(対処すべき課題・今後の見通し)
世界経済は底堅い成長が見込まれるものの、ウクライナや中東情勢の長期化、欧州や中国の経済回復遅れ、各国の金融政策転換等、先行き不透明感が増しております。自動車業界では、EV化減速に伴う開発動向、企業再編の活発化等、当社を取り巻く事業環境は変化し続けております。足下では、米国において関税政策が公表されており、国内外拠点における業績への影響は、見通しが困難な状況です。
2024年度よりスタートした5か年中期経営計画
では、不確実で変化が激しい時代においても、なくてはならない存在として成長し続けるための成長戦略を策定しました。基本方針に「質を追求し、プレゼンスを高める」を掲げ、3つの骨子①コア事業における攻めと挑戦、②電動化に向けたコア商品の進化、③サステナビリティ経営の推進、に基づき、着実に取組みを進めております。事業環境の変化をチャンスと捉え、様々な経営課題に挑み、企業価値の向上と社会課題解決への貢献を目指します。

① コア事業における攻めと挑戦
自動車関連事業では、主要取引先の中計戦略と連携し、ボリューム拡大に向けた生産能力の増強に取り組んでおり、日本及びアセアンにおける輸出向け能力増強に加え、現地生産化の検討も進めております。また、国内商用車メーカー再編による変化は機会と捉え、当社の強みである技術開発・提案力を武器に、商権維持と事業拡大を図ります。
建設機械関連事業においては、客先のモデルチェンジをターゲットに、キャビン商品のフルラインナップ化に取り組みます。狙い目としては、油圧ショベル用ミニ/小型キャビン、ホイールローダー、農機・産機キャビン等、地政学リスクや米国の関税政策を背景としたメーカー各社の調達戦略変化を捉え、受注拡大・付加価値拡大に取り組んでおります。
また、事業拡大に向けた、技術開発・提案力とものづくり力の追求として、「要素技術の絶対的なプレゼンスの向上」「プレス機械の刷新、生産工順に応じた最適配置及び生産ラインの再編、一新」「DX強化に向けた革新」を柱とし、様々な取組みを進めております。溶接分野でのテーラードブランク工法を採用した製品は、軽量化・コスト低減につながるとして高い評価を得ており、更なるレベルアップを目指しております。欧州拠点では塗装工場を新たに建設、米国ではパイプ焼入設備を導入し、本格稼働に向け準備中です。25年度は国内にて大型アクスルラインを一新する計画となっており、革新的な生産性向上を実現してまいります。
② 電動化に向けたコア商品の進化
当社コア商品は電動車においても必要な構成部品であり、新パワートレインに適合する商品を開発しています。電動化に向けた開発が本格化する中、バッテリー搭載を考慮したフレーム多機能化やEV用のアクスル開発を推進しており、タイではEV専用アクスルを受注し量産を開始しております。
電動車専用商品に対しては、車両構造の変化により必要となるバッテリー保護部品や衝撃吸収製品を開発しています。EV化が先行する欧州拠点においては、すでに受注・量産開始しており、新たな引合いもいただいております。実績から得た知見と新規開発技術を活かし、将来的な国内での法規改正を見据えた受注活動を展開してまいります。
③ サステナビリティ経営の推進
当社グループは2022年に長期視点で取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、サステナビリティ経営を推進しております。2024年度には、4つの重要課題(マテリアリティ)について、それぞれにおける目指す姿、ありたい姿を整理、明確化し、これらを実現するためのKPIを設定しました。各KPIの達成に向け、重要課題(マテリアリティ)の活動項目に取り組み、持続可能な社会の実現に向けて、企業価値の向上を目指します。
「人材の多様性と活性化」は、当社グループの将来成長を支える重要な取り組みと位置づけ、「やりぬく」「創造力」「多様性」「安心・安全」をキーワードとした人的資本戦略の各施策に取り組んでおります。
中でも、当社グループは「やりぬく」を重視しており、当社文化として根付かせるべく、やりぬく力醸成に特化した研修を展開中です。人権への取り組みは、2024年3月に策定した人権方針に基づき推進しており、人権デューデリジェンスを順次展開しております。
「地球環境・社会への貢献」では、環境方針に基づき、気候変動問題への対応、生物多様性の保全や水リスクへの対応、資源循環や地域社会との共生などの重点取組事項を推進しております。気候変動問題への対応では、連結ベースでスコープ1、2、3の目標値を設定し、2050年カーボンニュートラル実現を目指し、取り組んでおります。2025年度は、スコープ1、2の中間目標を掲げており、グループ全体で達成してまいります。
「コーポレートガバナンスの強化」では、リスク管理体制の強化を目的に、2024年8月にリスクマネジメント委員会を設置いたしました。2025年度はグループ重点取組リスクとして、「自社施設の火災」、「法令違反・コンプライアンス」、「情報セキュリティ」を特定、グループ全体で取り組みを推進することで、安定的な事業継続と更なる企業価値の向上を図ります。
本中期経営計画
における経営目標値は以下のとおりです。
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2028年度目標 |
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売上高 |
2,400億円 |
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営業利益率 |
8.0%以上 |
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ROE |
9.0%以上 |
2026年3月期の事業環境見通しにつきましては、直近の顧客生産情報に基づき計画しております。当社グループは米国向け直接輸出がほぼないため、当社独自での米国の関税政策による影響は見込んでおりません。情報収集を含め、今後の動向を注視してまいります。連結業績予想は売上高1,730億円(前年同期比8.9%減)、営業利益88億円(前年同期比8.8%減)、経常利益85億円(前年同期比17.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益46億円(前年同期比24.3%減)となります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ推進体制及びガバナンスの状況
当社グループは、「プレス工業グループ サステナビリティ基本方針」のもと、社会から信頼され、全てのステークホルダーと共に中長期的に成長し続けるため、サステナビリティ経営に取り組んでおります。
|
プレス工業グループ サステナビリティ基本方針 プレス工業グループは、「ビジョン・ミッション・バリュー」のもと、持続可能な社会の実現に向けESG課題に積極的に取組み、中長期的な企業価値の向上を目指します。 |
2022年5月に、経済的価値と社会的価値の両立の観点から、当社グループとして中長期視点で取り組むべきサステナビリティに関する4つの重要課題(マテリアリティ)と21の活動項目を策定し、2025年4月に、マテリアリティの目指す姿・ありたい姿に向けたKPIを設定して、取組を推進しております。
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マテリアリティ |
目指す姿・ありたい姿 |
活動項目 |
マテリアリティKPI |
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Ⅰ.コーポレートガバナンスの強化 |
・透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための体制・仕組みが確立されている。 ・変化する時代に合わせ、常にガバナンスを見直し強化する体制・仕組みが構築されている。 ・事業存続を揺るがすあらゆるリスクを極小化している。 ・個人と会社が高い倫理感を持って行動している。 |
①コーポレートガバナンスの強化 ②コンプライアンスの維持・強化 ③事業継続体制の強化 ④情報セキュリティの強化 ⑤ステークホルダーエンゲージメント ⑥知的財産権の適正な管理 |
・重大コンプライアンス違反件数:0件 ・情報セキュリティ重大インシデント発生:0件(サプライチェーン含む) ・IR・SR活動計画実施率:100% ・知的財産の無断利用・違法複製:0件 |
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Ⅱ.人材の多様性と活性化 |
・多様なバックボーンと価値観を持つ人たちが、互いを尊重し、意見をぶつけ合い、新しい価値を生みだしている。 ・一人ひとりが「自ら考え、行動し、やりぬく」経験を重ね、成長し続けている。 ・全員が安心していきいきと働き、活躍している。 |
⑦全員のやりぬく力と創造力の醸成 ⑧安心・安全な職場づくり ⑨働きやすい職場環境の整備 ⑩人権の尊重 ⑪ダイバーシティと機会均等の推進 |
・従業員エンゲージメント結果(単独) ※詳細検討 ・休業災害・火災:0件 ・健康優良法人認定総合評価点(単独) ・人権デューデリジェンスの確実な実施 |
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Ⅲ.地球環境・社会への貢献 |
・事業活動による環境負荷を極小化し、地球の再生力の向上に貢献している。 ・社会と共生し、社会の課題解決に向けて積極的に取り組んでいる。 |
⑫気候変動問題への対応 ⑬環境負荷物質の適切な管理と削減 ⑭持続可能な資源の利用 ⑮責任ある廃棄・リサイクルの推進 ⑯生物多様性への配慮 ⑰地域社会との共生と貢献 |
・2050年までにCN実現: Scope1,2排出量※ 2025年:▲21% 2030年:▲41% Scope3排出量※ 2030年:▲20% ・「プレス工業グループ環境方針」における重点取組事項の推進 ※2019年度比 |
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マテリアリティ |
目指す姿・ありたい姿 |
活動項目 |
マテリアリティKPI |
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Ⅳ.グループの[質]的な成長 |
・「ものづくりを通して人・車・機械を支える力」であり続ける。 ・時代の変化に柔軟に対応し、弛まぬ努力と挑戦を積み重ね、新しい価値を創造している。 ・全てのステークホルダーと信頼関係を築き、共に成長し続けている。 |
⑱製品の品質と安全性の確保 ⑲競争力の強化 ⑳コア商品の商権維持拡大 ㉑サプライチェーンマネジメント |
・有責(製造責任)のリコール件数:0件 ・調達方針・CSRガイドラインの内外の周知と遵守率:100%(単独) ※⑲、⑳は中計活動進捗及び財務KPIで評価 |
これら重要課題と活動項目は、中長期の経営計画及び各年度方針に反映し、経営会議での審議を踏まえ、取締役会で決議しております。決議された方針や計画は、社内各部門、グループ会社、関係する社内各種委員会(環境、防災、安全、情報システム等)に展開され、活動内容及び重要案件については、都度経営会議及び取締役会へ附議・報告しております。
<サステナビリティ全般に対応するガバナンス体制図>
(2)リスク管理
サステナビリティ全般に関するリスク及び機会の管理については、「
(3)TCFD提言に基づく開示
① ガバナンス
当社グループは、気候変動問題への対応を経営上の重要課題と位置づけており、「環境方針」に基づき、取締役会の監督の下、積極的・能動的に取り組んでおります。気候変動をはじめとする環境問題全般については、生産部門担当役員及び人事・労務担当役員が主導する中央環境委員会(年4回開催)において管理・対応しており、CO2排出量削減目標設定から施策・実行までを強力に推進しております。中央環境委員会における活動内容は経営会議に開催の都度報告され、重要事項については必要に応じ経営会議及び取締役会にて審議・決定されております。
<気候変動問題に対応するガバナンス体制図>

② 戦略
当社グループは、気候変動が当社グループの事業活動に及ぼす影響度を評価するため、TCFD提言に基づくリスク・機会のシナリオ分析を実施しております。分析にあたっては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公表した4℃シナリオ・2℃以下シナリオ等を考慮しております。対応策については、現在取り組み状況や将来課題とすべき項目を踏まえ、当社グループの新たな価値創造に繋がるかという視点を加え、定義・評価しております。
<シナリオ分析 -リスクについて->
|
リスクの種類 |
事業インパクト |
指標 |
時間軸 |
影響度 |
対応策 |
|||
|
リスク |
移行 |
政策・ 法規制 |
・GHG排出に関する規制の強化 |
・EV/FCV対応遅延による事業機会の喪失 ・設備投資の増加 |
収益・支出・資産 |
中期~長期 |
大 |
・低炭素製品の開発提案 ・EV/FCV製品に最適化した製造プロセスへの転換検討 ・低炭素対応の製造ラインの構築 |
|
・カーボンプライシングメカニズム(炭素税等)の導入 |
・原材料・資材・エネルギー価格の高騰 |
収益・支出 |
短期~中期 |
大 |
・低炭素材の活用、製品軽量化の推進 ・省エネルギーの推進 |
|||
|
技術 |
・CN化に関する技術進歩に乗り遅れるリスク ・CN化に伴う顧客要請の強化 |
・新技術への対応遅れによる成長機会の喪失 |
収益 |
中期~長期 |
大 |
・CN化に対応した新素材・新工法の開発 ・得意先の開発計画に合わせた設計・製造提案 |
||
|
・部品・資材調達先の技術不適合 |
・サプライチェーン維持困難、競争力低下 |
支出 |
中期 |
中 |
・既存調達先への支援・促進 |
|||
|
市場 |
・原材料価格及びオペレーションコスト (製造コスト、管理コスト)の増加 |
・化石燃料及び再生可能エネルギーの高騰による製造コストの増加 |
支出 |
短期~中期 |
中 |
・最適エネルギーの選択検討 ・高効率設備、省エネ設備の導入 |
||
|
・低炭素鋼材へのシフトによる調達コストの増加 |
支出 |
中期~長期 |
中 |
・製品軽量化、材料節減の推進 ・代替原材料の適用検討 |
||||
|
評判 |
・環境対応の遅れによる、ステークホルダーからの評判悪化 |
・信頼失墜による企業価値の低下 |
支出・資産 |
中期~長期 |
大 |
・CNの着実な推進 ・ESG情報開示の充実化 |
||
|
物理的 |
急性 |
・異常気象の頻度上昇、激甚化 |
・操業停止/復旧コスト・従業員被災リスク・災害対策費用の増加(自社及びサプライチェーン) |
収益・支出・資産 |
短期~中期~長期 |
大 |
・BCPの強化・見直し |
|
|
慢性 |
・平均気温の上昇 |
・空調コスト等の経費増加 ・労働環境悪化による生産性の低下 ・水資源調達難化 |
収益・支出・資産 |
中期~長期 |
大 |
・省エネ設備・仕様への置き換え ・労働環境整備に関する投資の推進 ・節水、循環利用(リユース・リサイクル)の推進 |
||
<シナリオ分析 -機会について->
|
機会の種類 |
事業インパクト |
指標 |
時間軸 |
影響度 |
対応策 |
||
|
機会 |
リソースの 効率化 |
・製造・流通プロセスの効率化 |
・製造・物流コストの低下 |
支出 |
中期~長期 |
中 |
・最適生産方式(場所・設備・工法の見直し)の採用 |
|
・再生可能エネルギーの利用 |
・再生可能エネルギー普及によるエネルギーコストの低下 |
支出 |
中期~長期 |
大 |
・グリーンエネルギーの積極導入 |
||
|
製品および サービス |
・EV/FCV化の進展 |
・専用部品の新規受注・拡販機会の増加 |
収益 |
短期~中期 |
中 |
・EV/FCV化に対応した製品・技術開発 |
|
|
・既存製品の徹底的な低炭素化 |
・成長機会の拡大 |
収益・資産 |
中期~長期 |
大 |
・イノベーションの発揮による商品力の向上 ・競争力強化による参入障壁の構築 |
||
|
市場 |
・新規市場へのアクセス |
・環境貢献ビジネスへの新規参入に伴う新たな成長機会の獲得 |
収益 |
短期~中期 |
中 |
・環境商品の開発 |
|
|
・国土強靱化基本計画の推進 |
・インフラ整備に伴う建機・商用車需要の増加 |
収益 |
短期~中期~長期 |
大 |
・柔軟な生産・供給体制の確立 |
||
|
・災害・復旧対応車両需要の増加 |
収益 |
短期~中期~長期 |
大 |
||||
③ リスク管理
気候変動に関するリスク管理については、「
④ 指標及び目標
当社グループは、短期・中期・長期における排出量削減目標を以下のとおり設定しております。
|
指標 |
対象 |
基準年 |
基準 |
目標年 |
目標値 |
|
CO2 |
Scope1,2 (連結) |
2019年度 |
t-CO2 |
2025年度 |
2019年度比▲21%削減 86,900t-CO2 |
|
2030年度 |
2019年度比▲41%削減 64,900t-CO2 |
||||
|
2050年度 |
排出量ネットゼロ |
||||
|
Scope3 (連結) |
1,134,000 t-CO2 |
2030年度 |
2019年度比▲20%削減 907,200t-CO2 (削減対象:C1,3,5) |
||
|
2050年度 |
排出量ネットゼロ |
各削減目標の達成にあたっては、「やめる・直す・とめる・下げる・拾う・変える」の視点のもと、高効率設備の導入、生産工程の見直し、生産性向上、生産工法の改善、業務の効率化、太陽光発電をはじめとするグリーンエネルギーの活用等の諸施策を全社を挙げて推進し、カーボンニュートラルの実現を目指しております。
<参考>
・当社グループScope1・2及びScope3排出量の実績と目標値
・当社グループScope3排出量*1実績推移(単位:t-CO2)
|
カテゴリ |
カテゴリ概要 |
2019年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
|
1 |
購入した製品・サービス |
購入した原材料等の資源採掘、製造、輸送での排出 |
1,054,762 |
1,118,177 |
954,216 |
|
2 |
資本財 |
購入した有形固定資産の製造、輸送での排出 |
29,774 |
54,888 |
53,973 |
|
3 |
Scope1・2に含まれない燃料及び エネルギー関連活動 |
購入した化石燃料、電力の資源採掘、製造、輸送での排出 |
15,816 |
15,125 |
15,147 |
|
4 |
輸送、配送(上流) |
原材料購入時、製品出荷時等の輸送、配送での排出 |
21,009 |
21,053 |
22,510 |
|
5 |
事業から出る廃棄物 |
各拠点から排出した廃棄物の処理、輸送での排出 |
3,847 |
4,290 |
4,213 |
|
6 |
出張 |
従業員の出張に伴う排出 |
696 |
628 |
752 |
|
7 |
雇用者の通勤 |
雇用者の通勤に伴う排出 |
2,736 |
2,397 |
2,967 |
|
8 |
リース資産(上流) |
賃借しているリース資産の運用に伴う排出 |
414 |
281 |
700 |
|
9 |
輸送、配送(下流) |
販売した製品の最終消費者までの物流に伴う排出 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
|
10 |
販売した製品の加工 |
販売した製品の加工に伴う排出 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
|
11 |
販売した製品の使用 |
最終消費者による製品の使用に伴う排出 |
対象外*3 |
対象外*3 |
対象外*3 |
|
12 |
販売した製品の廃棄 |
最終消費者による製品の廃棄時の処理に伴う排出 |
5,016 |
4,783 |
4,639 |
|
13 |
リース資産(下流) |
賃貸しているリース資産の運用に伴う排出 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
|
14 |
フランチャイズ |
フランチャイズ加盟社における排出 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
|
15 |
投資 |
投資の運用に伴う排出 |
対象外*2 |
対象外*2 |
対象外*2 |
|
合計 |
|
|
|
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*1:今後、算定精度の向上を目的とした算定方法や排出原単位の見直し及び算定の誤りが判明した場合は、算定結果を遡及して修正します。
*2:当社に該当する事業活動がないため、算定対象範囲から除外しています。
*3:当社が排出削減に影響力を及ぼすことが困難なため、算定対象範囲から除外しています。
(4)人的資本戦略
1)人材戦略
当社グループのビジネスの中心は人であり、誠実と努力によって培われる全ステークホルダーとの信頼は、当社グループの大きな財産です。多様な人材を採用し、教育・育成制度や人事制度を整備して多様な人材の能力が最大限発揮できるような働きやすい職場・作業環境づくりに取り組んでおり、「人材の多様性と活性化」を重要課題の一つとし、目指す姿・ありたい姿、これを達成するための活動項目を掲げました。
① 目指す姿・ありたい姿
・一人ひとりが「自ら考え、行動し、やりぬく」経験を重ね、成長し続けている。
・多様なバックボーンと価値観を持つ人たちが、互いを尊重し、意見をぶつけ合い、新しい価値を生みだしている。
・全員が安心していきいきと働き、活躍している。
② 活動項目
・全員のやりぬく力と創造力の醸成
・ダイバーシティと機会均等の推進
・安心・安全な職場づくり
・働きやすい職場環境の整備
・人権の尊重
2)方針及び施策骨子
① 人材育成方針
・やりぬく意志を持って自ら考え、新しい価値を生み出す人材を育成する
・変化に対応できる人材を育成する
② 社内環境整備方針
・人材が育ち、最大限能力が発揮できるようにハード、ソフト両面より環境整備を図る
③ 施策の骨子
|
キーワード |
やりぬく |
創造力 |
多様性 |
安心・安全 |
|
取組内容 |
・課題解決力の向上 |
・基礎・専門教育の拡充、強化 |
・採用の多様化 |
・健康経営の継続推進 |
|
・コーチング強化 |
・異分野・異業種との交流 |
・自己実現施策の推進 |
・本質安全の推進 |
|
|
|
・多能工化 |
・多様な働き方に対応した人事諸制度の整備 |
・施設の充実(多様性、耐震、デジタル、再生エネルギー) |
|
|
|
|
|
・コンプライアンス/ハラスメント研修の充実 |
④ 取り組み内容及び目標値(当社単体ベース)
以下の目標については、当社において取組みが行われているものの、当社グループに属する全ての会社では行われていないため、当社の実績を記載しております。
1. やりぬく
従来より、役職に応じた階層別教育を実施しておりますが、これまでの取組みに加え、将来の目指す姿・ありたい姿に向けて解決すべき課題を設定し、これを実現していくことができる能力の強化を目的とした人材育成を図ってまいります。
≪やりぬく≫に関する目標
|
目標 |
22年度実績 |
23年度実績 |
24年度実績 |
|
|
|
- |
18.8% |
|
※ |
|
|
9.2% |
9.0% |
|
|
※23年度よりプログラムを開始したため、22年度の実績はありません。
※当社における総合職に対する研修プログラム受講率であります。
2. 創造力
当社では、PKSD(Presskogyo Self-Development)という自己啓発を前提とした能力開発プログラムを従来より実施しております。
階層別に応じた専門知識やマネジメントスキルなど、通信講座を中心として運用しておりますが、さらに新しい知識の習得や、自律的な学習を促すため、講座数の拡大(2025年3月末現在、147講座)やeラーニングの採用などによる利便性向上など、充実を図ってまいります。
≪創造力≫に関する目標値
|
目標 |
22年度実績 |
23年度実績 |
24年度実績 |
|
|
|
8.1% |
13.2% |
|
|
|
|
- |
99.0% |
|
※ |
※23年度より集計を開始したため、22年度の実績はありません。
3. 多様性
当社は、国籍・性別・信条の如何に関わらず、それぞれの立場や考えを尊重するとともに、労働基準法をはじめとした関係法令を遵守し、多様な人材の能力が最大限発揮できるよう、働きやすい職場環境づくりに取り組んでおります。
また、年に1回、中長期のキャリアプランや能力開発の取組み状況を申告する自己申告制度を設けております。
≪多様性≫に関する目標値
|
目標 |
22年度実績 |
23年度実績 |
24年度実績 |
|
|
|
31.5% |
17.1% |
|
|
|
|
2.6% |
2.6% |
|
※ |
※障害者雇用促進法の改正により、2024年4月より法定雇用率が2.3%から2.5%へ変更となりました。
4. 安心・安全
「安全衛生」はすべてに優先する、という基本理念のもと、労働災害の発生防止、安全に安心して働ける職場づくりを推進しております。
≪安心・安全≫に関する目標値
|
目標 |
22年度実績 |
23年度実績 |
24年度実績 |
|
|
|
0 |
0.21 |
|
|
|
|
49.1 |
- |
|
※1 |
|
※()内は平均取得日数 |
-% (14.2日) |
-% (15.0日) |
(15.2日) |
※2 |
※1 23年度は健康経営優良法人2024認定を返納したため実績がありません。
※2 24年度より目標値を変更して記載しております。
以下において、当社グループの事業その他に関するリスク要因と考えられ、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主な事項を記載しております。なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済状況の変動
当社グループの主要製品は、自動車部品や建設機械用部品であり、当社グループの営業収入は、これらの製品を直接的及び間接的に供給している国や地域の経済状況の影響を受けるため、情報を収集・分析しその内容を年度計画や中期経営計画等の事業計画へ反映するよう努めております。しかし、日本・北米・欧州・アジアを含めて、当社グループの主要市場における景気後退や、それに伴う予測を超えた需要減少は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 海外事業環境の変動
当社グループは、日本・北米・欧州・アジアで生産及び販売活動を展開しており、海外事業において以下のリスクが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・政治的または経済的に不安定な事象や、戦争、テロ、過激なデモ、暴動、ストライキ等の社会的な混乱
・法律、規則や税制の予期しない変更
・労働争議、人件費の急激な上昇、人材確保や採用の難化
・大規模な自然災害や感染症、伝染病
・合弁事業における経営方針、経営環境などの変化
(3) 為替レートの変動
当社グループの海外関係会社の財務諸表は、現地通貨で表示されており、連結財務諸表の作成のために円換算されております。そのため、為替レートの変動により当社グループの経営成績及び財政状態へ悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 人材の確保・育成
当社グループは、業界における競争力の維持・向上およびグローバルな事業活動の強化を目指し、高度な専門技能を有する人材やマネジメント能力に優れた人材の継続的な確保・育成が、極めて重要な課題と認識しております。このため、中期経営計画において人材の多様性と活性化を重点施策として掲げ、積極的に推進しています。しかし、当社グループにおける人材確保・育成の計画が遅れた場合には、当社グループの将来的な事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 技術・製品開発
当社グループを取り巻く事業環境は、企業再編が進み、グローバル競争の激化、電動化に向けた開発の本格化など、大きく変化しようとしています。このため、事業環境の変化をチャンスと捉えて、中期経営計画において①コア事業における攻めと挑戦、②電動化に向けたコア商品の進化を掲げ、技術革新や新製品開発に経営資源を投入しております。しかし、市場ニーズや顧客ニーズの変化への対応が結果として不十分であったり、実現時期がタイムリーでなかったりした場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 気候変動
当社グループは、気候変動リスクへの対応を経営上の重要課題として位置付けており、2050年度カーボンニュートラル実現を目指し、CO₂排出量(Scope1, 2※)を2030年度までに2019年度基準で41.0%削減する中間目標を設定、その達成に向けた取組を進めております。具体的には、省エネ活動の徹底(待機電力削減等)、高効率設備への更新、生産ラインの再編及び再生可能エネルギーの導入を加速させます。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に沿ったシナリオ分析を実施し、気候変動に伴うリスクと機会を明確化しており、そのリスクへの対応をさらなる成長の機会と捉え、製品軽量化、新商品開発、新技術・新工法の技術開発への取組を強化し、脱炭素社会における新たな市場ニーズへ対応してまいります。しかし、気候変動により生じる物理的リスクや、脱炭素社会への移行リスクに適切に対応できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
※ Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
(7) 大規模災害等による影響
当社グループでは、大規模災害等(地震、津波、台風、火災等)による生産活動への影響を最小化するために、BCP(事業継続計画)の強化、見直し、それに基づく訓練、ならびに政府指針等に基づく防災対策の徹底を図り、リスク発生の未然防止や啓発活動等を進めております。しかしながら、想定を超える大規模な自然災害等が発生し、建物や設備の倒壊・破損、ライフラインやサプライチェーン、輸送ルート、情報インフラの寸断、人的資源への重大な影響などにより、生産能力の著しい低下や操業の停止といった事態が起こった場合は、顧客への製品供給遅延や、設備復旧費用の増大により、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(8) 材料・部品の調達
当社グループは、事業活動に必要な材料・部品の多くをグループ外の仕入先から調達しております。特定の仕入先の納入遅延、製品の欠陥、経営状態の悪化、不慮の事故、ならびに想定を超える自然災害などにより、原材料や部品の不足やコストの上昇が生じる事態が懸念されます。調達先の複数確保や迅速な復旧支援等、調達方針に基づく諸施策を講じておりますが、著しい原価上昇や生産停止等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 製品の欠陥
当社グループは、国際的に認知されている品質管理基準に基づき製品を製造しており、製品品質の安定と向上に取り組むとともに、第三者審査を受けることにより、品質管理体制を整備しております。しかし、全ての製品について欠陥がなく、将来においてリコールなどの問題が発生しない保証はありません。また、製造物賠償責任に関しては、保険に加入しておりますが、最終的に負担する賠償額は、保険によって十分にカバーされない事態も懸念されます。そのため、リコールや製造物責任賠償につながる製品の欠陥が生じた場合は、多大なコストと社会的信用の低下を発生させ、当社グループの評価に大きな影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)情報セキュリティ
当社グループは、顧客からの情報や自社の開発情報など、営業上・技術上の機密情報を有しております。また、生産活動をはじめとした事業活動全般において、IT技術・ネットワークを活用しております。当社グループでは、サイバー攻撃の未然防止とその事件・事故を対象とした、ネットワークやサーバー等の脅威監視や分析の範囲拡大など、インシデント検知・対応能力の強化を図るとともに、テレワークやクラウドサービス利用の増加に対応するためのセキュリティ対策基盤の強化や、教育の充実を図っております。しかし、日々高度化・巧妙化するサイバー攻撃等による不測の事態が発生した場合、情報漏洩による社会的信用の低下や損害賠償責任の発生、復旧のための費用、システムダウンによる顧客や調達先全体を巻込んだ業務の停止などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)企業倫理の遵守
当社グループの従業員は、労務関連、独占禁止、情報管理、知的財産保護、環境保護、適正な会計・税務処理、インサイダー取引防止といった各種法令等を遵守する必要があります。このため、当社グループでは、「倫理規定」を制定し、全社的な「行動指針」として守るべきルールやマナー、業務への取組姿勢などを定め、企業倫理を遵守した業務運営や啓蒙活動に努めております。また、コンプライアンス対応やハラスメント防止に関する相談窓口を社内・社外に設け、寄せられた事案に関しては、適時・適切に対応しております。しかし、従業員による法令違反等の問題が万一発生した場合は、直接的な費用の増加や社会的制裁、風評被害等、有形無形の損害の発生により、当社グループの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)大規模感染症等の流行による影響
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症等の大規模な感染症拡大防止に備え、衛生管理を徹底し、在宅勤務・フレックス勤務・時差出勤等の柔軟な働き方を許容・推奨する労務管理を実施しております。しかしながら、ひとたび国内外で大規模な感染拡大が起こった場合、ロックダウン等の外出措置により経済や生活に著しい制限が生じ、事業活動に多大な影響を及ぼすことが想定され、当社グループの経営成績及び財政状況に重大な影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるトラックの事業環境は、国内は堅調に推移いたしましたが、タイやインドネシア等で需要の落ち込みが継続いたしました。第4四半期では、米国の自動車生産において、米系メーカーの在庫調整や日系メーカーでのリコールによる生産停止が発生いたしました。
また、建設機械の事業環境は、国内はレンタル向け出荷の減少、海外では主要地域(北米・欧州・アセアン等)での金融引き締めによる金利高止まり等の影響により前年比減少いたしました。
このような状況のもと、当社グループは、合理化、柔軟な要員体制や多能工化の推進等、生産変動に強いラインづくりを進め収益確保に努めてまいりましたが、当連結会計年度の売上高は1,898億83百万円(前年同期比4.0%減)、営業利益は96億46百万円(前年同期比24.7%減)、経常利益は102億79百万円(前年同期比23.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は60億80百万円(前年同期比24.7%減)となりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ60億21百万円増加し、1,977億64百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ10億15百万円減少し、702億82百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ70億37百万円増加し、1,274億81百万円となりました。
b.経営成績
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(自動車関連事業)
当セグメントにおける国内及び海外の事業環境及び業績は次のとおりであります。
<国内>
普通トラックの国内需要は前年同期比6.9千台増の74.6千台、小型トラックの国内需要は前年同期比9.3千台増の85.3千台となりました。また、輸出向けは前年同期に比べ、普通トラックは同水準、小型トラックは増加いたしました。
当社の生産において、普通トラック向けは一部の得意先の販売台数減少影響により減少、小型トラック向けは増加した結果、売上高は前年同期比増加いたしました。
<タイ>
1トンピックアップトラックの国内需要は、自動車購入時のローン審査厳格化等の影響が継続し、THAI SUMMIT PKK CO.,LTD.、THAI SUMMIT PKK BANGPAKONG CO.,LTD.及びTHAI SUMMIT PK CORPORATION LTD.の生産は前年同期に比べ減少し、売上高も減少いたしました。
<米国>
国内需要は前年同期と同水準で推移いたしました。PK U.S.A.,INC.の生産は、パネル事業の撤退に伴うミシシッピ工場の閉鎖、米系メーカーの在庫調整や日系メーカーでのリコールによる生産停止等があったものの、他の受注製品の増加が寄与し、売上高は前年同期と同水準となりました。
<インドネシア>
トラックの国内需要は、インフレや金利上昇による販売不振の影響で減少が継続し、PT.PK Manufacturing Indonesiaの生産は前年同期に比べ減少し、売上高も減少いたしました。
<スウェーデン>
欧州でのトラック需要が減少したことにより、PRESS KOGYO SWEDEN ABの生産は前年同期に比べ減少し、売上高も減少いたしました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,585億93百万円(前年同期比2.7%減)となり、セグメント利益は131億67百万円(前年同期比18.1%減)となりました。
(建設機械関連事業)
当セグメントにおける国内及び海外の事業環境及び業績は次のとおりであります。
<国内>
油圧ショベルの国内需要及び北米、欧州、アセアン等の輸出向けが前年同期に比べ減少し、国内のキャビン生産及び売上高は減少いたしました。
<中国>
国内需要は回復傾向ではあるものの、普莱斯工業小型駕駛室(蘇州)有限公司(PRESS KOGYO MINI CABIN(SUZHOU)CO.,LTD.)の生産及び売上高は前年同期に比べ減少いたしました。
以上の結果、当セグメントの売上高は306億38百万円(前年同期比10.9%減)となり、セグメント損失は4億15百万円(前年同期はセグメント利益3億67百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ24億54百万円減の262億51百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前年同期比86億23百万円減の186億6百万円となりました。これは主として税金等調整前当期純利益の減少及び仕入債務の減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前年同期比35億86百万円増の177億14百万円となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前年同期比26億70百万円減の43億46百万円となりました。これは主として短期借入金の純増加等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
自動車関連事業(百万円) |
156,562 |
△2.5 |
|
建設機械関連事業(百万円) |
31,361 |
△11.0 |
|
報告セグメント計(百万円) |
187,923 |
△4.0 |
|
その他(百万円) |
2,962 |
△4.7 |
|
合計(百万円) |
190,885 |
△4.0 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
自動車関連事業 |
155,493 |
△2.4 |
38,374 |
△2.7 |
|
建設機械関連事業 |
30,838 |
△12.6 |
6,485 |
△7.5 |
|
報告セグメント計 |
186,331 |
△4.3 |
44,860 |
△3.4 |
|
その他 |
2,901 |
△8.2 |
281 |
△17.8 |
|
合計 |
189,232 |
△4.3 |
45,141 |
△3.5 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
自動車関連事業(百万円) |
158,203 |
△2.6 |
|
建設機械関連事業(百万円) |
28,718 |
△10.9 |
|
報告セグメント計(百万円) |
186,921 |
△4.0 |
|
その他(百万円) |
2,962 |
△4.7 |
|
合計(百万円) |
189,883 |
△4.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
|
いすゞ自動車㈱ |
32,266 |
16.3 |
35,162 |
18.5 |
|
Mitsubishi Motors (Thailand ) Co.ltd. |
21,519 |
10.9 |
18,696 |
9.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
財政状態について、当社グループは、有利子負債残高の抑制と事業収益の確保により、財務体質とキャッシュ・フローの改善を図っております。
当連結会計年度における財政状態の分析は、以下のとおりであります。
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比60億21百万円増の1,977億64百万円となりました。これは主として、現金及び預金が24億53百万円減少し、建物及び構築物が22億25百万円増加、機械装置及び運搬具が26億92百万円増加、建設仮勘定が38億22百万円増加したためであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末比10億15百万円減の702億82百万円となりました。これは主として、支払手形及び買掛金が34億33百万円減少した一方、短期借入金が23億32百万円増加したためであります。
(純資産合計)
純資産は、前連結会計年度末比70億37百万円増の1,274億81百万円となりました。これは主として、自己株式が18億30百万円減少(純資産は増加)し、利益剰余金が15億89百万円増加、為替換算調整勘定が21億19百万円増加、退職給付に係る調整累計額が11億31百万円増加したためであります。
なお、自己資本比率は57.6%となりました。
2)経営成績
経営成績について、当社グループは、企業ビジョンを達成するため、全社一丸となったコスト削減や拡販活動に取り組んでまいりました。
当連結会計年度における経営成績の分析は、以下のとおりであります。
(売上高)
売上高は、前連結会計年度比79億33百万円減の1,898億83百万円となりました。
国内売上高は、前連結会計年度比21億30百万円減の809億35百万円、海外売上高は、前連結会計年度比58億2百万円減の1,089億47百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用)
営業外収益は、前連結会計年度比53百万円減の10億86百万円となりました。これは主として、受取利息が45百万円増加した一方、受取配当金が18百万円減少、為替差益が35百万円減少したためであります。
営業外費用は、前連結会計年度比33百万円減の4億53百万円となりました。これは主として、支払利息が11百万円減少したためであります。
(特別利益、特別損失)
特別利益は、前連結会計年度比7億13百万円減の2億89百万円となりました。これは主として、前連結会計年度は土地使用権放棄に伴う経済的補償益5億22百万円を計上したことに加え、投資有価証券売却益が2億74百万円減少したためであります。
特別損失は、前連結会計年度比21百万円増の3億39百万円となりました。これは主として、固定資産除却損が82百万円増加した一方、減損損失が79百万円減少したためであります。
(法人税、住民税及び事業税)
法人税、住民税及び事業税は、前連結会計年度比7億29百万円減の27億49百万円となりました。
法人税等調整額は、前連結会計年度比1億40百万円減の1百万円となりました。税効果会計適用後の法人税等の負担率は、前連結会計年度比2.0ポイント増の27.5%となりました。
(非支配株主に帰属する当期純利益)
非支配株主に帰属する当期純利益は、主としてTHAI SUMMIT PKK BANGPAKONG CO.,LTD.及びTHAI SUMMIT PK CORPORATION LTD.の非支配株主に帰属する利益であり、前連結会計年度比11億18百万円減の13億27百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比19億97百万円減の60億80百万円となりました。売上高に対する当期純利益率は3.2%となりました。また、親会社株主に帰属する1株当たり当期純利益は、60.99円となりました。
なお、前連結会計年度の親会社株主に帰属する1株当たり当期純利益は、79.41円であります。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、当社グループは、コア商品(フレーム、アクスル、建設機械用キャビン、パネル)における新規受注に対応するための生産体制の確立、コストの削減及び品質の向上に重点をおき、設備投資を行っております。
当連結会計年度における設備投資額は、前連結会計年度比13億35百万円減の156億56百万円となりました。
4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
1)主要な資金及び財源
当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資であります。
これらの必要資金は、利益の計上、減価償却費等により生み出される内部資金により賄うことを基本方針としております。
2)資金の流動性
手元の運転資金につきましては、当社と国内関連会社において寄託契約を実施しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
また、突発的な資金需要に対しては、迅速かつ確実に資金を調達できるようにコミットメントライン契約を締結し、流動性リスクに備えております。
当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるトラックの事業環境は、国内は堅調に推移しましたが、タイやインドネシア等で需要の落ち込みが継続しました。第4四半期では、米国の自動車生産において、米系メーカーの在庫調整や日系メーカーでのリコールによる生産停止が発生しました。また、建設機械の事業環境は、国内はレンタル向け出荷の減少、海外では主要地域(北米・欧州・アセアン等)での金融引き締めによる金利高止まり等の影響により前年比減少しました。このような状況のもと、2024~2028年度中期経営計画
における経営目標に対し、以下の結果となりました。本中期経営計画
では、基本方針に「質を追求し、プレゼンスを高める」を掲げ、3つの骨子①コア事業における攻めと挑戦、②電動化に向けたコア商品の進化、③サステナビリティ経営の推進、に基づき、着実に取組みを進めております。事業環境の変化をチャンスと捉え、様々な経営課題に挑み、企業価値の向上と社会課題解決への貢献を目指します。
|
|
中期経営計画
(2025年3月期) 目標 |
2025年3月期 実績 |
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売上高 |
2,400億円 |
1,898億円 |
|
営業利益率 |
8.0%以上 |
5.1% |
|
ROE |
9.0%以上 |
5.5% |
なお、当社グループの資本政策として掲げる総還元性向60%以上に対し、当連結会計年度は76.9%となりました。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度はビジョン・ミッション・バリューのもと、2022年5月に当社グループが長期視点で取り組むべき重要課題(マテリアリティ)が策定されました。本マテリアリティは将来に亘って新たな価値を創造し続けるうえで最も重要であり、EV/FCV化への対応は喫緊に進めていく必要があります。
また、アクスル、フレーム、建設機械用キャビン、パネルといった当社のコア商品の中長期先を展望した研究開発活動、海外生産への移行が進む中、国内のコア事業以外の新たなビジネス発掘を目的として、新技術・新工法の調査、実験、検討を行ってまいりました。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1) 新規事業に関する取組み
当社コア事業である自動車関連、建設機械関連とは異なる分野に於いて、プレス工業グループ全体の強みを活かした新しい事業に関し、調査、検討、商品の開発を行ってまいりました。さらに、検討結果の一部の特許出願を進めてきました。
今後も、SDGs、脱炭素化を切り口に、短期のみならず長期的な視点で、環境負荷軽減や社会・市場のニーズを捉えた商品を提案、具現化を図り、新たなビジネスの創出を目指してまいります。
(2) コアビジネスの更なる進化への取組み
① 自動車関連事業
EV/FCV化への対応に加え、環境負荷に配慮した軽量化、高強度化に向けた当社オリジナル商品・仕様提案及びその具現化のための要素技術開発、生産準備期間のさらなる短縮を狙った技術データベースの蓄積及び安定した品質を得る工法の検討、強度・精度・形状などお客様の高度な要望にお応えできる当社オリジナル要素技術のさらなる構築を行ってまいりました。また、既存設備を活用した当社製品の付加価値、競争力向上のための技術開発に取り組んでまいりました。これらの技術開発は、国内外で新たな量産部品の獲得へ繋がり、当社からの提案はお客様から高い評価をいただいております。
これらの取組みを効率よく行う手段として、当社が利用技術を構築してきた塑性加工成形シミュレーションがあります。塑性加工成形シミュレーションにより通常目視することができない金型内の材料の変形過程を含めて模擬し確認することができ、精度不良原因の特定を製品設計段階で行い、その対策を金型設計の早期に反映させる取組みにより、開発期間の短縮、開発コスト削減に大きな効果をあげています。
また、車両の軽量化ニーズにより年々需要が高まっている高強度材の部品では、より塑性加工成形シミュレーション活用の必要性が高まっております。更なるQCDの向上、技術の適用範囲拡大のため、検証を積み重ね、塑性加工成形シミュレーションの予測精度向上に取組んでおり、次期製品開発の軽量化・高強度化への取組みにも寄与しております。今後も当社オリジナルの塑性加工成形シミュレーション技術の確立を進めてまいります。
コア商品であるフレームの生産において、金型製作費を抑制して小ロット生産への対応が可能なロール成形機を新規導入しました。現在保有する生産設備とノウハウを有効活用し、自社で開発した装置を採用することで客先要求品質を満足するロール成形技術を確立することができました。現在、量産に向けた準備を進めており、2026年6月から生産を開始する計画です。
溶接組立分野では、当社独自のセンシング技術の構築とそれを利用した溶接品質安定手法の確立、自動検査技術の確立、過去に経験のない新規設備を導入するにあたり工場・メーカー等とコラボレーションしながら早期立ち上げ及び確実な品質評価手法の確立を行っております。これらの手法ノウハウを活用した新大型アクスルラインの設置を藤沢工場で進めており、2025年10月から生産を開始する計画です。
なお、自動車関連事業に係る研究開発費は
② 建設機械関連事業
建設機械分野ではキャブの商品力向上と品質信頼性向上を図ってまいりました。2024年3月には新形状異形鋼管を採用し視界性向上や新機能を織込んだ当社オリジナルキャブの開発が完了し、得られた成果をお客様に提案し、高い評価をいただいております。またROPS対応ではFEM解析での事前検証により各部位の板厚や補強構造を最適とする事で軽量化や開発期間の短縮にも貢献しております。
これらの取組みは、国内メーカーのみならず、海外メーカーのお客様とのワールドワイドな新たなビジネスチャンスに繋がっています。
なお、建設機械関連事業に係る研究開発費は
(3) 全社共通
喫緊の課題である地球環境問題への対応は、グループ全体のサステナビリティ基本方針及び環境方針に基づき、地球環境保全活動の基本的な考え方とその推進体制を定め取り組んでおります。
具体的には、気候変動については、2050年度カーボンニュートラル実現に向け、Scope1,2は二酸化炭素排出量削減目標を『2019年度比、2025年度21.0%、2030年度41.0%削減』に設定し、2025年度削減目標は達成の見通しです。Scope3は二酸化炭素排出量削減目標を『2019年度比、2030年度20.0%削減』に設定し、取り組んでおります。
また、生物多様性や水リスクへの取り組みについても、現状把握、課題・リスクの洗い出し及び目標等の策定に取り組んでおります。
当グループは今後も環境に配慮した更なる技術開発とものづくりを推進し、持続可能で豊かな社会の発展に貢献してまいります。