1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2020年3月31日現在において判断したものです。
トヨタは経営の基本方針を「トヨタ基本理念」として掲げており、その実現に向けた努力が、企業価値の増大につながるものと考えています。その内容は次のとおりです。
1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
2. 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
3. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
6. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
今後の世界経済は、新型コロナウイルスの影響により、多くの国・地域での急激な落ち込みが懸念されます。自動車の生産面、販売面にも既に大きな影響が及んでいます。一日も早い収束を願い、トヨタも一丸となって対応に力を尽くしていきます。一方、中長期目線では、環境問題など社会課題への対応や、電動化、自動運転、コネクティッド、シェアリングなどの技術革新の急速な進行などにより、自動車産業は100年に一度の大変革の時代を迎えています。
このような経営環境の中、トヨタは、新たな価値を創造する「未来への挑戦」と、1年1年着実に真の競争力を強化する「年輪的成長」を方針に掲げ、次の分野の取り組みを加速させていきます。
①Woven City (ウーブン・シティ)
本年1月に米国ラスベガスで開催された家電見本市 (CES) で、「コネクティッド・シティ」のプロジェクト概要を発表しました。トヨタ自動車東日本㈱の東富士工場の用地を発展させ、人々が生活を送るリアルな環境のもと、自動運転、MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス) 、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能 (AI) 技術などを導入・検証できる実証都市を新たに作ります。人々の暮らしを支えるあらゆるモノ、サービスがつながっていく時代を見据え、この街で技術やサービスの開発と実証のサイクルを素早く回すことで、新たな価値やビジネスモデルを生み出し続けることが狙いです。網の目のように道が織り込まれ合う街の姿から、この街を「Woven City」と名付けました。
バーチャルとリアルの世界の両方で将来技術を実証することで、街に住む人々、建物、車などモノとサービスが情報でつながることによるポテンシャルを最大化できると考えています。もっといい暮らしとMobility for Allを一緒に追求していきたい様々なパートナー企業や研究者と連携しながら、新たな街を作り上げていきます。
また、本年3月に日本電信電話㈱との業務資本提携に合意しました。両社が一体となり、スマートシティ実現のコア基盤となる「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築・運営し、「Woven City」をはじめとする国内外の様々なまちに連鎖的に展開することを目指しています。
②電動化
環境問題への対応には、クルマの電動化の推進が必要不可欠です。トヨタは、「エコカーは普及してこそ環境への貢献」との考えのもと、国や地域ごとのエネルギーやインフラ整備の状況、さらにはエコカーの特徴に応じて、お客様の用途に合わせた最適なクルマの提供を目指しています。
電動車の主力であるハイブリッド車は、本格普及に向けて、トヨタハイブリッドシステムを高性能化するとともに、ハイパワー型、簡易型など多様なタイプを開発し、お客様の様々なニーズに合わせて商品ラインアップを拡充していきます。電気自動車 (EV) は、主に3つの取り組みを進めています。1つ目は、新たなビジネスモデルの構築です。日本では小型・近距離・法人利用などにEVへのお客様ニーズがあると考え、本年より発売予定の超小型EVを活用した取り組みに着手します。2つ目は、中国、米国、欧州など市場が形成されつつある地域に向けては、ニーズに応じた多様なEVを、それぞれ得意分野を持つパートナー企業と共同で効率的に開発しています。3つ目は、高性能な電池の開発・電池需要の急拡大に対応する供給体制の整備です。パナソニック㈱と合弁会社を設立し、さらに中国の寧徳時代新能源科技股份有限公司 (CATL) 、比亜迪股份有限公司 (BYD) など世界の電池メーカーと協調しています。燃料電池車は、燃料電池システムをすべて一新し性能を大幅に向上するとともに、水素搭載量拡大などにより、航続距離を従来型比で約30%延長した「MIRAI」の次期モデルを本年末に発売予定です。また商用車に関しては、米国ロサンゼルス港を拠点に、燃料電池大型トラックを使用した貨物輸送オペレーションを開始しています。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、「2030年に電動車販売550万台以上」という目標を上回るスピードで、電動車の普及を進めていきます。
③自動運転
トヨタは、交通事故死傷者ゼロを目指し、1990年代から自動運転技術の研究開発に取り組んできました。その開発理念、「Mobility Teammate Concept (モビリティ・チームメイト・コンセプト) 」は、人とクルマが気持ちの通った仲間のような関係を築くというものです。
自動運転技術・予防安全技術を多くの人に利用いただくため、新型車への予防安全パッケージの採用に加え、今お乗り頂いているクルマに取り付けることが可能な「踏み間違い加速抑制システム」を発売し、順次対象車種の拡大を進めています。また、自動運転ライドシェア車両の開発と実用化を加速するため、Uber Technologies, Inc.のAdvanced Technologies Groupへの出資を行いました。さらに、自動運転に必要不可欠な人工知能技術の研究・開発を行うトヨタ・リサーチ・インスティテュート㈱は、今後自動運転実験車「TRI-P4」を使用し、一般の方向けの同乗試乗を行う予定です。
すべての人に、安全、便利かつ楽しいモビリティを提供することを究極の目標に、自動運転技術の開発・普及に取り組んでいきます。
④コネクティッド・MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス)
トヨタは、「すべてのクルマをコネクティッド化」「ビッグデータの活用」「新たなモビリティサービスの創出」の3つの取り組みによりコネクティッド戦略を推進しています。その重要なインフラがMSPF (モビリティサービス・プラットフォーム) です。コネクティッドカーとの接点となるクラウドの上位に構築し、MSPFを介してあらゆる事業者やサービスとオープンに連携し、新たなモビリティ社会の創造に貢献するものです。まず、本年までに日米中で販売されるほぼすべての乗用車に車載通信機を搭載し、他地域にも順次展開していきます。
MaaSは、2つのアプローチで進めています。1つ目は、当社・販売店が事業主体となる場合で、日本では、販売店・レンタリース店によるカーシェアリングサービス「TOYOTA SHARE」およびレンタカーの新サービスとして無人貸し渡しレンタカーサービス「チョクノリ!」の全国展開を昨年に開始しました。2つ目は、地域の有力なMaaS事業者と提携する場合です。アジアでは、Grab Holdings Inc.とMSPF上で車両データを共有し、車両管理・保険・メンテナンスを一貫して行うライドシェア車両向けトータルケアサービスを開始しました。また同社との取り組みとして、稼働率が高く頻繁にメンテナンスが必要なMaaS車両の入庫時間を、TPS (トヨタ生産方式) の導入により半減させました。中国では、Didi Chuxingと昨年に合弁会社を設立し、同社のドライバー向けレンタル事業に着手しました。将来的には、自動運転機能が加わったMaaS車両 (Autono-MaaS) を活用し、新しいビジネスモデルを構築していくことが必要です。電動化も組合せた専用車3車種の早期導入に向け、開発に取り組んでいます。
⑤原価低減・TPS (トヨタ生産方式)
当社は、真の競争力向上に向け、先人たちが強みとして受け継いできた当社のDNAである「原価低減」と「TPS」を徹底的に磨くことに取り組んでいます。「原価」を見るとは、「行動」を見ることです。一人ひとりが日々の業務から各プロジェクトに至るまで、あらゆる行動を精査し、何が「ムダ」か、総知総力で考え見直していきます。
また、常に改善する風土を全社に広げていくため、昨年から全員参加での業務改善を進めた結果、業務改善の提案制度「創意くふう」の参加率は、全社で60%から90%に上昇しました。今後も100%全員参加と質の向上に取り組んでいきます。
さらに、パートナーである仕入先とも従来の活動を超え、競争力向上につながる活動を共に推進しています。各仕入先とのコミュニケーションから多くの困り事を共有していただき、全社一体となって1件1件の課題の解決に取り組んでいます。一部の仕入先に限らず、サプライチェーン全体に活動を深めていく取り組みも始めています。
⑥人事制度
当社は、100年に一度の大変革の時代を迎え、「トヨタらしさ」という原点に立ち戻ることが大切と考えています。トヨタで働く者として守るべき基本姿勢は「素直、正直。ごまかさない、隠さない」ということであり、トヨタの競争力の源泉は、TPSと原価の造り込みです。
もう一度「トヨタらしさ」を取り戻すために、役員体制については、副社長と執行役員を執行役員に一本化し、社長と次世代のリーダーが直接会話し、一緒に悩む時間を増やしていきます。
また、「トヨタらしさ」を理解・実践し、他流試合でも勝負できる「専門性」と「人間力」を備えたプロを育成するため、本年から評価基準をはじめ、様々な人事制度を刷新しました。学歴、職種、職位などに関わる様々な線引きをなくし、「成長しようと努力する人」「仲間のために働く人」に報いる人事制度にしました。すべての役員・従業員の仕事のやり方をモデルチェンジするチャンスとして、変革に取り組んでいきます。
これらの取り組みを進めるため、トヨタは、「モノづくりを通じて社会に貢献する」という創業の理念を受け継ぎ、品質・安全を最優先に、役員・従業員一同が心を合わせ、謙虚・感謝の気持ちと情熱を持って歩んでまいります。株主の皆様におかれましては、引き続き変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。
以下において、トヨタの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。ただし、以下はトヨタに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日 (2020年6月24日) 現在において判断したものです。
世界の自動車市場では激しい競争が繰り広げられています。トヨタは、ビジネスを展開している各々の地域で、自動車メーカーとの競争に直面しています。自動車市場における競争はさらに激化しており、厳しい状況が続いています。また、世界の自動車産業のグローバル化がさらに進むことによって、競争は今後より一層激化する可能性があり、業界再編につながる可能性もあります。競争に影響を与える要因としては、製品の品質・機能、安全性、信頼性、燃費、革新性、開発に要する期間、価格、カスタマー・サービス、自動車金融の利用条件等の点が挙げられます。競争力を維持することは、トヨタの既存および新規市場における今後の成功、販売シェアにおいて最も重要です。トヨタは、昨今の自動車市場の急激な変化に的確に対応し、今後も競争力の維持強化に向けた様々な取り組みを進めていきますが、将来優位に競争することができないリスクがあります。競争が激化した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
トヨタが参入している各市場では、今までも需要が変動してきました。各市場の状況によって、自動車の販売は左右されます。トヨタの販売は、世界各国の市場に依存しており、各市場の景気動向はトヨタにとって特に重要です。当連結会計年度においては、貿易摩擦の影響や、新型コロナウイルスの影響が中国から北米・欧州・アジアなどへ拡がったことにより、緩やかな拡大基調から急激な減速に転じました。自動車市場は、中国や新興国の一部で落ち込みがみられたものの、先進国では安定的に推移し、世界全体でも微減にとどまっておりましたが、新型コロナウイルスによる、世界的な工場の稼働停止や販売店の営業停止など、大きく影響が及び始めました。このような需要の変化は現在でも続いており、この状況が今後どのように推移するかは不透明です。今後トヨタの想定を超えて需要の変化が継続または悪化した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。また、需要は、販売・金融インセンティブ、原材料・部品等の価格、燃料価格、政府の規制 (関税、輸入規制、その他の租税を含む) など、自動車の価格および自動車の購入・維持費用に直接関わる要因により、影響を受ける場合があります。需要が変動した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
③お客様のニーズに速やかに対応した、革新的で価格競争力のある新商品を投入する能力
製品の開発期間を短縮し、魅力あふれる新型車でお客様にご満足いただくことは、自動車メーカーにとっては成功のカギとなります。特に、品質、安全性、信頼性において、お客様にご満足いただくことは非常に重要です。世界経済の変化に伴い、自動車市場の構造が急激に変化している現在、お客様の価値観とニーズの急速な変化に対応した新型車を適時・適切にかつ魅力ある価格で投入することは、トヨタの成功にとってこれまで以上に重要であり、技術・商品開発から生産にいたる、トヨタの事業の様々なプロセスにおいて、そのための取り組みを進めています。しかし、トヨタが、品質、安全性、信頼性、スタイルその他の性能に関するお客様の価値観とニーズを適時・適切にかつ十分にとらえることができない可能性があります。また、トヨタがお客様の価値観とニーズをとらえることができたとしても、その有する技術、知的財産、原材料や部品の調達、原価低減能力を含む製造能力またはその他生産性に関する状況により、価格競争力のある新製品を適時・適切に開発・製造できない可能性があります。また、トヨタが計画どおりに設備投資を実施し、製造能力を維持・向上できない可能性もあります。お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに売上高と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
④効果的な販売・流通を実施する能力
トヨタの自動車販売の成功は、お客様のご要望を満たす流通網と販売手法に基づき効果的な販売・流通を実施する能力に依存します。トヨタはその参入している各主要市場の規制環境において、お客様の価値観または変化に効果的に対応した流通網と販売手法を展開していますが、それができない場合は、売上高および販売シェアが減少するリスクがあります。
⑤ブランド・イメージの維持・発展
競争の激しい自動車業界において、ブランド・イメージを維持し発展させることは非常に重要です。ブランド・イメージを維持し発展させるためには、お客様の価値観やニーズに対応した安全で高品質の製品を提供することで、お客様の信頼をさらに高めていくことが重要です。トヨタが、安全で高品質の製品を提供することができない、または、リコール等の市場処置が必要であるにもかかわらず迅速な対応がなされないなどの結果、トヨタのブランド・イメージを効果的に維持し発展させることができなかった場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、その結果、売上高と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
⑥仕入先への部品供給の依存
トヨタは、部品や原材料などの調達部品を世界中の複数の競合する仕入先から調達する方針を取っていますが、調達部品によっては他の仕入先への代替が難しいものもあり、特定の仕入先に依存しているものがあります。また、その調達部品が様々な車種に共通して使用される場合、当該部品の調達がより困難となり、生産面への影響を受ける可能性があります。さらに、トヨタが直接の取引先である一次仕入先を分散していたとしても、一次仕入先が部品調達を二次以降の特定の仕入先に依存していた場合、同様に部品の供給を受けられないリスクもあります。トヨタが調達部品を継続的にタイムリーかつ低コストで調達できるかどうかは、多くの要因の影響を受けますが、それら要因にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。それらの要因の中には、仕入先が継続的に調達部品を調達し供給できるか、またトヨタが、仕入先から調達部品を競争力のある価格で供給を受けられるか等が含まれます。特定の仕入先を失う、またはそれら仕入先から調達部品をタイムリーもしくは低コストで調達出来ない場合、トヨタの生産に遅延や休止またはコストの増加を引き起こす可能性があり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶ可能性があります。
⑦金融サービスにおける競争の激化
世界の金融サービス業界では激しい競争が繰り広げられています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があります。この他トヨタの金融事業に影響を与える要因には、トヨタ車の販売台数の減少、中古車の価格低下による残存価値リスクの増加、貸倒率の増加および資金調達費用の増加が挙げられます。
⑧デジタル情報技術への依存
トヨタは、機密データを含む電子情報を処理・送信・蓄積するため、または製造・研究開発・サプライチェーン管理・販売・会計を含む様々なビジネスプロセスや活動を管理・サポートするために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しています。さらに、トヨタの製品にも情報サービス機能や運転支援機能など様々なデジタル情報技術が利用されています。これらのデジタル情報技術ネットワークやシステムは、安全対策が施されているものの、ハッカーによる不正アクセスやコンピュータウィルスによる攻撃、トヨタが利用するネットワークおよびシステムにアクセスできる者による不正使用・誤用、開発ベンダー・クラウド業者など関係取引先からのサービスの停止、電力供給不足を含むインフラの障害、天災などによって被害や妨害を受ける、または停止する可能性があります。特にサイバー攻撃や他の不正行為は苛烈さ、巧妙さ、頻度において脅威を増しており、そのような攻撃の標的にされる恐れがあります。このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、機密データの漏洩、トヨタ製品の情報サービス機能・運転支援機能などへの悪影響のほか、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払い義務などが発生する可能性もあります。その結果、トヨタのブランド・イメージや、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。
①為替および金利変動の影響
トヨタの収益は、外国為替相場の変動に影響を受け、主として日本円、米ドル、ユーロ、ならびに豪ドル、ロシア・ルーブル、加ドルおよび英国ポンドの価格変動によって影響を受けます。トヨタの連結財務諸表は、日本円で表示されているため、換算リスクという形で為替変動の影響を受けます。また、為替相場の変動は、外国通貨で販売する製品および調達する材料に、取引リスクという形で影響を与える可能性があります。特に、米ドルに対する円高の進行は、トヨタの経営成績に悪影響を与える可能性があります。
トヨタは、為替相場および金利の変動リスクを軽減するために、現地生産を行い、先物為替予約取引や金利スワップ取引を含むデリバティブ金融商品を利用していますが、依然として為替相場と金利の変動は、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。為替変動の影響およびデリバティブ金融商品の利用に関しては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①概観 d.為替の変動」および連結財務諸表注記22を参照ください。
②原材料価格の上昇
鉄鋼、貴金属、非鉄金属 (アルミ等) 、樹脂関連部品など、トヨタおよびトヨタの仕入先が製造に使用する原材料価格の上昇は、部品代や製造コストの上昇につながり、これらのコストを製品の販売価格に十分に転嫁できない、あるいは仕入先がこれらのコストを十分に吸収できない結果、トヨタの将来の収益性に悪影響を与える可能性があります。
③金融市場の低迷
世界経済が急激に悪化した場合、多くの金融機関や投資家は、自らの財務体力に見合った水準で金融市場に資金を供給することが難しい状況に陥る可能性があります。その結果、企業がその信用力に見合った条件で資金調達をすることが困難になる可能性があります。必要に応じて資金を適切な条件で調達できない場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。
①自動車産業に適用される政府の規制
世界の自動車産業は、自動車の安全性や排ガス、燃費、騒音、公害をはじめとする環境問題などに関する様々な法律と政府の規制の適用を受けています。特に、安全面では、法律や政府の規制に適合しない、またはその恐れのある自動車は、リコール等の市場処置の実施が求められます。さらに、トヨタはお客様の安心感の観点から、法律や政府の規制への適合性に関わらず、自主的にリコール等の市場処置を実施する可能性もあります。トヨタが市場に投入した車両にリコール等の市場処置が必要となった場合 (リコール等に関係する部品はトヨタが第三者から調達したものも含む) 、製品のリコールや無償のサービスキャンペーンに係る費用を含めた様々な費用が発生する可能性があります。また、多くの政府は、価格管理規制や為替管理規制を制定しています。トヨタは、国際貿易の動向や政策の変化に関する費用を含むこれらの規制に適合するために費用を負担し、今後も法令遵守のために費用が発生する可能性があります。また、新しい法律または現行法の改正により、トヨタの今後の費用負担が増えるリスクがあります。このように、市場処置を講じたり法律や政府の規制へ適合するために多額の費用が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
②法的手続
トヨタは、製造物責任、知的所有権の侵害等、様々な法的手続の当事者となる可能性があります。また、株主との間で法的手続の当事者となったり、行政手続または当局の調査の対象となる可能性もあります。現在トヨタは、行政手続および当局の調査を含む、複数の係属中の法的手続の当事者となっています。トヨタが当事者となる法的手続で不利な判断がなされた場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。政府の規制等の法的手続の状況については連結財務諸表注記25を参照ください。
③自然災害、感染症、政治動乱、経済の不安定な局面、燃料供給の不足、インフラの障害、戦争、テロまたはストライキの発生
トヨタは、全世界で事業を展開することに関連して、様々なイベントリスクにさらされています。これらのリスクとは、自然災害、感染症の発生・蔓延、政治・経済の不安定な局面、燃料供給の不足、天災などによる電力・交通機能・ガス・水道・通信等のインフラの障害、戦争、テロ、ストライキ、操業の中断などが挙げられます。トヨタが製品を製造するための材料・部品・資材などを調達し、またはトヨタの製品が製造・流通・販売される主な市場において、これらの事態が生じた場合、トヨタの事業運営に障害または遅延をきたす可能性があります。トヨタの事業運営において、重大または長期間の障害ならびに遅延が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大およびこれに対する政府やその他のステークホルダーの対応により、トヨタは様々な面で悪影響を受けています。例えば、政府からの要請や自動車需要の落ち込みが見込まれることなどの理由により、トヨタは多くの国・地域の一部の工場で、自動車および部品の生産を一時的に停止しているか、または今後そのような措置を講じることがあります。新型コロナウイルスの影響は、トヨタのディーラーおよび販売代理店のほか、一部の仕入先および取引先の事業にも及んでおり、今後も継続することが見込まれます。また、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大および関連する問題は、様々な業界のビジネスや消費者にも悪影響を及ぼしており、これらはトヨタの自動車および金融サービスの需要にネガティブな影響を与えています。
前述の要因は、トヨタの自動車販売台数の減少および貸倒引当金や残価損失引当金の増加などにより、2020年3月期第4四半期のトヨタの売上高および営業利益に悪影響を及ぼしました。「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」を参照ください。これらの要因は、2021年3月期の業績にも悪影響を及ぼすことが予想されます。
新型コロナウイルスの収束時期や将来的な影響は依然として不透明であり、前述の影響やそれ以外の本書に記載されていない影響、および新型コロナウイルスの最終的な影響については予測しがたく、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。
①経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、貿易摩擦の影響や、新型コロナウイルスの影響が中国から北米・欧州・アジアなどへ拡がったことにより、緩やかな拡大基調から急激な減速に転じました。
自動車市場は、中国や新興国の一部で落ち込みがみられたものの、先進国では安定的に推移し、世界全体でも微減にとどまっておりましたが、新型コロナウイルスによる、世界的な工場の稼働停止や販売店の営業停止など、大きく影響が及び始めました。
このような経営環境の中、トヨタは、お客様の期待を超える「もっといいクルマ」づくりに取り組んできました。新型「ヤリス」は、コンパクトカーならではの軽快なハンドリングを活かしつつ、上質な乗り心地と最新の安全・安心技術を備えたクルマを目指して開発しました。また、「SUVに乗りたい、荷物をたくさん積みたい、でも運転しやすいコンパクトなサイズがいい」といったご要望にお応えする「ライズ」を発売しました。加えて、市街地走行や多人数乗車にも適したミッドサイズSUVである「ハイランダー」を米国から順次、海外市場に投入していきます。レクサスブランドでは、コンパクトクロスオーバーUXの個性的なデザインや、高い利便性、取り回しやすさはそのままに、レクサスの電気自動車(EV) ならではの上質ですっきりと奥深い走りと優れた静粛性を追求した「UX300e」を中国で公開しました。また、FIA世界ラリー選手権で勝ち抜くための知見やノウハウを注ぎ込んだスポーツカー「GRヤリス」を東京オートサロン2020で披露しました。
当連結会計年度における日本、海外を合わせた自動車の連結販売台数は、895万8千台と、前連結会計年度に比べて1万9千台(0.2%) の減少となりました。日本での販売台数については、新製品の積極的な投入や全国販売店の努力により、224万台と、前連結会計年度に比べて1万4千台(0.6%) 増加し、軽自動車を除くトヨタ・レクサスブランドの販売シェアは過去最高の48.8%、軽自動車を含む販売シェア(含むダイハツおよび日野ブランド) は過去最高の45.5%と、前連結会計年度に引き続き高いレベルで推移しました。一方、海外においては、アジアおよび北米で販売台数が減少したことにより、671万9千台と、前連結会計年度に比べて3万2千台(0.5%) の減少となりました。
当連結会計年度の業績については、次のとおりです。
なお、営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。
当連結会計年度の営業利益には、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い連結販売台数が減少したことなどによる影響1,600億円の損失が含まれています。また、当連結会計年度より、当社および日本の子会社の減価償却方法を定額法に変更したことによる減価償却費の減少1,732億円が含まれています。
当社株主に帰属する当期純利益の増減には、当連結会計年度における未実現持分証券評価損益の影響381億円の損失(税効果考慮後) が含まれています。
事業別セグメントの業績は、次のとおりです。
売上高は26兆8,635億円と、前連結会計年度に比べて2,155億円(0.8%) の減収となりましたが、営業利益は2兆523億円と、前連結会計年度に比べて134億円(0.7%) の増益となりました。営業利益の増益は、原価改善の努力および諸経費の減少・低減努力などによるものです。
売上高は2兆1,905億円と、前連結会計年度に比べて370億円(1.7%) の増収となりましたが、営業利益は2,921億円と、前連結会計年度に比べて306億円(9.5%) の減益となりました。営業利益の減益は、販売金融子会社において、貸倒関連費用が増加したことなどによるものです。
売上高は1兆5,045億円と、前連結会計年度に比べて1,718億円(10.2%) の減収となり、営業利益は966億円と、前連結会計年度に比べて88億円(8.4%) の減益となりました。
所在地別の業績は、次のとおりです。
売上高は16兆4,615億円と、前連結会計年度に比べて1,638億円(1.0%) の減収となり、営業利益は1兆5,679億円と、前連結会計年度に比べて1,236億円(7.3%) の減益となりました。営業利益の減益は、販売面での影響および為替変動の影響などによるものです。
売上高は10兆6,387億円と、前連結会計年度に比べて1,784億円(1.7%) の減収となりましたが、営業利益は2,706億円と、前連結会計年度に比べて1,561億円(136.3%) の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力などによるものです。
売上高は3兆3,608億円と、前連結会計年度に比べて1,220億円(3.8%) の増収となり、営業利益は1,505億円と、前連結会計年度に比べて256億円(20.6%) の増益となりました。営業利益の増益は、販売台数の増加などによるものです。
売上高は5兆3,386億円と、前連結会計年度に比べて1,743億円(3.2%) の減収となり、営業利益は3,709億円と、前連結会計年度に比べて864億円(18.9%) の減益となりました。営業利益の減益は、為替変動の影響などによるものです。
売上高は2兆1,125億円と、前連結会計年度に比べて2,209億円(9.5%) の減収となり、営業利益は907億円と、前連結会計年度に比べて3億円(0.4%) の減益となりました。
当連結会計年度末における財政状態については、次のとおりです。
総資産は52兆6,804億円と、前連結会計年度末に比べて7,434億円 (1.4%) の増加となりました。負債は31兆4,385億円と、前連結会計年度末に比べて668億円 (0.2%) の増加となりました。純資産は21兆2,418億円と、前連結会計年度末に比べて6,766億円 (3.3%) の増加となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物並びに拘束性現金の残高は4兆4,121億円と、前連結会計年度末に比べて7,056億円 (19.0%) の増加となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減は、次のとおりです。
当連結会計年度の営業活動からのキャッシュ・フローは、3兆5,906億円の資金の増加となり、前連結会計年度が3兆7,665億円の増加であったことに比べて、1,759億円の減少となりました。
当連結会計年度の投資活動からのキャッシュ・フローは、3兆1,508億円の資金の減少となり、前連結会計年度が2兆6,972億円の減少であったことに比べて、4,536億円の減少となりました。
当連結会計年度の財務活動からのキャッシュ・フローは、3,971億円の資金の増加となり、前連結会計年度が5,408億円の減少であったことに比べて、9,379億円の増加となりました。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
当社および連結製造子会社は、国内販売店、海外販売店等からの受注状況、最近の販売実績および販売見込等の情報を基礎として、見込生産を行っています。
当連結会計年度における販売実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
前述の当連結会計年度における「自動車事業」の販売数量を、仕向先別に示すと、次のとおりです。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日 (2020年6月24日)
現在において判断したものです。
トヨタの事業セグメントは、自動車事業、金融事業およびその他の事業で構成されています。自動車事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度においてトヨタの売上高合計 (セグメント間売上控除前) の88%を占めています。当連結会計年度における車両販売台数ベースによるトヨタの主要な市場は、日本 (25.0%) 、北米 (30.3%) 、欧州 (11.5%) およびアジア (17.9%) となっています。
世界の自動車市場は、非常に競争が激しく、また予測が困難な状況にあります。さらに、自動車業界の需要は、社会、政治および経済の状況、新車および新技術の導入ならびにお客様が自動車を購入または利用される際に負担いただく費用といった様々な要素の影響を受けます。これらの要素により、各市場および各タイプの自動車に対するお客様の需要は、大きく変化します。
当連結会計年度の自動車市場は、中国や新興国の一部で落ち込みがみられたものの、先進国では安定的に推移し、世界全体でも微減にとどまっておりましたが、新型コロナウイルスによる、世界的な工場の稼働停止や販売店の営業停止など、大きく影響が及び始めました。
次の表は、過去2連結会計年度における各仕向地域別の連結販売台数を示しています。
(注) 「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中近東ほかからなります。
トヨタの日本における連結販売台数は、前連結会計年度は減少しましたが、新商品の積極的な投入や全国販売店の努力により、当連結会計年度は増加しました。軽自動車を除くトヨタ・レクサスブランドの販売シェアはそれぞれ45.9%および過去最高の48.8%、軽自動車を含む販売シェア (ダイハツおよび日野ブランドを含む) はそれぞれ43.6%および過去最高の45.5%と、前連結会計年度に引き続き高いレベルで推移しました。トヨタの海外における連結販売台数は、前連結会計年度は増加しましたが、当連結会計年度は減少しました。前連結会計年度は、アジアおよび欧州で販売台数が増加したことにより、全体としては増加となりました。当連結会計年度は、欧州およびその他の地域で販売台数が増加したものの、アジアおよび北米で販売台数が減少したことにより、全体としては減少となりました。なお、当連結会計年度の連結販売台数には、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴う影響127千台の減少が含まれています。
各市場における全車両販売台数に占めるトヨタのシェアは、製品の品質、安全性、信頼性、価格、デザイン、性能、経済性および実用性についての他社との比較により左右されます。また、時機を得た新車の導入やモデルチェンジの実施も、お客様のニーズを満たす重要な要因です。変化し続けるお客様の嗜好を満たす能力も、売上および利益に大きな影響をもたらします。
自動車事業の収益性は様々な要因により左右されます。これらには次のような要因が含まれます。
車両販売台数
販売された車両モデルとオプションの組み合わせ
部品・サービス売上
価格割引およびその他のインセンティブのレベルならびにマーケティング費用
顧客からの製品保証に関する請求およびその他の顧客満足のための修理等にかかる費用
研究開発費等の固定費
原材料価格
コストの管理能力
生産資源の効率的な利用
特定の仕入先への部品供給の依存による生産への影響
自然災害および感染症の発生・蔓延や社会インフラの障害による市場・販売・生産への影響
日本円およびトヨタが事業を行っている地域におけるその他通貨の為替相場の変動
法律、規制、政策の変更およびその他の政府による措置も自動車事業の収益性に著しい影響を及ぼすことがあります。これらの法律、規制および政策には、車両の製造コストを大幅に増加させる環境問題、車両の安全性、燃費および排ガスに影響を及ぼすものが含まれます。
多くの国の政府が、現地調達率を規定し、関税およびその他の貿易障壁を課し、あるいは自動車メーカーの事業を制限したり本国への利益の移転を困難にするような価格管理あるいは為替管理を行っています。このような法律、規制、政策その他の行政措置における変更は、製品の生産、ライセンス、流通もしくは販売、原価、あるいは適用される税率に影響を及ぼすことがあります。トヨタは、トヨタ車の安全性について潜在的問題がある場合に適宜リコール等の市場処置 (セーフティ・キャンペーンを含む) を発表しています。2009年以降、トヨタは、アクセルペダルがフロアマットに引っ掛かり戻らなくなる問題に関するセーフティ・キャンペーンおよびアクセルペダルの不具合に関するリコールを発表しました。前述のリコール等の市場処置をめぐり、トヨタに対する申し立ておよび訴訟が提起されています。これらの申し立ておよび訴訟に関しては、連結財務諸表注記25を参照ください。
世界の自動車産業は、グローバルな競争の時期にあり、この傾向は予見可能な将来まで続く可能性があります。また、トヨタが事業を展開する競争的な環境は、さらに激化する様相を呈しています。トヨタは一独立企業として自動車産業で効率的に競争するための資源、戦略および技術を予見可能な将来において有していると考えています。
自動車金融の市場は、大変競争が激しくなっています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があり、また、顧客がトヨタ車を購入する際にトヨタ以外の金融サービスを利用するようになる場合、マーケット・シェアが低下することも考えられます。
トヨタの金融サービス事業は、主として、顧客および販売店に対する融資プログラムおよびリース・プログラムの提供を行っています。トヨタは、顧客に対して資金を提供する能力は、顧客に対しての重要な付加価値サービスであると考え、金融子会社のネットワークを各国へ展開しています。
小売融資およびリースにおけるトヨタの主な競争相手には、商業銀行、消費者信用組合、その他のファイナンス会社が含まれます。一方、卸売融資における主な競争相手には、商業銀行および自動車メーカー系のファイナンス会社が含まれます。
トヨタの金融債権<純額>は、主に小売債権などの増加により、当連結会計年度において増加しました。また、賃貸用車両及び器具<純額>は、主に為替変動の影響により、当連結会計年度において減少しました。
金融債権および賃貸用車両及び器具の詳細については、連結財務諸表注記7、10を参照ください。
トヨタの金融債権は、回収可能性リスクを負っています。これは顧客もしくは販売店の支払不能や、担保価値 (売却費用控除後) が債権の帳簿価額を下回った場合に発生する可能性があります。詳細については、「⑪重要な会計上の見積り b.貸倒引当金および金融損失引当金」および連結財務諸表注記11を参照ください。
トヨタは、車両リースを継続的に提供してきました。当該リース事業によりトヨタは残存価額のリスクを負っています。これは車両リース契約の借手が、リース終了時に車両を購入するオプションを行使しない場合に発生する可能性があります。詳細については、「⑪重要な会計上の見積り c.オペレーティング・リースに対する投資」および連結財務諸表注記3 (10) 残価損失引当金を参照ください。
トヨタは、主に固定金利借入債務を機能通貨建ての変動金利借入債務へ転換するために、金利スワップおよび金利通貨スワップ契約を結んでいます。特定のデリバティブ金融商品は、経済的企業行動の見地からは金利リスクをヘッジするために契約されていますが、トヨタの連結貸借対照表における特定の資産および負債をヘッジするものとしては指定されていないため、それらの指定されなかったデリバティブから生じる未実現評価損益は、その期間の損益として計上されます。詳細については、「⑪重要な会計上の見積り f.公正価値計上のデリバティブ等の契約」ならびに連結財務諸表注記22および29を参照ください。
資金調達コストの変動は、金融事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。資金調達コストは、数多くの要因の影響を受けますが、その中にはトヨタがコントロールできないものもあります。これには、全般的な景気、金利およびトヨタの財務力などが含まれます。当連結会計年度の資金調達コストは主に市場金利の上昇により増加しました。
トヨタは、2001年4月に日本でクレジットカード事業を立上げました。カード会員数は、2019年3月31日現在15.8百万人と、2018年3月31日から0.5百万人の増加となりました。また、2020年3月31日現在15.9百万人と、2019年3月31日から0.1百万人の増加となりました。カード債権は2019年3月31日現在4,756億円と、2018年3月31日から429億円の増加となりました。また、2020年3月31日現在4,817億円と、2019年3月31日から61億円の増加となりました。
トヨタのその他の事業には、情報通信事業・ガズー事業等の情報技術関連事業、プレハブ等住宅の製造・販売を手掛ける住宅事業等が含まれます。なお、当社は、パナソニック株式会社 (以下、パナソニックという。) と街づくり事業に関する新しい合弁会社であるプライム ライフ テクノロジーズ株式会社 (以下、プライム ライフ テクノロジーズという。) を設立し、同社はトヨタの持分法適用会社となりました。また、当社の連結子会社であったトヨタホーム株式会社 (以下、トヨタホームという。) およびミサワホーム株式会社 (以下、ミサワホームという。) はプライム ライフ テクノロジーズの完全子会社となったことにより、当社の連結子会社ではなくなりました。詳細については、連結財務諸表注記5を参照ください。
トヨタは、その他の事業は連結業績に大きな影響を及ぼすものではないと考えています。
トヨタは、為替変動による影響を受けやすいといえます。トヨタは日本円の他に主に米ドルおよびユーロの価格変動の影響を受けており、また、米ドルやユーロに加え、豪ドル、ロシア・ルーブル、加ドルおよび英国ポンドなどについても影響を受けることがあります。日本円で表示されたトヨタの連結財務諸表は、換算リスクおよび取引リスクによる為替変動の影響を受けています。
換算リスクとは、特定期間もしくは特定日の財務諸表が、事業を展開する国々の通貨の日本円に対する為替の変動による影響を受けるリスクです。たとえ日本円に対する通貨の変動が大きく、前連結会計年度との比較において、また地域ごとの比較においてかなりの影響を及ぼすとしても、換算リスクは報告上の考慮事項に過ぎず、その基礎となる業績を左右するものではありません。トヨタは換算リスクに対してヘッジを行っていません。
取引リスクとは、収益と費用および資産と負債の通貨が異なることによるリスクです。取引リスクは主にトヨタの日本製車両の海外売上に関係しています。
トヨタは、生産施設が世界中に所在しているため、取引リスクは大幅に軽減されていると考えています。グローバル化戦略の一環として、車両販売を行う主要市場において生産施設を建設することにより、生産を現地化してきました。2018年 (暦年) および2019年 (暦年) において、トヨタの海外における車両販売台数のそれぞれ72.8%および70.2%が海外で生産されています。北米では2018年 (暦年) および2019年 (暦年) の車両販売台数のそれぞれ68.9%および67.3%が現地で生産されています。欧州では2018年 (暦年) および2019年 (暦年) の車両販売台数のそれぞれ78.3%および73.4%が現地で生産されています。生産の現地化により、トヨタは生産過程に使用される供給品および原材料の多くを現地調達することができ、現地での収益と費用の通貨のマッチングをはかることが可能です。
トヨタは、取引リスクの一部に対処するために為替の取引およびヘッジを行っています。これにより為替変動による影響は軽減されますが、すべて排除されるまでには至っておらず、年によってその影響が大きい場合もあり得ます。為替変動リスクをヘッジするためにトヨタで利用されるデリバティブ金融商品に関する追加的な情報については、連結財務諸表注記22および29を参照ください。
一般的に、円安は売上高、営業利益および当社株主に帰属する当期純利益に好影響を及ぼし、円高は悪影響を及ぼします。日本円の米ドルに対する期中平均相場および決算日の為替相場は、前連結会計年度に比べて円高に推移しました。日本円のユーロに対する期中平均相場および決算日の為替相場は、前連結会計年度に比べて円高に推移しました。
トヨタの最も重要な事業セグメントは、自動車事業セグメントです。トヨタは、世界の自動車市場においてグローバル・コンペティターとして自動車事業を展開しています。マネジメントは世界全体の自動車事業を一つの事業セグメントとして資源の配分やその実績の評価を行っており、自動車事業セグメント内で資源を配分するために、販売台数、生産台数、マーケット・シェア、車両モデルの計画および工場のコストといった財務およびそれ以外に関するデータの評価を行っています。トヨタは国内・海外または部品等のような自動車事業の一分野を個別のセグメントとして管理していません。
次の表は、過去2連結会計年度のトヨタの地域別外部顧客向け売上高を示しており、当社または連結子会社の所在国の位置を基礎として集計しています。
(注) 「その他」 は、中南米、オセアニア、アフリカ、中近東からなります。
(注) 「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中近東からなります。
当連結会計年度の売上高は29兆9,299億円と、前連結会計年度に比べて2,956億円 (1.0%) の減収となりました。この減収は、主に為替変動の影響8,800億円によるものですが、車両販売台数および販売構成の変化による影響4,400億円により一部相殺されています。なお、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い連結販売台数が減少した影響3,800億円の減収が含まれています。
トヨタの事業別外部顧客向け売上高の商品別内訳は次のとおりです。
売上高は自動車事業およびその他の事業の合計である商品・製品売上高ならびに金融収益で構成されており、当連結会計年度の商品・製品売上高は27兆7,597億円と、前連結会計年度に比べて1.2%の減収となり、金融収益は2兆1,702億円と、前連結会計年度に比べて2.4%の増収となりました。商品・製品売上高の減収は、主に為替換算レート変動の影響によるものです。前連結会計年度末および当連結会計年度末の各地域における融資件数 (残高) の状況は次のとおりです。
・金融事業における融資件数残高
(注) 「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカからなります。
当連結会計年度の売上高 (セグメント間売上控除前) は前連結会計年度に比べて、日本では1.0%、北米では1.7%、アジアでは3.2%、その他の地域では9.5%の減収、欧州では3.8%の増収となりました。為替変動の影響8,800億円を除いた場合、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて、日本では1.0%、アジアでは0.5%の減収、北米では0.5%、欧州では10.4%、その他の地域では5.0%の増収であったと考えられます。
各地域における売上高 (セグメント間売上控除前) の状況は次のとおりです。
・日本
日本においては、輸出台数を含むトヨタの販売台数は前連結会計年度に比べて111千台増加したものの、輸出取引に係る為替変動の影響などにより、減収となりました。前連結連結会計年度および当連結連結会計年度における輸出台数はそれぞれ1,947千台および2,044千台となりました。
・北米
北米においては、トヨタの販売台数は前連結会計年度に比べて32千台減少し、減収となりました。
・欧州
欧州においては、トヨタの販売台数は前連結会計年度に比べて35千台増加し、増収となりました。
・アジア
アジアにおいては、主にタイ、インド、インドネシアなどでの市場悪化に伴い、トヨタの販売台数は前連結会計年度に比べて79千台減少し、減収となりました。
・その他の地域
その他の地域においては、トヨタの販売台数は前連結会計年度に比べて45千台増加したものの、主に日本円に換算する際の為替の影響により、減収となりました。
当連結会計年度における営業費用は27兆4,871億円と、前連結会計年度に比べて2,710億円 (1.0%) の減少となりました。この減少は、為替変動の影響5,750億円、原価改善の努力1,700億円、諸経費の減少・低減努力450億円ならびにその他2,081億円によるものですが、車両販売台数および販売構成の変化による影響7,000億円および金融費用の増加 (為替変動の影響を除く) 271億円により一部相殺されています。なお、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴う影響2,200億円の減少が車両販売台数および販売構成の変化による影響などに含まれています。また、当社および日本の子会社の減価償却方法を定額法に変更したことによる影響1,732億円の減少がその他に含まれています。
上記の諸経費の減少・低減努力は、主に品質関連費用2,350億円の減少によるものですが、研究開発費650億円、労務費600億円および経費ほか550億円の増加などにより、一部相殺されています。
品質関連費用の減少は、主に当連結会計年度にリコール等の市場処置の実払いが減少したことに伴い債務の見積り計上額が減少したことによるものです。詳細については、連結財務諸表注記14を参照ください。
・原価改善の努力
当連結会計年度は、仕入先と一体となった原価改善活動に引き続き精力的に取り組んだ結果、VE (Value Engineering)活動を中心とした設計面での原価改善など1,000億円および工場・物流部門などにおける原価改善700億円により営業費用を1,700億円減少することができました。
原価改善の努力は、継続的に実施されているVE・VA (Value Analysis) 活動、部品の種類の絞込みにつながる部品共通化、ならびに車両生産コストの低減を目的としたその他の製造活動に関連しています。なお、原価改善の努力には、鉄鋼、貴金属、非鉄金属 (アルミ等) 、樹脂関連部品などの資材・部品価格の変動による影響が含まれています。
・売上原価
当連結会計年度における売上原価は23兆1,427億円と、前連結会計年度に比べて2,467億円 (1.1%) の減少となりました。この減少は、主に為替変動の影響、品質関連費用の減少、当社および日本の子会社の減価償却方法を定額法に変更したことによる減価償却費の減少および原価改善の努力によるものですが、車両販売台数および販売構成の変化による影響、研究開発費の増加および労務費の増加などにより一部相殺されています。なお、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴う影響による減少が主に車両販売台数および販売構成の変化による影響に含まれています。
・金融費用
当連結会計年度における金融費用は1兆3,796億円と、前連結会計年度に比べて126億円 (0.9%) の減少となりました。この減少は、主に為替変動の影響によるものですが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴う影響などにより一部相殺されています。
・販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2兆9,647億円と、前連結会計年度に比べて115億円 (0.4%) の減少となりました。この減少は、主に為替変動の影響によるものです。
当連結会計年度における営業利益は2兆4,428億円と、前連結会計年度に比べて246億円 (1.0%) の減益となりました。この減益は、為替変動の影響3,050億円および販売面での影響900億円によるものですが、原価改善の努力1,700億円および諸経費の減少・低減努力450億円などにより一部相殺されています。なお、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い連結販売台数が減少した影響1,000億円の損失および金融事業で貸倒引当金や残価損失引当金を積み増した影響600億円の損失が販売面での影響に含まれています。また、当社および日本の子会社の減価償却方法を定額法に変更したことによる減価償却費の減少1,732億円がその他に含まれています。
上記の営業面の努力および販売面での影響は、車両販売台数および販売構成の変化ならびに販売諸費用などを含んでいます。その他は、金利スワップ取引などの時価評価による評価損益などを含んでいます。
また、為替変動の影響の減益要因は、主に輸出入等の外貨取引による影響3,250億円によるものです。
当連結会計年度における営業利益 (セグメント間利益控除前) は前連結会計年度に比べて、日本では1,236億円 (7.3%) 、アジアでは864億円 (18.9%)、その他の地域では3億円 (0.4%)の減益となり、北米では1,561億円 (136.3%)、欧州では256億円 (20.6%) の増益となりました。
各地域における営業利益の状況は次のとおりです。
・日本
・北米
・欧州
・アジア
当連結会計年度における受取利息及び受取配当金は2,328億円と、前連結会計年度に比べて73億円 (3.3%) の増加となりました。
当連結会計年度における支払利息は322億円と、前連結会計年度に比べて41億円 (14.7%) の増加となりました。
当連結会計年度における為替差益・差損<純額>は790億円の損失と、前連結会計年度に比べて914億円の減益となりました。為替差損益は、外国通貨建て取引によって生じた外貨建ての資産および負債を、取引時の為替相場で換算した価額と、先物為替契約を利用して行う決済を含め、同会計年度における決済金額または決算時の為替相場で換算した価額との差額を示すものです。為替差益・差損<純額>の減益914億円は、主に当会計年度の貸付金において貸付時の為替相場に比べて満期時の為替相場が円高に推移したことにより、為替差損を計上したことによるものです。
当連結会計年度における未実現持分証券評価損益は246億円の損失と、前連結会計年度に比べて3,164億円の増益となりました。
当連結会計年度におけるその他<純額>は147億円と、前連結会計年度に比べて655億円の増益となりました。
当連結会計年度における法人税等は6,834億円と、前連結会計年度に比べて234億円 (3.6%) の増加となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益の増益によるものですが、米国税制改正に伴う税金費用の減少などにより一部相殺されています。当連結会計年度における実効税率は26.8%となりました。
当連結会計年度における非支配持分帰属損益は661億円と、前連結会計年度に比べて365億円 (35.6%)の減益となりました。この減益は、主に連結子会社の株主に帰属する当期純利益の減益によるものです。
当連結会計年度における持分法投資損益は2,711億円と、前連結会計年度に比べて889億円 (24.7%) の減益となりました。この減益は、主に持分法適用関連会社の株主に帰属する当期純利益の減益によるものです。
当連結会計年度の当社株主に帰属する当期純利益は2兆761億円と、前連結会計年度に比べて1,933億円 (10.3%) の増益となりました。
なお、当連結会計年度における当社普通株主に帰属する当期純利益は、当社株主に帰属する当期純利益よりAA型種類株式への配当金など172億円を控除した2兆588億円です。
当連結会計年度におけるその他の包括損益は2,496億円の損失と、前連結会計年度に比べて1兆1,027億円利益が増加しました 。これは、主に前連結会計年度に金融商品に関する新たな指針の適用により、未実現有価証券評価損益1兆3,097億円を期首の利益剰余金への累積的影響額として調整したこと 、および主にドルに対する為替レートが円高に進んだことにより、外貨換算調整額が前連結会計年度の294億円の利益に対し、当連結会計年度は3,131億円の損失となったことによるものです。
以下は、トヨタの事業別セグメントの状況に関する説明です。記載された数値は、セグメント間売上控除前です。
・自動車事業セグメント
自動車事業の売上高は、トヨタの売上高のうち最も高い割合を占めます。当連結会計年度における自動車事業セグメントの売上高は26兆8,635億円と、前連結会計年度に比べて2,155億円 (0.8%) の減収となりました。この減収は、主に為替変動の影響8,100億円によるものですが、車両販売台数および販売構成の変化による影響4,400億円などにより一部相殺されています。
当連結会計年度における自動車事業セグメントの営業利益は2兆523億円と、前連結会計年度に比べて134億円 (0.7%)の増益となりました。この営業利益の増益は、主に減価償却方法を定額法に変更した影響1,732億円、原価改善の努力1,700億円および諸経費の減少450億円によるものですが、為替変動の影響3,000億円および販売面での影響850億円などにより一部相殺されています。なお、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い連結販売台数が減少した影響1,000億円の損失が販売面での影響に含まれています。
諸経費の減少は、主に品質関連費用2,350億円の減少によるものですが、研究開発費650億円、労務費600億円および経費ほか550億円の増加などにより、一部相殺されています。
・金融事業セグメント
当連結会計年度における金融事業セグメントの売上高は2兆1,905億円と、前連結会計年度に比べて370億円 (1.7%) の増収となりました。この増収は、主に北米の販売金融子会社において、小売債権残高が増加したことによるものですが、為替の影響などにより一部相殺されています。
当連結会計年度における金融事業セグメントの営業利益は2,921億円と、前連結会計年度に比べて306億円(9.5%)の減益となりました。この営業利益の減益は、主に北米の販売金融子会社において、貸倒関連費用が増加したことによるものですが、融資残高の増加などにより一部相殺されています。なお、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い貸倒引当金や残価損失引当金を積み増した影響600億円の損失が含まれています。
・その他の事業セグメント
当連結会計年度におけるその他の事業セグメントの売上高は1兆5,045億円と、前連結会計年度に比べて1,718億円 (10.2%) の減収となりました。これは主に、トヨタホームおよびミサワホームが当社の連結子会社ではなくなったことによるものです。
当連結会計年度におけるその他の事業セグメントの営業利益は966億円と、前連結会計年度に比べて88億円 (8.4%)の減益となりました。これは主に、トヨタホームおよびミサワホームが当社の連結子会社ではなくなったことによるものです。
トヨタは従来、設備投資および研究開発活動のための資金を、主に営業活動から得た現金により調達してきました。
2021年3月31日に終了する連結会計年度については、トヨタは設備投資および研究開発活動のための十分な資金を、主に手元の現金及び現金同等物、営業活動から得た現金、および新型コロナウイルスの影響長期化リスクを見据えた資金計画や市場動向を勘案して締結した借入契約による借入金で充当する予定です。トヨタはこれらの資金を、従来の設備の維持更新・新製品導入へ効率的に投資しつつ、新たなモビリティ社会の実現に向け、競争力強化・将来の成長に資する分野に重点を置いて投資する予定です。2019年4月1日から2020年3月31日までに行われた重要な設備投資および処分に関する情報ならびに現在進行中の重要な設備投資および処分に関する情報は、「第3 設備の状況」を参照ください。
顧客や販売店に対する融資プログラムおよびリース・プログラムで必要となる資金について、トヨタは営業活動から得た現金と販売金融子会社の借入債務によりまかなっています。トヨタは、金融子会社のネットワークを拡大することにより、世界中の現地市場で資金を調達する能力を向上させるよう努めています。
当連結会計年度における営業活動から得た現金<純額>は、前連結会計年度の3兆7,665億円に対し、3兆5,906億円となり、1,759億円減少しました。
この減少は、主に営業利益が246億円減少したことによるものです。なお、当連結会計年度の営業利益には、当社および日本の子会社の減価償却方法を定額法に変更したことによる減価償却費の減少1,732億円が含まれています。また、営業利益は、未収・未払いを含めて記帳されるため、営業活動によってもたらされる、もしくは使用される現金の動きとは異なります。
当連結会計年度における投資活動に使用した現金<純額>は、前連結会計年度の2兆6,972億円に対し、3兆1,508億円となり、4,536億円増加しました。この増加は、主に有価証券及び投資有価証券の購入が5,727億円増加したことや有価証券及び投資有価証券の満期償還が3,407億円減少したことによるものですが、先々の資金計画や市場動向に備え、手元資金の流動性を確保するため定期預金が2,981億円減少したことにより一部相殺されています。
当連結会計年度における財務活動から得た又は使用した現金<純額> は、前連結会計年度の5,408億円の資金の減少に対し、3,971億円の資金の増加となり、9,379億円増加しました。この増加は、主に長期借入債務による資金調達が6,905億円増加したことによるものです。
当連結会計年度における賃貸資産を除く資本的支出は、前連結会計年度の1兆4,527億円から1兆4,078億円と前年度並みになりました。
2021年3月31日終了する連結会計年度において、賃貸および賃借資産を除く設備投資額は約1兆3,500億円となる予定です。
現金及び現金同等物並びに拘束性現金は、2020年3月31日現在で4兆4,121億円でした。現金及び現金同等物並びに拘束性現金の大部分は円建てまたは米ドル建てです。また、2020年3月31日現在における定期預金は8,282億円、有価証券は6,787億円でした。
トヨタは、現金及び現金同等物、定期預金、市場性ある負債証券および信託ファンドへの投資を総資金量と定義しており、当連結会計年度において総資金量は、前年度並みの10兆4,474億円となりました。
当連結会計年度における受取手形及び売掛金<貸倒引当金控除後>は、2,778億円 (11.7%) 減少し、2兆948億円となりました。これは主に、売上減少の影響によるものです。
当連結会計年度におけるたな卸資産は、2,214億円 (8.3%) 減少し、2兆4,349億円となりました。これは主に、トヨタホームおよびミサワホームが当社の連結子会社ではなくなったことによるものです。
当連結会計年度における金融債権<純額>合計は、17兆380億円と前年度並みになりました。2020年3月31日現在における金融債権の地域別内訳は、北米55.8%、アジア13.0%、欧州12.6%、日本8.8%、その他の地域9.8%でした。
当連結会計年度における有価証券及びその他の投資有価証券 (流動資産計上のものを含む) は、5,797億円 (6.7%) 減少しました。これは主に、株式会社SUBARUが持分法適用関連会社となったことによるものです。
当連結会計年度における有形固定資産は、839億円 (0.8%) 減少しました。これは主に、トヨタホームおよびミサワホームが当社の連結子会社ではなくなったことによるものですが、設備投資により一部相殺されています。
当連結会計年度における支払手形及び買掛金は、2,118億円 (8.0%) 減少しました。これは主に、生産台数の減少によるものです。
当連結会計年度における未払費用は、2,963億円 (9.2%) 減少しました。これは主に、品質関連の未払費用が減少したことによるものです。
当連結会計年度における未払法人税等は、1,028億円 (32.1%) 減少しました。これは主に、米国税制改正に伴う税金費用の減少などによるものです。
当連結会計年度における借入債務合計は、4,027億円 (2.0%) 増加しました。トヨタの短期借入債務は、加重平均利率2.03%の借入金と、加重平均利率1.50%のコマーシャル・ペーパーにより構成されています。当連結会計年度における短期借入債務は、前連結会計年度に比べて589億円 (1.1%) 減少し、5兆2,860億円となりました。トヨタの長期借入債務は、加重平均利率が1.85%から7.52%、返済期限が2020年から2048年の無担保の借入金、担保付きの借入金、ミディアム・ターム・ノート、無担保普通社債、担保付普通社債などにより構成されています。当連結会計年度の1年以内に返済予定の長期借入債務は3,197億円 (7.5%) 増加し、4兆5,740億円となり、返済期限が1年超の長期借入債務は1,419億円 (1.3%) 増加し、10兆6,928億円となりました。借入債務合計の増加は、主に融資残高の伸びに伴う資金需要の高まりによるものです。2020年3月31日現在で、長期借入債務の約48%は米ドル建て、約13%はユーロ建て、約11%は円建て、約7%は豪ドル建て、約5%はタイバーツ建て、約16%はその他の通貨によるものです。トヨタは、金利スワップを利用することにより固定金利のエクスポージャーをヘッジしています。トヨタの借入必要額に重要な季節的変動はありません。
2019年3月31日現在におけるトヨタの株主資本に対する有利子負債比率は、104.1%でしたが、2020年3月31日現在では102.5%となりました。
トヨタの短期および長期借入債務は、2020年5月31日現在、スタンダード・アンド・プアーズ (S&P) 、ムーディーズ (Moody's) および格付投資情報センター (R&I) により、次のとおり格付けされています。なお、信用格付けは株式の購入、売却もしくは保有を推奨するものではなく、何時においても撤回もしくは修正され得ます。各格付けはその他の格付けとは個別に評価されるべきです。
当連結会計年度における未積立年金債務は、国内および海外で、それぞれ5,384億円および3,389億円と、前連結会計年度に比べて、国内は388億円 (7.8%) 増加し、海外348億円 (11.4%) の増加となりました。未積立額は、トヨタによる将来の現金拠出または対象従業員に対するそれぞれの退職日における支払いにより解消されます。国内においては、主に株価の下落に伴う年金資産の減少により、未積立年金債務は増加しました。詳細については、連結財務諸表注記21を参照ください。
トヨタの財務方針は、すべてのエクスポージャーの管理体制を維持し、相手先に対する厳格な信用基準を厳守し、市場のエクスポージャーを積極的にモニターすることです。トヨタは、トヨタファイナンシャルサービス㈱に金融ビジネスを集中させ、同社を通じて金融ビジネスのグローバルな効率化を目指しています。
財務戦略の主要な要素は、短期的な収益の変動に左右されず効率的に研究開発活動、設備投資および金融事業に投資できるような、安定した財務基盤を維持することです。トヨタは、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えており、また、高い信用格付けを維持することにより、引き続き多額の資金を比較的安いコストで外部から調達することができると考えています。高い格付けを維持する能力は、数多くの要因に左右され、その中にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。これらの要因には、日本およびトヨタが事業を行うその他の主要な市場の全体的な景気ならびにトヨタの事業戦略を成功させることができるかなどが含まれています。
トヨタは金融事業のための資金調達の一つの方法として特別目的事業体を通じた証券化プログラムを利用しています。これらの証券化取引は、トヨタが第一受益者であるものとして連結しており、当連結会計年度におけるオフバランス化される取引に重要なものはありません。
トヨタは金融事業の一環としてクレジットカードを発行しています。トヨタは、クレジットカード事業の慣習に従い、カード会員に対する貸付の制度を有しています。貸出はお客様ごとに信用状態の調査を実施した結果設定した限度額の範囲内で、お客様の要求により実行されます。カード会員に対する貸付金には保証は付されませんが、貸倒損失の発生を最小にするため、また適切な貸出限度額を設定するために、トヨタは、提携関係にある金融機関からの財務情報の分析を含むリスク管理方針により与信管理を実施するとともに、定期的に貸出限度額の見直しを行っています。2020年3月31日現在のカード会員に対する貸出未実行残高は1,937億円です。
トヨタは金融事業の一環として販売店に対する融資の制度を有しています。貸付は買収、設備の改装、不動産の購入、運転資金の確保のために行われます。これらの貸付金については、通常担保権が設定されており、販売店の不動産、車両在庫、その他販売店の資産等、場合に応じて適切と考えられる物件に対して設定しています。さらに慎重な対応が必要な場合には販売店が指名した個人による保証または販売店グループが指名した法人による保証を付しています。貸付金は通常担保または保証が付されていますが、担保または保証の価値がトヨタのエクスポージャーを十分に補うことができていない可能性があります。トヨタは融資制度契約を締結することによって生じるリスクに従って融資制度を評価しています。トヨタの金融事業は、販売店グループと呼ばれる複数のフランチャイズ系列に対しても融資を行っており、しばしば貸出組合に参加することでも融資を行っています。こうした融資は、融資先の卸売車両の購入、買収、設備の改装、不動産の購入、運転資金の確保等を目的とするものです。2020年3月31日現在の販売店に対する貸出未実行残高は3兆1,671億円です。
トヨタは、トヨタの製品販売にあたり、販売店と顧客が締結した割賦契約について、販売店の要請に応じ顧客の割賦債務の支払いに関し保証を行っています。保証期間は2020年3月31日現在において1ヶ月から8年に亘っており、これは割賦債務の弁済期間と一致するよう設定されていますが、一般的に、製品の利用可能期間よりも短い期間となっています。顧客が必要な支払いを行わない場合には、トヨタに保証債務を履行する責任が発生します。
将来の潜在的保証支払額は、2020年3月31日現在、最大で3兆3,333億円です。トヨタは、保証債務の履行による損失の発生に備え未払費用を計上しており、2020年3月31日現在の残高は、106億円です。保証債務を履行した場合、トヨタは、保証の対象となった主たる債務を負っている顧客から保証支払額を回収する権利を有します。
今後5年間における各年の満期別の金額を含む借入債務、ファイナンス・リース債務、オペレーティング・リース債務およびその他債務に関しては、連結財務諸表注記13、24および25を参照ください。また、トヨタはその通常業務の一環として、一定の原材料、部品およびサービスの購入に関して、仕入先と長期契約を結ぶ場合があります。これらの契約は、一定数量または最低数量の購入を規定している場合があります。トヨタはかかる原材料またはサービスの安定供給を確保するためにこれらの契約を締結しています。
次の表は、2020年3月31日現在のトヨタの契約上の債務および商業上の契約債務を要約したものです。
* 長期借入債務の金額は、将来の支払元本を表しています。
なお、将来の支払時期を合理的に見積もることができないため、上記の表に未認識税務ベネフィットに関連する債務の金額を含めていません。詳細については、連結財務諸表注記16を参照ください。
また、トヨタは2021年3月31日終了する連結会計年度において、退職金制度に対し、国内および海外で、それぞれ38,667百万円および17,749百万円を拠出する予定です。
トヨタは、関連会社と通常の業務上行う取引以外に、重要な関連当事者との取引を行っていません。詳細については、連結財務諸表注記12を参照ください。
⑩会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社は、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上等を目的として、2021年3月期第1四半期より従来の米国会計基準に替えて国際財務報告基準 (International Financial Reporting Standards、以下、IFRSという。) を任意適用する予定です。
トヨタの連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められる会計原則に基づき作成されています。これらの連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、および連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り、判断ならびに仮定を使用する必要があります。トヨタの重要な会計方針のうち、判断、見積りおよび仮定の割合が高いものは以下に挙げられています。
なお、今後の世界経済は、新型コロナウイルスの影響により、多くの国・地域での急激な落ち込みが懸念されます。自動車の生産面、販売面にも既に大きな影響が及んでいます。世界の自動車市場は、全体として2020年4月から6月を底に徐々に回復し、2020年の年末から2021年の前半にかけて、前年並みに戻る前提としていますが、影響は広域かつ甚大で、深刻であり、当面は弱い動きが続くと見込まれます。
トヨタは通常、製品の製造過程およびその他の理由による製品の欠陥に対して保証を行っています。製品保証規定は、期間および使用方法あるいはそのいずれかに対応して決めており、製品の特性、販売地域およびその他の要因によって異なります。いずれの製品保証も商慣習に沿ったものです。トヨタは、製品の売上を認識する際に、売上原価の構成要素として見積製品保証費用を引当金に計上します。この製品保証引当金は、保証期間内に不具合が発生した部品を修理または交換する際に発生する費用の総額を、販売時に最善の見積りに基づき計上するものであり、修理費用に関する現在入手可能な情報はもとより、製品の不具合に関する過去の経験を基礎として金額を見積もっています。製品保証引当金の見積りには、仕入先に対する補償請求により回収できる金額の見積りも反映しています。このように、製品保証引当金の計算には重要な見積りが必要となること、また、一部の製品保証は何年も継続することから、この計算は本質的に不確実性を内包しています。したがって、実際の製品保証費用は見積りと異なることがあり、製品保証引当金を追加計上する必要が生じる可能性があります。これらの要因によりトヨタの製品保証費用が大幅に増加した場合、将来の自動車事業の業績に悪影響を与える可能性があります。
各年度の製品保証費用見積額の計算は、1台当たりの製品保証費用見積額を基礎としています。1台当たりの製品保証費用見積額の計算にあたっては、過去の製品保証費用実績額からサプライヤーに求償した実績額を控除した金額を当該年度の販売台数で除して算定しています。
トヨタは、製品保証費用見積額の計算要素として過去のサプライヤーへの求償実績を使用していることから、過去の平均求償実績が製品保証費用見積額の変動要因となることがあります。しかしながら、サプライヤーへの求償実績に関する過去の実績から、見積額の不確実性は低いと考えます。当該製品の保証期間内であればサプライヤーに請求することは可能であり、回収可能金額についての上限を含むその他の重大な制約条件は特に存在しません。
トヨタは、製品のリコール等の市場処置費用を、上記の製品保証費用と同様に、売上原価の構成要素として表示しています。「製品のリコール等の市場処置にかかる債務」は、基本的に、ある一定期間に販売された様々なモデル全体を、地域毎に区分して、製品販売時点において包括的に算定しています。しかしながら、状況によっては、トヨタは、特定の「製品のリコール等の市場処置にかかる債務」については、それらの支出が発生する可能性が高く、かつ合理的に見積もることができる場合に、個別に見積もる方法で算定しています。なお、これらの債務の算出は、地域毎で同様の方法で行っていますが、労働コスト等が異なるため、地域毎に区分して算出しています。
貸借対照表に包括的に計上される「製品のリコール等の市場処置にかかる債務」の部分は、「リコール実払い累計額」を考慮して「リコールの支払い見込み総額」を基に算出します。当該債務は期間ごとに新しいデータに基づき評価され、適切な金額に調整されています。また、これらの債務は販売期間ごとに10年間に分けて管理しています。
「リコールの支払い見込み総額」は、数量<販売台数>に単価<台当たり市場処置額>を乗じて算出しています。台当たり市場処置額は、「台当たりリコール実払い累計額」を「過去の費用の発生パターン」で除して算出しています。「過去の費用の発生パターン」は、車両販売後10年間に発生したリコール支払い発生状況を表しています。
販売時の包括的な見積り金額と、個々のリコールに対する実際の支払い金額との差の要因としては、台当たり平均修理費用と実際の修理費用 (主に部品代と労務費) とに差が生じる場合および、過去の費用の発生パターンと実際に差が生じる場合などがあり、将来のリコール等の市場処置費用の見積りの中で調整されていきます。
上記で記載したとおり、包括的な見積り計上の際、実際のリコールの支払いは、台当たり平均修理費用などの算定の要素として組み込まれるので、個別リコールのアナウンスをしたとしても、直接的に財務諸表に影響を与えるものではありません。
トヨタの小売債権およびファイナンス・リース債権は、乗用車および商用車により担保されている分割払い小売販売契約からなります。回収可能性リスクは、顧客もしくは販売店の支払不能や、担保価値 (売却費用控除後) が債権の帳簿価額を下回る場合を含んでいます。トヨタの会計方針として貸倒引当金および金融損失引当金を計上しており、この引当金は、金融債権、売掛債権およびその他債権の各ポートフォリオの減損金額に対するマネジメントによる見積りを反映しています。貸倒引当金および金融損失引当金は、信用リスク評価プロセスの一環として行われている体系的かつ継続的なレビューおよび評価、過去の損失の実績、ポートフォリオの規模および構成、現在の経済的な事象および状況、担保物の見積公正価値およびその十分性、ならびにその他の関連する要因に基づき算定されています。この評価は性質上判断を要するものであり、重要な変動の可能性のある将来期待受取キャッシュ・フローの金額およびタイミングを含め、重要な見積りを必要とするものです。マネジメントは、現在入手可能な情報に基づき、貸倒引当金および金融損失引当金は十分であると考えていますが、(ⅰ) 資産の減損に関するマネジメントの見積りまたは仮定の変更、(ⅱ) 将来の期待キャッシュ・フローの変化を示す情報の入手、または (ⅲ) 経済およびその他の事象または状況の変化により、追加の引当金が必要となってくる可能性があります。新車の価格を押し下げる効果をもつセールス・インセンティブが販売プロモーションの重要な構成要素であり続ける限り、中古車の再販価格およびそれに伴う小売債権ならびにファイナンス・リース債権の担保価値はさらなる引下げの圧力を受ける可能性があります。これらの要因によりトヨタの貸倒引当金および金融損失引当金を大幅に増加させる必要が生じた場合、将来の金融事業の業績に悪影響を与える可能性があります。これらの引当金のうち、トヨタの業績に対してより大きな影響を与える金融損失引当金のレベルは、主に損失発生の頻度と予想損失程度の2つの要因により影響を受けます。トヨタは、金融損失引当金を評価する目的で、金融損失に対するエクスポージャーを「顧客」と「販売店」という2つの基本的なカテゴリーに分類します。トヨタの「顧客」カテゴリーは比較的少額の残高を持つ同質の小売債権およびファイナンス・リース債権から構成されており、「販売店」カテゴリーは卸売債権およびその他のディーラー貸付金です。金融損失引当金は少なくとも四半期ごとに見直しを行っており、その際には、引当金残高が将来発生する可能性のある損失をカバーするために十分な残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しています。
(感応度分析)
トヨタの業績に重大な影響を与える金融損失の程度は、主に損失発生の頻度、予想損失程度という2つの要素の影響を受けます。金融損失引当金は様々な仮定および要素を考慮して、少なくとも四半期ごとに評価されており、発生しうる損失を十分にカバーするかどうか判断しています。次の表は、トヨタが主として米国において金融損失引当金を見積もるにあたり、損失発生の頻度または予想損失程度の仮定の変化を示したものであり、他のすべての条件はそれぞれ一定とみなしています。金融損失引当金がトヨタの金融事業に対して与える影響は重要であり、損失発生の頻度または予想損失程度の仮定の変化に伴う金融損失引当金の変動が金融事業に与える影響を示しています。
トヨタが賃貸人となっているオペレーティング・リース用車両は、取得原価で計上し、その見積耐用年数にわたって見積残存価額になるまで定額法で減価償却しています。トヨタは、これらの車両に関して、業界の公開情報および自社の過去実績に基づき見積残存価額を計算しています。残存価額の下落を示す事象が発生した場合には、リース車両の帳簿価額の回収可能性について減損の有無を評価し、減損が認められた場合には、残価損失引当金を計上しています。
リース期間を通じて、マネジメントは、契約上の残存価額の決定において用いられた見積りが合理的であるかどうか判断するため、リース期間終了時における公正価値の見積額の評価を定期的に行っています。リース期間終了時における残存価値の見積りに影響する要素として、新車インセンティブプログラム、新車の価格設定、中古車の供給、予測車両返却率および残価損失の予測感応度等が挙げられます。車両返却率は、契約に基づき設定されたリース期間終了時に、実際に返却されたリース車両台数が、当該期間中にリース契約が終了することが予定されていたリース件数から早期返却分を除いた件数に占める割合を表しています。車両返却率が上昇すると、トヨタのリース終了時における損失のリスクが上昇します。残価損失の感応度は、リース終了時におけるリース車両の公正価値がリース車両の残存価額を下回る程度を表しています。
販売報奨金が販売促進に欠かせないものである限り、中古車の再販価格およびそれに伴うトヨタのリース車両の公正価値は引下げの圧力を受ける可能性があります。リース期間終了時における残価への影響は、インセンティブプログラムの重要性、およびそれらが長期間続くか否かに依存します。これは、現在のオペレーティング・リースのポートフォリオの見積残価に不利な影響を与え、残価損失引当金を増加させながら、将来の中古車価格の予測に次々に影響を与えていく可能性があります。また、他の様々な要素 (例えば、中古車の需要と供給、金利、インフレ、品質、安全性および車両の信頼性、一般的な経済の見通し、新車価格、予測される将来の返却率および予測される損失の重大性など) が中古車価格および将来の残価予測に影響を与え、販売促進効果を相殺することがあります。これらの要因により、将来の金融事業の業績が悪影響を受ける可能性があります。
(感応度分析)
次の表は、トヨタが主として米国において残価損失を見積もるにあたり、重要な見積りであると考えている車両返却率の仮定の変化およびリース期間終了時における市場価値の仮定の変化を示したものであり、他のすべての条件はそれぞれ一定とみなしています。残価損失がトヨタの金融事業に対して与える影響は重要であり、車両返却率の変化およびリース期間終了時における市場価値の仮定の変化に伴う残価損失の変動が金融事業に与える影響を示しています。
トヨタは必要に応じて、無形資産を含む、使用中の長期性資産および処分予定の長期性資産の帳簿価額を定期的にレビューしています。このレビューは、将来の見積キャッシュ・フローをもとに行っています。長期性資産の帳簿価額に減損が生じていると判断した場合、当該資産の帳簿価額が公正価値を超える金額を減損として計上します。マネジメントは、その将来の見積キャッシュ・フローおよび公正価値の算定は合理的に行われたものと考えていますが、キャッシュ・フローや公正価値の見積りを修正した場合には、評価の結果が変わり、将来の自動車事業の業績が悪影響を受ける可能性があります。
退職給付費用および退職給付債務の計算には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の期待収益率、死亡率などの要素が含まれています。これらの仮定と実際の結果との差額は累計され、将来の会計期間にわたって償却するため、原則として将来の会計期間に費用化されます。マネジメントは、使用した仮定は妥当なものと考えていますが、実績との差異または仮定自体の変更により、トヨタの年金費用および債務に影響を与える可能性があります。
退職給付費用および退職給付債務の計算に影響を与える最も重要な仮定は、割引率と年金資産の期待収益率です。割引率は、現在利用可能で、かつ、年金給付の支払期日までの間利用可能と予想される高格付で確定利付の社債および確定利付の国債の利回りなどを考慮して決定しています。期待収益率は、保有している年金資産の構成、運用手法から想定されるリスク、過去の運用実績、運用基本方針および市場の動向等を考慮して決定しています。トヨタが当連結会計年度の退職給付費用の計算に適用した加重平均の割引率および期待収益率は、国内においてそれぞれ0.6%および2.4%、海外においてそれぞれ3.8%および5.2%です。また、当連結会計年度の退職給付債務の計算に適用した加重平均の割引率は、国内において0.6%、海外において3.5%です。
(感応度分析)
次の表は、退職給付引当金の見積りにあたり、トヨタが重要な見積りであると考えている加重平均の割引率と年金資産の期待収益率の仮定の変化を示したものであり、他のすべての条件は一定とみなして計算しています。
トヨタは、通常の業務の過程において、為替および金利変動に対するエクスポージャーを管理するために、デリバティブ商品を利用しています。デリバティブ商品の会計処理は複雑なものであり、かつ継続的に改訂されます。デリバティブの公正価値は主に、金利、為替レートなどの観測可能な市場情報および契約条項を利用した標準的な評価手法を用いて測定しています。観測可能な市場情報を入手できない場合には、取引相手から入手した価格やその他の市場情報により測定しています。これらの見積りは、それぞれの場合に照らして妥当と思われる評価方法に基づいていますが、異なる仮定を用いることにより見積公正価値が大きく変化することがあります。
トヨタは売却可能証券に区分される負債証券を公正価値で評価しています。容易に算定できる公正価値がない持分証券は、減損後の取得原価に同一発行者の同一または類似の投資の秩序ある取引での観察可能な価格の変動から生じる金額を加減算することにより測定しています。
特定の売却可能証券に区分される負債証券の価値の下落が一時的でないと判断される場合は、当該証券の帳簿価額は、公正価値まで減額されます。価値の下落が一時的でないかどうかの判断においてトヨタが考慮するのは、主に、公正価値が帳簿価額を下回っている期間と程度、投資対象の財政状態と将来の見通し、および将来市場価値の回復が予想される場合に、それまでの十分な期間にわたり当該対象への投資を継続するトヨタの能力および意思です。実現した売却資産の簿価は平均原価法に基づいて計算し、差額を損益に反映させています。
容易に算定できる公正価値がない持分証券は、投資が減損しているかどうかを評価するために、減損の兆候を検討して定性的評価を実施し、投資の公正価値が帳簿価額以下であることを示す場合には、持分証券の公正価値まで評価減を行っています。
これらの見積りに当たっては、それぞれの場合に照らして妥当と思われる評価方法に基づいていますが、観測可能な市場情報、発行企業の財務状況および将来の展望等の重要な仮定に対する不確実性や、異なる仮定および見積方法を用いることにより、公正価値が大きく変化することがあります。
繰延税金資産の回収可能性は、将来加算一時差異の解消、将来課税所得の見積り、および慎重かつ実行可能なタックスプランニング等を要素として評価されます。その評価の結果として、50%超の可能性で回収不能と見込まれる額、すなわち評価性引当金の計上額は、繰延税金資産の回収可能性に関連する入手可能なすべての肯定的な証拠と否定的な証拠の双方を適切に考慮して決定されます。
トヨタは、現時点で利用可能な情報に基づいた最善の見積りを行っていますが、予想し得ない要因や変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。
当社は、「クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む」、「様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する」の基本理念のもと、多様化・高度化する市場ニーズを的確にとらえた、高品質・低コストのより魅力ある商品を提供するため、積極的な研究開発活動を行っています。
トヨタの研究開発は、日本においては、当社を中心に、ダイハツ工業㈱、日野自動車㈱、トヨタ車体㈱、トヨタ自動車東日本㈱、㈱豊田中央研究所、トヨタ リサーチ インスティテュート アドバンスト デベロップメント㈱などの関係各社との密接な連携のもとで推進されています。
さらに、海外各地域のお客様のニーズに的確にお応えしたクルマづくりのために、グローバルな開発体制を構築しています。主な拠点として、北米地域にトヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ㈱のテクニカルセンター、キャルティ デザイン リサーチ㈱、トヨタ リサーチ インスティテュート㈱、欧州地域にトヨタ モーター ヨーロッパ㈱のテクニカルセンター、トヨタ ヨーロッパ デザイン ディベロップメント㈲、アジア地域にトヨタ ダイハツ エンジニアリング アンド マニュファクチャリング㈱のテクニカルセンター、トヨタ自動車研究開発センター (中国) ㈲、一汽トヨタ技術開発㈲、広汽トヨタ自動車㈲研究開発センターがあります。
当連結会計年度におけるトヨタの研究開発費は
当連結会計年度における事業別セグメントごとの活動状況および研究開発費は次のとおりです。
トヨタは、走りの楽しさや快適性などクルマがもたらす様々な恩恵による人々の心の豊かさの向上と、環境負荷や交通事故等のクルマのネガティブな面の最小化を、同時に高いレベルで実現していくことを商品・技術開発のビジョンとして掲げています。
当連結会計年度には、コンパクトカーならではの軽快なハンドリングを活かしつつ、上質な乗り心地と最新の安全・安心技術を備えたクルマを目指して、新型「ヤリス」を開発しました。また、「SUVに乗りたい、荷物をたくさん積みたい、でも運転しやすいコンパクトなサイズがいい」といったご要望にお応えする「ライズ」を発売しました。加えて、市街地走行や多人数乗車にも適したミッドサイズSUVである「ハイランダー」を米国から順次、海外市場に投入していきます。レクサスブランドでは、コンパクトクロスオーバーUXの個性的なデザインや、高い利便性、取り回しやすさはそのままに、レクサスの電気自動車 (EV) ならではの上質ですっきりと奥深い走りと優れた静粛性を追求した「UX300e」を中国で公開しました。また、FIA世界ラリー選手権で勝ち抜くための知見やノウハウを注ぎ込んだスポーツカー「GRヤリス」を東京オートサロン2020で披露しました。
安全技術の開発については、モビリティ社会の究極の願いである「交通事故死傷者ゼロ」を目指し、「統合安全コンセプト」の考えのもと、衝突回避支援や車線逸脱防止支援、夜間の視界支援などの複数の予防安全機能をパッケージ化した「Toyota Safety Sense (トヨタ・セーフティ・センス) 」を展開しております。本年2月には、交差点右折時の対向直進車、右左折後の横断歩行者を衝突回避支援の検知対象とした最新の「Toyota Safety Sense」に加え、トヨタ初となる高度駐車支援システム「Toyota Teammate[Advanced Park(パノラミックビューモニター機能付)]」などの新技術を、多くの方が乗るコンパクトカーである新型「ヤリス」に採用しました。近年の高齢者事故として特徴的なペダル踏み間違い事故に対しては、インテリジェントクリアランスソナーを2012年から新型車を中心に展開しています。既販売車両向けには、後付けのペダル踏み間違い時加速抑制システムを2018年から発売し、現在では12車種に対応、約20,300台(2019年12月末時点)に装着されています。さらに、コネクティッドカーから得られたビッグデータに基づき、ペダルの踏み間違いによる異常なアクセル操作を特定し加速抑制を行う「急アクセル時加速抑制機能」を開発し、本年夏に発売する新型車から順次導入するとともに、この機能が入った、既販売車両向けの後付け踏み間違い時加速抑制システムを同時期に商品化する予定です。今後も、一層の交通事故死傷者低減に向けて、開発を推進します。
環境技術の開発については、「エコカーは普及してこそ環境への貢献」との考えのもと、国や地域ごとのエネルギーやインフラ整備の状況、さらにはエコカーの特徴に応じて、お客様の用途に合わせた最適なクルマを提供することを目指しています。電動車の主力であるハイブリッド車は、本格普及に向けて、トヨタハイブリッドシステムを高性能化するとともに、ハイパワー型、簡易型など多様なタイプを開発し、お客様の様々なニーズに合わせて商品ラインアップを拡充していきます。電気自動車 (EV) は、主に3つの取り組みを進めています。1つ目は、新たなビジネスモデルの構築です。日本では小型・近距離・法人利用などにEVへのお客様ニーズがあると考え、本年より発売予定の超小型EVを活用した取り組みに着手します。2つ目は、中国、米国、欧州など市場が形成されつつある地域に向けては、ニーズに応じた多様なEVを、それぞれ得意分野を持つパートナー企業と共同で効率的に開発しています。3つ目は、高性能な電池の開発・電池需要の急拡大に対応する供給体制の整備です。パナソニック㈱と合弁会社を設立し、さらに中国の寧徳時代新能源科技股份有限公司 (CATL) 、比亜迪股份有限公司 (BYD) など世界の電池メーカーと協調しています。燃料電池車は、燃料電池システムをすべて一新し性能を大幅に向上するとともに、水素搭載量拡大などにより、航続距離を従来型比で約30%延長した「MIRAI」の次期モデルを本年末に発売予定です。また商用車に関しては、米国ロサンゼルス港を拠点に、燃料電池大型トラックを使用した貨物輸送オペレーションを開始しています。低炭素で持続可能な社会の実現に向け、「2030年に電動車販売550万台以上」という目標を上回るスピードで、電動車の普及を進めていきます。
当事業に係る研究開発費は
基礎研究分野においては、㈱豊田中央研究所を中心として、エネルギー・環境、機械、情報・通信、材料などの幅広い分野における研究活動に取り組んでいます。
その他の事業に係る研究開発費は