文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、基本理念として「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」ことを会社の使命として掲げ、「世界のHINO」として広く社会から評価されるよう、事業活動を進めていきたいと考えております。
会社の使命を果たすため、当社グループの事業活動に対する取り組み方針を下記のとおり定めております。
1.世界の人々から信頼される商用車メーカーを目指し、グローバルな事業展開を行います。
2.技術の継承と革新を続け、お客様のお役に立つ商品やサービスを提供いたします。
3.変化を的確に捉え、社会との調和を図り、持続可能な発展を目指します。
4.社員の多様性を尊重し、活気あふれる企業風土をつくります。
(2)会社の環境及び対処すべき課題
2021年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、地政学リスクや貿易摩擦など様々な要因もあり、引き続き先行きへの不透明感が続くと考えております。自動車業界においても、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)といった新技術の進展スピードは速く、また、地球環境に対する世界的な意識も高まりつつあります。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図りつつ国内外の情勢をしっかりと注視し、SDGsの観点を踏まえ、CASEやカーボンニュートラルの実現に積極的かつ着実にチャレンジし続け、当社の経営戦略『Challenge2025』(2018年10月公表「2025年に向けて」)で掲げる「豊かで住みよい持続可能な社会」の実現を目指してまいる所存です。
①『Challenge2025』実現に向けた構造改革
コロナ禍により、従来以上に経営環境の変動に左右されにくい事業構造の構築を加速する必要性を再認識し、持続的成長が可能な事業基盤、競争力の確立に向けた構造改革を開始致しました。
当社グループは2022年度までに、2020年度レベルのグローバル販売でも収益を確保できる体制を確立し、『Challenge2025』の取り組みを加速させてまいります。このため、競争力強化、業務改革、企業体質強化に、スピード感を持って取り組んでまいります。
これまで当社グループは多くのお客様との接点を広げてまいりましたが、それに対応するための技術は一層高度化、複雑化しております。お客様から見て競争力に繋がるところにはリソースを集中してトータルサポートを更に進化させ、一方、協調すべき領域については様々なパートナーとの連携を進めます。「選択と集中」を念頭に、将来を見据えた安定的な事業基盤の拡大と効率性の追求を進めてまいります。
あわせて、全社的な業務改革とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による大幅な効率化、従来以上の徹底した原価低減により、競争力を更に高めてまいります。
②カーボンニュートラルの実現に向けて
当社グループは物流・人流の課題解決と並んで環境課題の解決を経営の最重要課題の一つと位置づけております。2021年4月に、2050年までの環境負荷「ゼロ」実現を目指し『日野環境チャレンジ2050』にて掲げた6項目のチャレンジにおける2030年までの中間マイルストーンとして、『日野環境マイルストーン2030』を策定・公表いたしました。
「カーボンニュートラル」実現に向けては、素材から製品の廃棄までのライフサイクル全体の視点で、各国政府や関連業界と連携しながら、お客様や社会に必要とされるあらゆる方策を追求してまいります。
製造工程における低炭素化として、エネルギー消費を効率化する革新技術の導入、使用電力の再生可能エネルギー化、地道な改善活動による着実な省エネ活動への取り組みを更に強化します。商用車の電動化では、お客様の目線に立って実用的な選択肢を提供するとともに、電動車の運行とエネルギー利用の最適化のサービス提供など輸送業界における電動車の普及を促進します。また、車両目線でのCO2 排出量削減に加えて、社会システムの基盤としての輸送の効率化にも取り組んでまいります。
③仲間と共に
輸送事業者が直面する様々な社会課題の解決は、1社単独で成し遂げられるものではなく、「志」を同じくする仲間を広く求め、それぞれ異なる強みを活かしていくことが重要であると考えております。2021年3月には、当社、いすゞ自動車㈱、トヨタ自動車㈱の3社で商用事業において新たな協業に取り組むことに合意し、Commercial Japan Partnership Technologies㈱を2021年4月に設立いたしました。商用車におけるCASE技術・サービスの企画を通じて商用CASEの社会実装・普及に向けたスピードを加速し、輸送業が抱える課題の解決やカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指してまいります。
いすゞ自動車㈱とは、協調領域での協力の一方、商品やトータルサポートなどお客様との接点部分においては、これまで通り良き競争相手として切磋琢磨しながら、社会やお客様に日野ならではの価値を提供してまいります。
従来より戦略的パートナーシップを結んでいるTRATONグループ、中国・比亜迪汽車工業有限公司(BYD)との電動車協業をさらに進め、また、輸送業界の電動車普及促進に貢献するため関西電力㈱と合弁契約を締結する(㈱CUBE-LINXの設立)など、仲間づくりを進化させてまいります。
当社グループのお客様は、この大きな環境変化の中でも、人流・物流を支え、社会と経済に貢献されております。当社グループはこうしたお客様のお役に立ち、そして物流や人流のさらなる発展に貢献すべく今後も「チーム日野」一丸となってスピード感をもって取り組んでまいります。
SDGsの「誰一人取り残さない」社会を念頭に、世界中のお客様と社会、ステークホルダーの皆様に信頼され、これまで以上に必要とされる企業となっていくことが、当社グループの持続的な成長につながっていくと考えております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月24日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)感染症等の流行
国内・海外において大規模な感染症等の流行があった場合には、当社グループの生産・販売活動に制約を受けるリスクがあり、それが長期化した場合には当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。また、感染症の流行を主因として波及的に後述の(2)~(6)のリスクが顕在化する場合があります。
(新型コロナウイルス感染症について)
当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、国内外で経済活動が制限される等、そのリスクが顕在化しております。感染の再拡大もあり、未だ先行き不透明な状況が続いています。
このような状況の下、感染拡大防止対策として、当社日野本社においては原則在宅勤務としており、各工場においても、可能な職場では在宅勤務、時差通勤を行い、生産ラインにおいては感染予防策のさらなる徹底を図っております。加えて、感染リスクが高い国や地域との双方向での渡航の原則禁止、お客様や取引先等の多くの皆さまにお集まりいただくイベントの休止等、対応を実施しております。
また、経営環境の変動に対処するため、構造改革の取り組みを開始しております。
構造改革につきましては、第2「事業の状況」 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」 (2)会社の環境及び対処すべき課題 ①『Challenge2025』実現に向けた構造改革 に記載のとおりです。
(2)需要及び価格の変動
国内においてのトラック・バス等の販売は、国及び地方自治体による環境規制強化の実施の有無による需要の変動に大きく影響を受けます。また、国内貨物輸送の低迷や物流改革の進行により今後のトラック需要は減少する可能性があります。さらに、他社との価格競争により当社製品の価格変動を引き起こす可能性があります。
海外においてのトラック・バス等の販売は、国・地域及びその市場における経済状況の影響を受け、かつ、他社との価格競争により当社製品の価格変動を引き起こす可能性があります。
これらの需要及び価格変動に対応するため、当社グループは商品力の強化と適正な生産体制の構築、原価改善等を推進し、需要・価格変動に強い企業体質を目指しております。
(3)材料価格の変動
当社グループは国内及び海外の複数のメーカーから鋼材等の資材、部品等を調達し、トラック・バス、エンジン等を生産しております。これらの材料価格は、業界の需要や原材料の価格に伴い変動しております。材料価格が高騰し、かつ、長期化する場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはこれらの材料価格の変動に対応するため、原価改善等を推進しております。
(4)為替の変動
当社は円表示で連結財務諸表を作成しており、海外における現地通貨建の売上高、費用、資産等の項目は、連結財務諸表作成時に円換算されるため、換算時の為替レートによって、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
また、国内外での原材料等の仕入れや製品の販売において、外国為替相場の変動は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。この為替変動リスクを抑えるために一部でデリバティブ取引を行っておりますが、それによって本来得られた利益を逸失する可能性があります。
当社グループは、これらリスクに対応するため、適切なグローバル調達・生産・販売体制を検討・構築しております。
(5)金利の変動
資金調達に係るコストは、市場金利が急激に上昇した場合、支払利息の負担が増大するなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは親会社であるトヨタ自動車株式会社とのインハウスバンキングを通じた資金調達のグローバル化等によって当該リスクの最小化を図っております。
(6)貸倒れリスク
当社グループは当社で生産したトラック・バスを全国の販売会社を通し様々な取引先に販売をしております。これらの取引先において信用不安などにより予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、追加的な損失や引当の計上が必要となる場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは取引先の信用リスク情報などを適時入手し、当該リスクの最小化を図っております。
(7)親会社との取引
当社グループは、親会社であるトヨタ自動車株式会社より乗用車及び一部の小型トラックの生産を委託されており、また小型トラックのOEM供給を行っております。当連結会計年度の売上高の19.3%を同社に依存しております。
なお、当社とトヨタ自動車株式会社との取引は、「関連当事者情報」に記載しております。
(8)国内外での事業活動
当社グループは、日本をはじめアジアを中心とした世界各地で事業活動を展開しております。それらの事業活動には、通常、予期しない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の採用・確保の困難等、経済的に不利な要因の存在又は発生、テロ・戦争・自然災害・その他の要因による社会的又は政治的混乱等のリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化することによって、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループの世界各地域における事業活動は、「セグメント情報」に記載しております。
(9)法規制等
当社グループは、国内外でのトラック・バス等の販売において、安全性や排出ガス、燃費、騒音、公害などに関する法規制等やその他各国の様々な法規制等の適用を受けているため、これらの規制に適合するために費用を負担しております。これら法規制等の制定又は改正が行われた場合、費用負担が増える可能性があります。
(10)製品の欠陥
当社グループは、基礎研究段階を含め、商品企画・開発からアフターサービスまでの各ステップにおいて、安全性への細心の配慮を行うとともに、品質の確保に努めております。
しかし、すべての製品について欠陥が無く、将来にわたりリコールや製造物責任賠償が発生しないという保証はありません。そのため、これらのリスクが顕在化する場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況及び分析
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動の制限などにより各国で景気が後退しました。国・地域により回復状況が異なる中、感染の再拡大もあり先行き不透明な状況が続いています。日本経済は、海外経済の減速により輸出の伸びが鈍化し、外出自粛等により個人消費を中心に内需が下押しされましたが、製造業については第1四半期を底に緩やかな回復傾向にあります。
当連結会計年度の国内のトラック市場につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、大中型トラックの総需要は85.9千台と前期に比べ6.0千台(6.5%)の減少、小型トラックの総需要は86.0千台と前期に比べ17.3千台(16.8%)減少となりましたが、国内販売につきましては、着実な販売を積み上げた結果、大中型・小型トラックを合わせたシェアは過去最高であった2018年度に次ぎ、33.6%を達成いたしました。国内売上台数につきましては、前述の需要減少のもとトラック・バスの合計で59.6千台と前年同期に比べ6.9千台(10.4%)減少いたしました。
海外市場につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受け販売台数が減少したことに加えて、在庫調整を推進したことにより、海外売上台数はトラック・バスの合計で73.6千台と前年同期に比べ34.1千台(31.7%)減少いたしました。
以上により、日野ブランド事業のトラック・バスの総売上台数は133.2千台と前期に比べ41.0千台(23.6%)減少いたしました。
また、トヨタ向け車両台数につきましては、SUV及び小型トラックともに台数が減少し、総売上台数は108.7千台と前期に比べ30.6千台(22.0%)減少いたしました。
このような経営状況の中、外部変化に影響を受けにくい企業体質の構築を目指し、当社グループは、経営戦略「Challenge2025(2025年に向けて)」を推進するため、抜本的な構造改革を進め取り組みを加速させています。具体的な施策につきましては、第2「事業の状況」 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」 (2)会社の環境及び対処すべき課題 ①『Challenge2025』実現に向けた構造改革 に記載のとおりです。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
ⅰ)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ435億84百万円減少し、1兆2,314億95百万円となりました。これは、当連結会計年度末のたな卸資産が613億91百万円減少した一方で、投資有価証券が157億25百万円増加したこと等によります。
(負債合計)
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ557億76百万円減少し、6,266億22百万円となりました。これは、有利子負債が325億85百万円、買掛債務が99億2百万円減少したこと等によります。
(純資産合計)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ121億92百万円増加し、6,048億72百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失を74億89百万円計上し、剰余金の配当を68億89百万円行った一方で、その他有価証券評価差額金が142億57百万円増加、為替換算調整勘定が57億30百万円増加したこと等によります。
セグメントごとの財政状態は次のとおりであります。
(日本)
当連結会計年度末のたな卸資産が115億52百万円減少したこと等により、セグメント資産は9,545億34百万円と前連結会計年度末に比べ、107億83百万円減少しました。
(アジア)
当連結会計年度末の売掛債権が120億74百万円増加した一方、当連結会計年度末のたな卸資産が270億4百万円減少したこと等により、セグメント資産は2,545億19百万円と前連結会計年度末に比べ、188億67百万円減少しました。
(その他)
当連結会計年度末のたな卸資産が256億49百万円減少した一方で、当連結会計年度末のその他流動資産が増加したこと等により、セグメント資産は1,246億9百万円と前連結会計年度末に比べ、73億18百万円減少しました。
ⅱ)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の連結売上高は1兆4,984億42百万円と前期に比べ3,171億55百万円(17.5%)の減収となりました。
国内トラック市場につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う需要及び売上台数の減少により、売上高は4,744億76百万円と前期に比べ584億63百万円(11.0%)の減収となりました。
海外トラック・バスにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響に加えて、在庫調整を推進したことにより売上台数が減少し、売上高は2,994億77百万円と前期に比べ1,490億94百万円(33.2%)の減収となりました。
トヨタ向け車両につきましては、SUV及び小型トラックの台数が減少したこと等により、売上高は2,659億58百万円と前期に比べ626億80百万円(19.1%)の減収となりました。
その他の部門の売上高につきましては、補給部品の減少に加え、米国、タイにおけるトヨタブランド車向けユニット事業の売上高が減少したこと等により、4,585億29百万円と前期に比べ469億17百万円(9.3%)の減収となりました。
(営業利益)
主にトラック・バスの売上台数減少により、当連結会計年度の営業利益は、122億50百万円と前期に比べ426億9百万円(77.7%)の減益となりました。なお、売上原価の売上高に対する比率は85.8%(前期は85.0%)、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は13.4%(前期は12.0%)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度は、営業利益は426億9百万円の減益となりましたが、為替差損益が前期に比べ56億22百万円好転したこと等により、経常利益は122億61百万円と前期に比べ373億35百万円(75.3%)の減益となりました。
(税金等調整前当期純損失)
当連結会計年度は、経常利益は373億35百万円の減益となりましたが、北米案件関連費用として特別損失145億56百万円を計上したこと等により、税金等調整前当期純損失は18億83百万円と前期と比べ528億56百万円の減益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、44億14百万円と前期に比べ118億19百万円の減少となりました。
また、非支配株主に帰属する当期純利益は、11億91百万円と前期に比べ20億80百万円減少しました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純損失は74億89百万円と前期に比べ389億56百万円の減益となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(日本)
日野ブランド事業の国内向け及び海外向けトラック・バスの売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、売上台数が減少し、減収となりました。また、トヨタ向けについては、主にSUV及び小型トラックの売上台数が減少したこと等により、減収となりました。
以上により、売上高は1兆2,191億66百万円と前年同期に比べ2,543億61百万円(17.3%)の減収となりました。損益面におきましては、売上台数の減少により、セグメント利益(営業利益)は99億31百万円と前年同期に比べ261億81百万円(72.5%)の減益となりました。
(アジア)
主要市場であるインドネシアを中心に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が年度を通じて生じたことにより、売上台数が減少し、売上高は2,887億44百万円と前年同期に比べ735億46百万円(20.3%)の減収となりました。損益面におきましては、売上台数の減少等により、セグメント利益(営業利益)は、44億35百万円と前年同期に比べ115億32百万円(72.2%)の減益となりました。
(その他)
主として北米工場での生産停止の影響により売上台数が減少し、売上高は1,455億10百万円と前年同期に比べ956億80百万円(39.7%)の減収となりました。損益面におきましては、売上台数の減少等により、セグメント損失(営業損失)は、47億65百万円と前年同期に比べ77億24百万円の減益となりました。
ⅲ)生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
区分 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
トラック・バス(台) |
106,835 |
△21.5 |
|
トヨタ向け車両(台) |
108,432 |
△21.7 |
|
|
アジア |
トラック・バス(台) |
13,212 |
△62.4 |
|
トヨタ向け車両(台) |
196 |
△72.9 |
|
|
報告セグメント計 |
トラック・バス(台) |
120,047 |
△29.9 |
|
トヨタ向け車両(台) |
108,628 |
△22.0 |
|
|
その他 |
トラック・バス(台) |
― |
― |
|
トヨタ向け車両(台) |
― |
― |
|
|
合計 |
トラック・バス(台) |
120,047 |
△29.9 |
|
トヨタ向け車両(台) |
108,628 |
△22.0 |
(b)受注実績
当社グループは国内及び海外の販売実績及び販売見込等の資料を基礎として見込生産を行っております。なお、トヨタ向け車両についてはトヨタ自動車株式会社からの受注に基づき生産しております。
(c)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(百万円) |
1,219,166 |
△17.3 |
|
アジア(百万円) |
288,744 |
△20.3 |
|
報告セグメント計(百万円) |
1,507,910 |
△17.9 |
|
その他(百万円) |
145,510 |
△39.7 |
|
調整額(百万円) |
△154,979 |
△40.7 |
|
合計(百万円) |
1,498,442 |
△17.5 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
金額 (百万円) |
割合 (%) |
金額 (百万円) |
割合 (%) |
|
|
トヨタ自動車㈱ |
357,485 |
19.7 |
288,831 |
19.3 |
2.上記金額には、消費税等は含まれていません。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
①キャッシュ・フローの状況及び分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、有形固定資産の取得等による資金の減少があった一方、たな卸資産の減少等による資金の増加により、前期末に比べ148億58百万円増加(前期は8億88百万円減少)し、546億51百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,084億29百万円(前期は951億76百万円の増加)となりました。これは主に、減価償却費の計上が547億54百万円(前期は580億11百万円)、たな卸資産の減少による資金の増加が602億32百万円(前期は87億46百万円の資金の減少)あった一方で、仕入債務の減少による資金の減少が104億6百万円(前期は413億31百万円の資金の減少)あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、562億11百万円(前期は670億6百万円の減少)となりました。これは主に、生産設備を中心とした有形固定資産の取得による支出が504億10百万円(前期は603億81百万円)あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、384億8百万円(前期は282億43百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払が68億89百万円(前期は160億75百万円)、有利子負債の純減少額が301億52百万円(前期は48億48百万円の純減少)あったことによるものです。
②資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と製品製造のための材料及び部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。
③契約債務
2021年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
|
|
年度別要支払額(百万円) |
||||
|
契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
|
短期借入金 |
159,099 |
159,099 |
- |
- |
- |
|
1年内返済予定の長期借入金 |
6,243 |
6,243 |
- |
- |
- |
|
長期借入金 |
14,201 |
- |
12,540 |
1,051 |
609 |
④財務政策
当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを財務方針としております。設備投資、投融資などの長期資金需要に対しては、内部留保、長期借入債務及び社債の発行により、また、運転資金需要には短期借入債務により対応しております。借入債務については、主にトヨタ自動車株式会社、金融機関からの借入れによって調達しております。
また資金マネジメントについては、当社と子会社の資金管理の一元化を図るなかで、緊密な連携をとることにより、グローバルな資金効率の向上を図っております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、各種の見積りと仮定を行っております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、翌連結会計年度中も依然として続くとの仮定のもと会計上の見積りを行っております。
① 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮し、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、親会社株主に係る当期純損益額が変動する可能性があります。
② 退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しております。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
③ 製品保証引当金
当社は、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款及び法令等に従い、過去の実績等を基礎にして計上しております。
引当金の見積り時において想定していなかった製品の不具合による保証義務の発生や、引当の額を超えて保証費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(1)トヨタ自動車株式会社との業務提携
1966年10月より、当社はトヨタ自動車株式会社と業務提携を行っており、現在当社は同社より乗用車「ランドクルーザープラド」及び「FJクルーザー」の生産を受託し、小型トラック「ダイナ/トヨエース」を同社に対してOEM供給しております。また商品相互補完取引、台湾における合弁会社(国瑞汽車株式会社)への共同出資、トヨタ販売網を通じた当社製品の販売など各般にわたって提携関係の発展・強化を図っております。
(2)いすゞ自動車株式会社との株主間協定書
当社といすゞ自動車株式会社は、両社が保有するバス製造子会社である日野車体工業株式会社及びいすゞバス製造株式会社の株式を、バス事業統合準備会社として両社が折半出資により設立したジェイ・バス株式会社へ譲渡すること並びに統合の基本的事項について合意し、2003年9月12日、株主間協定を締結いたしました。
さらにその統合効果を最大限に引き出すことを目的として、ジェイ・バス株式会社はその傘下の両バス製造子会社と、2004年7月30日に合併契約を締結、2004年10月1日に合併いたしました。
(3)中国の上海日野エンジン有限会社の合弁契約書
当社は、今後、トラック・バスの大市場と見込まれる中国で、エンジンの現地生産及び販売を行うことを目的とし、中国のエンジン製造会社である上海柴油機股份有限公司との折半出資で合弁会社を設立する合弁契約を2003年8月6日に調印いたしました。これにより、2003年10月8日に合弁会社を設立いたしました。2007年9月、上海柴油機股份有限公司の出資持分の全部を上海電気(集団)総公司に譲渡したため、当社は上海電気(集団)総公司と修正合弁契約を締結いたしました。2010年4月、上海電気(集団)総公司が、出資持分の一部を広州汽車集団股份有限公司に譲渡したため、当社は上海電気(集団)総公司及び広州汽車集団股份有限公司と修正合弁契約を締結いたしました。2019年6月、上海電気(集団)総公司が、出資持分の全部を当社に譲渡したため、当社は広州汽車集団股份有限公司と修正合弁契約を締結いたしました。
(4)中国の広汽日野自動車有限会社の合弁契約書
当社は、中国において、商用車、シャシ及びエンジン等部品の開発・設計・生産・販売・アフターサービスを行うことを目的とし、中国での自動車製造・販売等を主要事業とする広州汽車集団股份有限公司と折半出資で合弁会社を設立する合弁契約を2007年8月10日に調印し、2007年11月28日に広汽日野自動車有限会社を設立いたしました。
(5)Volkswagen Truck & Bus GmbH(現:TRATON SE)との戦略的協力関係構築の枠組みに関する合意書
当社は、Volkswagen Truck & Bus GmbHとの長期視点、対等かつ互恵的な戦略的協力関係の構築に向けた合意書に2018年4月11日調印いたしました。引き続き、物流/交通に関わるソリューション調査、既存・将来技術、調達等の領域において、相互補完的な協力関係の構築を検討してまいります。
(6)いすゞ自動車株式会社およびトヨタ自動車株式会社との商用事業における協業の合意
当社といすゞ自動車株式会社およびトヨタ自動車株式会社は、商用事業において新たな協業に取り組むことに2021年3月24日に合意し、2021年4月、協業を推進するため、商用車におけるCASE技術・サービスの企画を事業内容とするCommercial Japan Partnership Technologies株式会社を設立いたしました。当社といすゞ自動車株式会社が培ってきた商用事業基盤に、トヨタ自動車株式会社のCASE 技術を組み合わせることで、CASEの社会実装・普及に向けたスピードを加速し、輸送業が抱える課題の解決やカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指してまいります。
当社グループは「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」ことを使命とし、「技術の継承と革新を続け、より高い技術の開発に取組み、世界の人々から信頼される商品やサービスを提供する」ことを基本理念とし、時代の変化を的確に捉え、社会との調和を図り、安全で環境に優しい商品や質の高いサービスを提供するため、積極的な研究開発活動を行っております。
当社の研究開発は、当社を中心に、子会社をはじめとする関係各社との緊密な連携のもとで推進されております。また、基礎研究分野において、技術研究所を中心として環境、安全、材料などの分野における研究開発に取り組んでおります。
当社は、環境や安全に対する取り組みに加え、耐久性や燃費などの性能の向上、プロダクト・ライフサイクル・
コストの低減など、より良い商品とサービスを世界の人々に提供する為に商品・技術開発を行っております。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(日本)
[最近の新製品]
(1) 大型トラック「日野プロフィア」トラクターシリーズを改良し、安全装備を大幅に拡充して2020年5月1日に
発売しました。
日野は、商用車メーカーの社会的責務として安全技術の開発・普及に取り組んでおり、大型トラックにおいては事故の被害が大きくなりやすい高速道路走行時の対策から、一般道における出会い頭事故等の対策まで、安全装備を拡充してきました。
今回発売した「日野プロフィア」トラクターシリーズは、2019年4月に発売した「日野プロフィア」同様に、サイトアラウンドモニターシステム※1や、ドライバーモニターⅡ※2、ハンズフリー機能付Bluetooth®搭載オーディオ※3を標準装備しました。また、J-OBDⅡ※4に対応したモデルです。
さらに、「日野プロフィア」、「日野プロフィア」トラクターシリーズともに、「タイヤ空気圧モニタリングシステム※5」をオプション設定しています。各タイヤの空気圧を把握することで、稼働を止めない予防整備に役立ちます。
※1 車両左右前端に設置したセンサーが、衝突のおそれがある車両を検知し、警告音とメーター表示で
ドライバーに注意喚起します。
※2 従来から検知していたわき見、瞼の開閉状態に加えて、ドライバーの運転姿勢崩れも認識し、前方不注意
を検知すると警報で知らせます。
※3 ステアリングを握ったままオーディオを操作できます。
※4 Japan On-board diagnosisⅡ。排出ガスに影響を与える部品とセンサーが故障した際に検出、通知、部品
の特定、情報の把握を行う車載式故障診断装置。2020年9月1日より適用となる搭載義務化に対応。
※5 各輪の空気圧や、空気圧低下によるパンクの予兆をマルチインフォメーションに表示し、ドライバーに
知らせます。
(2) 小型トラック「日野デュトロ」を改良し、2020年5月1日に発売しました。
日野は、商用車メーカーの社会的責務として安全技術の開発・普及に取り組んでおり、小型トラックにおいては一般道における交通事故の低減に取り組み、安全装備を拡充してきました。今回の改良では、従来から標準装備しているPCS※6の機能向上により、車両や昼の歩行者だけでなく自転車運転者や夜間の歩行者も検知対象となり、万が一の事故防止に貢献します。
※6 先行車などを検知し、警報ブザーとディスプレイ表示でドライバーに危険を知らせ、衝突回避の支援を
行うシステム。PCS(プリクラッシュセーフティ)は、トヨタ自動車株式会社の登録商標です。
(3) 大型路線バス「日野ブルーリボン」・中型路線バス「日野レインボー」の一部改良と、「日野レインボー」に
AT車を新規追加設定し、2020年7月1日に発売しました。
今回の改良では、「日野ブルーリボン」「日野レインボー」のアイドリングストップに関する仕様変更を行い、燃費性能を向上させました。これにより全車で平成27年度重量車燃費基準を達成し、車両総重量14トン超のAT車は新たに+10%、14トン超AMT車は引き続き同基準+15%(自動車重量税 免税、自動車税環境性能割 非課税)となりました。
「日野レインボー」はAT車を新規に追加設定し、イージードライブによって乗務員の疲労軽減に寄与します。
(4) お客様のビジネスを支えるICTサービス「HINO CONNECT」のバージョンアップを2020年7月27日に実施し、安全
意識向上に寄与する「セーフティレポート」の追加、エコツリーレポートの過去データ閲覧機能の強化などを行
いました。
2018年に提供を開始したHINO CONNECTは、車両稼働情報をベースにお客様のビジネスを支援するサービスを提
供することで、お客様の車両1台1台を最適な状態に保つための重要な役割を担っています。
<機能の拡張>
・セーフティレポートの追加
日野独自の項目となる速度域ごとの車間距離や、一般走行・高速走行それぞれでの車速データ・ドライバ
モニター警報の作動状況などをまとめたレポートです。過去1年分のデータをダウンロードして、推移を確認
できるなど、きめ細かな安全運転指導に活用いただけます。
・エコツリーレポートの過去データ閲覧機能を強化
お客様からのご要望が多かった、過去1年分の燃費データの閲覧・ダウンロードが可能になりました。データはExcel形式のため、前年同月比などの集計・分析が容易にできます。また、グリーン経営等の申請書類への
データ記載にも活用いただけます。
今後もトラック・バスのコネクティッド化を進めるとともに、ICTを通じて取得したデータの利活用を加速しま
す。お客様の車両のアップタイム最大化に加えて、自動運転などCASE技術にも対応する総合車両管理ツールを目
指し、継続的にHINO CONNECTを進化させていきます。
また、外部のパートナーやプラットフォームとも協働・連携しながら、さまざまなデータの活用によりさらな
る価値をお客様・社会へ提供していきます。そして、物流・人流にまつわる社会課題の解決に貢献する、商業物
流・人流プラットフォームの構築を進めていきます。
(5) 小型バス「日野リエッセⅡ」を改良し、2021年1月6日に発売しました。
今回の改良では、新たに幼児専用車へPCS、車線逸脱警報、オートマチックハイビームといった安全装備を標準設定しました。これにより全グレードにおいて標準設定となり、幅広いシーンで万が一の事故防止に貢献します。また、今回の改良で全グレードをJ-OBDⅡ※7に適合させています。
※7 2021年9月1日より適用となる車載式故障診断装置搭載の義務化に対応。
(6) 小型トラック「日野デュトロ」を改良し、2021年3月25日に発売しました。
今回の改良では、車内外のミラーとリヤバンパーの形状を一部変更し安全性が向上したほか、車両総重量7.5t未満車をJ-OBDⅡ※8に適合させています※9。また、エンジンの統合によって車両総重量7.5超の一部車型で燃費が向上し、CO2排出量の低減に貢献します。
※8 2021年9月1日より適用となる車載式故障診断装置搭載の義務化に対応。
※9 車両総重量7.5超車は2019年の改良で対応済み。
[最近の主な成果]
(1) 日野が会員である一般社団法人日本自動車工業会は、大型車メーカー4社※10(以下、大型4社)で構成する
大型車特別委員会の活動を通じ、物流の効率化や社会課題となっている事業用自動車のドライバー不足への対応・
ドライバーの働き方改革等に向けて、トラックの隊列走行等の取り組みを官民一体となって進めています。
政府が現在掲げている、トラック隊列走行の実現に向けた「隊列走行システムの早期の商業化を進めるため、これに先立ち、2021年までにより実用的な後続車有人隊列走行システムの商業化を目指す※11」という目標に対しては、大型4社は定速走行・車間距離制御装置(ACC)※12に車線維持支援装置(LKA)※13を組み合わせた技術により対応してまいります。
<大型4社の取り組み>
隊列走行とは、技術総称ではなく走行形態の1つです。実用段階において、異なる物流事業者間で、異なる
メーカーの、異なる仕様の車両が隊列を組んで走行することができるよう、大型4社は協調技術の開発を進めてきました。異なるメーカーの車両と隊列を組んで安心安全な運行を行うには、前走車にあわせて後続車が違和感なく加速・制動できることが必要となります。
大型4社は、2017年度より政府による高速道路におけるトラック隊列走行の実証事業等に積極的に参画し、各社の技術開発および必要な協調技術の確立に取り組んでいます。また、実際に隊列走行を行う物流事業者との意見交換を通じて、隊列走行への理解を深めていただく活動も進めています。政府に対しても、ドライバー不足等の社会課題への対応のあり方や自動運転技術も含め、安全確保のためのインフラ支援策等を積極的に働きかけています。
<後続車有人隊列走行を可能とする協調技術(ACC+LKA)の商品化>
関係各所によるさまざまな取り組みが進行中である現状においては、隊列走行に対し安全の確保を最優先事項としつつ、また物流事業者や高速道路を利用する一般のドライバーの方々の理解など、社会的な受容性を高めていくことが不可欠です。同時に、実用化に向けては技術レベルに応じた段階的かつ着実な取り組みが何よりも重要であると考えています。
そのために、大型4社は「2021年までにより実用的な後続車有人隊列走行システムの商業化を目指す」との政府目標に対して、共同で行った実証実験にて得られた知見に基づく技術を反映したACCとLKAを装着した商品展開を行っていくこととしました。
<今後の取り組み>
ACCとLKAによる後続車有人システムの商品化を通じて、今後も社会および物流事業者からご意見をいただくとともに、政府との継続した論議を通じたインフラ支援や制度整備の進捗とあわせて、ACCを進化させた協調型車間距離維持支援システム(CACC)※14の開発も含め、さらに利便性を高めた自動化の実現に向けて必要な協調技術の積み上げに取り組んでまいります。
大型4社は、今後ますます複雑・深刻化するであろう社会課題についても連携して取り組み、"人と物の自由で安全な移動の確保"に向け積極的に貢献してまいります。
※10 いすゞ自動車株式会社、三菱ふそうトラック・バス株式会社、UDトラックス株式会社、
日野自動車株式会社。
※11 「未来投資戦略2018」ならびに「官民ITS構想・ロードマップ2020」。
※12 Adaptive Cruise Control。前走車と自車の距離を自車の機器で計測・算出し、一定に保つ機能。
※13 Lane Keep Assist。カメラで白線を認識してステアリング制御を行い、車線内の走行を支援する機能。
※14 Cooperative Adaptive Cruise Control。前走車との距離を一定に保つことに加え、通信で前走車の
加減速情報を受信し、それに基づき自車の加減速を制御し、車間距離をさらに安定的に維持する機能。
(2) トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)の北米事業体であるToyota Motor North America, Inc.と、日野の米国
における販売子会社の日野モータース セールス U.S.A.、生産子会社の日野モータース マニュファクチュアリングU.S.Aは、大型電動トラックへの関心の高まりを受け、北米向けに、燃料電池で走行する大型トラックの開発に共同で取り組んでいます。
日野が北米で投入している新型HINO XLシリーズのシャシーをベースに、トヨタの燃料電池技術を組み合わせ、
CO2を排出せずに走行する高性能な大型トラックを開発します。今後、2021年の前半に試作車両を開発し、評価を進めていきます。本取り組みは、2021年3月に発表した日本国内向け燃料電池大型トラックの共同開発をさらに発展させるものです。
(3) 株式会社大林組(以下、大林組)と日野は、建設業における現場作業員の高齢化や就労人口の減少による労働力
不足、夜間や単調作業の生産性向上などの課題解決に向け、大型ダンプトラックによる自動運転(レベル4相当)
※15の実証実験を実際のダム建設現場である川上ダム(三重県伊賀市)で、2020年11月1日から1ヵ月半実施しま
した。
日野は、建設業を含むお客様のビジネス課題の解決に向け、車両の自動化などのCASE※16を活用し、お客様起点のソリューションの実現を目指しています。
大林組は、省人化や生産性向上といった課題を解決すべく、建機の自動化や自動建機群を一元管理するプラットフォームの構築をめざし、建設現場のロボティクスコンストラクション※17を推進しています。
両社は、こうした社会課題の解決を加速するために、互いの知見を合わせ、大型ダンプトラックの自動運転の実用化に向けて取り組んでいます。
今回の実証実験では、夜間の建設現場で稼働する現場内の搬送ダンプに、自動運転車を1台導入しました。有人ダンプと自動運転車が混在した交通下における運行への影響や全車自動運転車だけでの運用を検討するとともに、建設現場の自動化に向けて建機連携を念頭に置き、データを取得することを主な目的として取り組みました。
<自動運転車両および利用システム>
本実証で使用した自動運転車は、ベース車両である大型トラック「日野プロフィア」に自動運転技術を搭載し、約1.3kmを最高30km/hで走行します。車両の走行位置や経路は、GNSSデータ※18、カメラ、LiDAR※19で把握し、前走車がいる場合は全車速ACCで安全な車間距離を保ち、人および障害物を検知すると停止します。本実証では安全を最優先に、想定外の事象に備えてシステム監視者が乗車しました。
<走行ルート>
日々採取先が変わるコンクリート骨材ヤードの位置に応じて設定します。狭いカーブや悪路、急勾配も含み、
有人ダンプと混在した現実的な環境下での実証実験を実施しました。
本実証の結果を踏まえ、今後は荷積み・運搬・荷降ろしまで一貫したオペレーションや、複数台の自動運転車
を活用した現場における運用の新たな構築をめざし、開発や導入に向けた実証を検討していきます。
※15 限定領域内の無人走行を想定した自動運転。
※16 C=Connected(コネクティッド・接続性)、A=Autonomous(自動運転)、S=Shared(シェアード・
共有)、E=Electric(電動化)の頭文字からとった造語。新しい領域で技術革新、自動車業界を取り巻
く変革の動き(トレンド)のこと。
※17 BIM・CIMなどの技術を用いて現実空間とバーチャル空間を結び、建設プロセスを高度化させる概念で、
施工においては遠隔化・自動化を活用し現場の完全無人化をめざす。
※18 Global Navigation Satellite System。GPSなどの全地球衛星測位システム。
※19 ライダー、Single Photon Avalanche Diode Light Detection And Ranging。周辺環境の立体的な様子を
捉える技術や機器。
以上、当連結会計年度の「日本」セグメントの研究開発費の総額は、
(アジア)
該当事項はありません。
(その他)
該当事項はありません。