当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、基本理念として「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」ことを会社の使命として掲げ、「世界のHINO」として広く社会から評価されるよう、事業活動を進めていきたいと考えております。
会社の使命を果たすため、当社グループの事業活動に対する取り組み方針を下記のとおり定めております。
1.世界の人々から信頼される商用車メーカーを目指し、グローバルな事業展開を行います。
2.技術の継承と革新を続け、お客様のお役に立つ商品やサービスを提供いたします。
3.変化を的確に捉え、社会との調和を図り、持続可能な発展を目指します。
4.社員の多様性を尊重し、活気あふれる企業風土をつくります。
(2)会社の環境及び対処すべき課題
<エンジン認証に関する当社の不正行為について>
当社のエンジン認証不正問題により、株主の皆様やお客様をはじめ、数多くの皆様に多大なご迷惑をおかけしておりますことを改めて深くお詫びいたします。
当社は2022年3月公表のエンジン認証不正問題について、外部有識者による特別調査委員会および国土交通省からの指摘ならびに提言を真摯に受け止め、二度と不正を起こさないための「3つの改革」を策定し、これを含む抜本的な再発防止策として「型式指定に係る違反に対する再発防止報告書」を10月に国土交通省へ提出いたしました。
企業理念「HINOウェイ」に則り、会社の使命を実現して再び社会への責任を果たしていくため、経営層の強い覚悟と率先垂範により経営・組織風土・クルマづくりにおける改革を進めております。本年2月には「3つの改革」の強力な推進のために経営・組織体制を抜本的に見直しました。これらの改革により認証問題の対応は確実に進んでいます。また、組織風土改革による変化の兆しも顕在化しつつあり、今後は、これを更に継続・加速させ全社一丸となって取り組んでまいります。型式指定の取り消し処分を受けていた「A09Cエンジン」搭載の大型トラック「日野プロフィア」および大型観光バス「日野セレガ」については、国土交通省より型式指定を取得し、出荷・生産を再開いたしました。その結果、当社の日本向け生産は、3月末時点で通常稼働時の約75%(2021年度販売実績ベース)に回復しております。引き続き、お待ちいただいているお客様にできるだけ早く車両をお届けするため、一部車種の型式再指定に向けた準備を進めてまいります。また、燃費性能に問題があった日本市場向けエンジンについては、お客様ごとの補償対象車両および補償額の説明を今夏より開始する予定です。
この厳しい経営状況の改善を喫緊の最優先課題とし、製品供給の再開などすべてのステークホルダーの皆様のご迷惑の解消と「3つの改革」による再発防止に最優先で取り組んでまいります。
<経営基盤の再構築>
当社のエンジン認証不正問題は、現場における数値目標やスケジュール厳守へのプレッシャーに経営が寄り添えず、法令順守や健全な企業風土の醸成が疎かになってしまったことが原因であると認識しております。
当社において二度とこのような不正を繰り返さないため、「3つの改革」の取り組みを経営層の率先垂範の下、全社一丸で進めてまいります。
まず「HINOウェイ」を全ての判断・行動の礎とするため、経営層と従業員の対話会などの双方向コミュニケーションを通じて「HINOウェイ」に込めた想いを共有、「HINOウェイ」を軸にした会社方針、人事制度改革により全従業員への浸透を図ってまいります。
また、「人財尊重」を中心に据えた組織風土改革として、キャリアデザインと連動したローテーション施策の運用強化など、従業員の主体性と能力を引き出す人づくりや、みんなでお客様に向き合い協力し合う文化を築いてまいります。ガバナンスについては、「3線体制」による内部統制機能の強化、外部機関による実効性評価を踏まえた内部監査機能の強化に取り組んでまいります。
そして、新しい「日野のクルマづくり」として、あるべきプロセスを正しく運用するため、外部監査を伴う品質マネジメントシステムを導入するなど構造改革を進めてまいります。
新たな日野自動車に生まれ変わるべく、全ての企業活動の源である「人の成長」にフォーカスし「会社の成長」はその結果であると考え、経営基盤を立て直してまいります。
<お客様・社会への価値提供>
当社の目指す価値提供として、お客様が商用車に求める基本要望に立ち返り、お客様車両の稼働を止めないトータルサポートと、安全で壊れないクルマをご提供するための商品QDR(品質・耐久性・信頼性)を磨き上げ、「トータルサポート品質」と「商品品質」を掛け合わせた日野の「総合品質」でお客様のビジネスを徹底サポートしてまいります。
今後は量の拡大よりも質の向上を重視し、共通化や統合によるお客様満足を最大化する適切な商品ラインナップへの見直しなど、なお一層お客様に寄り添い、より長くより深くつながることを目指してまいります。
またその先には持続可能な社会への貢献として、カーボンニュートラル実現などの環境課題や深刻化する人流・物流課題の解決にも取り組んでまいります。環境課題では、お客様ごとの走行距離・積載量などに応じた多様な選択肢がある中で、電動車においてはお客様ごとの用途における使いやすさを考慮した電動車ならではの車両レイアウトを追求、充電マネージメントやインフラ導入支援などの普及促進に取り組んでまいります。また人流・物流の社会課題においては、車両の提供にとどまらず、物流業界全体の効率化などお客様・社会の課題解決を通じ社会に貢献してまいります。
当社グループは、「人財尊重」の組織風土づくりとコンプライアンス・ファーストによる「正しい仕事」を徹底的に追求し続ける経営基盤の下、お客様や社会からの信頼を一日も早く回復し、日野の「総合品質」による価値提供を通じ、世界中のお客様と社会から必要とされる企業となるべく、不断の努力を続けてまいります。
(1)全般
当社グループの主力製品であるトラック・バスは、人流・物流を支える社会インフラであり、「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」という会社の使命のもと、お客様や社会が抱える物流・人流の課題に真摯に向き合い共に解決することによって、サステナブルな社会の実現に貢献したいと考えています。
2022年に策定した「HINOウェイ」のなかで、「HINOサステナビリティ方針」を定め、当社グループの全ての従業員がサステナブルな社会の実現に向けて誠実に行動することを宣言しています。
①ガバナンス
当社グループでは、人流・物流に関する社会課題解決を含むサステナブルな社会実現に向けた取組みを経営の重要課題の一つに位置付け、適正な業務が行われるようガバナンス機能の強化と運用に努めております。
加えて、気候変動や人的資本に関する重要な課題については、経営会議にも報告しております。
当社のガバナンスについては、「
②戦略
当社グループでは、経営ビジョン「日野の目指す姿」において、人の成長を優先した経営基盤を土台とし、トータルサポートと商品の総合品質でお客様ビジネスを徹底サポートすることを通じて、サステナブルな社会の実現に貢献することを表明しています。
具体的なサステナビリティ課題とそれらに対する取組については、後述の「気候変動への対応(TCFD提言への取組)」「人的資本」にて記載しています。今後、「日野の目指す姿」を実現するためのその他の具体的な取組みを検討してまいります。
③リスク管理
当社は全社レベルのリスク管理体制として、リスクマネジメント委員会を設置し、サステナビリティに関するリスクを含む様々な経営リスクの洗い出し・評価・選別・管理を行っています。同委員会では全社共通の指標にてリスクアセスメントを定期的に実施しています。
④指標と目標
気候変動に関する指標と目標は後述の「気候変動への対応(TCFD提言への取組)」にて記載しています。人的資本を含むその他の「日野の目指す姿」の実現に向けた指標と目標は、具体的な取組みとあわせて検討してまいります。
(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)
当社は、2022年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD; Task Force on Climate-related Financial Disclosures)に賛同しました。
TCFDのガイドラインに基づき、シナリオ分析を行い、事業活動に与えるリスクと機会を抽出し、気候変動におけるリスクと機会への取り組みを以下の通り開示し、今後も継続的に開示内容の充実を図ってまいります。
①ガバナンス
当社は、気候変動を含む環境課題解決を経営の最重要課題の一つに位置付けています。
部門横断的組織として、社長を委員長とする「日野環境委員会」を年4回開催し、中長期の環境方針と短期の実行計画について審議・報告を行い、企業経営へ反映しております。また「日野環境委員会」の内容・結果は、取締役会、経営会議等に報告しています。当社のガバナンスの全般については、「
②戦略
当社は、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)などが公表した外部シナリオを考慮し、気温上昇が「4℃(注1)」、「2℃未満(注2)」の2つのシナリオを検討し、影響分析を実施しました。
(注1)4℃シナリオ :産業革命前と比べて4℃前後上昇するシナリオ
(注2)2℃未満シナリオ:産業革命前に比べて21世紀末に世界平均気温の上昇幅が2℃未満に抑えられるシナリオ
その結果、「4℃シナリオ」では異常気象が常態化し、干ばつや洪水など当社の事業活動に影響を及ぼす物理リスクが増大すると想定しております。
一方、「2℃未満シナリオ」においては先進国を中心とした積極的な対策(例:燃費・排ガス規制、車両電動化規制の強化等)により脱炭素社会が進展し、車両電動化を中心とした環境対応車の拡大を想定しております。「2℃未満シナリオ」では主に移行リスクおよび機会への対応が必要と考えています。
4℃シナリオの世界観
2℃未満シナリオの世界観
上記シナリオにおける当社事業へのリスクおよび機会を特定し、インパクトを分析すると共に対応策を検討した内容は以下のとおりです。
(物理リスク)気候変動による災害など物理的影響に関連するリスク
(移行リスク・機会)脱炭素社会への移行に伴い発生するリスクと機会
シナリオ分析およびリスクと機会を特定した結果は、当社の経営戦略へ反映してまいります。
気候変動に関するリスクや機会は日々大きく変化しております。今後も変化するリスクや機会に柔軟に対応を見直していくとともに、さらなる開示内容の充実に取り組んでまいります。
③リスク管理
当社は全社レベルのリスク管理体制として、リスクマネジメント委員会(年2回開催)を設置し、環境を含むリスクの洗い出し・評価・選別・管理を行っています。同委員会では全社共通の指標にてリスクアセスメントを定期的に実施しています。
その中で気候変動に関連するリスクについては、上記のシナリオ分析に基づき、日野環境委員会に属する各部会で分析や評価、優先順位付けを行い、長期や短期の対応策を決定し、進捗管理を行います。重要リスクについては定期的に日野環境委員会に報告しています。
④指標と目標
当社の環境活動は、長期ビジョン「日野環境チャレンジ2050」にて掲げた6つの重点的なチャレンジ項目を指標とし、全てのチャレンジにおいて環境負荷を最小化することを目標として掲げています。
その実現に向け、「日野環境マイルストーン2030」にてそれぞれのチャレンジ項目における2030年までに達成する中期目標を設定しました。更に5年ごとの「環境取り組みプラン」を策定し、毎年の実行目標へ落とし込み、活動を推進しています。
特にCO₂排出量においては「温室効果ガス(GHG)報告ガイドライン」に基づき、報告値および入手可能なデータを用いてScope1、Scope2に加えてScope3(注3)の排出量を算出しています。今後もライフサイクルCO₂排出量の管理を強化するとともに、CO₂削減活動に取り組んでいきます。
(注3) Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
(3)人的資本
現在当社では、2022年3月4日に公表しましたエンジン認証に関する不正行為を受けて策定しました二度と不正を起こさないための「3つの改革」を全社にて推進中ですが、当社の主力商品である大型トラック、中型トラックの一部は継続して型式認定取消中であり、中長期における事業見通しも予測が難しく、非常に不透明であることから、事業戦略と連動した人材戦略の策定と、当社の事業環境に見合った投下人的資本の評価に時間を要するものと考えております。従いまして、これらを議論中の段階であることから、人的資本に関する具体的な指標と目標については定めることを見送ります。なお、今後、CHROを中心に経営目線で具体的な人的資本の課題を深堀りし、その議論と戦略策定を通じて企業価値向上を目指し、2023年度内を目処に人材戦略、具体的な指標と目標を策定予定です。
1.HINOウェイについて
現在、当社は、2022年4月に策定した『HINOウェイ』(HINO基本理念、HINOサステナビリティ方針、HINO行動規範)の全社浸透を進めております。
「HINO基本理念」は判断・行動の礎、「HINOサステナビリティ方針」は持続可能な社会の実現に向けた会社の宣言、「HINO行動規範」は一人ひとりの具体的な行動の基準です。
私たちは、HINOウェイのもと同じ思いで結ばれ、一人ひとりが強い思いをもって、ありたい姿に向けて取り組んでいきます。
当社は、お客様や社会になくてはならない会社、いつまでも選んでいただける会社に生まれ変わります。そしてお客様や社会への貢献をとおして、私たち自身も働きがいを実感し、成長し、社員からも選ばれる会社でありたいと考えています。
2.人材育成方針
当社は、人材を重要な会社の財産と考えております。『HINOウェイや会社ビジョンに共感を持ち、お客様・社会の為に自ら考え・自主的に行動を起こし、新たな価値創造を生み出せる人材』を育成します。そして、『人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する』という会社の使命の具現化のため、社員ひとりひとりの成長を支援します。
3.社内環境整備方針 (経営戦略と人材戦略を連動させるための取組)
①CHROの配置
当社は、2023年2月に執行体制を見直すと共に、経営視点で人事戦略の策定を行うCHROを設置いたしました。現在、一連の不正事案を受けて、企業文化や職場風土に加え人事制度の改革に着手しておりますが、CHROが当社事業戦略と連動した人事戦略策定を一層牽引し、取締役会と密に連携しながら人材への投資を効果的に進めてまいります。
また、当社CHROは現取締役社長が兼任しており、社外役員を含めた取締役や監査役と密に議論を実施しております。
②人事部門のケイパビリティ向上
2023年2月に、タイムリーな課題推進と専門能力の習得に加え、組織的な能力向上と確実なアウトプットを狙いとし、本社人事機能を採用・育成・処遇・配置を司る組織と労務・ペイロールを推進する組織へ2分割しました。今後は、人事機能と各機能の人事部門との役割明確化と権限委譲を進め、各機能出身者(事業部門経験)と人事機能出身者とのローテーションを積極的に実施し、人事機能の強化と合理化を図っていきます。
③サクセッションプラン
当社では将来の経営層を継続的に輩出するため、若手層の抜擢人事や積極的な中途採用、他社でのマネジメント経験のある人材のChief Officer(機能・専門分野の責任者)登用を行っております。キャリアローテーションを活性化し、多くの経験を積む機会を増やし、経営者として必要な胆力を持ち合わせた人材の輩出に努めております。また、従来は取締役や専務役員の選任が中心議論であった役員人事案検討会議(任意の指名委員会)は、Chief Officerの選任についても関与をいたします。
④指名委員会委員長を社外取締役に任命
2023年7月以降の役員人事案検討会議(任意の指名委員会)の議長は、独立社外取締役が務めることといたします。これにより、社外取締役の発言力を高め、経営の資質を持った取締役および経営人材の輩出に努めてまいります。
⑤経営理念やビジョンの定義と社員への浸透
当社では、2022年4月に当社グループ全員が同じ思いで結ばれ、チーム日野一丸となって取り組んでいくために、これまでの「基本理念体系」を改定・再編して、あらたにHINO基本理念、HINOサステナビリティ方針、HINO行動規範の3点を策定し、「HINOウェイ」と命名しました。これらは、お客様や社会に貢献するという当社の原点に立ち返り、一人ひとりが大切にすべき価値観とあるべき姿をまとめたものです。
社員への浸透のための取組みとして、2022年6月以降、下記を実施しております。
・理念改定プロジェクトメンバーから、込めた思いとともに新たな理念の説明会
・HINO ウェイを自分事化するため、職層別・部署別・職層間の対話会や研修を実施
・新たな理念に触れ考える機会を増やすため、冊子と携帯カードを全役員・従業員に配布、イントラネットを通じた
発信、ポスター、壁掛けでの掲示等を実施
お客様や社会に貢献するという当社の原点に立ち返り、今後も、一人ひとりが大切にすべき価値観の浸透活動を定期的に進めます。
⑥経営陣との対話
当社では、会社の使命に立ち返り、社会的責任を果たす会社に生まれ変わるため、社員一人ひとりが大切にすべき価値観とあるべき姿として策定したHINOウェイのもと、『3つの改革』を(2022年10月7日公表)進めております。
取り組みのひとつである「人財尊重を中心に据えた組織風土改革」においては、経営層が積極的にその活動を牽引し、定期的に社員との直接対話を行いながら、企業理念の浸透や経営状況の理解活動に努めております。社員の意見や困り事に耳を傾け、双方向コミュニケーションを実施することで情報のオープン化と企業理念の浸透、風土改革を進めてまいります。
⑦人材育成制度と福利厚生制度
『HINOウェイや会社ビジョンに共感を持ち、お客様・社会の為に自ら考え・自主的に行動を起こし、新たな価値創造を生み出せる人材』を育成するために必要な力を身につけられる環境を整えています。階層別研修や昇格者研修に加え、若年層を対象とした海外トレーニー制度や自己のキャリアを自ら考えるキャリアデザイン面談制度など、一人ひとりの成長を支援する制度の充実化を図っております。また、在宅勤務制度、副業許可制度、育児休職・育児短時間勤務制度、介護休職制度の導入など、社員が安心して働ける環境・福利厚生制度の整備に努めております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
尚、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)感染症等の流行
国内・海外において大規模な感染症等の流行があった場合には、当社グループの生産・販売活動に制約を受けるリスクがあり、それが長期化した場合には当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。また、感染症の流行を主因として波及的に後述の(2)~(6)のリスクが顕在化する場合があります。
(2)需要及び価格の変動
国内においてのトラック・バス等の販売は、国及び地方自治体による環境規制強化の実施の有無による需要の変動に大きく影響を受けます。また、国内貨物輸送の低迷や物流改革の進行により今後のトラック需要は減少する可能性があります。さらに、他社との価格競争により当社製品の価格変動を引き起こす可能性があります。
海外においてのトラック・バス等の販売は、国・地域及びその市場における経済状況の影響を受け、かつ、他社との価格競争により当社製品の価格変動を引き起こす可能性があります。
これらの需要及び価格変動に対応するため、当社グループは商品力の強化と適正な生産体制の構築、原価改善等を推進し、需要・価格変動に強い企業体質を目指しております。
(3)材料価格の変動
当社グループは国内及び海外の複数のメーカーから鋼材等の資材、部品等を調達し、トラック・バス、エンジン等を生産しております。これらの材料価格は、業界の需要や原材料の価格に伴い変動しております。材料価格が高騰し、かつ、長期化する場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはこれらの材料価格の変動に対応するため、原価改善等を推進しております。
(4)為替の変動
当社は円表示で連結財務諸表を作成しており、海外における現地通貨建の売上高、費用、資産等の項目は、連結財務諸表作成時に円換算されるため、換算時の為替レートによって、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
また、国内外での原材料等の仕入れや製品の販売において、外国為替相場の変動は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。この為替変動リスクを抑えるために一部でデリバティブ取引を行っておりますが、それによって本来得られた利益を逸失する可能性があります。
当社グループは、これらリスクに対応するため、適切なグローバル調達・生産・販売体制を検討・構築しております。
(5)金利の変動
資金調達に係るコストは、市場金利が急激に上昇した場合、支払利息の負担が増大するなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは親会社であるトヨタ自動車株式会社とのインハウスバンキングを通じた資金調達のグローバル化等によって当該リスクの最小化を図っております。
(6)貸倒れリスク
当社グループは当社で生産したトラック・バスを全国の販売会社を通し様々な取引先に販売をしております。これらの取引先において信用不安などにより予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、追加的な損失や引当の計上が必要となる場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは取引先の信用リスク情報などを適時入手し、当該リスクの最小化を図っております。
(7)親会社との取引
当社グループは、親会社であるトヨタ自動車株式会社より乗用車及び一部の小型トラックの生産を委託されており、また小型トラックのOEM供給を行っております。当連結会計年度の売上高の7.8%を同社に依存しております。
尚、当社とトヨタ自動車株式会社との取引は、「関連当事者情報」に記載しております。
(8)国内外での事業活動
当社グループは、日本をはじめアジアを中心とした世界各地で事業活動を展開しております。それらの事業活動には、通常、予期しない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の採用・確保の困難等、経済的に不利な要因の存在又は発生、テロ・戦争・自然災害・その他の要因による社会的又は政治的混乱等のリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化することによって、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
尚、当社グループの世界各地域における事業活動は、「セグメント情報」に記載しております。
(9)法規制等
当社グループは、国内外でのトラック・バス等の販売において、安全性や排出ガス、燃費、騒音、公害などに関する法規制等やその他各国の様々な法規制等の適用を受けているため、これらの規制に適合するために費用を負担しております。これら法規制等の制定又は改正が行われた場合、費用負担が増える可能性があります。
(10)製品の欠陥
当社グループは、基礎研究段階を含め、商品企画・開発からアフターサービスまでの各ステップにおいて、安全性への細心の配慮を行うとともに、品質の確保に努めております。
しかし、すべての製品について欠陥が無く、将来にわたりリコールや製造物責任賠償が発生しないという保証はありません。そのため、これらのリスクが顕在化する場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)エンジン認証不正問題
当社の日本市場向けエンジンの複数機種について、認証手続上の不正行為があったことが判明し、国土交通省より、一部製品の型式指定の取消等の行政処分を受け、現在も国土交通省やお客様をはじめとして関係各所とのコミュニケーションを継続して行っています。また、当社の米国市場向け2010年モデルから2019年モデルのエンジン認証に関する法令違反の疑いについて、米国司法省及び他の当局による調査が行われております。これに関し、当社及び当社子会社に対し、2004年から2021年に米国で販売された車両に関する損害の賠償を求める訴訟が暫定的な集団訴訟として、米国フロリダ州南部地区連邦地方裁判所で提起されております。当該調査及び訴訟は、引き続き継続中です(なお、当社は2020年エンジンモデル以降米国向けに自社製エンジン搭載車は販売しておりません。)。また、オーストラリアにおいても当社及び当社子会社に対する訴訟が集団訴訟として提起されています。今後も米国、オーストラリア、その他の法域においてこれらと同様の訴訟を提起される可能性があります。さらに、米国以外の欧州法規等の対象エンジンについても認証手続の総点検を継続中です。これらに関連して当社に生じる金銭的負担について、現時点で合理的に見積もることは困難ですが、上記の当局調査の結果科される罰金などの行政、刑事手続上の制裁に加え、損害賠償や市場措置などにより当社の経営、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に対し、重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)三菱ふそうトラック・バス株式会社との経営統合の成否及び条件等に関するリスク
当社は、2023年5月30日に、当社、三菱ふそうトラック・バス株式会社(以下「三菱ふそう」という。)、当社の親会社であるトヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ」という。)及び三菱ふそうの親会社であるダイムラートラック社(以下「ダイムラートラック」という。)の4社で、当社と三菱ふそうとの経営統合(以下「本経営統合」という。)に関する法的拘束力のない基本合意書(以下「本基本合意書」という。)を締結し、今後、当社、三菱ふそう、トヨタ及びダイムラートラックの4社において、本経営統合を実現するための取引の諸条件に関する法的拘束力のある契約(以下「最終契約」という。)を締結する予定です。本経営統合の詳細については、「第2 事業の状況 5.経営上の重要な契約等 (8)三菱ふそうトラック・バス株式会社との経営統合に係る基本合意書の締結」をご参照ください。上記(11)のエンジン認証不正に関連して当社に生じる金銭負担の金額規模及びそれが判明するタイミング次第では、①本経営統合に関する最終契約の締結に至らないおそれ、②最終契約の締結に至った場合であっても、統合比率の決定内容又は調整の結果、当社株主の株式保有割合に著しい希薄化が生じるおそれ、③最終契約の実行に関する前提条件を充足せず、その結果、本経営統合の実施に至らないおそれ、及び④本経営統合の最終契約の規定に基づき、ダイムラートラック及び一定の条件に同意する三菱ふそうのその他の株主に対して特別補償の責任を負うおそれがあり、本経営統合の成否及び条件等、さらには当社の経営、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、最終的に競争法その他法令上必要なクリアランス・許認可等が取得できないことにより、本経営統合の実施に至らない可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
尚、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況及び分析
当連結会計年度における世界経済は、各国の新型コロナウイルス感染の収束傾向、行動規制の緩和等に伴い、国・地域により差はあるものの総じて回復基調で推移した一方、部品供給問題や物流の逼迫により、製造業で生産活動が停滞するなどの影響がありました。
当連結会計年度の国内のトラック市場につきましては、世界的な半導体不足ならびに新型コロナウイルス影響等に起因する部品供給不足による生産影響および当社の認証不正問題の影響により、大中型トラックおよび小型トラックの総需要は減少となりました。また、国内のバス市場につきましても、主として新型コロナウイルス影響の長期化に伴う観光需要の落ち込みにより総需要は減少となりました。以上により、国内トラック・バスの総需要合計では131.0千台と前期に比べ24.8千台(15.9%)の減少となりました。国内連結売上台数につきましては、認証不正問題に起因する出荷停止影響により大中型トラックの販売が減少する中、小型トラックにおいて堅実な販売を続けたものの、トラック・バス合計で38.0千台と、前期に比べ19.8千台(34.2%)の減少に留まりました。
海外のトラック・バス市場につきましては、アセアンを中心として回復基調にあり、海外連結売上台数はトラック・バスの合計で113.9千台と前期に比べ13.5千台(13.4%)増加いたしました。
以上により、日野ブランド事業のトラック・バスの総売上台数は151.9千台と前期に比べ6.3千台(4.0%)減少いたしました。
また、トヨタ向け車両台数につきましては、SUVおよび小型トラックともに台数が減少し、総売上台数は127.9千台と前期に比べ13.8千台(9.8%)減少いたしました。
このような経営環境の中、当社は、外部変化の影響を受けにくい企業体質を構築するため、既存事業の競争力強化ならびにカーボンニュートラル実現をはじめとする社会課題の解決に向けた取り組みを継続しています。昨年6月に小型BEVトラック「日野デュトロZ(ズィー)EV」を発売、物流現場における使い勝手をユーザー目線で追求した車両はお客様から高い評価をいただいています。
電動車導入・運用における課題解決に向け、子会社のCUBE-LINXによる電動車の運行管理およびエネルギー利用の最適化のためのソリューション提供もスタートしました。本年4月には、車線維持をアシストするレーンキーピングアシストを当社のトラックで初めて搭載した「A09Cエンジン」搭載の大型トラック「日野プロフィア」を発売するなど、お客様のニーズにお応えする商品・サービスを提供してまいりました。
お客様車両の稼働を支えるトータルサポートに関しては、国内外の販売会社の拠点新設・拡充・更新等を継続的に進め、スピーディーで質の高いサービスを提供し、お客様のビジネスに貢献し続けていくための体制を整備しています。
世界的に動きが加速しているカーボンニュートラルの実現に向けては、2030年までの中間マイルストーン「日野環境マイルストーン2030」のもと、素材から製品の廃棄までのライフサイクル全体の視点で実用的かつ持続可能な方策を追求しております。
本年3月、米国では2024年市場導入予定の中型BEVトラックと小型BEVトラックを発表し、タイでは開発中の燃料電池大型トラックを現地の方々に試乗いただきました。また、同4月に公表されたトヨタ自動車株式会社、CJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)とタイ現地の各企業による「カーボンニュートラル実現に向けた協業プロジェクト」に、当社も参画させていただくことになりました。日本においても、お客様と共同で燃料電池大型トラックの実証を行い、実用化に向けて着実に歩みを進めております。
引き続き、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、取り組んでまいります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
ⅰ)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,033億85百万円増加し、1兆3,617億35百万円となりました。これは、現預金が158億96百万円、及び棚卸資産が523億67百万円増加したこと等によります。
(負債合計)
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ1,859億84百万円増加し、9,283億26百万円となりました。これは、有利子負債が1,292億4百万円、及び認証関連損失引当金が701億8百万円増加したこと等によります。
(純資産合計)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ825億98百万円減少し、4,334億9百万円となりました。これは、退職給付に係る調整累計額が150億17百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失を1,176億64百万円計上したこと等によります。
セグメントごとの財政状態は次のとおりであります。
(日本)
当連結会計年度末の貸付金が380億93百万円増加したことに加え、当連結会計年度末の貸倒引当金が306億22百万円増加したこと等により、セグメント資産は9,917億4百万円と前連結会計年度末に比べ、497億46百万円増加しました。
(アジア)
当連結会計年度末の棚卸資産が258億34百万円増加したこと等により、当セグメント資産は3,326億9百万円と前連結会計年度末に比べ、398億42百万円増加しました。
(その他)
当連結会計年度末の現預金が187億81百万円増加したことに加え、当連結会計年度末の棚卸資産が127億67百万円増加したこと等により、セグメント資産は1,835億50百万円と前連結会計年度末に比べ、281億85百万円増加しました。
ⅱ)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の連結売上高は1兆5,073億36百万円となりました。
国内トラック市場につきましては、部品供給不足および当社の認証不正問題に起因する出荷停止の影響に伴う売上台数の減少により、売上高は2,243億28百万円となりました。
海外トラック・バスにつきましては、アセアンを中心に回復基調にあり、売上台数が増加し、売上高は6,020億76百万円となりました。
トヨタ向け車両につきましては、SUVおよび小型トラックともに台数が減少し、売上高は955億5百万円となりました。
その他の部門の売上高につきましては、米国、タイにおけるトヨタブランド車向けユニット事業の売上高が増加したこと等により、5,854億24百万円となりました。
(営業利益)
為替環境の好転はあったものの、国内売上台数の減少に伴う車種構成差の悪化、材料市況の高騰等により、連結営業利益は174億6百万円と前期に比べ164億4百万円の減益(△48.5%)となりました。尚、売上原価の売上高に対する比率は84.1%(前期は82.8%)、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は14.7%(前期は14.9%)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度は、経常利益は157億87百万円と前期に比べ221億99百万円の減益(△58.4%)となりました。
(税金等調整前当期純損失)
当連結会計年度は、経常利益が221億99百万円の減益になったことに加え、国内認証関連損失として特別損失907億90百万円を特別損失に計上したこと等により、税金等調整前当期純損失は895億24百万円と前期と比べ580億40百万円の減益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、186億19百万円と前期に比べ282億33百万円の減少となりました。
また、非支配株主に帰属する当期純利益は、95億20百万円と前期に比べ31億25百万円増加しました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純損失は1,176億64百万円と前期に比べ329億32百万円の減益となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(日本)
日野ブランド事業の国内向けトラック・バスの売上高は、エンジン認証に関する当社の不正行為に起因する出荷停止の影響の継続で売上台数が減少したことにより、減収となりました。海外向けについては、インドネシア・北米向けを中心として売上台数が増加したこと等により、増収となりました。また、トヨタ向けについてはプラドや小型トラック等の台数減により減収となりました。
以上により、売上高は1兆229億4百万円と前年同期に比べ1,050億82百万円(△9.3%)の減収となりました。損益面におきましては、セグメント利益(営業利益)は25億29百万円と前年同期に比べ172億48百万円の減益(△87.2%)となりました。
(アジア)
主にインドネシア・マレーシア等の売上台数が増加したこと等により、売上高は5,369億87百万円と前年同期に比べ1,375億39百万円(34.4%)の増収となりました。セグメント利益(営業利益)は、421億13百万円と前年同期に比べ192億13百万円の増益(83.9%)となりました。
(その他)
北米・中南米を中心として売上台数が増加したこと等により、売上高は2,601億91百万円と前年同期に比べ839億49百万円(47.6%)の増収となりました。セグメント損失(営業損失)は、175億92百万円と前年同期に比べ108億23百万円の減益(前年同期は67億69百万円のセグメント損失)となりました。
ⅲ)生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
区分 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
トラック・バス(台) |
109,388 |
△9.6 |
|
トヨタ向け車両(台) |
127,529 |
△9.8 |
|
|
アジア |
トラック・バス(台) |
42,121 |
+33.2 |
|
トヨタ向け車両(台) |
325 |
+9.8 |
|
|
報告セグメント計 |
トラック・バス(台) |
151,509 |
△0.8 |
|
トヨタ向け車両(台) |
127,854 |
△9.8 |
|
|
その他 |
トラック・バス(台) |
5,878 |
+86.7 |
|
トヨタ向け車両(台) |
- |
- |
|
|
合計 |
トラック・バス(台) |
157,387 |
+1.0 |
|
トヨタ向け車両(台) |
127,854 |
△9.8 |
(b)受注実績
当社グループは国内及び海外の販売実績及び販売見込等の資料を基礎として見込生産を行っております。尚、トヨタ向け車両についてはトヨタ自動車株式会社からの受注に基づき生産しております。
(c)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(百万円) |
1,022,904 |
△9.3 |
|
アジア(百万円) |
536,987 |
+34.4 |
|
報告セグメント計(百万円) |
1,559,891 |
+2.1 |
|
その他(百万円) |
260,191 |
+47.6 |
|
調整額(百万円) |
△312,747 |
+28.2 |
|
合計(百万円) |
1,507,336 |
+3.3 |
(注)2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額 (百万円) |
割合 (%) |
金額 (百万円) |
割合 (%) |
|
|
トヨタ自動車㈱ |
121,126 |
8.3 |
116,858 |
7.8 |
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
①キャッシュ・フローの状況及び分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、棚卸資産の増加等による資金の減少があった一方、短期借入金の純増加額等による資金の増加により、前期末に比べ130億20百万円増加(前期は80億11百万円増加)し、756億83百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は407億99百万円(前期は1,067億11百万円の増加)となりました。これは認証関連損失引当金が701億8百万円増加(前期は299億70百万円)した一方で、税金等調整前当期純損失を895億24百万円計上(前期は314億84百万円)したこと、棚卸資産が458億36百万円増加(前期は168億61百万円)したこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は602億57百万円(前期は621億81百万円の減少)となりました。これは生産設備を中心とした有形固定資産の取得による支出が583億34百万円(前期は494億32百万円)あったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は1,142億8百万円(前期は391億47百万円の減少)となりました。これは、短期借入金の純増加額が959億32百万円(前期は227億78百万円の減少)、長期借入による収入が
271億50百万円(前期は45億96百万円)あったこと等によります。
②資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と製品製造のための材料及び部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。
③契約債務
2023年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
|
|
年度別要支払額(百万円) |
||||
|
契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
|
短期借入金 |
247,798 |
247,798 |
- |
- |
- |
|
1年内返済予定の長期借入金 |
5,376 |
5,376 |
- |
- |
- |
|
長期借入金 |
31,397 |
- |
27,087 |
4,300 |
8 |
|
1年内償還社債 |
1,470 |
1,470 |
- |
- |
- |
|
社債 |
4,410 |
- |
4,410 |
- |
- |
④財務政策
当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを財務方針としております。設備投資、投融資などの長期資金需要に対しては、内部留保、長期借入債務及び社債の発行により、また、運転資金需要には短期借入債務により対応しております。借入債務については、主にトヨタ自動車株式会社、金融機関からの借入れによって調達しております。
また、当連結会計年度末において、株式会社三菱UFJ銀行との間で合計200,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高11,800百万円、借入未実行残高188,200百万円)。
加えて、資金マネジメントについては、当社と子会社の資金管理の一元化を図るなかで、緊密な連携をとることにより、グローバルな資金効率の向上を図っております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、各種の見積りと仮定を行っております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりです。
① 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮し、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、親会社株主に係る当期純損益額が変動する可能性があります。
② 退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しております。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
③ 製品保証引当金
当社は、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款及び法令等に従い、過去の実績等を基礎にして計上しております。
引当金の見積り時において想定していなかった製品の不具合による保証義務の発生や、引当の額を超えて保証費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
④ 認証関連損失引当金
当社は、認証関連課題に関連した損失に備えるため、合理的に見積もることが可能な金額を計上しております。認証問題を起因とする税制優遇追加納付費用40,278百万円及び顧客への燃費補償費用59,800百万円が含まれています。
引当金の見積り時において想定していなかった認証関連の損失の発生した場合、税制優遇追加納付費用及び顧客への燃費補償費用の見積り前提が変化した場合には、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(1)トヨタ自動車株式会社との業務提携
1966年10月より、当社はトヨタ自動車株式会社と業務提携を行っており、現在当社は同社より乗用車「ランドクルーザープラド」の生産を受託し、小型トラック「ダイナ」を同社に対してOEM供給しております。また商品相互補完取引、台湾における合弁会社(国瑞汽車株式会社)への共同出資、トヨタ販売網を通じた当社製品の販売など各般にわたって提携関係の発展・強化を図っております。
(2)いすゞ自動車株式会社との株主間協定書
当社といすゞ自動車株式会社は、両社が保有するバス製造子会社である日野車体工業株式会社及びいすゞバス製造株式会社の株式を、バス事業統合準備会社として両社が折半出資により設立したジェイ・バス株式会社へ譲渡すること並びに統合の基本的事項について合意し、2003年9月12日、株主間協定を締結いたしました。
さらにその統合効果を最大限に引き出すことを目的として、ジェイ・バス株式会社はその傘下の両バス製造子会社と、2004年7月30日に合併契約を締結、2004年10月1日に合併いたしました。
(3)中国の上海日野エンジン有限会社の合弁契約書
当社は、今後、トラック・バスの大市場と見込まれる中国で、エンジンの現地生産及び販売を行うことを目的とし、中国のエンジン製造会社である上海柴油機股份有限公司との折半出資で合弁会社を設立する合弁契約を2003年8月6日に調印いたしました。これにより、2003年10月8日に合弁会社を設立いたしました。2007年9月、上海柴油機股份有限公司の出資持分の全部を上海電気(集団)総公司に譲渡したため、当社は上海電気(集団)総公司と修正合弁契約を締結いたしました。2010年4月、上海電気(集団)総公司が、出資持分の一部を広州汽車集団股份有限公司に譲渡したため、当社は上海電気(集団)総公司及び広州汽車集団股份有限公司と修正合弁契約を締結いたしました。2019年6月、上海電気(集団)総公司が、出資持分の全部を当社に譲渡したため、当社は広州汽車集団股份有限公司と修正合弁契約を締結いたしました。
(4)中国の広汽日野自動車有限会社の合弁契約書
当社は、中国において、商用車、シャシ及びエンジン等部品の開発・設計・生産・販売・アフターサービスを行うことを目的とし、中国での自動車製造・販売等を主要事業とする広州汽車集団股份有限公司と折半出資で合弁会社を設立する合弁契約を2007年8月10日に調印し、2007年11月28日に広汽日野自動車有限会社を設立いたしました。
(5)Volkswagen Truck & Bus GmbH(現:TRATON SE)との戦略的協力関係構築の枠組みに関する合意書の解消
当社は、Volkswagen Truck & Bus GmbHとの長期視点、対等かつ互恵的な戦略的協力関係の構築に向けた合意書に2018年4月11日調印いたしましたが、両社それぞれが現在抱える経営課題への対応を優先させるべく、2023年4月26日に両社で合意書の解消について合意いたしました。
(6)いすゞ自動車株式会社との北米向け車両OEM受給に関する合意
当社は、北米市場へのクラス4-5モデルの早期供給再開のため、いすゞ自動車株式会社からの北米市場向けディーゼルトラック「Nシリーズ」のOEM受給を決定し、これに伴い、当社の連結子会社である日野モータース セールス U.S.A.株式会社が、いすゞ自動車株式会社の連結子会社であるいすゞノースアメリカコーポレーションと車両供給に関する契約を2021年7月29日に締結しました。
(7)コミットメントライン契約の締結
当社は、2022年11月1日、事業環境の変化に対応するため、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保すると共に、財務基盤のより一層の安定を図ることを目的として、以下の内容のコミットメントライン契約を締結いたしました。
・コミットメントライン契約の概要
|
⑴契約形態 |
バイラテラル方式コミットメント契約 |
|
⑵組成金額 |
2,000億円 |
|
⑶契約期間 |
2022年11月1日~2025年3月31日 |
|
⑷担保の有無 |
無担保・無保証 |
|
⑸契約締結先 |
株式会社三菱UFJ銀行 |
(8)三菱ふそうトラック・バス株式会社との経営統合に係る基本合意書の締結
当社は、グローバルでのCASE 技術開発・商用車事業の強化を通じたカーボンニュートラルの実現、豊かなモビリティ社会の創造に向けて協業するため、三菱ふそうトラック・バス株式会社(以下「三菱ふそう」という。)との経営統合(以下「本経営統合」という。)について合意し、当社、三菱ふそうトラック・バス株式会社、当社の親会社であるトヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ」という。)及び三菱ふそうトラック・バス株式会社の親会社であるダイムラートラック社(以下「ダイムラートラック」という。)の4社で、基本合意書(以下「本基本合意書」という。)を2023年5月30日に締結しました。なお、本基本合意書は本経営統合に関する法的拘束力のない合意であり、今後、当社、三菱ふそう、トヨタ及びダイムラートラックの4社において、本経営統合を実現するための取引の諸条件に関する法的拘束力のある契約(以下「最終契約」という。)を締結する予定です。
① 本経営統合の目的
本経営統合により、当社、三菱ふそう、トヨタ及びダイムラートラックは、グローバルでのCASE技術開発・商用車事業の強化を通じたカーボンニュートラルの実現、豊かなモビリティ社会の創造に向けて、以下の協業を行ってまいります。
■ 当社と三菱ふそうは対等な立場で統合し、商用車の開発、調達、生産分野で協業。グローバルな競争力のある日本の商用車メーカーを構築
■ ダイムラートラックとトヨタは、両社統合の持株会社(上場)の株式を同割合で保有。水素をはじめCASE技術開発で協業、統合会社の競争力強化を支える
② 本経営統合の方法、本経営統合に係る割当ての内容その他の本経営統合の内容
(ア)本経営統合の方法
本経営統合は、当社及び三菱ふそう(又はそれぞれの事業を営む会社)が統合会社(以下「本統合会社」という。)の完全子会社となる方法により実施する予定です。
また、トヨタ及びダイムラートラックの本統合会社の持分比率に関して、それぞれトヨタ及びダイムラートラックで別途合意する比率を保有し、その持分比率は同割合とする予定です。そのため、本経営統合の実施後、トヨタは当社の親会社でなくなる見込みです。なお、本統合会社の株式については東京証券取引所プライム市場及び名古屋証券取引所プレミア市場に上場されることを想定しております。
本統合会社の事業範囲及び持分比率を含む経営統合の具体的な形態及びその方法については、競争法当局との協議も踏まえ、当社、三菱ふそう、トヨタ及びダイムラートラックの4社において今後も引き続き協議の上で、下記「(イ)本経営統合に係る割当ての内容」に記載の原則に基づき、最終的に決定する予定です。
また、本経営統合の日程に関しては、2024年3月の最終契約締結、及び2024年12月末までの本経営統合の実施を目指して、当社、三菱ふそう、トヨタ及びダイムラートラックの4社において引き続き協議の上で決定する予定です。なお、かかる日程は、最終契約の交渉、競争法その他法令上必要なクリアランス・許認可等の取得手続の進捗、当社のエンジンの排出ガス及び燃費を含む認証に関する問題(以下「エンジン認証問題」という。)についての当局調査及び訴訟等の状況その他の理由により今後変更される可能性があります。
(イ)本経営統合に係る割当ての内容
本経営統合の統合比率は、現時点では確定しておらず、当社、三菱ふそう、トヨタ及びダイムラートラックの4社において今後協議の上で合意する予定です。
当社は、エンジン認証問題について従前から開示をしておりますが(2022年6月23日付第110期有価証券報告書等をご参照ください。)、エンジン認証問題にかかるリスクについては、三菱ふそうの株主は負担すべきではないとの基本的な考え方から、本経営統合の統合比率算定のベースとなる当社の株式価値については、大要以下の方法により、算定することを予定しております。
より具体的には、当社及び三菱ふそうの株式価値は、今後実施される予定のデュー・ディリジェンスの結果や、当社及び三菱ふそうがそれぞれ起用する第三者算定機関による価値算定の結果等の諸要素を踏まえて当事者間で協議・合意された当社及び三菱ふそうの企業価値(当社については、エンジン認証問題に関する潜在債務の影響を織り込まずに合意された企業価値)を基準として、本経営統合の実施日前の一定時点(具体的には、本経営統合の承認に係る当社の株主総会開催日から遡った直前四半期末日を想定しており、以下「本基準日」という。)において、純有利子負債及び運転資本等による調整を行い、最終的に確定する予定です。なお、今後の各種手続の進捗にもよるものの、当社のエンジン認証問題にかかる潜在債務の相当部分については、本基準日時点において合理的な見積に基づく引当てを行うことができる可能性があり、本基準日までに引き当てられた金額(以下「本引当金」という。)は、本基準日における純有利子負債の調整等による当社の株式価値算定に際して、当社の企業価値から控除されることになります。
(ウ)その他の本経営統合の内容
(a)エンジン認証問題に関する特別補償
本基準日以降に、本引当金に含まれないエンジン認証問題に起因する潜在債務が顕在化し、これにより本統合会社、当社又は三菱ふそうの株主が損害を被った場合、本統合会社及び当社は、当該株主が一定の条件に関し同意することを条件として、三菱ふそうの株主に対して、その損害につき一定の金銭補償義務を負う旨を最終契約に規定することを予定しています。
(b)本経営統合の成否及び条件等に関するリスク
「第2 事業の状況 3.事業等のリスク (12)三菱ふそうトラック・バス株式会社との経営統合の成否及び条件等に関するリスク」をご参照ください。
③ 三菱ふそうの概要
|
(ア) |
名称 |
三菱ふそうトラック・バス株式会社 |
|
(イ) |
所在地 |
神奈川県川崎市中原区大倉町10番地 |
|
(ウ) |
代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 CEO カール・デッペン |
|
(エ) |
事業内容 |
トラック・バス、産業エンジンなどの開発、設計、製造、売買、輸出入、その他取引業 |
|
(オ) |
資本金 |
35,000百万円(2022年12月31日現在) |
日野グループは、HINO基本理念において「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」を会社の使命とし、人流・物流の課題の解決を通じて、持続可能な社会の実現に貢献しています。
技術・技能の継承と創造・革新・改善を続け、安全かつ高品質で、お客様のビジネスのお役に立つ商品・サービスを提供しています。
また、物流と人流を支える事業活動を通じて、お客様・社会の課題解決に積極的に取り組んでいます。
2022年3月に確認、公表したエンジン認証申請における不正行為においては、お客様、仕入先様はじめ、全てのステークホルダーにご迷惑をお掛けしました。信頼回復に向けた、抜本的な再発防止および、コンプライアンス・ファーストの企業体質再構築に取り組んでおります。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(日本)
[最近の新製品]
(1) 物流現場における使い勝手とカーボンフリーを高次元で両立する超低床・前輪駆動小型BEVトラック「日野デュ
トロZ(ズィー)EV」を2022年6月28日に発売しました。
お客様の声を反映し現場での使い勝手を追求した日野デュトロZEVは、新開発のBEV専用シャシにより実現し
た超低床構造で、荷役作業性や乗降性に優れ、ドライバーの負担軽減に貢献します。普通免許で運転可能なコン
パクトな車体ながら必要な荷室・荷台空間を確保し、主に市街地での宅配に最適なつくりとなっています。荷室
に直接移動可能なウォークスルーバン型と、用途に応じた荷台を架装できるキャブシャシ型を設定しており、お
客様のビジネス形態に合わせた架装をお選びいただけます。
フルメンテナンスリースでの提供により、電動車導入時や月々のお支払いが明瞭であるほか、メンテナンスの
行き届いた電動車の安定稼働によってお客様のビジネスに貢献します。
電動商用車および充電器などの周辺機器の導入や、安心かつ効率的な稼働のために重要なエネルギーマネジメ
ントは、日野のグループ会社であるCUBE-LINXが今秋に提供開始予定のソリューションをご利用いただけます。
日野は電動商用車の普及促進に向けて、お客様の役に立つ持続可能な方策を追求すべく、商用事業でのCASE技
術の普及に向けたプロジェクトを進めているCJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)との連携も
含め取り組んでまいります。
■車両の特長
・「物流のラストワンマイル」の現場での使い勝手を追求
-超低床構造 : 荷役作業性・乗降性を大幅に向上、ドライバーの負担軽減。必要な荷室容量を確保
-普通免許で運転可能&BEVならではのイージードライブで、ドライバー人材確保に貢献
-市街地走行に必要な先進安全技術を装備
-ゼロエミッションと高い静粛性で、周辺環境にも配慮
・新開発のBEV専用シャシ
今回開発したBEVトラックは、ラストワンマイルに最適化した新開発BEVシャシを採用。従来のエンジンとトラン
スミッションの代わりにコンパクトなモーターをキャブ下に搭載し、前輪を駆動します。バッテリーを荷台床下
のフレームの内側に搭載し、それ以外の電動ユニットはほとんどキャブ下に収め、従来の後輪駆動車では実現困
難だった超低床を実現させました。
(2) いすゞ自動車株式会社(以下、いすゞ)、株式会社デンソー(以下、デンソー)、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)、日野自動車株式会社(以下、日野)、Commercial Japan Partnership Technologies株式会社(以下、CJPT)の5社は、カーボンニュートラルの実現に向けた選択肢の一つとして、さらなる内燃機関の活用を目指し、大型商用車向け水素エンジンの企画・基礎研究を開始しました。
カーボンニュートラルへの道のりにおいて、各国のエネルギー事情の違いやお客様の使い道の多様化により、
お客様がお求めになる車両のパワートレーンは、HEVやBEV、FCEVなど様々であり、水素エンジンもその選択肢の
一つです。水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」仲間が広がるなど、水素社会実現に向けた取り組みがさらに
加速しています。
また、人々の生活を支える重要なインフラである「大型商用車による運送・物流」領域におけるCO2削減も、カ
ーボンニュートラル社会実現に向けて、志を同じくする仲間とともに取り組むべき社会課題の一つです。今回、
いすゞ、デンソー、トヨタ、日野、CJPTの5社は、水素エンジンがこの課題へのソリューションの一つであると
考え、これまで各社が積み重ねてきた技術やノウハウを活用し、大型商用車における水素エンジンの可能性を検
討しています。
今後も5社は、カーボンニュートラルの実現に向けた選択肢を広げることで、より良い社会づくりに貢献して
いきます。
(3) いすゞ自動車株式会社(以下、いすゞ)、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)、日野自動車株式会社(以下、日野)、Commercial Japan Partnership Technologies株式会社(以下、CJPT)の4社は、カーボンニュートラルの実現に向け、お客様の使い方に応じ選択肢を広げるとともに水素の需要拡大による水素社会実現への貢献が期待できる量販燃料電池(FC)小型トラックの企画・開発を共同で行い、市場導入を進め普及に向けた取り組みを加速しています。
カーボンニュートラルへの道のりにおいて、お客様がお求めになる車両のパワートレーンは、各国・地域のエ
ネルギー事情やお客様の使われ方により、HEVやBEV、FCEVなど様々な選択肢があります。
小型トラックにおいては、市民の生活を支えるスーパーマーケットやコンビニエンスストアでの物流などで使
われることが多く、冷蔵・冷凍機能を備えた上、1日複数回の配送業務を行うため、長時間使用・長距離走行が
求められる一方、短い時間での燃料供給などの条件も満たす必要があります。
このような使用環境においては、走行時のCO2排出がゼロで、エネルギー密度の高い水素を燃料とするFC技術
の活用が有効であると考えています。
今回共同で取り組む量販FC小型トラックは、CJPTが企画を行い、いすゞ・日野が長年積み重ねてきたトラック
の技術とトヨタが持つFC技術を組み合わせた4社の知見・技術を結集して、小型トラックに求められる性能や条
件を満たす商品を追求して開発を進めています。2023年1月以降に市場導入し、福島県と東京都における社会実
装プロジェクトにおいて、パートナーの皆様に実際の物流現場で使用いただきます。
こうして、お客様のご要望に高いレベルでお応えしながら、FC小型トラックと水素の普及に向けて、サステナ
ブル(継続的)でプラクティカル(実用的)な取り組みを推進しています。
(4) 大型路線バス「日野ブルーリボン」・中型路線バス「日野レインボー」を一部改良し、2023年1月31日に発売しました。
今回の改良では、自動検知式ドライバー異常時対応システム※、オートヘッドランプ、バックカメラ・モニタ
ーを搭載し、安全運転をサポートします。また、換気扇の吸気性能を高めるとともに排気用のエアアウトレット
グリルを追加することで、換気能力向上に貢献します。これらはすべて標準装備となります。
※ドライバー異常時対応システム(EDSS:Emergency Driving Stop System)
ドライバーモニターⅡや車線逸脱警報によりドライバーの運転姿勢や車両の挙動をモニターし、体調急変などに
よるドライバーの異常な状態を自動検知して徐々に減速し車両を停止させます。
(5) 小型バス「日野リエッセⅡ」を一部改良し、2023年3月15日発売しました。
今回の改良では、ドライバー異常時対応システム※、オートマチックハイビームを全車に標準装備し、安全運
転をサポートします。エンジンはトヨタ自動車株式会社開発の1GD-FTVディーゼルエンジンを搭載し、新しく導
入される燃費試験方法であるJH25モードでの燃費表示に対応しています。
※ドライバー異常時対応システム(EDSS:Emergency Driving Stop System)
車両走行中、乗務員に異常が発生した際、乗務員がドライバー席スイッチを押すか、または乗客が車内に設置さ
れた客席スイッチを押すことで、車両が制動を開始し、徐々に速度を落とし停止させます。
(6) 日野自動車と、日野のグループ会社であるMOBILOTS株式会社(本社:東京都新宿区、以下 MOBILOTS)は、日野のコネクティッド技術を活用した予防整備とMOBILOTSのメンテナンス契約を組み合わせた、「HINO CONNECT‐Maintenance Support」を2023年4月1日より提供開始しました。本商品は、2020年10月よりトライアルを開始したICT予防整備モニタリングサービスをMOBILOTSのメンテナンスサービスとして正式に商品化したものです。
本商品では、車両の稼働最大化に貢献するために、走行距離や経過年月等を目安に実施する従来の整備に加
え、各車両のコネクティッドデータから対象部品の将来の不調に繋がる予兆を検知して、車両ごとに最適な予防
整備を実施します。現時点では、DPRフィルターやエンジン・トランスミッション関連の各種部品などが対象で
す。
車検や法定点検での入庫に合わせてこうした予防整備を実施することで、車両の稼働停止に繋がる突発的な不
調を低減するとともに、トータルの整備時間を短縮します。
なお、「HINO CONNECT‐Maintenance Support」では、メンテナンス契約Rプランの毎月定額料金からお客様の
追加の費用負担なしで予防整備サービスをご提供します。
[最近の主な成果]
(1) 日野自動車とLocationMind株式会社(本社:東京都千代田区、以下LocationMind)は車両位置情報等を活用した物流ソリューション提供を通じてお客様・社会の課題解決を加速するため、2022年6月30日、資本業務提携に関する契約を締結しました。この資本業務提携により、共同で物流ソリューションを開発します。
本提携により、LocationMindへの出資、および日野の持つ商用車・物流業界に関する豊富なノウハウ・知見
とLocationMindのデータ分析技術・データ活用ノウハウを掛け合わせ、リアルタイムの位置情報を活用した運行
管理などの物流ソリューションを開発・提供します。
日野はコネクティッドデータの提供、物流業界や商用車に関する知見をいかしたユースケースの発掘や物流ソ
リューションの販売支援、お客様の意見の吸い上げ等を行います。
LocationMindは位置情報などのコネクティッドデータの分析と見える化を行います。物流ソリューションの開
発は、両社協力して進めていきます。
以上、当連結会計年度の「日本」セグメントの研究開発費の総額は、
(アジア)
該当事項はありません。
(その他)
該当事項はありません。