中型トラック初となる右左折時における横断歩行者を検知する交差点警報、歩行者検知機能付プリクラッシュブレーキ(衝突被害軽減/衝突回避支援)、先行車発進お知らせ機能、ふらつき警報、LEDヘッドランプ/フォグランプを標準設定し、各種先進安全装備を拡充しました。また、居住性の向上、空力と空間を両立させた、新ハイルーフを新たにオプションとして設定しました。
小型トラック「エルフ」については、2021年11月の各種安全装置の装着義務化に伴い、プリクラッシュブレーキの装備展開を拡大し、全車標準装備としました。また、国内小型トラック初となる交差点警報、LEDヘッドランプ/フォグランプを標準設定し、各種先進安全装備を拡充しました。
バス事業においては、「エルガ」、「エルガミオ」の燃費性能を向上し、全車型で2015年度重量車燃費基準を達成しました。また、「エルガミオ」にAT車を新しく追加設定しました。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大防止として、運転席と座席の間を仕切る飛沫感染防止対策商品を発売しました。
LCV事業においては、PPV(Passenger Pickup Vehicle)である「MU-X」をフルモデルチェンジしました。いすゞの強みである耐久信頼性、燃費性能、安全性能を確保しつつ、快適性、高級感を高め、お客様に所有する喜びを味わっていただける車を目指して開発しました。基本構造は、無駄のない合理的なパッケージで居住空間とスタイルを両立し、定評のあった室内空間の広さを更に向上しました。性能面では、室内騒音の改善と操縦安定性、および乗り心地の向上を図りました。また、2020年9月に豪州へ投入した小型ピックアップ・トラックの新型「D-MAX」は、新車を対象に安全性能を総合評価する「ANCAP(Australasian New Car Assessment Program)」において、2020年新プロトコルによる5つ星を獲得しました。
一方、先進技術の分野における取組みとしては、商用車の技術開発を通じて提供する価値、すなわち「安心・安全性」、「経済・利便性」、「環境性」の追求のため、適宜アライアンスを活用したスピードアップも念頭におきつつ、5つの領域「隊列走行自動運転」、「先進安全」、「コネクテッド」、「EV」、「高効率ICE」において、さらに技術力を高めるべく進めています。
その中でも、電動車開発においては、株式会社本田技術研究所と燃料電池(FC)をパワートレインに採用した大型トラックの共同研究を進めています。また、「コネクテッド」においては、極東開発工業株式会社と、架装物の稼働や制御情報をシャシ側の情報通信端末を通じて取得するシステム(架装コネクテッド)を開発しました。このシステムにより、架装物の稼働や制御情報を基にした最適なメンテナンスや万が一の故障への迅速な対応など、お客様の稼働を支えるサービスの提供が可能となります。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は