第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の国内経済につきましては、緩やかな景気回復が続きました。一方、世界情勢につきましては、英国のEU離脱表明や米国における新政権誕生などを背景に、政治および経済の先行きの不確実性が高まりました。これらを背景に、為替の動向につきましては、前連結会計年度に比べ大幅な円高ドル安に推移いたしました。

当社グループは、SUBARUがお客さまの心の中で際立った存在になることを目指して、2014年に策定いたしました中期経営ビジョン「際立とう2020」の取り組みを通じ、徹底的に考え抜いたクルマづくり、確かなモノづくりを貫き、お客様への「安心と愉しさ」の提供を追求していくための努力を続けてまいりました。また、重点取り組みであります「SUBARUブランドを磨く」をさらに加速させるため、当社の事業ポートフォリオを総合的に検討した結果、今後の持続的成長の実現を目指し、事業の中核である自動車事業のさらなる競争力の強化に向けて、経営資源をより有効に活用するために、産業機器事業を終了することを決定いたしました。そして当社は、第85期定時株主総会の決議事項に基づき、2017年4月1日をもちまして、富士重工業株式会社から株式会社SUBARUへ社名変更いたしました。

当連結会計年度は、当社の重点市場であります北米市場が前連結会計年度に引き続き世界販売を牽引し、自動車売上台数は当社として初の100万台超えを記録するなど、着実に取り組みの成果を出すことができました。

これらの取り組みの結果、当連結会計年度の連結決算は次のとおりとなりました。

売上高は、自動車売上台数の増加などにより、為替変動に伴う売上高の減少を吸収し、過去最高となる3兆3,260億円前連結会計年度に比べ937億円2.9%)の増収となりました。

利益面につきましては、自動車売上台数の増加や原価低減の進捗などがあったものの、エアバッグインフレータ※に起因する品質関連費用および米国の金利上昇に伴う販売費を中心とした諸経費等の増加、為替変動の影響、試験研究費の増加により、営業利益が4,108億円前連結会計年度に比べ1,548億円27.4%)の減益となり、経常利益につきましても、3,943億円前連結会計年度に比べ1,826億円31.7%)の減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、2,824億円前連結会計年度に比べ1,543億円35.3%)の減益となりました。

※:エアバッグの膨張装置

 

(単位 金額:百万円、比率:%)

 

売上高

 

 

親会社株主

為替レート

営業利益

経常利益

に帰属する

(利益率)

(利益率)

当期純利益

 

 

 

 

(利益率)

 

2017年3月期

3,325,992

410,810

394,330

282,354

108円/米ドル

 

(12.4)

(11.9)

(8.5)

119円/ユーロ

2016年3月期

3,232,258

565,589

576,972

436,654

121円/米ドル

 

(17.5)

(17.9)

(13.5)

133円/ユーロ

増減

93,734

△154,779

△182,642

△154,300

 

増減率

2.9

△27.4

△31.7

△35.3

 

 

 

セグメントの業績は次のとおりであります。なお、前連結会計年度までご報告いたしておりました「産業機器事業」につきましては、事業終了を決定したことに伴い、当連結会計年度より「その他事業」の区分に含めて記載しております。また、以下の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。

(単位 金額:百万円、比率:%)

 

売上高

セグメント利益

2016年3月期

2017年3月期

増減

増減率

2016年3月期

2017年3月期

増減

増減率

自動車

3,039,424

3,151,961

112,537

3.7

543,609

397,657

△145,952

△26.8

航空宇宙

152,786

138,759

△14,027

△9.2

18,201

9,102

△9,099

△50.0

その他

40,048

35,272

△4,776

△11.9

2,998

3,512

514

17.1

調整額

781

539

△242

△31.0

合計

3,232,258

3,325,992

93,734

2.9

565,589

410,810

△154,779

△27.4

(注)1.売上高は、外部顧客への売上高であります。

   2.セグメント利益の調整額は、セグメント間取引消去であります。

 

 

① 自動車事業

当連結会計年度の国内の自動車全体需要は、登録車につきましては、各社の新型車投入の影響などにより前連結会計年度比8.1%の増加となり、軽自動車につきましては、前連結会計年度からの軽自動車税増税の影響などにより前連結会計年度比5.1%の減少となり、国内自動車全体では507.8万台(前連結会計年度比2.8%の増加)となりました。また、当社の重点市場であります米国の自動車全体需要は、乗用車系からSUV(多目的スポーツ車)を含むライトトラック系へ移行が進み、前連結会計年度並みの1,748.9万台となりました。

このような全需動向の中、国内の登録車につきましては、全面改良を行った「インプレッサ」に加え、「レヴォーグ」および「フォレスター」の販売が好調に推移したことにより、売上台数は12.6万台と前連結会計年度に比べ1.5万台(13.3%)の増加となりました。また、軽自動車につきましては、新型車「シフォン」が販売に寄与したものの、その他車種が減少したことにより、売上台数は3.3万台と前連結会計年度に比べ0.1万台(3.4%)の減少となりました。これらの結果、売上台数の合計は、15.9万台と前連結会計年度に比べ1.4万台(9.4%)の増加となりました。

海外につきましては、北米で「アウトバック」が好調を維持する中、米国生産拠点であるスバル オブ インディアナ オートモーティブ インク(以下SIA)の生産能力増強が寄与し、大幅に売上台数が増加しました。加えて、北米を中心に「クロストレック(日本名:SUBARU XV)」および「フォレスター」が年度を通して好調を維持しました。これらの結果、売上台数の合計は、90.6万台と前連結会計年度に比べ9.3万台(11.4%)の増加となりました。

地域別には、北米で72.1万台と前連結会計年度に比べ9.0万台(14.3%)の増加、ロシアを含む欧州で4.6万台と前連結会計年度に比べ0.1万台(2.6%)の減少、豪州で4.9万台と前連結会計年度に比べ0.4万台(10.1%)の増加、中国で前連結会計年度並みの4.4万台、その他地域で前連結会計年度並みの4.6万台となりました。

以上の結果、国内と海外を合わせた売上台数は、過去最高となる106.5万台と前連結会計年度に比べ10.7万台(11.1%)の増加となり、全体の売上高は3兆1,520億円前連結会計年度に比べ1,125億円3.7%)の増収となりました。また、セグメント利益につきましては、エアバッグインフレータに起因する品質関連費用および米国の金利上昇に伴う販売費を中心とした諸経費等の増加、為替変動の影響、試験研究費の増加により、3,977億円前連結会計年度に比べ1,460億円26.8%)の減益となりました。

なお、当連結会計年度の連結売上台数は以下のとおりです

 

(単位 台数:万台、比率:%)

 

2016年3月期

2017年3月期

増減

増減率

国内合計

14.5

15.9

1.4

9.4

 

登録車

11.2

12.6

1.5

13.3

 

軽自動車

3.4

3.3

△0.1

△3.4

海外合計

81.3

90.6

9.3

11.4

 

北米

63.0

72.1

9.0

14.3

 

欧州・ロシア

4.8

4.6

△0.1

△2.6

 

豪州

4.5

4.9

0.4

10.1

 

中国

4.4

4.4

△0.0

△0.9

 

その他地域

4.6

4.6

△0.0

△0.5

総合計

95.8

106.5

10.7

11.1

 

 

② 航空宇宙事業

防衛省向け製品では、新多用途ヘリコプター「UH-X」の契約に基づく開発本格化などにより、売上高は前連結会計年度を上回りました。

一方、民間向け製品では、為替変動に伴う売上高の減少および「ボーイング777」の生産機数減少などにより、売上高は前連結会計年度を下回りました。

以上の結果、全体の売上高は1,388億円前連結会計年度に比べ140億円9.2%)の減収となりました。また、セグメント利益につきましても、91億円前連結会計年度に比べ91億円50.0%)の減益となりました。

 

③ その他事業

産業機器事業において、北米向けレジャービークル用エンジンの販売が減少したことにより、売上高は353億円前連結会計年度に比べ48億円11.9%)の減収となりました。また、セグメント利益につきましては、35億円前連結会計年度に比べ5億円17.1%)の増益となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、7,286億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は3,454億円前連結会計年度は6,143億円の増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上3,947億円、未払費用の増加882億円、法人税等の支払2,082億円などであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は2,543億円前連結会計年度は2,557億円の減少)となりました。主な要因は、有価証券の取得による支出(売却による収入との純額)369億円、固定資産の取得による支出(売却による収入との純額)1,624億円、貸付けによる支出(回収による収入との純額)193億円などであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は1,890億円前連結会計年度は1,262億円の減少)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出(借入れによる収入との純額)217億円、自己株式の取得による支出527億円、配当金の支払1,114億円などであります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。なお、以下の前年同期比については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で計算しております。

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2016年4月1日

  至 2017年3月31日)

前年同期比(%)

自動車

 

 

 

小型・普通自動車

(台)

1,055,756

+11.0

航空宇宙

(百万円)

120,893

△3.7

その他

(百万円)

24,249

△12.3

 

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

なお、自動車事業については見込生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

航空宇宙

176,870

+0.2

292,758

+15.5

 

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2016年4月1日

  至 2017年3月31日)

前年同期比(%)

自動車

(百万円)

3,151,961

+3.7

航空宇宙

(百万円)

138,759

△9.2

その他

(百万円)

35,272

△11.9

合計

(百万円)

3,325,992

+2.9

 

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

当社は、以下を企業理念としております。

 

企業理念

1.常に先進の技術創造に努め、お客様に喜ばれる高品質で個性のある商品を提供します。

2.常に人、社会、環境の調和を目指し、豊かな社会づくりに貢献します。

3.常に未来を見つめ国際的な視野に立ち、進取の気性に富んだ活力ある企業を目指します。

 

 

当社は、2017年4月1日をもちまして、社名を株式会社SUBARUに変更いたしました。社名とブランド名の統一を実施することにより、現在、中期経営ビジョン「際立とう2020」で取り組んでいる「SUBARUブランドを磨く」ことをさらに加速させ、SUBARUを自動車と航空宇宙事業における魅力あるグローバルブランドとして成長させてまいります。

 

当社グループは、中期経営ビジョン「際立とう2020」におきまして、2020年のありたい姿を「大きくはないが強い特徴を持ち質の高い企業」と定め、“お客様の信頼№1”という評価をいただくことができるような高いブランド力と業界高位の利益率を実現することを目指しております。そして、その実現のため、個性的なSUBARUならではの特徴を活かし、付加価値経営のさらなる推進を目指す「SUBARUブランドを磨く」、経営環境変化への耐性を高め持続的な成長を確実なものとする「強い事業構造を創る」という2つの活動に集中した取り組みを進めております。その結果、世界の多くのお客様からご支持をいただくことができており、順調に成長してきております。

引き続き、短期的課題には迅速に対応しつつ、中長期的な課題にも並行して取り組むことで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

(1)短期的課題

(品質向上の取り組み)

「安心と愉しさ」をお客様へ提供する当社におきまして、商品の品質向上は重要な経営課題のひとつであります。エアバッグインフレータに起因するリコール対応の本格化など、リコール対応件数は増加傾向にあることから、新たにCQO(最高品質責任者)を設置し、さらなる品質向上に向け、リソースを積極的に振り向けるとともに、コールセンターの拡充や対策部品のスムーズな供給、販売特約店での作業効率向上などを行い、お客様対応品質の向上に努めてまいります。

 

(生産能力の増強)

販売が好調に推移する中、能力増強投資は継続して行い、2016年度末の生産能力は、国内と海外の合計で103.8万台※となりました。また、2018年度末のグローバル生産能力113.2万台※に向け、計画どおりに能力増強を進めております。これらの対応により、お待ちいただいているお客様に1日でも早く商品をお届けできるよう、鋭意努力してまいります。

※:標準操業における生産能力

 

(2)中長期的課題

(SUBARUらしさを追求した商品の拡充)

各国の環境規制はさらに厳しくなることを見通しており、開発体制を強化し、プラグインハイブリッド、電気自動車などの電動車ならびに新型ダウンサイジングターボエンジンなどの開発を進め、規制への対応を図りながら、魅力的な商品を展開してまいります。

安全面では、先進運転支援システム「アイサイト」をさらに進化させ、2017年は車線中央維持機能の作動速度域の拡大や、ハンドル・アクセル・ブレーキを全車速域で自動制御し、運転負荷を大幅に軽減する機能を導入する予定です。また、2020年に、カーブ走行や車線変更など自動制御で走行できる機能を強化して運転負荷のさらなる軽減を目指しております。衝突安全性能に関する各国の評価基準が厳しくなる中、引き続きトップレベルの安全性能が堅持できるよう、開発を進めてまいります。

また、「安心と愉しさ」をさらに進化させるために、「SUBARU GLOBAL PLATFORM(スバルグローバルプラットフォーム)」を採用した新型車・全面改良車を、切れ目なく投入してまいります。

そして、自動車ビジネスにおいても情報化技術の進化や活用が加速・拡大しているため、CIO(最高情報責任者)ならびにIT戦略本部を設置し、デジタル分野の企画開発にさらに注力していきます。

 

(質の高い企業を目指す取り組み)

経営規模の拡大に伴い、経営と業務執行の分離による監督機能の強化と業務執行のスピードアップを狙いとする取締役会機能の強化、譲渡制限付株式報酬制度の導入による役員報酬制度の見直し、そして経営管理本部、CQO、CTO(最高技術責任者)、CIOを新設し、経営全般に係るグローバルでの経営管理、事業監視機能の強化を図ってまいります。

また、CSRや環境分野への社会の要請が強まるとともに、経営上の重要性も増していることから、専任部署を新設して取り組みを強化してまいります。環境への取り組みにつきましては、環境方針を改定し、地球環境保護こそが社会と当社の未来への持続性を可能とする最重要テーマとして、“『大地と空と自然』がSUBARUのフィールド”をコンセプトに活動をさらに加速してまいります。

 人材育成、組織・風土改革の取り組みにつきましては、重要課題と位置付けている女性の活躍推進に向けて引き続き管理職への登用を進めており、さらに女性が活躍しやすい会社を目指してまいります。そして、当社グループの従業員の心と体の健康を守る職場環境づくりに取り組んでまいります。

 以上の取り組みを通じ、コーポレートガバナンスの実効性を高め、コンプライアンスを遵守し、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指してまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、以下は当社グループに関する全てのリスクを列挙したものではありません。

 

(1)経済の動向

当社グループの主要な市場である国及び地域の経済情勢の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。国内はもとより当社グループの主要市場である北米における景気後退及び需要減少、又は価格競争の激化が進むことにより、当社グループの提供する商品・サービスの売上高や収益性において悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替の変動

当社グループにおいて、海外売上高の割合は80.4%を占め、売上高、営業利益、資産等の中には、米ドルを中心とした現地通貨建ての項目が含まれており、連結財務諸表作成時に円換算しております。従って通期の見通しにおいて想定した為替レートに対し、実際の決算換算時の為替レートに乖離が生じた場合、主に円高局面では当社グループの業績と財務状況はマイナスに作用し、円安局面ではプラスに作用する可能性があります。

こうした為替リスクを最小限に軽減すべく、当社では為替予約等によるヘッジを実施しており、状況に応じ為替予約等のヘッジオペレーションを行っております。ただし、期末日の極端な為替変動によりデリバティブ評価損等に影響を及ぼし、営業外損益が大きく変動する可能性があります。

 

(3)特定事業への依存

当社グループは、自動車事業の他に航空宇宙事業等の事業で構成されていますが、事業規模として自動車事業が突出しているため、自動車事業に関わる需要や市況、同業他社との価格競争力などが予測し得る水準を超えた場合に、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)市場評価の変動

市場の需要動向、お客様ニーズに基づく商品企画により、適切なタイミングと価格で新商品を開発・製造し、市場に投入することが、当社グループの安定した業績向上に関して最も大切なことであります。市場における新型車をはじめとした新商品の評価が当社グループの狙いとした販売計画の想定に満たない場合や、現行の商品の陳腐化が想定以上に進んだ場合には、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)特定の原材料及び部品の購入

当社グループでは、原材料及び部品等を多数の取引先から調達しておりますが、特定の原材料および取引先に依存している場合があり、需給状況の逼迫等により、安定したコスト・納期・品質で調達できない場合、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知的財産の保護

当社グループでは、他社製品と差別化できる技術、ノウハウ等の知的財産の保護のために最善の努力を尽くしておりますが、第三者が当社グループの知的財産を不当に使用した類似製品を製造した場合や、知的財産に係わる紛争が生じて当社に不利な判断がなされる場合には、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)製品の欠陥

当社グループでは、安全を最優先として製品の開発・製造・販売を行っておりますが、全ての製品、サービスに関して欠陥が無く、リコール等が発生する可能性がないとは言えません。大規模なリコール等を実施する事態になれば、多額のコストが発生することに加え、ブランドイメージの毀損等により、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)退職給付債務

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上設定した退職給付債務の割引率及び年金資産の長期期待運用収益率といった前提条件に基づいて算出しております。しかし、実際の結果が前提条件と異なる場合には、将来にわたって当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)環境等に関する法的規制

国内外ともに排出ガス規制、省エネルギーの推進、騒音、リサイクル、製造工場からの汚染物質排出レベル及び自動車等の安全性に関しては、様々な法的規制を受けております。今後、そうした法的規制が強化されることによるコストの増加が、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)災害・戦争・テロ・ストライキ等の影響

大規模な地震、台風等の自然災害、疾病、戦争、テロ等の発生により、当社グループの事業活動が妨げられ、原材料・部品の購入、生産、製品の販売及び物流、サービスの提供などに遅延や停止が生ずる可能性があります。こうした遅延や停止が発生し長引くようであれば、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

2006年3月 トヨタ自動車株式会社と業務提携

2008年4月 トヨタ自動車株式会社、ダイハツ工業株式会社と開発・生産における新たな協力関係に合意

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、中期経営ビジョン「際立とう 2020」におきまして、2020年の当社のありたい姿を、「大きくはないが強い特徴を持ち、質の高い企業」と定め、その実現のため、「SUBARUブランドを磨く」、「強い事業構造を創る」という2つの活動に集中し、研究開発活動を進めております。当連結会計年度におけるグループ全体での研究開発費総額は114,215百万円です。セグメン卜ごとの研究開発活動状況および研究開発費は次のとおりです。

 

(1)自動車事業

自動車の研究開発では、 「際立とう2020」 の 「SUBARUブランドを磨く6つの取り組み」 で掲げた総合性能、安全、デザイン、環境対応、品質向上に取り組み、「安心と愉しさ」でお客様の期待を超える商品の開発を推進しております。加えて「強い事業構造を創る8つの取り組み」での、アライアンス商品開発、コスト低減、人材育成、組織・風土改革などを通じ、開発力の基盤強化を図っております。

 

① SUBARUブランドを磨くための新技術開発

「スバルグローバルプラットフォーム」や国内初となる「歩行者エアバッグ」と「アイサイト(ver.3)」の全車採用など、感性に響く動的質感と世界最高水準の安全性能を実現した新型「インプレッサ」を2016年10月に国内で発売し、その後順次世界各国で発売いたしました。「スバルグローバルプラットフォーム」は次世代のSUBARUを構成する基盤技術であり、新型「インプレッサ」は、採用第1弾となります。今後電動化を含めて当社が独自に開発する新型車に採用していきます。この他にも、お客様に提供する価値である 「安心と愉しさ」 を進化させるべく、環境性能を更に高めたパワーユニット、次期電動化商品など、多岐に渡り研究開発を推進しております。

また当社は交通事故ゼロに向けて「アイサイト」を中核とした“究極の先進安全運転支援“を目指します。運転負担軽減を目指した全車速での追従運転支援技術や高速道路での自動運転機能の開発も推進しています。

 

② 安全性能向上への取組み

新たに市場導入した商品は、世界各国の第三者評価でトップクラスの安全性能評価を獲得しています。評価基準が強化された米国IIHS(道路安全保険協会)による2017年安全性能評価では、高い衝突安全性能と衝突予防性能が必要な最高評価 「トップセーフティピック+」 を 「レガシィ」、「アウトバック」、「フォレスター」、新型「インプレッサ」が獲得しました。特に新型「インプレッサ」は、新規導入されたヘッドライト性能評価やチャイルドシート取り付け性評価においても最高評価を獲得し、小型車として唯一、米国IIHSの全評価項目で最高評価を獲得した車種として認定されました。

国内では、国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が実施する、2016年度予防安全性能アセスメントにおいて、「アイサイト」を搭載する新型「インプレッサ」、「レガシィ」、「フォレスター」、「レヴォーグ/WRX S4」が最高ランクであるJNCAP「予防安全性能評価 ASV++」を獲得しました。その中でも新型「インプレッサ」は、過去最高得点を獲得し、2016年度「衝突安全性能評価大賞」も受賞しました。

また、欧州の新車評価基準であるユーロNCAP2016年安全性能総合評価で「レヴォーグ」が最高評価の「ファイブスター」を獲得しました。

JNCAP予防安全性能アセスメント、ユーロNCAP安全性能総合評価ともに2016年より対歩行者の安全性能評価が加えられており、「アイサイト」を核とした予防安全性能の高さを実証しています。2016年11月には「アイサイト」搭載モデルの世界累計販売台数が100万台を超えました。当社は今後も「アイサイト」のグローバル展開を順次拡大していきます。

 

③ 新商品の開発状況

当連結会計年度において、特に国内については、「安心と愉しさ」でお客様の笑顔に答えるべく下記のような商品展開を図りました。

 

(ⅰ)2016年7月に 「レヴォーグ」 の最上級グレードとして、「レヴォーグSTI Sport」を追加しました。SUBARUのモータースポーツ統括会社であるスバルテクニカインターナショナルとのコラボレーションにより、走りのパフォーマンスの進化に加え、走り始めからすぐに分かる上質な乗り味と高い操縦安定性を実現。さらに、走りの質感に相応しい洗練された専用内外装を採用することで、レヴォーグの魅力を最大限に引き出しました。

 

(ⅱ)2016年8月に 「BRZ」の大幅改良を実施しました。パワーユニットの吸排気系見直し、ボディの全体剛性の強化、シャシーの改良により全性能を進化させ、走行性能を飛躍的に向上させました。またフェイスリフトによりスバルらしいスポーティさを強調したエクステリアやインテリアの大幅な質感向上によって、より洗練されたスポーツカーへと磨き上げています。加えて2016年10月には、ZF社製のSACHS(ザックス)ダンパーやBrembo社製ブレーキを採用して走りのパフォーマンスと上質感を追求した最上級グレード“GT”を追加しました

 

(ⅲ)2016年11月に 新型コンパクトトールワゴン「ジャスティ」を発売しました。最小回転半径を4.6mとし、車体寸法を5ナンバー枠に収めつつ、広い室内空間を確保することで、運転しやすさと快適な室内を両立いたしました。エンジンは、1.0L NAエンジンと新開発の1.5L相当のパワーを発揮する1.0Lターボエンジンの2つをラインアップ。アイドリングストップ機能を全車に標準装備し、クラストップレベルの低燃費を実現しています。

 

(ⅳ)軽自動車は、2016年12月に 新型車「シフォン」を発売しました。SUBARU初のモアスペース系の軽自動車として、クラストップレベルの室内空間を実現しています。安全面では、ステレオカメラを採用した新開発の「スマートアシストⅢ」を全車に標準装備しました。作動速度域の拡大や対歩行者への緊急ブレーキの作動、ハイビームアシストなど、安全性をさらに高めています。

 

「ジャスティ」および軽自動車は、ダイハツ工業より、アライアンスの成果としてOEM供給を受ける商品であります。

 

当事業に関わる研究開発費は111,157百万円であります。

※「スマートアシスト」はダイハツ工業株式会社の登録商標です。

 

(2)航空宇宙事業 

航空宇宙カンパニーは将来にわたる持続的成長に向け、新規事業開拓及び生産性向上を中心とした以下の研究開発を行っております。回転翼機分野では、新中型ヘリコプタのトランスミッションの能力向上や機体耐久性改善等の国際共同開発を行っています。また、パイロットの負担軽減技術の研究開発にも取り組みました。また、無人機分野では、防衛や防災等に活躍できる無人機の高機能・高信頼化の研究開発を推進し、固定翼機分野では、構造の軽量化及び高機能化に加えて、コスト低減を狙った部品加工・組立プロセスの研究開発を行っております。さらに、炭素繊維強化複合材料や先進金属等の高効率加工技術、組立・穿孔作業の自動化など生産技術分野においても積極的に取り組み、コスト競争力を高める研究開発を行っております。

当事業に関わる研究開発費は2,660百万円であります。

 

(3)その他事業

産業機器事業終了決定に伴い、研究開発活動は基本的に停止しておりますが、従前からのお客様との契約等に基づきエンジン開発を一部継続しております。その研究開発費は354百万円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、様々な見積りによる判断が行なわれておりますが、見積りに内在する不確実性により、実際の結果は異なることがあります。

連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりですが、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある見積りを含む会計方針は以下のとおりであります。

① 貸倒引当金

売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、将来、取引先等の財務状況が悪化するなどにより支払能力が低下した場合、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

② 製品保証引当金

販売した製品のアフターサービスに備えるため、原則として保証書の約款に従い、過去の実績を基礎に将来の保証見込みを加味して計上しておりますが、実際の保証費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要になる可能性があります。

③ 退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産

将来の退職給付の支払いに備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上しておりますが、この計算は主として数理計算上で設定される前提条件に基づいて行なわれております。この前提条件には、割引率、将来の給与水準、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率などが含まれており、それぞれの条件は現時点で充分に合理的と考えられる方法で計算されておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性があります。

④ 投資有価証券

価格変動性の高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式を保有しておりますが、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。将来の市況悪化や投資先の業績不振など、現在の簿価に反映されていない損失が発生するなどにより簿価の回収が困難となる状況となった場合、減損の追加処理が必要となる可能性があります。

⑤ 繰延税金資産

繰延税金資産の回収可能性については、現時点において将来の課税所得を合理的に見積った上で判断しておりますが、将来、繰延税金資産の全部又は一部が回収できないと判断した場合、繰延税金資産の減額を行い、税金費用が発生する可能性があります。

 

(2) 資産・負債の状況の分析

総資産につきましては、2兆7,623億円前連結会計年度末に比べ1,699億円の増加となりました。主な要因は、現金及び預金と有価証券を合わせた手許資金の減少287億円、商品及び製品の増加133億円、短期貸付金の増加245億円、有形固定資産の増加846億円などであります。

負債につきましては、1兆2,974億円前連結会計年度末に比べ544億円の増加となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金と電子記録債務を合わせた仕入債務の増加237億円、未払法人税等の減少864億円、未払費用の増加886億円などであります。

純資産につきましては、1兆4,649億円前連結会計年度末に比べ1,155億円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金の増加1,243億円などであります。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性に係わる分析

当社は、現金及び現金同等物に加え、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、現在必要とされ
る資金水準を満たす流動性を保持していると考えています。

有利子負債は、1,483億円と前連結会計年度に比べて217億円の減少となりました。デット・エクイティ・レシ
オは10.2%になり、安全性を維持しています。

今後の設備投資や研究開発の支出計画によっては、資金の調達、また、現預金残高の取り崩しをする可能性があります。

 

(4) 当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の売上高は3兆3,260億円と、前連結会計年度に比べ937億円(2.9%)の増収となりました。国内売上高は、売上台数の増加などにより、6,503億円449億円(7.4%)の増収となりました。海外売上高につきましても、売上台数の増加などにより、2兆6,756億円と488億円(1.9%)の増収となりました。

営業利益は、4,108億円と、前連結会計年度に比べ1,548億円(27.4%)の減益となりました。主な増益要因は、諸経費等の増加や為替レート差であります。

経常利益は、3,943億円と前連結会計年度に比べ1,826億円(31.7%)の減益となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、2,824億円と前連結会計年度に比べ1,543億円(35.3%)の減益となりました。

 

(5) キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況につきましては、「1.業績等の概要」に記載しております。