① 中期経営計画(T.RAD-12)から新中計(T.RAD-2025)へ
・T.RAD-12の振り返り
当社は、2023年3月期から2026年3月期までの4か年を計画期間とした新中期経営計画(T.RAD-12)を策定致しております。当社グループは、4年ごとに中期経営計画を策定し、進捗管理を行ってきましたが、業界・環境変化のスピードが速く、4年の間に環境条件と中期計画の前提に乖離が生じます。この課題を解決すべく、今後は、2030年度の長期目標(売上高2,000億円、ROE15%、PBR1倍)に向けた経営戦略と経営目標数値を毎年見直し、年次毎に経営目標数値を策定することといたしました。当該変更により、『T.RAD-12』は2024年度で終了します。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
・新中計(T.RAD-2025)について
② GXを実現する企業になるための取り組み
③ 顧客に喜ばれ、選ばれ続ける企業になるための取り組み
④ 新事業への取り組み
⑤ 安定した収益性を実現する企業
・ステークホルダーから信頼される企業になるための取り組み
⑥ 2025年度業績予測について
(1)サステナビリティへの基本的な考え方
当社が目指すサステナビリティ経営とは、「持続可能な社会への貢献」と「長期持続的な成長」を両立することであり、具体的には、既存事業において、CO₂削減や地球温暖化防止、人権侵害等の社会的課題に取組み、SDGsへの貢献に寄与することと考えます
また、持続可能な社会への貢献と長期持続的な成長に向け、当社企業理念に基づくサステナビリティ基本方針を策定し事業活動を通じて社会の持続可能な発展に貢献することが、私たちに期待されているサステナビリティ(持続可能性への取組み)と考えています。
(2)ガバナンス
コーポレート・ガバナンスへの考え方及び取組みに関しては、
また、サステナビリティ推進体制は、さまざまな社会課題解決に対する企業への期待・要請に適宜・適切に対応するべく、実効性のある推進体制を構築しています。なお、サステナビリティ関連も含めた当社のリスク管理は、当社のリスクマネジメント規定の下、適宜・適切に管理・対応しております。
気候変動を含むサスナビリティに向けた具体的な活動については、サステナビリティ会議傘下の各部会、及び各主管部門において検討され、サステナビリティに重要な影響を及ぼすと判断された案件については、毎月実施される取締役会、ならびにサステナビリティ会議にて審議する体制としております。
(3)戦略
SDGsや社会・環境課題を洞察し当社のサステナビリティにおける重要課題を洗い出し、課題解決に対応するべくサステナビリティ中計ならびに中期経営計画「T.RAD-2025」を策定し、活動を推進しております。
※中期経営計画 T.RAD-2025:https://www.trad.co.jp/images/library/File/pdf_file_1020_1747095720.pdf
※サステナビリティ中計:サステナビリティレポート
https://www.trad.co.jp/databox/data.php/sustainability-report_ja/code
気候変動に関しましては、移行・物理リスク・機会を分析し、気候関連リスクによる事業影響、財務影響の評価を実施し、対応策を策定し対応を進めております。
<気候変動のリスクと機会>
また、人材の多様性の確保を含む人材育成及び社内環境整備に関しましては、「人を大切にする企業」を中期経営計画「T.RAD-2025」における基本戦略の一つとして位置づけ、
(1)社員の健康と安全な生産活動によるゼロ災害追及
(2)働き方改革と職場環境の改善
(3)ものづくりを通した人財育成
(4)海外子会社の現地マネジメント人財育成
(5)多様な人材が活躍できる環境つくりと人権尊重
以上5点について、当社ホームページ上の中期経営計画「T.RAD-2025」ならびにサステナビリティレポートにて具体的な取組みを公開しております。
※中期経営計画 T.RAD-2025:https://www.trad.co.jp/images/library/File/pdf_file_1020_1747095720.pdf
※サステナビリティ中計:サステナビリティレポート
https://www.trad.co.jp/databox/data.php/sustainability-report_ja/code
ⅰ)人財育成の再構築
従業員一人一人の豊かな人間性を養成し、職位・階層に必要な基本的知識の充実及び専門知識の習得を図り、会社の運営・発展に必要な人財の育成を行っております。
今期は「階層別・職能別教育体系」を再構築し、各階層・職能に求める能力要件を再定義するとともに、特に新卒社員の入社後5年内の重点育成カリキュラムを策定いたしました。
また、従業員の自発的な学びを支援するため、教育コンテンツのEラーニングを進め、自由なタイミングで受講できる環境を整えております。Eラーニングコンテンツにつきましては、順次英訳も進め、海外子会社においても活用を進めてまいります。
ⅱ)従業員エンゲージメント向上の取組み
当社は、企業価値の一つとして従業員エンゲージメントを定め、それを高めるためには、仕事を通じて人生の多くの時間を使い、会社と最も深く関与している従業員と役員が株主利益を大きく享受できる制度が必要と考え、「働く株主」の推進に取り組んでおります。
今期においては福利厚生の拡充として、従業員を対象とした株式給付信託制度(J-ESOP)の拡充を行い、企業価値の高まりと連動し、働いている人も豊かになれる仕組みづくりを進めております。
また、2021年より導入し、従業員がその価値観やライフステージに応じたキャリア志向を申告できる「キャリア申告」に基づき、引き続き上司とのコミュニケーションの機会を推進している他、その結果を基に従業員の能力開発や適材適所の人事計画を策定し、当社の人事戦略と従業員のキャリア実現を推進しております。
ⅲ)DE&I推進の取組み
当社は、人権基本方針において企業理念である「会社の永続的発展と顧客、株主、従業員、取引先、地域社会の幸福を追求する」に基づき、従業員一人ひとりの持つ個性や価値観を認め、多様な人財が活躍できる職場環境づくりを進めております。
当社は、全てのステークホルダーの人権を尊重し、ジェンダー、障がい、国籍、人種、年齢、性的指向等の個人の属性に基づく差別を行わず、また個人の属性に基づく差別、及びあらゆる形態のハラスメントを容認しません。
今期においては、上記人権基本方針の策定し、人権デューデリジェンスの仕組みにより、サプライチェーンを含む自らの事業活動がステークホルダーの人権に及ぼす負の影響を把握し、その発生の抑制と軽減に努めることを公表いたしました。合わせて、外部専門家を講師として招き、全経営層を対象に、人権デューデリジェンスの目的と実践方法に関する講義を実施いたしました。
ⅳ)健康増進及び安全への取組み
「安全衛生は、全ての活動において最優先」という基本理念のもと、労働災害の発生防止、安全に安心して働ける職場づくりを推進しております。
今期においては、職場の安全推進の専門部門を再組織し、ものづくり現場の目線で再発・未然防止活動を展開することで「全従業員の高い安全意識向上」により安全・安心して働ける職場環境づくり実現しております。
(4)リスク管理
サステナビリティにおける重要課題に関わるリスクと機会を洗い出し、発現頻度・影響度を軸に分析、リスクの低減に努めるとともに、機会を新たなビジネスチャンスと捉え、サステナビリティ中計、中期経営計画「T.RAD-2025」に組みいれ、活動を推進しております。
また、リスクと機会に関する活動に対し、定期的にモニタリングや当社常勤取締役・常務執行役員を評価者としてマネジメントレビューを半期ごとに実施し、方針や活動結果が適切に進捗しているかの評価及び計画の承認が行われる体制を構築しています。
(5)指標と目標
2030年に向けた中長期ビジョン・活動目標を定めサステナビリティ中計にて推進しております。
※サステナビリティ中計:サステナビリティレポート
https://www.trad.co.jp/databox/data.php/sustainability-report_ja/code
また、気候変動に関する指標目標として、下記を設定し推進しております。
中期目標(2030):CO₂排出量27%減[2021年比]
当社は、年齢、性別、学歴、信条、国籍等による差別がなく、企業理念、経営方針の実現に努力し、成果を出した人を厚く処遇する「公平の原則」を人事理念に掲げ、人材の多様性や個性を互いに尊重・認め合い、個人が持つ能力を最大限に発揮することが企業の永続的発展に不可欠と考えます。そのなかでも、特に、当社においては、全従業員に占める女性従業員の比率が低いため、女性が活躍できる雇用環境の整備を行い、人材の多様性の確保を含む人材育成及び社内環境整備に関する指標目標として、下記を設定し推進しております。
事務技術職の採用者に占める女性比率 目標値(2026年3月末) 30%以上
実績値(2025年3月末) 40.5%
なお、上記目標は当社単体ベースでの目標値であります。当社単体ベースの目標としている理由につきましては、国内子会社については対象となる従業員数が少ないためであり、海外子会社については、各国の労働環境が様々であり、一律の目標値を設定することが困難なためであります。
気候変動ならびに人財関連の取組みについては、当社ホームページ上の中期経営計画「T.RAD-2025」、サステナビリティレポートにて公開しております。
※中期経営計画 T.RAD-2025:https://www.trad.co.jp/images/library/File/pdf_file_1020_1747095720.pdf
※サステナビリティ中計:サステナビリティレポート
https://www.trad.co.jp/databox/data.php/sustainability-report_ja/code
(注)当該報告書内の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断
する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当社グループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。当社グループは「リスクマネジメント基本規定」を定め、自然災害や火災等のみならず会社の存続に係る重要なリスクを適切に認識し評価した上で、それらリスクを適切に管理するための管理体制を構築しております。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)海外事業展開
自動車業界を中心とする当社グループの取引先は、新しい市場への対応やコスト削減のためグローバル化が進展しており、これに対応するため当社グループは積極的な海外事業展開を進め、米国・欧州・アジア・中国に進出しております。
一方、海外事業には以下のようなリスクが内在しております。
①関税制度をはじめとする法規制の予測不能な変更
②政治的な不安定要因
③人材確保・教育の難しさ
④テロ・戦争・伝染病の流行などによる混乱
⑤為替相場の変動による採算の悪化や、損失の発生
これらのリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(2)経済状況
当社グループの製品の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受ける可能性があるため、日本はもとより主要な市場である米国、欧州、アジア、中国における景気悪化及びそれに伴う需要減少は当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。とくに、建設産業機械用熱交換器につきましては、好不況の影響により、販売数量が大きく増減しますが、当社グループの生産設備・人員等は、販売数量が増加した場合に備えたものとなっており、販売数量が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に大きな影響を及ぼすこととなります。
(3)OEM(※)製品への依存
当社グループの販売は、OEM製品の依存度が大きく、そのため自動車メーカー及び建設産業機械メーカー等顧客企業の業績不振、価格の値引き及び調達方針の変更等は当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、OEM取引においては、当社グループ独自の観点のみで、事業撤退等の経営戦略を決定することが、困難であり、不採算事業の継続等により、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(※)Original Equipment Manufacturer「相手先(委託者)ブランド名製造」
(4)災害等の発生
当社グループは、国内外に事業拠点を有しており、地震、台風、洪水等の自然災害や新型ウイルスなどによる疫病流行の発生時の事業継続に備え、BCM(事業継続マネジメント)体制の構築をすすめております。しかし、予想を超える規模の被災により、物的資源・人的資源への重大な影響や、ライフライン・輸送ルート等の寸断などによる生産の中断といった事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、災害の影響が、当社グループに直接大きな影響を与えない場合においても、当社取引先に重大な影響を与えた場合、当社グループにおいても、生産の中断を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(5)原材料価格等の上昇
当社グループが購入する主要な原材料はアルミ・銅などの非鉄金属ですが、これらの購入価格は非鉄金属市場の市況の影響や為替相場により、変動するリスクを持っております。購入価格の上昇分を販売価格に転嫁できる取引先もありますが、転嫁できない取引先や、一部の転嫁にとどまる取引先もあります。また、購入価格上昇時と、転嫁時の時期的なずれもあり、原材料価格の上昇リスクが、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
また、電力費、物流費、人件費等のコスト増加分の販売価格への転嫁につきましては、取引先との個別交渉となりますので、転嫁できない場合もあり、生産効率向上、合理化等により、これらのコスト増加が吸収できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(6)サプライチェーンの分断
当社グループは、原材料、部品を複数の供給元から調達しています。供給元とは、安定的な取引を前提としていますが、供給元の突発的な事故、感染症拡大等による生産停止や納入遅延、及び物流網の問題などにより、原材料、部品の不足が生じ、当社グループの生産に支障が生じる可能性があります。また、当社の供給先である自動車メーカー等において、当社グループ以外の供給元からの半導体等主要部品の供給に支障が生じた場合、自動車メーカー等の減産により、当社グループの生産に影響を与える可能性があります。このような場合、当社グループにおいて、生産の中断、原材料調達コスト上昇、及び物流コスト上昇により、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(7)品質不具合
当社グループでは、品質保持・向上を最重要課題と考え、グローバルな品質保証体制の構築を目指しております。自工程での品質保証、過去の不具合に学び失敗を繰り返さないなどの活動の浸透を進め、万全の体制をもって製品の生産に努めております。ただし、万が一、主要製品において、予期せぬ品質不具合が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(8)設備投資
当社グループにおいては、新機種対応等において、新たな設備投資が必要になるため、設備投資額が多額に上っております。設備の汎用化などにより、設備投資額を抑制する活動は実施しておりますが、一定の品質水準の確保などの観点から、ある程度の設備投資が必要となります。このため、多額の設備投資を実施した事業において、販売減少等により、想定した利益確保ができない場合、多額の減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクコントロールのため、当社グループでは、新規投資時において、投資回収分析によるリスク評価を行うとともに、投資回収実績のモニタリングを実施しております。
(9)気候変動によるリスク
当社グループの事業に影響を与える気候変動によるリスクには、脱炭素社会への移行リスクと、物理リスクがあります。主な移行リスクは、燃費・排ガス規制や電動化の拡大に、当社製品が適切に対応できないことで、売上が減少する可能性があります。また、物理リスクとしては、洪水などの異常気象の深刻化と頻度の上昇により、工場操業停止やサプライチェーンの分断により、生産活動に支障を来たす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクに対応するため、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」に賛同し、気候変動に関する具体的なシナリオ分析を実施しております。
(10)情報セキュリティ
当社グループは、業務効率化のため、様々な情報技術システムを利用しており、外部からのサイバー攻撃(侵入防止・検知)への対策、これらの攻撃に対する社員への啓発・教育などの対策を強化しております。しかし万一、外部からのサイバーテロやコンピューターウィルスの侵入により機密情報の漏洩または喪失があった場合、生産等の業務の継続に支障を来たし、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(1)業績等の概要
①全般的概況
当連結会計年度の経済環境は、世界的なインフレ懸念への制御が効果を発揮し始め、各国の金融政策も利下げへの転換点を迎えました。一方、日本においては、マイナス金利政策の解除や、円安基調の調整等、経済環境の変化が起こっております。そうした中、24年11月の米国大統領選挙以降、米国の関税政策の大幅な変更が発表され、貿易コストの上昇、米国のインフレ再燃、世界的な景気減速等への懸念が広がってきております。ウクライナや中東地域の紛争も依然継続しており、グローバルな経済環境は尚不透明な状況です。
2025年3月期の業績については、当社グループの売上高(外貨ベース)は、日本地域を除き前年同期比で減少しました。営業利益は、売価調整の進捗や、米国地域の収益性改善等により、前年同期比増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、前年同期比増益となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は前年同期比575百万円増加し、159,235百万円(0.3%増)、営業利益は2,965百万円増加し、7,316百万円(68.1%増)、経常利益は2,762百万円増加し、8,101百万円(51.7%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、3,005百万円増加し、4,250百万円となりました。
②セグメント別概況
セグメント別の状況は、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析(ⅰ)売上高、営業利益増減分析」に記載しております。
③キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況は「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況(ⅰ)キャッシュ・フローの分析」に記載しております。
④生産、受注及び販売の実績
(ⅰ)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(金額単位:百万円)
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 生産高 |
当連結会計年度 生産高 |
増減 |
増減率(%) |
|
日本 |
66,754 |
67,687 |
933 |
1.4% |
|
米国 |
41,888 |
44,700 |
2,812 |
6.7% |
|
欧州 |
5,629 |
4,858 |
△771 |
△13.7% |
|
アジア |
21,391 |
22,174 |
782 |
3.7% |
|
中国 |
19,990 |
15,381 |
△4,609 |
△23.1% |
|
報告セグメント計 |
155,654 |
154,802 |
△851 |
△0.5% |
|
その他 |
321 |
303 |
△17 |
△5.5% |
|
合計 |
155,975 |
155,106 |
△869 |
△0.6% |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、運送業などを営む国内子会社の事業活動を含んでおります。
(ⅱ)受注状況
当社グループは、主に、各納入先より生産計画の提示を受け、これに基づき当社グループの生産能力を勘案して、生産計画を立て見込生産を行っております。
(ⅲ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(金額単位:百万円)
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 販売高 |
当連結会計年度 販売高 |
増減 |
増減率(%) |
|
日本 |
68,784 |
71,948 |
3,163 |
4.6% |
|
米国 |
42,127 |
44,484 |
2,357 |
5.6% |
|
欧州 |
5,799 |
4,874 |
△924 |
△15.9% |
|
アジア |
21,247 |
22,087 |
840 |
3.9% |
|
中国 |
20,379 |
15,535 |
△4,844 |
△23.7% |
|
報告セグメント計 |
158,338 |
158,931 |
593 |
0.4% |
|
その他 |
321 |
303 |
△17 |
△5.5% |
|
合計 |
158,659 |
159,235 |
575 |
0.4% |
(注)1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
|
トヨタ自動車㈱ |
14,112 |
8.9 |
17,827 |
11.2 |
(注)2.用途別製品販売の概況は次のとおりであります。
|
用途別売上高 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増 減 |
|||
|
(百万円) |
構成比(%) |
(百万円) |
構成比(%) |
(百万円) |
増減率(%) |
|
|
自動車用 |
124,318 |
78.4 |
127,461 |
80.0 |
3,142 |
2.5 |
|
建設産業機械用 |
29,550 |
18.6 |
27,056 |
17.0 |
△2,493 |
△8.4 |
|
空調機器用 |
2,340 |
1.5 |
2,630 |
1.7 |
289 |
12.4 |
|
その他 |
2,450 |
1.5 |
2,086 |
1.3 |
△363 |
△14.8 |
|
合 計 |
158,659 |
100.0 |
159,235 |
100.0 |
575 |
0.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月17日)現在において当社グループが判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析
(ⅰ)売上高、営業利益増減分析
セグメントごとの、売上高、営業損益の増減要因は、以下の通りです。
|
・日本 建設産業機械用売上高は、受注の減少等により、前年同期比減少しましたが、自動車用売上高は、受注の増加、売価改善等により、前年同期比増加しました。この結果、当該セグメントの売上高は、前年同期比3,163百万円増加し、71,948百万円となりました。 営業利益は、材料・部品費、エネルギー費等の売価転嫁も進み、前年同期比1,187百万円増加し、2,692百万円となりました。
|
|
|
|
|
|
|
|
・米国 自動車用売上高は、為替の影響等により前年同期比増加しました。建設産業機械用売上高は、受注の減少等により前年同期比減少し、この結果、当該セグメントの売上高は、前年同期比2,357百万円増加し44,484百万円となり、外貨ベースでは、5.3%の減少となりました。 営業利益は、生産移管プロジェクトに基くグループ会社の支援によって収益性が改善、前年同期比1,770百万円増加し、△578百万円となりました。 |
|
|
|
・欧州 自動車用売上高は、商用車の受注減少等により、前年同期比減少しました。この結果、当該セグメントの売上高は、前年同期比924百万円減少し、4,874百万円となりました。外貨ベースでは、18.2%の減少となりました。 営業利益は、売上減少等により、前年同期比50百万円減少し、46百万円となりました。
|
|
|
|
|
|
|
|
・アジア 自動車用売上高は、タイ、インドネシアにおいて、為替の影響等により前年同期比増加しました。ベトナムにおいては、受注の増加等により、前年同期比増加、この結果、当該セグメントの売上高は、前年同期比840百万円増加し、22,087百万円となりました。外貨ベースでは、6.0%の減少となりました。 営業利益は、売価改善等により、前年同期比784百万円増加し、4,254百万円となりました。外貨ベースでは、11.1%の増益となりました。 |
|
|
|
|
|
|
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・中国 建設産業機械用売上高は、受注の増加等により増加しましたが、自動車用売上高は、受注の減少等により前年同期比減少しました。この結果、当該セグメントの売上高は、前年同期比4,844百万円減少し、15,535百万円となりました。外貨ベースでは、29.1%の減少となりました。 営業利益は、売上減少等により、前年同期比897百万円減少し、654百万円となりました。外貨ベースでは、61.2%の減益となりました。 |
|
|
(ⅱ)親会社株主に帰属する当期純利益の増減分析
以上のセグメント別概況の通り、当連結会計年度の当社グループ営業利益は、7,316百万円(前期比2,965百万円増加)となりました。これに対し、営業外損益・特別損益・法人税等・非支配株主に帰属する当期純利益が、前期比39百万円増加したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益(損失)は、前期比3,005百万円増加し、4,250百万円となりました。
(営業外損益・特別損失・法人税等の増減要因)
(金額単位:百万円)
|
項目(損△) |
前連結会計年度 (2024年3月期) |
当連結会計年度 (2025年3月期) |
増減 |
主な要因 |
|
営業利益 |
4,350 |
7,316 |
2,965 |
|
|
為替差益 |
508 |
6 |
△501 |
円高の進行による為替差益減少。 |
|
支払利息 |
△642 |
△407 |
235 |
米国子会社借入減少による支払利息減少。 |
|
その他営業外損益 |
1,123 |
1,185 |
62 |
受取利息増加。 |
|
投資有価証券売却益 |
199 |
- |
△199 |
前期保有非上場株式売却による。 |
|
関係会社株式売却益 |
218 |
- |
△218 |
前期タイ持分法適用会社売却による。 |
|
固定資産売却益 |
87 |
12 |
△74 |
前期独身寮売却による。 |
|
減損損失 |
△1,623 |
△303 |
1,320 |
米国子会社での減損損失減少。 |
|
固定資産除却損 |
△92 |
△1,217 |
△1,124 |
開発方針の見直しによるソフトウェア仮勘定の廃棄にともなう損失増加。 |
|
その他特別利益 |
△9 |
△11 |
△1 |
固定資産売却損増加。 |
|
法人税、住民税及び事業税 |
△2,710 |
△2,423 |
287 |
海外子会社の配当にかかる源泉税減少等による税金費用減少。 |
|
法人税等調整額 |
△72 |
102 |
174 |
関係会社留保利益減少にともなう繰延税金負債減少。 |
|
非支配株主に帰属する当期純利益 |
△90 |
△11 |
79 |
インドネシア子会社出資比率増加にともなう控除減少による。 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
1,245 |
4,250 |
3,005 |
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(ⅲ)経営方針、経営戦略等、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2022年度より第12次中期経営計画『T.RAD-12』(2022~2025年度の4年間)をスタートしており、2025年3月期は、3年目にあたります。2025年3月期の達成状況は、次表のとおりで、売上高は目標達成、経常利益率、ROEは、ともに大幅に改善し、目標までもう一歩となりました。当社グループは、4年ごとに中期経営計画を策定し、進捗管理を行ってきましたが、業界・環境変化のスピードが速く、4年の間に環境条件と中期計画の前提に乖離が生じます。この課題を解決すべく、今後は、2030年度の長期目標(売上高2,000億円、ROE15%、PBR1倍)に向けた経営戦略と経営目標数値を毎年見直し、年次毎に経営目標数値を策定することといたしました。当該変更により、『T.RAD-12』は2024年度で終了します。
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指標 |
2025年3月期 (実績) |
2026年3月期 (中期計画最終年度) |
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売上高 (達成率) |
159,235百万円 (106.2%) |
150,000百万円 |
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経常利益率 (達成率) |
5.1% (85.0%) |
6.0%
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ROE (達成率) |
9.1 (91.0%) |
10.0
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(ⅳ)財政状態の分析
(金額単位:百万円)
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
増減率(%) |
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流動資産合計 |
66,617 |
61,419 |
△5,197 |
△7.8 |
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固定資産合計 |
36,470 |
36,067 |
△403 |
△1.1 |
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資産合計 |
103,087 |
97,486 |
△5,601 |
△5.4 |
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負債合計 |
57,801 |
48,742 |
△9,058 |
△15.7 |
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純資産合計 |
45,286 |
48,744 |
3,457 |
7.6 |
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自己資本比率 |
43.6% |
49.9% |
6.3% |
- |
・資産合計
資産合計は、現預金、売掛金等の減少により、前連結会計年度末比5,601百万円減少し、97,486
百万円となりました。
・負債合計
負債合計は、買掛金、借入金等の減少により、9,058百万円減少し、48,742百万円となりました。
・純資産合計
純資産合計は、利益剰余金及び為替換算調整勘定の増加等により3,457百万円増加し、48,744百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況
(ⅰ)キャッシュ・フローの分析
(金額単位:百万円)
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
16,968 |
7,563 |
△9,405 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△7,075 |
△6,473 |
602 |
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フリー・キャッシュ・フロー |
9,892 |
1,089 |
△8,802 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
△616 |
△6,947 |
△6,331 |
|
現金及び現金同等物期末残高 |
20,204 |
15,698 |
△4,506 |
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は15,698百万円と、前連結会計年度末(期首残高)に比べて4,506百万円(22.3%)の減少となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減は、次のとおりです。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、7,563百万円の資金の増加となりました。会計期間の末日が休日であった前連結会計年度の増加額が16,968百万円であったことに比べて、9,405百万円の減少となりました。期跨ぎ影響の解消、また下請法対応によるサイト短縮による仕入債務の減少、前年度の特別配当の剥落、法人税等支払額の増加等が要因となります。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得等により6,473百万円の資金の減少となり、前連結会計年度が7,075百万円の減少であったことに比べて、602百万円の増加となりました。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、海外子会社の短期借入金の返済、配当金の支払等により、6,947百万円の資金の減少となり、前連結会計年度が616百万円の減少であったことに比べて、6,331百万円の減少となりました。
(ⅱ)財政政策
・当社グループは、健全な財務体質を維持しつつ、成長分野への投資と、株主還元の両立を目指しております。PBR向上のため、ROE向上と、健全な財務体質との両立をはかり、最適な財務レバレッジを目指してまいります。
・資金調達については、総合的な見地から、最も有利な手段での調達を目指しており、現在では、金融機関からの借入金を主としております。また、海外子会社の余剰資金については、配当金等により、当社に集約のうえ、各子会社の資金需要にあわせて、適正に再配分を行っております。
(ⅲ)資金需要及び調達
・当社グループにおける投資は、電動化、DX及び環境対応など、当社の競争力(技術力・生産性)を更に強化する成長投資を行うとともに、新工場建設やM&A、新規事業等の戦略投資も実施してまいります。これら投資資金の調達については、自己資金に加え、金融機関からの借入金、及び売掛債権の流動化による調達を適切に実施する予定です。
また、不測の事態により、資金不足が生じる場合に備えて、財務の健全性を維持するとともに、各金融機関と良好な関係を維持し、安定的で低コストの資金調達が可能な体制を維持してまいります。
重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、一定の仮定にもとづく、見積り、判断を必要とするものがあります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」「1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表」[注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、一定の仮定にもとづく、見積り、判断を必要とするもののうち、特に以下の重要な会計方針が、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(ⅰ)固定資産の減損処理
当社グループが有する固定資産のうち、「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされるものについては、損益報告や経営計画などの企業内部の情報、経営環境や資産の市場価格などの企業外部の要因に関する情報に基づき、資産又は資産グループ別に減損の兆候の有無を確認し、企業環境の変化や経済事象の発生可能性なども考慮し、減損損失の認識・測定を行っております。
また、米国子会社における有形固定資産減損に関して、連結財務諸表において、「重要な会計上の見積り」として、注記しております。
(ⅱ)繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。
また、提出会社の繰延税金資産の回収可能性に関しては、財務諸表において、「重要な会計上の見積り」として、注記しております。
(ⅲ)製品保証引当金の計上
当社グループは、製品のアフターサービスに対する支出に備えるため、過去の実績を基礎にして発生見込額を計上しております。また、個別に発生が見込まれるクレーム費支出については、対象となる台数、台当たりの修理費用、顧客との責任割合等を勘案し、当社グループが負担すると合理的に見込まれる金額を見積計上しています。また、製品保証引当金に関して、連結財務諸表、及び財務諸表において、「重要な会計上の見積り」として、注記しております。
技術援助契約
契約会社名:株式会社ティラド(当社)
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相手方の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
対価 |
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インドネシア PT. BATARASURA MULIA |
ラジエータ製造に関する技術 |
自 2024年12月16日 至 2029年12月15日 |
一定料率のロイヤルティの受取 |
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インド TATA TOYO RADIATOR Ltd. |
ラジエータ製造に関する技術 |
自 2020年1月1日 至 2026年12月31日 |
一定料率のロイヤルティの受取 |
当連結会計年度の研究開発活動としましては、自動車・建設産業機械・燃料電池等の関連分野の新製品開発・改良開発に取り組むと共に、中長期的成長の基盤となる基礎研究にも努めてまいりました。
その主たる活動は日本で行っておりますが、日本以外でも、米国、インド、中国にも研究開発拠点を設置し、これにより日系及びローカルメーカーの要求を満足する製品をこれまで以上に強化した体制にて開発することで、さらなるビジネス拡大に貢献する事が可能となっております。
又、全社におけるCO2削減活動の一環として、カーボンニュートラルを達成させるために、アルミ材や樹脂材等熱交換器の主要材料の使用量削減やリサイクル化の研究・製品開発にも注力していきます。
(1)研究開発活動
① 新製品開発と現有製品の改良開発
・研究開発活動では、主に環境・エネルギー関連に着目し環境対応自動車分野・建産機分野における新製品の開発・改良開発に注力しております。
・環境対応自動車分野におきましては、ハイブリッド車・電気自動車・燃料電池車等の車両電動化に対応した冷却システムの開発を進めております。ここには、従来の熱交換器の技術の他、先進的な当社独自の技術も盛り込み、高性能・小型軽量かつ低コストを実現してまいります。
・建産機分野におきましては、高性能かつ高強度の熱交換器、超大型機械対応の熱交換器等、市場のニーズに合わせた更なる開発・改良開発を推進しております。
また、小型建機の電動化も視野に入れた開発も進めております。
・その他の分野を含めて、多種にわたる現有製品群の更なる高性能・小型軽量化及び低コスト、低CO2排出を目指した製品の開発を進めております。また、冷却系のモジュール化や機能の複合化等の他、リサイクル性に配慮した製品やエンジン排気ガス・燃費の改善に貢献する熱交換器の改良開発を日々続けております。
② 基礎研究
材料及び新加工の基礎研究、すなわち熱交換器用各種材料、表面処理やろう付け接合技術の研究を推進すると共に、特にコンピュータによる数値解析・基礎評価技術の向上に注力し、開発の効率化、試作レス化を推進しております。さらに熱から電気を生み出す新しい熱エネルギー変換技術の研究開発等、将来の視点にたった研究を進めております。
③ 2025年3月31日現在の産業財産権の総数は212件であります。
(2)支出した研究開発費は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
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セグメントの名称 |
前連結会計年度 研究開発費 |
当連結会計年度 研究開発費 |
増減 |
増減率 |
|
日本 |
2,769 |
|
559 |
20.2% |
|
米国 |
27 |
|
74 |
274.1% |
|
欧州 |
19 |
|
△16 |
△84.2% |
|
アジア |
24 |
|
1 |
4.2% |
|
中国 |
97 |
|
△41 |
△42.3% |
|
その他 |
- |
|
- |
- |
|
合計 |
2,938 |
|
578 |
19.7% |