第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、基本理念として「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」ことを会社の使命として掲げ、「世界のHINO」として広く社会から評価されるよう、事業活動を進めていきたいと考えております。

 会社の使命を果たすため、当社グループの事業活動に対する取り組み方針を下記のとおり定めております。

1.世界の人々から信頼される商用車メーカーを目指し、グローバルな事業展開を行います。

2.技術の継承と革新を続け、お客様のお役に立つ商品やサービスを提供いたします。

3.変化を的確に捉え、社会との調和を図り、持続可能な発展を目指します。

4.社員の多様性を尊重し、活気あふれる企業風土をつくります。

 

(2)会社の環境及び対処すべき課題

<エンジン認証に関する当社の不正行為について>

当社のエンジン認証に関する不正行為(2022年3月4日付けおよび同月25日付け当社プレスリリース)につきまして、株主の皆様やお客様をはじめ、数多くの皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、心より深くお詫び申し上げます。

 当社は、北米における排出ガス認証のプロセス遵守状況に対する社内での課題認識を契機に、日本市場向けエンジンに係るエンジン認証手続き上の問題の有無を調査することとし、外部弁護士と当該調査を進め、排出ガスおよび燃費に関するエンジン性能の再確認も進めてまいりました。日本に調査対象を広げる中、現行規制である2016年排出ガス規制(ポスト・ポスト新長期規制)対象エンジンの複数機種において、認証手続き上の不正行為があったことを確認するとともに、エンジン性能に問題があることも判明したため、2022年3月4日、国土交通省および経済産業省へ報告し、公表いたしました。その後の国土交通省による立ち入り調査を経て、同月25日、別のエンジンにつきましても、性能の問題が不正行為によるものと判断したことを公表し、同月29日、不正行為が確認されたエンジン機種とその搭載車型の型式指定取り消しという行政処分を受けました。尚、北米における排出ガス認証のプロセス遵守状況上の課題に関する当局による調査は現在も継続しております。

 これらのうち、経年変化により排出ガスの規制値を超過する可能性がある中型エンジン「A05C(HC-SCR)」搭載の「日野レンジャー」一部車型については、2022年3月25日にリコールを届出、お客様へご案内し順次対応を進めております。

 当社のエンジン認証に関する不正行為につきましては、現時点までの判明事項から、現場における数値目標達成やスケジュール厳守へのプレッシャー等への対応が取られてこなかったことが問題の背景にあると考えており、経営として非常に重く受け止めております。

 今後の会社経営においては、コンプライアンス最優先の姿勢を明確にし、組織変更や業務プロセスの見直しといったガバナンスの改善に加え、従業員一人ひとりの意識改革への取り組みを進めてまいります。

 今後も自社による総点検として、エンジン認証手続きに関する徹底的な事実関係の調査、認証プロセスの遵守状況およびエンジン性能の検証を継続してまいります。加えて、事案の重要性に鑑みて、当社と利害関係のない外部有識者による特別調査委員会を設置し、本件問題に関し、事案の全容解明および真因分析に加え、当社の組織の在り方や開発プロセスにまで踏み込んだより本質的な再発防止策の提言を委嘱いたしました。

 当社は、その結果も踏まえて、今後も、信頼回復に向けた抜本的な再発防止およびコンプライアンス・ファーストの企業体質再構築に取り組んでまいる所存です。

 

<将来に向けた取り組み>

 2022年度の世界経済は、国・地域により差はあるものの総じて回復基調が継続する一方、地政学リスクや部品供給不足、物流の停滞といった先行きへの不透明感が続くと考えております。また、地球環境に対する積極的な行動が求められており、自動車業界においても、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)といった新技術の進展が年々加速しています。

 こうした環境認識の下、当社グループは経営環境の変動に左右されにくい事業構造の構築に向けた構造改革とカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みについても着実に推進し、「豊かで住みよい持続可能な社会」の実現を目指してまいる所存です。

 

(構造改革の推進)

 コロナ禍により、従来以上に経営環境の変動に左右されにくい事業構造の構築を加速する必要性を再認識し、持続的成長が可能な事業基盤、競争力の確立に向けた構造改革を推進しております。「選択と集中」を念頭に、お客様から見て競争力に繋がるところにはリソースを集中してトータルサポートを更に進化させ、一方、協調すべき領域については様々なパートナーとの連携を進めてまいります。

 

(カーボンニュートラルの実現に向けて)

 当社グループは地球環境問題解決に向けた取り組みを経営の最重要課題の一つと位置づけております。カーボンニュートラルの実現に向けて、電動車の普及のみならず、素材から製品の廃棄までのライフサイクル全体の視点で、各国政府や関連業界と連携しながら、お客様や社会に必要とされるあらゆる方策を追求してまいります。

 

 以上の取り組みにおいて当社グループは、お客様や社会からの信頼を一日でも早く回復できるよう、コンプライアンス・ファーストの企業体質の再構築に向けて不断の努力を続けてまいります。

株主の皆様には、何卒今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 尚、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)感染症等の流行

 国内・海外において大規模な感染症等の流行があった場合には、当社グループの生産・販売活動に制約を受けるリスクがあり、それが長期化した場合には当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。また、感染症の流行を主因として波及的に後述の(2)~(6)のリスクが顕在化する場合があります。

 

(新型コロナウイルス感染症について)

 当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、国内外で経済活動が制限される等、そのリスクが顕在化しております。一部の国・地域においては、ワクチン接種率の向上等に伴い、行動規制が緩和されたものの、未だ先行き不透明な状況が続いています。

 当社グループは感染拡大防止のため、社内に対策本部を設置し、テレワークやオンライン会議の推奨の他、イベント・出張の禁止、社内出社基準等のルールの策定や、自動検温器、飛沫防止のためのパネル設置など、社員の安全を最優先に考えた感染予防対策を実施しています。また、社内診療所でのPCR検査の実施体制の整備や、自社生産のマスクの従業員への配布などにも取り組んでいます。

 また、このような経営環境の変動に対処するため、構造改革の取り組みを推進しております。

 構造改革については、第2「事業の状況」 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」 (2)会社の環境及び対処すべき課題 <将来に向けた取り組み> に記載のとおりです。

 

(2)需要及び価格の変動

 国内においてのトラック・バス等の販売は、国及び地方自治体による環境規制強化の実施の有無による需要の変動に大きく影響を受けます。また、国内貨物輸送の低迷や物流改革の進行により今後のトラック需要は減少する可能性があります。さらに、他社との価格競争により当社製品の価格変動を引き起こす可能性があります。

 海外においてのトラック・バス等の販売は、国・地域及びその市場における経済状況の影響を受け、かつ、他社との価格競争により当社製品の価格変動を引き起こす可能性があります。

 これらの需要及び価格変動に対応するため、当社グループは商品力の強化と適正な生産体制の構築、原価改善等を推進し、需要・価格変動に強い企業体質を目指しております。

 

(3)材料価格の変動

 当社グループは国内及び海外の複数のメーカーから鋼材等の資材、部品等を調達し、トラック・バス、エンジン等を生産しております。これらの材料価格は、業界の需要や原材料の価格に伴い変動しております。材料価格が高騰し、かつ、長期化する場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループはこれらの材料価格の変動に対応するため、原価改善等を推進しております。

 

 (4)為替の変動

 当社は円表示で連結財務諸表を作成しており、海外における現地通貨建の売上高、費用、資産等の項目は、連結財務諸表作成時に円換算されるため、換算時の為替レートによって、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 また、国内外での原材料等の仕入れや製品の販売において、外国為替相場の変動は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。この為替変動リスクを抑えるために一部でデリバティブ取引を行っておりますが、それによって本来得られた利益を逸失する可能性があります。

 当社グループは、これらリスクに対応するため、適切なグローバル調達・生産・販売体制を検討・構築しております。

 

 (5)金利の変動

 資金調達に係るコストは、市場金利が急激に上昇した場合、支払利息の負担が増大するなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは親会社であるトヨタ自動車株式会社とのインハウスバンキングを通じた資金調達のグローバル化等によって当該リスクの最小化を図っております。

 

(6)貸倒れリスク

 当社グループは当社で生産したトラック・バスを全国の販売会社を通し様々な取引先に販売をしております。これらの取引先において信用不安などにより予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、追加的な損失や引当の計上が必要となる場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは取引先の信用リスク情報などを適時入手し、当該リスクの最小化を図っております。

 

(7)親会社との取引

 当社グループは、親会社であるトヨタ自動車株式会社より乗用車及び一部の小型トラックの生産を委託されており、また小型トラックのOEM供給を行っております。当連結会計年度の売上高の8.3%を同社に依存しております。

 尚、当社とトヨタ自動車株式会社との取引は、「関連当事者情報」に記載しております。

 

(8)国内外での事業活動

 当社グループは、日本をはじめアジアを中心とした世界各地で事業活動を展開しております。それらの事業活動には、通常、予期しない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の採用・確保の困難等、経済的に不利な要因の存在又は発生、テロ・戦争・自然災害・その他の要因による社会的又は政治的混乱等のリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化することによって、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 尚、当社グループの世界各地域における事業活動は、「セグメント情報」に記載しております。

 

(9)法規制等

 当社グループは、国内外でのトラック・バス等の販売において、安全性や排出ガス、燃費、騒音、公害などに関する法規制等やその他各国の様々な法規制等の適用を受けているため、これらの規制に適合するために費用を負担しております。これら法規制等の制定又は改正が行われた場合、費用負担が増える可能性があります。

 

(10)製品の欠陥

 当社グループは、基礎研究段階を含め、商品企画・開発からアフターサービスまでの各ステップにおいて、安全性への細心の配慮を行うとともに、品質の確保に努めております。

 しかし、すべての製品について欠陥が無く、将来にわたりリコールや製造物責任賠償が発生しないという保証はありません。そのため、これらのリスクが顕在化する場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 尚、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これに伴い、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して大きく減少しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、売上高については前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 尚、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況及び分析

 当連結会計年度における世界経済は、各国の行動規制の緩和等に伴い、国・地域により差はあるものの総じて回復基調で推移した一方、部品供給不足や物流の逼迫により、製造業で生産活動が停滞するなどの影響がありました。

 当連結会計年度の国内のトラック市場につきましては、世界的な半導体不足、および新型コロナウイルス影響等に起因する部品供給不足による生産影響により、大中型トラックの総需要は77.3千台と前期に比べ8.6千台(10.0%)の減少、小型トラックの総需要は74.5千台と前期に比べ11.5千台(13.4%)減少となりました。

 国内売上台数につきましては、堅実な販売活動を続けた結果、トラック・バスの合計で57.8千台と、前期に比べ1.9千台(3.1%)の減少に留まりました。

 海外市場につきましては、アセアンを中心とした市場の回復基調を背景として、海外売上台数はトラック・バスの合計で100.4千台と前期に比べ26.8千台(36.4%)増加いたしました。

 以上により、日野ブランド事業のトラック・バスの総売上台数は158.1千台と前期に比べ24.9千台(18.7%)増加いたしました。

 また、トヨタ向け車両台数につきましては、SUV及び小型トラックともに台数が増加し、総売上台数は141.7千台と前期に比べ33.0千台(30.3%)増加いたしました。

 このような経営環境の中、外部変化に影響を受けにくい企業体質を構築するため、既存事業の競争力強化並びにソリューションビジネス確立に向けた取り組みを継続しています。既存事業においては、小型トラックに積載量1.5トンクラスを投入しラインナップを拡充し、中型トラックには日野のトラックで初となる「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」を搭載するなど、お客様のニーズにお応えする商品を提供してまいりました。トータルサポートに関しては、南関東日野自動車株式会社が営業を開始し関東圏の広域ユーザーをよりサポートしていく体制を整えるとともに、販売会社の拠点更新も継続的に実施しており、整備生産性の向上を通じてお客様の稼働を支えています。ソリューションビジネスについては、お客様の課題を解決する新たな価値提供に向けてパートナーとの協業を進めてまいりました。

 世界的に動きが加速しているカーボンニュートラルの実現に向けては、2030年までの中間マイルストーンとして、『日野環境マイルストーン2030』を策定し、素材から製品の廃棄までのライフサイクル全体の視点で実用的かつ持続可能な方策を追求していきます。2022年度に市場導入を予定している小型BEVトラック並びに電動車の最適な稼働をサポートするソリューションについては、お客様と共同で実証を行い、実用化に向け着実に歩みを進めてまいりました。トヨタ自動車株式会社やいすゞ自動車株式会社との商用事業の協業プロジェクト(Commercial Japan Partnership)においても、自治体やお客様など様々なパートナーとカーボンニュートラルの実現・人流物流の課題解決に向けた取り組みを開始しました。

 また、今般の東京証券取引所の再編に際し、新市場区分における「プライム市場」を選択しました。引き続き、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、取り組んでまいります。

 

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

ⅰ)財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ268億54百万円増加し、1兆2,583億50百万円となりました。これは、当連結会計年度末の売上債権が125億25百万円減少した一方で、棚卸資産が254億73百万円、有形固定資産が92億6百万円増加したこと等によります。

 

(負債合計)

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ1,157億19百万円増加し、7,423億42百万円となりました。これは、買掛債務が214億51百万円、認証関連損失引当金が299億70百万円、繰延税金負債が250億78百万円増加したこと等によります。

 

(純資産合計)

 純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ888億64百万円減少し、5,160億7百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失を847億32百万円計上し、剰余金の配当を97億60百万円行ったこと等によります。

 

 

 セグメントごとの財政状態は次のとおりであります。

(日本)

 当連結会計年度末の貸付金が301億97百万円増加した一方、当連結会計年度末の売掛債権が321億52百万円減少したこと等により、セグメント資産は9,419億57百万円と前連結会計年度末に比べ、125億76百万円減少しました。

 

(アジア)

 当連結会計年度末の売上債権が182億16百万円増加したことに加え、当連結会計年度末の現預金が124億64百万円増加したこと等により、セグメント資産は2,927億67百万円と前連結会計年度末に比べ、382億47百万円増加しました。

 

(その他)

 当連結会計年度末の棚卸資産が232億4百万円増加したこと等により、セグメント資産は1,553億64百万円と前連結会計年度末に比べ、307億55百万円増加しました。

 

ⅱ)経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の連結売上高は1兆4,597億6百万円となりました。

 国内トラック市場につきましては、部品供給不足に伴う需要及び売上台数の減少により、売上高は4,219億67百万円となりました。

 海外トラック・バスにつきましては、コロナ禍からの市場回復により売上台数が増加し、売上高は4,215億87百万円となりました。

 トヨタ向け車両につきましては、SUVの台数が減少したこと等により、売上高は975億66百万円となりました。

 その他の部門の売上高につきましては、米国、タイにおけるトヨタブランド車向けユニット事業の売上高が増加したこと等により、5,185億83百万円となりました。

 

(営業利益)

 部品供給不足による影響、品質費用の増加、及びエンジン認証に関する不正行為に起因する生産・出荷停止影響により、連結営業利益は338億10百万円と前期に比べ215億60百万円の増益となったものの、コロナ禍前の2020年3月期(548億59百万円)に比べ減益となりました。尚、売上原価の売上高に対する比率は82.8%(前期は85.8%)、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は14.9%(前期は13.4%)となりました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度は、経常利益は379億86百万円と前期に比べ257億25百万円の増益、2020年3月期(495億96百万円)に比べ減益となりました。

 

(税金等調整前当期純損失)

 当連結会計年度は、経常利益は379億86百万円の増益となりましたが、国内認証関連損失として特別損失400億円及び、北米認証関連損失として特別損失273億円を計上したこと等により、税金等調整前当期純損失は314億84百万円と前期と比べ296億円の減益となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損失)

 当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、468億52百万円と前期に比べ424億38百万円の増加となりました。

 また、非支配株主に帰属する当期純利益は、63億95百万円と前期に比べ52億4百万円増加しました。

 以上により、親会社株主に帰属する当期純損失は847億32百万円と前期に比べ772億43百万円の減益となりました。

 

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(日本)

 日野ブランド事業の国内向けトラック・バスの売上高は、大型トラックを中心とした売上台数の減少等により、減収となりました。海外向けについては、アジア・中南米向けを中心として売上台数が増加したこと等により、増収となりました。また、トヨタ向けについてはSUVを中心に台数が増加するも、「収益認識に関する会計基準」等の適用の影響により、減収となりました。

 以上により、売上高は1兆1,279億87百万円となりました。損益面におきましては、セグメント利益(営業利益)は197億78百万円となりました。
尚、「収益認識に関する会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、従来の方法に比べて、当連結会計年度の日本の売上高は2,693億85百万円減少しております。

 

(アジア)

 主にインドネシア・タイの売上台数が増加したこと等により、売上高は3,994億47百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、229億円となりました。

 

(その他)

 北米は売上台数が減少したものの、中南米・アフリカ・オセアニアを中心として売上台数が増加したこと等により、売上高は1,762億42百万円となりました。セグメント損失(営業損失)は、67億69百万円となりました。

 

ⅲ)生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日本

トラック・バス(台)

121,054

+13.3

トヨタ向け車両(台)

141,376

+30.4

アジア

トラック・バス(台)

31,622

+139.3

トヨタ向け車両(台)

296

+51.0

報告セグメント計

トラック・バス(台)

152,676

+27.2

トヨタ向け車両(台)

141,672

+30.4

その他

トラック・バス(台)

3,149

トヨタ向け車両(台)

合計

トラック・バス(台)

155,825

+29.8

トヨタ向け車両(台)

141,672

+30.4

 

(b)受注実績

 当社グループは国内及び海外の販売実績及び販売見込等の資料を基礎として見込生産を行っております。尚、トヨタ向け車両についてはトヨタ自動車株式会社からの受注に基づき生産しております。

 

 

(c)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

1,127,987

アジア(百万円)

399,447

報告セグメント計(百万円)

1,527,434

その他(百万円)

176,242

調整額(百万円)

△243,970

合計(百万円)

1,459,706

 

(注)1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29 号 2020 年3月31 日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。当連結会計年度の各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、前期比は記載しておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額

(百万円)

割合

(%)

金額

(百万円)

割合

(%)

トヨタ自動車㈱

288,831

19.3

121,126

8.3

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フローの状況及び分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、有形固定資産の取得等による資金の減少があった一方、売上債権の減少等による資金の増加により、前期末に比べ80億11百万円増加(前期は148億58百万円増加)し、626億62百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は1,067億11百万円(前期は1,084億29百万円の増加)となりました。これは減価償却費の計上が549億56百万円(前期は547億54百万円)あったこと、売上債権が222億91百万円減少(前期は84億91百万円の増加)したこと、認証関連損失引当金が299億70百万円増加したこと等によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は621億81百万円(前期は562億11百万円の減少)となりました。これは生産設備を中心とした有形固定資産の取得による支出が494億32百万円(前期は504億10百万円)あったこと等によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の減少は391億47百万円(前期は384億8百万円の減少)となりました。これは、短期借入金の純減少額が227億78百万円(前期は200億88百万円)、配当金の支払額が97億60百万円(前期は68億89百万円)あったこと等によります。

 

②資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と製品製造のための材料及び部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。

 

③契約債務

 2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

144,568

144,568

1年内返済予定の長期借入金

8,400

8,400

長期借入金

8,279

7,527

333

417

 

④財務政策

 当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを財務方針としております。設備投資、投融資などの長期資金需要に対しては、内部留保、長期借入債務及び社債の発行により、また、運転資金需要には短期借入債務により対応しております。借入債務については、主にトヨタ自動車株式会社、金融機関からの借入れによって調達しております。

 また資金マネジメントについては、当社と子会社の資金管理の一元化を図るなかで、緊密な連携をとることにより、グローバルな資金効率の向上を図っております。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、各種の見積りと仮定を行っております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりです。

 尚、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、翌連結会計年度中も依然として続くとの仮定のもと会計上の見積りを行っております。

 

① 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮し、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。

 将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、親会社株主に係る当期純損益額が変動する可能性があります。

 

② 退職給付債務及び退職給付費用

 退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しております。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。

 

③ 製品保証引当金

 当社は、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款及び法令等に従い、過去の実績等を基礎にして計上しております。

 引当金の見積り時において想定していなかった製品の不具合による保証義務の発生や、引当の額を超えて保証費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

④ 認証関連損失引当金

 当社は、認証関連課題に関連した損失に備えるため、合理的に見積もることが可能な金額を計上しております。認証問題を起因とする税制優遇追加納付費用が含まれています。

 引当金の見積り時において想定していなかった認証関連の損失の発生した場合、税制優遇追加納付費用の見積り前提が変化した場合には、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)トヨタ自動車株式会社との業務提携

 1966年10月より、当社はトヨタ自動車株式会社と業務提携を行っており、現在当社は同社より乗用車「ランドクルーザープラド」及び「FJクルーザー」の生産を受託し、小型トラック「ダイナ/トヨエース」を同社に対してOEM供給しております。また商品相互補完取引、台湾における合弁会社(国瑞汽車株式会社)への共同出資、トヨタ販売網を通じた当社製品の販売など各般にわたって提携関係の発展・強化を図っております。

 

(2)いすゞ自動車株式会社との株主間協定書

 当社といすゞ自動車株式会社は、両社が保有するバス製造子会社である日野車体工業株式会社及びいすゞバス製造株式会社の株式を、バス事業統合準備会社として両社が折半出資により設立したジェイ・バス株式会社へ譲渡すること並びに統合の基本的事項について合意し、2003年9月12日、株主間協定を締結いたしました。

 さらにその統合効果を最大限に引き出すことを目的として、ジェイ・バス株式会社はその傘下の両バス製造子会社と、2004年7月30日に合併契約を締結、2004年10月1日に合併いたしました。

 

(3)中国の上海日野エンジン有限会社の合弁契約書

 当社は、今後、トラック・バスの大市場と見込まれる中国で、エンジンの現地生産及び販売を行うことを目的とし、中国のエンジン製造会社である上海柴油機股份有限公司との折半出資で合弁会社を設立する合弁契約を2003年8月6日に調印いたしました。これにより、2003年10月8日に合弁会社を設立いたしました。2007年9月、上海柴油機股份有限公司の出資持分の全部を上海電気(集団)総公司に譲渡したため、当社は上海電気(集団)総公司と修正合弁契約を締結いたしました。2010年4月、上海電気(集団)総公司が、出資持分の一部を広州汽車集団股份有限公司に譲渡したため、当社は上海電気(集団)総公司及び広州汽車集団股份有限公司と修正合弁契約を締結いたしました。2019年6月、上海電気(集団)総公司が、出資持分の全部を当社に譲渡したため、当社は広州汽車集団股份有限公司と修正合弁契約を締結いたしました。

 

(4)中国の広汽日野自動車有限会社の合弁契約書

 当社は、中国において、商用車、シャシ及びエンジン等部品の開発・設計・生産・販売・アフターサービスを行うことを目的とし、中国での自動車製造・販売等を主要事業とする広州汽車集団股份有限公司と折半出資で合弁会社を設立する合弁契約を2007年8月10日に調印し、2007年11月28日に広汽日野自動車有限会社を設立いたしました。

 

(5)Volkswagen Truck & Bus GmbH(現:TRATON SE)との戦略的協力関係構築の枠組みに関する合意書

 当社は、Volkswagen Truck & Bus GmbHとの長期視点、対等かつ互恵的な戦略的協力関係の構築に向けた合意書に2018年4月11日調印いたしました。引き続き、物流/交通に関わるソリューション調査、既存・将来技術、調達等の領域において、相互補完的な協力関係の構築を検討してまいります。

 

(6)いすゞ自動車株式会社およびトヨタ自動車株式会社との商用事業における協業へのスズキ株式会社およびダイハツ工業株式会社の参画

 当社といすゞ自動車株式会社およびトヨタ自動車株式会社は、商用事業において新たな協業に取り組むことに2021年3月24日に合意し、2021年4月、協業を推進するため、商用車におけるCASE技術・サービスの企画を事業内容とするCommercial Japan Partnership Technologies株式会社を設立いたしました。当社といすゞ自動車株式会社が培ってきた商用事業基盤に、トヨタ自動車株式会社のCASE 技術を組み合わせることで、CASEの社会実装・普及に向けたスピードを加速し、輸送業が抱える課題の解決やカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指してまいります。

 2021年7月21日、協業体制を軽自動車まで拡大することにより、トラックから軽商用車まで一気通貫での物流効率化を図ることを目的として、上記3社の合意にスズキ株式会社およびダイハツ工業株式会社が加わり、両社はCommercial Japan Partnership Technologies株式会社に出資をしました。

 

(7)いすゞ自動車株式会社との北米向け車両OEM受給に関する合意

 当社は、北米市場へのクラス4-5モデルの早期供給再開のため、いすゞ自動車株式会社からの北米市場向けディーゼルトラック「Nシリーズ」のOEM受給を決定し、これに伴い、当社の連結子会社である日野モータース セールス U.S.A.株式会社が、いすゞ自動車株式会社の連結子会社であるいすゞノースアメリカコーポレーションと車両供給に関する契約を2021年7月29日に締結しました。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」ことを使命とし、「技術の継承と革新を続け、より高い技術の開発に取り組み、世界の人々から信頼される商品やサービスを提供する」ことを基本理念とし、時代の変化を的確に捉え、社会との調和を図り、安全で環境に優しい商品や質の高いサービスを提供するため、積極的な研究開発活動を行っております。

 当社の研究開発は、当社を中心に、子会社をはじめとする関係各社との緊密な連携のもとで推進されております。また、基礎研究分野において、技術研究所を中心として環境、安全、材料などの分野における研究開発に取り組んでおります。

 当社は、環境や安全に対する取り組みに加え、耐久性や燃費などの性能の向上、プロダクト・ライフサイクル・

コストの低減など、より良い商品とサービスを世界の人々に提供する為に商品・技術開発を行っております。

 2022年3月に確認、公表したエンジン認証申請における不正行為において、お客様、仕入先様はじめ、全てのステークホルダーにご迷惑をお掛けしました。今後、信頼性回復に向けた、抜本的な再発防止および、コンプライアンス・ファーストの企業体質再構築に取り組んでまいります。

 セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(日本)

[最近の新製品]

(1) 小型トラック「日野デュトロ」に新たに積載量1.5tクラスを設定し、2021年8月2日に発売しました。

 今回新たに設定した1.5tクラスは、4ナンバーとしてフルサイズの積載力を備え、自家用ユーザーはじめ幅広いニーズにお応えする車両です。6速AT車の設定車型を充実させ、都市内配送・運搬を想定した取り回しやすさが特長です。安全面では、PCS※1や前進誤発進抑制機能※2など2tクラス以上と同等の先進安全装備を標準搭載し、ドライバーの安全運転をサポートします。また、コンパクトな2.8Lのディーゼルエンジンを搭載し、低燃費で経費節減にも貢献します。

 この1.5tクラスは、海外向けにはHINO200シリーズとして順次展開します。それぞれの国や地域のお客様の用途に合わせて最適な商品を選んでいただけるよう、グローバルでラインナップを拡充します。

 

※1 PCS(プリクラッシュセーフティ):先行車などを検知し、警報ブザーとディスプレイ表示でドライバーに

危険を知らせ、衝突回避の支援を行うシステムです。PCSはトヨタ自動車株式会社の登録商標です。

※2 前進誤発進抑制機能:アクセルを踏み間違えた場合等にエンジンの出力制御とブレーキ制動によって衝突

回避を支援します。

 

(2) 中型トラック「日野レンジャー」を改良し、安全装備を大幅に拡充して2021年8月2日に発売しました。

 日野は、商用車メーカーの社会的責務として安全技術の開発・普及に取り組んでおり、中型トラックにおいては事故の被害が大きくなりやすい高速道路走行時の対策から安全装備を拡充してきました。今回の改良では、サイトアラウンドモニター※3、ドライバー異常時対応システム(EDSS)※4、オートヘッドランプ※5を標準装備

※6としています。一般道での事故対策も拡充し、万が一の事故防止に貢献します。

 

※3 車両左右前端に設置したセンサーが、衝突のおそれがある車両を検知し、警告音とメーター表示でドライバ

ーに注意喚起します。大型トラック「日野プロフィア」で実用化しているサイトアラウンドモニターシステムの検知速度域を拡大して機能向上させ、右左折時の出会い頭などドライバーの安全確認をサポートします。

※4 ドライバーモニターⅡや車線逸脱警報によりドライバーの運転姿勢や車両の挙動をモニターし、体調急変な

どによるドライバーの異常な状態を自動検知して徐々に減速し車両を停止させます。一部車型に標準装備、その他全車にオプション設定します。

※5 周囲が暗くなると自動的に点灯し、夜間の視認性を向上させます。

※6 一部車型を除く。

 

(3) 中型バス「日野メルファ」を改良し、安全装備を大幅に拡充して2021年10月1日に発売しました。

 今回の改良では、PCS、車両安定制御システム(VSC)※7、ドライバー異常時対応システム(EDSS)といった安全装備を標準装備し、万が一の事故防止に貢献します。また、車両稼働情報をベースにお客様のビジネスを支援するICTサービス「HINO CONNECT」※8に対応しています。

 

※7 カーブでの車線からのはみ出し(ドリフトアウト)や横転、滑りやすい路面でのスリップやスピンなどの抑

制に寄与するため、警報音、エンジン出力制御、ブレーキングにより、ドライバーの危険回避操作をサポートします。VSCはトヨタ自動車株式会社の登録商標です。

※8 通信端末を標準搭載し、車両稼働情報をベースにお客様のビジネスを支援する「HINO CONNECT」に対応。車

両1台1台を最適な状態に保つためのサービスを提供します。

 

(4) お客様の稼働や業務をサポートする新たなソリューション提供に向け、架装および車両(シャシ)に関するデ

ータ連携の試験運用を、極東開発工業(本社:兵庫県西宮市)と2021年10月から開始しました。これには、架装メーカーをはじめとするさまざまな外部パートナーとの迅速なソリューション共創を実現する、データ連携プラットフォームを活用しています。

 車両に搭載された情報通信端末から架装に関する稼働データを取得し、データ連携プラットフォームを通じて車両の稼働データと連携します。従来は別々に活用されていた架装と車両のデータを連携させることで、商用車の重要な機能である架装も含め、お客様の車両の稼働や業務をサポートする新たなソリューション創出を検討していきます。本格的なデータ連携は、2022年度からの開始を目指しています。将来的にはさまざまな架装への対応に加え、車両・架装の製造から購入・運行・点検/車検・売却など、車のライフサイクル全体を通じ、お客様の車1台ごとに最適な各種ソリューションの提供を目指します。

 

<本連携により提供を目指す顧客メリットの例>

・架装部分の型式、連絡先等の情報も連携できるため、1回の受付で架装も含めた効率的な整備が可能(ワンストップサービス)

・車両の情報端末経由で架装の異常も検知し、いち早く整備することで、重大故障の抑止に貢献(予防整備、故障コード通知)

・冷凍車の庫内温度など荷室内部の情報を、ドライバー以外の事務所の運行管理者なども容易に取得・確認できるため、荷室管理に伴うドライバーの負担軽減に寄与(荷室・積荷管理、トレーサビリティ確保)  など

 

<データ連携プラットフォームについて>

 必要なデータを外部パートナーが使いやすいように、データの各種仕様・仕組みを汎用化します。これにより、各パートナーとのデータ連携にかかる開発工数・リードタイムを大幅に効率化し、お客様へのスピーディーなソリューション提供を実現します。
 日野は本プラットフォームを活用し、外部パートナーとの連携をさらに拡大・進化させ、お客様の抱える課題に対応する最適なソリューションを迅速に提供していきます。

 

 

(5) ヤマト運輸株式会社(本社:東京都中央区、以下 ヤマト運輸)と日野自動車は、2021年11月24日から日野が開

発した超低床・ウォークスルーの小型BEV(Battery Electric Vehicle)トラック「日野デュトロ Z EV」を用いた集配業務の実証実験を開始しました。

 

<実証実験の背景・狙い>

 近年、持続可能な物流の実現に向けた温室効果ガス排出量の削減など、環境に配慮した取り組みの重要性が高まっています。

 ヤマトグループは、経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」(2020年1月発表)の長期目標として「2050年CO2排出実質ゼロ」を掲げ、環境に配慮し、かつドライバーにとって実用性の高い低炭素車両の導入を進めています。

 日野は、「日野環境チャレンジ2050」(2017年発表)で環境負荷ゼロへのチャレンジを掲げており、2021年4月には中間目標となる「日野環境マイルストーン2030」を設定し、カーボンニュートラルの実現に向け取り組みを加速しています。また「日野デュトロ Z EV」など、環境配慮を含む物流最適化に貢献する各種ソリューションの開発・提供に取り組んでいます。本実証実験では、温室効果ガス排出量削減効果や、集配業務における効率性・作業負荷低減の効果などを確認します。

 

<実証実験の内容>

実証期間:2021年11月24日~22年5月末(約6ヶ月)

実証台数:2台

車両:日野デュトロ Z EV
実施場所 :ヤマト運輸日野日野台センター(東京都日野市)、ヤマト運輸狭山中央センター(埼玉県狭山市)

 

<車両の特徴>

 走行時に温室効果ガスを排出せず、環境に配慮した車両です。

 環境だけでなく、都市部や住宅街での宅配業務の作業効率も考慮した構造です。

コンパクト:小型トラックで、普通免許で運転が可能

低いヒップポイント:運転席の乗降がスムーズ

ウォークスルー構造:運転席から荷室への移動がしやすく、作業性向上

超低床構造:荷室への乗降がしやすく、ドライバーの負担を軽減

高い静粛性:周辺環境にも配慮

安全技術:市街地走行に必要な先進安全技術を装備(後退時の誤発進抑制装置はクラス初)

 

 

(6) アスクル株式会社(本社:東京都江東区、以下 アスクル)、株式会社CUBE-LINX※9(キューブリンクス 本

社:東京都新宿区)、日野自動車は、日野が開発した小型BEV(Battery Electric Vehicle)トラック「日野

デュトロ Z EV」を用いて、電動車の最適稼働マネジメント※10 の実証実験を開始しました。

 

※9 日野および関西電力株式会社(以下、関電)との合弁会社。

※10 お客様の車両の使い方に応じた、電動車の運行管理およびエネルギー利用の最適化マネジメント。

 

<実証の背景・狙い>

 社会全体でのカーボンニュートラルの実現が求められている中、取り組みの一つとして、電動車の導入が進んでいます。一方、その導入にあたっては、一般的に車両の契約に加えて充電設備の設置や電力使用契約など多くの手続きが必要であり、さらに日々の運用においては、効率的な充電・車両運行のためには緻密な運行計画や充電管理が重要となるなど、電動車ならではの課題も顕在化しています。

 アスクルは2016年、「最も効率的で環境に配慮した流通プラットフォーム(エコプラットフォーム)」を構築すべく、事業の全領域においてCO2排出量をゼロにする「2030年CO2ゼロチャレンジ」を宣言し、脱炭素社会の実現に向け取り組んでいます。2017年には国際的イニシアチブである「RE100」「EV100」に同時加盟しました。中でも「EV100」はお客様に荷物をお届けするラストワンマイルにおいて自社グループで使用する配送車両を2030年までにすべてBEV車両にすることを目標に掲げ、CO2 削減を推進しています。現在は、計21台の電気自動車を配送車両として導入。ECに欠かせない配送業務においてBEV車両の導入を順次進めています。ECに欠かせない配送業務においてBEV車両の導入を順次進めると同時に、今後のBEV車両の増加に伴う電力マネジメントの課題にも取り組んでいます。

 日野は、「日野環境チャレンジ2050」(2017年発表)で環境負荷ゼロへのチャレンジを掲げ、2021年4月には中間目標となる「日野環境マイルストーン2030」を設定、車両のライフサイクルにおけるCO2削減によるカーボンニュートラル実現への取り組みを加速しています。ライフサイクルにおける「使う」プロセスでのCO2削減においては、「お客様のお役に立つ持続可能な方策を追求」することが重要ととらえ、日野が開発したラストワンマイルの使い勝手を追求した「日野デュトロ Z EV」や、CUBE-LINXによる電動車の最適稼働マネジメントサービスの提供など、「電動車開発・普及促進・輸送効率化」に取り組んでいます。

 今回、アスクル、CUBE-LINX、日野の3社は、アスクルの配送業務において、「日野デュトロ Z EV」と、電動車の最適稼働マネジメントの実証実験を行います。車両の使い勝手の検証に加え、配送現場での効率的な車両の運行管理、および最適な充電管理とエネルギー利用量最適化の効果を確認していきます。本実証で得られた知見を今後の電動車の開発・改良、導入・運用時の課題解決に活かし、電動車の普及促進に貢献します。

 

<実証実験の内容>

実証期間 :2022年1月19日~2022年5月31日

場所 :アスクル 新木場物流センター

車両 :日野デュトロ Z EV 2台

充電器 :普通充電器(6kW)、急速充電(50kW) 各2台

 

<電動車最適稼働マネジメントサービスの特長>

 日野とCUBE-LINXは、お客様の事業形態や車両の使い方に合わせた拠点毎の稼働とエネルギー利用の最適ソリューションをパッケージ化し、月額定額制サービスとしてワンストップで提供します。本サービスは、運行計画系システムおよび関電と共同開発を進めているエネルギーマネジメントシステムを融合し、最適な充電・配車計画および電池残量を考慮した走行ルートの生成が可能になります。また今後、事業所および車両の電力消費量の最適化をトータルでのマネジメントを目指します。

 

<車両の特長>

 走行時に温室効果ガスを排出せず、環境に配慮した車両です。環境だけでなく、都市部や住宅街での配送業務の作業効率も考慮した構造です。

コンパクト :小型トラック(GVW 3.5t未満)で、普通免許で運転が可能

低いヒップポイント :運転席の乗降がスムーズ

ウォークスルー構造 :運転席から荷室への移動がしやすく、作業性向上

超低床構造 :荷室への乗降がしやすく、ドライバーの負担を軽減

高い静粛性 :周辺環境にも配慮

安全技術 :市街地走行に必要な先進安全技術を装備(後退時の誤発進抑制装置はクラス初)

 

[最近の主な成果]

(1) 株式会社ドコマップジャパン(本社:東京都港区、以下 ドコマップジャパン)と日野自動車はデータ連携を開

始し、ドコマップジャパンの動態管理ソリューション「DoCoMAP」で日野のコネクティッドトラック専用プランの提供を始めました。車両に新たなデバイスを追加する必要なく、安価で高機能な動態管理ソリューションを手軽に導入いただけるようにすることで、トラックの稼働効率化に貢献します。

 2021年12月より、全国のフジホールディングスグループ企業10社※11でトライアル運用を行い、2022年4月より一般ユーザー向けのサービス提供を開始します。

 昨今、社会課題となっている物流の最適化に向けて、車両・積荷・インフラ等のさまざまなデータやデジタル技術を活用したソリューションの早期実装・普及拡大が求められています。ドコマップジャパンは、「DoCoMAP」に代表されるIoT技術を活用した高機能な車両管理ソリューションの提供を通じて、運送事業者の抱える課題解決に貢献すべく取り組んでまいりました。一方、日野も従来の事業領域である車両・サービスの提供にとどまらず、お客様から預かったデータにさらに付加価値を付けてお客様に還元するという、コネクティッド領域の取り組みを積極的に推進しています。

 このたび、ドコマップジャパンの「DoCoMAP」のデータベースに日野のコネクティッドトラックの位置情報と車速データの連携を開始しました。これにより、新たなシステム構築やデバイス追加といったハード面での負担なく、「DoCoMAP」の車両位置把握をはじめとするリアルタイムでの車両動態管理機能をご利用いただけるようになりました。

 両社は今後、さらなるデータ連携によりサービスを拡充し、より安全で効率的な物流に貢献していきたいと考えています。

 

<DoCoMAPとは>

 DoCoMAPは、車両に取り付けたGPS端末からの位置情報で、車両の位置をGoogleMaps上に表示・管理する動態管理サービスです。PCのブラウザで専用サイトにアクセスすることで、車両の位置情報が簡単に確認できます。

 GoogleMapsの機能を利用して、渋滞情報やストリートビューなどの機能を直接利用することが可能です。また、車両の走行した軌跡を地図上に表示すると同時に、速度と時間が連動したグラフを表示したり、過去1年分の履歴をカレンダーより簡単に呼び出し、確認することも可能です。
 

<主な機能>

・リアルタイムでの車両の動態管理

・Google Mapsベースの使いやすいユーザーインターフェース

・運行管理業務に最適な機能を豊富に搭載

 

<対象車種>

・日野プロフィア (2017年5月以降の発売モデル)

・日野レンジャー (2017年5月以降の発売モデル)

・日野デュトロ (2019年5月以降の発売モデル)

 

※11 フジホールディングスグループ企業10社
 富士運輸株式会社、フジエアカーゴ株式会社、静岡運送株式会社、株式会社県運、トレーラージャパン株式会社、関汽運輸株式会社、東和運送株式会社、北陸トランスポート株式会社、サンコー運輸株式会社、日向商運株式会社

 

 

(2) コネクティッドデータを活用した新たなサービスとして、ドライバーの安全で環境にやさしい運転を支援する

「安全エコ運転支援サービス※12」を2022年1月20日に地域限定で先行リリースいたしました。

 2018年から提供しているHINO CONNECTは、コネクティッドデータをベースにお客様のビジネスを支援するサービスです。今回開始する「安全エコ運転支援サービス」は、HINO CONNECTにて新たに展開する、お客様ごとの経営課題解決に特化しさらなる価値を提供する「HINO CONNECT+」(有償サービス)の第一弾として提供していきます。今後もコネクティッドデータを活用しお客様・社会の課題解決に貢献するソリューションを拡充していきます。

 

※12 デジタルを活用した有償ソリューションとしては日野初。

 

<背景・狙い>

 万が一の自動車事故の防止や、CO2排出量の削減といったお客様の課題解決につながることから、車両の稼働における安全で環境にやさしい運転の重要性が増しています。今回、これらの課題解決に向けた取り組みの一つとして、「安全エコ運転支援サービス」を開始します。

 

<安全エコ運転支援サービスの概要>

サービス内容:ドライバーごとの安全・エコ運転に繋がるデータを提供し、人材育成に活かしていただけます。

・ドライバーの運転状況を可視化

・安全・エコ目線での分析、全国ランキング表示

・分析結果に合わせたトレーニングメニューの提供、振り返り

・経営者・管理者向け「事業所別 安全・エコ月報」の配信

サービス開始時期:2022年1月20日

先行リリース時の対象地域・車両:

茨城日野自動車株式会社・南関東日野自動車株式会社で車両をご購入および整備入庫いただいているお客様

2017年5月以降に発売した日野プロフィア、日野レンジャーのドライバン・ウィング系

対応端末:スマートフォン、タブレット端末、PC

 

 以上、当連結会計年度の「日本」セグメントの研究開発費の総額は、56,703百万円であります。

 

(アジア)

 該当事項はありません。

 

(その他)

 該当事項はありません。