当連結会計年度の経済状況を概観しますと、世界経済については、米国において個人消費の堅調な推移などにより景気は回復が続き、欧州については、ユーロ圏では緩やかに回復しました。一方、中国をはじめとするアジア新興国等では弱さがみられました。日本経済については、個人消費などに弱さがみられたものの、緩やかな回復基調が続きました。
自動車業界においては、市場は米国を中心に堅調に推移しましたが、一部の新興国での停滞や、日本での増税に伴う軽自動車販売を中心とした落ち込みがみられました。また、環境や安全性能向上への取り組みに加え、自動運転技術の開発が大きく進展しました。
このような経営環境の中、トヨタは、世界中のお客様に一層ご満足いただけるよう、「もっといいクルマ」づくりに取り組んできました。昨年12月に発売した新型「プリウス」は、優れた環境性能に加えて、Toyota New Global Architecture (トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー) の第1弾モデルとして、走りの楽しさ・乗り心地のよさといった基本性能を大幅に向上させました 。また、「シエンタ」を、スポーティなエクステリアと、広々とした室内空間を実現する低床フラットフロアを取り入れ、一新しました。海外では、タイの新型「ハイラックス」を皮切りに新しいIMVシリーズを投入し、新開発フレームとエンジンで、しなやかな乗り心地と力強い走りを実現しました。レクサスブランドでは、プレミアムクロスオーバー市場を牽引する「RX」をモデルチェンジしました。
このような取り組みに加えて、今後の産業技術の基盤となることが期待される人工知能技術の研究・開発を加速するために、トヨタ リサーチ インスティテュート㈱を設立しました。
また、クルマの新たな価値創造を目指し、マツダ㈱と業務提携に向けた基本合意をしました。さらに、小型車事業の一層の強化のため、ダイハツ工業㈱と同社の完全子会社化について合意をしました。持続的成長に向けた真の競争力強化をはかるため、他社との協力関係構築やグループ内でのさらなる基盤強化に努めていきます。
当連結会計年度における日本、海外を合わせた自動車の連結販売台数は、868万1千台と、前連結会計年度に比べて29万1千台 (3.2%) の減少となりました。日本での販売台数については、市場が前連結会計年度を下回る状況のもと、205万9千台と、前連結会計年度に比べて9万5千台 (4.4%) の減少となりましたが、全国販売店の努力により、軽自動車を除くトヨタ・レクサスブランドの販売シェアは46.8%、軽自動車を含む販売シェア (ダイハツおよび日野ブランドを含む) は43.2%と、前連結会計年度に引き続き高いレベルで推移しました。一方、海外においても、北米において販売台数が増加したものの、アジアや中近東などの地域で販売台数が減少したことにより、662万2千台と、前連結会計年度に比べて19万6千台 (2.9%) の減少となりました。
当連結会計年度の業績については、売上高は28兆4,031億円と、前連結会計年度に比べて1兆1,685億円 (4.3%) の増収となり、営業利益は2兆8,539億円と、前連結会計年度に比べて1,034億円 (3.8%) の増益となりました。営業利益の増減要因については、増益要因として、原価改善の努力が3,900億円、為替変動の影響が1,600億円、その他の要因が134億円ありました。一方、減益要因としては、諸経費の増加ほかが3,400億円、販売面での影響が1,200億円ありました。また、税金等調整前当期純利益は2兆9,833億円と、前連結会計年度に比べて905億円 (3.1%) の増益、当社株主に帰属する当期純利益は2兆3,126億円と、前連結会計年度に比べて1,393億円 (6.4%) の増益となりました。
事業別セグメントの業績は、次のとおりです。
売上高は25兆9,774億円と、前連結会計年度に比べて9,152億円 (3.7%) の増収となり、営業利益は2兆4,489億円と、前連結会計年度に比べて1,236億円 (5.3%) の増益となりました。営業利益の増益は、原価改善の努力および為替変動の影響などによるものです。
売上高は1兆8,962億円と、前連結会計年度に比べて2,350億円 (14.2%) の増収となりましたが、営業利益は3,392億円と、前連結会計年度に比べて226億円 (6.2%) の減益となりました。営業利益の減益は、販売金融子会社において、金利スワップ取引などの時価評価による評価益が減少したことなどによるものです。
売上高は1兆1,773億円と、前連結会計年度に比べて784億円 (6.2%) の減収となりましたが、営業利益は665億円と、前連結会計年度に比べて8億円 (1.3%) の増益となりました。
所在地別の業績は、次のとおりです。
売上高は14兆7,594億円と、前連結会計年度に比べて3,556億円 (2.5%) の増収となり、営業利益は1兆6,775億円と、前連結会計年度に比べて1,060億円 (6.7%) の増益となりました。営業利益の増益は、原価改善の努力および為替変動の影響などによるものです。
売上高は11兆519億円と、前連結会計年度に比べて1兆3,743億円 (14.2%) の増収となりましたが、営業利益は5,288億円と、前連結会計年度に比べて557億円 (9.5%) の減益となりました。営業利益の減益は、諸経費の増加ほかおよび為替変動の影響などによるものです。
売上高は2兆6,613億円と、前連結会計年度に比べて1,869億円 (6.6%) の減収となり、営業利益は724億円と、前連結会計年度に比べて87億円 (10.7%) の減益となりました。
売上高は5兆38億円と、前連結会計年度に比べて226億円 (0.5%) の増収となり、営業利益は4,491億円と、前連結会計年度に比べて274億円 (6.5%) の増益となりました。営業利益の増益は、為替変動の影響および原価改善の努力などによるものです。
売上高は2兆2,102億円と、前連結会計年度に比べて2,390億円 (9.8%) の減収となり、営業利益は1,089億円と、前連結会計年度に比べて26億円 (2.3%) の減益となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動からのキャッシュ・フローは、4兆4,608億円の資金の増加となり、前連結会計年度が3兆6,857億円の増加であったことに比べて、7,751億円の増加となりました。また、投資活動からのキャッシュ・フローは、3兆1,825億円の資金の減少となり、前連結会計年度が3兆8,134億円の減少であったことに比べて、6,309億円の減少幅の縮小となりました。財務活動からのキャッシュ・フローは、4,235億円の資金の減少となり、前連結会計年度が3,060億円の増加であったことに比べて、7,296億円の減少となりました。これらの増減に加え、為替換算差額を合わせますと、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2兆9,394億円と、前連結会計年度末に比べて6,548億円 (28.7%) 増加しました。
当連結会計年度における生産実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
事業別セグメントの名称 | 当連結会計年度 (2016年3月31日に 終了した1年間) | 前期比(%) | |
自動車事業 | 日本 | 3,980,576 台 | △ 3.5 |
北米 | 1,970,053 | + 1.9 | |
欧州 | 564,934 | + 1.5 | |
アジア | 1,605,345 | △ 12.2 | |
その他 | 454,991 | △ 6.6 | |
計 | 8,575,899 | △ 4.0 | |
その他の事業 | 住宅事業 | 5,604 戸 | + 3.7 |
| (注) 1 | 「自動車事業」における生産実績は、車両 (新車) 生産台数を示しています。 |
| 2 | 「自動車事業」における「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカからなります。 |
当社および連結製造子会社は、国内販売店、海外販売店等からの受注状況、最近の販売実績および販売見込等の情報を基礎として、見込生産を行っています。
当連結会計年度における販売実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
事業別セグメントの名称 | 当連結会計年度 (2016年3月31日に 終了した1年間) | 前期比(%) | |||
数量 | 金額(百万円) | 数量 | 金額 | ||
自動車事業 | 車両 | 8,681,328 台 | 22,267,136 | △ 3.2 | + 3.3 |
海外生産用部品 | ― | 493,499 | ― | + 22.5 | |
部品 | ― | 2,042,623 | ― | + 6.3 | |
その他 | ― | 1,120,555 | ― | △ 0.3 | |
計 | ― | 25,923,813 | ― | + 3.7 | |
金融事業 | ――――――― | ― | 1,854,007 | ― | + 14.3 |
その他の事業 | 住宅事業 | 5,751 戸 | 158,527 | △ 3.1 | + 3.8 |
情報通信事業 | ― | 50,531 | ― | + 2.0 | |
その他 | ― | 416,240 | ― | + 2.9 | |
計 | ― | 625,298 | ― | + 3.1 | |
合計 | ― | 28,403,118 | ― | + 4.3 | |
| (注) 1 | 主要な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、主要な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しています。 |
| 2 | 上記の金額には、消費税等は含まれていません。 |
| 3 | 「自動車事業」における「車両」の数量は、車両 (新車) 販売台数を示しています。 |
| 4 | 金額は外部顧客への売上高を示しています。 |
前述の当連結会計年度における「自動車事業」の販売数量を、仕向先別に示すと、次のとおりです。
事業別セグメントの名称 | 当連結会計年度 (2016年3月31日に 終了した1年間) | 前期比(%) | |
自動車事業 | 日本 | 2,059,093 台 | △ 4.4 |
北米 | 2,839,229 | + 4.6 | |
欧州 | 844,412 | △ 1.7 | |
アジア | 1,344,836 | △ 9.7 | |
その他 | 1,593,758 | △ 9.2 | |
計 | 8,681,328 | △ 3.2 | |
| (注) 1 | 上記仕向先別販売数量は、車両 (新車) 販売台数を示しています。 |
| 2 | 「自動車事業」における「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中近東ほかからなります。 |
トヨタは、以下の方針をかかげ、持続的成長を通じてトヨタグローバルビジョンを実現していきます。
第一に、時代を先取りした技術、商品、事業を通じて、未来のモビリティ社会の実現に貢献していきます。未来を先読みし、勇気をもって自ら挑戦する人材の育成に取り組んでいきます。
第二に、木が年輪を重ねるように着実に成長するため、真の競争力を強化していきます。徹底した品質の向上や、「お客様とクルマ」に真摯に向き合える新たな仕事のやり方を構築するとともに、あらゆる有事への危機対応力を高めていきます。
これらの実現に向けて、本年4月より、組織体制を製品軸・地域軸・ヘッドオフィスの3つに再編します。製品軸では、企画から生産まで一貫したオペレーションを行うことで、意思決定の迅速化・完結化をはかります。地域軸では、今まで以上に地域に根差した業務運営を目指します。また、ヘッドオフィスでは、適切なリソーセスの配分など、将来を見据えた中長期ビジョン・経営戦略の策定に努めていきます。
このような取り組みにより、トヨタは、「もっといいクルマ」をお届けすることを通じて「いい町・いい社会」づくりに貢献し、結果として多くのお客様にクルマをお求めいただき、安定した経営基盤を構築していきます。このような循環を続けることによって、持続的成長を実現し、企業価値の向上に努めていきます。また、法令遵守をはじめとした企業行動倫理の徹底など、企業の社会的責任を果たしていきます。
以下において、トヨタの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。ただし、以下はトヨタに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日 (2016年6月24日) 現在において判断したものです。
世界の自動車市場では激しい競争が繰り広げられています。トヨタは、ビジネスを展開している各々の地域で、自動車メーカーとの競争に直面しています。世界経済は徐々に回復しつつありますが、自動車市場における競争はさらに激化しており、厳しい状況が続いています。また、世界の自動車産業のグローバル化がさらに進むことによって、競争は今後より一層激化する可能性があり、業界再編につながる可能性もあります。競争に影響を与える要因としては、製品の品質・機能、安全性、信頼性、燃費、革新性、開発に要する期間、価格、カスタマー・サービス、自動車金融の利用条件等の点が挙げられます。競争力を維持することは、トヨタの既存および新規市場における今後の成功、販売シェアにおいて最も重要です。トヨタは、昨今の自動車市場の急激な変化に的確に対応し、今後も競争力の維持強化に向けた様々な取り組みを進めていきますが、将来優位に競争することができないリスクがあります。競争が激化した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
トヨタが参入している各市場では、今までも需要が変動してきました。各市場の状況によって、自動車の販売は左右されます。トヨタの販売は、世界各国の市場に依存しており、各市場の景気動向はトヨタにとって特に重要です。当連結会計年度においては、世界経済については、米国において個人消費の堅調な推移などにより景気は回復が続き、欧州については、ユーロ圏では緩やかに回復しました。一方、中国をはじめとするアジア新興国等では弱さがみられました。日本経済については、個人消費などに弱さがみられたものの、緩やかな回復基調が続きました。自動車業界においては、市場は米国を中心に堅調に推移しましたが、一部の新興国での停滞や、日本での増税に伴う軽自動車販売を中心とした落ち込みがみられました。このような需要の変化は現在でも続いており、この状況が今後どのように推移するかは不透明です。今後トヨタの想定を超えて需要の変化が継続または悪化した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。また、需要は、販売・金融インセンティブ、原材料・部品等の価格、燃料価格、政府の規制 (関税、輸入規制、その他の租税を含む) など、自動車の価格および自動車の購入・維持費用に直接関わる要因により、影響を受ける場合があります。需要が変動した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
③お客様のニーズに速やかに対応した、革新的で価格競争力のある新商品を投入する能力
製品の開発期間を短縮し、魅力あふれる新型車でお客様にご満足いただくことは、自動車メーカーにとっては成功のカギとなります。特に、品質、安全性、信頼性において、お客様にご満足いただくことは非常に重要です。世界経済の変化に伴い、自動車市場の構造が急激に変化している現在、お客様の価値観とニーズの急速な変化に対応した新型車を適時・適切にかつ魅力ある価格で投入することは、トヨタの成功にとってこれまで以上に重要であり、技術・商品開発から生産にいたる、トヨタの事業の様々なプロセスにおいて、そのための取り組みを進めています。しかし、トヨタが、品質、安全性、信頼性、スタイルその他の性能に関するお客様の価値観とニーズを適時・適切にかつ十分にとらえることができない可能性があります。また、トヨタがお客様の価値観とニーズをとらえることができたとしても、その有する技術、知的財産、原材料や部品の調達、原価低減能力を含む製造能力またはその他生産性に関する状況により、価格競争力のある新製品を適時・適切に開発・製造できない可能性があります。また、トヨタが計画どおりに設備投資を実施し、製造能力を維持・向上できない可能性もあります。お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに売上高と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
④効果的な販売・流通を実施する能力
トヨタの自動車販売の成功は、お客様のご要望を満たす流通網と販売手法に基づき効果的な販売・流通を実施する能力に依存します。トヨタはその参入している各主要市場の規制環境において、お客様の価値観または変化に効果的に対応した流通網と販売手法を展開していますが、それができない場合は、売上高および販売シェアが減少するリスクがあります。
⑤ブランド・イメージの維持・発展
競争の激しい自動車業界において、ブランド・イメージを維持し発展させることは非常に重要です。ブランド・イメージを維持し発展させるためには、お客様の価値観やニーズに対応した安全で高品質の製品を提供することで、お客様の信頼をさらに高めていくことが重要です。トヨタが、安全で高品質の製品を提供することができない、または、リコール等の市場処置が必要であるにもかかわらず迅速な対応がなされないなどの結果、トヨタのブランド・イメージを効果的に維持し発展させることができなかった場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、その結果、売上高と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
⑥仕入先への部品供給の依存
トヨタは、部品や原材料などの調達部品を世界中の複数の競合する仕入先から調達する方針を取っていますが、調達部品によっては他の仕入先への代替が難しいものもあり、特定の仕入先に依存しているものがあります。また、その調達部品が様々な車種に共通して使用される場合、当該部品の調達がより困難となり、生産面への影響を受ける可能性があります。さらに、トヨタが直接の取引先である一次仕入先を分散していたとしても、一次仕入先が部品調達を二次以降の特定の仕入先に依存していた場合、同様に部品の供給を受けられないリスクもあります。トヨタが調達部品を継続的にタイムリーかつ低コストで調達できるかどうかは、多くの要因の影響を受けますが、それら要因にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。それらの要因の中には、仕入先が継続的に調達部品を調達し供給できるか、またトヨタが、仕入先から調達部品を競争力のある価格で供給を受けられるか等が含まれます。特定の仕入先を失う、またはそれら仕入先から調達部品をタイムリーもしくは低コストで調達出来ない場合、トヨタの生産に遅延や休止またはコストの増加を引き起こす可能性があり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶ可能性があります。
⑦金融サービスにおける競争の激化
世界の金融サービス業界では激しい競争が繰り広げられています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があります。この他トヨタの金融事業に影響を与える要因には、トヨタ車の販売台数の減少、中古車の価格低下による残存価値リスクの増加、貸倒率の増加および資金調達費用の増加が挙げられます。
⑧デジタル情報技術への依存
トヨタは、機密データを含む電子情報を処理・送信・蓄積するため、または製造・研究開発・サプライチェーン管理・販売・会計を含む様々なビジネスプロセスや活動を管理・サポートするために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しています。さらに、トヨタの製品にも情報サービス機能や運転支援機能など様々なデジタル情報技術が利用されています。これらのデジタル情報技術ネットワークやシステムは、安全対策が施されているものの、ハッカーやコンピュータウィルスによる攻撃、トヨタが利用するネットワークおよびシステムにアクセスできる者による不正使用・誤用、開発ベンダー・クラウド業者など関係取引先からのサービスの停止、電力供給不足を含むインフラの障害、天災などによって被害や妨害を受ける、または停止する可能性があります。このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、機密データの漏洩、トヨタ製品の情報サービス機能・運転支援機能などへの悪影響のほか、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払い義務などが発生する可能性もあります。その結果、トヨタのブランド・イメージや、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。
①為替および金利変動の影響
トヨタの収益は、外国為替相場の変動に影響を受け、主として日本円、米ドル、ユーロ、ならびに豪ドル、ロシア・ルーブル、加ドルおよび英国ポンドの価格変動によって影響を受けます。トヨタの連結財務諸表は、日本円で表示されているため、換算リスクという形で為替変動の影響を受けます。また、為替相場の変動は、外国通貨で販売する製品および調達する材料に、取引リスクという形で影響を与える可能性があります。特に、米ドルに対する円高の進行は、トヨタの経営成績に悪影響を与える可能性があります。
トヨタは、為替相場および金利の変動リスクを軽減するために、現地生産を行い、先物為替予約取引や金利スワップ取引を含むデリバティブ金融商品を利用していますが、依然として為替相場と金利の変動は、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。為替変動の影響およびデリバティブ金融商品の利用に関しては、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 概観 ④為替の変動」および連結財務諸表注記22を参照ください。
②原材料価格の上昇
鉄鋼、貴金属、非鉄金属 (アルミ等) 、樹脂関連部品など、トヨタおよびトヨタの仕入先が製造に使用する原材料価格の上昇は、部品代や製造コストの上昇につながり、これらのコストを製品の販売価格に十分に転嫁できない、あるいは仕入先がこれらのコストを十分に吸収できない結果、トヨタの将来の収益性に悪影響を与える可能性があります。
③金融市場の低迷
世界経済が急激に悪化した場合、多くの金融機関や投資家は、自らの財務体力に見合った水準で金融市場に資金を供給することが難しい状況に陥る可能性があります。その結果、企業がその信用力に見合った条件で資金調達をすることが困難になる可能性があります。必要に応じて資金を適切な条件で調達できない場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。
①自動車産業に適用される政府の規制
世界の自動車産業は、自動車の安全性や排ガス、燃費、騒音、公害をはじめとする環境問題などに関する様々な法律と政府の規制の適用を受けています。特に、安全面では、法律や政府の規制に適合しない、またはその恐れのある自動車は、リコール等の市場処置の実施が求められます。さらに、トヨタはお客様の安心感の観点から、法律や政府の規制への適合性に関わらず、自主的にリコール等の市場処置を実施する可能性もあります。また、多くの政府は、価格管理規制や為替管理規制を制定しています。トヨタは、これらの規制に適合するために費用を負担し、今後も法令遵守のために費用が発生する可能性があります。さらに、トヨタが市場に投入した車両にリコール等の市場処置が必要となった場合、製品のリコールや無償のサービスキャンペーンに係る費用を含めた様々な費用が発生する可能性があります。また、新しい法律または現行法の改正により、トヨタの今後の費用負担が増えるリスクがあります。このように、市場処置を講じたり法律や政府の規制へ適合するために多額の費用が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
②法的手続
トヨタは、製造物責任、知的所有権の侵害等、様々な法的手続の当事者となる可能性があります。また、株主との間で法的手続の当事者となったり、行政手続または当局の調査の対象となる可能性もあります。現在トヨタは、行政手続および当局の調査を含む、複数の係属中の法的手続の当事者となっています。トヨタが当事者となる法的手続で不利な判断がなされた場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。政府の規制等の法的手続の状況については連結財務諸表注記25を参照ください。
③自然災害、政治動乱、経済の不安定な局面、燃料供給の不足、インフラの障害、戦争、テロまたはストライキの発生
トヨタは、全世界で事業を展開することに関連して、様々なイベントリスクにさらされています。これらのリスクとは、自然災害、政治・経済の不安定な局面、燃料供給の不足、天災などによる電力・交通機能・ガス・水道・通信等のインフラの障害、戦争、テロ、ストライキ、操業の中断などが挙げられます。トヨタが製品を製造するための材料・部品・資材などを調達し、またはトヨタの製品が製造・流通・販売される主な市場において、これらの事態が生じた場合、トヨタの事業運営に障害または遅延をきたす可能性があります。トヨタの事業運営において、重大または長期間の障害ならびに遅延が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。
1966年10月 | 日野自動車㈱と業務提携 |
1967年11月 | ダイハツ工業㈱と業務提携 |
2002年1月 | チェコ共和国において小型乗用車を共同生産するため、プジョー シトロエン オートモービルズ SAとの間で合弁契約を締結 (当該契約に基づき、2002年3月トヨタ プジョー シトロエン オートモービル チェコ㈲を設立) |
2002年8月 | 中国第一汽車集団公司と、中国における自動車の共同事業に関する基本合意書を締結 |
2004年6月 | 中国において乗用車を生産・販売するため、広州汽車集団股份有限公司との間で合弁契約を締結 (当該契約に基づき、2004年9月広汽トヨタ自動車㈲を設立) |
2006年3月 | 富士重工業㈱と業務提携 |
当社は、「クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む」、「様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する」の基本理念のもと、多様化・高度化する市場ニーズを的確にとらえた、高品質・低コストのより魅力ある商品を提供するため、積極的な研究開発活動を行っています。
トヨタの研究開発は、日本においては、当社を中心に、ダイハツ工業㈱、日野自動車㈱、トヨタ車体㈱、トヨタ自動車東日本㈱、㈱豊田中央研究所などの関係各社との密接な連携のもとで推進されています。
さらに、海外各地域のお客様のニーズに的確にお応えしたクルマづくりのために、グローバルな開発体制を構築しています。主な拠点として、北米地域にトヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ㈱のテクニカルセンター、キャルティ デザイン リサーチ㈱、欧州地域にトヨタ モーター ヨーロッパ㈱のテクニカルセンター、トヨタ ヨーロッパ デザイン ディベロップメント㈲、アジア・オセアニア地域にトヨタ モーター アジア パシフィック エンジニアリング アンド マニュファクチャリング㈱のテクニカルセンター、トヨタ テクニカル センター アジア パシフィック オーストラリア㈱、トヨタ自動車研究開発センター (中国) ㈲、一汽トヨタ技術開発㈲、広汽トヨタ自動車㈲研究開発センターがあります。
当連結会計年度におけるトヨタの研究開発費は1,055,672百万円です。
当連結会計年度における事業別セグメントごとの活動状況および研究開発費は次のとおりです。
トヨタは、走りの楽しさや快適性などクルマがもたらす様々な恩恵による人々の心の豊かさの向上と、環境負荷や交通事故等のクルマのネガティブな面の最小化を、同時に高いレベルで実現していくことを商品・技術開発のビジョンとして掲げています。
当連結会計年度には、新型「プリウス」を昨年12月に発売しました。新型「プリウス」は、優れた環境性能に加えて、Toyota New Global Architecture (トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー) の第1弾モデルとして、走りの楽しさ・乗り心地のよさといった基本性能を大幅に向上させました。また、「シエンタ」を、スポーティなエクステリアと、広々とした室内空間を実現する低床フラットフロアを取り入れ、一新しました。海外では、タイの新型「ハイラックス」を皮切りに新しいIMVシリーズを投入し、新開発フレームとエンジンで、しなやかな乗り心地と力強い走りを実現しました。レクサスブランドでは、プレミアムクロスオーバー市場を牽引する「RX」をモデルチェンジしました。
安全技術の開発については、モビリティ社会の究極の願いである「交通事故死傷者ゼロ」を目指し、「統合安全コンセプト」の考えのもと、衝突回避支援や車線逸脱防止支援、夜間の視界支援などの複数の安全機能をパッケージ化した「Toyota Safety Sense (トヨタ・セーフティ・センス) 」の普及を目指し、国内新型車12車種に搭載しました。また、道路とクルマ、あるいはクルマ同士での通信を活用した協調型安全システム「ITS Connect (アイティーエス・コネクト) 」の新型車への搭載を開始しました。
自動運転技術の開発については、昨年10月「すべての人が、安全、スムース、自由に移動できる社会」の実現を目指した、自動運転の考え方「Mobility Teammate Concept (モビリティ・チームメイト・コンセプト) 」を発表しました。自動運転技術を支える「運転知能」、「つながる」、「人とクルマの協調」の3つの知能化技術開発を推進しています。「運転知能」の具体例として、高速道路の入口ランプウェイから出口ランプウェイをほぼ自動運転を可能とする「Highway Teammate (ハイウェイ・チームメイト) 」を公開し、自動で分合流や車線変更と追い越しを行う技術を公開しました。「つながる」知能化技術については、通信技術を活用した分散機械学習技術の取り組みや、自動走行に必要な詳細地図を生成する地図自動生成システムの取り組みを発表しました。また、今後の産業技術の基盤となることが期待される人工知能技術の研究・開発を加速するために、トヨタ リサーチ インスティテュート㈱を設立しました。
環境技術の開発については、優れた環境性能にさらなる磨きをかけ、新型「プリウス」の「E」グレードにおいてクラス世界トップレベルの40.8㎞/L (JC08モード) を実現しました。また、2014年より市場投入している世界トップレベルの高熱効率を実現する低燃費エンジンとして、1.2L直噴ターボガソリンエンジン、1.8Lハイブリッド用ガソリンエンジン、2.8L直噴ターボディーゼルエンジンなどを発表しました。また、水素ステーションの整備促進策や水素社会の実現に向けた実証プロジェクトへの参画、燃料電池バスの実証実験および、超小型電気自動車シェアリングサービスをはじめとする「Ha:mo (ハーモ) 」の実証運用の拡大を進めています。さらに、持続可能な社会の実現に貢献するための新たなチャレンジとして、昨年10月に「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表しました。ハイブリッド車や燃料電池自動車などの普及促進や、生産工程で排出される二酸化炭素排出量の削減をはじめとした取り組みを進めています。
当事業に係る研究開発費は1,031,826百万円です。
基礎研究分野においては、㈱豊田中央研究所を中心として、エネルギー・環境、機械、情報・通信、材料などの幅広い分野における研究活動に取り組んでいます。
住宅事業については、トヨタホーム㈱が中心となり市場ニーズに対応した新商品および技術の開発に取り組んでいます。当連結会計年度には、「シンセ・スマイリズム」「シンセ・ピアーナ 理想の平屋」「エスパシオ・アーバンメゾン」「シンセ・スマートステージZERO (ゼロ) 」を新商品として投入しました。
その他の事業に係る研究開発費は23,846百万円です。