1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2023年3月31日現在において判断したものです。
トヨタは経営の基本方針を「トヨタ基本理念」として掲げており、その実現に向けた努力が、企業価値の増大につながるものと考えています。その内容は次のとおりです。
1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
2. 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
3. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
6. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
トヨタはモビリティカンパニーへの変革を進めるために、改めて歩んできた道を振り返り、未来への道標となる「トヨタフィロソフィー」をまとめました。
トヨタはモビリティカンパニーとして移動にまつわる課題に取り組むことで、人や企業、コミュニティの可能性を広げ、「幸せを量産」することを使命としています。そのために、モノづくりへの徹底したこだわりに加えて、人と社会に対するイマジネーションを大切にし、様々なパートナーと共に、唯一無二の価値を生み出してまいります。
「トヨタフィロソフィー」
当社は2023年4月7日に新体制方針説明会を行いました。新体制のテーマは「継承と進化」です。私たちが培ってきた最も大切な価値観は「もっといいクルマをつくろうよ」です。「現場」でクルマを語り、お客様の笑顔のために努力し、もっといいクルマを追求し続けていきます。そして、世界37万人のトヨタの仲間と、仕入先、販売店の皆様と一緒に、全員でクルマをつくっていきます。クルマづくりはチームプレーです。「チームで、同時に、有機的に動く」経営スタイルで、未来への挑戦を加速してまいります。
目指す未来
これから私たちはモビリティカンパニーへの変革を目指していきます。
トヨタの使命は「幸せの量産」です。クルマがこれからも社会に必要な存在であり続けるためには、クルマの未来を変えていく必要があります。そのためのふたつの大きなテーマは「カーボンニュートラル」と「移動価値の拡張」です。
カーボンニュートラル
私たちはクルマのライフサイクル全体で、2050年カーボンニュートラルの実現に全力で取り組んでいきます。クルマづくりにおいては、エネルギーの未来と、地域毎の現実に寄り添って、マルチパスウェイを軸に、今後も多様な選択肢を追求していきます。
まずは今すぐにできる電動化を徹底的にやっていきます。新興国も含めてハイブリッド車(HEV)の販売を強化し、プラグインハイブリッド車(PHEV)の選択肢も増やしてまいります。重要な選択肢のひとつであるBEVは、今後数年で、ラインアップを拡充します。
BEVの開発、新しい事業モデルの構築に全力で取り組んでまいります。
その先の水素社会の実現に向けたプロジェクトも加速してまいります。タイや福島での社会実装や、商用燃料電池車(FCEV)の量産化、そして、モータースポーツの場を活用した水素エンジン技術の開発など、産業や国を越えたパートナーの皆様と一緒に、水素を「使う」領域の拡大を進めていきます。さらに、エネルギー産業と連携し、カーボンニュートラル燃料の技術開発も進めてまいります。
私たちは、新興国も含めて、誰ひとり取り残すことなく電動車の普及やCO2の低減に取り組んでまいります。こうした全方位での取り組みにより、全世界で販売するクルマの平均CO2排出量は2019年と比べて、2030年には33%、2035年には50%を越える削減レベルを目指します。2050年に向かってグローバルで、着実に、脱炭素を進めてまいります。
移動価値の拡張
これからのクルマは電動化、知能化、多様化が進んでいくことで、社会とつながった存在になってまいります。ヒトの心が動く、感動するというMOVEやヒトやモノの移動に加えて、エネルギー、情報のMOVEを取り込み、データでひとつにつながっていきます。
それにより、他のモビリティと連動したシームレスな移動体験や、社会インフラとしてのクルマの新しい価値を提供できるようになってまいります。そして、社会とつながったクルマは、通信や金融など人々の暮らしを支える様々なサービスとも密接につながり、モビリティを軸にした新しい付加価値の輪が広がってまいります。
トヨタモビリティコンセプト
私たちが目指すモビリティ社会のあり方をまとめたものが、「トヨタモビリティコンセプト」です。安全・安心や運転する楽しさなどこれまで培ってきたクルマの本質的な価値を基盤にもっと社会の役に立つ存在へクルマを進化させていきます。
そんな未来に向けて、今後、3つの領域で、モビリティカンパニーへの変革を進めてまいります。
ひとつめは「モビリティ1.0」です。ここで目指すのは様々なMOVEをつなげてクルマの価値を拡張させていくことです。例えば、BEVには、電気を運ぶモビリティとしての新しい可能性があります。エネルギーグリッドとして社会のエネルギーセキュリティを高める役割も果たせます。また、知能化により、クルマやお客様から集まる情報を活用すれば、クルマはもっと進化できます。この新しいクルマづくりのカギを握るのが、ソフトウェア基盤の「Arene(アリーン)」です。最新のハードとソフトがつながり、クルマと様々なアプリも自由自在につながります。Areneは、こうした進化を支えるプラットフォームとして重要な役割を担っていきます。2026年の次世代BEVに向けてウーブン・プラネット・ホールディングス㈱(※)と一緒に全力で開発を進めてまいります。
※ウーブン・プラネット・ホールディングス㈱は、2023年4月1日付でウーブン・バイ・トヨタ㈱に社名変更しています。
ふたつめの「モビリティ2.0」で目指すのは新しい領域へのモビリティの拡張です。ご高齢の方々や過疎地にお住まいの方々、クルマ市場が成熟していない新興国など、私たちが、移動をお支えできていない方々が、たくさんいらっしゃいます。また、「空のモビリティ」など、新しい移動の可能性も広がっています。トヨタには、フルラインアップのクルマに加えて「e‐Palette」などの新しいモビリティや、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)領域をはじめ、産業を越えた仲間とのネットワークがあります。こうした強みを生かし、今の事業範囲を越えて世界中のお客様の移動をお支えしていきたいと考えています。
そして、「モビリティ3.0」は社会システムとの融合です。エネルギーや交通システム、物流、暮らしのあり方まで入り込み、街や社会と一体となったモビリティのエコシステムをつくり、そして、ウェルビーイングを実現していく未来です。そのために、Woven City(ウーブン・シティ)での実証実験を進めていきます。例えば、新しい物流の仕組みづくりや街と一体となった自動運転モビリティの開発、また、Woven Cityを起点としたCO2フリー水素のサプライチェーン実証や暮らしの中で水素利用の可能性を広げる実証も進めてまいります。デジタルを活用したこれまでの実証に加えて、2025年からは、リアルな街での総合的な実証を加速し、パートナーとともに社会実装につなげていきます。
このモビリティコンセプトで最もお伝えしたいことは「クルマが進化した先にモビリティがある」ということです。
モビリティカンパニーへの変革の真ん中には、クルマがあります。クルマの持つ可能性を広げていきます。そのためには、これまで培ってきたもっといいクルマづくりと町いちばんの考え方を基盤にした進化が必要です。商品・地域を軸に、クルマの未来を変えていきます。
商品を軸にした経営
トヨタモビリティコンセプトの中心にあるクルマの価値を高め、更に、新しいモビリティや移動の自由を拡げ、社会システムの一部として、新たなサービスやエネルギーソリューションを提供します。その実現のカギを握る3つのアプローチは、電動化、知能化、多様化です。
電動化は、マルチパスウェイを軸に、それぞれの強みや特色を活かし、お客様や地域に合わせた電動化を進めてまいります。BEVはラインアップを拡充させ、2026年までに、新たに10モデルの投入を目指し、販売台数も年間150万台を想定します。
また、電池を極限まで効率よく使い、航続距離を2倍に、さらに心揺さぶる走りとデザインを兼ね備えた次世代BEVも2026年に投入を想定しています。
また、トヨタ生産方式(TPS)を活かし、仕事のやり方を変え、工程数を1/2に削減し、コネクテッド技術による無人搬送や、自律走行検査などにより、効率的なラインへシフトしたものづくりへ変えていきます。グローバル全工場での、2035年カーボンニュートラルにつなげていきます。サプライチェーンの構築も、仕入先と良品廉価な部品調達に一体となって取り組んでいきます。
この実現のため、全権を委ねたワンリーダーの下、開発、生産、事業、全ての機能を持つ専任組織を作ります。TNGAの効果で半減した開発原単位、内製投資など、磨いてきた競争力と1,000万台の力で新しい組織を全面的にサポートしていきます。
PHEVは、電池の効率を上げ、EV航続距離を200km以上に延ばすことで、プラクティカルなBEVと再定義し、開発を進めます。
FCEVは、商用車を軸に量産化にチャレンジしていきます。エネルギーである水素は軽く、航続距離が増えてもBEVと比較してさほど重くならず、スペースも減りにくいという特徴があります。また、エネルギー充填時間が短いため、利点を生かせる商用車から拡大していきます。
2つ目の知能化は、クルマ、サービス、社会でつながりを拡げていきます。
クルマの知能化は、先進安全技術やマルチメディアをはじめ、時代進化に合わせた機能のアップデートを、全てのクルマに順次広げ、次世代BEVでは、車両OSの進化と共に、走る、曲がる、止まるにこだわった、「乗り味」のカスタマイズも可能にしていきます。加えて、クルマの素性をより磨き上げる事で、もっとFun to Driveなクルマをハード、ソフトの両面で実現していきます。
サービスの知能化は、クルマとインフラ、街とを繋ぎ、新しいサービスを提供していきます。リアルタイムの交通情報を活用し、輸送効率を高める物流システムや最適なエネルギーマネジメントを行うシステムは本年、社会実装を開始します。街や公共施設と連携し、BEVの充電ネットワーク拡充、エネルギーグリッドや人々の暮らしを支える様々なサービスを提供していきます。この取り組みはレクサスで既に始まっています。
社会の知能化は、モビリティのテストコースと位置づけたWoven Cityで、人、クルマ、社会を繋げる様々な実証実験を行っていきます。物流領域でのコネクテッドサービス、その社会実装で明らかになった課題をWoven Cityで改善し、再び社会実装し知能化を加速させていきます。
3つ目の多様化は、クルマ、移動、エネルギー領域まで拡げていきます。
クルマの多様化は、ラインアップの拡充と、コネクテッドを活用したサービス、用品、部品ビジネスも新たなパートナーと共に拡げていきます。
移動の多様化は、例えば、長年の福祉車両開発で培ったノウハウを生かし、ワンタッチで車いすを固定できる装置を開発し、実装を開始します。
エネルギーの多様化は、水やフードロスなどの廃棄物から作った水素やバイオマスなどから作ったカーボンニュートラル燃料を使用した実証実験を日本やタイで始めています。また、エネルギー活用技術をモータースポーツの現場でも鍛え、社会への普及につなげていきます。
地域を軸にした経営
トヨタは、HEVの性能と原価に磨きをかけ世代進化してきた結果、稼ぐ力を大きく向上させながら、未来への投資とステークホルダーの皆様との成長と、CO2排出量削減を両立してきました。これがまさに、もっといいクルマをベースとした、地域軸経営の成果だと考えています。これからもこの地域軸経営を更に深め、事業基盤を、いっそう強固なものにしていきます。
そのために、まず向き合わなくてはならないのがカーボンニュートラルです。炭素に国境はありませんし、CO2排出量は待ったなしの課題です。できることから、すぐに始める必要があります。
だからこそ、我々は、地域毎の電動化の進展度合いや多様なクルマの使われ方を踏まえ、電動車を少しでも早く、一台でも多く普及させるため、きめ細かな対応が必要です。故に、BEVのラインアップ強化とともに、HEV、PHEVなど、全てのパワートレーンの一層の魅力と競争力の強化を行っていきます。
先進国では、BEVの準備と並行し、bZシリーズを中心に、品揃えを拡充していきます。米国では、2025年に3列SUVの現地生産を開始し、ノースカロライナ州で生産するバッテリーを搭載し、生産能力の増強を進めていきます。中国では、現地のニーズにあわせた現地開発のBEVを2024年に2モデル投入し、その後もモデル数を順次増強していきます。アジアをはじめとする新興国は、年内にBEVピックアップトラックの現地生産を開始するほか、小型BEVを投入し、伸び始めたBEVの需要にしっかりと対応します。先進国では、市場が成熟する中で電動車へのシフトが予想されます。一方、新興国は、新規や増車による市場の拡大が見込まれます。
トヨタは、フルラインアップと稼げるHEV・PHEV、増強していくBEVの多様な選択肢で、グローバルの幅広い需要に確実にこたえ、更に成長していきます。新興国の成長には、収益力の上がったHEVで対応し、稼ぐ源泉とします。販売台数約1,000万台のバリューチェーンで幅広い事業機会も取り込んでいきます。加えて、TPSの強みを活かした原価低減とカイゼンの効果を発揮し、BEVやモビリティ領域の広がりに向けた未来の投資余力をこれまで以上に生み出し、カーボンニュートラルと成長を両立させる強い事業基盤を確立していきます。
電動化・知能化・多様化の技術革新が進む中で、地域貢献、産業報国へのチャレンジも進めていきます。例えば、アメリカでは、人々のモノづくり離れや構造的なコスト増など、自動車産業は大きな課題に直面しています。現場で磨きあげた「匠の技能」と「知能化」を組み合わせ、新しいモノづくり・自働化工程を提案し、人不足の課題を解決しながら、アメリカにモノづくりを残す、という恩返しをします。タイのCP、サイアムセメントグループと協業し、電動化やコネクテッドの技術でクルマ・人・物・情報を繋げ、モビリティを社会のインフラの一部として活用した実装を開始します。こうした取り組みを通じ、深刻な渋滞や大気汚染、多発する交通事故などの地域課題の解決にチャレンジしていきます。
「クルマの未来を変えていこう」
どんなに時代が変わってもトヨタは、「商品で経営」し、世界中で、お客様や社会の多様化にお応えし、幸せを量産していく会社です。グローバル、フルラインアップの力を磨いてきたトヨタだからこそ、目指せるモビリティ社会の未来があります。
正解がない時代に、未来を変えていくのは意志と情熱にもとづく「行動」です。仲間とともに、常識にとらわれず、挑戦していきます。その先に、クルマ屋らしく、トヨタらしいモビリティの未来があると信じています。「クルマの未来を変えていこう」、モビリティカンパニーを目指す私たちのテーマです。このブレない軸のもと、意志と情熱をもって、挑戦してまいります。
日野自動車㈱およびダイハツ工業㈱の認証不正問題について
2022年3月4日、連結子会社の日野自動車㈱は、日本市場向け車両用エンジンの排出ガスおよび燃費に関する認証申請における不正行為を確認し、公表しました。外部有識者で構成される特別調査委員会の調査報告書を受領、国土交通省から立ち入り検査を受け、是正命令を受けました。10月7日には、再発防止策に関する報告書を国土交通省に提出しました。本件に関する経営責任の明確化として取締役・専務役員および専務役員4名の辞任、取締役の報酬減額、過去の代表取締役の報酬自主返納に加え、二度と不正を起こさないための「3つの改革」を策定・公表しています。「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」という会社の使命に立ち返り、二度と不正を起こさないよう全社を挙げて取り組みを進めています。
2023年4月28日、連結子会社のダイハツ工業㈱は、同社が開発を行った海外向け車両の側面衝突試験の認証申請における不正行為を確認し、公表しました。その後の同社内での点検を行う中で、新たに、ダイハツ・ロッキーおよびトヨタ・ライズのHEV車のポール側面衝突試験に関する認証手続きに不正があることが判明し、公表しました。事実が判明後、速やかに審査機関・認証当局に報告・相談の上、認可対象国における該当車両の出荷・販売を停止しました。また、社内再試験を行い、試験で定められた基準を満足していることを確認し、報告しています。本件について、法律面および技術面での外部専門家から構成される第三者委員会を設置し、事案の全容解明および真因分析に加え、同社の組織の在り方や開発プロセスにまで踏み込んだ再発防止策の提言を委嘱しています。
2009年に発生した大規模リコールの問題の際に、世界中のお客様に対し、トヨタは「逃げない、隠さない、嘘をつかない」ことをお約束しました。それにも関わらず、当社グループでこうした問題が発生したことを大変重く受け止めています。本件の当社グループのクルマづくりのオペレーション上の問題については、執行トップである社長が責任をもって改善に取り組み、ガバナンスやコンプライアンスに関する部分は、会長が責任をもって取り組んでまいります。
当社グループとして、2023年5月12日にグループ各社トップが集まり、「当社グループとして誠実にものづくりに向き合う」べく、当社グループとしての認識を新たにしました。現在、当社も含め各社が全社を挙げて、これまでのガバナンスの在り方などにつき、改めて検討し、徹底的に見直しを始めています。本件についても、個人や職場の問題としてではなく、個人や職場が不正を行わざるを得なかった会社全体の問題としてとらえ、ダイハツ工業㈱と共に現場の声に耳を傾けながら、丁寧に対応してまいります。
当社グループの現場は、みんなが「もっといいクルマをつくろう」という気持ちを持っています。トヨタは、問題が発生した時には、全員が必ず立ち止まり、現地現物で真因を追求し、改善し、再発防止に取り組んでいく会社です。これは、創業以来ずっと大切にしてきたトヨタの思想です。当社グループ各社が、今一度、この思想に立ち戻り、各社のトップ自らが、それぞれの現場と向き合い、問題をあぶり出し、一つ一つ改善していく、この地道な努力を続けていく以外に、信頼回復の道はありません。一日も早く、お客様の信頼を取り戻せるよう、グループ一丸となって取り組んでまいります。
三菱ふそうトラック・バス㈱と日野自動車㈱の統合に関する基本合意書の締結について
2023年5月30日、当社は、ダイムラートラック社、三菱ふそうトラック・バス㈱および日野自動車㈱と、CASE技術開発の加速を目指すとともに、三菱ふそうトラック・バス㈱と日野自動車㈱を統合する基本合意書を締結しました。当社は、ダイムラートラック社、三菱ふそうトラック・バス㈱および日野自動車㈱と、グローバルでのCASE技術開発・商用車事業の強化を通じたカーボンニュートラルの実現、豊かなモビリティ社会の創造に向けて協業してまいります。
三菱ふそうトラック・バス㈱と日野自動車㈱は対等な立場で統合し、商用車の開発、調達、生産分野で協業し、グローバルな競争力のある日本の商用車メーカーを構築できるよう取り組んでまいります。当社とダイムラートラック社は、両社統合の持株会社(上場)の株式を同割合で保有予定であり、水素をはじめCASE技術開発で協業、統合会社の競争力強化を支えます。
なお、新会社の名称、所在地、体制、協業の範囲や内容については、協議の上、2024年3月期中の最終契約締結、2024年中の統合完了を目標として進めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、創業以来、「豊田綱領」の精神を受け継ぎ、「トヨタ基本理念」に基づいて事業活動を通じた豊かな社会づくりを目指してまいりました。2020年には、その思いを礎に「トヨタフィロソフィー」を取り纏め、「幸せの量産」をミッションに掲げて、地域の皆様から愛され頼りにされる、その町いちばんの会社を目指しています。そのトヨタフィロソフィーのもと、サステナビリティ推進に努めています。
当社では、外部環境変化・社会からの要請などを把握し、より重要性・緊急性が高い課題に優先的に取り組むために、取締役会の監督・意思決定のもと、次のような推進体制にて関係部署と密に連携しながら、環境・社会・ガバナンスなどのサステナビリティ活動を継続的に推進・改善しています。
また、サステナビリティ活動に関して外部ステークホルダーとのエンゲージメントや情報発信をリードする責任者としてChief Sustainability Officer (CSO) を任命しています。
<サステナビリティ推進体制図>

当社は、カーボンニュートラル、CASE※など自動車産業を取り巻く状況や価値観の大変革時代において、常に新たな挑戦が求められるなか、不確実性への対応としてリスクマネジメントを強化してまいります。
各地域、機能、カンパニーが相互に連携・サポートし、グローバル視点で事業活動において発生するリスクを予防・緩和・軽減するために、リスクマネジメントの責任者としてChief Risk Officer (CRO) 、Deputy CRO (DCRO) および、各地域のリスクマネジメント統括として地域CROを任命し、以下の推進体制を構築しています。迅速な対応が必要な重要リスクについては、CRO/DCROより、逐次、取締役会・その他必要なマネジメント会議にて取り上げ、協議しています。
※ CASEとは、Connected (コネクティッド) 、Autonomous/Automated (自動化) 、Shared (シェアリング) 、 Electric (電動化) の頭文字をとった略称
<リスクマネジメント推進体制>

また、リスクマネジメントシステムの仕組みとして、ISOやCOSO (Committee for Sponsoring Organizations of the Treadway Commission) を基盤とする全社的リスク管理フレームワーク、Toyota Global Risk Management Standard (TGRS) に基づきリスクの想定・特定・評価を実施しています。
当社グループにおいては、「モノづくりは人づくり」との理念の下で、創業当初より人材育成に注力してまいりました。
自動車産業が、100年に1度の大変革期のなか、当社グループでは、「継承と進化」をテーマに掲げ、「もっといいクルマをつくろう」、「世界一ではなく、町いちばんへ」、「自分以外の誰かのために」といったトヨタらしさを引き継ぐとともに、未来にむけて、「モビリティカンパニーへの変革」を実現するために、全力で取り組みを進めつつあります。
こうした正解のない時代のなかで、豊田綱領に象徴される創業期の理念・トヨタらしさを守り、トヨタフィロソフィーを道標にクルマの未来を切り開いていくためには、トヨタで働く一人ひとり、まさにグローバル37万人の仲間が、同じ思いを共有し、「チームで、同時に、有機的に動いていくこと」、そして、そのための人づくりが求められていきます。
グローバル全体としては、全地域へのフィロソフィーの浸透に加え、グローバル幹部候補向けの研修をはじめとする様々な機会を通して、本社と地域事業体が一体となり、トヨタの「思想・技・所作 (トヨタフィロソフィー・トヨタ生産方式 (TPS) 等) 」を軸とした人材育成の共通基盤づくりを強化しています。また、地域事業体においても、地域特性や多様なお客様ニーズに応じ、地域に根差した人材戦略の策定と実行を、機動力よく推進するための体制整備を促進しています。
当社においては、育成を含む人への投資について、労使の間でも継続的な対話を続けてきています。「会社は従業員の幸せを願い、従業員は会社の発展を願う」という労使共通の価値観の下、2023年3月の労使による話し合いにおいては、当社の最大の財産は「人」であるという共通認識に立ち、未来に向けた諸施策について、労使間での議論を実施するとともに、スピーディな変革に繋がるよう、具体的な取り組みまで確認してまいりました。
環境変化のスピードが速く、先の見えない時代において、未来に向けた変革を実現するためには、様々な挑戦が必要となってきます。一方で、挑戦をし続けていくためには、乗り越え、解消すべき課題も多数存在することから、取り組むべき課題について、以下のとおり整理しています。
<取り組むべき課題>
・失敗を恐れず、挑戦し続けるための余力づくりや風土づくり
・多様な個性を備えた人材が集まり、一人ひとりが能力を最大限に発揮できるよう、世代ごとに、ライフステージごとに、一人ひとりの価値観や就労観が異なることを踏まえた、「個」に寄り添った仕組みの整備
・変革期の最中にある自動車産業全体に対しての貢献
こうした課題を乗り越え、「だれもが、いつでも、なんどでも、失敗を恐れずに挑戦できる」会社となることを目指して、「多様性」「成長」「貢献」の3つを柱とした諸施策の実現、および、その柱を支えるための土台の強化に向けて、以下の取り組みを推進しています。
①多様性
● 性別を問わず仕事と生活、育児、介護を両立できる環境の整備
· 両立制度の更なる拡充
― 育児のための両立制度 対象となる子の年齢引き上げ (2023年6月以降)
― 育児・介護のための時短 勤務時間延長回数の制限撤廃 (2023年7月)
― 「多様性:自分らしい人生を」の一層の促進に向け、労使で議論
· 希望者全員がパートナー育休を取得できる環境整備 (2023年内 希望者100%取得)
· 全従業員を対象としたダイバーシティ研修の強化
● 本人のキャリア希望を尊重する施策の実施
· 社内公募の本格導入 (2023年10月から、キャリア採用枠を社内にも開放) ※
· 社内FA制度の新設 (若手社員向けとして、2024年4月導入を目指す) ※
· キャリア実現のサポート (専門家によるキャリアコンサルティングサポートを提供)
②成長
● 挑戦・失敗を価値とみるプロセスや評価
· 課題創造型でチャレンジを一層促す評価制度の導入 (2024年4月)
● 「脱機能・脱個社」で現場感・相場観習得
· 「現地現物」「社外」の実践研修
― 管理職任用前の社外経験 (出向・出張・研修等) を原則必須化 (3年以内に実現)
― 現場主体の人材育成予算の確保・拡充
● 職種を超えるチャレンジのサポート
· 職種の線引き緩和 (2024年1月より業務職の職種変更制度を導入)
③貢献
● グループ・仕入先との人材交流・マッチングの活性化
· グループ・仕入先各社の人材ニーズ (出向・出張・研修/若手・中堅・ベテランなど) に応える支援パッケージの拡充
● 働く人を支えるアセットのグループ活用促進
· サテライトオフィス、託児所、研修所などの資産の共同利用をグループ各社へ拡大
― 将来的にはアセットの相互利用も視野
― グループ各社や海外ネットワークの強みを活かしたグループ・地域支援
④3つの柱の土台
● 多様性/チャレンジの余力のためのリソーセス増強
· 業務の効率化により創出したリソーセス相当の約700名を採用※
· 将来の価値創造を促す職場環境に活用
● 個に向き合うマネジメントのサポート
· 管理業務の改廃による更なる負荷低減、役割の定義を踏まえた教育、マネジメント業務の適正な評価
· 部下の多様なキャリア志向に対し、専門家によるコンサルティングサポート
※ 主に事務・技術関連の職場で実施する施策
トヨタは気候変動対応において、2050年カーボンニュートラル実現に向け、地球規模でチャレンジすることを宣言しています。グローバルでチャレンジするために、地域によって異なるエネルギー事情を考慮し、世界各国・地域の状況に対応した多様な選択肢を提供することで、需要動向にすばやく対応していきます。
またトヨタは、金融安定理事会「気候関連財務情報開示タスクフォース (TCFD) 」の提言に2019年4月に賛同・署名しており、気候変動のリスク・機会とその分析について、適切な情報開示を進めています。
①ガバナンス
a.気候関連のリスクと機会についての、取締役会による監視体制
トヨタは、取締役会において気候関連課題を扱うことにより、社会動向に応じた戦略の立案・実行が、効果的に行われると考えています。取締役会は、戦略/主要な行動計画/事業計画の審議と監督を行う場であり、気候関連の重要な事案が生じた時に、議題として上程されます。
取締役会では、気候関連課題に対応するための定性的あるいは定量的な目標の進捗モニタリングも行います。モニタリングは、気候関連課題になりうる、例えば、燃費・排出ガス規制など製品関連のリスクや機会、低炭素技術開発に関するリスクや機会、それらによる財務的影響などを考慮して行われます。また、このガバナンスメカニズムを「トヨタ環境チャレンジ2050」を含む長期戦略の策定、中長期目標およびアクションプランの立案・見直しに活かしています。
2022年における取締役会での意思決定の事例として、以下があげられます。
気候変動に関してカーボンニュートラルを重要案件として特定し、2050年カーボンニュートラルに向けた移行計画を立案することが取締役会に報告され、承認されました。また、需要が拡大するバッテリーEV (BEV) の供給に向け、日米で車載用電池の生産能力を最大40GWh増強する投資を決定しました。
b.気候関連のリスクと機会を評価・管理する上での経営の役割
気候関連課題に対応する最終的な意思決定・監督機関は取締役会となります。また、主に以下の会議体が、気候関連のリスクと機会について評価し、管理を行っています。

②戦略
a.組織が特定した短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会
トヨタは環境問題から生じる様々なリスクと機会の把握に努めており、「トヨタ環境チャレンジ2050」などの戦略が妥当かどうかを常に確認しながら取り組みを進め、競争力の強化を図っています。
なかでも気候変動については、政府による規制強化への対応を含め、新技術の採用など様々な領域での対策が必要になると考えられます。また気候変動が進むことによって、気温の上昇や海水面の上昇、台風や洪水など、自然災害の激化も予想されます。これらは、当社の事業領域にも様々な影響を及ぼす可能性があり、事業上のリスクになりますが、適切に対応できれば競争力の強化や新たな事業機会の獲得にもつながると認識しています。この認識に基づき、気候変動に関するリスクを整理し、影響度やステークホルダーからの関心も踏まえ、特に重要度の高いリスクをリスク管理プロセスに沿って特定しました。

b.気候関連のリスクと機会が組織のビジネス、戦略および財務計画に及ぼす影響
気候関連課題が、事業、戦略、財務計画に大きく影響を与える可能性があるとの認識のもと、気候関連課題に伴うリスクや機会を踏まえて、戦略を随時見直しています。以下の表は、事業、戦略、財務計画に与える具体的な影響について説明しています。
トヨタでは、Toyota Global Risk Management Standard (TGRS) という仕組みのもと、リスクを特定してその重要度を決定し、優先付けています。

c.ビジネス、戦略および財務計画に対する2℃シナリオなどのさまざまなシナリオ下の影響
<STEP1>
気候変動影響を踏まえた社会像の設定
気候変動やそれに伴う各国の政策などにより、自動車業界やモビリティ社会全体が大きな変化にさらされる可能性があり、それらはトヨタにとってリスクや機会となります。リスクと機会の分析を踏まえ、IEA※1などのシナリオ※2を用いて2030年ごろを想定した外部環境として、「公表政策に基づく社会像」「1.5℃以下の社会像」の2つの社会像を描きました。
※1 International Energy Agency:国際エネルギー機関
※2 IPCC※3のRepresentative Concentration Pathways (RCP) 4.5相当、IEAのStated Policies Scenario (STEPS) 、Sustainable Development Scenario (SDS) 、Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE) などのシナリオを参照し設定
※3 Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル
<STEP2>
トヨタへのインパクト
STEP1で描いた各社会像におけるトヨタへの影響を検討しました。気候変動対策が進む「1.5℃以下の社会像」の社会においては、新車販売に占めるZEV※1の比率が大幅に高まり、カーボンニュートラル燃料※2の利用も広がると言われています。また生産や調達への影響として、炭素税などの導入や税率引上げによってコストが上昇する可能性があるため、省エネルギー技術、再生可能エネルギーや水素などの利用を拡大していくことがリスク低減につながります。
一方で、「公表政策に基づく社会像」に描かれるように、社会全体の気候変動対策が十分ではない場合には、洪水などの自然災害の頻発や激甚化による生産停止や、サプライチェーン寸断による減産や生産停止などの可能性が高まると考えています。
※1 ZEV (Zero Emission Vehicle) :BEVやFCEVなど、走行時にCO2やNOxなどを排出しないクルマ
※2 バイオ燃料、合成燃料など
<STEP3>
トヨタの戦略
トヨタは2021年4月に、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを地球規模でチャレンジすることを宣言しました。環境車は、普及してこそ温室効果ガス (GHG) の排出量削減に貢献できると考え、各地域のお客様に選んでいただけるように多様な技術の開発 (マルチパスウェイ) に取り組んでいます。その一つの方策として、ハイブリッド車 (HEV) 、プラグインハイブリッド車 (PHEV) 、バッテリーEV (BEV) 、燃料電池自動車 (FCEV) など、電動車の環境技術開発を加速しています。また、電動車だけでなく、水素燃料・水素エンジン車、カーボンニュートラル燃料などの開発にも取り組んでいます。
現在、世界の約200の国・地域で販売を行っていますが、それぞれ、経済状況、エネルギー政策、産業政策、お客様のニーズなどが大きく異なっています。このため、各々の国・地域にとって最適となるよう、多様な電動車の選択肢を提供する戦略が重要であると考えています。
この電動化戦略に基づき、これまで累計2,250万台の電動車を世界で販売 (2023年2月時点) し、いち早く気候変動のリスクに対応してきました。
今後、BEVについては、専用プラットフォームによるモデルを順次導入、電池の開発・生産戦略などを通じてプラクティカル (実用的) な車両供給に取り組んでいきます。
2026年までに10モデルを新たに投入し、BEV販売台数も年間150万台を基準にペースを定め、2030年にはグローバル販売台数で年間350万台を目指します。
BEV以外にも、全方位で電動化戦略に取り組み、今後の市場に変化があれば、電動車の販売台数などを、今までの経験で得た強みも活かして、柔軟かつ戦略的に変更することで、各地域のお客様に選んでいただき普及を加速させていきます。
「1.5℃以下の社会像」において、例えば、お客様ニーズの変化に伴い電池需要が増加した場合でも、パートナーとの協力強化や新たなパートナーとの協力体制の検討、トヨタと資本関係のあるサプライヤーによる生産体制の迅速な立ち上げなどによって柔軟に対応することで、カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいきます。
また、電動車を増やすことに加え、モード燃費に反映されないものの、CO2排出削減効果のあるオフサイクル技術※に取り組んでいます。さらに、既販車にも利用可能なカーボンニュートラル燃料や、水素燃料・水素エンジン車などのように、CO2排出量削減に寄与する技術は多様であり、こうした技術の選択を広げることにチャレンジしています。
※ オフサイクル技術:「高効率ライト」「廃熱回収」「能動的な空力改善」「日射・温度制御」など、実走行燃費向上につながる技術があり、米国では改善効果に相当するクレジットを付与する制度がある
カーボンニュートラルの実現
自動車産業におけるカーボンニュートラルの実現には、再生可能エネルギーや充電インフラなどのエネルギー政策と、購入補助金、サプライヤー支援、電池リサイクルシステムの整備などの産業政策の一体的な運用が不可欠であり、各国政府や業界団体など様々なステークホルダーと連携した取り組みが必要となってきます。
トヨタはグローバルに事業活動を展開するうえで、各国政府と電動化推進に向けた環境整備について連携し、ライフサイクル全体でのCO2排出量削減に資する電動化戦略を推進しています。
生産分野での取り組みとしては、グローバルで2035年に工場のカーボンニュートラルをめざすことを発表し、炭素税などのリスクにも備えていきます。工場では、徹底的な省エネルギー技術と再生可能エネルギー・水素の導入によるCO2排出量削減を推進しており、欧州の工場では既に電力100%を再生可能エネルギー化しています。
戦略的レジリエンスの強化
自然災害に対処する取り組みを推進し、BCPを策定するとともに、情報収集の強化によるサプライチェーンの強靭化やコミュニケーションの強化に取り組んでいます。
そして、自動車産業だけではなく、あらゆる業界と協力し、サステナブルなだけではなくプラクティカルな取り組みにより、「1.5℃以下の社会像」で描く社会にも対応できるようチャレンジを継続しています。
このほか、安定的な資金調達や持続的な企業価値向上につなげるために、各種ESG評価指標に対する適切な情報開示や、機関投資家をはじめとするステークホルダーの皆様との対話の充実を通じて、トヨタの戦略の妥当性と進捗を確認しています。
③リスク管理
a.組織が気候関連のリスクを特定および評価するプロセス
グローバルな事業活動に関わるすべてのリスクを対象とした全社横断的リスク管理の仕組みであるTGRSに基づき、気候変動を含むすべてのリスクを抽出し、評価、対応を実施しています。
リスク評価は、「影響度」と「脆弱性」の2つの観点で実施され、これにより事業に対する実質的な財務・戦略的影響が明確化されます。
「影響度」は、「財務」「レピュテーション」「法規制違反」「事業継続」の各要素について5段階で評価されています。 (「財務」は売上高に対する割合を指標化)
「脆弱性」は、「対策の現状」と「発生可能性」の2つの指標で評価されます。
b.組織が気候関連のリスクを管理するプロセス
各部署にて抽出され、影響度や脆弱性の観点から評価された地域別、機能別 (生産・販売など) 、製品別のリスクに対し、各地域や各部門が相互に連携・サポートしながら迅速に対応します。各部門の本部長や社内カンパニープレジデントがカンパニーの活動を統括し、その下位では部長が部署の活動を統括、対応策の実行およびモニタリングを実施します。
さらに気候関連のリスクおよび機会については、「製品環境委員会」「生産環境委員会」「サステナビリティ分科会」においても特定、評価され、担当部署や関係役員による審議を行います。「製品環境委員会」では燃費規制や調達などについて、「生産環境委員会」では工場のCO2排出規制や水リスクなどの直接操業について、「サステナビリティ分科会」ではサステナビリティ推進に関する課題や社外ステークホルダーを考慮した取り組みの妥当性などについて、対応状況のモニタリングや見直しを実施します。
上記会議体は、重要な事案が生じたときに開催され、技術・環境・財務・調達・営業といった関連部署の役員・部長級が参加します。これらの会議体での検討により、年複数回リスク評価を実施しています。なお、迅速な対応が必要となる重要なリスクおよび機会については、逐次取締役会へ報告され、対応が決定されます。
c.組織が気候関連のリスクを特定・評価および管理するプロセスが、組織の総合的なリスク管理にどのように統合されているか
前述のように、TGRSを用いたプロセスは、気候変動をはじめ、グローバルな事業活動に関わるすべてのリスクおよび機会を対象とした全社横断的なリスク管理の仕組みです。
また、関係部署が集まる「製品環境委員会」「生産環境委員会」「サステナビリティ分科会」では、気候関連のリスクおよび機会について特定・評価を実施し、対応策が検討されます。
④指標及び目標
a.組織が自らの戦略とリスク管理プロセスに即して、気候関連のリスクと機会を評価するために用いる指標
トヨタは、複数の指標を設定し、複合的に気候関連のリスクと機会を管理することが、気候変動への適応とその緩和に向けた対策として重要だと認識しています。このため指標には、GHG排出量のほか、気候変動と深く関係する、エネルギー、水、資源循環、生物多様性なども含まれています。
これらの指標を考慮して以下の目標を定め、「6つのチャレンジ」という6分野の取組みにより体系的に推進しています。
・長期 (2050年目標):「トヨタ環境チャレンジ2050」
・中期 (2030年目標):「2030マイルストーン」、SBTi認定・承認
・短期 (2025年目標):「第7次トヨタ環境取組プラン」
「6つのチャレンジ」のうち、2050年のカーボンニュートラルに向けては、以下の「チャレンジ」の推進により、2050年のScope1,2,3カーボンニュートラルをめざします。

また、2035年に工場のカーボンニュートラルをめざすことを2021年に発表しています。社内では一定の炭素価格を指標として設備投資などの検討に活用しています。
b.気候関連のリスクと機会を管理するために用いる目標、および目標に対する実績
2022年9月には、SBTiからScope1,2とScope3 Category11の削減目標について認定・承認を取得し、これに準じて中期目標を更新しました。

また2023年4月には、全世界で販売する新車の走行における平均GHG排出量の2030年33%、2035年50%以上削減 (2019年比) を目指すことを公表しました。
中長期のめざす姿を描き、そこからバックキャストした具体的取り組みを、世界中の連結会社やビジネスパートナーと一丸となり推進することで、持続可能な社会の実現を目指しています。


(5) カーボンニュートラル実現に向けた取り組み
当社グループは、2021年4月に、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを地球規模でチャレンジすることを宣言しました。今すぐ、かつ着実にCO2の排出量を削減できるプラクティカル (実用的) な電動車の普及と、地域毎のエネルギー事情やクルマの使われ方の現実に寄り添ったサステイナブル (持続可能) な選択肢を提供しています。

以下において、トヨタの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。ただし、以下はトヨタに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2023年6月30日)現在において判断したものです。
世界の自動車市場では激しい競争が繰り広げられています。トヨタは、ビジネスを展開している各々の地域で、自動車メーカーとの競争に直面しています。近年、自動車市場における競争はさらに激化しており、厳しい状況が続いています。また、世界の自動車産業におけるCASEなどの技術革新が進むことによって、競争は今後より一層激化する可能性があり、業界再編につながる可能性もあります。競争に影響を与える要因としては、製品の品質・機能、安全性、信頼性、燃費、革新性、開発に要する期間、価格、カスタマー・サービス、自動車金融の利用条件、各国の税制優遇措置等の点が挙げられます。競争力を維持することは、トヨタの既存および新規市場における今後の成功、販売シェアにおいて最も重要です。トヨタは、エンジン車から電動車へのお客様のニーズの変化など、昨今の自動車市場の急激な変化に的確に対応し、今後も競争力の維持強化に向けた様々な取り組みを進めていきますが、将来優位に競争することができないリスクがあります。競争が激化した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
トヨタが参入している各市場では、今までも需要が変動してきました。各市場の状況によって、自動車の販売は左右されます。トヨタの販売は、世界各国の市場に依存しており、各市場の景気動向はトヨタにとって特に重要です。当連結会計年度においては、地政学的な緊張を背景としてエネルギー価格などが高騰し、先進国および新興国ともに消費者物価の上昇が加速しました。8月以降は、各国中央銀行による金融引き締めペースの加速に伴う世界経済の減速懸念により、需要減少の動きが見られました。自動車市場においては、世界的な半導体の需給ひっ迫・部品供給不足による、グローバルでの生産制約が継続しましたが、年度後半に向け緩和していきました。このような需要の変化は現在でも続いており、この状況が今後どのように推移するかは不透明です。今後トヨタの想定を超えて需要の変化が継続または悪化した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。また、需要は、販売・金融インセンティブ、原材料・部品等の価格、燃料価格、政府の規制(関税、輸入規制、その他の租税を含む)など、自動車の価格および自動車の購入・維持費用に直接関わる要因により、影響を受ける場合があります。需要が変動した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
③お客様のニーズに速やかに対応した、革新的で価格競争力のある新商品を投入する能力
製品の開発期間を短縮し、魅力あふれる新型車でお客様にご満足いただくことは、自動車メーカーにとっては成功のカギとなります。特に、品質、安全性、信頼性、サステナビリティにおいて、お客様にご満足いただくことは非常に重要です。世界経済の変化や技術革新に伴い、自動車市場の構造が急激に変化している現在、お客様の価値観とニーズの急速な変化に対応した新型車を適時・適切にかつ魅力ある価格で投入することは、トヨタの成功にとってこれまで以上に重要であり、技術・商品開発から生産にいたる、トヨタの事業の様々なプロセスにおいて、そのための取り組みを進めています。しかし、トヨタが、品質、安全性、信頼性、スタイル、サステナビリティ、その他の性能に関するお客様の価値観とニーズを適時・適切にかつ十分にとらえることができない可能性があります。また、トヨタがお客様の価値観とニーズをとらえることができたとしても、その有する技術、知的財産、原材料や部品の調達、原価低減能力を含む製造能力またはその他生産性に関する状況により、価格競争力のある新製品を適時・適切に開発・製造できない可能性があります。また、トヨタが計画どおりに新製品の投入や設備投資を実施し、製造能力を維持・向上できない可能性もあります。お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
④効果的な販売・流通を実施する能力
トヨタの自動車販売の成功は、お客様のご要望を満たす流通網と販売手法に基づき効果的な販売・流通を実施する能力に依存します。トヨタはその参入している各主要市場につきお客様の価値観または地政学的な緊張関係や規制環境において、変化に効果的に対応した流通網と販売手法を展開できない場合は、営業収益および販売シェアが減少するリスクがあります。
⑤ブランド・イメージの維持・発展
競争の激しい自動車業界において、ブランド・イメージを維持し発展させることは非常に重要です。ブランド・イメージを維持し発展させるためには、トヨタグループおよび仕入先が法令遵守を徹底し、お客様の価値観やニーズに対応した安全で高品質の製品を提供すること、また、ステークホルダーの皆様への迅速かつ適切な情報発信を通じ、ステークホルダーの皆様の信頼をさらに高めていくことが重要です。また、企業としてサステナビリティに貢献することの重要性も高まっています。
しかし、トヨタグループや仕入先があらゆる場面において、それを徹底できるとは限りません。例えば、2022年3月4日、連結子会社の日野自動車㈱は、日本市場向け車両用エンジンの排出ガスおよび燃費に関する認証申請における不正行為を確認し、公表しました。また、2023年4月28日、連結子会社のダイハツ工業㈱は、同社が開発した海外向け車両の側面衝突試験の認証申請における不正行為を確認し、公表しました。日野自動車㈱およびダイハツ工業㈱の認証不正問題に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)会社の対処すべき課題」を参照ください。
さらに、トヨタまたは仕入先がサステナビリティに貢献しない、または気候変動やサプライチェーンにおける人権保護など、特定のサステナビリティに関する目標または目的を達成できない場合、トヨタのブランド・イメージが低下する可能性があります。トヨタのブランド・イメージを効果的に維持し発展させることができなかった場合、営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
⑥仕入先への部品・原材料供給の依存
トヨタは、部品や原材料などの調達部品を世界中の複数の競合する仕入先から調達する方針を取っていますが、調達部品によっては他の仕入先への代替が難しいものもあり、特定の仕入先に依存しているものがあります。また、かかる特定の仕入先からの調達ができない場合、当該部品等の調達がより困難となり、生産面への影響を受ける可能性があります。さらに、トヨタが直接の取引先である一次仕入先を分散していたとしても、一次仕入先が部品調達を二次以降の特定の仕入先に依存していた場合、同様に部品の供給を受けられないリスクもあります。仕入先の数に関わらず、トヨタが調達部品を継続的にタイムリーかつ低コストで調達できるかどうかは、多くの要因の影響を受けますが、それら要因にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。それらの要因の中には、仕入先が継続的に調達部品を調達し供給できるか、またトヨタが、仕入先から調達部品を競争力のある価格で供給を受けられるか等が含まれます。このような能力に悪影響を与える可能性のある状況には、地政学的な緊張や、経済制裁などの政府の行動が含まれます。特定の仕入先を失う、またはそれら仕入先から調達部品をタイムリーもしくは低コストで調達できない場合、トヨタの生産に遅延や休止またはコストの増加を引き起こす可能性があり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶ可能性があります。
⑦金融サービスにおける競争の激化
世界の金融サービス業界では激しい競争が繰り広げられています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があります。この他トヨタの金融事業に影響を与える要因には、トヨタ車の販売台数の減少、中古車の価格低下による残存価値リスクの増加、貸倒率の増加および資金調達費用の増加が挙げられます。
⑧デジタル情報技術および情報セキュリティへの依存
トヨタは、機密データを含む電子情報を処理・送信・蓄積するため、または製造・研究開発・サプライチェーン管理・販売・会計を含む様々なビジネスプロセスや活動を管理・サポートするために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しています。さらに、トヨタの製品にも情報サービス機能や運転支援機能など様々なデジタル情報技術が利用されています。これらのデジタル情報技術ネットワークやシステムは、安全対策が施されているものの、ハッカーによる不正アクセスやコンピュータウィルスによる攻撃、トヨタが利用するネットワークおよびシステムにアクセスできる者による不正使用・誤用、開発ベンダー・クラウド業者など関係取引先からのサービスの停止、電力供給不足を含むインフラの障害、天災などによって被害や妨害を受ける、または停止する可能性があります。特にサイバー攻撃や他の不正行為は苛烈さ、巧妙さ、頻度において脅威を増しており、そのような攻撃の標的であり続ける恐れがあります。このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、機密データの漏洩、トヨタ製品の情報サービス機能・運転支援機能などへの悪影響のほか、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払い義務などが発生する可能性もあります。その結果、トヨタのブランド・イメージや、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、トヨタの取引先やビジネスパートナーに対する同様の攻撃は、トヨタにも同様の悪影響を与える可能性があります。
気候変動リスクは、日本および世界で、社会面、規制を含む政治面での関心が高まっています。これらのリスクには、気候変動による物理的リスクや低炭素経済への移行リスクが含まれます。
気候変動の物理的リスクには、台風、洪水、竜巻など突発的な気象変化に起因する影響と、気温上昇、海面上昇、干ばつ、山火事の増加など、長期的な気象変化による影響の両方が含まれます。トヨタはBusiness Continuity Plan(BCP)を策定していますが、異常気象による大規模災害は、トヨタならびに仕入先および取引先の従業員、施設およびその他の資産に損害を与える可能性があり、トヨタの生産、販売またはその他の事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。大規模な災害はまた、お客様の財政状態に悪影響を及ぼし、トヨタの製品およびサービスの需要に悪影響を与える可能性があります。
低炭素経済への移行リスクとは、気候関連のリスクを軽減するための規制、技術、および市場の変化やその対応に伴うリスクです。例えば、トヨタは、気候変動に関する法律、規制、政策の変更、気候変動に対処するための技術革新、市場構造の変化を捉えた自動車産業への新規参入者などの要因により、自動車に対するお客様のニーズが変化するリスクにさらされています。お客様のニーズの変化は、トヨタが部品や原材料などの調達部品を継続的かつ競争力のある価格で調達するために、新たな供給網の確立や既存の供給網の強化が必要になるなど、付随的なリスクや課題をもたらす可能性があります。トヨタは、そのようなリスクの顕在化の結果として、またはリスク軽減やリスク対応の努力の結果として、多額の費用および支出を負担する可能性があります。また、お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
トヨタは、トヨタの事業やビジネスパートナーに関する気候変動関連事項の開示を公表しています。この開示には、トヨタの予想に基づき、将来の見通しに関する記述が含まれており、結果的にこれらが実現できない可能性があります。また、気候変動に関する取り組みは意図した結果をもたらさない可能性があり、目標の達成時期やコスト、達成能力に関する予測は、リスクと不確実性を伴います。その結果、気候変動関連の目標が達成できない恐れがあります。特に、中長期にわたるトヨタの気候変動関連の目標の達成には、多大なリソーセスと投資、ならびに新たなコンプライアンス、リスク管理システム、内部統制およびその他の内部手続の導入が必要です。また、トヨタがコントロールできない環境・エネルギー規制、政策の変更、技術革新、顧客や競合他社の行動等にも影響を受けます。気候変動関連の目標を達成できない、または達成できないとみなされた場合、トヨタのブランド・イメージ、財務状況、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(4)気候変動対応 (TCFDに基づく気候関連財務情報開示)」を参照ください。
事業環境の急激な変化やモビリティカンパニーへの変革に向けた取り組みを進めるにあたり、優秀で多様な人材を確保し、育成し続けることが重要です。しかしながら、そのような人材の獲得競争は激しく、トヨタが高い専門性や豊富な経験を持つ多様な人材を計画通りに採用、定着化できない場合、または成長に必要な機会、教育、リソースを提供できない場合、競争力低下につながり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
①為替および金利変動の影響
トヨタの収益は、外国為替相場の変動に影響を受け、主として日本円、米ドル、ユーロ、ならびに豪ドル、加ドルおよび英国ポンドの価格変動によって影響を受けます。トヨタの連結財務諸表は、日本円で表示されているため、換算リスクという形で為替変動の影響を受けます。また、為替相場の変動は、外国通貨で販売する製品および調達する材料に、取引リスクという形で影響を与える可能性があります。特に、米ドルに対する円高の進行は、トヨタの経営成績に悪影響を与える可能性があります。
為替相場および金利の変動リスクを軽減するために、現地生産を行い、先物為替予約取引や金利スワップ取引を含むデリバティブ金融商品を利用していますが、依然として為替相場と金利の変動は、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。為替変動の影響およびデリバティブ金融商品の利用に関しては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①概観 d.為替の変動」および連結財務諸表注記19ならびに20を参照ください。
②原材料価格の上昇
鉄鋼、貴金属、非鉄金属(アルミ等)、樹脂関連部品など、トヨタおよびトヨタの仕入先が製造に使用する原材料価格の上昇は、部品代や製造コストの上昇につながり、これらのコストを製品の販売価格に十分に転嫁できない、あるいは仕入先がこれらのコストを十分に吸収できない結果、トヨタの将来の収益性に悪影響を与える可能性があります。資材価格の高騰は、2023年3月期の業績に悪影響を及ぼしており、2024年3月期の業績においても影響が継続すると予想しています。
③金融市場の低迷
世界経済が急激に悪化した場合、多くの金融機関や投資家は、自らの財務体力に見合った水準で金融市場に資金を供給することが難しい状況に陥る可能性があります。その結果、企業がその信用力に見合った条件で資金調達をすることが困難になる可能性があります。必要に応じて資金を適切な条件で調達できない場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。
①自動車産業に適用される政府の規制
世界の自動車産業は、自動車の安全性や排ガス、燃費、騒音、公害をはじめとする環境問題などに関する様々な法律と政府の規制の適用を受けています。特に、安全面では、法律や政府の規制に適合しない、またはその恐れのある自動車は、リコール等の市場処置の実施が求められます。さらに、トヨタはお客様の安心感の観点から、法律や政府の規制への適合性に関わらず、自主的に販売停止やリコール等の市場処置を実施する可能性もあります。トヨタが市場に投入した車両にリコール等の市場処置が必要となった場合(リコール等に関係する部品はトヨタが第三者から調達したものも含む)、製品のリコール等にかかる費用を含めた様々な費用が発生する可能性があります。また、多くの政府は、価格管理規制や為替管理規制を制定しています。さらに、規制を遵守できなかった場合、法的手続、リコール、改善措置の交渉、罰金、政府承認の取り消しやその他の政府制裁の賦課、製品提供の制限、補償金、あるいは日野自動車㈱が排出ガスや燃費試験に関する不正行為に関連して生じたような不利益をもたらす可能性があります。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)会社の対処すべき課題」を参照ください。トヨタは、国際貿易の動向や政策の変化に関する費用を含むこれらの規制に適合するために費用を負担し、今後も法令遵守のために費用が発生する可能性があります。また、新しい法律または現行法の改正により、トヨタの今後の費用負担が増えるリスクがあります。このように、市場処置を講じたり法律や政府の規制へ適合するために多額の費用が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
②法的手続
トヨタは、製造物責任、知的所有権の侵害等、様々な法的手続の当事者となる可能性があります。また、株主との間で法的手続の当事者となったり、行政手続または当局の調査の対象となる可能性もあります。現在トヨタは、行政手続および当局の調査を含む、複数の係属中の法的手続の当事者となっています。トヨタが当事者となる法的手続で不利な判断がなされた場合、トヨタの評判、ブランド・イメージ、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。政府の規制等の法的手続の状況については連結財務諸表注記30を参照ください。
③自然災害、感染症、政治動乱、経済の不安定な局面、燃料供給の不足、インフラの障害、戦争、テロまたはストライキの発生
トヨタは、全世界で事業を展開することに関連して、様々なイベントリスクにさらされています。これらのリスクとは、自然災害、感染症の発生・蔓延、政治・経済の不安定な局面、燃料供給の不足、天災などによる電力・交通機能・ガス・水道・通信等のインフラの障害、戦争、テロ、ストライキ、操業の中断などが挙げられます。トヨタが製品を製造するための材料・部品・資材などを調達し、またはトヨタの製品が製造・流通・販売される主な市場において、これらの事態が生じた場合、トヨタの事業運営に障害または遅延をきたす可能性があります。トヨタの事業運営において、重大または長期間の障害ならびに遅延が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。