文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、建築物用免震・制振用オイルダンパーにおける不適切行為に関する外部調査委員会の原因分析および再発防止策の提言を踏まえ、今後は断じて不適切行為を発生させず、信頼回復に取り組むという覚悟を示すため、2019年10月1日付で経営理念の改定を行いました。具体的には、「規範の遵守」および「真摯に向き合う」という再発防止の趣意を新たに加えております。
当社グループは、持続的な成長と企業価値向上の実現を通してステークホルダーの期待に応えるとともに、社会に貢献するという企業の社会的責任を果たすため、この改定後の経営理念および以下の基本方針に基づき、取締役会を中心に迅速かつ効率的な経営体制の構築並びに公正性かつ透明性の高い経営監督機能の確立を追求し、コーポレート・ガバナンスの強化及び充実に取り組んでまいります。
<経営理念>
「人々の暮らしを安全・快適にする技術や製品を提供し、社会に貢献するKYBグループ」
1.規範を遵守するとともに、何事にも真摯に向き合います。
2.高い目標に挑戦し、より活気あふれる企業風土を築きます。
3.優しさと誠実さを保ち、自然を愛し環境を大切にします。
4.常に独創性を追い求め、お客様・株主様・お取引先様・社会の発展に貢献します。
<基本方針>
1.当社は、株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.当社は、株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーとの適切な協働に努める。
3.当社は、法令に基づく開示はもとより、ステークホルダーにとって重要または有用な情報についても主体的に開示する。
4.当社の取締役会は、株主受託者責任および説明責任を認識し、持続的かつ安定的な成長および企業価値の向上ならびに収益力および資本効率の改善のために、その役割および責務を適切に果たす。
5.当社は、株主との建設的な対話を促進し、当社の経営方針などに対する理解を得るとともに、当社への意見を経営の改善に繋げるなど適切な対応に努める。
世界経済は米中の貿易摩擦の激化、英国のEU離脱等の混乱、中国やインド経済の伸び鈍化に加え、新型コロナウイルスの世界的感染拡大から更に不安定要素が増大しています。当社を取り巻く事業環境は、AC事業はCASEに代表される100年に一度と言われる変革期を迎え、その潮流に遅れることなく対応を迫られる一方、HC事業は欧米、日本の成熟市場、中国、ASEANといった新規・成長市場と発展段階に応じた戦略を求められています。航空機器事業では、新型コロナウイルスの世界的感染拡大により民需が減少、システム製品では、お客様からの信頼回復と早期適合化に向け、着実に交換工事を進めております。
一方、グローバルでの法規制の強化と企業のESGやSDGsに対する取り組みへの評価の高まり、更には、人口や社会の変化による働き方の多様化とグローバル化や経済成長に伴う賃金上昇の加速、IoT、AI、自動運転などの技術進化の加速と業界の垣根を越えた連携や異業種自体の台頭など、当社を取り巻く環境は急速な変化を見せています。今年度より開始した2020中期経営計画では、不適切行為の再発防止とコンプライアンス遵守を基盤とし高収益体質への変革を目指す各種施策を着実に実行してまいります。
2020中期経営計画においては、「取り戻そう信頼と誇り」をスローガンに、以下の方策を展開、強力に推進し高収益体質への変革を目指します。折から新型コロナウイルスの世界的感染拡大により、著しく経済活動が阻害され世界経済の不透明さが増す中、困難の度を極めることが見込まれますが、KYBグループの生き残りを懸けた3年間をスタートしました。
1.建築物用免震・制振用オイルダンパーにおける不適切行為に関する、再発防止策、対応の進捗
本問題に関する再発防止策および対応についての進捗状況は2019年7月5日以降、以下の当社ホームページ上で3か月に1回、公表しております。詳細につきましては、15頁の≪再発防止策の進捗状況≫をご参照ください。
再発防止策の進捗状況:https://www.kyb.co.jp/company/progress/prevent.html
対応の進捗状況:https://www.kyb.co.jp/company/progress/exchange_progress.html
2.新型コロナウイルスの世界的感染拡大
新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的感染拡大による各国政府・自治体等の外出禁止や移動制限等の措置により、当社グループにおいても主要顧客の減産による操業停止や生産調整、サプライチェーンの寸断といった業績悪化影響が生じております。また、現在収束に向かいつつある地域においても2次、3次の流行の恐れがあり、先行きを見通すことが困難な状況です。そのような中、域内サプライチェーンの確保による地産地消の拡大、徹底的な固定費削減や手元流動性の確保など柔軟な対応を進めてまいります。また、グループ各社は、感染拡大防止対策として各国政府・自治体等の要請、ガイドラインに従い、衛生管理の徹底、国内外の出張制限、テレワークやWeb会議の拡大展開等を図っております。
3.マネジメント
「規範意識とコンプライアンス遵守」「人財育成・健康経営」「安全第一・品質経営」「高収益体質」
前段に挙げた信頼回復への取組みとしては、その前提となる免震・制振用オイルダンパーの適合化を2020年度中に完了させるとともに、内部統制・監査機能の強化、企業風土改革を引き続き推進します。また、働き方改革については、あらゆるハラスメントを許さない姿勢を明確に、適材適所の人員配置・人事ローテーションの実施により、風通しの良い職場作りを進めてまいります。
安全・品質については、引き続き重大災害、品質問題ゼロの達成と定着、各拠点の自立化を進めてまいります。
高収益体質の実現に向け、原価低減活動や需要変動に強い生産体制作りを引き続き推進します。利益が確保できないビジネスについては撤退も辞さない姿勢で臨む一方、MaaSやCASE、DXといった新潮流を捉え、次世代の収益源に繋がる新市場、新製品創出の取組みは、歩みを止めることなく積極的に進めてまいります。
4.オートモーティブコンポーネンツ事業
「AC事業真価の発揮-深化-進化-新化-」
2020中期経営計画では「AC事業真価の発揮」をスローガンに既存事業の深堀り「深化」をはかり「進化」を進めるとともに、成長戦略として「新化」を図ってまいります。具体的には、各小事業部制による体制強化、投資効率を重視した入口/出口管理による利益確保、中国地場メーカー参入を視野に入れた標準化/革新によるコスト競争力の確保、また、欧州開発拠点の機能拡大と客先開発パートナーの地位確立によるCASEはじめ新潮流、システム、モジュールへの対応を、市販市場では「生・販・技」一体となって構造改革を進めてまいります。
5.ハイドロリックコンポーネンツ事業
「お客様に信頼され世界で採用され続けるHC事業~市場変化にスピードを持ってニーズの先取り~」
HC事業では、選択と集中による長期的収益性の向上を目指してまいります。欧米、日本の成熟市場においては高付加価値製品による収益の最大化を、中国、ASEANといった新規・成長市場においては安定した収益確保を目指し原価低減を重視した、市場の発展段階に応じた地域別戦略と製品別戦略を進めてまいります。また、HC事業の主たるお客様である建設機械市場の中でも非ショベル・新分野への取組み、農機、鉄道関連製品への取組みを強化し収益性の確保を図ります。更に中長期的観点から、中国に次ぐ販売、調達拠点としてインドでの活動を進めてまいります。
6.システム製品
「再び信頼される会社になろう」
免震・制振用オイルダンパーの早期適合化を図り、再発防止策の確実な実施と継続により、第三者からも認められる体制を構築します。
7.航空機器事業
「生産体制・コストの見直しを図り事業再生」
航空機器事業は、受注~納入までの納期・コストが成立する仕組みを作り、お客様からの信頼回復と採算性を向上し事業再生を図ります。
8.特装車両事業
「国内のさらなる体質強化と新たな海外展開に向けたグローバル体制の確立」
国内においては、コンクリートミキサトップメーカーとして高付加価値製品の市場投入により黒字体質の更なる強化を図ります。海外については、新たなビジネスプランの策定と実行による特装グローバル体制の確立を進めてまいります。
9.技術・製品開発
「デジタル技術の活用と融合でイノベーションを起こす」
効率的な技術・製品開発と高利益率の製品の創出を図るため、商品企画書の運用と定着を進める一方、開発段階でのコストの作りこみ、優位性のある特許取得、モデルベース開発(MBD)手法の全社展開等を進めてまいります。また、将来を見据えた技術/製品開発とモノづくりや技術革新への対応のため、中長期的視点に立った技術ロードマップの充実化、各事業と連携した革新的モノづくりの推進とデジタル技術を活用した競争力・独自性のあるモノづくりへの取組み、情報サービスの提供、クラウドを活用したIoTプラットフォームの構築など、新価値創出・新技術創造を図ってまいります。
10.人財育成
「信頼回復に向けた人事施策の推進」「心身ともに健康で働きがいのある職場の創出」
「海外拠点経営にふさわしい人財の育成」
健康経営推進の取組みとして健康経営優良法人2020の認定を取得、当社では従業員やその家族の健康を重要な経営資源、企業活力の源泉と位置付け、持続的な成長を実現するため、従業員一人ひとりが心身ともに健康で働きがいのある職場づくりに取り組んでおります。また、信頼回復に向けた規範意識醸成や風通しの良い、ハラスメントのない職場づくりを進める一方、間接業務の合理化や小集団活動を通じ次世代リーダーの育成、さらに、グローバルでの拠点経営者の育成に取り組んでまいります。
11.モノづくり
「量変動に追従できる革新的モノづくりの実現」
事業毎に最適な革新的モノづくりを実現し、安定して利益を生み出し続ける生産部門への改新を進めてまいります。その実現には、生産・物流改革、在庫低減によるコスト改善、革新的モノづくりを実現する生産設備、製品評価技術の開発、また設備投資の実効性向上、それらの改善を推進する人財の育成を進めてまいります。
KYBグループは、これらの重点方策活動を着実に実施し信頼回復を図る一方、筋肉質で高収益な企業体質への改革に取り組んでまいります。
株主の皆様におかれましては、今後とも引き続きご支援を賜りますことを心よりお願い申し上げます。
≪再発防止策の進捗状況≫
2019年2月13日付当社ホームページにて「当社及び当社の子会社が製造した建築物用免震・制振用オイルダンパーにおける不適切行為に関する原因究明・再発防止策について」を公表後、着実に再発防止策を遂行し、信頼回復に取り組んでまいりました。
2020年3月31日時点で、再発防止の具体策全67項目の約7割を「完了」しており、未了の具体策についても「完了」に向けた取り組みを継続しております。
主な進捗状況は、再発防止策の4つの切り口ごとに以下の通りとなります。
①『厳格な規範意識の醸成及び企業風土の改革』
経営理念ならびに企業行動指針の改定、品質基本方針の新規策定などを実施しました。また、企業倫理の繰返し教育の体系化、事業および製品特有の法令に関する教育について、さらに深堀を行っております。
②『事業性の評価、事業運営体制及び情報共有体制等の見直し』
内部通報制度の周知教育ならびに製品の品質や安全に関わる不適切行為などについての通報を義務化しました。また、新たに整備した受注決定判断の運用状況の確認、計画的な人事ローテーションの推進などを継続しております。
③『検査体制・方法の改善』
製品の性能検査員の製造部門以外の部署への異動を実施するとともに、人為作業を介さない形でのオイルダンパー検査結果の自動保存等、新しい検査システムの導入を進めております。
④『内部監査・統制体制の強化』
グループ企業に対して品質不正を念頭においた監査を実施し、また、グループ企業に対する管理体制強化として、内部統制部と不正リスク特別監査委員会を新設しました。
なお、「完了」とした具体策についても、継続して運用してまいります。


(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2021年3月期の連結業績予想につきましては、新型コロナウイルス感染拡大が当社グループに与える影響を現時点で合理的に算定することが困難なため、未定としております。連結業績予想の見通しが得られ次第、速やかにお知らせいたします。
また、2020中期経営計画の開始年度にあたりますが、上記のとおり新型コロナウイルスの感染拡大による影響を現時点で見通すことは極めて困難であることから、見通しが得られ次第、目標とする経営指標を明確にいたします。
当社グループの経営成績および財政状態のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、以下のようなものがあります。当社グループでは「リスク管理規程」に基づき、取締役会の下部組織であるリスク管理委員会において、全社的に対策を講じる必要のある重点リスクと責任部署を決定し、各責任部署がリスク管理活動を行うとともに、全社BCPプロジェクト活動により大規模自然災害に対処しております。また、事業リスクに関しては当該リスクを抱える事業部が責任をもって取り扱う一方、リスク管理委員会はモニタリングを行います。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社および連結会社)が判断したものであります。
当社及び当社の子会社であるカヤバシステムマシナリー株式会社は、建築物用の免震・制振部材としてオイルダンパーを製造・販売してまいりましたが、その一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準(※)に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品(以下、「不適合品」といいます。)を建築物に取り付けていた事実(以下、「本件」といいます。)が判明し、国土交通省に報告を行うとともに、対応状況について、2018年10月16日に公表いたしました。(※)制振用オイルダンパーについては、大臣認定制度はありません。
本問題に関する再発防止策および対応についての進捗状況は2019年7月5日以降、以下の当社ホームページ上で3か月に1回、公表しております。詳細につきましては、15頁の≪再発防止策の進捗状況≫をご参照ください。
再発防止策の進捗状況:https://www.kyb.co.jp/company/progress/prevent.html
対応の進捗状況:https://www.kyb.co.jp/company/progress/exchange_progress.html
本件に関し、現時点において収集可能な情報、及びその情報が合理的な事実に基づくものであると判断された免震・制振用オイルダンパーの製作費用、交換工事に要する費用、構造再計算費用、及び補償等について製品保証引当金を計上しております。一方、現時点においては、本件に関する訴訟等の費用について、その費用を信頼性のある合理的な見積りを行うことが困難なものは引当金を計上しておりません。
このことから、今後の進捗により、追加で引当金を計上することとなった場合には、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当連結会計年度において多額の営業損失を計上したことで、当社が全ての該当金融機関と締結しているシンジケートローン契約の財務制限条項に抵触することとなりました。
よって、当社は当該状況を解消すべく各金融機関と協議を行い、財務制限条項への抵触に関して、期限の利益喪失請求を行わないことに同意を得ております。
以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的感染拡大による各国政府・自治体等の外出禁止や移動制限等の措置により、当社グループにおいても主要顧客の減産による操業停止や生産調整といった経営成績の悪化影響が生じております。また、現在収束に向かいつつある地域においても2次、3次の流行の恐れがあり、先行きを見通すことが困難な状況です。このため、当社グループの経営成績や財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
そのような中、手元流動性の確保や地産地消の拡大といった柔軟な対応を進めてまいります。また、グループ各社は、感染拡大防止対策として各国政府・自治体等の要請、ガイドラインに従い、衛生管理の徹底、国内外の出張制限、テレワークやWeb会議の拡大展開等を図っております。
当社グループのAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業・HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業の主要製品は自動車、建設機械および産業車両メーカー等(以下、お客様といいます)へ供給する組付用部品であり、世界的な自動車生産台数や建設機械生産台数に大きく依拠しており、世界的な景気悪化による自動車ならびに建設機械需要の減退がこの部門の収益性に大きな影響を与えます。システム製品、航空機器事業、特装車両事業および電子機器等の製品は、国内を中心に展開しております。特にコンクリートミキサ車を主力とする特装車両は、景気の先行きと相関の深い建設工事の増減により需要が変動する可能性があります。
価格に関しては、国内・海外市場共に熾烈な価格競争にさらされており、お客様からのコスト低減、価格引下げ要請が常に存在します。品質に関しても、自動車では操縦安定性を支えるショックアブソーバや操舵力を補助するパワーステアリング等の重要な部品を供給しており、建設機械・産業車両等では母機を駆動させるシリンダ、モータ等の主要な機能部品を供給していることから、仮に当社グループが供給した製品に品質不良が発生した場合、その損害賠償をお客様から求められる等で多額の費用が発生する可能性があります。補修市場向けの四輪車用ショックアブソーバについては、販売数量や価格に関して、その地域の経済状況や競合他社の影響を受けることが予想されます。
当社グループは、原材料、構成部品等を多数の取引先から購入しておりますが、調達する原材料等は国際商品市況の影響を大きく受け、原材料等の価格上昇を当社の販売価格に十分に反映出来ない場合、あるいは、販売価格引下げを原材料および構成部品価格に十分に反映出来ない場合、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループは、主に国内外の金融機関等より設備資金ならびに運転資金の借入を実施しております。金融市場の動向には十分留意しておりますが、全般的な市況および景気の後退、金融収縮、当社グループの信用力の低下等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達できない可能性もあります。その結果、当社グループの財政状況や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
海外展開をしております生産拠点並びに販売拠点が受注量の減少や採算悪化等により経営が破綻した場合には、当社グループの経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループは、自動車並びに建設機械メーカー各社をはじめ多くのお客様と取引を行っております。客先の予期せぬ信用リスクにより、経営成績に影響を与える可能性があります。
国内外の当社グループ生産拠点での地震や風水害、火災等の災害、戦争、テロ等が起こった場合にも、当社グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。
当社の国内の主要工場及び取引先の多くが中部地区に所在しております。従って中部地区で大規模な地震や風水害、その他の操業を中断する事象が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。
また、当社グループの多くの工場では、油の特性を利用した油圧製品の生産を行っております。また、有機溶剤を使用する塗装設備、作動油・化学薬品等を貯蔵するタンク等があり、火災の発生や有害物質が流出する可能性があります。万が一、事故が発生した場合には生産活動が一時的に停止する可能性があります。
(6) 為替相場と金利上昇リスク
当社グループは、海外売上高が55.2%と海外市場に大きく依存しているため日本からの輸出はもとより在外関係会社の経営成績等も為替の影響を大きく受けます。
また、日本および海外における将来の金利上昇は、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループを相手とした訴訟が起こされ、当社の主張と相違する結果となった場合には、その請求内容等によっては、当社グループの業績に多大の影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(百万円未満四捨五入)
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の長期化に伴い中国の経済成長が鈍化したことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的な景気の失速となりました。また、わが国経済においては、相次ぐ自然災害、消費税増税などの影響に加え、新型コロナウイルスの感染拡大も伴い、先行きの不透明感が増した状況となっております。
このような環境のもと、当社製品の主要な需要先である自動車市場は、世界経済が失速したことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大によりお取引先様各社も工場の操業停止等の影響を受けた関係で、前連結会計年度に比べ需要が減少しました。また、建設機械市場も、中国の経済成長鈍化の影響を受け、前連結会計年度に比べ需要が減少しました。
当社グループの売上高につきましては、3,816億円と前連結会計年度に比べ306億円の減収となりました。
損益につきましては、免震・制振用オイルダンパーの不適切行為に伴う費用の計上等により、営業損失は402億98百万円(前連結会計年度営業損失284億96百万円)、税引前損失は414億19百万円(前連結会計年度税引前損失295億10百万円)となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期損失は、直近の業績動向を踏まえ、回収可能性について検討し、繰延税金資産を一部取り崩した影響により、618億79百万円(前連結会計年度親会社の所有者に帰属する当期損失247億57百万円)となりました。
(建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為の影響について)
前連結会計年度(2019年3月期)において、当社及び当社の子会社であるカヤバシステムマシナリー株式会社にて、製造・販売してきた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準(※)に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品を建築物に取り付けていた事実が判明いたしました。(※)制振用オイルダンパーについては、大臣認定制度はありません。
当連結会計年度末において、状況が進捗したことから免震・制振用オイルダンパーの製作費用、交換工事に要する費用、構造再計算費用、及び補償等の製品保証引当金について繰入及び取崩を行った影響額、並びに対応本部の人件費等の諸費用をその他の費用に計上しております。
なお、当連結会計年度においては、2020年3月31日時点で交換が未完了の不適合品及び不明の対象製品全数(免震用オイルダンパー4,038本、制振用オイルダンパー2,852本の合計6,890本)、並びに台湾輸出品のうち交換が未完了の不適合品及び不明の対象製品全数を製品保証引当金の対象としております。
本件に係る製品保証引当金の当連結会計年度末の残高は、457億99百万円であります。
セグメント別の業績は次のとおりです。
当セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成されております。
ⅰ) 四輪車用油圧緩衝器
四輪車用油圧緩衝器は、消費税増税に伴う国内市場の冷え込みに加え、海外の市況悪化、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動停滞の影響により、売上高は1,671億円と前連結会計年度に比べ1.5%の減収となりました。
ⅱ) 二輪車用油圧緩衝器
二輪車用油圧緩衝器は、主要な市場であるインドの市況悪化の影響で、売上高は282億円と前連結会計年度に比べ2.8%の減収となりました。
ⅲ) 四輪車用油圧機器
パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器は、電動パワーステアリングやCVT(無段変速機)用ベーンポンプの販売減少により、売上高は321億円と前連結会計年度に比べ23.8%の減収となりました。
ⅳ) その他製品
ATV(全地形対応車)用機器を中心とするその他製品の売上高は47億円となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は2,321億円となりました。営業損失は、減損損失の計上により95億48百万円となりました。
当セグメントは、産業用油圧機器、その他製品から構成されております。
ⅰ) 産業用油圧機器
建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、中国経済の成長鈍化による需要減少に加え、北米の市況悪化、相次ぐ自然災害や新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動停滞の影響により、売上高は1,170億円と前連結会計年度に比べ11.5%の減収となりました。
ⅱ) その他製品
鉄道用アクティブサスペンションシステム及び緩衝器を主とするその他製品の売上高は83億円と前連結会計年度に比べ0.3%の減収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,253億円となり、営業利益は51億5百万円(営業利益率4.1%)となりました。
(c) システム製品
当セグメントは、舞台機構、艦艇機器、免制振装置等から構成されております。
システム製品は、売上高は81億円と前連結会計年度に比べ4.5%の減収となり、免震・制振用オイルダンパーの不適切行為に伴う費用の計上等により、営業損失は339億85百万円となりました。
(d) 航空機器事業
当セグメントは、航空機器用離着陸装置、同操舵装置等から構成されております。
航空機器事業は、売上高は55億円と前連結会計年度に比べ2.6%の減収となり、営業損失は28億23百万円となりました。
当セグメントは、特装車両及び電子機器等から構成されております。
ⅰ) 特装車両
コンクリートミキサ車を主とする特装車両の売上高は86億円と前連結会計年度に比べ5.7%の減収となりました。
ⅱ) 電子機器等
電子機器等の売上高は19億円と前連結会計年度に比べ22.9%の減収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は105億円となり、営業利益は9億45百万円(営業利益率9.0%)となりました。
(百万円未満四捨五入)
流動資産は、現金及び現金同等物、棚卸資産、営業債権及びその他の債権等が減少しました。また、非流動資産につきましては、その他の金融資産、繰延税金資産が減少しました。この結果、総資産は306億円減少し、4,105億円となりました。
負債につきましては、借入金及び製品保証引当金が増加しました。負債総額は452億円増加し、3,306億円となりました。
資本は、当期損失に伴う利益剰余金の減少、為替影響によるその他の資本の構成要素の減少により、758億円減少して798億円となりました。
親会社所有者帰属持分比率は、資本が減少したことから18.1%と前連結会計年度末に比べ15.8ポイント悪化しました。
② キャッシュ・フローの状況
(百万円未満四捨五入)
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせて265億円の資金流出、また財務活動によるキャッシュ・フローは226億円の資金流入となり、為替換算により17億円減少し、現金及び現金同等物は前連結会計年度末比57億円減少し、504億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により当連結会計年度は50億円の資金流出となりました。これは主に税引前損失414億円、営業債務及びその他の債務の減少141億円、製品保証引当金の増加105億円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、前連結会計年度比57.9%増加の215億円となりました。これは主に有形固定資産の取得207億円等の資金流出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、226億円となりました。主な流出は、長期借入金の返済による支出130億円、主な流入は、長期借入金による収入292億円です。
当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
四輪車用・二輪車用油圧緩衝器およびパワーステアリング製品を主とするAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業、建設機械向け産業用油圧機器を主とするHC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業は、見込み生産を行っております。舞台機構、艦艇機器、免制振装置等を主とするシステム製品、航空機用の離着陸装置、操舵装置、制御装置等を主とする航空機器事業についても、一部製品においても正式受注が納期間際であることから、その殆どが内示に基づく見込み生産となっております。
特装車両事業および電子機器等についても、同様にその殆どが内示に基づく見込み生産となっております。 従って、受注高および受注残高を算出することは困難であることから、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主要な販売先(総販売実績に対する割合が10%以上)に該当するものは、ありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高が建設機械向け製品や四輪車用油圧緩衝器を中心とした数量減により前連結会計年度比7.4%減少の3,816億円、セグメント利益は176億円を計上しました。一方、免震・制振用オイルダンパーの不適切行為に伴う費用等を計上したことから、営業損失は403億円となりました。新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞から世界規模での生産停止となり、下期後半において、当社の主要事業であるAC事業、HC事業ともに販売が急減し、業績が大幅に悪化しました。新型コロナウイルスの感染拡大が、未だ収束の兆しが見えないことから、AC事業を中心に翌連結会計年度以降も業績への影響が続くものと思われます。
当連結会計年度は、前連結会計年度に公表しました免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為や、防衛省に対する不適切な工数計上による過大請求行為により失った信頼を回復すべく、グループガバナンス強化を含めた各種再発防止策に、全力を挙げて取り組んだ一年でした。なお、不適合ダンパーの適合化に関しては、順次交換等の作業を進めており、2021年3月末の完了を目指しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、鋼材等の原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入を基本としております。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響による資金需要に備えるため、2020年6月19日付で、総額446億円のコミットメントライン型シンジケートローン契約の締結及び160億円の資金の借入を実行いたしました。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース負債を含む有利子負債の残高は1,546億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は504億円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、次のとおりであります。2017年度期首に策定した中期経営計画において、売上高3,980億円・セグメント利益率6.5%・ROE10.0%を2019年度に達成することを目標としております。2019年度の各経営指標はそれぞれ売上高3,816億円・セグメント利益率4.6%となりましたが、ROEは免震・制振用オイルダンパーの不適切行為に伴う費用の計上等により、当期損失のため△55.4%となっております。2020年度は、新たに2020中期経営計画がスタートし、引き続き規範意識とコンプライアンス遵守を経営の根幹に据えながら、高収益体質への変革を目指す3年間となります。収益性・持続性のあるビジネスの追及や、誇りと働き甲斐を持てる職場作り、社会からの期待に向き合い応えていく姿勢を企業活動の基本とし、これまでのものの考え方、仕事の仕方を改めてまいります。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
なお、各セグメントの課題・リスクに対して、以下のような対応をしております。
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業においては、事業の運営体制の強化として、サスペンション事業部・ステアリング事業部・モーターサイクル事業部の3事業部制による引き合い受注管理の強化、新規立ち上げ機種の原価売価管理を実施しております。又、CVT(無段変速機)用ポンプの継続的な受注確保のための原価低減活動、中国地場メーカー参入に向けた販路開拓、欧州拠点やモーターサイクル拠点の生産体制の再編による利益拡大等にも取り組んでおります。
HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業においては、量に頼らない収益基盤の確立、新製品開発とリンクした工法開発と体制整備、市場変動に左右されない生産体制の構築、農業機械の販売強化や新製品の市場投入による売上高確保、国内・海外の全拠点の黒字定着化等の活動を進めております。
航空機器事業については、2018年度に判明いたしました防衛装備品の不適切な工数計上による請求問題の再発防止に向けた活動を進めるとともに、お客様からの信頼回復と採算性向上により、事業再生に取り組んでおります。
特装車両事業については、公共事業や都市開発など国内需要の確実な取り込みにより売上高とシェアを確保するとともに、新たな海外進出に向けた市場調査、採算性評価及び仕様確認等を進めております。
当社は、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク (2) 継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、当社が全ての該当金融機関と締結しているシンジケートローン契約(当連結会計年度末残高26,434百万円)に付された財務制限条項に抵触しております。
よって、当社は当該状況を解消すべく各金融機関と協議を行い、財務制限条項への抵触に関して、期限の利益喪失請求を行わないことに同意を得ております。
以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
当社は、建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為及び防衛省に対する不適切な工数計上に起因する資金需要に対し、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保するため、2019年9月30日付で、総額440億円のコミットメントライン型シンジケートローン契約(契約期間:2019年10月3日から2022年9月30日まで)を締結しました。
当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、本年よりスタートした新中期経営計画の「取り戻そう信頼と誇り」をスローガンとして、KYBグループ一丸となり研究開発活動を今後も精力的に推進してまいります。
現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化への対応および軽量化や省エネルギー、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってKYBの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。
当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。
研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品および性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と各事業技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定め、活動を進めています。また、工機センターでは、先進性に溢れた信頼性の高い設備や金型の内製化に取り組んでおり、生産技術研究所で開発された新しい工法や各工場で培われたノウハウの具現化を推進しています。
一方で、従来からの研究開発および製品化に向けた体制に加え、新しい時代に対応するための取組みも始めています。
まず、2018年に欧州に技術者駐在員事務所を設置いたしました(欧州テクニカルセンターと同敷地内)。自動車、油圧機器を問わず、欧州地区をはじめとする世界の最先端情報を収集することで、技術トレンドの把握と社内の研究開発テーマへのブレークダウンを行っています。
更に、AIやIoTなどのデジタル技術の全社的推進ならびにこれらの醸成を目的とし、2019年にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進部を創設いたしました。当社グループのIoTプラットフォームの構築をはじめ、生産性や品質の向上、AIを活用したモノづくりをはじめ、製品開発や新サービスの展開により、今まで以上にお客様に安心してお使いいただける製品のご提供を目指していきます。
当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売および製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の研究所をはじめとする機能部門や、各事業の技術・生産・品質部門が支援、協業する体制をとっています。
製品の高機能化やシステム化におきましては、当社独自の取組みは勿論のこと、お客様あるいは関連機器サプライヤとの共同研究開発を推進するとともに、効率的な研究開発推進のために産学交流による最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。また、昨今、製品機能の高度化・複雑化に対応すると共に、開発効率の向上を図るため、全社的にモデルベース開発(MBD)の推進に取り組んでいます。これにより、開発期間の短縮と共にお客様からのニーズに素早く対応し、ご高評をいただけるように努めていきます。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は
自動車業界が100年に一度と言われる大変革期を迎える中、AC事業本部(サスペンション・ステアリング・モーターサイクルの各事業部で構成)は、欧州向け自動車用部品の開発機能の拡充を目的に、ドイツミュンヘン市内に欧州テクニカルセンターを設立し、欧州顧客ニーズ収集と併せたグローバル商品開発力強化及び欧州におけるOEMビジネスの拡充を図っています。また、次世代自動車技術開発に向け、欧州における先行技術情報の収集機能の強化により、世界的なトレンドの把握と具体的な製品開発への展開を行っています。
また、当社はテストコースを保有し、これを活用することによって、サスペンションモジュールやシステム、ステアリングを含めた車両軸での評価技術を強化しています。
四輪車用の油圧緩衝器では、摺動部やバルブ構造に革新的な改良を施すことで、乗り心地と操縦安定性の更なる向上を狙った製品の開発を継続しています。この結果、乗り心地質感やライントレース性を両立したProsmooth技術がトヨタ自動車様のカローラを始めとした派生車種への採用に加え、カムリWSグレードや、ダイハツ工業様のロッキーやコペンGRにも採用が広がっています。加えて、従来は実現困難であった極微低速での減衰力をコントロールできるSwingValveを新開発し、同じくトヨタ自動車様のレクサスESに続き、マークXGRMNでも採用いただき高評価をいただいております。現在、多数のお客様から開発依頼をいただき、採用に向けて信頼性評価を推進しています。また、世界最小の減衰力調整部により車両搭載性に優れ、かつ世界トップレベルの性能を有する電子制御サスペンションがトヨタ自動車様のクラウンに採用されました。なお、これらに適用した技術はお客様から高い評価を得ることができ、幾つかの表彰もいただいています。
欧州市場においても、高い車両安定レベルを実現した新開発のDHS(Double Hydraulic Stop)や新開発の電子制御サスペンション(システム提供)がPSA様に採用されるなど高い評価を得ています。
二輪車用の緩衝器でも、四輪車用と同様に高性能・高機能化に加え、電子制御式サスペンションの開発を進めています。KYB独自開発による制御システムと新開発サスペンションを組み合わせ、従来に無い接地性と乗り心地を実現する新システムの開発が完了し、採用に向けた信頼性評価を推進しています。
四輪車用電動パワーステアリング機器では、システムの一部に問題が生じたとしても機能停止することなく動作し続けられるよう(フォールトトレラント設計)、冗長性を備えた電装品開発を進めています。
また、乗用車用以外のカテゴリーでも幅広くステアリング製品の拡販活動を継続しています。新規のお客様としてオフロード車両(ROV)世界シェアNo.1の米国ポラリス社様に乗用車向けに培ったピニオン式EPS技術をご評価いただき、前2輪の3輪車両・スリングショットへ量産を開始すると共に、その他車両の受注も決定いたしました。本製品は従来他社品に対し部品点数削減と軽量化を実現し、また、当社グループ会社のKYBトロンデュールで生産するコントローラ一体型モータの採用による高出力、内製によるソフトウェア対応自由度の高さ等がご高評いただいており、ご採用拡大に向け商談中です。
更に将来の自動運転に向けては、電子制御サスペンションと電動ステアリングの技術を融合した統合システムの開発を進めています。
四輪用トランスミッション用オイルポンプ製品では、効率、静粛性に優れたベーンポンプが、ジヤトコ様の無段変速機(CVT)に採用されています。2019年には軽自動車専用(日産自動車様、三菱自動車様の新型車両)の無段変速機へ搭載される油圧源用ベーンポンプを新開発し、現行品に対し性能は高レベルを維持したまま、低コスト・小型化を実現しました。開発初期段階から生産・技術・販売一体となり、コスト低減効果が大きいアイテムを多数採用することでお客様から高い評価を得ることができ、 その結果、お客様からの表彰もいただいています。
当セグメントにおける研究開発費の金額は
② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業
建設機械、農業機械の情報化施工や自動化が進む中で、これに対応するため油圧機器の電子制御化モデルの開発とラインアップ化を継続して進めています。まず、電子制御化に対応した5トン~6トンミニショベル用ピストンポンプPSVL-64を2020年3月から量産を開始しました。更に、各セクションに電磁弁を搭載可能とした16~30トンショベル用コントロールバルブKVMG-270の開発を完了しています。また、汎用モデルとしては6~8トン用ミニショベルに対応したロードセンシングバルブKVSX-18を2020年1月から量産を開始しました。農業機械用としては一体型HST(Hydro-Static Transmission)に加え、小型車両用に対応したタンデムポンプPSVH2-30の電子制御化も開発を完了しており、KVMG-270同様にお客様からのご要望に即座にお応えできる体制を整えています。
当セグメントにおける研究開発費の金額は
システム製品は、舞台装置の主幹製品である舞台機構操作卓の機能拡充に関する開発を行いました。今後もエンドユーザー様が直接手に触れる操作系デバイスの開発に注力していきます。
当セグメントにおける研究開発費の金額は
航空機器事業は、防衛省及び民間航空機向けの製品開発を実施しております。Boeing様で開発中のB777-Xが2020年1月より飛行試験を開始しており、当社はアクチュエータを供試しています。
当セグメントにおける研究開発費の金額は
⑤ 特装車両事業および電子機器等
特装車両事業は、ユーザー様の使い勝手を改善した環境対応型(省エネ・低騒音・排ガス削減)電子制御ミキサ車(eミキサⅢ)を開発中で、機器のメンテナンス時期や現在の車両の状況を通知できる表示機を搭載し、2020年度にモニタ評価を開始します。更に、積載量向上という市場ニーズにお応えするために、高強度薄肉軽量型ミキサの開発中であり、同様にモニタ評価を開始します。
当セグメントにおける研究開発費の金額は