第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものでありますが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について、当社が保証するものではありません。

 

(1) 経営方針

当社は企業理念を、『私達は、「摩擦と振動、その制御と解析」により、ひとつひとつのいのちを守り、育み、支え続けて行きます。』と定め、経営方針である『お客様第一・技術の再構築・グローバルネットワークの確立』に基づき、独創的な発想・アプローチで社会に貢献し、ボーダーレス社会における不可欠な存在としての他に類を見ない地位の確立を目指しております。

21世紀を通じて当社グループが指向する姿として、「akebono21世紀宣言」すなわち『akebonoは曙の理念の基に21世紀を通して価値の創造を続けます。』のスローガンのもと、私達の提供する価値を正しく認識し、スピードとこだわりをもって新たな価値を創造し、ひとりひとりが誇りをもって夢を実現することを宣言いたしました。

曙の理念及び従業員自らの理解を深めるために策定した当社グループのブランドスローガン『さりげない安心と感動する制動を』をガイドとしつつ、「akebono21世紀宣言」に謳われた取り組み姿勢で、「企業理念」の基に、21世紀での勝ち残りのため、当社グループの継続的な構造改革を進めていきます。

 

(2) 対処すべき課題

①事業再生計画の状況と今後の取り組み

当社は、2019年9月18日付「『事業再生計画』の株式会社東京証券取引所への提出に関するお知らせ」にて公表したとおり、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(以下、「事業再生ADR手続」といいます。)の中で全てのお取引金融機関からご同意いただいた事業再生計画に沿って、事業再構築のための各施策に取り組んでおり、全ての拠点・事業部門において、聖域なき構造改革を実行し、黒字化の実現を目指しております。各地域での構造改革の状況は以下のとおりとなります。

 

(日本)

日本においては、生産性改善、合理化及び経費削減等のコスト削減、工場の縮小・閉鎖及び低採算製品・不採算取引の改善、並びに設備投資、開発費、親子ローン等の支出項目について、厳格な承認プロセスの再構築を進めております。

計画しておりましたとおり、本社間接系従業員の早期退職措置を実施し、応募人数は154名、当期間中の自己都合退職者32名を含めると、事業再生計画における人員削減計画は概ね達成いたしました。また、当社の日本橋本店の売却代金を原資とする21億33百万円の元本返済を3月末に実行いたしました。

国内生産拠点においては、山陽製造の段階的な縮小・閉鎖及び福島製造の縮小を当初計画しておりましたが、国内4工場の縮小に計画を変更し、調達した資金の資金使途及び支出予定時期を変更しております(2020年3月26日付「日本における事業構造改革施策の変更並びに第三者割当によるA種種類株式発行に関する資金使途及び支出予定時期の変更に関するお知らせ」にて公表)。今後は、変更後の計画に沿った国内4工場の縮小を進めてまいります。

 

(北米)

北米においては、工場の閉鎖及び売却、資金管理面での承認プロセスの遵守並びにその他コスト改善を進めております。売上減少に合わせた、米国テネシー州及びサウスカロライナ州の生産2拠点の閉鎖を決定し、これに合わせた生産終了の前倒しや早期転注交渉を進めてきております。生産終了・閉鎖時期は、テネシー州の工場は2020年8月、サウスカロライナ州の工場は2020年9月と予定どおりに進んでおります。

 

 

(欧州)

欧州においては、事業及び拠点再編を含む構造改革を計画しており、フランスのアラス工場及びスロバキア工場について、当社に損失が生じない形での提携又は売却を実施いたします。これが実現できない場合は、新規受注及び新規設備投資・開発を停止させ、既存製品の生産終了まで生産を継続し、閉鎖してまいります。新型コロナウイルス感染症の影響により、提携先又は売却先との交渉が一時中断したものの、現在は交渉を再開しております。

 

②新型コロナウイルス感染症への対応

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大にともない、当社グループでは、全ての地域において生産拠点の一時的な稼働停止等の影響が生じております。

国内では、政府の緊急事態宣言発令を受け、本社間接系従業員を対象に休業日や有給休暇奨励日を設定、勤務形態を原則テレワーク(在宅勤務)とする等の対策を行い、出勤者8割減に努めてまいりました。政府による緊急事態宣言全面解除後も、休業日の設定や、出勤時の感染防止対策徹底を引き続き行うとともに、今後も時差出勤やテレワーク(在宅勤務)を奨励し、新しい働き方の定着に取り組んでおります。国内生産拠点では、完成車メーカーの稼働状況に応じて稼働停止日を設ける等の対応を引き続き行ってまいります。

海外の拠点では、各国の政府及び地方自治体の指示・指導に基づき、オフィスの閉鎖や間接系従業員のテレワーク(在宅勤務)の実施、生産拠点の稼働停止等の対応を行ってまいりました。今後は完成車メーカーの稼働状況に応じて、製品供給に支障が生じないよう稼働してまいります。

なお、資金繰りの状況につきましては、事業再生ADR手続が成立し、2019年9月30日にジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第弐号投資事業有限責任組合から出資を受けたこともあり、直近の資金繰りに支障は生じておりません。また、上記のとおり、北米及び欧州において事業再生計画における構造改革の実行に一部遅延が発生しておりますが、現段階で構造改革の内容に変更はなく、資金使途にも変更はありません。

今後も影響を最小限に抑えるため動向を注視しながら、事業再生計画の達成に向けて構造改革を進めてまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業において、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクは、次のようなものがあると考えており、会社運営にあたり注意を払っております。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの事業、業績及び財政状態に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 

(特に重要なリスク)

1) 技術革新・新製品開発に関するリスク

当社グループは、真のグローバリゼーションの中での事業拡大を目指し、将来のニーズを予測し、必要な経営資源を技術革新・新製品開発に投入しておりますが、市場、お客様ニーズ及び業界の技術の急激な変化等により、お客様の必要とする新技術・新製品がタイムリーに開発できなかった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

今後、急速な普及拡大が予想される電動パーキングブレーキについては当社の独自技術を活かした商用車等の高出力発生可能な重車両向け、高性能車両をターゲットとした軽量、コンパクトな電動パーキングブレーキの開発に取り組んでおります。電動サービスブレーキについては競合他社に先行した市場投入を図るべく開発を進めております。これからの自動運転開発の加速も見据え、応答性の速さ、コントロール性の良さ、小型・軽量化を重点課題として電動化開発の推進を図っております。

また、次世代製品として開発を進めているMR流体ブレーキは従来の摩擦ブレーキと全くメカニズムを変え、磁力を活用した当社独自のブレーキとなります。自動運転対応と共に摩耗粉を発生せず、音振動がないという低環境負荷、快適性をコンセプトとして現在、実用化に向けた評価に入っております。加えて、ブレーキの基本構造から新たに開発した新構造ブレーキ開発も進めております。従来製品に対して、ブレーキが安定するほか、大幅な軽量化も狙っております。xEVへのシフトに対応した製品として開発を進めてまいります。

摩擦材開発については銅フリー摩擦材のシェア拡大に向けた取り組みと共に積極的な持続可能資源の活用のもと、昨今、着眼されてきている摩耗粉抑制、回生ブレーキとの協調も含めた小型・軽量化、鉄道分野での先行した次世代摩擦材の開発を推進しております。

当社はこのような将来の環境対応を軸として、お客様ニーズに沿った開発を進めることで、新技術、新製品で他社に先行されるというリスクを抑制しながら社会貢献を図ってまいります。

2) 生産技術・設備に関するリスク

当社グループは、事業再生計画に基づく生産拠点の再編を進めており、その基盤となっているのは最適生産への取り組みです。余剰設備の有効活用、工場間及び工場内での寄せ止め、生産設備の稼働率向上を進めており、国内は専門工場化へシフトすることになりますが、その結果として工場間での補完はできないことになります。

具体的には、岩槻から山陽へのドラムブレーキ移管と福島から山形へのブレーキパッド移管を実施することによる専門工場化により、生産補完ができなくなります。国内での補完はできなくとも海外工場との補完は以下のように可能となっております。ただし補完関係にある工場が海外にありBCMのリードタイムが長くなることから、タイムリーな対応・お客様の要望に応える事が出来ずにビジネスチャンスを失い、その結果当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

海外補完体制

製品・主要部品

国内生産工場

海外生産工場

ディスクブレーキ

岩槻製造(埼玉県)

ABE(アメリカ)、ABM(メキシコ)、広州(中国)、AKBT(タイ)、AAIJ(インドネシア)

ドラムブレーキ

山陽製造(岡山県)

AAIJ

ブレーキパッド

山形製造(山形県)

ABG(アメリカ)、AESA(フランス)、蘇州(中国)、AKBT、AAIJ

ブレーキライニング

福島製造(福島県)

AAIJ

鋳物部品

館林鋳造所(群馬県)

A&M(タイ)

ピストン

岩槻製造

AKBT、AAIJ

 

 

 

3) 品質に関するリスク

当社グループでは、安全・安心を支える上で品質は最も重要であると考え、常に、より高度な品質保証体制の構築を目指しております。自工程での品質保証、過去の不具合に学び失敗を繰り返さないなどの活動の浸透を進め、万全の体制をもって製品の生産に努めております。これから電動化による構成部品等が高度で複雑な技術を利用したものが増え、また、部品等を外部のサプライヤーから調達することにより、品質確保へのコントロールが低下する恐れがあり信頼に悪影響を及ぼす可能性が有ります。

また、品質保証契約及び社内規程による規格やルール等でデータ改ざん等の不適切な行為を行った場合など、当社グループの製品は直接安全に関わる製品であり、万が一、製品の欠陥・信頼失墜等が発生し、お客様への流出が防止できなかった場合、多大な費用の発生と社会的信用の低下により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対しては当社グループでは品質保証部門により定期監査等を実施し、リスクの低減を図っています。

4) 災害等に関するリスク

当社グループは、国内外に多くの拠点を有しており、地震、台風、洪水等の自然災害や、今般の新型コロナウイルス感染症のパンデミックのように操業を停止せざるを得ないような事態に備え、事業継続マネジメント(BCM)を行っています。

しかしながら、想定を超える規模の災害や疫病が発生した場合、人的資源への影響、建屋や設備の損壊、ライフラインや情報インフラの寸断などにより生産活動が困難となり、顧客への製品供給に遅延や不能が生じることで当社グループの財政状態や業績、ひいては事業の継続に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として当社グループでは、危機管理マニュアルの整備、従業員の安否確認方法の整備、BCMの啓蒙活動とこれらに基づいた防災訓練、更に、災害の未然防止や早期復旧を目的とした建屋の耐震補強、生産設備の転倒防止などを、安全・BCM推進部署として独立した組織で行っています。危機が発生した場合は、安全・BCM推進部署が中心となって関係する国内外の拠点を網羅して速やかに対策本部を立ち上げ、必要な措置を実行しています。

5) コンプライアンスに関するリスク

当社グループでは、akebonoグローバル行動規範、akebonoグローバル行動基準やコンプライアンス規定等の整備によりコンプライアンス推進体制を構築するとともに、各事業部門・製造拠点が自ら施策を立案し、コンプライアンス委員会において承認されたそれぞれの年間活動計画に沿ってコンプライアンス活動を推進することを中心に、ハラスメントや長時間労働防止のための労務研修、下請法違反防止・インサイダー取引防止を目的とした各種研修を行うなど、社員のコンプライアンス意識向上のための各種施策を実施しております。

また、内部通報制度としての社外相談窓口の設置とともに社内相談窓口を設置しており、それぞれの窓口に寄せられた相談については、適宜必要な調査を実施し、適切に対応しております。また、コンプライアンス活動状況と相談窓口への相談内容については、定期的に取締役会に報告しております。しかしながら、こうした対策によってもコンプライアンス上のリスクを完全に回避することまで保証できるものではなく、法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合には、法令による処罰や訴訟の提起、損害賠償請求、ステークホルダーからの信頼低下などにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

6) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは製品開発や製造、経営等に関わる機密情報や個人情報を保有しており、サイバー攻撃や情報機器の盗難・紛失、社内における誤操作・管理ミス等による情報漏洩のリスクがあります。これら情報が漏洩した場合、会社の信用失墜、損害賠償・法的罰則・競争力低下等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティ委員会を設置し、情報セキュリティ・個人情報保護について、ハード面・ソフト面(規則遵守・啓蒙活動)から漏洩防止等の情報管理の徹底に努めております。

また、想定を超える災害、その他事象によるシステムの誤動作や停止により、正常な事業の継続が困難になり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらに対しては、強固な外部データセンターにサーバー等を集約し備えると同時に、メール等の主要な情報伝達・情報共有システムをクラウド化する事でリスクを最小化するための基盤を構築しています。

 

7) 為替・金利変動に関するリスク

当社グループの事業は、各地域毎に原材料・部品の輸入、製品等の輸出の取引があります。また、当社グループの資産及び負債の一部は外貨建てであり、適宜、為替バランスの監視を行っておりますが、全てのリスクをヘッジすることは難しく、その変動は当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の海外関係会社財務諸表は現地通貨で作成されておりますが、当社グループの連結財務諸表作成時においてこれらの財務諸表は円換算されるため、現地における通貨金額が変わらない場合においても、換算時の為替レートにより円換算後の連結財務諸表上の金額が影響を受けることがあります。また、金利情勢や証券市場の変動が当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(重要なリスク)

8) 市場に関するリスク

当社グループにおける営業収入は当社グループが製品を生産・販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。現在、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、当社グループの主要市場においても景気が後退しており、一部地域では収束に向かいつつも、従来通りの需要まで回復するのに長期間要した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、今後「CASE」への取り組みに向けた完成車メーカーを含めた業界の構図の変化による、国内外の競合他社との競争の激化等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

9) 環境・安全に関するリスク

当社グループでは、地球環境保全の見地から環境問題への対応は企業としての重要な社会的責任であると考えており、持続可能な企業活動と、持続可能な社会の実現両立に向けて、環境に配慮した製品の開発、CO2排出量削減を始めとして様々な環境対策を進めております。

また、当社グループが事業を展開する各国における環境に関する規制及び自動車の安全性への規制は強化される傾向にあり、これらの規制を遵守するための技術的課題に適応する投資が必要になると予測しております。環境・安全規制への適応が難しい場合、当社グループへの社会的信頼が損なわれる可能性も想定され、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

10) 原材料等の調達に関するリスク

当社グループは多数の外部取引先から原材料・鋼材・部品等を調達しておりますが、市況変化による価格の高騰や品不足、取引先が製造した製品の欠陥、経営状態の悪化、不慮の事故、自然災害等に伴う原材料・鋼材・部品等の供給停滞によって、当社グループの製造コストの上昇、生産遅延・停止が起こり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、市場における電動化の促進に伴い、より高度で複雑な技術を利用する部品の取引が増えることによるサプライチェーンの複雑化や製造コストの上昇などによって当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

11) 人財に関するリスク

当社グループにとって人財は経営の基盤であり、競争力を維持・向上し続けるためには、高度な専門技術に精通した人財、経営のマネジメント能力に優れた人財を採用し、高齢化に対する技術を伝承する人財を計画的に育成することが重要であると考えております。特に近年、グローバルな事業活動を一層進めるなかで、それらの環境で活躍できる人財の育成・確保が急務であり、国内外での積極的な採用活動、研修・教育の充実、コア人財の流出の防止などの施策を講じています。これらの施策にもかかわらず、当社グループの人財育成・確保、適材適所の配置が計画通り進まなかった場合、長期的視点から当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

12) 知的財産に関するリスク

当社グループは、他社製品と差別化できる技術を保有しております。これらの技術は今後の当社グループの発展に不可欠なものであり、これらの技術については、積極的に特許出願をする等して権利確保に努めています。しかし、当社グループが事業を遂行する上で自社が保有する権利以外の知的財産権の権利が必要とされる場合があります。この時、当該権利の保有者よりライセンス等を受けられず、その結果特定の技術、製品またはサービスを提供できなくなる可能性があります。

また、当社グループの事業が他者の知的財産権を侵害したとして、損害賠償を受ける可能性があります。いずれの場合も当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

13) 継続企業の前提に関する重要事象について

当社グループは、米系完成車メーカーの乗用車生産からの撤退や、生産混乱に起因して次期モデル用ブレーキ製品の受注を逃したこと等の新たな北米事業の課題が生じ、前連結会計年度において、多額の減損損失を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は183億円、連結貸借対照表の株主資本は△55億円となりました。また、第1四半期連結累計期間においても、リコール関連損失を計上したことから、親会社株主に帰属する四半期純損失は89億円、四半期連結貸借対照表の株主資本は△144億円となっており、「継続企業の前提に関する注記」を記載しておりました。

このような厳しい経営状況を踏まえ、当社は、事業再生ADR手続の下で事業再生に取り組んでまいりました。2019年7月18日には、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第弐号投資事業有限責任組合(以下、「JISファンド」といいます。)との間で出資契約書を締結し、9月18日開催の事業再生計画案の決議のための債権者会議の続会では、JISファンドとの協議を経て策定した事業再生計画案が、全てのお取引金融機関からの同意により成立し、事業再生ADR手続が終了いたしました。

また、9月27日開催の臨時株主総会では、JISファンドから第三者割当増資による出資を受けるために必要な各議案が承認可決されるとともに、総額560億円の金融機関による債務免除の効力が発生いたしました。9月30日にはJISファンドから総額200億円のA種種類株式の払込手続が完了しております。

以上により、お取引金融機関からの金融支援をいただき、またJISファンドからの払込手続が完了し、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しなくなったことを踏まえ、第2四半期連結累計期間において、「継続企業の前提に関する注記」の記載を解消いたしました。

しかしながら、A種種類株式には普通株式を対価とする取得請求権が付されており、これにより既存株主の皆様が保有する普通株式について希薄化が生じる可能性があります。

また、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)対処すべき課題」に記載のとおり、全ての拠点・事業部門において、聖域なき構造改革を実行し、黒字化の実現を目指しておりますが、構造改革が予定どおりに進捗しない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、上述した将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

当連結会計年度(注)における当社グループの業績は、北米の主要な完成車メーカーにおいて当社製品採用車のモデルチェンジにともない受注を逃したことにより、北米の売上高は前期に比べ約3割減と大幅に減少いたしました。これに加え、日本及び中国における主要な完成車メーカーからの受注が減少したこと、また、当社製品採用車の生産打ち切りなどの影響もあり、売上高は1,933億円(前期比20.7%減)となりました。利益面では、北米及び中国での受注減少による影響があったものの、日本での固定費削減、北米での人員適正化・経費削減の効果が大きく寄与し、営業利益は37億円(前期は営業利益2億円)、経常利益は11億円(前期は経常損失28億円)となりました。

特別損益については、日本橋本店ビルの売却などによる固定資産売却益59億円や、お取引金融機関からの債務免除益560億円などの特別利益を計上した一方で、リコール関連損失78億円を計上したことに加え、固定資産の減損損失250億円事業構造改善費用31億円などの特別損失を計上いたしました。これにより親会社株主に帰属する当期純利益は249億円(前期は183億円の損失)となりました。

なお、新型コロナウイルス感染拡大による当連結会計年度の業績への影響につきましては、北米・アジアは会計年度が2019年1月~12月であり、業績への影響は出ておりません。日本・欧州は会計年度が2019年4月~2020年3月ですが、売上高への減少影響は軽微です。

(単位:億円)

 

前期

当期

増減

増減率

売上高

2,437

1,933

△504

△20.7%

営業利益

2

37

35

-%

経常利益

△28

11

39

-%

税前当期純利益

△131

273

404

-%

親会社株主に帰属する当期純利益

△183

249

431

-%

 

 

地域セグメントごとの業績は次のとおりです。

(単位:億円)

 

売上高

営業利益

前期

当期

増減

増減率

前期

当期

増減

増減率

日本

772

721

△51

△6.6%

△6

27

34

-%

北米

1,196

783

△412

△34.5%

△40

△35

6

-%

欧州

158

142

△16

△10.3%

△7

1

9

-%

中国

218

162

△57

△26.0%

23

11

△12

△53.0%

タイ

79

75

△4

△5.5%

6

6

0

3.4%

インドネシア

204

205

1

0.6%

24

24

0

0.2%

連結消去

△190

△154

36

-%

3

3

△1

△25.1%

連結

2,437

1,933

△504

△20.7%

2

37

35

-%

 

 

①日本

主要なお客様である完成車メーカーの主力車種の販売不振や補修品事業でのスペアパーツなどの売上減少により、売上高は721億円(前期比6.6%減)となりました。

利益面では、受注減少による影響はありましたが、事業再生に向けた施策として、労務費や経費削減による収益改善努力に加え、開発テーマ絞り込みによる効率化により固定費を削減したことや、年度後半からの原材料市況価格の下落、生産性向上、材料スクラップ率改善といった生産や調達の合理化効果があり、27億円の営業利益(前期は営業損失6億円)となりました。

②北米

完成車メーカーの新車販売不振に加え、主要車種の新規モデルへの切り換えにともない受注を逃したことが大きく影響し、売上高は783億円(前期比34.5%減)と大幅な減収になりました。

利益面では、大幅な受注の減少による影響はあったものの、原材料市況価格の下落による影響、前期に行った固定資産の減損損失計上による減価償却費の負担減少や、人員の適正化及び生産性改善による効果が出ており、35億円の営業損失(前期は営業損失40億円)に留まりました。

 

③欧州

高性能量販車用製品の受注増加があったものの、摩擦材ビジネスやグローバルプラットフォーム(全世界での車台共通化)車用製品の受注が減少し、売上高は142億円(前期比10.3%減)となりました。

利益面では、受注減の影響があったものの、スロバキア工場における生産性改善と品質の向上によるスクラップ費用の大幅削減や、基幹部品を欧州現地調達に切り替えるなど材料費の購入価格低減に取り組んだ結果、営業利益は1億円(前期は営業損失7億円)となりました。

④中国

中国においては、米中貿易摩擦・新エネルギー車補助金減額などにより、国内販売台数・生産台数とも減少しました。当社においては、主要なお客様からの受注が減少したこと及び海外輸出向け製品の生産が減少したことにより、売上高は162億円(前期比26.0%減)と大幅な減収になりました。

利益面では、生産性向上などの合理化活動や経費削減による効果が出ているものの、大幅な受注の減少や、利益率の高い製品の受注減少による構成変化の影響が大きく、営業利益は11億円(前期比53.0%減)となりました。

⑤タイ

鋳物製品の生産移管により海外向けの売上増加があったものの、一部製品でモデルチェンジを控え在庫調整が行われた影響などもあり、売上高は75億円(前期比5.5%減)となりました。

利益面では、生産性改善による合理化効果や減価償却費の負担減少などがありましたが、受注の減少や労務費の増加といった減益要因もあり、営業利益は6億円(前期比3.4%増)となりました。

⑥インドネシア

欧州向けグローバルプラットフォーム車用製品の受注減少がありましたが、自動二輪車用新規製品の受注増や、前期に立ち上がったMPV(多目的乗用車)用製品の受注好調により、売上高は205億円(前期比0.6%増)となりました。

利益面では、生産性改善や購入部品の内製化・現地調達への切り替えなどの合理化効果があったものの、賃金率が上がったことによる労務費の増加、IoT導入費用などの経費増があり、営業利益は24億円(前期比0.2%増)となりました。

 

※特別損益の主な内訳

 

 

 

 

(単位:億円)

 

日本

北米

その他

合計

特別利益

 

 

 

 

固定資産売却益

58

0

0

59

債務免除益

431

118

11

560

特別損失

 

 

 

 

減損損失

239

10

1

250

リコール関連損失

78

78

事業構造改善費用

21

10

31

 

 

(注)当連結会計年度とは

(1) 北米・中国・タイ・インドネシア:2019年1月~2019年12月

(2) 日本・欧州                    :2019年4月~2020年3月 となります。

 

 

(2) 財政状態

当期末の総資産は、前期末比196億円減少1,490億円となりました。

(単位:億円)

(資産の部)

前期末

当期末

前期末比

(負債・純資産の部)

前期末

当期末

前期末比

流動資産

708

801

93

流動負債

1,101

356

△744

現金及び預金

188

327

139

仕入債務

244

202

△41

売上債権

330

309

△21

有利子負債

699

40

△660

たな卸資産

161

141

△20

その他

158

115

△43

その他

28

24

△4

固定負債

506

594

88

固定資産

978

689

△289

有利子負債

438

500

63

有形固定資産

859

563

△296

その他

69

94

26

投資有価証券

52

46

△6

負債合計

1,607

951

△656

その他

66

79

13

純資産

79

539

460

総資産

1,686

1,490

△196

負債・純資産

1,686

1,490

△196

 

 

 (3) キャッシュ・フローの状況

当期末の現金及び現金同等物は、前期末比139億円増加327億円となりました。

(単位:億円)

 

前期

当期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

52

△3

△55

投資活動によるキャッシュ・フロー

△33

△20

13

 

 

 

(フリー・キャッシュ・フロー)

19

△23

△42

財務活動によるキャッシュ・フロー

44

160

116

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

主な要因として、減価償却費87億円及び仕入債務の減少額△40億円があった一方で、リコール関連損失の支払57億円などにより、資金が減少となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

主な要因として、有形及び無形固定資産の売却による収入75億円があった一方で、日本やインドネシアを中心とした設備投資により有形及び無形固定資産の取得による支出97億円などにより、資金が減少となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

主な要因として、長期借入金の返済による支出19億円及びファイナンス・リース債務の返済による支出13億円があった一方で、株式の発行による収入199億円などにより、資金が増加となりました。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

62,834

△8.2

北米

74,765

△35.5

欧州

13,047

△6.4

中国

16,131

△24.6

タイ

6,909

△6.7

インドネシア

17,467

8.4

合計

191,154

△21.4

 

(注) 1 金額は、販売価格によるものであります。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

60,805

△9.9

4,079

△38.5

北米

76,596

△32.3

1,366

67.9

欧州

12,559

△12.5

268

△69.3

中国

15,249

△27.1

959

△39.5

タイ

6,984

△6.3

606

△2.2

インドネシア

17,724

4.8

1,445

△9.8

合計

189,917

△21.0

8,724

△28.0

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

63,354

△6.7

北米

76,044

△34.3

欧州

13,165

△8.5

中国

15,876

△25.8

タイ

6,998

△6.5

インドネシア

17,881

6.3

合計

193,317

△20.7

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 セグメント間の取引については相殺消去しております。

3 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先への販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

General Motors LLC

60,226

24.7

32,921

17.0

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものでありますが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について、当社が保証するものではありません。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、固定資産の減損、有価証券の減損、繰延税金資産の計上、引当金の計上等の重要な会計方針に沿った見積りを行い、継続して評価を実施しています。なお、実際の結果は、見積りによる不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

また、新型コロナウイルス感染症に拡大に伴う会計上の見積りの一定の仮定については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 追加情報」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 追加情報」に記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度は、売上高は1,933億円対前期比504億円(△20.7%)の減少となりました。北米での412億円の減収、中国での57億円の減収が主な要因です。

売上原価は1,727億円対前期比489億円(△22.1%)の減少となり、販売費及び一般管理費は169億円対前期比50億円(△22.7%)の減少となりました。北米や中国での大幅な減収に対して、固定費削減・人員適正化・経費削減の施策が大きく寄与し、営業利益は37億円対前期比35億円の大幅な増益となりました。

営業外損益については、支払利息が対前期比4億円減少したことなどにより、経常利益は対前期比39億円改善し、11億円となりました。特別損益については、債務免除益560億円等を計上した一方で、減損損失250億円や事業構造改善費用31億円等を計上いたしました。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は273億円(対前期比404億円の改善)、親会社株主に帰属する当期純利益は249億円(対前期比431億円の改善)となりました。

 

(3) 財政状態の分析

(単位:億円)

(資産の部)

前期末

当期末

前期末比

(負債・純資産の部)

前期末

当期末

前期末比

流動資産

708

801

93

流動負債

1,101

356

△744

現金及び預金

188

327

139

仕入債務

244

202

△41

売上債権

330

309

△21

有利子負債

699

40

△660

たな卸資産

161

141

△20

その他

158

115

△43

その他

28

24

△4

固定負債

506

594

88

固定資産

978

689

△289

有利子負債

438

500

63

有形固定資産

859

563

△296

その他

69

94

26

投資有価証券

52

46

△6

負債合計

1,607

951

△656

その他

66

79

13

純資産

79

539

460

総資産

1,686

1,490

△196

負債・純資産

1,686

1,490

△196

 

 

 

(資産)

当期末の資産は1,490億円と前期末比196億円の減少となりました。

流動資産は801億円と前期末比93億円の増加となりました。これは主に、北米での売上減少などにより売上債権が21億円減少した一方で、現金及び預金が139億円増加したことによるものです。固定資産は689億円と前期末比289億円の減少となりました。これは、日本セグメントを中心とした固定資産の減損損失を計上したことなどにより、有形固定資産が296億円減少したことによるものです。

(負債)

当期末の負債は951億円と前期末比656億円の減少となりました。

流動負債は356億円と前期末比744億円の減少となりました。これは主に、債務免除により短期借入金が323億円1年内返済予定の長期借入金が357億円減少したことによるものです。固定負債は594億円と前期末比88億円の増加となりました。これは、元本残高の維持など返済スケジュールの見直しにより長期借入金が95億円増加したことなどによるものです。なお、有利子負債残高は、上述の債務免除により、前期末の1,137億円から当期末は540億円597億円減少しております。

(純資産)

当期末の純資産は539億円と前期末比460億円の増加となりました。これは主に、A種種類株式の発行により資本剰余金が199億円増加したことに加え、債務免除益等の計上による最終損益の大幅な黒字により利益剰余金が274億円増加したことによるものです。なお、自己資本比率は、前期末の1.7%から当期末は32.5%へ大幅に改善しております。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を資金調達の基本としております。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は540億円、現金及び現金同等物の残高は327億円となっております。有利子負債残高から「現金及び預金」を控除したネット有利子負債残高は213億円と前期末と比べ736億円減少しました。

なお、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に伴い、当社グループでは生産拠点の一時的な稼働停止などの影響が生じておりますが、資金繰りにつきましては、事業再生ADR手続が成立し、2019年9月末にJISファンドから出資を受けたこともあり、直近の資金繰りに支障は生じておりません。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社は、2019年7月18日開催の取締役会において、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第弐号投資事業有限責任組合との間で出資契約書を締結し、第三者割当の方法により総額200億円のA種種類株式を発行することを決議いたしました。これを受けて、同日付で当社は同組合との間で出資契約書を締結しております。A種種類株式の内容は、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (1)株式の総数等 ②発行済株式」に記載のとおりであります。なお、A種種類株式の払込手続は2019年9月30日に完了しております。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、コア技術である音・振動解析技術を活かし、自動車のみならず、あらゆる交通機関、産業機械の各種ブレーキ製品を担う摩擦材・ブレーキの開発を進めております。また製品開発を支える基礎技術、解析の深化を重点的に行うための研究開発への投資と開発体制の充実を図っております。

開発戦略としては、音・振動に対する知見をさらに深化させ、低引き摺り化・軽量化・グリーン材料化などの環境対応技術開発、電動ブレーキ開発を始めとした自動運転対応技術開発、高性能車両向けのブレーキ開発を継続し、推進してまいります。これらの開発は日本・米国・欧州・中国・タイの開発拠点を中心として、地産地消を基本に現地開発、現地調達を更に促進し、グローバル拠点それぞれの特長を活かしながら、必要な技術を駆使してグローバル競争力を高めた次期製品開発に注力しております。

 

(日本)

ブレーキ摩擦材開発については、環境対応技術開発を軸に取り組みを進めております。グローバルなニーズ及び米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された銅に関する環境規制に対応する銅フリー摩擦材開発を中心に、高性能で音・振動特性に優れ、かつ昨今着目されてきているホイールダストの制御に挑戦しながら、環境に配慮した摩擦材原材料を使用した高品質な製品の開発を進めております。同時に、低コスト化についても、性能や環境へ配慮しながら開発を進めております。また、xEV車のブレーキ特性にあわせた摩擦材の開発を進めております。

ディスクブレーキの開発においても、高性能車両向け、環境対応、自動運転への対応、更には新構造ブレーキの開発取り組みを軸に開発に注力しております。

高性能車両向けアルミ合金製対向型ブレーキにおいては、F1用ブレーキ開発で培った技術を盛り込み、製品化を実現しております。コスト競争力を向上させつつ、新規開発へのリソースの配分を確保する事によって、差別化製品を提供してまいります。

環境に配慮した製品開発に対しても、車の燃費向上の観点から革新的な軽量化と引き摺り低減に取り組んでおります。自動運転に対応する為の電動化技術として、パーキングブレーキ機構を電動化した電動パーキングブレーキ製品及びサービスブレーキ機構も電動化した電動サービスブレーキ製品の技術開発を進めております。また、電動パーキングブレーキにおいては、量産立上げに向けた事業化準備も併せて展開しております。

ブレーキの基本構造を新たに開発した新構造ブレーキ開発も進めております。従来製品に対して、ブレーキが安定するほか、大幅な軽量化も狙っております。この開発を軸に低燃費車や電気自動車(EV)へのシフトに対応してまいります。

次世代コンセプトブレーキ開発として、摩擦ブレーキとは大きく異なる構造を持つMR流体(Magneto Rheological Fluid)を用いた新発想のブレーキの開発を展開しております。応答性、コントロール性向上、摩耗粉ゼロ・鳴き振動制御による低環境負荷・快適性の追求、構造設計・軽量素材による小型・軽量化を研究開発戦略として取り組んでおります。

また、グローバルでの供給を更に強化させる為、技術面とコスト面のベンチマークを徹底して行い、使用地域の独自性や使用状況に応じた製品造りへの技術開発を進めております。

㈱曙ブレーキ中央技術研究所においては、低環境負荷物質削減、脱枯渇資源・戦略物資、安全・快適性向上技術などの追求を中長期主要課題と捉え、課題解決技術の研究/開発に取り組んでいます。

環境負荷低減、脱枯渇資源に関してはセルロース、リグニン等の植物由来材料の利用拡大、安全・快適性向上に関しては有機、無機機能性材料の創製技術をベースとした摩擦材の機能向上、ブレーキの鳴き、振動抑制に向けた要素技術開発、過去の評価や特性データを活用したAIによる製品開発などに取り組んでおります。

今後も中長期を見据えた研究開発に取り組み、他社との差別化、優位性確保を図っていきます。

 

 

(北米)

北米自動車メーカー向けはもとより、グローバルなニーズに対応できる製品開発に取り組んでおります。日系自動車メーカー向けにおいても、開発から量産までの現地完結型開発を展開しております。国内開発拠点との緊密な連携により、グローバルでの連携を一段と進めております。米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された環境規制に対応した、乗用車からピックアップトラック用まで高性能で音・振動特性に優れた材料開発を行っております。ブレーキの機構開発に関しては、新構造ブレーキ開発、電動ブレーキ開発を日本と連携しながら進めております。

 

(欧州)

欧州における摩擦材開発に関しては、フランスの研究開発拠点を中心に、高速でのブレーキ特性に対応する高性能(効き、ジャダー)及び、音・振動特性など、環境規制の厳しい欧州市場に適合する摩擦材から日米市場向け輸出欧州車に適合する摩擦材まで幅広いお客様ニーズに対応できる開発を行っております。日系のお客様のみならず、欧州市場でのお客様に対する摩擦材の開発、生産の供給体制を整えております。現地調達原材料による材料の共通化により、コスト競争力の強化を目的とした開発も進めております。

上記のほか、ドイツに開発機関(現地法人)を置き、よりお客様に密接したディスクブレーキ適用開発を進めております。

 

(中国)

新興国市場のニーズに合わせた製品を提供するため、現地のお客様の声を反映させた製品の開発・設計を進めております。摩擦材においては、部品・原材料の現地調達化と現地の環境に適したつくり方により、新興国市場で通用するコストと性能特性を有する製品開発を行っております。ディスクブレーキにおいては、中国市場のお客様の要求や使われ方を調査・分析し、必要な機能・性能を低コストで提供できる製品の開発と提案を行っております。

 

(タイ)

タイのブレーキ開発拠点を軸に、成長著しいASEAN諸国のニーズを的確につかむためのブレーキ評価を基軸とした開発活動を推進してまいります。

 

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,991百万円であり、この他に日常的な改良に伴って発生した研究開発関連の費用は4,981百万円であります。