当連結会計年度の経済状況を概観しますと、世界経済については、米国において雇用・所得環境の改善などを背景とした個人消費の増加に支えられ景気回復が続き、欧州では緩やかな回復が続く一方、新興国の一部で弱さがみられました。日本経済については、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続きました。
自動車業界においては、市場は先進国で安定的に推移し、中国で減税効果により拡大した一方、資源国で落ち込みがみられました。また、自動運転技術やコネクティッドカー、燃料電池自動車・電気自動車などの環境技術、カーシェア・ライドシェアなどの分野で、業種を越えた取り組みが活発化しました。
このような経営環境の中、トヨタは、お客様の期待を超える「もっといいクルマ」づくりに取り組んできました。クルマづくりの構造改革であるTNGA (トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー) の第2弾モデルとしてデザインと走りに徹底的にこだわった「C-HR」や、ミニバンの魅力をコンパクトカーに凝縮した「ルーミー」ならびに「タンク」を新たに発売しました。また、「プリウスPHV」をフルモデルチェンジし、充電電力使用時の走行距離の大幅な拡大や力強くスムーズな走りを実現しました。さらに、優れた安全性と快適な室内空間を取り入れ、24年ぶりに「コースター」を一新しました。レクサスブランドでは、新開発のプラットフォームによって、より鋭く、より優雅な走りと独創的なデザインを実現したラグジュアリークーペ「LC500/LC500h」を新発売しました。
2016年4月より製品群ごとのカンパニー体制に移行しました。電気自動車の開発を担う社内ベンチャーや、完全子会社化したダイハツ工業㈱とともに発足した新興国小型車カンパニーとあわせて、仕事の進め方改革に取り組んでいきます。
また、スズキ㈱と業務提携に向けた覚書を締結し、互いが抱える課題を解決するための協業の検討を開始することについて合意しました。引き続き他社との協力関係構築やグループ内でのさらなる基盤強化に努め、持続的成長に資する真の競争力強化をはかります。
当連結会計年度における日本、海外を合わせた自動車の連結販売台数は、897万1千台と、前連結会計年度に比べて29万台 (3.3%) の増加となりました。日本での販売台数については、新商品の積極的な投入や全国販売店の努力により、227万4千台と、前連結会計年度に比べて21万5千台 (10.4%) 増加し、軽自動車を除くトヨタ・レクサスブランドの販売シェアは47.8%、軽自動車を含む販売シェア (ダイハツおよび日野ブランドを含む) は過去最高の45.0%と、前連結会計年度に引き続き高いレベルで推移しました。海外においても、中近東において販売台数が減少したものの、アジアや欧州などの地域で販売台数が増加したことにより、669万7千台と、前連結会計年度に比べて7万5千台 (1.1%) の増加となりました。
当連結会計年度の業績については、次のとおりです。
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売上高 |
27兆5,971億円 |
( |
前期比増減 |
△ 8,059億円 |
(△ 2.8%) |
) |
|
営業利益 |
1兆9,943億円 |
( |
前期比増減 |
△ 8,595億円 |
(△30.1%) |
) |
|
税金等調整前 |
2兆1,938億円 |
( |
前期比増減 |
△ 7,895億円 |
(△26.5%) |
) |
|
当社株主に帰属する |
1兆8,311億円 |
( |
前期比増減 |
△ 4,815億円 |
(△20.8%) |
) |
なお、営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。
|
営業面の努力 |
2,100億円 |
|
為替変動の影響 |
△ 9,400億円 |
|
原価改善の努力 |
4,400億円 |
|
諸経費の増加ほか |
△ 5,300億円 |
|
その他 |
△ 395億円 |
(注) 当連結会計年度より、「為替変動の影響」に、海外子会社の営業利益換算差や外貨建引当の期末換算差等を含めています。
事業別セグメントの業績は、次のとおりです。
売上高は25兆818億円と、前連結会計年度に比べて8,955億円 (3.4%) の減収となり、営業利益は1兆6,929億円と、前連結会計年度に比べて7,560億円 (30.9%) の減益となりました。営業利益の減益は、為替変動の影響および諸経費の増加ほかなどによるものです。
売上高は1兆8,236億円と、前連結会計年度に比べて726億円 (3.8%) の減収となり、営業利益は2,224億円と、前連結会計年度に比べて1,167億円 (34.4%) の減益となりました。営業利益の減益は、販売金融子会社において、貸倒関連費用および残価損失関連費用が増加したことなどによるものです。
売上高は1兆3,210億円と、前連結会計年度に比べて1,436億円 (12.2%) の増収となり、営業利益は813億円と、前連結会計年度に比べて148億円 (22.3%) の増益となりました。
所在地別の業績は、次のとおりです。
売上高は14兆8,308億円と、前連結会計年度に比べて713億円 (0.5%) の増収となりましたが、営業利益は1兆2,022億円と、前連結会計年度に比べて4,752億円 (28.3%) の減益となりました。営業利益の減益は、為替変動の影響および諸経費の増加ほかなどによるものです。
売上高は10兆2,390億円と、前連結会計年度に比べて8,128億円 (7.4%) の減収となり、営業利益は3,111億円と、前連結会計年度に比べて2,176億円 (41.2%) の減益となりました。営業利益の減益は、諸経費の増加ほかおよび、販売金融子会社において、貸倒関連費用および残価損失関連費用が増加したことならびに金利スワップ取引などの時価評価による評価損が計上されたことなどによるものです。
売上高は2兆6,810億円と、前連結会計年度に比べて197億円 (0.7%) の増収となりましたが、営業利益は前連結会計年度に比べて846億円減少し、122億円の損失となりました。営業利益の減少は、諸経費の増加ほかなどによるものです。
売上高は4兆8,198億円と、前連結会計年度に比べて1,840億円 (3.7%) の減収となり、営業利益は4,351億円と、前連結会計年度に比べて140億円 (3.1%) の減益となりました。営業利益の減益は、為替変動の影響などによるものです。
売上高は2兆1,610億円と、前連結会計年度に比べて491億円 (2.2%) の減収となり、営業利益は586億円と、前連結会計年度に比べて502億円 (46.1%) の減益となりました。営業利益の減益は、諸経費の増加ほかなどによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2兆9,950億円と、前連結会計年度末に比べて556億円 (1.9%) の増加となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減は、次のとおりです。
当連結会計年度の営業活動からのキャッシュ・フローは、3兆4,142億円の資金の増加となり、前連結会計年度が4兆4,608億円の増加であったことに比べて、1兆466億円の減少となりました。
当連結会計年度の投資活動からのキャッシュ・フローは、2兆9,699億円の資金の減少となり、前連結会計年度が3兆1,825億円の減少であったことに比べて、2,126億円の減少幅の縮小となりました。
当連結会計年度の財務活動からのキャッシュ・フローは、3,751億円の資金の減少となり、前連結会計年度が4,235億円の減少であったことに比べて、484億円の減少幅の縮小となりました。
当連結会計年度における生産実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
事業別セグメントの名称 |
当連結会計年度 (2017年3月31日に 終了した1年間) |
前期比(%) |
|
|
自動車事業 |
日本 |
4,109,038 台 |
+ 3.2 |
|
北米 |
2,062,862 |
+ 4.7 |
|
|
欧州 |
637,352 |
+ 12.8 |
|
|
アジア |
1,674,468 |
+ 4.3 |
|
|
その他 |
491,789 |
+ 8.1 |
|
|
計 |
8,975,509 |
+ 4.7 |
|
|
その他の事業 |
住宅事業 |
8,267 戸 |
+ 47.5 |
|
|
(注) 1 |
「自動車事業」における生産実績は、車両 (新車) 生産台数を示しています。 |
|
|
2 |
「自動車事業」における「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカからなります。 |
当社および連結製造子会社は、国内販売店、海外販売店等からの受注状況、最近の販売実績および販売見込等の情報を基礎として、見込生産を行っています。
当連結会計年度における販売実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
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事業別セグメントの名称 |
当連結会計年度 (2017年3月31日に 終了した1年間) |
前期比(%) |
|||
|
数量 |
金額(百万円) |
数量 |
金額 |
||
|
自動車事業 |
車両 |
8,970,860 台 |
21,540,563 |
+ 3.3 |
△ 3.3 |
|
海外生産用部品 |
― |
468,214 |
― |
△ 5.1 |
|
|
部品 |
― |
1,955,781 |
― |
△ 4.3 |
|
|
その他 |
― |
1,067,671 |
― |
△ 4.7 |
|
|
計 |
― |
25,032,229 |
― |
△ 3.4 |
|
|
金融事業 |
――――――― |
― |
1,783,697 |
― |
△ 3.8 |
|
その他の事業 |
住宅事業 |
10,321 戸 |
300,820 |
+ 79.5 |
+ 89.8 |
|
情報通信事業 |
― |
48,102 |
― |
△ 4.8 |
|
|
その他 |
― |
432,345 |
― |
+ 3.9 |
|
|
計 |
― |
781,267 |
― |
+ 24.9 |
|
|
合計 |
― |
27,597,193 |
― |
△ 2.8 |
|
|
|
(注) 1 |
主要な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、主要な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しています。 |
|
|
2 |
上記の金額には、消費税等は含まれていません。 |
|
|
3 |
「自動車事業」における「車両」の数量は、車両 (新車) 販売台数を示しています。 |
|
|
4 |
金額は外部顧客への売上高を示しています。 |
前述の当連結会計年度における「自動車事業」の販売数量を、仕向先別に示すと、次のとおりです。
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事業別セグメントの名称 |
当連結会計年度 (2017年3月31日に 終了した1年間) |
前期比(%) |
|
|
自動車事業 |
日本 |
2,273,962 台 |
+ 10.4 |
|
北米 |
2,837,334 |
△ 0.1 |
|
|
欧州 |
924,560 |
+ 9.5 |
|
|
アジア |
1,587,822 |
+ 18.1 |
|
|
その他 |
1,347,182 |
△ 15.5 |
|
|
計 |
8,970,860 |
+ 3.3 |
|
|
|
(注) 1 |
上記仕向先別販売数量は、車両 (新車) 販売台数を示しています。 |
|
|
2 |
「自動車事業」における「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中近東ほかからなります。 |
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2017年3月31日現在において判断したものです。
トヨタは経営の基本方針を「トヨタ基本理念」として掲げており、その実現に向けた努力が、企業価値の増大につながるものと考えています。その内容は次のとおりです。
1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
2. 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
3. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
6. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
今後の経営環境としては、先進国では着実な成長が続き、新興国についてもその好影響の波及や各国の政策効果によって、緩やかに成長率が高まっていくことが期待されます。日本経済は、雇用・所得環境が引き続き改善し、経済の好循環が進展する中で、民需を中心とした景気回復が見込まれますが、米国や英国などの政策動向に関する不確実性に留意する必要があります。
自動車市場については、先進国では安定推移が見込まれ、新興国では緩やかながらも持ち直しが期待されます。一方で、市場の変化や各種規制、技術の進化、異業種参入などが複雑に絡み合い、自動車事業そのものが大きな変革の時期を迎えています。
このような厳しい経営環境の中、トヨタは、以下の方針をかかげ、持続的成長を通じてトヨタグローバルビジョンを実現していきます。
第一に、「未来」を切り拓くため、勇気をもって新たな取り組みに挑戦していきます。電動化・情報化・知能化、新価値創造への戦略的シフトで、未来のモビリティ社会の構築を目指します。また、クルマの環境負荷をゼロに近づけるとともに、地球・社会にプラスとなる取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
第二に、木が年輪を重ねるように着実に成長するため、「仕事の進め方改革」を実行していきます。「強い志」と「謙虚な学び」で従来の延長線上から決別し、「もっといいクルマづくり」を加速させていきます。また、生き残りをかけて、激変する社会への感度を高め、危機への的確な対応による競争力獲得・維持に取り組んでいきます。
第三に、トヨタを支え続ける基盤固めに取り組んでいきます。お客様第一の徹底で、仕事の基本を守った全員参加の品質づくりを実践していきます。
このような取り組みにより、トヨタは、「もっといいクルマ」をお届けすることを通じて「いい町・いい社会」づくりに貢献し、結果として多くのお客様にクルマをお求めいただき、安定した経営基盤を構築していきます。このような循環を続けることによって、持続的成長を実現し、企業価値の向上に努めていきます。また、法令遵守をはじめとした企業行動倫理の徹底など、企業の社会的責任を果たしていきます。
以下において、トヨタの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。ただし、以下はトヨタに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日 (2017年6月23日) 現在において判断したものです。
世界の自動車市場では激しい競争が繰り広げられています。トヨタは、ビジネスを展開している各々の地域で、自動車メーカーとの競争に直面しています。世界経済は徐々に回復しつつありますが、自動車市場における競争はさらに激化しており、厳しい状況が続いています。また、世界の自動車産業のグローバル化がさらに進むことによって、競争は今後より一層激化する可能性があり、業界再編につながる可能性もあります。競争に影響を与える要因としては、製品の品質・機能、安全性、信頼性、燃費、革新性、開発に要する期間、価格、カスタマー・サービス、自動車金融の利用条件等の点が挙げられます。競争力を維持することは、トヨタの既存および新規市場における今後の成功、販売シェアにおいて最も重要です。トヨタは、昨今の自動車市場の急激な変化に的確に対応し、今後も競争力の維持強化に向けた様々な取り組みを進めていきますが、将来優位に競争することができないリスクがあります。競争が激化した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
トヨタが参入している各市場では、今までも需要が変動してきました。各市場の状況によって、自動車の販売は左右されます。トヨタの販売は、世界各国の市場に依存しており、各市場の景気動向はトヨタにとって特に重要です。当連結会計年度においては、世界経済については、米国において雇用・所得環境の改善などを背景とした個人消費の増加に支えられ景気回復が続き、欧州では緩やかな回復が続く一方、新興国の一部で弱さがみられました。日本経済については、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続きました。自動車業界においては、市場は先進国で安定的に推移し、中国で減税効果により拡大した一方、資源国で落ち込みがみられました。このような需要の変化は現在でも続いており、この状況が今後どのように推移するかは不透明です。今後トヨタの想定を超えて需要の変化が継続または悪化した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。また、需要は、販売・金融インセンティブ、原材料・部品等の価格、燃料価格、政府の規制 (関税、輸入規制、その他の租税を含む) など、自動車の価格および自動車の購入・維持費用に直接関わる要因により、影響を受ける場合があります。需要が変動した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
③お客様のニーズに速やかに対応した、革新的で価格競争力のある新商品を投入する能力
製品の開発期間を短縮し、魅力あふれる新型車でお客様にご満足いただくことは、自動車メーカーにとっては成功のカギとなります。特に、品質、安全性、信頼性において、お客様にご満足いただくことは非常に重要です。世界経済の変化に伴い、自動車市場の構造が急激に変化している現在、お客様の価値観とニーズの急速な変化に対応した新型車を適時・適切にかつ魅力ある価格で投入することは、トヨタの成功にとってこれまで以上に重要であり、技術・商品開発から生産にいたる、トヨタの事業の様々なプロセスにおいて、そのための取り組みを進めています。しかし、トヨタが、品質、安全性、信頼性、スタイルその他の性能に関するお客様の価値観とニーズを適時・適切にかつ十分にとらえることができない可能性があります。また、トヨタがお客様の価値観とニーズをとらえることができたとしても、その有する技術、知的財産、原材料や部品の調達、原価低減能力を含む製造能力またはその他生産性に関する状況により、価格競争力のある新製品を適時・適切に開発・製造できない可能性があります。また、トヨタが計画どおりに設備投資を実施し、製造能力を維持・向上できない可能性もあります。お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに売上高と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
④効果的な販売・流通を実施する能力
トヨタの自動車販売の成功は、お客様のご要望を満たす流通網と販売手法に基づき効果的な販売・流通を実施する能力に依存します。トヨタはその参入している各主要市場の規制環境において、お客様の価値観または変化に効果的に対応した流通網と販売手法を展開していますが、それができない場合は、売上高および販売シェアが減少するリスクがあります。
⑤ブランド・イメージの維持・発展
競争の激しい自動車業界において、ブランド・イメージを維持し発展させることは非常に重要です。ブランド・イメージを維持し発展させるためには、お客様の価値観やニーズに対応した安全で高品質の製品を提供することで、お客様の信頼をさらに高めていくことが重要です。トヨタが、安全で高品質の製品を提供することができない、または、リコール等の市場処置が必要であるにもかかわらず迅速な対応がなされないなどの結果、トヨタのブランド・イメージを効果的に維持し発展させることができなかった場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、その結果、売上高と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
⑥仕入先への部品供給の依存
トヨタは、部品や原材料などの調達部品を世界中の複数の競合する仕入先から調達する方針を取っていますが、調達部品によっては他の仕入先への代替が難しいものもあり、特定の仕入先に依存しているものがあります。また、その調達部品が様々な車種に共通して使用される場合、当該部品の調達がより困難となり、生産面への影響を受ける可能性があります。さらに、トヨタが直接の取引先である一次仕入先を分散していたとしても、一次仕入先が部品調達を二次以降の特定の仕入先に依存していた場合、同様に部品の供給を受けられないリスクもあります。トヨタが調達部品を継続的にタイムリーかつ低コストで調達できるかどうかは、多くの要因の影響を受けますが、それら要因にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。それらの要因の中には、仕入先が継続的に調達部品を調達し供給できるか、またトヨタが、仕入先から調達部品を競争力のある価格で供給を受けられるか等が含まれます。特定の仕入先を失う、またはそれら仕入先から調達部品をタイムリーもしくは低コストで調達出来ない場合、トヨタの生産に遅延や休止またはコストの増加を引き起こす可能性があり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶ可能性があります。
⑦金融サービスにおける競争の激化
世界の金融サービス業界では激しい競争が繰り広げられています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があります。この他トヨタの金融事業に影響を与える要因には、トヨタ車の販売台数の減少、中古車の価格低下による残存価値リスクの増加、貸倒率の増加および資金調達費用の増加が挙げられます。
⑧デジタル情報技術への依存
トヨタは、機密データを含む電子情報を処理・送信・蓄積するため、または製造・研究開発・サプライチェーン管理・販売・会計を含む様々なビジネスプロセスや活動を管理・サポートするために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しています。さらに、トヨタの製品にも情報サービス機能や運転支援機能など様々なデジタル情報技術が利用されています。これらのデジタル情報技術ネットワークやシステムは、安全対策が施されているものの、ハッカーやコンピュータウィルスによる攻撃、トヨタが利用するネットワークおよびシステムにアクセスできる者による不正使用・誤用、開発ベンダー・クラウド業者など関係取引先からのサービスの停止、電力供給不足を含むインフラの障害、天災などによって被害や妨害を受ける、または停止する可能性があります。このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、機密データの漏洩、トヨタ製品の情報サービス機能・運転支援機能などへの悪影響のほか、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払い義務などが発生する可能性もあります。その結果、トヨタのブランド・イメージや、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。
①為替および金利変動の影響
トヨタの収益は、外国為替相場の変動に影響を受け、主として日本円、米ドル、ユーロ、ならびに豪ドル、ロシア・ルーブル、加ドルおよび英国ポンドの価格変動によって影響を受けます。トヨタの連結財務諸表は、日本円で表示されているため、換算リスクという形で為替変動の影響を受けます。また、為替相場の変動は、外国通貨で販売する製品および調達する材料に、取引リスクという形で影響を与える可能性があります。特に、米ドルに対する円高の進行は、トヨタの経営成績に悪影響を与える可能性があります。
トヨタは、為替相場および金利の変動リスクを軽減するために、現地生産を行い、先物為替予約取引や金利スワップ取引を含むデリバティブ金融商品を利用していますが、依然として為替相場と金利の変動は、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。為替変動の影響およびデリバティブ金融商品の利用に関しては、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 概観 ④為替の変動」および連結財務諸表注記22を参照ください。
②原材料価格の上昇
鉄鋼、貴金属、非鉄金属 (アルミ等) 、樹脂関連部品など、トヨタおよびトヨタの仕入先が製造に使用する原材料価格の上昇は、部品代や製造コストの上昇につながり、これらのコストを製品の販売価格に十分に転嫁できない、あるいは仕入先がこれらのコストを十分に吸収できない結果、トヨタの将来の収益性に悪影響を与える可能性があります。
③金融市場の低迷
世界経済が急激に悪化した場合、多くの金融機関や投資家は、自らの財務体力に見合った水準で金融市場に資金を供給することが難しい状況に陥る可能性があります。その結果、企業がその信用力に見合った条件で資金調達をすることが困難になる可能性があります。必要に応じて資金を適切な条件で調達できない場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。
①自動車産業に適用される政府の規制
世界の自動車産業は、自動車の安全性や排ガス、燃費、騒音、公害をはじめとする環境問題などに関する様々な法律と政府の規制の適用を受けています。特に、安全面では、法律や政府の規制に適合しない、またはその恐れのある自動車は、リコール等の市場処置の実施が求められます。さらに、トヨタはお客様の安心感の観点から、法律や政府の規制への適合性に関わらず、自主的にリコール等の市場処置を実施する可能性もあります。また、多くの政府は、価格管理規制や為替管理規制を制定しています。トヨタは、これらの規制に適合するために費用を負担し、今後も法令遵守のために費用が発生する可能性があります。さらに、トヨタが市場に投入した車両にリコール等の市場処置が必要となった場合、製品のリコールや無償のサービスキャンペーンに係る費用を含めた様々な費用が発生する可能性があります。また、新しい法律または現行法の改正により、トヨタの今後の費用負担が増えるリスクがあります。このように、市場処置を講じたり法律や政府の規制へ適合するために多額の費用が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
②法的手続
トヨタは、製造物責任、知的所有権の侵害等、様々な法的手続の当事者となる可能性があります。また、株主との間で法的手続の当事者となったり、行政手続または当局の調査の対象となる可能性もあります。現在トヨタは、行政手続および当局の調査を含む、複数の係属中の法的手続の当事者となっています。トヨタが当事者となる法的手続で不利な判断がなされた場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。政府の規制等の法的手続の状況については連結財務諸表注記25を参照ください。
③自然災害、政治動乱、経済の不安定な局面、燃料供給の不足、インフラの障害、戦争、テロまたはストライキの発生
トヨタは、全世界で事業を展開することに関連して、様々なイベントリスクにさらされています。これらのリスクとは、自然災害、政治・経済の不安定な局面、燃料供給の不足、天災などによる電力・交通機能・ガス・水道・通信等のインフラの障害、戦争、テロ、ストライキ、操業の中断などが挙げられます。トヨタが製品を製造するための材料・部品・資材などを調達し、またはトヨタの製品が製造・流通・販売される主な市場において、これらの事態が生じた場合、トヨタの事業運営に障害または遅延をきたす可能性があります。トヨタの事業運営において、重大または長期間の障害ならびに遅延が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。
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2002年1月 |
チェコ共和国において小型乗用車を共同生産するため、プジョー シトロエン オートモービルズ SAとの間で合弁契約を締結 (当該契約に基づき、2002年3月トヨタ プジョー シトロエン オートモービル チェコ㈲を設立) |
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2002年8月 |
中国第一汽車集団公司と、中国における自動車の共同事業に関する基本合意書を締結 |
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2004年6月 |
中国において乗用車を生産・販売するため、広州汽車集団股份有限公司との間で合弁契約を締結 (当該契約に基づき、2004年9月広汽トヨタ自動車㈲を設立) |
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2006年3月 |
富士重工業㈱ (現在の㈱SUBARU) と業務提携 |
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2016年5月 |
富士重工業㈱ (現在の㈱SUBARU) の北米生産拠点であるスバル オブ インディアナ オ |
当社は、「クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む」、「様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する」の基本理念のもと、多様化・高度化する市場ニーズを的確にとらえた、高品質・低コストのより魅力ある商品を提供するため、積極的な研究開発活動を行っています。
トヨタの研究開発は、日本においては、当社を中心に、ダイハツ工業㈱、日野自動車㈱、トヨタ車体㈱、トヨタ自動車東日本㈱、㈱豊田中央研究所などの関係各社との密接な連携のもとで推進されています。
さらに、海外各地域のお客様のニーズに的確にお応えしたクルマづくりのために、グローバルな開発体制を構築しています。主な拠点として、北米地域にトヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ㈱のテクニカルセンター、キャルティ デザイン リサーチ㈱、欧州地域にトヨタ モーター ヨーロッパ㈱のテクニカルセンター、トヨタ ヨーロッパ デザイン ディベロップメント㈲、アジア地域にトヨタ ダイハツ エンジニアリング アンド マニュファクチャリング㈱のテクニカルセンター、トヨタ自動車研究開発センター (中国) ㈲、一汽トヨタ技術開発㈲、広汽トヨタ自動車㈲研究開発センターがあります。
当連結会計年度におけるトヨタの研究開発費は1,037,528百万円です。
当連結会計年度における事業別セグメントごとの活動状況および研究開発費は次のとおりです。
トヨタは、走りの楽しさや快適性などクルマがもたらす様々な恩恵による人々の心の豊かさの向上と、環境負荷や交通事故等のクルマのネガティブな面の最小化を、同時に高いレベルで実現していくことを商品・技術開発のビジョンとして掲げています。
当連結会計年度には、クルマづくりの構造改革であるTNGA (トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー) の第2弾モデルとしてデザインと走りに徹底的にこだわった「C-HR」や、ミニバンの魅力をコンパクトカーに凝縮した「ルーミー」ならびに「タンク」を新たに発売しました。また、「プリウスPHV」をフルモデルチェンジし、充電電力使用時の走行距離の大幅な拡大や力強くスムーズな走りを実現しました。さらに、優れた安全性と快適な室内空間を取り入れ、24年ぶりに「コースター」を一新しました。レクサスブランドでは、新開発のプラットフォームによって、より鋭く、より優雅な走りと独創的なデザインを実現したラグジュアリークーペ「LC」を新発売しました。このような取り組みに加えて、パーソナルモビリティ「TOYOTA i-ROAD」の実用化を目指した実証実験など、より便利で安心な移動をお客様に提供するべく、新たなモビリティ社会の創造に向けた取り組みを進めています。
安全技術の開発については、モビリティ社会の究極の願いである「交通事故死傷者ゼロ」を目指し、「統合安全コンセプト」の考えのもと、衝突回避支援や車線逸脱防止支援、夜間の視界支援などの複数の安全機能をパッケージ化した「Toyota Safety Sense (トヨタ・セーフティ・センス) 」の普及を目指し、国内23車種に搭載しました。また、道路とクルマ、あるいはクルマ同士での通信を活用した協調型安全システム「ITS Connect (アイティーエス・コネクト) 」を国内4車種に採用しました。
自動運転技術の開発については、自動運転技術を支える「運転知能」、「つながる」、「人とクルマの協調」の3つの知能化技術開発を推進し、一般道での自動運転をめざす新型自動運転実験車「Urban Teammate (アーバン・チームメイト) 」を、昨年5月に伊勢志摩サミットに提供しました。
環境技術の開発については、「エコカーは普及してこそ環境への貢献」との考えのもと、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車の普及に取り組んでいます。ハイブリッド車に次ぐ「次世代環境車の柱」として位置づけて発売したプラグインハイブリッド車である新型「プリウスPHV」は、「プリウス」の特長である環境性能を大幅に進化させたほか、電気自動車 (EV) らしい力強くスムーズな走りを実現するとともに、未来感あふれる先進装備に加えて充電の利便性も向上させました。具体的には、大容量リチウムイオン電池の搭載により、EV走行距離を68.2kmに拡大し、EV走行最高速度も135km/hと向上させました。さらに従来の駆動用モーターに加え、発電用モーター (ジェネレーター) も駆動に使う「デュアルモータードライブシステム」を採用し、力強い加速を実現しました。量産車では世界初となる「ソーラー充電システム」を採用することで、太陽光の自然エネルギーを、駐車中は駆動用バッテリーに供給し、最大約6.1km/日 (平均で約2.9km/日) の走行分の電力量を充電可能にしました。また、クルマづくりの構造改革であるTNGAにより、新型直列4気筒2.5L直噴エンジン、新型8速・10速オートマチックトランスミッション、新型ハイブリッドシステム「マルチステージTHSⅡ」を開発し、優れた走行性能と高い環境性能の両立を追求しました。これらの新型パワートレーンは、2017年以降、搭載車種を拡大させます。また、水素を将来の有力なエネルギーと位置づけ、燃料電池バスの販売や燃料電池フォークリフトの工場への導入や、オーストラリアとカナダへの「MIRAI」の試験的な導入、アラブ首長国連邦での水素社会実現へ向けた共同研究への参画など、水素社会の実現に向けた取り組みを着実に進めています。
当事業に係る研究開発費は1,014,110百万円です。
基礎研究分野においては、㈱豊田中央研究所を中心として、エネルギー・環境、機械、情報・通信、材料などの幅広い分野における研究活動に取り組んでいます。
住宅事業については、トヨタホーム㈱が中心となり市場ニーズに対応した新商品および技術の開発に取り組んでいます。当連結会計年度には、「エスパシオ・ウィズメゾン」を新商品として投入しました。
その他の事業に係る研究開発費は23,418百万円です。