第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、次に定める経営理念に基づき、ステークホルダーの発展を含めた社会への貢献を当社の使命とし、持続的かつ安定的な成長と企業価値の向上を目指しております。

<経営理念>

「人々の暮らしを安全・快適にする技術や製品を提供し、社会に貢献するKYBグループ」

1.高い目標に挑戦し、より活気あふれる企業風土を築きます。

2.優しさと誠実さを保ち、自然を愛し環境を大切にします。

3.常に独創性を追い求め、お客様・株主様・お取引先様・社会の発展に貢献します。

持続的な成長と企業価値向上の実現を通してステークホルダーの期待に応えるとともに、社会に貢献するという企業の社会的責任を果たすため、取締役会を中心に迅速かつ効率的な経営体制の構築ならびに公正性かつ透明性の高い経営監督機能の確立を追求し、次の基本方針に基づきコーポレートガバナンスの強化および充実に取り組むことを基本的な考え方としております。

基本方針

1.当社は、株主の権利を尊重し、平等性を確保する。

2.当社は、株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーとの適切な協働に努め
る。

3.当社は、法令に基づく開示はもとより、ステークホルダーにとって重要または有用な情報についても主体
的に開示する。

4.当社の取締役会は、株主受託者責任および説明責任を認識し、持続的かつ安定的な成長および企業価値の向上ならびに収益力および資本効率の改善のために、その役割および責務を適切に果たす。

5.当社は、株主との建設的な対話を促進し、当社の経営方針などに対する理解を得るとともに、当社への意
見を経営の改善に繋げるなど適切な対応に努める。

 

(2)経営環境

当社を取り巻く市場環境は、自動車市場はアジアやインドが牽引しゆるやかに上昇傾向、建機市場は中国を中心に需要が急回復し2018年も継続すると認識しております。

一方、グローバルでの法規制の強化と企業のESGに対する取り組みへの評価の高まり、更には、人口や社会変化による働き方の多様化とグローバル化や経済成長に伴う賃金上昇の加速、IoT、AI、自動運転などの技術進化の加速と異業種との連携や異業種自体の台頭など、急速な環境変化に対して柔軟なかつ耐性を持った経営基盤と収益基盤の構築に向けて、組織、製品、拠点などのあらゆる面において”抜本的構造改革の断行”が必要であります。

 

(3)事業上の対処すべき課題

① 「中期的経営戦略」による企業価値向上への取組み

当社の2017年度からの中期方針では、モノづくり、技術、製品に挑戦し、イノベーションを起こすことによってKYBの新しい価値を創造し、業界NO.1、企業価値の向上、持続的成長という次なるステージへの前進を目指します。

その基本方針は以下のとおりです。

(a) AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業

お客様のグローバル化に追従するとともに、生産・販売拠点の再構築に着手

お客様の要求を満足する新製品・新技術確立体制整備の実施

事業部制移行による意思決定、戦略実行のスピード向上を図る

(b) HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業

量に頼らない収益基盤の確立・競争力の強化

建設機械以外の油圧製品について営業/開発体制の強化

(c) 人財育成

グローバルな視点・思考で行動できる人財の育成・確保・多様性を活かした人財活用

(d) 技術・商品開発

「新製品・新技術の創造」「設計・生産技術における品質向上」「機能安全対応の展開及び設計・評価技術の

強化」

(e) モノづくり

リードタイム・スペースの半減・生産性2倍を目指した革新的生産ラインへの取り組み

(f) マネジメント

CSR本部を新設し、さらに実効性のある内部統制システムの充実を図る

 

② 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

目標とする経営指標は、セグメント別売上高・セグメント利益・セグメント利益率とし、セグメント(事業別)管理を重視しています。これらの経営指標の改善結果として、自己資本利益率(ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本)の向上を図ってまいります。

 

(4)株式会社の支配に関する基本方針について

① 基本方針の内容

上場会社である当社の株式は株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模買付提案又はこれに類似する行為があった場合においても、一概に否定するものではなく、最終的には株主の皆様の自由な意思により判断されるべきであると考えます

しかしながら、わが国の資本市場においては、対象となる企業の経営陣の賛同を得ずに、一方的に大規模買付提案又はこれに類似する行為を強行する動きが過去にみられたところであり、今後、当社に対しそのような行為が強行される可能性も否定できません

当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社の企業理念、企業価値の様々な源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。従いまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付提案又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます

 

当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み

当社では、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させるための取組みとして、以下の施策を実施しております。これらの取組みは、上記①の会社の支配に関する基本方針の実現に資するものと考えております

(a) 「中期的経営戦略」による企業価値向上への取組み

当社は、中期方針達成に向けて、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)事業上の対処すべき課題」に記載の基本方針に基づく重点方策を実施しております。

(b) コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方

当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針」に記載のとおり、経営理念に基づき、ステークホルダーの発展を含めた社会への貢献を当社の使命とし、持続的かつ安定的な成長と企業価値の向上を目指しております

さらに、当社では以下の事項についても取り組んでおります。

(ⅰ) 役員と従業員が企業活動を遂行する上で遵守しなければならないルールとして「企業行動指針」を整備し、法令遵守と企業倫理の確立に努めております。当社および全グループ企業を対象に、企業リスクを迅速に把握する制度として、即報規則や目安箱による経営層への情報伝達手段を整備しております。さらに、公益通報者保護法の施行を受け、内部通報制度として専用の窓口を設置しております。

(ⅱ) 当社は監査役会設置会社制度を採用しております。当社取締役会は原則として1ヶ月に1回開催(監査役も毎回出席)し、取締役会規則に定められた詳細な付議事項について積極的な議論を行っております。また、監査役会は、監査役のうち2名を社外監査役とし、監査の透明性、公平性を確保しております

 

基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

企業価値ひいては株主共同の利益の中長期的な向上又は確保を目指す当社の経営にあたっては、幅広いノウハウと豊富な経験、並びに顧客、従業員および取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等への十分な理解が不可欠です。これら当社の事業特性に関する十分な理解がなくては、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を適切に判断することはできません。突然大規模な買付行為がなされたときに、大規模な買付を行う者の提示する当社株式の取得対価が当社の企業価値ひいては株主共同の利益と比べて妥当か否かを、株主の皆様が短期間の内に適切に判断するためには、大規模な買付を行う者および当社取締役会の双方から必要かつ十分な情報が提供されることが不可欠であり、当社株式をそのまま継続保有することを考える株主の皆様にとっても、大規模な買付を行う者が考える当社の経営に参画したときの経営方針や事業計画の内容等は、その継続保有を検討するうえで重要な判断材料であります。同様に、当社取締役会が当該大規模な買付行為についてどのような意見を有しているのかも、株主の皆様にとっては重要な判断材料となると考えます。

これらを考慮し、「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)」を2016年6月24日開催の第94期定時株主総会において株主の皆様のご承認を賜り継続しております。これにより、大規模な買付行為に際しては、大規模な買付を行う者から事前に情報が提供され、当社取締役会は、かかる情報が提供された後、大規模な買付行為に対する当社取締役会としての意見を、必要に応じて独立した外部専門家(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家)の助言を受けながら慎重に検討したうえで公表いたします。さらに、当社取締役会は、必要と認めれば、大規模買付提案の条件の改善交渉や株主の皆様に対する代替案の提示も行います。かかるプロセスを経ることにより、株主の皆様は当社取締役会の意見を参考にしつつ、大規模な買付を行う者の提案と当社取締役会から代替案が提示された場合にはその代替案を検討することが可能となり、最終的な判断を決定するために必要な情報と機会を与えられることとなります。

当社は、この買収防衛策の詳細を2016年5月17日付で「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)の継続について」として公表いたしました。この適示開示文書の全文はインターネット上の当社ウェブサイト(アドレスhttps://www.kyb.co.jp)に掲載しております

 

上記②③の取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由

上記②の取組みは、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして実施しております。これは、上記①の基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております

また、上記③の取組みにつきましても、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして実施しております。これは、以下の諸点に照らして、上記①の基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております

(a) 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること

当社買収防衛策は、経済産業省および法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています

また、経済産業省に設置された企業価値研究会が2008年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」および東京証券取引所が2015年6月1日に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の「原則1-5いわゆる買収防衛策」の内容も踏まえたものとなっております

(b) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること

当社買収防衛策は、当社株式に対する大規模な買付行為がなされた際に、当該大規模な買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです

(c) 独立性の高い社外役員の判断の重視と情報開示

当社買収防衛策における対抗措置の発動等の運用に際しての実質的な判断は、独立性の高い、社外取締役および社外監査役のみから構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に適うように当社買収防衛策の透明な運営が行われる仕組みが確保されています

(d) 株主意思を重視するものであること

当社買収防衛策は、2016年6月24日開催の第94期定時株主総会でのご承認により継続したものであり、株主の皆様のご意向が反映されております

また、当社買収防衛策は、有効期間の満了前であっても、株主総会において、当社買収防衛策の変更又は廃止の決議がなされた場合には、その時点で変更又は廃止されることになり、株主の合理的意思に依拠したものとなっております

(e) デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと

当社買収防衛策は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される当社取締役会により廃止することができるものとされており、当社の株式を大量に買付けた者が、当社株主総会で取締役を指名し、かかる取締役で構成される当社取締役会により、当社買収防衛策を廃止することが可能です。従って、当社買収防衛策は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は期差任期制を採用していないため、当社買収防衛策はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません

 

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績および財政状態のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社および連結会社)が判断したものであります。

(1)経済環境に関するリスク

① 経済状況

連結売上高の主要な製品は自動車、建設機械および産業車両メーカー等(以下、お客様といいます。)へ部品を供給する組付用であります。お客様の海外生産拠点拡大に対応し、部品メーカーも同様に海外展開を加速しております。当社グループも、米州、欧州、アジアの各地域に生産拠点を有し、各地域のお客様に製品を供給しております。これらの海外生産拠点は、当該地域の経済情勢変化等に伴うお客様の生産数に依存しており、当社グループの業績や財政状態に大きな影響があります。

② 為替相場と金利上昇

当社グループは、海外売上高が54.5%と海外市場に大きく依存しているため日本からの輸出はもとより在外関係会社の業績等も為替の影響を大きく受けます。

また、日本および海外における将来の金利上昇は、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(2)事業活動に関するリスク

① 需要動向

当社グループのAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業・HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業の製品は、世界的な自動車生産台数や建設機械生産台数に大きく依拠しており、世界的な景気悪化による自動車ならびに建設機械需要の減退がこの部門の収益性に大きな影響を与えます。特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等の製品は、国内を中心に展開しております。特にコンクリートミキサ車を主力とする特装車両は、景気の先行きと相関の深い建設工事の増減により需要が変動する可能性があります。

② 価格・品質

価格に関しては、国内・海外市場共に熾烈な価格競争にさらされており、お客様からのコスト低減、価格引下げ要請が常に存在します。品質に関しても、自動車では操縦安定性を支えるショックアブソーバや操舵力を補助するパワーステアリング等の重要な部品を供給しており、建設機械・産業車両等では母機を駆動させるシリンダ、モータ等の主要な機能部品を供給していることから、仮に当社グループが供給した製品に品質不良が発生した場合、その損害賠償をお客様から求められる等で多額の費用が発生する可能性があります。補修市場向けの四輪車用ショックアブソーバについては、販売数量や価格に関して、その地域の経済状況や競合他社の影響を受けることが予想されます。

③ 原材料・部品等の調達

当社グループは、原材料、構成部品等を多数の取引先から購入しておりますが、調達する原材料等は国際商品市況の影響を大きく受け、原材料等の価格上昇を当社の販売価格に十分に反映出来ない場合、あるいは、販売価格引下げを原材料および構成部品価格に十分に反映出来ない場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。

④ 資金調達

 当社グループは、主に国内外の金融機関等より設備資金ならびに運転資金の借入を実施しております。金融市場の動向には十分留意しておりますが、全般的な市況および景気の後退、金融収縮、当社グループの信用力の低下等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達できない可能性もあります。その結果、当社グループの財政状況や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 経営状況の悪化

 海外展開をしております生産拠点並びに販売拠点が受注量の減少や採算悪化等により経営が破綻した場合には、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

⑥ 取引先の信用リスク

 当社グループは、自動車並びに建設機械メーカー各社をはじめ多くのお客様と取引を行っております。客先の予期せぬ信用リスクにより、業績に影響を与える可能性があります。

(3)重要な訴訟等の発生によるリスク

当社グループを相手とした訴訟がおこされ、当社の主張と相違する結果となった場合には、その請求内容等によっては、当社グループの業績に多大の影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)事故・災害等によるリスク

当社グループの多くの工場では、油の特性を利用した油圧製品の生産を行っております。また、有機溶剤を使用する塗装設備、作動油・化学薬品等を貯蔵するタンク等があり、火災の発生や有害物質が流出する可能性があります。万が一、事故が発生した場合には生産活動が一時的に停止する可能性があります。

また、当社の国内の主要工場及び取引先の多くが中部地区に所在しております。従って中部地区で大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。

さらに、海外の生産拠点での地震、火災等の災害や戦争、テロ等が起こった場合にも、当社グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、中国でのインフラ投資や個人消費の増加により安定した経済成長となったほか、米国・欧州においても総じて堅調に推移しました。また、日本経済においても、個人消費の増加や企業収益の改善等、緩やかな回復基調で推移しました。

このような環境のもと、当社製品の主要な需要先である自動車市場は、米国では前年に比べ販売が減少したものの、中国や欧州において好調に推移しました。

また、建設機械市場は、中国では安定した成長が続き、欧米においても堅調に推移しております。

 

このような状況のもと、当社グループは、急速な環境変化に対して柔軟かつ耐性を持った経営基盤と収益基盤の構築に向けて、組織、製品、拠点などのあらゆる面における抜本的構造改革に取り組んでまいりました。

 

この結果、当社グループの売上高につきましては、3,924億円と前連結会計年度に比べ371億円の増収となりました。損益につきましては、営業利益は208億85百万円、税引前利益は208億81百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、152億2百万円となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりです。

(a) AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業セグメント

当セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成されております。

ⅰ)四輪車用油圧緩衝器

四輪車用油圧緩衝器は、米国では販売が減少したものの、中国や欧州、国内市場において総じて堅調に推移し、売上高は1,625億円と前連結会計年度に比べ7.6%の増収となりました。

ⅱ)二輪車用油圧緩衝器

二輪車用油圧緩衝器は、インド、中国等での販売が増加し、売上高は295億円と前連結会計年度に比べ3.5%の増収となりました。

ⅲ)四輪車用油圧機器

パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器は、CVT(無段変速機)用ベーンポンプの販売が堅調に推移したものの、電動パワーステアリングや油圧ポンプが減少し、売上高は457億円と前連結会計年度に比べ1.7%の減収となりました。

ⅳ)その他製品

ATV(全地形対応車)用機器を中心とするその他製品の売上高は49億円となりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は2,426億円となり、営業利益は85億59百万円(営業利益率3.5%)となりました。

(b) HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント

当セグメントは、産業用油圧機器、その他製品から構成されております。

ⅰ)産業用油圧機器

建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、中大型ショベルが中国市場を中心に安定した成長を続け、小型及びミニショベルが欧米市場で堅調に推移したため、売上高は1,141億円と前連結会計年度に比べ28.7%の大幅な増収となりました。

ⅱ)その他製品

鉄道用セミアクティブシステム及び緩衝器を主とするその他製品の売上高は85億円と前連結会計年度に比べ10.9%の増収となりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は1,226億円となり、営業利益は111億63百万円(営業利益率9.1%)となりました。

(c) 特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等

当セグメントは、特装車両、航空機器、システム製品および電子機器等から構成されております。

ⅰ)特装車両

コンクリートミキサ車を主とする特装車両は、インドでの販売が増加し、売上高は96億円と前連結会計年度に比べ11.8%の増収となりました。

ⅱ)航空機器

航空機器は、売上高は64億円と前連結会計年度に比べ17.8%の減収となりました。

ⅲ)システム製品および電子機器等

システム製品および電子機器等の売上高は113億円と前連結会計年度に比べ3.2%の減収となりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は272億円となり、営業利益は8億44百万円(営業利益率3.1%)となりました。

 

当社グループの財政状態につきましては、以下のとおりです。

流動資産は、営業債権及びその他の債権、現金及び現金同等物が増加しました。また、非流動資産につきましては、有形固定資産が増加しました。この結果、総資産は312億円増加し、4,125億円となりました。

負債につきましては、営業債務及びその他の債務が増加しました。負債総額は143億円増加し、2,258億円となりました。

資本は、利益剰余金の増加等により、169億円増加して1,867億円となりました。

親会社所有者帰属持分比率は、資本が増加したことから43.7%と前連結会計年度末に比べ0.6ポイント好転しました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの差し引きが129億円の資金流入、また財務活動によるキャッシュ・フローは45億円の資金流出となり、加えて為替換算により3億円増加し、現金及び現金同等物は前連結会計年度末比87億円増加し、427億円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、前連結会計年度比6.1%減少の293億円となりました。これは主に税引前利益209億円、減価償却費及び償却費170億円、法人所得税の支払い49億円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、前連結会計年度比23.2%減少の164億円となりました。これは主に有形固定資産の取得144億円等の資金流出によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、45億円となりました。主な流出は、長期借入金の返済による支出134億円、配当金の支払額36億円であり、主な流入は、長期借入金による収入94億円、短期借入金の純増減額34億円です。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2017年4月1日

  至 2018年3月31日)

 前年同期比(%)

AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業

 (百万円)

244,367

5.9

HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業

 (百万円)

124,365

25.7

  報告セグメント計(百万円)

368,731

11.8

特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等 (百万円)

28,978

5.5

合計(百万円)

397,710

11.4

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(b) 受注実績

四輪車用・二輪車用油圧緩衝器およびパワーステアリング製品を主とするAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業、建設機械向け産業用油圧機器を主とするHC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業は、見込み生産を行っております。

特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等についても、特装車両が同様に見込み生産となっており、また、一部製品においても正式受注が納期間際であることから、その殆どが内示に基づく見込み生産となっております。

従って、受注高および受注残高を算出することは困難であることから、記載を省略しております。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2017年4月1日

  至 2018年3月31日)

 前年同期比(%)

AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業

 (百万円)

242,560

5.0

HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業

 (百万円)

122,603

27.3

  報告セグメント計(百万円)

365,163

11.6

特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等 (百万円)

27,231

△2.6

合計(百万円)

392,394

10.4

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.主要な販売先(総販売実績に対する割合が 10%以上)に該当するものは、ありません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針および見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高が昨年比10.4%増加の3,924億円、営業利益は昨年比8.5%増加の209億円を計上致しました。中国市場における当社製品の需要が非常に旺盛であったことに加え、為替環境の好転もあり増収増益となりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当社グループにおける主力市場の一つである北米市場では、新車向け製品においてSUV優勢の状況の中、当社受注車種はセダン中心であったことや、市販向け製品においても市場に冷え込みが見られたことから、当連結会計年度は厳しい環境となりました。来期は、新車向け製品では年度後半よりSUV車種への製品提供が開始することや、市販向け製品においても需要回復が見込まれることから好転する見込みであります。また、当連結会計年度において重要な影響を与えた中国市場や欧州市場の需要は、引き続き堅調に推移すると見込んでおります。

 

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、鋼材等の原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は94,641百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は42,702百万円となっております。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については次のとおりであります。2017年度期首に策定した中期経営計画において、売上高3,980億円・セグメント利益率6.5%・ROE10.0%を2019年度に達成することを目標としております。2017年度の各経営指標はそれぞれ売上高3,924億円・セグメント利益率5.5%・ROE8.8%となっております。建機市場の好調が追い風となり、売上高は2019年度目標に迫るものの、収益性については原材料値上がりによる原価率悪化や増産対応に伴う固定費の増加などの課題が残っております。2018年度は、建機市場の好調継続や四輪車用油圧緩衝器の北米市場での巻き返しを見込んでおり、売上高目標は前倒しで達成できると見込んでおります。また、セグメント利益率・ROEの目標を達成するため、AC事業では電動パワーステアリング事業や二輪車用油圧緩衝器事業の再編、HC事業ではコントロールバルブの生産移管等を推進してまいります。

 

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は「第2 事業の状況 3 経営者により財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

なお、各セグメントごとの課題・リスクに対して、以下のような対応をしております。

AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業においては、サスペンション事業部・ステアリング事業部・モーターサイクル事業部の3事業部体制とし、各製品群の責任者及び利益責任を明確にするとともに、管理レベルの向上と意思決定、戦略実行のスピードアップを図っております。

HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業においては、市場変動に左右されない安定した売上高、利益の確保のために、量に頼らない収益基盤の確立・競争力の強化を図りながら、農業機械や鉄道向け製品など建設機械以外の油圧製品の営業・開発体制を強化しております。

特装車両事業については、東京オリンピック・パラリンピックや都市開発など国内需要の確実な取り込みにより売上とシェアを維持します。また、インフラ投資が旺盛で売上比率も高まっているインドでの体制整備も進めております。

航空機器事業については、KYBのDNAでもある航空機技術を活かしながら知見を広めお客様のニーズに応えています。

 

(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

(開発費の資産計上)

日本基準では、費用処理しておりました一部の開発費用について、IFRSにおいては資産計上要件を満たすことから、無形資産に計上しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて無形資産が5,222百万円増加しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

当社は、2018年5月30日に、2018年1月29日開催の取締役会に基づき、当社の持分法適用関連会社であるKYB-Mando do Brasil Fabricante de Autopeças S.A.の連結子会社化及び第三者割当増資を実施いたしました。

これに先立ち、当企業結合に係る当社意思決定を行った当連結会計年度において、合弁契約解消損失引当金繰入額1,189百万円を「その他の費用」に計上しております。

また、KYB-Mando do Brasil Fabricante de Autopeças S.A.は、2018年6月1日付でKYB Manufacturing do Brasil Fabricante de Autopeças S.A.に社名を変更しております。

なお、当企業結合の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 33.後発事象」をご参照ください。

 

5【研究開発活動】

(1)目  的

当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、「 A GLOBAL KYB – CHALLENGE & INNOVATION –」をスローガンとしてKYBグループ一丸となり研究開発活動を精力的に推進しています。

現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化への対応、及び軽量化や省エネルギー、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってKYBの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。

 

(2)体  制

当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。

研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品、及び性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定める活動を進めています。更にモノづくりにおいては、生産技術研究所ならびに各工場で培われたノウハウを工機センターに集約し、先進性に溢れ信頼性の高い設備や治工具の内製化、IoT(Internet of Things)の活用を強力に推進しています。

当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売、及び製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の技術研究所や技術センター、各事業の技術部門が支援する体制をとっています。

製品の高機能化やシステム化におきましては、当社の独自開発に加えて、顧客あるいは関連機器サプライヤとの共同研究開発を推進するとともに、産学交流やオープンイノベーションによる最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。

 

(3)成  果

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は81億2百万円であります。

 

① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業

自動車業界が100年に一度と言われる大変革期を迎える中、AC事業本部(サスペンション・ステアリング・モーターサイクルの各事業部で構成)は、欧州向け自動車用部品の開発機能の拡充を目的に、ドイツミュンヘン市内に欧州テクニカルセンターを設立し、2018年4月3日より業務を開始しました。欧州顧客ニーズをいち早く取り入れた製品開発力を強化し、欧州におけるOEMビジネスの拡充を図るとともに、次世代自動車技術開発に向け、欧州における先行技術情報の収集機能の強化を図ります。

四輪車、及び二輪車用の緩衝器については、乗り心地と車体安定性の更なる向上を目指した高機能化、及び電子制御サスペンションシステム、アルミニウムや樹脂化による軽量化の開発を推進するとともに、サスペンションモジュールやシステム、車両軸での評価技術を強化していきます。

四輪車用電動パワーステアリング機器では、システムの一部に問題が生じたとしても機能停止することなく動作し続けられるよう(フォールトトレラント設計)、冗長性を備えた電装品開発を進めていきます。また、乗用車用以外のカテゴリーでも幅広くステアリング製品の拡販活動を継続していきます。

更に将来の自動運転車に向けては、電子制御サスペンションと電動ステアリングの技術を融合した統合システムの開発を進めていきます。

当セグメントにおける研究開発費の金額は52億58百万円であります。

 

② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業

建設機械用油圧機器では、世界TOPレベルの建機メーカーからの受注により、お客様が内製する減速機と組合せ可能な20~36トン油圧ショベル向けの走行用油圧モータを開発しました。36トン系用MSF-170VP-CAは2017年11月より、20トン系用MSF-140VP-CAは2018年3月より量産を開始し、お客様のグローバル各拠点への供給を予定しています。

省エネルギーに対応した製品としては、日立建機株式会社様向けに、機械効率を従来モデルより約9%の向上を実現した20トン系油圧ショベルの走行用油圧モータ(MAG-170VP-4000H)を開発しました。同じく20トン系のハイブリッド機向けには、各部の設計を見直し、圧力損失性能を従来モデルに対して約10%の低減を図ったコントロールバルブ(KVMG-270-HH)を、日立建機株式会社様と共同開発しました。

また、ヤンマー建機株式会社様の8トン系油圧ショベルのモデルチェンジ機に合せて、このクラスとしては初となる2つのポンプを独立して制御する新油圧システムに対応したバルブ回路と圧力損失低減を実現し、実車燃費で20%もの向上(客先計測値)に貢献しました。

一方で鉄道用機器としては、小田急電鉄株式会社様の新型特急ロマンスカーGSE(70000形)に、車体の横揺れを低減するための電動油圧式フルアクティブサスペンションが採用されました。

今後も、油圧機器の様々な市場に対して製品展開を図っていくとともに、社会やお客様の更なるご要求にお応えできる製品を開発していきます。

当セグメントにおける研究開発費の金額は21億63百万円であります。

 

③ 特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等

特装車両事業は、アフターサービスの充実も目指し、機器のメンテナンス時期の通知や車両の状況を分かりやすく表示するモニタを搭載した、電子制御ミキサ車(eミキサⅢ)の開発をしています。

航空機器事業は、Boeing社B787-10新型機への製品供給を開始しました。その量産機が2018年5月に日本へ初飛来しました。

当セグメントにおける研究開発費の金額は6億81百万円であります。