1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」 (2019年1月31日内閣府令第3号) による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(30)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しています。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2019年3月31日現在において判断したものです。
トヨタは経営の基本方針を「トヨタ基本理念」として掲げており、その実現に向けた努力が、企業価値の増大につながるものと考えています。その内容は次のとおりです。
1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
2. 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
3. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
6. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
今後の自動車市場は、短期的な循環局面はあるものの、中期的には、新興国を中心とした自動車普及進展もあり、緩やかな拡大に戻ると期待されます。一方で、環境問題など社会課題への対応や、電動化、自動運転、コネクティッド、シェアリングなどの技術革新の急速な進行などにより、自動車産業は100年に一度の大変革の時代を迎えています。
このような経営環境の中、トヨタは、これまで培ってきた車両品質や販売・サービスネットワークのリアルの世界と、技術革新に対応するバーチャルの世界の総合力で、人々の移動に関わるあらゆるサービスを提供する「モビリティカンパニー」にモデルチェンジしていきます。その実現に向け、新たな価値を創造する「未来への挑戦」と、1年1年着実に真の競争力を強化する「年輪的成長」を方針に掲げ、次の分野の取り組みを加速させていきます。
①電動化
環境問題への対応には、クルマの電動化の推進が必要不可欠です。トヨタは、「エコカーは普及してこそ環境への貢献」との考えのもと、国や地域ごとのエネルギーやインフラ整備の状況、さらにはエコカーの特徴に応じて、お客様の用途に合わせた最適なクルマを提供することを目指しています。
電動車の主力であるハイブリッド車は、従来のトヨタハイブリッドシステムを燃費、コスト、走りの面でさらに磨きをかけるだけでなく、加速性能を高めたスポーツ型など、様々なタイプを開発していきます。また、多くのステークホルダーと思いを共有し、協調して電動車の普及に取り組むため、ハイブリッド車開発で培った車両電動化関連の技術について、特許実施権の無償提供などを決定しました。電気自動車は、2020年以降、中国を皮切りに導入を加速し、2020年代前半には全世界で10車種以上に拡大していきます。燃料電池車は、2020年代に乗用車・商用車の商品ラインアップを拡充するとともに、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) など幅広いステークホルダーとの連携により、燃料電池技術を様々な分野に展開していきます。さらに、電動車普及のキーファクターである車載用電池では、競争力のある電池の実現に向けた取り組みを強化・加速させるため、パナソニック㈱と合弁会社の設立に合意しました。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、「2030年に電動車販売550万台以上」というチャレンジ目標を掲げ、今後も技術開発を加速させていきます。
②自動運転
トヨタは、交通事故死傷者ゼロを目指し、1990年代から自動運転技術の研究開発に取り組んできました。その開発理念、「Mobility Teammate Concept (モビリティ・チームメイト・コンセプト) 」は、人とクルマが見守り、助け合う、気持ちが通った仲間のような関係を築くというものです。
自動運転に必要不可欠な人工知能技術の研究・開発を行うトヨタ・リサーチ・インスティテュート㈱では、一昨年設立したファンドと共に、ベンチャー企業支援に関するグローバルプログラムを立ち上げました。加えて、自動運転開発用のテスト施設を米国ミシガン州に開設し、新型の自動運転実験車「TRI-P4」を公表するなど、自動運転システム開発の加速に取り組んでいます。さらに、トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント㈱が本格稼働し、実用化に向けたソフトウェアの先行開発を開始しました。また、自動運転技術の研究成果を広くお客様に利用いただくため、予防安全技術パッケージの導入を進めており、昨年には、全世界での累計出荷台数1,000万台を突破しました。
すべての人に、安全、便利かつ楽しいモビリティを提供することを究極の目標に、自動運転技術の開発・普及に取り組んでいきます。
③MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス)
トヨタは、お客様に様々なモビリティの選択肢を提供できるよう、MaaSビジネスを推進しています。
Grab Holdings Inc.とモビリティサービス領域での協業深化に合意し、当社が開発した配車サービス車両向けトータルケアサービスの提供を開始しました。また、Uber Technologies, Inc.と自動運転技術を活用したライドシェアサービスの開発促進に向けた協業拡大に合意しました。さらに、ソフトバンク㈱と新しいモビリティサービスの構築に向けて戦略的提携に合意し、共同出資会社MONET Technologies㈱を設立しました。
また、クルマが所有から利活用にシフトしていく中で、お客様にもっと気楽に楽しくクルマとお付き合いいただくため、愛車サブスクリプションサービス「KINTO」を開始しました。車両代のほか、税金、保険、メンテナンスなどの手続をパッケージ化した月額定額サービスを提供することにより、人とクルマの新しい関係を提案していきます。
さらに、日本国内では、販売店と共にお客様の求めるあらゆるニーズに対応するため、トヨタブランド全販売店での全車種併売化をはじめとする販売ネットワークの変革に取り組んでいます。その上で、それぞれの地域に根差した、新しいモビリティサービスの開発・提供を行うことにより、「地域に欠かせない存在」を目指していきます。
④仲間づくり
トヨタの「仲間づくり戦略」は、3つの柱からなります。
第1の柱は、同じルーツを持つグループ内での連携強化です。「ホーム&アウェイ」の視点で、グループ内の事業を見直し、より競争力のある「ホーム」の会社に集約する。あるいは、各社の強みを出し合って、新たな「ホーム」をつくる。そして、競争力のある製品を、グループ以外の会社も含めて、積極的に販売していくことによって、仲間を増やし、「デファクトスタンダード」にしていくことが重要と考えています。この考えに基づき、当社と㈱デンソー両社の主要な電子部品事業を㈱デンソーへ、当社のアフリカ市場における営業業務を豊田通商㈱へ、そして、当社のバン事業をトヨタ車体㈱へ、それぞれ集約を進めています。
第2の柱は、他の自動車メーカーとのアライアンス強化です。これは、資本による規模の拡大が目的ではなく、開発、生産技術、販売網など、お互いの強みをリスペクトし、「もっといいクルマ」づくりに向けた競争力強化を目的としています。本年3月にはスズキ㈱と、当社グループが持つ強みである電動化技術とスズキ㈱が持つ強みである小型車技術を持ち寄り、生産領域での協業や電動車の普及など、新たなフィールドで共にチャレンジしていくことに合意しました。
第3の柱は、モビリティサービスを提供する新しい仲間とのアライアンスの強化です。コネクティッドカーの情報基盤である「モビリティサービス・プラットフォーム」を介してソフトバンク㈱やGrab Holdings Inc.、Uber Technologies, Inc.といったあらゆるサービス事業者とオープンに連携し、新たなモビリティサービスの創出を目指していきます。
⑤原価低減・TPS (トヨタ生産方式)
当社は、真の競争力向上に向け、先人たちが強みとして受け継いできた当社のDNAである「原価低減」と「TPS」を徹底的に磨くことに取り組んでいます。
当社における「原価低減」とは、単純に予算やコストを一律でカットするのではなく、リアルな図面、現物、ものづくりの現場を現地現物で確認し、徹底的にムダを取り、仕事のやり方を変えて生産性を向上することによって、原価を造りこむことです。役員・従業員全員参加で知恵を出し、ものづくりのすべてのプロセスで発生する出金、ムダの低減にベターベターの精神で情熱を持って取り組むことにより、未来を生き抜くために必要な人材の育成、そして、企業体質の強化につなげていきます。
また、「TPS」を生産分野だけでなく事務・技術職場にも浸透させ、全社を挙げた意識改革や改善活動に取り組んでいます。例えば、経理部門では昨年1月に新設したTPS本部と一体となって決算業務の見直しを行い、ムダの洗い出しや改善を進めています。このような取り組みを各部門で地道に続け、さらに好事例については全社的に共有することにより、「TPS」の全社的な実践につなげていきます。
⑥人事制度
当社は、これらの取り組みを支える「人材育成」や「仕事の進め方改革」を一層促進するために、役員体制の見直しおよび組織再編を継続的に行ってきました。今、自動車産業においては、異業種の参入や急速な技術革新により、これまでにないスピードと規模で構造変革が起きています。
そうした中で、本年1月には、従来の専務役員以上を役員に、常務役員、常務理事、基幹職などを幹部職に統合し、階層を減らしました。若手、ベテランに関わらず、幅広いポストに適材適所で配置することで、即断、即決、即実行でその時々の経営課題に対応するとともに、現場に根ざした「専門性」と「人間力」を兼ね備えた「プロ人材」の育成を強化していきます。
このような取り組みを進めるため、トヨタは、「モノづくりを通じて社会に貢献する」という創業の理念を受け継ぎ、品質・安全を最優先に、役員・従業員一同が心を合わせ、謙虚・感謝の気持ちと情熱を持って歩んでまいります。
「企業内容と等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(2019年1月31日内閣府令第3号) による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(31)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しています 。
以下において、トヨタの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。ただし、以下はトヨタに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日 (2019年6月21日) 現在において判断したものです。
世界の自動車市場では激しい競争が繰り広げられています。トヨタは、ビジネスを展開している各々の地域で、自動車メーカーとの競争に直面しています。世界経済は徐々に回復しつつありますが、自動車市場における競争はさらに激化しており、厳しい状況が続いています。また、世界の自動車産業のグローバル化がさらに進むことによって、競争は今後より一層激化する可能性があり、業界再編につながる可能性もあります。競争に影響を与える要因としては、製品の品質・機能、安全性、信頼性、燃費、革新性、開発に要する期間、価格、カスタマー・サービス、自動車金融の利用条件等の点が挙げられます。競争力を維持することは、トヨタの既存および新規市場における今後の成功、販売シェアにおいて最も重要です。トヨタは、昨今の自動車市場の急激な変化に的確に対応し、今後も競争力の維持強化に向けた様々な取り組みを進めていきますが、将来優位に競争することができないリスクがあります。競争が激化した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
トヨタが参入している各市場では、今までも需要が変動してきました。各市場の状況によって、自動車の販売は左右されます。トヨタの販売は、世界各国の市場に依存しており、各市場の景気動向はトヨタにとって特に重要です。当連結会計年度においては、世界経済は、一部に弱さがみられたものの、全体としては緩やかな回復が続きました。日本経済は、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続きました。自動車市場は、先進国では安定的に推移したものの、拡大を続けてきた中国や一部の資源国で落ち込みがみられました。このような需要の変化は現在でも続いており、この状況が今後どのように推移するかは不透明です。今後トヨタの想定を超えて需要の変化が継続または悪化した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。また、需要は、販売・金融インセンティブ、原材料・部品等の価格、燃料価格、政府の規制 (関税、輸入規制、その他の租税を含む) など、自動車の価格および自動車の購入・維持費用に直接関わる要因により、影響を受ける場合があります。需要が変動した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
③お客様のニーズに速やかに対応した、革新的で価格競争力のある新商品を投入する能力
製品の開発期間を短縮し、魅力あふれる新型車でお客様にご満足いただくことは、自動車メーカーにとっては成功のカギとなります。特に、品質、安全性、信頼性において、お客様にご満足いただくことは非常に重要です。世界経済の変化に伴い、自動車市場の構造が急激に変化している現在、お客様の価値観とニーズの急速な変化に対応した新型車を適時・適切にかつ魅力ある価格で投入することは、トヨタの成功にとってこれまで以上に重要であり、技術・商品開発から生産にいたる、トヨタの事業の様々なプロセスにおいて、そのための取り組みを進めています。しかし、トヨタが、品質、安全性、信頼性、スタイルその他の性能に関するお客様の価値観とニーズを適時・適切にかつ十分にとらえることができない可能性があります。また、トヨタがお客様の価値観とニーズをとらえることができたとしても、その有する技術、知的財産、原材料や部品の調達、原価低減能力を含む製造能力またはその他生産性に関する状況により、価格競争力のある新製品を適時・適切に開発・製造できない可能性があります。また、トヨタが計画どおりに設備投資を実施し、製造能力を維持・向上できない可能性もあります。お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに売上高と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
④効果的な販売・流通を実施する能力
トヨタの自動車販売の成功は、お客様のご要望を満たす流通網と販売手法に基づき効果的な販売・流通を実施する能力に依存します。トヨタはその参入している各主要市場の規制環境において、お客様の価値観または変化に効果的に対応した流通網と販売手法を展開していますが、それができない場合は、売上高および販売シェアが減少するリスクがあります。
⑤ブランド・イメージの維持・発展
競争の激しい自動車業界において、ブランド・イメージを維持し発展させることは非常に重要です。ブランド・イメージを維持し発展させるためには、お客様の価値観やニーズに対応した安全で高品質の製品を提供することで、お客様の信頼をさらに高めていくことが重要です。トヨタが、安全で高品質の製品を提供することができない、または、リコール等の市場処置が必要であるにもかかわらず迅速な対応がなされないなどの結果、トヨタのブランド・イメージを効果的に維持し発展させることができなかった場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、その結果、売上高と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
⑥仕入先への部品供給の依存
トヨタは、部品や原材料などの調達部品を世界中の複数の競合する仕入先から調達する方針を取っていますが、調達部品によっては他の仕入先への代替が難しいものもあり、特定の仕入先に依存しているものがあります。また、その調達部品が様々な車種に共通して使用される場合、当該部品の調達がより困難となり、生産面への影響を受ける可能性があります。さらに、トヨタが直接の取引先である一次仕入先を分散していたとしても、一次仕入先が部品調達を二次以降の特定の仕入先に依存していた場合、同様に部品の供給を受けられないリスクもあります。トヨタが調達部品を継続的にタイムリーかつ低コストで調達できるかどうかは、多くの要因の影響を受けますが、それら要因にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。それらの要因の中には、仕入先が継続的に調達部品を調達し供給できるか、またトヨタが、仕入先から調達部品を競争力のある価格で供給を受けられるか等が含まれます。特定の仕入先を失う、またはそれら仕入先から調達部品をタイムリーもしくは低コストで調達出来ない場合、トヨタの生産に遅延や休止またはコストの増加を引き起こす可能性があり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶ可能性があります。
⑦金融サービスにおける競争の激化
世界の金融サービス業界では激しい競争が繰り広げられています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があります。この他トヨタの金融事業に影響を与える要因には、トヨタ車の販売台数の減少、中古車の価格低下による残存価値リスクの増加、貸倒率の増加および資金調達費用の増加が挙げられます。
⑧デジタル情報技術への依存
トヨタは、機密データを含む電子情報を処理・送信・蓄積するため、または製造・研究開発・サプライチェーン管理・販売・会計を含む様々なビジネスプロセスや活動を管理・サポートするために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しています。さらに、トヨタの製品にも情報サービス機能や運転支援機能など様々なデジタル情報技術が利用されています。これらのデジタル情報技術ネットワークやシステムは、安全対策が施されているものの、ハッカーによる不正アクセスやコンピュータウィルスによる攻撃、トヨタが利用するネットワークおよびシステムにアクセスできる者による不正使用・誤用、開発ベンダー・クラウド業者など関係取引先からのサービスの停止、電力供給不足を含むインフラの障害、天災などによって被害や妨害を受ける、または停止する可能性があります。特にサイバー攻撃や他の不正行為は苛烈さ、巧妙さ、頻度において脅威を増しており、そのような攻撃の標的にされる恐れがあります。このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、機密データの漏洩、トヨタ製品の情報サービス機能・運転支援機能などへの悪影響のほか、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払い義務などが発生する可能性もあります。その結果、トヨタのブランド・イメージや、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。
①為替および金利変動の影響
トヨタの収益は、外国為替相場の変動に影響を受け、主として日本円、米ドル、ユーロ、ならびに豪ドル、ロシア・ルーブル、加ドルおよび英国ポンドの価格変動によって影響を受けます。トヨタの連結財務諸表は、日本円で表示されているため、換算リスクという形で為替変動の影響を受けます。また、為替相場の変動は、外国通貨で販売する製品および調達する材料に、取引リスクという形で影響を与える可能性があります。特に、米ドルに対する円高の進行は、トヨタの経営成績に悪影響を与える可能性があります。
トヨタは、為替相場および金利の変動リスクを軽減するために、現地生産を行い、先物為替予約取引や金利スワップ取引を含むデリバティブ金融商品を利用していますが、依然として為替相場と金利の変動は、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。為替変動の影響およびデリバティブ金融商品の利用に関しては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①概観 d.為替の変動」および連結財務諸表注記22を参照ください。
②原材料価格の上昇
鉄鋼、貴金属、非鉄金属 (アルミ等) 、樹脂関連部品など、トヨタおよびトヨタの仕入先が製造に使用する原材料価格の上昇は、部品代や製造コストの上昇につながり、これらのコストを製品の販売価格に十分に転嫁できない、あるいは仕入先がこれらのコストを十分に吸収できない結果、トヨタの将来の収益性に悪影響を与える可能性があります。
③金融市場の低迷
世界経済が急激に悪化した場合、多くの金融機関や投資家は、自らの財務体力に見合った水準で金融市場に資金を供給することが難しい状況に陥る可能性があります。その結果、企業がその信用力に見合った条件で資金調達をすることが困難になる可能性があります。必要に応じて資金を適切な条件で調達できない場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。
①自動車産業に適用される政府の規制
世界の自動車産業は、自動車の安全性や排ガス、燃費、騒音、公害をはじめとする環境問題などに関する様々な法律と政府の規制の適用を受けています。特に、安全面では、法律や政府の規制に適合しない、またはその恐れのある自動車は、リコール等の市場処置の実施が求められます。さらに、トヨタはお客様の安心感の観点から、法律や政府の規制への適合性に関わらず、自主的にリコール等の市場処置を実施する可能性もあります。トヨタが市場に投入した車両にリコール等の市場処置が必要となった場合、製品のリコールや無償のサービスキャンペーンに係る費用を含めた様々な費用が発生する可能性があります。また、多くの政府は、価格管理規制や為替管理規制を制定しています。トヨタは、国際貿易の動向や政策の変化に関する費用を含むこれらの規制に適合するために費用を負担し、今後も法令遵守のために費用が発生する可能性があります。また、新しい法律または現行法の改正により、トヨタの今後の費用負担が増えるリスクがあります。このように、市場処置を講じたり法律や政府の規制へ適合するために多額の費用が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
②法的手続
トヨタは、製造物責任、知的所有権の侵害等、様々な法的手続の当事者となる可能性があります。また、株主との間で法的手続の当事者となったり、行政手続または当局の調査の対象となる可能性もあります。現在トヨタは、行政手続および当局の調査を含む、複数の係属中の法的手続の当事者となっています。トヨタが当事者となる法的手続で不利な判断がなされた場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。政府の規制等の法的手続の状況については連結財務諸表注記25を参照ください。
③自然災害、政治動乱、経済の不安定な局面、燃料供給の不足、インフラの障害、戦争、テロまたはストライキの発生
トヨタは、全世界で事業を展開することに関連して、様々なイベントリスクにさらされています。これらのリスクとは、自然災害、政治・経済の不安定な局面、燃料供給の不足、天災などによる電力・交通機能・ガス・水道・通信等のインフラの障害、戦争、テロ、ストライキ、操業の中断などが挙げられます。トヨタが製品を製造するための材料・部品・資材などを調達し、またはトヨタの製品が製造・流通・販売される主な市場において、これらの事態が生じた場合、トヨタの事業運営に障害または遅延をきたす可能性があります。トヨタの事業運営において、重大または長期間の障害ならびに遅延が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」 (2019年1月31日内閣府令第3号) による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(32)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しています。
①経営成績の状況
当連結会計年度の経済状況を概観しますと、世界経済は、一部に弱さがみられたものの、全体としては緩やかな回復が続きました。日本経済は、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続きました。
自動車市場は、先進国では安定的に推移したものの、拡大を続けてきた中国や一部の資源国で落ち込みがみられました。
このような経営環境の中、トヨタは、お客様の期待を超える「もっといいクルマ」づくりに取り組んできました。トヨタのグローバルコアモデルのひとつである「RAV4」を、TNGA (トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー) に基づくプラットフォームやパワートレーンなどにより一新し、意のままの走りと力強く洗練されたデザインを実現しました。また、新たなモビリティライフを提案する初代コネクティッドカーとして、「クラウン」をフルモデルチェンジするとともに、新たに「カローラ スポーツ」を発売しました。さらに、50年以上にわたりご愛用いただいている「センチュリー」を、「匠の技」と「高品質のモノづくり」を継承しつつ、乗り心地や走行安定性を一段と向上させました。加えて、新興国を中心に拡大する乗客輸送などのニーズにお応えするため、「ハイエース」に海外向け新シリーズを追加しました。レクサスブランドでは、数多くの国・地域において基幹モデルとしてブランドの歴史を創り上げてきた「ES」を日本で初めて発売し、また、新たなライフスタイルを提供する都会派コンパクトクロスオーバー「UX」をラインアップに加えました。その他にも、スポーツカーシリーズ「GR」初のグローバルモデルである新型「スープラ」を、米国で開催された北米国際自動車ショーで披露するなど、モータースポーツの知見をフィードバックした商品開発を進めました。
当連結会計年度における日本、海外を合わせた自動車の連結販売台数は、897万7千台と、前連結会計年度に比べて1万3千台 (0.1%) の増加となりました。日本での販売台数については、222万6千台と、前連結会計年度に比べて2万9千台 (1.3%) の減少となりましたが、全国販売店の努力により、軽自動車を除くトヨタ・レクサスブランドの販売シェアは45.9%、軽自動車を含む販売シェア (ダイハツおよび日野ブランドを含む) は43.6%と、前連結会計年度に引き続き高いレベルで推移しました。一方、海外においては、アジアおよび欧州で販売台数が増加したことにより、675万1千台と、前連結会計年度に比べて4万2千台 (0.6%) の増加となりました。
当連結会計年度の業績については、次のとおりです。
なお、営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。
また、当社株主に帰属する当期純利益の増減には、当連結会計年度における未実現持分証券評価損益の影響2,937億円の損失 (税効果考慮後) および前連結会計年度における米国の税制改正に伴う繰延税金資産および負債の取り崩しなどによる法人税等の減少2,496億円が含まれています。
事業別セグメントの業績は、次のとおりです。
売上高は27兆790億円と、前連結会計年度に比べて6,811億円 (2.6%) の増収となり、営業利益は2兆388億円と、前連結会計年度に比べて277億円 (1.4%) の増益となりました。営業利益の増益は、原価改善の努力ならびに生産および販売台数の増加などによるものです。
売上高は2兆1,535億円と、前連結会計年度に比べて1,365億円 (6.8%) の増収となり、営業利益は3,228億円と、前連結会計年度に比べて372億円 (13.1%) の増益となりました。営業利益の増益は、販売金融子会社において、残価損失関連費用が減少したことおよび融資残高が増加したことなどによるものです。
売上高は1兆6,763億円と、前連結会計年度に比べて302億円 (1.8%) の増収となり、営業利益は1,055億円と、前連結会計年度に比べて47億円 (4.7%) の増益となりました。
所在地別の業績は、次のとおりです。
売上高は16兆6,253億円と、前連結会計年度に比べて6,005億円 (3.7%) の増収となり、営業利益は1兆6,916億円と、前連結会計年度に比べて317億円 (1.9%) の増益となりました。営業利益の増益は、原価改善の努力および輸出台数の増加などによるものです。
売上高は10兆8,172億円と、前連結会計年度に比べて2,428億円 (2.3%) の増収となりましたが、営業利益は1,145億円と、前連結会計年度に比べて243億円 (17.6%) の減益となりました。営業利益の減益は、販売金融子会社において、金利スワップ取引などの時価評価による評価損が計上されたことなどによるものです。
売上高は3兆2,388億円と、前連結会計年度に比べて536億円 (1.7%) の増収となり、営業利益は1,248億円と、前連結会計年度に比べて498億円 (66.4%) の増益となりました。営業利益の増益は、諸経費の減少・低減努力などによるものです。
売上高は5兆5,130億円と、前連結会計年度に比べて3,648億円 (7.1%) の増収となり、営業利益は4,574億円と、前連結会計年度に比べて242億円 (5.6%) の増益となりました。営業利益の増益は、生産および販売台数の増加などによるものです。
売上高は2兆3,334億円と、前連結会計年度に比べて1,198億円 (4.9%) の減収となり、営業利益は、911億円と、前連結会計年度に比べて215億円 (19.1%) の減益となりました。営業利益の減益は、為替変動の影響などによるものです。
当連結会計年度末における財政状態については、次のとおりです。
総資産は51兆9,369億円と、前連結会計年度末に比べて1兆6,287億円 (3.2%) の増加となりました。負債は31兆3,717億円と、前連結会計年度末に比べて9,855億円 (3.2%) の増加となりました。純資産は20兆5,652億円と、前連結会計年度末に比べて6,431億円 (3.2%) の増加となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物並びに拘束性現金の残高は3兆7,065億円と、前連結会計年度末に比べて4,868億円 (15.1%) の増加となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減は、次のとおりです。
当連結会計年度の営業活動からのキャッシュ・フローは、3兆7,665億円の資金の増加となり、前連結会計年度が4兆2,231億円の増加であったことに比べて、4,565億円の減少となりました。
当連結会計年度の投資活動からのキャッシュ・フローは、2兆6,972億円の資金の減少となり、前連結会計年度が3兆6,600億円の減少であったことに比べて、9,628億円の減少幅の縮小となりました。
当連結会計年度の財務活動からのキャッシュ・フローは、5,408億円の資金の減少となり、前連結会計年度が4,491億円の減少であったことに比べて、917億円の減少となりました。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
当社および連結製造子会社は、国内販売店、海外販売店等からの受注状況、最近の販売実績および販売見込等の情報を基礎として、見込生産を行っています。
当連結会計年度における販売実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
前述の当連結会計年度における「自動車事業」の販売数量を、仕向先別に示すと、次のとおりです。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日 (2019年6月21日)
現在において判断したものです。
トヨタの事業セグメントは、自動車事業、金融事業およびその他の事業で構成されています。自動車事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度においてトヨタの売上高合計 (セグメント間売上控除前) の88%を占めています。当連結会計年度における車両販売台数ベースによるトヨタの主要な市場は、日本 (24.8%) 、北米 (30.6%) 、欧州 (11.1%) およびアジア (18.7%) となっています。
世界の自動車市場は、非常に競争が激しく、また予測が困難な状況にあります。さらに、自動車業界の需要は、社会、政治および経済の状況、新車および新技術の導入ならびにお客様が自動車を購入または利用される際に負担いただく費用といった様々な要素の影響を受けます。これらの要素により、各市場および各タイプの自動車に対するお客様の需要は、大きく変化します。
当連結会計年度の自動車市場は、先進国では安定的に推移したものの、拡大を続けてきた中国や一部の資源国で落ち込みがみられました。
次の表は、過去2連結会計年度における各仕向地域別の連結販売台数を示しています。
(注) 「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中近東ほかからなります。
トヨタの日本における連結販売台数は、当連結会計年度は減少しましたが、全国販売店の努力により、軽自動車を除くトヨタ・レクサスブランドの販売シェアは45.9%、軽自動車を含む販売シェア (ダイハツおよび日野ブランドを含む) は43.6%と、前連結会計年度に引き続き高いレベルで推移しました。トヨタの海外における連結販売台数は、アジアおよび欧州で販売台数が増加したことにより、全体としては増加となりました。
各市場における全車両販売台数に占めるトヨタのシェアは、製品の品質、安全性、信頼性、価格、デザイン、性能、経済性および実用性についての他社との比較により左右されます。また、時機を得た新車の導入やモデルチェンジの実施も、お客様のニーズを満たす重要な要因です。変化し続けるお客様の嗜好を満たす能力も、売上および利益に大きな影響をもたらします。
自動車事業の収益性は様々な要因により左右されます。これらには次のような要因が含まれます。
車両販売台数
販売された車両モデルとオプションの組み合わせ
部品・サービス売上
価格割引およびその他のインセンティブのレベルならびにマーケティング費用
顧客からの製品保証に関する請求およびその他の顧客満足のための修理等にかかる費用
研究開発費等の固定費
原材料価格
コストの管理能力
生産資源の効率的な利用
特定の仕入先への部品供給の依存による生産への影響
自然災害や社会インフラの障害による市場・販売・生産への影響
日本円およびトヨタが事業を行っている地域におけるその他通貨の為替相場の変動
法律、規制、政策の変更およびその他の政府による措置も自動車事業の収益性に著しい影響を及ぼすことがあります。これらの法律、規制および政策には、車両の製造コストを大幅に増加させる環境問題、車両の安全性、燃費および排ガスに影響を及ぼすものが含まれます。
多くの国の政府が、現地調達率を規定し、関税およびその他の貿易障壁を課し、あるいは自動車メーカーの事業を制限したり本国への利益の移転を困難にするような価格管理あるいは為替管理を行っています。このような法律、規制、政策その他の行政措置における変更は、製品の生産、ライセンス、流通もしくは販売、原価、あるいは適用される税率に影響を及ぼすことがあります。トヨタは、トヨタ車の安全性について潜在的問題がある場合に適宜リコール等の市場処置 (セーフティ・キャンペーンを含む) を発表しています。2009年以降、トヨタは、アクセルペダルがフロアマットに引っ掛かり戻らなくなる問題に関するセーフティ・キャンペーンおよびアクセルペダルの不具合に関するリコールを発表しました。前述のリコール等の市場処置をめぐり、トヨタに対する申し立ておよび訴訟が提起されています。これらの申し立ておよび訴訟に関しては、連結財務諸表注記25を参照ください。
世界の自動車産業は、グローバルな競争の時期にあり、この傾向は予見可能な将来まで続く可能性があります。また、トヨタが事業を展開する競争的な環境は、さらに激化する様相を呈しています。トヨタは一独立企業として自動車産業で効率的に競争するための資源、戦略および技術を予見可能な将来において有していると考えています。
自動車金融の市場は、大変競争が激しくなっています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があり、また、顧客がトヨタ車を購入する際にトヨタ以外の金融サービスを利用するようになる場合、マーケット・シェアが低下することも考えられます。
トヨタの金融サービス事業は、主として、顧客および販売店に対する融資プログラムおよびリース・プログラムの提供を行っています。トヨタは、顧客に対して資金を提供する能力は、顧客に対しての重要な付加価値サービスであると考え、金融子会社のネットワークを各国へ展開しています。
小売融資およびリースにおけるトヨタの主な競争相手には、商業銀行、消費者信用組合、その他のファイナンス会社が含まれます。一方、卸売融資における主な競争相手には、商業銀行および自動車メーカー系のファイナンス会社が含まれます。
トヨタの金融債権<純額>は、主に小売債権などの増加により、当連結会計年度において増加しました。また、賃貸用車両及び器具<純額>は、主に為替変動の影響により、当連結会計年度において増加しました。
金融債権ならびに賃貸用車両及び器具の詳細については、連結財務諸表注記7、10を参照ください。
トヨタの金融債権は、回収可能性リスクを負っています。これは顧客もしくは販売店の支払不能や、担保価値 (売却費用控除後) が債権の帳簿価額を下回った場合に発生する可能性があります。詳細については、「⑪重要な会計上の見積り b.貸倒引当金および金融損失引当金」および連結財務諸表注記11を参照ください。
トヨタは、車両リースを継続的に提供してきました。当該リース事業によりトヨタは残存価額のリスクを負っています。これは車両リース契約の借手が、リース終了時に車両を購入するオプションを行使しない場合に発生する可能性があります。詳細については、「⑪重要な会計上の見積り c.オペレーティング・リースに対する投資」および連結財務諸表注記3 (10) 残価損失引当金を参照ください。
トヨタは、主に固定金利借入債務を機能通貨建ての変動金利借入債務へ転換するために、金利スワップおよび金利通貨スワップ契約を結んでいます。特定のデリバティブ金融商品は、経済的企業行動の見地からは金利リスクをヘッジするために契約されていますが、トヨタの連結貸借対照表における特定の資産および負債をヘッジするものとしては指定されていないため、それらの指定されなかったデリバティブから生じる未実現評価損益は、その期間の損益として計上されます。詳細については、「⑪重要な会計上の見積り f.公正価値計上のデリバティブ等の契約」ならびに連結財務諸表注記22および29を参照ください。
資金調達コストの変動は、金融事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。資金調達コストは、数多くの要因の影響を受けますが、その中にはトヨタがコントロールできないものもあります。これには、全般的な景気、金利およびトヨタの財務力などが含まれます。当連結会計年度の資金調達コストは主に市場金利の上昇により増加しました。
トヨタは、2001年4月に日本でクレジットカード事業を立上げました。カード会員数は、2019年3月31日現在15.8百万人と、2018年3月31日から0.5百万人の増加となりました。カード債権は2019年3月31日現在4,756億円と、2018年3月31日から429億円の増加となりました。
トヨタのその他の事業には、プレハブ等住宅の製造・販売を手掛ける住宅事業、情報通信事業・ガズー事業等の情報技術関連事業等が含まれます。
トヨタは、その他の事業は連結業績に大きな影響を及ぼすものではないと考えています。
トヨタは、為替変動による影響を受けやすいといえます。トヨタは日本円の他に主に米ドルおよびユーロの価格変動の影響を受けており、また、米ドルやユーロに加え、豪ドル、ロシア・ルーブル、加ドルおよび英国ポンドなどについても影響を受けることがあります。日本円で表示されたトヨタの連結財務諸表は、換算リスクおよび取引リスクによる為替変動の影響を受けています。
換算リスクとは、特定期間もしくは特定日の財務諸表が、事業を展開する国々の通貨の日本円に対する為替の変動による影響を受けるリスクです。たとえ日本円に対する通貨の変動が大きく、前連結会計年度との比較において、また地域ごとの比較においてかなりの影響を及ぼすとしても、換算リスクは報告上の考慮事項に過ぎず、その基礎となる業績を左右するものではありません。トヨタは換算リスクに対してヘッジを行っていません。
取引リスクとは、収益と費用および資産と負債の通貨が異なることによるリスクです。取引リスクは主にトヨタの日本製車両の海外売上に関係しています。
トヨタは、生産施設が世界中に所在しているため、取引リスクは大幅に軽減されていると考えています。グローバル化戦略の一環として、車両販売を行う主要市場において生産施設を建設することにより、生産を現地化してきました。2017年 (暦年) および2018年 (暦年) において、トヨタの海外における車両販売台数のそれぞれ75.9%および72.8%が海外で生産されています。北米では2017年 (暦年) および2018年 (暦年) の車両販売台数のそれぞれ71.1%および68.9%が現地で生産されています。欧州では2017年 (暦年) および2018年 (暦年) の車両販売台数のそれぞれ81.5%および78.3%が現地で生産されています。生産の現地化により、トヨタは生産過程に使用される供給品および原材料の多くを現地調達することができ、現地での収益と費用の通貨のマッチングをはかることが可能です。
トヨタは、取引リスクの一部に対処するために為替の取引およびヘッジを行っています。これにより為替変動による影響は軽減されますが、すべて排除されるまでには至っておらず、年によってその影響が大きい場合もあり得ます。為替変動リスクをヘッジするためにトヨタで利用されるデリバティブ金融商品に関する追加的な情報については、連結財務諸表注記22および29を参照ください。
一般的に、円安は売上高、営業利益および当社株主に帰属する当期純利益に好影響を及ぼし、円高は悪影響を及ぼします。日本円の米ドルに対する期中平均相場および決算日の為替相場は、前連結会計年度に比べて円安に推移しました。日本円のユーロに対する期中平均相場および決算日の為替相場は、前連結会計年度に比べて円高に推移しました。
トヨタの最も重要な事業セグメントは、自動車事業セグメントです。トヨタは、世界の自動車市場においてグローバル・コンペティターとして自動車事業を展開しています。マネジメントは世界全体の自動車事業を一つの事業セグメントとして資源の配分やその実績の評価を行っており、自動車事業セグメント内で資源を配分するために、販売台数、生産台数、マーケット・シェア、車両モデルの計画および工場のコストといった財務およびそれ以外に関するデータの評価を行っています。トヨタは国内・海外または部品等のような自動車事業の一分野を個別のセグメントとして管理していません。
次の表は、過去2連結会計年度のトヨタの地域別外部顧客向け売上高を示しており、当社または連結子会社の所在国の位置を基礎として集計しています。
(注) 「その他」 は、中南米、オセアニア、アフリカ、中近東からなります。
(注) 「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中近東からなります。
当連結会計年度の売上高は30兆2,256億円と、前連結会計年度に比べて8,461億円 (2.9%) の増収となりました。この増収は、主に車両販売台数および販売構成の変化による影響8,600億円によるものですが、為替変動の影響5,100億円により一部相殺されています。
トヨタの事業別外部顧客向け売上高の商品別内訳は次のとおりです。
売上高は自動車事業およびその他の事業の合計である商品・製品売上高ならびに金融収益で構成されており、当連結会計年度の商品・製品売上高は28兆1,053億円と、前連結会計年度に比べて2.5%の増収となり、金融収益は2兆1,203億円と、前連結会計年度に比べて8.2%の増収となりました。商品・製品売上高の増収は、主に車両販売台数および販売構成の変化による影響によるものです。前連結会計年度末および当連結会計年度末の各地域における融資件数 (残高) の状況は次のとおりです。
・金融事業における融資件数残高
(注) 「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカからなります。
当連結会計年度の売上高 (セグメント間売上控除前) は前連結会計年度に比べて、日本では3.7%、北米では2.3%、欧州では1.7%、アジアでは7.1%の増収、その他の地域では4.9%の減収となりました。為替変動の影響5,100億円を除いた場合、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて、日本では3.0%、北米では2.5%、欧州では4.5%、アジアでは8.0%、その他の地域では12.1%の増収であったと考えられます。
各地域における売上高 (セグメント間売上控除前) の状況は次のとおりです。
・日本
日本においては、輸出台数を含むトヨタの販売台数は前連結会計年度に比べて36千台増加し、増収となりました。前連結会計年度および当連結会計年度における輸出台数はそれぞれ1,882千台および1,947千台となりました。
・北米
北米においては、トヨタの販売台数は前連結会計年度に比べて61千台減少したものの、主に販売構成の変化により、増収となりました。
・欧州
欧州においては、為替変動の影響があったものの、主に「C-HR」などのハイブリッド車の販売が好調であったため、トヨタの販売台数は前連結会計年度に比べて26千台増加し、増収となりました。
・アジア
アジアにおいては、為替変動の影響があったものの、主にタイ、中国などでの販売が好調であったため、トヨタの販売台数は前連結会計年度に比べて141千台増加し、増収となりました。
・その他の地域
その他の地域においては、主に中近東で販売が落ち込んだため、トヨタの販売台数は前連結会計年度に比べて65千台減少し、減収となりました。
当連結会計年度における営業費用は27兆7,581億円と、前連結会計年度に比べて7,784億円 (2.9%) の増加となりました。この増加は、車両販売台数および販売構成の変化による影響7,500億円、諸経費の増加1,650億円、金融費用の増加 (為替変動の影響を除く) 1,185億円ならびにその他2,849億円によるものですが、為替変動の影響4,600億円および原価改善の努力800億円により一部相殺されています。
上記の諸経費の増加は、主に労務費450億円、減価償却費200億円および経費ほか1,900億円の増加によるものですが、品質関連費用750億円の減少などにより、一部相殺されています。
品質関連費用の減少は、主に当連結会計年度にリコール等の市場処置の実払いが減少したことに伴い債務の見積り計上額が減少したことによるものです。詳細については、連結財務諸表注記14を参照ください。
・原価改善の努力
当連結会計年度は、仕入先と一体となった原価改善活動に引き続き精力的に取り組んだ結果、VE (Value Engineering) 活動を中心とした設計面での原価改善など250億円および工場・物流部門などにおける原価改善550億円により営業費用を800億円減少することができました。
原価改善の努力は、継続的に実施されているVE・VA (Value Analysis) 活動、部品の種類の絞込みにつながる部品共通化、ならびに車両生産コストの低減を目的としたその他の製造活動に関連しています。なお、原価改善の努力には、鉄鋼、貴金属、非鉄金属 (アルミ等) 、樹脂関連部品などの資材・部品価格の変動による影響が含まれています。
・売上原価
当連結会計年度における売上原価は23兆3,894億円と、前連結会計年度に比べて7,890億円 (3.5%) の増加となりました。この増加は、主に車両販売台数および販売構成の変化による影響、労務費および減価償却費の増加によるものですが、為替変動の影響、原価改善の努力および品質関連費用の減少などにより一部相殺されています。
・金融費用
当連結会計年度における金融費用は1兆3,922億円と、前連結会計年度に比べて1,036億円 (8.0%) の増加となりました。この増加は、主に市場金利の上昇による資金調達コストの増加によるものです。
・販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2兆9,763億円と、前連結会計年度に比べて1,141億円 (3.7%) の減少となりました。この減少は、主に為替変動の影響によるものです。
当連結会計年度における営業利益は2兆4,675億円と、前連結会計年度に比べて676億円 (2.8%) の増益となりました。この増益は、営業面の努力2,750億円および原価改善の努力800億円によるものですが、諸経費の増加1,650億円および為替変動の影響500億円などにより一部相殺されています。
なお、営業面の努力および販売面での影響は、車両販売台数および販売構成の変化ならびに販売諸費用などを含んでいます。その他は、金利スワップ取引などの時価評価による評価損益などを含んでいます。
また、為替変動の影響の減益要因は、主に輸出入等の外貨取引による影響950億円、外貨建引当の期末換算差等600億円および海外子会社の営業利益換算差250億円によるものですが、当連結会計年度より、外貨建取引および外貨建金銭債権債務の為替換算における適用レートを電信売買相場の仲値へ変更した影響1,362億円により一部相殺されています。
当連結会計年度における営業利益 (セグメント間利益控除前) は前連結会計年度に比べて、欧州では498億円 (66.4%) 、日本では317億円 (1.9%) 、アジアでは242億円 (5.6%) の増益となり、北米では243億円 (17.6%) 、その他の地域では215億円 (19.1%) の減益となりました。
各地域における営業利益の状況は次のとおりです。
・日本
・北米
・欧州
・アジア
当連結会計年度における受取利息及び受取配当金は2,254億円と、前連結会計年度に比べて459億円 (25.6%) の増加となりました。
当連結会計年度における支払利息は280億円と、前連結会計年度に比べて4億円 (1.8%) の増加となりました。
当連結会計年度における為替差益<純額>は124億円と、前連結会計年度に比べて102億円 (45.3%) の減益となりました。為替差損益は、外国通貨建て取引によって生じた外貨建ての資産および負債を、取引時の為替相場で換算した価額と、先物為替契約を利用して行う決済を含め、同会計年度における決済金額または決算時の為替相場で換算した価額との差額を示すものです。為替差益<純額>の減益102億円は、主に当連結会計年度より、外貨建取引および外貨建金銭債権債務の為替換算における適用レートを電信売買相場の仲値へ変更したことによるものですが、当会計年度の外貨建て売掛債権において取引時の為替相場に比べて決済時の為替相場が円安に推移したことによる為替差益を計上したことにより一部相殺されています。
当連結会計年度より、金融商品に関する新たな指針を適用しました。持分証券は主に公正価値で評価し、公正価値の変動は損益として認識しています。これにより、未実現持分証券評価損益3,410億円の損失を計上しています。
当連結会計年度におけるその他<純額>は508億円の損失と、前連結会計年度に比べて967億円の減益となりました。
当連結会計年度における法人税等は6,599億円と、前連結会計年度に比べて1,555億円 (30.8%) の増加となりました。これは、主に前連結会計年度における米国税制改正に伴う繰延税金資産および負債の取り崩しなどの影響によるもので、当連結会計年度における実効税率は28.9%となりました。
当連結会計年度における非支配持分帰属損益は1,027億円と、前連結会計年度に比べて105億円 (11.5%) の増益となりました。この増益は、主に連結子会社の株主に帰属する当期純利益の増益によるものです。
当連結会計年度における持分法投資損益は3,600億円と、前連結会計年度に比べて1,100億円 (23.4%) の減益となりました。この減益は、主に金融商品に関する新たな指針の適用により、未実現持分証券評価損益の損失を計上したこと、および持分法適用関連会社の株主に帰属する当期純利益の減益によるものです。
当連結会計年度の当社株主に帰属する当期純利益は1兆8,828億円と、前連結会計年度に比べて6,111億円 (24.5%) の減益となりました。
なお、当連結会計年度における当社普通株主に帰属する当期純利益は、当社株主に帰属する当期純利益よりAA型種類株式への配当金など147億円を控除した1兆8,680億円です。
当連結会計年度におけるその他の包括損益は1兆3,523億円の損失と、前連結会計年度に比べて1兆1,471億円利益が減少しました。これは、主に金融商品に関する新たな指針の適用により、未実現有価証券評価損益1兆3,097億円を期首の利益剰余金への累積的影響額として調整したこと、および主に年金資産の時価が変動したことにより、年金債務調整額が前連結会計年度の217億円の利益に対し、当連結会計年度は510億円の損失となったことによるものです。
以下は、トヨタの事業別セグメントの状況に関する説明です。記載された数値は、セグメント間売上控除前です。
・自動車事業セグメント
自動車事業の売上高は、トヨタの売上高のうち最も高い割合を占めます。当連結会計年度における自動車事業セグメントの売上高は27兆790億円と、前連結会計年度に比べて6,811億円 (2.6%) の増収となりました。この増収は、主に車両販売台数および販売構成の変化による影響8,600億円によるものですが、為替変動の影響4,800億円などにより一部相殺されています。
当連結会計年度における自動車事業セグメントの営業利益は2兆388億円と、前連結会計年度に比べて277億円 (1.4%) の増益となりました。この営業利益の増益は、主に営業面の努力2,050億円、原価改善の努力800億円によるものですが、諸経費の増加1,650億円、為替変動の影響500億円などにより一部相殺されています。
営業面の努力は、北米・欧州・アジアの車種構成の改善などによるものです。諸経費の増加は、主に労務費450億円、減価償却費200億円および経費ほか1,900億円の増加によるものですが、品質関連費用750億円の減少などにより、一部相殺されています。
・金融事業セグメント
当連結会計年度における金融事業セグメントの売上高は2兆1,535億円と、前連結会計年度に比べて1,365億円 (6.8%) の増収となりました。この増収は、主に北米の販売金融子会社において、オペレーティング・リースとして賃貸されている車両および器具からのレンタル収入が584億円増加したことによるものです。
当連結会計年度における金融事業セグメントの営業利益は3,228億円と、前連結会計年度に比べて372億円 (13.1%) の増益となりました。この営業利益の増益は、主に販売金融子会社において、残価損失関連費用が減少したことおよび融資残高が増加したことによるものです。
・その他の事業セグメント
当連結会計年度におけるその他の事業セグメントの売上高は1兆6,763億円と、前連結会計年度に比べて302億円 (1.8%) の増収となりました。
当連結会計年度におけるその他の事業セグメントの営業利益は1,055億円と、前連結会計年度に比べて47億円(4.7%)の増益となりました。
トヨタは従来、設備投資および研究開発活動のための資金を、主に営業活動から得た現金により調達してきました。
2020年3月31日に終了する連結会計年度については、トヨタは設備投資および研究開発活動のための十分な資金を、主に手元の現金及び現金同等物、営業活動から得た現金により調達する予定です。トヨタはこれらの資金を、従来の設備の維持更新・新製品導入へ効率的に投資しつつ、新たなモビリティ社会の実現に向け、競争力強化・将来の成長に資する分野に重点を置いて投資する予定です。2018年4月1日から2019年3月31日までに行われた重要な設備投資および処分に関する情報ならびに現在進行中の重要な設備投資および処分に関する情報は、「第3 設備の状況」を参照ください。
顧客や販売店に対する融資プログラムおよびリース・プログラムで必要となる資金について、トヨタは営業活動から得た現金と販売金融子会社の借入債務によりまかなっています。トヨタは、金融子会社のネットワークを拡大することにより、世界中の現地市場で資金を調達する能力を向上させるよう努めています。
当連結会計年度における営業活動から得た現金<純額>は、前連結会計年度の4兆2,231億円に対し、3兆7,665億円となり、4,565億円減少しました。
この減少は、主に未払法人税等が確定納付額の増加などにより3,800億円減少したことや未収の売上債権が、売上増加の影響により1,414億円増加したことによるものです。
当連結会計年度における投資活動に使用した現金<純額>は、前連結会計年度の3兆6,600億円に対し、2兆6,972億円となり、9,628億円減少しました。この減少は、主に有価証券及び投資有価証券の購入が1兆2,125億円減少したことによるものですが、投資及びその他の資産が4,444億円増加したことにより一部相殺されています。
当連結会計年度における財務活動に使用した現金<純額>は、前連結会計年度の4,491億円に対し、5,408億円となり、917億円増加しました。この増加は、主に短期借入債務の返済額が借入額を上回ったことによる影響1,834億円や、自己株式の取得及び処分による支出額が1,018億円増加したことによるものですが、長期借入債務による資金調達が2,069億円増加したことにより一部相殺されています。
当連結会計年度における賃貸資産を除く資本的支出は、前連結会計年度の1兆2,911億円から12.5%増加し、1兆4,527億円となりました。この増加は、主に欧州におけるモデルチェンジにかかわる設備投資の増加によるものです。
当連結会計年度における賃貸資産に対する資本的支出は、前連結会計年度の2兆3,075億円から2兆2,861億円と前年度並みになりました。
2020年3月31日に終了する連結会計年度において、賃貸および賃借資産を除く設備投資額は約1兆4,500億円となる予定です。
現金及び現金同等物並びに拘束性現金は、2019年3月31日現在で3兆7,065億円でした。現金及び現金同等物並びに拘束性現金の大部分は円建てまたは米ドル建てです。また、2019年3月31日現在における定期預金は1兆1,263億円、有価証券は1兆1,271億円でした。
トヨタは、現金及び現金同等物、定期預金、市場性ある負債証券および信託ファンドへの投資を総資金量と定義しており、当連結会計年度において総資金量は、4,383億円 (4.1%) 減少し、10兆3,650億円となりました。
当連結会計年度における受取手形及び売掛金<貸倒引当金控除後>は、1,531億円 (6.9%) 増加し、2兆3,727億円となりました。これは主に、売上増加の影響によるものです。
当連結会計年度におけるたな卸資産は、1,166億円 (4.6%) 増加し、2兆6,563億円となりました。これは主に、海外子会社における車両在庫増加の影響によるものです。
当連結会計年度における金融債権<純額>合計は、16兆9,288億円と、1兆989億円 (6.9%) 増加しました。これは主に、金融事業における融資残高の増加によるものです。2019年3月31日現在における金融債権の地域別内訳は、北米55.2%、アジア13.0%、欧州12.3%、日本8.2%、その他の地域11.3%でした。
当連結会計年度における有価証券及びその他の投資有価証券 (流動資産計上のものを含む) は、1兆1,605億円 (11.9%) 減少しました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の償還および公正価値の下落によるものです。
当連結会計年度における有形固定資産は、4,178億円 (4.1%) 増加しました。これは主に、設備投資によるものです。
当連結会計年度における支払手形及び買掛金は、593億円 (2.3%) 増加しました。これは主に、資材・部品価格の変動の影響によるものです。
当連結会計年度における未払費用は、1,181億円 (3.8%) 増加しました。これは主に、品質関連の未払費用が増加したことによるものです。
当連結会計年度における未払法人税等は、1,413億円 (30.6%) 減少しました。これは主に、確定納付額の増加によるものです。
当連結会計年度における借入債務合計は、8,026億円 (4.1%) 増加しました。トヨタの短期借入債務は、加重平均利率2.11%の借入金と、加重平均利率2.28%のコマーシャル・ペーパーにより構成されています。当連結会計年度における短期借入債務は、前連結会計年度に比べて1,900億円 (3.7%) 増加し、5兆3,449億円となりました。トヨタの長期借入債務は、加重平均利率が1.84%から7.78%、返済期限が2019年から2048年の無担保の借入金、担保付きの借入金、ミディアム・ターム・ノート、無担保普通社債、担保付普通社債などにより構成されています。当連結会計年度の1年以内に返済予定の長期借入債務は679億円 (1.6%) 増加し、4兆2,542億円となり、返済期限が1年超の長期借入債務は5,445億円 (5.4%) 増加し、10兆5,509億円となりました。借入債務合計の増加は、主に融資残高の伸びに伴う資金需要の高まりによるものです。2019年3月31日現在で、長期借入債務の約48%は米ドル建て、約11%はユーロ建て、約11%は円建て、約9%は豪ドル建て、約5%は加ドル建て、約16%はその他の通貨によるものです。トヨタは、金利スワップを利用することにより固定金利のエクスポージャーをヘッジしています。トヨタの借入必要額に重要な季節的変動はありません。
2018年3月31日現在におけるトヨタの株主資本に対する有利子負債比率は、103.3%でしたが、2019年3月31日現在では104.1%となりました。
トヨタの短期および長期借入債務は、2019年5月31日現在、スタンダード・アンド・プアーズ (S&P) 、ムーディーズ (Moody's) および格付投資情報センター (R&I) により、次のとおり格付けされています。なお、信用格付けは株式の購入、売却もしくは保有を推奨するものではなく、何時においても撤回もしくは修正され得ます。各格付けはその他の格付けとは個別に評価されるべきです。
当連結会計年度における未積立年金債務は、国内および海外で、それぞれ4,995億円および3,041億円と、前連結会計年度に比べて、国内は931億円 (22.9%) 増加し、海外216億円 (7.7%) の増加となりました。未積立額は、トヨタによる将来の現金拠出または対象従業員に対するそれぞれの退職日における支払いにより解消されます。国内においては、主に株価の下落に伴う年金資産の減少により、未積立年金債務は増加しました。詳細については、連結財務諸表注記21を参照ください。
トヨタの財務方針は、すべてのエクスポージャーの管理体制を維持し、相手先に対する厳格な信用基準を厳守し、市場のエクスポージャーを積極的にモニターすることです。トヨタは、トヨタファイナンシャルサービス㈱に金融ビジネスを集中させ、同社を通じて金融ビジネスのグローバルな効率化を目指しています。
財務戦略の主要な要素は、短期的な収益の変動に左右されず効率的に研究開発活動、設備投資および金融事業に投資できるような、安定した財務基盤を維持することです。トヨタは、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えており、また、高い信用格付けを維持することにより、引き続き多額の資金を比較的安いコストで外部から調達することができると考えています。高い格付けを維持する能力は、数多くの要因に左右され、その中にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。これらの要因には、日本およびトヨタが事業を行うその他の主要な市場の全体的な景気ならびにトヨタの事業戦略を成功させることができるかなどが含まれています。
トヨタは金融事業のための資金調達の一つの方法として特別目的事業体を通じた証券化プログラムを利用しています。これらの証券化取引は、トヨタが第一受益者であるものとして連結しており、当連結会計年度におけるオフバランス化される取引に重要なものはありません。
トヨタは金融事業の一環としてクレジットカードを発行しています。トヨタは、クレジットカード事業の慣習に従い、カード会員に対する貸付の制度を有しています。貸出はお客様ごとに信用状態の調査を実施した結果設定した限度額の範囲内で、お客様の要求により実行されます。カード会員に対する貸付金には保証は付されませんが、貸倒損失の発生を最小にするため、また適切な貸出限度額を設定するために、トヨタは、提携関係にある金融機関からの財務情報の分析を含むリスク管理方針により与信管理を実施するとともに、定期的に貸出限度額の見直しを行っています。2019年3月31日現在のカード会員に対する貸出未実行残高は2,012億円です。
トヨタは金融事業の一環として販売店に対する融資の制度を有しています。貸付は買収、設備の改装、不動産の購入、運転資金の確保のために行われます。これらの貸付金については、通常担保権が設定されており、販売店の不動産、車両在庫、その他販売店の資産等、場合に応じて適切と考えられる物件に対して設定しています。さらに慎重な対応が必要な場合には販売店が指名した個人による保証または販売店グループが指名した法人による保証を付しています。貸付金は通常担保または保証が付されていますが、担保または保証の価値がトヨタのエクスポージャーを十分に補うことができていない可能性があります。トヨタは融資制度契約を締結することによって生じるリスクに従って融資制度を評価しています。トヨタの金融事業は、販売店グループと呼ばれる複数のフランチャイズ系列に対しても融資を行っており、しばしば貸出組合に参加することでも融資を行っています。こうした融資は、融資先の卸売車両の購入、買収、設備の改装、不動産の購入、運転資金の確保等を目的とするものです。2019年3月31日現在の販売店に対する貸出未実行残高は2兆8,915億円です。
トヨタは、トヨタの製品販売にあたり、販売店と顧客が締結した割賦契約について、販売店の要請に応じ顧客の割賦債務の支払いに関し保証を行っています。保証期間は2019年3月31日現在において1ヶ月から35年に亘っており、これは割賦債務の弁済期間と一致するよう設定されていますが、一般的に、製品の利用可能期間よりも短い期間となっています。顧客が必要な支払いを行わない場合には、トヨタに保証債務を履行する責任が発生します。
将来の潜在的保証支払額は、2019年3月31日現在、最大で3兆789億円です。トヨタは、保証債務の履行による損失の発生に備え未払費用を計上しており、2019年3月31日現在の残高は、89億円です。保証債務を履行した場合、トヨタは、保証の対象となった主たる債務を負っている顧客から保証支払額を回収する権利を有します。
今後5年間における各年の満期別の金額を含む借入債務、キャピタル・リース債務、オペレーティング・リース債務およびその他債務に関しては、連結財務諸表注記13、24および25を参照ください。また、トヨタはその通常業務の一環として、一定の原材料、部品およびサービスの購入に関して、仕入先と長期契約を結ぶ場合があります。これらの契約は、一定数量または最低数量の購入を規定している場合があります。トヨタはかかる原材料またはサービスの安定供給を確保するためにこれらの契約を締結しています。
次の表は、2019年3月31日現在のトヨタの契約上の債務および商業上の契約債務を要約したものです。
* 長期借入債務の金額は、将来の支払元本を表しています。
なお、将来の支払時期を合理的に見積もることができないため、上記の表に未認識税務ベネフィットに関連する債務の金額を含めていません。詳細については、連結財務諸表注記16を参照ください。
また、トヨタは2020年3月31日に終了する連結会計年度において、退職金制度に対し、国内および海外で、それぞれ40,124百万円および14,330百万円を拠出する予定です。
トヨタは、関連会社と通常の業務上行う取引以外に、重要な関連当事者との取引を行っていません。詳細については、連結財務諸表注記12を参照ください。
⑩最近の米国会計基準に関する公表
将来適用予定の最近公表された会計基準の詳細については、連結財務諸表注記3を参照ください。
トヨタの連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められる会計原則に基づき作成されています。これらの連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、および連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り、判断ならびに仮定を使用する必要があります。トヨタの重要な会計方針のうち、判断、見積りおよび仮定の割合が高いものは以下に挙げられています。
トヨタは通常、製品の製造過程およびその他の理由による製品の欠陥に対して保証を行っています。製品保証規定は、期間および使用方法あるいはそのいずれかに対応して決めており、製品の特性、販売地域およびその他の要因によって異なります。いずれの製品保証も商慣習に沿ったものです。トヨタは、製品の売上を認識する際に、売上原価の構成要素として見積製品保証費用を引当金に計上します。この製品保証引当金は、保証期間内に不具合が発生した部品を修理または交換する際に発生する費用の総額を、販売時に最善の見積りに基づき計上するものであり、修理費用に関する現在入手可能な情報はもとより、製品の不具合に関する過去の経験を基礎として金額を見積もっています。製品保証引当金の見積りには、仕入先に対する補償請求により回収できる金額の見積りも反映しています。このように、製品保証引当金の計算には重要な見積りが必要となること、また、一部の製品保証は何年も継続することから、この計算は本質的に不確実性を内包しています。したがって、実際の製品保証費用は見積りと異なることがあり、製品保証引当金を追加計上する必要が生じる可能性があります。これらの要因によりトヨタの製品保証費用が大幅に増加した場合、将来の自動車事業の業績に悪影響を与える可能性があります。
各年度の製品保証費用見積額の計算は、1台当たりの製品保証費用見積額を基礎としています。1台当たりの製品保証費用見積額の計算にあたっては、過去の製品保証費用実績額からサプライヤーに求償した実績額を控除した金額を当該年度の販売台数で除して算定しています。
トヨタは、製品保証費用見積額の計算要素として過去のサプライヤーへの求償実績を使用していることから、過去の平均求償実績が製品保証費用見積額の変動要因となることがあります。しかしながら、サプライヤーへの求償実績に関する過去の実績から、見積額の不確実性は低いと考えます。当該製品の保証期間内であればサプライヤーに請求することは可能であり、回収可能金額についての上限を含むその他の重大な制約条件は特に存在しません。
トヨタは、製品のリコール等の市場処置費用を、上記の製品保証費用と同様に、売上原価の構成要素として表示しています。「製品のリコール等の市場処置にかかる債務」は、基本的に、ある一定期間に販売された様々なモデル全体を、地域毎に区分して、製品販売時点において包括的に算定しています。しかしながら、状況によっては、トヨタは、特定の「製品のリコール等の市場処置にかかる債務」については、それらの支出が発生する可能性が高く、かつ合理的に見積もることができる場合に、個別に見積もる方法で算定しています。なお、これらの債務の算出は、地域毎で同様の方法で行っていますが、労働コスト等が異なるため、地域毎に区分して算出しています。
貸借対照表に包括的に計上される「製品のリコール等の市場処置にかかる債務」の部分は、「リコール実払い累計額」を考慮して「リコールの支払い見込み総額」を基に算出します。当該債務は期間ごとに新しいデータに基づき評価され、適切な金額に調整されています。また、これらの債務は販売期間ごとに10年間に分けて管理しています。
「リコールの支払い見込み総額」は、数量<販売台数>に単価<台当たり市場処置額>を乗じて算出しています。台当たり市場処置額は、「台当たりリコール実払い累計額」を「過去の費用の発生パターン」で除して算出しています。「過去の費用の発生パターン」は、車両販売後10年間に発生したリコール支払い発生状況を表しています。
販売時の包括的な見積り金額と、個々のリコールに対する実際の支払い金額との差の要因としては、台当たり平均修理費用と実際の修理費用 (主に部品代と労務費) とに差が生じる場合および、過去の費用の発生パターンと実際に差が生じる場合などがあり、将来のリコール等の市場処置費用の見積りの中で調整されていきます。
上記で記載したとおり、包括的な見積り計上の際、実際のリコールの支払いは、台当たり平均修理費用などの算定の要素として組み込まれるので、個別リコールのアナウンスをしたとしても、直接的に財務諸表に影響を与えるものではありません。
トヨタの小売債権およびファイナンス・リース債権は、乗用車および商用車により担保されている分割払い小売販売契約からなります。回収可能性リスクは、顧客もしくは販売店の支払不能や、担保価値 (売却費用控除後) が債権の帳簿価額を下回る場合を含んでいます。トヨタの会計方針として貸倒引当金および金融損失引当金を計上しており、この引当金は、金融債権、売掛債権およびその他債権の各ポートフォリオの減損金額に対するマネジメントによる見積りを反映しています。貸倒引当金および金融損失引当金は、信用リスク評価プロセスの一環として行われている体系的かつ継続的なレビューおよび評価、過去の損失の実績、ポートフォリオの規模および構成、現在の経済的な事象および状況、担保物の見積公正価値およびその十分性、ならびにその他の関連する要因に基づき算定されています。この評価は性質上判断を要するものであり、重要な変動の可能性のある将来期待受取キャッシュ・フローの金額およびタイミングを含め、重要な見積りを必要とするものです。マネジメントは、現在入手可能な情報に基づき、貸倒引当金および金融損失引当金は十分であると考えていますが、(ⅰ) 資産の減損に関するマネジメントの見積りまたは仮定の変更、(ⅱ) 将来の期待キャッシュ・フローの変化を示す情報の入手、または (ⅲ) 経済およびその他の事象または状況の変化により、追加の引当金が必要となってくる可能性があります。新車の価格を押し下げる効果をもつセールス・インセンティブが販売プロモーションの重要な構成要素であり続ける限り、中古車の再販価格およびそれに伴う小売債権ならびにファイナンス・リース債権の担保価値はさらなる引下げの圧力を受ける可能性があります。これらの要因によりトヨタの貸倒引当金および金融損失引当金を大幅に増加させる必要が生じた場合、将来の金融事業の業績に悪影響を与える可能性があります。これらの引当金のうち、トヨタの業績に対してより大きな影響を与える金融損失引当金のレベルは、主に損失発生の頻度と予想損失程度の2つの要因により影響を受けます。トヨタは、金融損失引当金を評価する目的で、金融損失に対するエクスポージャーを「顧客」と「販売店」という2つの基本的なカテゴリーに分類します。トヨタの「顧客」カテゴリーは比較的少額の残高を持つ同質の小売債権およびファイナンス・リース債権から構成されており、「販売店」カテゴリーは卸売債権およびその他のディーラー貸付金です。金融損失引当金は少なくとも四半期ごとに見直しを行っており、その際には、引当金残高が将来発生する可能性のある損失をカバーするために十分な残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しています。
(感応度分析)
トヨタの業績に重大な影響を与える金融損失の程度は、主に損失発生の頻度、予想損失程度という2つの要素の影響を受けます。金融損失引当金は様々な仮定および要素を考慮して、少なくとも四半期ごとに評価されており、発生しうる損失を十分にカバーするかどうか判断しています。次の表は、トヨタが主として米国において金融損失引当金を見積もるにあたり、損失発生の頻度または予想損失程度の仮定の変化を示したものであり、他のすべての条件はそれぞれ一定とみなしています。金融損失引当金がトヨタの金融事業に対して与える影響は重要であり、損失発生の頻度または予想損失程度の仮定の変化に伴う金融損失引当金の変動が金融事業に与える影響を示しています。
トヨタが賃貸人となっているオペレーティング・リース用車両は、取得原価で計上し、その見積耐用年数にわたって見積残存価額になるまで定額法で減価償却しています。トヨタは、これらの車両に関して、業界の公開情報および自社の過去実績に基づき見積残存価額を計算しています。残存価額の下落を示す事象が発生した場合には、リース車両の帳簿価額の回収可能性について減損の有無を評価し、減損が認められた場合には、残価損失引当金を計上しています。
リース期間を通じて、マネジメントは、契約上の残存価額の決定において用いられた見積りが合理的であるかどうか判断するため、リース期間終了時における公正価値の見積額の評価を定期的に行っています。リース期間終了時における残存価値の見積りに影響する要素として、新車インセンティブプログラム、新車の価格設定、中古車の供給、予測車両返却率および残価損失の予測感応度等が挙げられます。車両返却率は、契約に基づき設定されたリース期間終了時に、実際に返却されたリース車両台数が、当該期間中にリース契約が終了することが予定されていたリース件数から早期返却分を除いた件数に占める割合を表しています。車両返却率が上昇すると、トヨタのリース終了時における損失のリスクが上昇します。残価損失の感応度は、リース終了時におけるリース車両の公正価値がリース車両の残存価額を下回る程度を表しています。
販売報奨金が販売促進に欠かせないものである限り、中古車の再販価格およびそれに伴うトヨタのリース車両の公正価値は引下げの圧力を受ける可能性があります。リース期間終了時における残価への影響は、インセンティブプログラムの重要性、およびそれらが長期間続くか否かに依存します。これは、現在のオペレーティング・リースのポートフォリオの見積残価に不利な影響を与え、残価損失引当金を増加させながら、将来の中古車価格の予測に次々に影響を与えていく可能性があります。また、他の様々な要素 (例えば、中古車の需要と供給、金利、インフレ、品質、安全性および車両の信頼性、一般的な経済の見通し、新車価格、予測される将来の返却率および予測される損失の重大性など) が中古車価格および将来の残価予測に影響を与え、販売促進効果を相殺することがあります。これらの要因により、将来の金融事業の業績が悪影響を受ける可能性があります。
(感応度分析)
次の表は、トヨタが主として米国において残価損失を見積もるにあたり、重要な見積りであると考えている車両返却率の仮定の変化およびリース期間終了時における市場価値の仮定の変化を示したものであり、他のすべての条件はそれぞれ一定とみなしています。残価損失がトヨタの金融事業に対して与える影響は重要であり、車両返却率の変化およびリース期間終了時における市場価値の仮定の変化に伴う残価損失の変動が金融事業に与える影響を示しています。
トヨタは必要に応じて、無形資産を含む、使用中の長期性資産および処分予定の長期性資産の帳簿価額を定期的にレビューしています。このレビューは、将来の見積キャッシュ・フローをもとに行っています。長期性資産の帳簿価額に減損が生じていると判断した場合、当該資産の帳簿価額が公正価値を超える金額を減損として計上します。マネジメントは、その将来の見積キャッシュ・フローおよび公正価値の算定は合理的に行われたものと考えていますが、キャッシュ・フローや公正価値の見積りを修正した場合には、評価の結果が変わり、将来の自動車事業の業績が悪影響を受ける可能性があります。
退職給付費用および退職給付債務の計算には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の期待収益率、死亡率などの要素が含まれています。これらの仮定と実際の結果との差額は累計され、将来の会計期間にわたって償却するため、原則として将来の会計期間に費用化されます。マネジメントは、使用した仮定は妥当なものと考えていますが、実績との差異または仮定自体の変更により、トヨタの年金費用および債務に影響を与える可能性があります。
退職給付費用および退職給付債務の計算に影響を与える最も重要な仮定は、割引率と年金資産の期待収益率です。割引率は、現在利用可能で、かつ、年金給付の支払期日までの間利用可能と予想される高格付で確定利付の社債および確定利付の国債の利回りなどを考慮して決定しています。期待収益率は、保有している年金資産の構成、運用手法から想定されるリスク、過去の運用実績、運用基本方針および市場の動向等を考慮して決定しています。トヨタが当連結会計年度の退職給付費用の計算に適用した加重平均の割引率および期待収益率は、国内においてそれぞれ0.7%および2.4%、海外においてそれぞれ3.9%および5.6%です。また、当連結会計年度の退職給付債務の計算に適用した加重平均の割引率は、国内において0.6%、海外において3.8%です。
(感応度分析)
次の表は、退職給付引当金の見積りにあたり、トヨタが重要な見積りであると考えている加重平均の割引率と年金資産の期待収益率の仮定の変化を示したものであり、他のすべての条件は一定とみなして計算しています。
トヨタは、通常の業務の過程において、為替および金利変動に対するエクスポージャーを管理するために、デリバティブ商品を利用しています。デリバティブ商品の会計処理は複雑なものであり、かつ継続的に改訂されます。デリバティブの公正価値は主に、金利、為替レートなどの観測可能な市場情報および契約条項を利用した標準的な評価手法を用いて測定しています。観測可能な市場情報を入手できない場合には、取引相手から入手した価格やその他の市場情報により測定しています。これらの見積りは、それぞれの場合に照らして妥当と思われる評価方法に基づいていますが、異なる仮定を用いることにより見積公正価値が大きく変化することがあります。
トヨタは売却可能証券に区分される負債証券を公正価値で評価しています。容易に算定できる公正価値がない持分証券は、減損後の取得原価に同一発行者の同一または類似の投資の秩序ある取引での観察可能な価格の変動から生じる金額を加減算することにより測定しています。
特定の売却可能証券に区分される負債証券の価値の下落が一時的でないと判断される場合は、当該証券の帳簿価額は、公正価値まで減額されます。価値の下落が一時的でないかどうかの判断においてトヨタが考慮するのは、主に、公正価値が帳簿価額を下回っている期間と程度、投資対象の財政状態と将来の見通し、および将来市場価値の回復が予想される場合に、それまでの十分な期間にわたり当該対象への投資を継続するトヨタの能力および意思です。実現した売却資産の簿価は平均原価法に基づいて計算し、差額を損益に反映させています。
容易に算定できる公正価値がない持分証券は、投資が減損しているかどうかを評価するために、減損の兆候を検討して定性的評価を実施し、投資の公正価値が帳簿価額以下であることを示す場合には、持分証券の公正価値まで評価減を行っています。
これらの見積りに当たっては、それぞれの場合に照らして妥当と思われる評価方法に基づいていますが、観測可能な市場情報、発行企業の財務状況および将来の展望等の重要な仮定に対する不確実性や、異なる仮定および見積方法を用いることにより、公正価値が大きく変化することがあります。
繰延税金資産の回収可能性は、将来加算一時差異の解消、将来課税所得の見積り、および慎重かつ実行可能なタックスプランニング等を要素として評価されます。その評価の結果として、50%超の可能性で回収不能と見込まれる額、すなわち評価性引当金の計上額は、繰延税金資産の回収可能性に関連する入手可能なすべての肯定的な証拠と否定的な証拠の双方を適切に考慮して決定されます。
トヨタは、現時点で利用可能な情報に基づいた最善の見積りを行っていますが、予想し得ない要因や変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。
トヨタは、有形固定資産の減価償却方法について、主として、当社および日本の子会社においては定率法、海外子会社においては定額法を採用していますが、2020年3月期より、当社および日本の子会社の減価償却方法について、定額法に変更する予定です。定額法は、有形固定資産の今後の使用実態をより適切に反映する方法として望ましい方法であると考えています。この減価償却方法の変更の影響は、会計上の見積りの変更として将来にわたって認識されます。この償却方法の変更により、2020年3月期において減価償却費が約1,500億円減少する見込みです。
当社は、「クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む」、「様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する」の基本理念のもと、多様化・高度化する市場ニーズを的確にとらえた、高品質・低コストのより魅力ある商品を提供するため、積極的な研究開発活動を行っています。
トヨタの研究開発は、日本においては、当社を中心に、ダイハツ工業㈱、日野自動車㈱、トヨタ車体㈱、トヨタ自動車東日本㈱、㈱豊田中央研究所、トヨタ リサーチ インスティテュート アドバンスト デベロップメント㈱などの関係各社との密接な連携のもとで推進されています。
さらに、海外各地域のお客様のニーズに的確にお応えしたクルマづくりのために、グローバルな開発体制を構築しています。主な拠点として、北米地域にトヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ㈱のテクニカルセンター、キャルティ デザイン リサーチ㈱、トヨタ リサーチ インスティテュート㈱、欧州地域にトヨタ モーター ヨーロッパ㈱のテクニカルセンター、トヨタ ヨーロッパ デザイン ディベロップメント㈲、アジア地域にトヨタ ダイハツ エンジニアリング アンド マニュファクチャリング㈱のテクニカルセンター、トヨタ自動車研究開発センター (中国) ㈲、一汽トヨタ技術開発㈲、広汽トヨタ自動車㈲研究開発センターがあります。
当連結会計年度におけるトヨタの研究開発費は
当連結会計年度における事業別セグメントごとの活動状況および研究開発費は次のとおりです。
トヨタは、走りの楽しさや快適性などクルマがもたらす様々な恩恵による人々の心の豊かさの向上と、環境負荷や交通事故等のクルマのネガティブな面の最小化を、同時に高いレベルで実現していくことを商品・技術開発のビジョンとして掲げています。
当連結会計年度には、トヨタのグローバルコアモデルのひとつである「RAV4」を、TNGA (トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー) に基づくプラットフォームやパワートレーンなどにより一新し、意のままの走りと力強く洗練されたデザインを実現しました。また、新たなモビリティライフを提案する初代コネクティッドカーとして、「クラウン」をフルモデルチェンジするとともに、新たに「カローラ スポーツ」を発売しました。さらに、50年以上にわたりご愛用いただいている「センチュリー」を、「匠の技」と「高品質のモノづくり」を継承しつつ、乗り心地や走行安定性を一段と向上させました。加えて、新興国を中心に拡大する乗客輸送などのニーズにお応えするため、「ハイエース」に海外向け新シリーズを追加しました。レクサスブランドでは、数多くの国・地域において基幹モデルとしてブランドの歴史を創り上げてきた「ES」を日本で初めて発売し、また、新たなライフスタイルを提供する都会派コンパクトクロスオーバー「UX」をラインアップに加えました。
安全技術の開発については、モビリティ社会の究極の願いである「交通事故死傷者ゼロ」を目指し、「統合安全コンセプト」の考えのもと、衝突回避支援や車線逸脱防止支援、夜間の視界支援などの複数の安全機能をパッケージ化した「Toyota Safety Sense (トヨタ・セーフティ・センス) 」の導入を進めており、昨年には、全世界での累計出荷台数1,000万台を突破しました。本年1月に一部改良した「ヴォクシー」「ノア」「エスクァイア」には、昼間の歩行者も検知対象に加えたプリクラッシュセーフティ (レーザーレーダー+単眼カメラ) を採用しました。今後は交差点での歩行者や対向車との事故低減など、一層多くの死傷事故に適応できるよう開発を推進します。また、昨年12月には販売店装着の純正用品として、今お乗りいただいているクルマに取り付けることが可能な「踏み間違い加速抑制システム」を、「プリウス」および「アクア」から販売を開始し、今後、対象車種を広げていきます。
環境技術の開発については、「エコカーは普及してこそ環境への貢献」との考えのもと、国や地域ごとのエネルギーやインフラ整備の状況、さらにはエコカーの特徴に応じて、お客様の用途に合わせた最適なクルマを提供することを目指しています。多くのステークホルダーと思いを共有し、協調して電動車の普及に取り組むため、ハイブリッド車開発で培った車両電動化関連の技術について、特許実施権の無償提供などを決定しました。燃料電池車は、2020年代に乗用車・商用車の商品ラインアップを拡充するとともに、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) など幅広いステークホルダーとの連携により、燃料電池技術を様々な分野に展開していきます。また、電動車普及のキーファクターである車載用電池では、競争力のある電池の実現に向けた取り組みを強化・加速させるため、パナソニック㈱と合弁会社の設立に合意しました。低炭素で持続可能な社会の実現に向け、「2030年に電動車販売550万台以上」というチャレンジ目標を掲げ、今後も技術開発を加速させていきます。
当事業に係る研究開発費は
基礎研究分野においては、㈱豊田中央研究所を中心として、エネルギー・環境、機械、情報・通信、材料などの幅広い分野における研究活動に取り組んでいます。
住宅事業については、トヨタホーム㈱およびミサワホーム㈱が中心となり市場ニーズに対応した新商品および技術の開発に取り組んでいます。
その他の事業に係る研究開発費は