第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、基本理念として「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」ことを会社の使命として掲げ、「世界のHINO」として広く社会から評価されるよう、事業活動を進めていきたいと考えております。

 会社の使命を果たすため、当社グループの事業活動に対する取り組み方針を下記のとおり定めております。

1.世界の人々から信頼される商用車メーカーを目指し、グローバルな事業展開を行います。

2.技術の継承と革新を続け、お客様のお役に立つ商品やサービスを提供いたします。

3.変化を的確に捉え、社会との調和を図り、持続可能な発展を目指します。

4.社員の多様性を尊重し、活気あふれる企業風土をつくります。

 

(2)会社の環境及び対処すべき課題

 2020年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の今後の感染拡大の規模や収束の時期などの見通しがたっておらず、先行きへの不透明感は一層増しております。また、地政学リスクや貿易摩擦の再燃などの様々なリスク要因もあり、依然として注視が必要な状況です。

 

①新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた対応

 そのような中、当社グループの喫緊の課題は新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた対応です。日々、社会的・経済的な影響が拡大する中、まずは、社会的な最優先課題となっている感染拡大の防止に全力を尽くします。WHOならびに各国保健行政の方針に従った感染防止策の徹底を行い、社員とその家族を守るため、そして、このような状況においても輸送・物流で社会を支えてくださっている当社グループのお客様を支えるため、取り組んでまいります。

 2020年5月時点で、当社日野本社においては、テレワークを約6,000名規模まで拡大し、原則在宅勤務としています。各工場においても、可能な職場では在宅勤務、時差通勤を行い、生産ラインにおいては感染予防策のさらなる徹底を図っています。また、感染リスクが高い国や地域との双方向での渡航の原則禁止、お客様や取引先等の多くの皆さまにお集まりいただくイベント(省燃費運転講習会や工場見学など)の休止等、対応を実施しております。

 一方で、今後、事態が長期化または更なる感染拡大やパンデミック(世界的流行)にあたる状況が進行すれば、世界的な景気の悪化による需要減、信用収縮の影響も想定され、現時点で業績に与える影響を予測することは非常に困難な状況です。このような状況に対し先ずは緊急対策として、適切な生産・販売の維持、投資の見直し、固定費の削減等の経営基盤の強化に先手を打ち、企業体質の抜本的改革をさらに加速して進めてまいります。

 適切な生産・販売の維持については、足元ではグローバル規模の危機に迅速に対応すべく全世界の工場稼働を調整し、在庫の最小化をさらに推進していきます。一方で、国・地域ごとの濃淡も踏まえて、お客様が必要とする製品を確実かつ早期にお届けするために、需要を見極めつつ必要な供給を行います。これまで以上に日本国内も含む全世界の事業拠点と直接繋がり、スピーディーな対応を図ってまいります。

 投資と固定費については、すべての業務をゼロベースで見直し、取捨選択、優先順位付けを行い、徹底的な削減・抑制を進め、企業体質の改善を図ってまいります。

 また、足元でコロナウイルス感染拡大防止策として行っているテレワークもふくめ、更なる働き方改革と全社的なDⅩ(デジタルトランスフォーメーション)化の推進により全社的に業務改革を進め、大幅な効率化を目指してまいります。

 先々が見通しにくい状況ではありますが、今回の未曽有の厳しい事態を好機と捉え、より一層の企業体質の強化を図り、乗り越えていく所存です。

 

②2025に向けた取り組み

 一方で、非常に厳しい経営環境ではございますが、中長期の経営戦略である『Challenge2025』(2018年10月公表「2025年に向けて」)の2年目として、「豊かで住みよい持続可能な社会」実現に向け、お客様と社会への価値提供を加速させつつ、新たな種蒔きも着実に推進してまいります。

 当社グループは、お客様と社会の課題解決に向けた4つの価値提供として「交通死亡事故ゼロ」、「CO2排出量の大幅削減」、「お客様ビジネスの発展支援」、「人流・物流の更なる効率化」を掲げ、3つの方向性(「安全・環境技術を追求した最適商品」「最高にカスタマイズされたトータルサポート」「新たな領域へのチャレンジ」)を複合的に組み合わせて、価値提供を推進してまいります。

 

i) 日野の価値提供

 『Challenge2025』の日野車が関わる交通死亡事故ゼロ、CO2排出量の大幅削減を目指し、自動運転・電動化などの先進技術開発を加速してまいります。例えば燃料電池大型トラックについては、トヨタ自動車株式会社とともに共同開発し、今後、走行実証などを通じ実用化に向けた取り組みを進めてまいります。

 また、お客様ビジネスの発展支援として特に重要な「トータルサポート」の取り組みについても、ICTサービス(HINO CONNECT)のグローバル展開とより多くのお客様のビジネスを“One To One”で支えるためのしくみ・ビジネスモデルの構築を進めてまいります。日本国内においては、首都圏における運送事業者の配送ネットワークの広域化などに対応すべく首都圏3販売会社(千葉日野自動車㈱、東京日野自動車㈱、横浜日野自動車㈱)を2021年に統合・新会社を設立し、お客様のビジネスに貢献し続けていくための体制を整えてまいります。

 新たな領域へのチャレンジとして、2019年12月に事業を開始したNEXT Logistics Japan株式会社では、日々変わる荷姿や荷量への対応など、実運行を開始して初めて見えてきた課題に具体的に手を打ち、どのようにデータを活用して効率化していくのか、さらなる検討をすすめ事業スキームを進化させていきます。

 そして、人流においては、2019年度に地方自治体や専門家等の皆さまのご協力を得て実証実験を行ったからこそ見えてきた、様々なお客様や社会の声を大変多く得ることができました。今後も、お客様と同じ目線で人流・物流を取り巻く課題を認識し、解決に取り組む姿勢を貫いてまいります。

 

ii) さらなるビジネスの基盤強化

 お客様と社会の課題解決を加速し、当社グループが持続的に成長していくために、お客様近接化・現地主体化に向けた仕組みづくりも進めてまいります。

 開発面では、「最適な商品」を「タイムリー」にお客様にご提供するため、開発の徹底的な効率化と現地化を進め、「早い開発」の体制を築いてまいります。

 また、ものづくりにおいては、原点である「もっと早く」「もっと安く」お客様に商品をお届けすることにこだわり、追求してまいります。そして、抜本的な原価低減に向けリソーセスを投入し、価格競争力と台当たりコストの低減にも努めてまいります。

 

iii) アライアンス(仲間づくり)

 『Challenge2025』の取り組みは、当社グループだけでは難しいものばかりですが、2019年度はTRATONグループと調達JVや電動プラットフォーム、電動化コンポーネントを共同で一括企画する取り組みを開始したほか、中国・比亜迪股份有限公司(BYD)との個別の商用EV開発での協業を中心とした戦略的パートナーシップ契約の締結やトランコム株式会社、株式会社Hacobuとの資本業務提携など、新たな仲間づくりも進めてまいりました。

 今後も国内外や同業異業種に拘らず、志を同じくする更なる仲間づくりによって、お客様や社会の課題解決を加速していく所存です。

 

iv) 人財育成と抜本的な業務の効率化

 お客様の期待を上回る価値を提供し続けるため、失敗を恐れず、変化を楽しみチャレンジできる人財やデジタル人財、グローバルで通用する人財の育成・確保を進めてまいります。

 また、『Challenge2025』の実現に向け、仕事のやり方の抜本的見直しや全社的なデジタル化の加速により、業務の無駄をなくし、大幅に効率性を高めることで事業基盤の強化につなげてまいります。

 当社グループのお客様は、この未曽有の厳しい状況下においても、社会と経済を維持するために、人流・物流を支えてくださっています。当社グループはこうしたお客様のお役に立ち、そして少しでも社会が良い方向にむかうためにも、今後も「チーム日野」一丸となってスピード感をもって取り組んでまいります。

 また、世界中のお客様と社会、ステークホルダーの皆様に信頼され、これまで以上に必要とされる企業となっていくことが、当社グループの持続的な成長につながっていくと考えております。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月22日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)感染症等の流行

 国内・海外において大規模な感染症等の流行があった場合には、当社グループの生産・販売活動に制約を受けるリスクがあり、それが長期化した場合には当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。また、感染症の流行を主因として波及的に後述の(2)~(6)のリスクが顕在化する場合があります。

 

(新型コロナウイルス感染症の流行)

 2020年2月頃から、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、当社グループの海外市場での販売が低下し、2020年3月には急ブレーキがかかった状態になりました。

 このような中、当社グループの喫緊の課題は新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた対応です。日々、社会的・経済的な影響が拡大する中、まずは、社会的な最優先課題となっている感染拡大の防止に全力を尽くします。WHOならびに各国保健行政の方針に従った感染防止策の徹底を行い、社員とその家族を守るため、そして、このような状況においても輸送・物流で社会を支えてくださっている当社グループのお客様を支えるため、取り組んでまいります。

 当社グループの感染拡大の防止に向けた具体的対応等につきましては、第2「事業の状況」 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」 (2)会社の環境及び対処すべき課題 ①新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた対応に記載のとおりです。

 

(2)需要及び価格の変動

 国内においてのトラック・バス等の販売は、国及び地方自治体による環境規制強化の実施の有無による需要の変動に大きく影響を受けます。また、国内貨物輸送の低迷や物流改革の進行により今後のトラック需要は減少する可能性があります。さらに、他社との価格競争により当社製品の価格変動を引き起こす可能性があります。

 海外においてのトラック・バス等の販売は、国・地域及びその市場における経済状況の影響を受け、かつ、他社との価格競争により当社製品の価格変動を引き起こす可能性があります。

 これらの需要及び価格変動に対応するため、当社グループは商品力の強化と適正な生産体制の構築、原価改善等を推進し、需要・価格変動に強い企業体質を目指しております。

 

(3)材料価格の変動

 当社グループは国内及び海外の複数のメーカーから鋼材等の資材、部品等を調達し、トラック・バス、エンジン等を生産しております。これらの材料価格は、業界の需要や原材料の価格に伴い変動しております。材料価格が高騰し、かつ、長期化する場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループはこれらの材料価格の変動に対応するため、原価改善等を推進しております。

 

(4)為替の変動

 当社は円表示で連結財務諸表を作成しており、海外における現地通貨建の売上高、費用、資産等の項目は、連結財務諸表作成時に円換算されるため、換算時の為替レートによって、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 また、国内外での原材料等の仕入れや製品の販売において、外国為替相場の変動は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。この為替変動リスクを抑えるために一部でデリバティブ取引を行っておりますが、それによって本来得られた利益を逸失する可能性があります。

 当社グループは、これらリスクに対応するため、適切なグローバル調達・生産・販売体制を検討・構築しております。

 

(5)金利の変動

 資金調達に係るコストは、市場金利が急激に上昇した場合、支払利息の負担が増大するなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは親会社であるトヨタ自動車株式会社とのインハウスバンキングを通じた資金調達のグローバル化等によって当該リスクの最小化を図っております。

 

(6)貸倒れリスク

 当社グループは当社で生産したトラック・バスを全国の販売会社を通し様々な取引先に販売をしております。これらの取引先において信用不安などにより予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、追加的な損失や引当の計上が必要となる場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは取引先の信用リスク情報などを適時入手し、当該リスクの最小化を図っております。

 

(7)親会社との取引

 当社グループは、親会社であるトヨタ自動車株式会社より乗用車及び一部の小型トラックの生産を委託されており、また小型トラックのOEM供給を行っております。当連結会計年度の売上高の19.7%を同社に依存しております。

 なお、当社とトヨタ自動車株式会社との取引は、「関連当事者情報」に記載しております。

 

(8)国内外での事業活動

 当社グループは、日本をはじめアジアを中心とした世界各地で事業活動を展開しております。それらの事業活動には、通常、予期しない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の採用・確保の困難等、経済的に不利な要因の存在又は発生、テロ・戦争・自然災害・その他の要因による社会的又は政治的混乱等のリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化することによって、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループの世界各地域における事業活動は、「セグメント情報」に記載しております。

 

(9)法規制等

 当社グループは、国内外でのトラック・バス等の販売において、安全性や排出ガス、燃費、騒音、公害などに関する法規制等やその他各国の様々な法規制等の適用を受けているため、これらの規制に適合するために費用を負担しております。これら法規制等の制定又は改正が行われた場合、費用負担が増える可能性があります。

 

(10)製品の欠陥

 当社グループは、基礎研究段階を含め、商品企画・開発からアフターサービスまでの各ステップにおいて、安全性への細心の配慮を行うとともに、品質の確保に努めております。

 しかし、すべての製品について欠陥が無く、将来にわたりリコールや製造物責任賠償が発生しないという保証はありません。そのため、これらのリスクが顕在化する場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況及び分析

 当連結会計年度における我が国経済は、海外経済の減速等を背景に輸出の伸びが鈍化したものの、雇用・所得環境の改善等により、内需を中心に緩やかに回復しました。世界経済は、米中貿易問題に端を発した2019年前半からの中国での景気後退などにより、インドネシアをはじめとするASEAN各国でも影響を受け、金融市場において不安定な動きが見られるなど、先行きの不透明感が強まりました。

 市場の状況につきましては、国内トラック市場は底堅く推移しつつも、海外主要市場では市場の鈍化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年2月から販売が低下し、3月ではまさに急ブレーキがかかった状態となりました。

 当連結会計年度の国内のトラック市場につきましては、昨年度に引き続き大型トラックは底堅く推移し、大中型トラックの総需要は91.9千台と前期に比べ0.4千台(0.4%)の増加となりました。一方で、小型トラックの総需要は103.3千台と前期に比べ5.9千台(5.4%)減少となりました。

 当連結会計年度の国内販売につきましては、昨年度に引き続き好評をいただいており、大中型・小型トラックを合わせたシェアは過去最高であった昨年度に次ぎ、32.6%を達成いたしました。

 国内売上台数につきましては、大中型・小型トラック、バス総合計で66.5千台と前期に比べ5.6千台(7.8%)減少いたしました。

 海外市場につきましては、インドネシア・アメリカをはじめとする主力市場の鈍化に加え、新型コロナウイルス感染症の影響を受け販売台数が減少し、当連結会計年度の海外トラック・バスの売上台数は107.7千台と前期に比べ24.3千台(18.4%)減少いたしました。

 以上により、日野ブランド事業のトラック・バスの総売上台数は174.3千台と前期に比べ29.9千台(14.6%)減少いたしました。

 また、トヨタ向け車両台数につきましては、SUV及び小型トラックの台数が減少した結果、総売上台数は139.3千台と前期に比べ13.3千台(8.7%)減少いたしました。

 このような非常に厳しい経営環境ではありますが、当社グループは、経営戦略「Challenge2025(2025年に向けて)」を堅持し、お客様や社会の課題解決と、事業基盤の強化は着実に推進していく所存です。具体的な施策につきましては、第2「事業の状況」 『1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等』 (2)会社の環境及び対処すべき課題 ②2025に向けた取り組みに記載のとおりです。

 

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

ⅰ)財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ707億40百万円減少し、1兆2,750億80百万円となりました。これは、当連結会計年度末の売掛債権が637億59百万円減少、投資有価証券が73億83百万円減少したこと等によります。

 

(負債合計)

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ669億62百万円減少し、6,823億99百万円となりました。これは、買掛債務が432億1百万円減少、有利子負債が99億67百万円減少したことに加え、未払法人税等の負債が減少したことによります。

 

(純資産合計)

 純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ37億78百万円減少し、5,926億80百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を314億67百万円計上した一方で、剰余金の配当を160億75百万円行ったこと、及びその他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定が減少したこと等によります。

 

 

 セグメントごとの財政状態は次のとおりであります。

(日本)

 主に、有形固定資産が69億3百万円増加した一方で、当連結会計年度末の売上が減少したことに伴い売掛債権が404億16百万円減少したこと等により、セグメント資産は9,653億18百万円と前連結会計年度末に比べ、376億90百万円減少しました。

 

(アジア)

 当連結会計年度末のリース債権が28億46百万円増加した一方、当連結会計年度末の売上が減少したことに伴い売掛債権が256億73百万円減少したこと等により、セグメント資産は2,733億87百万円と前連結会計年度末に比べ、260億41百万円減少しました。

 

(その他)

 当連結会計年度末のたな卸資産が59億92百万円増加した一方で、当連結会計年度末の売上が減少したことに伴い売掛債権が101億5百万円減少したこと等により、セグメント資産は1,319億27百万円と前連結会計年度末に比べ、17億32百万円減少しました。

 

ⅱ)経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の連結売上高は1兆8,155億97百万円と前期に比べ1,657億33百万円(△8.4%)の減収となりました。

 国内トラック市場につきましては、底堅く推移したものの、売上高は5,329億39百万円と前期に比べ197億49百万円(△3.6%)の減収となりました。

 海外トラック・バスにつきましては、インドネシア・アメリカ等の主力市場の鈍化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大により売上台数が減少し、売上高は4,485億72百万円と前期に比べ1,027億54百万円(△18.6%)の減収となりました。

 トヨタ向け車両につきましては、SUV及び小型トラックの台数が減少したこと等により、売上高は3,286億39百万円と前期に比べ319億12百万円(△8.9%)の減収となりました。

 その他の部門の売上高につきましては、補給部品の売上高は増加した一方で米国、タイにおけるトヨタブランド車向けユニット事業の売上高が減少したこと等により、5,054億46百万円と前期に比べ113億16百万円(△2.2%)の減収となりました。

 

(営業利益)

 主にトラック・バスの売上台数減少により、当連結会計年度の営業利益は、548億59百万円と前期に比べ318億58百万円(△36.7%)の減益となりました。なお、売上原価の売上高に対する比率は85.0%(前期は84.5%)、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は12.0%(前期は11.1%)となりました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度は、営業利益の318億58百万円の減益に加え、為替差損が前期に比べ15億35百万円増加したこと等により、経常利益は495億96百万円と前期に比べ343億7百万円(△40.9%)の減益となりました。

 

(税金等調整前当期純利益)

 当連結会計年度は、経常利益は343億7百万円の減益となりましたが、当期は投資有価証券売却益が前期に比べ14億40百万円増加したこと及び、当期は特別品質対策費の計上が無かったこと(前期は39億47百万円)等により、税金等調整前当期純利益は509億73百万円と前期と比べ315億49百万円(△38.2%)の減益となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、162億33百万円と前期に比べ52億78百万円の減少となりました。

 また、非支配株主に帰属する当期純利益は、32億71百万円と前期に比べ28億30百万円減少しました。

 以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は314億67百万円と前期に比べ234億40百万円(△42.7%)の減益となりました。

 

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(日本)

 日野ブランド事業の国内向けトラック・バスの売上高は、前期に比べ減収となりました。海外向けについては、主力市場の鈍化及び新型コロナウイルス感染症の拡大による市場低迷に伴いアジアや北米向けの売上台数が減少したこと等により、減収となりました。また、トヨタ向けについては、主にSUV及び小型トラックの売上台数が減少したこと等により、減収となりました。

 以上により、売上高は1兆4,735億28百万円と前期に比べ1,201億51百万円(△7.5%)の減収となりました。損益面におきましては、売上台数の減少等により、セグメント利益(営業利益)は361億12百万円と前期に比べ186億76百万円(△34.1%)の減益となりました。

 

(アジア)

 主要国における売上台数が新型コロナウイルス感染症の拡大等の影響により減少したことにより、売上高は3,622億90百万円と前期に比べ732億5百万円(△16.8%)の減収となりました。損益面におきましては、売上台数の減少に伴い、セグメント利益(営業利益)は159億68百万円と前期に比べ69億19百万円(△30.2%)の減益となりました。

 

(その他)

 米国をはじめとする主要国において新型コロナウイルス感染症の拡大等の影響により売上台数が減少したことにより、売上高は2,411億91百万円と前期に比べ232億9百万円(△8.8%)の減収となりました。損益面におきましては、売上台数の減少に伴い、セグメント利益(営業利益)は29億59百万円と前年同期に比べ58億4百万円(△66.2%)の減益となりました。

 

ⅲ)生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

区分

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

日本

トラック・バス(台)

136,008

△13.2

トヨタ向け車両(台)

145,012

△4.1

アジア

トラック・バス(台)

35,152

△28.9

トヨタ向け車両(台)

722

△50.4

報告セグメント計

トラック・バス(台)

171,160

△17.0

トヨタ向け車両(台)

145,734

△4.5

その他

トラック・バス(台)

トヨタ向け車両(台)

合計

トラック・バス(台)

171,160

△17.0

トヨタ向け車両(台)

145,734

△4.5

 

(b)受注実績

 当社グループは国内及び海外の販売実績及び販売見込等の資料を基礎として見込生産を行っております。なお、トヨタ向け車両についてはトヨタ自動車株式会社からの受注に基づき生産しております。

 

 

(c)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

1,473,528

△7.5

アジア(百万円)

362,290

△16.8

報告セグメント計(百万円)

1,835,819

△9.5

その他(百万円)

241,191

△8.8

調整額(百万円)

△261,413

△16.3

合計(百万円)

1,815,597

△8.4

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額

(百万円)

割合

(%)

金額

(百万円)

割合

(%)

トヨタ自動車㈱

390,477

19.7

357,485

19.7

2.上記金額には、消費税等は含まれていません。

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フローの状況及び分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益の計上等による資金の増加があった一方、有形固定資産の取得による資金の減少等により、前期末に比べ8億88百万円減少(前期は38億95百万円減少)し、397億93百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、951億76百万円(前期は486億53百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上が509億73百万円(前期は825億23百万円)、減価償却費の計上が580億11百万円(前期は585億39百万円)および売上債権の減少による資金の増加が573億68百万円(前期は106億5百万円の資金の減少)あった一方で、仕入債務の減少による資金の減少が413億31百万円(前期は212億58百万円の資金の減少)あったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、670億6百万円(前期は722億84百万円の減少)となりました。これは主に、生産設備を中心とした有形固定資産の取得による支出が603億81百万円(前期は589億36百万円)あったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、282億43百万円(前期は209億2百万円の増加)となりました。これは主に、配当金の支払が160億75百万円(前期は166億47百万円)あった一方で、有利子負債の純減少額が48億48百万円(前期は406億38百万円の純増加)あったことによるものです。

 

②資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と製品製造のための材料及び部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。

 

③契約債務

 2020年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

178,170

178,170

1年内返済予定の長期借入金

14,118

14,118

長期借入金

19,839

18,235

703

900

 

④財務政策

 当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを財務方針としております。設備投資、投融資などの長期資金需要に対しては、内部留保、長期借入債務及び社債の発行により、また、運転資金需要には短期借入債務により対応しております。借入債務については、主にトヨタ自動車株式会社、金融機関からの借入れによって調達しております。

 また資金マネジメントについては、当社と子会社の資金管理の一元化を図るなかで、緊密な連携をとることにより、グローバルな資金効率の向上を図っております。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、各種の見積りと仮定を行っております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりです。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、国内・海外市場ともに2020年後半まで続くとの仮定のもと会計上の見積りを行っております。

 

① 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮し、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。

 将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、親会社株主に係る当期純損益額が変動する可能性があります。

 

② 退職給付債務及び退職給付費用

 退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しております。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。

 

③ 製品保証引当金

 当社は、保証書の約款に従い販売した製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、過去の実績を基礎にして計算しております。

 引当金の見積り時において想定していなかった製品の不具合による保証義務の発生や、引当の額を超えて保証費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)トヨタ自動車株式会社との業務提携

 1966年10月より、当社はトヨタ自動車株式会社と業務提携を行っており、現在当社は同社より乗用車「ランドクルーザープラド」及び「FJクルーザー」の生産を受託し、小型トラック「ダイナ/トヨエース」を同社に対してOEM供給しております。また商品相互補完取引、台湾における合弁会社(国瑞汽車株式会社)への共同出資、トヨタ販売網を通じた当社製品の販売など各般にわたって提携関係の発展・強化を図っております。

 

(2)いすゞ自動車株式会社との株主間協定書

 当社といすゞ自動車株式会社は、両社が保有するバス製造子会社である日野車体工業株式会社及びいすゞバス製造株式会社の株式を、バス事業統合準備会社として両社が折半出資により設立したジェイ・バス株式会社へ譲渡すること並びに統合の基本的事項について合意し、2003年9月12日、株主間協定を締結いたしました。

 さらにその統合効果を最大限に引き出すことを目的として、ジェイ・バス株式会社はその傘下の両バス製造子会社と、2004年7月30日に合併契約を締結、2004年10月1日に合併いたしました。

 

(3)中国の上海日野エンジン有限会社の合弁契約書

 当社は、今後、トラック・バスの大市場と見込まれる中国で、エンジンの現地生産及び販売を行うことを目的とし、中国のエンジン製造会社である上海柴油機股份有限公司との折半出資で合弁会社を設立する合弁契約を2003年8月6日に調印いたしました。これにより、2003年10月8日に合弁会社を設立いたしました。2007年9月、上海柴油機股份有限公司の出資持分の全部を上海電気(集団)総公司に譲渡したため、当社は上海電気(集団)総公司と修正合弁契約を締結いたしました。2010年4月、上海電気(集団)総公司が、出資持分の一部を広州汽車集団股份有限公司に譲渡したため、当社は上海電気(集団)総公司及び広州汽車集団股份有限公司と修正合弁契約を締結いたしました。2019年6月、上海電気(集団)総公司が、出資持分の全部を当社に譲渡したため、当社は広州汽車集団股份有限公司と修正合弁契約を締結いたしました。

 

(4)中国の広汽日野自動車有限会社の合弁契約書

 当社は、中国において、商用車、シャシ及びエンジン等部品の開発・設計・生産・販売・アフターサービスを行うことを目的とし、中国での自動車製造・販売等を主要事業とする広州汽車集団股份有限公司と折半出資で合弁会社を設立する合弁契約を2007年8月10日に調印し、2007年11月28日に広汽日野自動車有限会社を設立いたしました。

 

(5)Volkswagen Truck & Bus GmbH(現:TRATON SE)との戦略的協力関係構築の枠組みに関する合意書

 当社は、Volkswagen Truck & Bus GmbHとの長期視点、対等かつ互恵的な戦略的協力関係の構築に向けた合意書に2018年4月11日調印いたしました。今後、物流/交通に関わるソリューション調査、既存・将来技術、調達等の領域において、相互補完的な協力関係の構築を検討してまいります。

5【研究開発活動】

 当社グループは「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」ことを使命とし、「技術の継承と革新を続け、より高い技術の開発に取組み、世界の人々から信頼される商品やサービスを提供する」ことを基本理念とし、時代の変化を的確に捉え、社会との調和を図り、安全で環境に優しい商品や質の高いサービスを提供するため、積極的な研究開発活動を行っております。

 当社の研究開発は、当社を中心に、子会社をはじめとする関係各社との緊密な連携のもとで推進されております。また、基礎研究分野において、技術研究所を中心として環境、安全、材料などの分野における研究開発に取り組んでおります。

 当社は、環境や安全に対する取組みに加え、耐久性や燃費などの性能向上、プロダクト・ライフサイクル・コストの低減など、より良い商品とサービスを世界の人々に提供する為に商品・技術開発を行っております。

 セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(日本)

[最近の新製品]

(1) 中型トラック「日野レンジャー」を改良し、2019年5月6日に発売しました。今回の改良では、進化した「ドライバーモニターⅡ」や「オートマチックハイビーム」を標準装備するとともに、ハンズフリー機能付Bluetooth®搭載オーディオを全車標準搭載し、安全性と利便性を向上させました。

 

 日野は、商用車メーカーの社会的責務として安全装備の開発と普及に取り組んでおり、中型トラックにおいては業界をリードする高い水準の安全性能を実現しています。このたび機能を向上させた「ドライバーモニターⅡ」は、モニターカメラの精度を向上させるとともに、カメラの設置位置をインパネ内からより顔を認識しやすいピラーに変更しています。これにより、ドライバーの顔向き・眼の開閉状態に加えて、運転姿勢崩れも認識することが可能となりました。また、サングラスやマスク装着時の検知能力も向上し、前方不注意を検知すると警報で知らせます。

 夜間の運転視界支援として、ヘッドランプのハイビーム・ロービームを自動で切り替える「オートマチックハイビーム」および「オートヘッドランプ」を標準搭載し、「可変配光型LEDヘッドランプ」もエアサス車にオプション設定しています。

 さらに、ハンズフリー機能付Bluetooth®搭載オーディオを標準装備し、ステアリングを握ったまま操作できる等、利便性も向上しています。

 今回発売した「日野レンジャー」は、「PCS※1」「VSC※2」「車線逸脱警報」を標準装備しており、全車ASV減税の対象※3です。また、J-OBDⅡ※4に対応したモデルです。

 

※1 「PCS」(プリクラッシュセーフティシステム)はトヨタ自動車株式会社の登録商標です。

※2 「VSC」(Vehicle Stability Control、車両安定制御装置)はトヨタ自動車株式会社の登録商標です。

※3 先進安全自動車(ASV)技術を備えるトラック・バスについて自動車取得税、自動車重量税を軽減する特例措置。

※4 「J-OBDⅡ」(Japan On-board diagnosisⅡ)。2019年9月1日より適用となる車載式故障診断装置搭載の義務化に対応。

 

(2) 小型トラック「日野デュトロ」を改良し、「平成28年排出ガス規制」に対応するとともに、安全装備を大幅に
拡充して2019年5月7日に発売しました。日野は、商用車メーカーの社会的責務として安全技術を標準装備し、様々なシーンで衝突回避を支援する機能を追加しています。また、ICTサービス「HINO CONNECT」導入によるコネクティッドの推進等、あらゆる面からドライバーをサポートしています。

 

新たな安全装備(標準装備)

・前進誤発進抑制機能

 壁だけでなく、店舗等のガラスも検知し、アクセルを踏み間違えた場合等にはエンジンの出力制御とブレーキ制動によって衝突回避を支援します。

・低速衝突被害軽減機能

 従来から搭載していたPCSに加えて、10km/h以下の低速走行での衝突回避を支援する機能です。前方の障害物に気が付かずにブレーキを緩めて走り出した場合等には、エンジンの出力制御とブレーキ制動によって衝突回避を支援します。

 

・視界支援

 LEDヘッドライトの全社標準化と、国内小型トラック初となる「電子インナーミラー」を採用しています。電子インナーミラーは、積み荷などで視界を遮られても後方の安全確認がしやすくなるよう、カメラにより後方映像を表示します。また、通常のインナーミラーとしての使用も可能です。

・エンジン改良により排出ガスを低減

 改良を加えたパワフルかつ経済的なエンジンと、尿素水を使用しない先進後処理システムDPR-Ⅱ※5の組み合わせを全車に採用し、排出ガスのさらなるクリーン化を実現しました。

 全車平成28年排出ガス規制に適合しており、車両総重量1.5t超車を中心に一部車型はJ-OBD-Ⅱに対応しています。

・ICTサービス「HINO CONNECT」に対応

 通信端末を標準搭載し、トータルサポート強化の一環として大型トラック「日野プロフィア」等からスタートした「HINO CONNECT」を、日野デュトロにも導入しました。PCS作動状況をお客様(運行管理者様)へメールでお知らせする等の各種通信機能をはじめ、稼働をサポートするためのコンテンツを提供しています。

・ドライバーの便利性向上装備

 ハンズフリー機能付Bluetooth®搭載オーディオとステアリングスイッチを全社に標準搭載しました。これにより、ステアリングを握ったまま通話やマルチインフォメーションディスプレイの操作ができる等、利便性も向上しています。

 

 今回販売した「日野デュトロ」は一部車型で平成28年燃費基準+10%達成しています。また、ハイブリッド車およびディーゼル車は、ASV減税またはエコカー減税の対象となっています。

 

※5:ディーゼル燃料を還元剤としたNOx後処理技術。「DPR-Ⅱ」はトヨタ自動車株式会社の登録商標です。

 

(3) 大型路線ハイブリッド連接バス「日野ブルーリボン ハイブリッド 連接バス」を2019年5月27日に発売しました。これは、いすゞ自動車株式会社(以下 いすゞ)と国産初のハイブリッド連接バスとして2017年より共同で開発をしてきたものです。いすゞと日野は、商用車メーカーの社会的責務として、ドライバー不足や環境問題といった社会課題の解決に向けて取り組んでいます。環境負荷低減に寄与しながら安全かつ効率的な大量輸送を実現するハイブリッド連接バスと、高度運転支援技術・ITS技術については、喫緊の課題に対応すべく早期の実用化を目指してきました。

 また、次世代都市交通システム(ART:Advanced Rapid Transit)での活用を想定した連接バス用のITS技術も開発し、今後、市場ニーズに応じて実装してまいります。

 日野は、「Challenge2025」において、社会とお客様の課題解決に向けた「安全・環境技術を追求した最適商品」の提供を掲げています。「日野ブルーリボン ハイブリッド 連接バス」は、日本の道路事情を踏まえた車両寸法とし、ハイブリッドシステムの採用により省燃費を実現しました。また、路線バスでは世界初となる「ドライバー異常時対応システム(EDSS:Emergency Driving Stop System)」を標準装備し、高い安全性も備えています。安全と環境に配慮し、大量輸送を可能としています。

 

<車両の特長>

・輸送性

 定員120名という大量輸送能力を備え、乗客の利便性と輸送効率向上に貢献します。

・乗降性・バリアフリー

 前車室はフルフラットとし後車室もノンステップエリアを広く確保するとともに、連接バスとして最適なシートレイアウトにより、乗客の利便性、快適性を実現しています。

・ハイブリッドシステム

 小排気量でありながら十分な高出力・高トルクを発揮するA09Cエンジンを採用し、ハイブリッドシステムとAMTの協調制御による変速の最適化を図っています。エンジンとモーターの間にクラッチを配置することでエネルギー回生効率を向上させるとともに、モーター発進を可能にし、省燃費と環境性能を追求しました。

・ドライバー異常時対応システム(EDSS)

 ドライバーに急病などの異常が発生した際、乗客や乗務員が非常ブレーキスイッチを押すことで、減速して停止します※6。立席の乗客の安全性に配慮し、路線バスに適した制御としています。

 

※6 国土交通省策定「ドライバー異常時対応システム」技術指針に準拠。

 

 

<ITS技術>

・プラットホーム正着制御

 路面上の誘導線をカメラで認識し、自動操舵、自動減速によりバス停へ誘導することで運転操作を支援します。バス停側の対応とあわせて、隙間・段差を解消することで、円滑な乗降を実現します。

・協調型車間距離維持支援システム(CACC)※7

 先行車の加減速の操作情報を通信で後続車に送ることにより、先行車との車間距離を高精度に制御し、無駄のない、スムーズな加減速を実現します。

・衝突警報

 ミリ波レーダーにより障害物および先行車両を検知し、衝突の可能性がある場合はディスプレイ表示や警報音でドライバーに警告します。

・路車間通信、車車間通信※8

 バスの走行特性に対応した路車間通信(ITS専用周波数)による安全支援(赤信号注意喚起、赤信号減速支援、右折時注意喚起、信号待ち発進準備案内)や、バス優先の信号制御を行う高度化PTPS(公共車両優先システム:Public Transportation Priority System)に対応。車群走行時には、車車間通信も活用し車群の構成や台数を把握し、車群単位での信号通過やバス停発車を支援する機能も備え、輸送力や速達性・定時性の向上に貢献します。

・視覚支援カメラシステム

 車両内外にカメラを設置、ドライバーはモニターで監視します。車外に設置したカメラは、車両停止時に車両周辺の移動物を検知し、ドライバーにアイコンの点滅と音で警報を行います。

 

※7 本システムは自動車専用道路での使用を前提としています。

※8 高度化PTPSを含む車群走行に対応したシステムは、トヨタ自動車も含めた3社共同開発。

 

(4) 大型トラックに画期的なハイブリッドシステムを搭載し低燃費を実現した「日野プロフィア ハイブリッド」を2019年6月18日に発売しました。日野は「Challenge2025」において、社会とお客様の課題解決に向けた「安全・環境技術を追求した最適商品」の提供を掲げています。大型トラックは燃料消費量が多くその削減が大きな課題ですが、高速道路での定速走行が中心で発進・停止の頻度が少ないことから、ハイブリッドには不向きとされていました。日野は、その質量の大きさゆえに下り坂での運動エネルギーが非常に大きいことに着目。標高・勾配・位置情報などをもとにルート上の勾配を先読みし、AIが走行負荷を予測し最適なハイブリッド制御を行うという、世界初の技術を採用した新ハイブリッドシステムを開発しました。これにより、高低差による運動エネルギーを効率的に回生し活用することで、大型トラック特有の走行条件における燃費効果を実現しています。

 積載性や航続距離といったトラックとしての基本性能および使い勝手はディーゼル車と同等のまま、CO₂排出量の削減と、燃費低減による運行経費の節減が見込めます。さらに、モーター走行による走行中の騒音や振動を低減し、ドライバーの疲労軽減にも貢献します。

 また、冷凍機メーカーと協力し、ハイブリッドシステムの電力を冷凍機の電源に活用した電動冷凍車「日野プロフィア COOL Hybrid」を設定します。「日野プロフィア ハイブリッド」の全車型に展開、電動冷凍機メーカーは株式会社デンソーと三菱重工サーマルシステムズ株式会社です。

 

<主な特長>

・新世代ハイブリッドシステム

 高速道路の頻繁な下り坂において、車両重量の大きさを生かして大きな運動エネルギーを効率的に回収し大容量バッテリーに蓄え、定速走行時にモーター走行を行います。さらに、一般路走行でも従来のハイブリッド技術に加え協調ブレーキシステムを採用したことで、燃費向上、燃費バラツキの低減を図っています。燃費は、重量車燃費基準値の4.04km/L(車両総重量20トン超~25トン以下)+17.5%の4.75km/Lを実現しました。

 

① AIを活用した勾配先読みハイブリッド制御:世界初

 ロケーターECUに内蔵された標高・勾配・位置情報から走行ルートの100キロ先までの勾配を先読み。それをもとにAIが走行負荷に応じた大枠なシナリオを作成します。さらに、これを10キロごとに補正していくことで、消費電力の最小化と燃費の最大化を両立させる世界初のハイブリッド制御です。

② ブレーキ協調回生制御

 一般路走行中に使用頻度が多いフットブレーキ操作時、回生ブレーキを優先させる制御を行い、エネルギー回収率を向上させ回生エネルギーのばらつきを低減させています。

 

③ リチウムイオンバッテリーの採用

 新たに開発した大容量バッテリーです。大型トラックの大きな運動エネルギーを充分回収できる容量を確保しています。

 

・電動冷凍車「日野プロフィア COOL Hybrid」

 ハイブリッドシステムで回生・発電した電力を大容量バッテリーに蓄え、走行での使用に加えて、冷凍機用電動コンプレッサーの駆動にも使用。車両のアイドリング時や低速走行時でも、安定した高い冷凍性能を発揮します。従来よりもバッテリー容量およびモーター出力が大きくなり、冷凍性能の向上に大きく貢献しています。

 

① バッテリー容量の増加により(1.9kWh→11kWh)、エンジン停止後も冷凍機に電力を供給することで庫内温度を約2時間確保することが可能(外気温35度、庫内設定温度-18度(低温)で使用した場合)。

② モーター出力の向上により(36kW→90kW)、冷却性能が向上し予冷時間を約90分短縮(外気35度、庫内-20度到達時間)。

 

(5) 大型観光バス「日野セレガ」を改良し、商用車世界初となる自動検知式「ドライバー異常時対応システム(EDSS:Emergency Driving Stop System)」をはじめとする先進安全装備を大幅に拡充させ、2019年7月1日に発売しました。

 

<主な改良点>

・「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」

 進化した「ドライバーモニターⅡ」や「車線逸脱警報」によりドライバーの運転姿勢や車両の挙動をモニターし、体調急変などによるドライバーの異常な状態を自動検知して徐々に減速し車両を停止させます。また、システム作動時には、お客様向けICTサービス「HINO CONNECT」を通じて、お客様が設定した登録メールアドレスに対象車両・作動時刻・位置情報が通知され、万一の際、お客様の迅速な対応をサポートします。

・「ドライバーモニターⅡ」

 最新AI技術の採用による顔検出性能の向上や画像解析の精度向上とともに、カメラの設置位置を顔を認識しやすい位置に変更しています。これにより、ドライバーの顔向き・眼の開閉状態に加えて、運転姿勢崩も検知することが可能となりました。また、サングラスやマスク装着時の検知能力も向上し、前報不注意を検知すると警報で知らせます。

・「スキャニングクルーズⅢ」

 従来のクルーズコントロール機能「スキャニングクルーズⅡ」に、渋滞追従機能を追加。ミリ波レーダーで先行車を検出し、車間距離維持に加え、先行車が停止した場合には追従して停車。ステアリングに設置されたスイッチもしくはアクセルの操作により再発進します。高速走行時の運転負荷軽減に貢献します。

・「オートマチックハイビーム」

 画像センサーで前報の状況を検知し、ヘッドランプのハイビーム・ロービームを自動で切り替える事で、夜間の運転視界を支援します。

 

(6) バスシリーズのうち大型路線バス「日野ブルーリボン」「日野ブルーリボン ハイブリッド」、中型路線バス「日野レインボー」、中型バス「日野メルファ」、小型バス「日野ポンチョ」を改良し、2019年7月1日に発売しました。近年増加傾向にあるドライバーの健康状態の急変による事故の対策として、2018年7月に大型観光バス「日野セレガ」に標準装備した、非常ブレーキスイッチ式の「ドライバー異常時対応システム(EDSS)を標準装備しました。また、すべてのモデルはJ-OBD-Ⅱ規制に適合させています。

 

(7) 小型バス「日野リエッセⅡ」を改良し、平成28年排出ガス規制に対応して2019年8月1日に発売しました。

 今回の改良では、排出ガスのさらなるクリーン化を実現するため、エンジン各部の協調制御を適正化するとともに、排出ガス後処理システムであるDPR+尿素SCRの採用によって、大気汚染の原因となるPMとNOx※9を除去しています。これにより全社で2015年度燃費基準を達成しました。

 また、お客様からのニーズにお応えし、ロング車(全長7m)よりさらに長いスーパーロング車(全長7.7m)を一部グレードに追加設定しました。用途に合わせたシートレイアウトや、車いすリフト者等に架装するためのベースとして選択いただけます。

 

※9 PM:粒子状物質、NOx:窒素酸化物。

[最近の主な成果]

(1) 2019年11月19日から新東名高速道路において経済産業省および国土交通省が実施する夜間における後続車有人システムの隊列走行公道実証に参加しました。

 本実証は、経済産業省と国土交通省が「未来投資戦略2018」に基づき、高速道路でのトラック隊列走行の実現を目指して2018年1月より行っている公道実証の一環です。今回は、大型車の交通量が増大かつ周辺車両から視認性が低下する夜間に実施する事で、隊列走行の周辺を走行する一般車両への影響有無といった受容性について調査しました。

 日野は、ドライバー不足をはじめとする物流業界の抱える課題解決に貢献すべく、技術開発をはじめさまざまな取り組みを行っています。隊列走行も有効な手段の一つであると考えており、社会インフラの整備状況や社会受容性なども鑑みながら、実現可能なものから段階的に実用化すべく技術開発を進めています。隊列走行の商業化には、技術開発のみならず、運用ルールを含めた社会インフラ整備、社会受容性の醸成、事業者のご理解・参画も重要です。日野は、関係機関と連携し隊列走行の商業化の実現を目指してまいります。

 

(2) トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)と日野は、燃料電池大型トラックを共同開発し、今後、走行実証などを通じて実用化に向けた取り組みを進める事になりました。

 トヨタと日野は、地球環境問題を重要な経営課題の一つとして位置づけ、積極的に取り組んでいます。両社とも、2050年までに走行中CO₂排出量の大幅削減を掲げ※10、電動車の技術開発と普及促進に尽力しています。今後、さらなるCO₂排出量の削減を実現するためには、国内商用車全体のCO₂排出量の約6割を占める※11大型トラックの環境性能の大幅な向上が必須です。

 商用車の電動化においては、高い環境性能はもちろんのこと、事業に使う車両としての実用性が求められるため、走行距離や積載物、稼働シーンなどに応じて適材適所で最適なパワートレインを採用していくことが重要となります。幹線輸送に使われる大型トラックには、十分な航続距離と積載量、そして短時間での燃料供給が求められるため、エネルギー密度の高い水素を燃料とする燃料電池車が有効であると考えています。

 このたび共同開発する燃料電池大型トラックは、日野の大型トラック「日野プロフィア」をベースに、両社が培ってきた技術を最大限に活かして開発します。シャシは燃料電池車に最適なパッケージングを専用設計し、徹底した軽量化により十分な積載量の確保を目指します。パワートレインにはトヨタの次期「MIRAI」用に新開発されるトヨタFCスタックを2基搭載し、日野の強みである大型車ハイブリッド技術を応用した車両走行制御を組み合わせます。航続距離は600kmを目標とし、環境性能と商用車としての実用性を高次元で両立することを目指します。

 トヨタと日野は、水素を将来の有力なエネルギーと位置づけており、2003年の燃料電池バスの共同実証から15年以上にわたり、燃料電池商用車の技術開発および普及促進に努めてまいりました。今後さらに関係を強固にし、水素社会の実現に向けて取り組みを加速してまいります。

 

※10 トヨタ環境チャレンジ2050 : 2015年策定。この中の「新車CO₂ゼロチャレンジ」で2050年までに、新車1台あたりの平均CO₂排出量の90%削減(2010年比)を目指す。

日野環境チャレンジ2050  : 2017年策定。この中の「新車CO₂ゼロチャレンジ」で2050年までに、新車1台あたりの平均CO₂排出量の90%削減(2013年比)を目指す。

※11 車両総重量3.5t超のトラック・バス、当社調べ(2020年2月末現在)。

 

(3) 日野は、TRATON SE(以下、TRATON)と電動化領域における具体的な協業を開始します。

 両社は、個社の枠を超えて電動商用車の実用化をさらに加速していくために、商用車における電動プラットフォームおよび電動化コンポーネントの一括企画を共同で推進します。これにより、プラットフォームおよびコンポーネントの共用や開発分担が可能となり、両社の強みを最大限に活用して効率的かつ迅速に技術開発を進めることができます。両社で一括企画する電動プラットフォームは、小型から大型までのトラック・バスといった幅広い車種への適用を想定しており、日野は強みのある小型から、TRATONは同じく大型から製品開発に採用し、お客様に最適な商品をより早くご提供してまいります。

 本件は、両社のメンバーで構成されるアライアンスボードにおいて合意しており、今後、独占禁止法関連等の必要な手続きを経て、新たに専任チームを立ち上げます。日本および欧州に拠点を置き、活動を推進していきます。

 両社の強みを融合させた電動化技術により、あらゆるお客様に最高の価値を提供し続け、持続可能な人流・物流の実現に貢献してまいります。

 

 以上、当連結会計年度の「日本」セグメントの研究開発費の総額は、60,573百万円であります。

 

(アジア)

 該当事項はありません。

 

(その他)

 該当事項はありません。