第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものであります。

(1) 企業理念、経営理念

<企業理念>

1.私たちは常に先進の技術創造に努め、お客様に喜ばれる高品質で個性のある商品を提供します。

2.私たちは常に人、社会、環境の調和を目指し、豊かな社会づくりに貢献します。

3.私たちは常に未来を見つめ国際的な視野に立ち、進取の気性に富んだ活力ある企業を目指します。

 

<経営理念>

お客様第一を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指す。

 

当社は、上記に掲げる企業理念並びに経営理念に基づき、SUBARUを自動車と航空宇宙事業における魅力あるグローバルブランドとして持続的に成長させて、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。

 

(2) 中期経営ビジョン

当社グループは、「安心と愉しさ」の提供を通じて、お客様から共感され、信頼していただける存在となることを目指して、新たな中期経営ビジョン「STEP」を策定し、2018年7月に公表いたしました。当社のありたい姿を「モノをつくる会社から笑顔をつくる会社へ」とし、その実現に向け、2025年ビジョンとして次の3項目を掲げました。

 

<2025年ビジョン>

1.個性を磨き上げ、お客様にとってDifferentな存在になる

2.お客様一人一人が主役の、心に響く事業活動を展開する

3.多様化する社会ニーズに貢献し、企業としての社会的責任を果たす

 

「STEP」では、取り組みの最優先事項に「組織風土改革」を掲げ、品質改革をはじめとする「会社の質の向上」、“人の命を守る”ことにこだわり、2030年に死亡交通事故ゼロ※を目指す安心・安全への取り組みなどを通じた「強固なブランドの構築」、そして「集中戦略を軸とした持続的成長」の取り組みを進めてまいります。

 

※SUBARU乗車中の死亡事故及びSUBARUとの衝突による歩行者・自転車等の死亡事故をゼロ

 

(3) 対処すべき課題

① 完成検査に係る不適切事案への対応

当社は、2017年10月に判明した完成検査に係る不適切事案について、同年12月19日及び2018年4月27日の2回にわたって国土交通省に報告をいたしましたが、同年6月5日に国土交通省より、燃費・排出ガスの抜き取り検査及び他の完成検査に係る不適切事案について、徹底した調査及び再発防止策の策定を行うよう求められました。これを受け、当社は、客観的・中立的な立場から徹底した調査を行うため、弁護士などの社外専門家チームに調査を委託し、同年9月28日にその調査報告書を公表いたしました。この調査により、新たに完成検査に係る不適切行為が判明したため、同年10月11日にリコールを届出ました。さらに、同年10月の国土交通省による立入検査を契機とした社内調査において、一部の不適切行為が継続していたことが判明したため、同年11月8日にリコールを届出ました。

 当社は、2017年末より、完成検査員への教育の再徹底、人員配置の見直し、直ちに実施可能な設備の改修、検査装置のソフト変更などの諸対策を進めてまいりましたが、以上の経緯に鑑み、経営・管理者層が、時間をかけて完成検査の現場に関与し、現場の完成検査員と話し合い、既に実施した様々な再発防止策の効果を検証するとともにコンプライアンスの徹底を図りました。その後、2018年10月26日に生産ラインを停止して再発防止策の効果の検証を行った結果、再発防止策が有効に機能し、完成検査工程の健全性が確保されているものと認め、同日をもって、判明した不適切行為が終息したことを確認いたしました。 なお、同年10月26日の翌稼働日以降現在まで、これまでの調査で判明した不適切行為と同様の行為は確認されておりません。

 前記の一連の不適切事案に関する経緯から、当社は、同年11月14日に国土交通大臣よりあらためて再発防止策の見直し及び徹底などの勧告を受けました。また、同年12月19日には、不適切な抜き取り検査の一部が、重大な完成検査の一部未実施事案であることから、国土交通省より東京地方裁判所に対して、当社に道路運送車両法に基づく過料を適用するよう通知がなされました。その結果、当社は、2019年3月8日に東京地方裁判所から、過料8,340万円に処する旨の決定を受けました。

 当社は、一連の不適切事案の結果、このような事態に至ったことを極めて厳粛に受け止めております。一連の不適切事案に対する再発防止の手を緩めることなく、より強固に推し進めるために、2018年12月1日付で品質保証本部に完成検査部を新設するなどの組織改正を行い、2019年1月1日付で製造部門担当役員を新たな体制といたしました。

また、当社では、真に「正しい会社」をつくる活動をより一層加速させ、組織風土改革を断行することによって、全てのステークホルダーの信頼を可及的速やかに回復していく決意をし、様々な再発防止策を実施してまいりましたが、これらは以下の4つに分類されます。

・コンプライアンス・品質保証に対する経営層の当事者意識強化と役割責任の明確化

・不適切作業の検出と防止のための施策

・不適切作業が発生した際に速やかに是正する態勢の構築

・速やかに実施し、今後も継続して運用していく施策

 なお、当社では、上記の再発防止策をさらに65項目に細分化のうえ、これらを実施しており、提出日現在までに57項目の実施が完了しております。当社は、これからも全社一丸となって再発防止策を推進し、かつ常に改善を施して、より確かなものへとしてまいります。

 

② 中期経営ビジョン「STEP」の推進

 自動車業界が大変革期にある中で、この大きな事業環境の変化を見極め、スピード感をもって対応していくことが必要であると認識しております。そのため、前記のとおり、当社は、「安心と愉しさ」の提供を通じて、お客様から共感され、信頼していただける存在となることを目指して、新たな中期経営ビジョン「STEP」を2018年7月に公表いたしました。この中で「組織風土改革」「品質改革」「SUBARUづくりの刷新」を最重点テーマと捉え、活動しております。なお、中期経営ビジョン「STEP」の取り組みの全体像は、次のとおりです。

 

中期経営ビジョン「STEP」取り組み全体像(9Box+1)


 

・組織風土改革

 SUBARUのDNAは守りつつ、時代や世の中の変化に対して敏感に、スピード感をもって、柔軟に対応できる会社を目指します。取り組みの迅速化を狙いトップ及び経営陣とのコミュニケーションの質・量をともに充実させるとともに、人材・組織の変革、事業活動全般におけるIT活用の推進などに取り組みます。

・品質改革

 「お客様が安心して長く使い続けることができる品質」No.1を目指します。

商品企画から生産に至る品質に関わる全てのプロセスの見直し、IT活用など生産工場のレベルアップ、品質マネジメント体制の強化、お客様へのサービス基盤の整備などに取り組みます。また、これら「全品質」の向上のための投資枠として、1,500億円(5年間)を設定いたしました。さらに、2019年4月1日に「品質方針」を改定し、全従業員が共有する道標として、「品質最優先」を合言葉に具体的な行動を実践してまいります。

・SUBARUづくりの刷新

モノづくりにとどまらず、商品からサービス全般まで、SUBARUが提供するお客様価値の向上を「高品質」「高付加価値」「低コスト」で実現する新しい活動として、『新SUBARUづくり活動』をスタートしております。

 

以上の取り組みを通じ、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指してまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、以下は当社グループに関する全てのリスクを列挙したものではありません。

 

(1) 経済の動向

当社グループの主要な市場である国及び地域の経済情勢の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。国内はもとより当社グループの主要市場である北米における景気後退及び需要減少、又は価格競争の激化が進むことにより、当社グループの提供する商品・サービスの売上高や収益性において悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替の変動

当社グループにおいて、海外売上高の割合は81.1%を占め、売上高、営業利益、資産等の中には、米ドルを中心とした現地通貨建ての項目が含まれており、連結財務諸表作成時に円換算しております。従って通期の見通しにおいて想定した為替レートに対し、実際の決算換算時の為替レートに乖離が生じた場合、主に円高局面では当社グループの業績と財務状況はマイナスに作用し、円安局面ではプラスに作用する可能性があります。

こうした為替リスクを最小限に軽減すべく、当社では状況に応じ為替予約等によるヘッジを実施しております。ただし、期末日の極端な為替変動によりデリバティブ評価損益等に影響を及ぼし、営業外損益が大きく変動する可能性があります。

 

(3) 特定事業への依存

当社グループは、自動車事業の他に航空宇宙事業等の事業で構成されていますが、事業規模として自動車事業が突出しているため、自動車事業に関わる需要や市況、同業他社との価格競争力などが予測し得る水準を超えた場合に、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 市場評価の変動

市場の需要動向、お客様ニーズに基づく商品企画により、適切なタイミングと価格で新商品を開発・製造し、市場に投入することが、当社グループの安定した業績向上に関して最も大切なことであります。市場における新型車をはじめとした新商品の評価が当社グループの狙いとした販売計画の想定に満たない場合や、現行の商品の陳腐化が想定以上に進んだ場合には、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 特定の原材料及び部品の購入

当社グループでは、原材料及び部品等を多数の取引先から調達しておりますが、特定の原材料及び取引先に依存している場合があり、需給状況の逼迫等により、安定したコスト・納期・品質で調達できない場合、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 知的財産の保護

当社グループでは、他社製品と差別化できる技術、ノウハウ等の知的財産の保護のために最善の努力を尽くしておりますが、第三者が当社グループの知的財産を不当に使用した類似製品を製造した場合や、知的財産に係わる紛争が生じて当社に不利な判断がなされる場合には、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 製品の欠陥

当社グループでは、安全を最優先として製品の開発・製造・販売を行っておりますが、全ての製品、サービスに関して欠陥が無く、リコール等が発生する可能性がないとは言えません。大規模なリコール等を実施する事態になれば、多額のコストが発生することに加え、ブランドイメージの毀損等により、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 退職給付債務

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上設定した退職給付債務の割引率及び年金資産の長期期待運用収益率といった前提条件に基づいて算出しております。しかし、実際の結果が前提条件と異なる場合には、将来にわたって当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9) 環境等に関する法的規制

国内外ともに自動車の燃費、排出ガス、省エネルギーの推進、騒音、リサイクル、製造工場からの汚染物質排出レベル及び自動車等の安全性に関しては、様々な法的規制を受けております。今後、そうした法的規制が強化されることによるコストの増加が、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 災害・戦争・テロ・ストライキ等の影響

大規模な地震、台風等の自然災害、疾病、戦争、テロ等の発生により、当社グループの事業活動が妨げられ、原材料・部品の購入、生産、製品の販売及び物流、サービスの提供などに遅延や停止が生ずる可能性があります。こうした遅延や停止が発生し長引くようであれば、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 国際的な事業活動

当社グループは、米国を中心に世界各国において事業を展開しております。海外市場での事業活動には、以下のようなリスクが内在しており、当該リスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・不利な政治、経済的要因

・法律又は規制の変更による障害

・課税、関税、その他の税制変更

・人材採用と確保の難しさ

 

(12) 情報セキュリティの影響

当社グループは、製品の開発、生産、販売など、事業活動において、情報技術やネットワーク、システムを利用しています。これらの情報技術やネットワーク、システムは、安全対策が施されているものの、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスによる攻撃などによって、重要な業務やサービスの中断や、データの破損・喪失、機密情報の漏洩などが発生する可能性があります。この場合、ブランドイメージの低下や当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) コンプライアンス、レピュテーション

当社グループは、コンプライアンスの徹底を経営の最重要課題のひとつと位置付け、企業活動上求められるあらゆる法令・社内諸規程等の順守はもとより、社会規範に則した公明かつ公正な企業活動を遂行することにより、コンプライアンスリスクの回避または最小化に努めております。それにも関わらず、重大な法令違反等が発生した場合、お客様の信用・信頼を失うことや社会的評価・評判の低下等により当社グループの事業基盤に重大な影響を与え、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

なお、当連結会計期間より、会計方針等を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)および(表示方法の変更)」に記載のとおりであります。また、以下の前年同期の売上高につきましては、会計方針等の変更を遡及適用した数値で比較・分析を行っております。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度の世界経済は、堅調に推移したものの、当期後半は通商問題の動向による不確実性などにより減速が見られました。また、国内経済も、雇用・所得環境の改善及び個人消費の持ち直しなどにより、景気は緩やかな回復基調が続いているものの、世界経済の先行きの不透明感などの影響が懸念される状況が続きました。このようななか、為替の動向は、おおむね安定して推移いたしました。

当連結会計年度の連結決算は次のとおりとなりました。

売上高は、自動車売上台数の減少などにより、3兆1,605億円前連結会計年度に比べ722億円2.2%)の減収となりました。

利益面につきまして、2018年11月に届出いたしましたエンジン部品のリコールなどによる品質関連費用の増加及び自動車売上台数の減少などにより、営業利益は、1,955億円前連結会計年度に比べ1,839億円48.5%)の減益、経常利益も、1,962億円前連結会計年度に比べ1,837億円48.3%)の減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益も、1,478億円前連結会計年度に比べ725億円32.9%)の減益となりました。

 

(単位 金額:百万円、比率:%)

 

売上高

 

 

親会社株主

為替レート

営業利益

経常利益

に帰属する

(利益率)

(利益率)

当期純利益

 

 

 

 

(利益率)

 

2019年3月期

3,160,514

195,529

196,239

147,812

111円/米ドル

 

(6.2)

(6.2)

(4.7)

129円/ユーロ

2018年3月期

3,232,695

379,447

379,934

220,354

111円/米ドル

 

(11.7)

(11.8)

(6.8)

130円/ユーロ

増減

△72,181

△183,918

△183,695

△72,542

 

増減率

△2.2

△48.5

△48.3

△32.9

 

 

 

当連結会計年度のセグメントの状況は次のとおりであります。

(単位 金額:百万円、比率:%)

 

売上高

セグメント利益

2018年3月期

2019年3月期

増減

増減率

2018年3月期

2019年3月期

増減

増減率

自動車

3,062,340

3,014,476

△47,864

△1.6

361,454

184,947

△176,506

△48.8

航空宇宙

142,163

131,669

△10,494

△7.4

12,259

6,047

△6,212

△50.7

その他

28,192

14,369

△13,823

△49.0

5,066

3,846

△1,220

△24.1

調整額

668

689

21

3.1

合計

3,232,695

3,160,514

△72,181

△2.2

379,447

195,529

△183,918

△48.5

(注)1.売上高は、外部顧客への売上高であります。

   2.セグメント利益の調整額は、セグメント間取引消去であります。

 

 
(自動車事業)

当連結会計年度の当社の重点市場であります米国の自動車全体需要は、乗用車系は前期を下回り、SUV(多目的スポーツ車)を含むライトトラック系は前期を上回り、1,716.0万台(前期比0.9%の減少)となりました。また、国内の自動車全体需要は、登録車は前期並み、軽自動車は前期を上回り、526.0万台(前期比1.2%の増加)となりました。

このような自動車全体需要の動向のなか、海外は、当社の重点市場であります北米において、新たに販売を開始した新型車「アセント」の好調などが寄与し、現地での小売販売は堅調に推移いたしました。しかし、当期前半は全面改良前であった「フォレスター」の出荷台数の減少などにより、売上台数は86.5万台と前期比3.9万台(4.3%)の減少となりました。また、国内は、7月に全面改良を行った「フォレスター」の販売が好調に推移したものの、「インプレッサ」、「SUBARU XV」及び「レヴォーグ」の販売が減少したことなどにより、売上台数は13.5万台と前期比2.8万台(17.2%)の減少となりました。

以上の結果、海外と国内の売上台数の合計は、100.0万台と前期比6.7万台(6.3%)の減少となり、売上高は3兆145億円前連結会計年度に比べ479億円1.6%)の減収となりました。また、セグメント利益につきましても、1,849億円前連結会計年度に比べ1,765億円48.8%)の減益となりました。

なお、当連結会計年度の連結売上台数は以下のとおりです

 

(単位 台数:万台、比率:%)

 

2018年3月期

2019年3月期

増減

増減率

国内合計

16.3

13.5

△2.8

△17.2

 

登録車

13.3

11.0

△2.3

△17.2

 

軽自動車

3.1

2.6

△0.5

△17.1

海外合計

90.3

86.5

△3.9

△4.3

 

北米

72.8

71.7

△1.1

△1.5

 

欧州・ロシア

4.8

4.0

△0.8

△16.1

 

豪州

5.6

4.2

△1.4

△25.0

 

中国

2.7

2.3

△0.4

△15.2

 

その他地域

4.5

4.3

△0.2

△4.3

総合計

106.7

100.0

△6.7

△6.3

 

 

(航空宇宙事業)

防衛省向け製品では、陸上自衛隊新多用途ヘリコプターの試作請負契約の履行完了などにより、売上高は前期を下回りました。

民間向け製品では、「ボーイング777」の生産が減少したことなどにより、売上高は前期を下回りました。

以上の結果、全体の売上高は1,317億円前連結会計年度に比べ105億円7.4%)の減収となりました。また、セグメント利益につきましても、60億円前連結会計年度に比べ62億円50.7%)の減益となりました。

 

(その他事業)

売上高は144億円前連結会計年度に比べ138億円49.0%)の減収となりました。また、セグメント利益につきましても、38億円前連結会計年度に比べ12億円24.1%)の減益となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 ① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。なお、自動車の生産台数は、当社群馬製作所において、品質最優先で生産・検査を行うことを目的に見直した操業条件を2018年秋以降継続していること及び2019年1月に発生いたしました電動パワーステアリング装置の不良部品に起因する操業停止などにより、前期を下回りました。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

  至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

自動車

 

 

 

小型・普通自動車

(台)

989,149

△5.8

航空宇宙

(百万円)

155,901

+1.7

その他

(百万円)

8,501

△62.6

 

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

 ② 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

なお、自動車事業については見込生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

航空宇宙

147,930

+12.0

300,813

+5.9

 

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

  至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

自動車

(百万円)

3,014,476

△1.6

航空宇宙

(百万円)

131,669

△7.4

その他

(百万円)

14,369

△49.0

合計

(百万円)

3,160,514

△2.2

 

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおり、売上高の計上方法の変更を前連結会計年度に遡及適用しております。

3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

  

(2) 財政状態

総資産につきましては、2兆9,827億円前連結会計年度末に比べ1,163億円の増加となりました。主な要因は、固定資産の増加605億円、商品及び製品の増加471億円、原材料及び貯蔵品の増加240億円、仕掛品の増加224億円、短期貸付金の増加134億円、現金及び預金と有価証券を合わせた手許資金の減少563億円などであります。

負債につきましては、1兆3,699億円前連結会計年度末に比べ644億円の増加となりました。主な要因は、製品保証引当金の増加585億円、1年内返済予定を含めた長期借入金の増加319億円、長期前受収益の増加252億円、未払費用の増加127億円、未払法人税等の減少400億円、短期借入金の減少177億円などであります。

純資産につきましては、1兆6,128億円前連結会計年度末に比べ518億円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金の増加366億円、為替換算調整勘定の増加155億円などであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、7,023億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は1,740億円前連結会計年度は3,663億円の増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益1,958億円、減価償却費1,027億円、製品保証引当金の増加576億円、法人税等の支払1,003億円、たな卸資産の増加904億円などであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は1,583億円前連結会計年度は1,507億円の減少)となりました。主な要因は、固定資産の取得による支出(売却による収入との純額)1,387億円などであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は966億円前連結会計年度は1,709億円の減少)となりました。主な要因は、配当金の支払1,104億円、短期借入金の減少175億円、長期借入れによる収入(返済による支出との純額)319億円などであります。

 

 

(4) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、様々な見積りによる判断が行なわれておりますが、見積りに内在する不確実性により、実際の結果は異なることがあります。

連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりですが、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある見積りを含む会計方針は以下のとおりであります。

① 貸倒引当金

売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、将来、取引先等の財務状況が悪化するなどにより支払能力が低下した場合、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

② 製品保証引当金

販売した製品の将来クレーム費用の発生に備えるため、以下の金額の合計額を計上しています。

・保証書の約款に従い、過去の実績を基礎に将来保証見込みを加味して算出した費用見積額

・主務官庁への届出等に基づくリコール関連費用として算出した見積額

しかしながら、実際の保証費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要になる可能性があります。

③ 退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産

将来の退職給付の支払いに備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上しておりますが、この計算は主として数理計算上で設定される前提条件に基づいて行なわれております。この前提条件には、割引率、将来の給与水準、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率などが含まれており、それぞれの条件は現時点で充分に合理的と考えられる方法で計算されておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性があります。

④ 投資有価証券

価格変動性の高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式を保有しておりますが、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。将来の市況悪化や投資先の業績不振など、現在の簿価に反映されていない損失が発生するなどにより簿価の回収が困難となる状況となった場合、減損の追加処理が必要となる可能性があります。

⑤ 繰延税金資産

繰延税金資産の回収可能性については、現時点において将来の課税所得を合理的に見積った上で判断しておりますが、将来、繰延税金資産の全部又は一部が回収できないと判断した場合、繰延税金資産の減額を行い、税金費用が発生する可能性があります。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性に係わる分析

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、現在必要とされる資金水準を満たす流動性を保持していると考えています。

有利子負債は、1,004億円と前連結会計年度に比べて142億円の増加となりました。デット・エクイティ・レシオは6.3%になり、安全性を維持しています。

今後の設備投資や研究開発の支出計画によっては、資金の調達、また、現預金残高の取り崩しをする可能性があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

2006年3月 トヨタ自動車株式会社と業務提携

2008年4月 トヨタ自動車株式会社、ダイハツ工業株式会社と開発・生産における新たな協力関係に合意

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、中期経営ビジョン「STEP」におきまして、2025 年ビジョンを、「①個性を磨き上げ、お客様にとってDifferentな存在になる」、「②お客様一人一人が主役の、心に響く事業活動を展開する」、「③多様化する社会ニーズに貢献し、企業としての社会的責任を果たす」と定め、その実現のため、「会社の質の向上」、「強固なブランドの構築」、「集中戦略を軸とした持続的成長」という3つの取り組みに集中し、研究開発活動を進めております。当連結会計年度におけるグループ全体での研究開発費総額は102,719百万円です。セグメン卜ごとの研究開発活動状況及び研究開発費は次のとおりです。

 

(1) 自動車事業

自動車の研究開発では、中期経営ビジョン「STEP」で掲げる「安心と愉しさ」の提供を通じて、お客様から共感され、信頼していただける存在となることを目指し商品の開発を推進しています。

 

① 安心・安全への取り組み

 「STEP」で掲げる「2030年に死亡交通事故ゼロを目指す」に向けて、安心・安全への取り組みに注力しています。

米国で販売している2019年型「アセント」、「アウトバック」、「レガシィ」、「クロストレック」、「インプレッサ(セダン)」、「インプレッサ(5ドア)」、「WRX」、「フォレスター※」の8車種(いずれもアイサイトならびにハイビームアシスト機能付きステアリング連動ヘッドライト装備車)が、IIHS(道路安全保険協会)によって行われた2019年安全性評価において、「トップセイフティピックプラス(TSP+)」を獲得しました。これらの8車種は、要求される全ての耐衝撃性能試験において最高評価の「Good」、前面衝突予防性能試験においても最高評価「Superior」を獲得しています。

また、2018年7月にフルモデルチェンジをした新型フォレスターが、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が実施する、2018年度予防安全性能アセスメントにおいて、最高ランクであるJNCAP「予防安全性能評価 ASV+++(エー・エス・ブイ・トリプルプラス)」を獲得しました。

※2019年1月以降の生産車

 

② ブランド強化の取り組み

「STEP」で掲げる「商品強化・デザイン進化」の取り組みとして「個性の際立つSUVとスポーツモデルの強化」を進めています。

i. 当社のモータースポーツ統括会社であるスバルテクニカインターナショナル株式会社(STI)は、2019年北米国際自動車ショーにて、STIコンプリートカーの最高峰「Sシリーズ」初となる米国市場向けモデル「S209」を発表しました。STIが考える「速さ」の究極形である「ドライバーの意のままに操れる“速さ”」を実現すべく、ベースモデルに対し、大幅な性能向上を達成しています。

ⅱ.第89回ジュネーブ国際モーターショーにおいて、コンセプトカー「SUBARU VIZIV ADRENALINE CONCEPT(スバル ヴィジヴ アドレナリン コンセプト)」を世界初公開しました。当社は、2014年に共通デザインフィロソフィ「DYNAMIC × SOLID」を定義し、2018年に公表した中期経営ビジョン「STEP」では、これをより「大胆」なデザイン表現に進化させていくことを謳い、そのキーワードとして「BOLDER」を掲げています。新しい方向性を示した「BOLDER」にはSUBARUブランドの持つ世界観を広げ、特徴をより際立たせることで、乗る人全員を更に愉しい気持ちにしたいという想いが込められています。「SUBARU VIZIV ADRENALINE CONCEPT」は、「BOLDER」の考え方のもとデザインされた初めてのコンセプトカーです。アクティビティをサポートするユーティリティと、道を選ばず、速く、意のままに駆け抜ける愉しさを併せ持ち、アクティブマインドを持つ人の「大自然の中を想いのままに走り廻りたい」という気持ちを駆り立てる、新しいスポーツヴィークルを表現しました。

 

③ 新商品開発状況

当連結会計年度において、「安心と愉しさ」でお客様の笑顔に応えるべく、下記商品を展開しました。

i. アセント:2018年5月、当社の米国生産拠点で、新型3列シートSUV「アセント」の生産を開始しました。「アセント」は、当社の北米市場でのさらなる成長を追求し、特にファミリーユーザーに向けて新規開発した3列ミッドサイズSUVです。家族全員が移動を愉しむことができるよう、快適で安全な移動空間を提供します。

ⅱ. フォレスター:2018年7月より新型「フォレスター」を発売しました。「フォレスター」は、当社が最量販車種と位置づけるグローバル戦略車です。乗る人すべてが愉しく、快適な空間を共有できるよう、取り回しの良さと室内の広さを両立したパッケージングや、使い勝手の良い装備を採用しました。また、SUBARU GLOBAL PLATFORMを採用することで、クラストップレベルの衝突安全性能・危険回避性能や、ドライバーの意志に忠実なハンドリング・快適な乗り心地を実現しました。さらに、当社初となる乗員認識技術「ドライバーモニタリングシステム」や水平対向エンジンと電動技術を組み合わせた「e-BOXER」など新たな価値を加えることで、お客様が豊かさ、快適さ、愉しさ、冒険心といった気持ちを感じられるエモーショナルで身近な存在として、機能・性能を磨き上げました。

ⅲ. SUBARU XV e-BOXER:2018年10月に「SUBARU XV」改良モデルを発売しました。「SUBARU XV」は、「Fun Adventure」をコンセプトに、都会的で洗練されたデザインとSUBARUらしいSUVとしての走破性、そして世界トップクラスの安全性能を兼ね備えたクロスオーバーSUVです。今回の改良では、当社独自の、2.0リッター直噴NA水平対向エンジン+電動化技術=「e-BOXER」を搭載したグレード「Advance」を追加しました。スムーズで軽快な加速感や高い走破性など、「SUBARU XV」の走りをさらに愉しいものとし、日常の走りにゆとりや安心感も提供します。また、一部のグレードを除き、後退時自動ブレーキシステムを標準装備とし、アイサイトセイフティプラス(視角拡張)にサイドビューモニター機能を追加しました。「乗る人すべてに最高の安心と愉しさを提供すること」を目指して開発された「SUBARU XV」の「総合安全性能」を一層高めました。

ⅳ. CROSSTREK HYBRID:当社初となるプラグインハイブリッドモデル「CROSSTREK HYBRID(クロストレック ハイブリッド)」を米国にて発売しました。商品開発においては、「先進の技術で環境に貢献できる商品を開発、社会に提供」することで地球環境保護への貢献を目指しており、「クロストレック ハイブリッド」はこの環境理念を商品として具現化したものです。ガソリンエンジン仕様の「クロストレック」が備える走破性の高さや使い勝手の良さはそのままに、時代に求められる環境性能を実現しました。高い動的質感と優れた環境性能を両立し、ガソリンエンジン車では体験できない新たな「安心と愉しさ」を提供します。

 

当事業に関わる研究開発費は101,099百万円です。

 

(2) 航空宇宙事業 

航空宇宙カンパニーは将来にわたる持続的成長に向け、新規事業開拓及び生産性向上を中心とした以下の研究開発を行っております。回転翼機分野では、新中型ヘリコプタのトランスミッションの能力向上や機体耐久性改善等の国際共同開発、ヘリコプタの各種性能・機能向上に関する研究に取り組みました。固定翼機分野では、構造の軽量化及び高機能化に加えて、コスト低減を狙った部品加工・組立プロセスの研究開発を行っております。その他、様々な自律化技術の研究開発に取り組んでおります。さらに、炭素繊維強化複合材料や先進金属等の高効率加工技術、組立・塗装作業の自動化など生産技術分野においても積極的に取り組み、コスト競争力を高める研究開発を行っております。

 

当事業に関わる研究開発費は1,509百万円であります。

 

(3) その他事業 

株式会社スバルITクリエーションズにおける情報システム開発に係る研究開発費を中心とした、その他事業全体の研究開発費は111百万円であります。