第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものでありますが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について、当社が保証するものではありません。

 

(1) 経営方針

当社は企業理念を、「私達は、『摩擦と振動、その制御と解析』により、ひとつひとつのいのちを守り、育み、支え続けて行きます。」と定め、経営方針である『お客様第一・技術の再構築・グローバルネットワークの確立』に基づき、独創的な発想・アプローチで社会に貢献し、ボーダーレス社会における不可欠な存在としての他に類を見ない地位の確立を目指しております。

21世紀を通じて当社グループが指向する姿として、「akebono21世紀宣言」すなわち『akebonoは曙の理念の基に21世紀を通して価値の創造を続けます。』のスローガンのもと、私達の提供する価値を正しく認識し、スピードとこだわりをもって新たな価値を創造し、ひとりひとりが誇りをもって夢を実現することを宣言いたしました。

曙の理念及び従業員自らの理解を深めるために策定した当社グループのブランドスローガン『さりげない安心と感動する制動を』をガイドとしつつ、「akebono21世紀宣言」に謳われた取り組み姿勢で、「企業理念」の基に、21世紀での勝ち残りのため、当社グループの継続的な構造改革を進めていきます。

 

(2) 対処すべき課題

①当社国内生産子会社が製造する一部製品の定期検査報告における不適切な行為について

当社は、当社国内生産子会社が製造する自動車用ブレーキ製品に関し、お客様(完成車メーカー)に提出する定期検査報告書の記載において、一部不適切な行為が行われていたことを確認したため、社外弁護士で構成する特別調査委員会を設置し、事実関係の調査をしてまいりました。この不適切行為の事実の全容及び具体的な再発防止策につきましては、2021年2月16日付「当社国内生産子会社が製造する一部製品の定期検査報告における不適切な行為について」にて公表しております。また、本件に関連し、ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド社からのISO 9001認証及びIATF 16949認証の一時停止の通知受領後、同社の特別審査を受けた結果、当社はISO 9001認証一時停止が解除されましたが、当社国内生産子会社4社はIATF 16949及びISO 9001の認証取消しの措置を受けております。(2021年4月9日付「ISO 9001/IATF 16949 認証特別審査結果について」にて公表しております。)

お客様並びに関係各位に多大なるご迷惑とご心配をおかけすることとなり、改めて深くお詫び申し上げます。今後は、IATF 16949及びISO 9001の早期の再認証に向けて尽力するとともに、下記の再発防止策を着実に実行することによりコンプライアンス並びにガバナンスの強化を図ることで、再発防止と信頼の回復に全力で取り組んでまいります。

 

<経緯>

当社は、事業再生ADR手続成立の後、2019年10月より新経営体制に移行しましたが、同年11月に当社品質保証部門より代表取締役社長に対し、当社生産子会社の曙ブレーキ山形製造株式会社(以下、山形製造)が製造する自動車用ブレーキパッドの一部で、お客様に提出する定期検査報告書の数値記載において不適切と思われる行為が行われているとの報告がありました。その報告を受け、同年12月より社内調査を開始いたしましたが、その過程において山形製造以外の生産子会社が製造する製品でも同様の可能性があるとの認識を持つに至り、2020年2月より調査対象を国内全生産拠点に拡大いたしました。

その後、同年3月上旬に一部のお客様から、当社生産子会社の曙ブレーキ岩槻製造株式会社が製造するディスクブレーキの一部で、定期検査報告書に不審なデータが記載されているとの指摘を受けました。このような状況から新経営陣は、客観的な視点からの徹底的な調査が必須であるとの判断に至り、3月中旬開催の取締役会において社外弁護士4名で構成する特別調査委員会の設置を決め、同委員会による調査を開始いたしました。

 

同委員会の調査開始後、その過程で判明した不適切行為は、調査完了を待たずに速やかに是正いたしました。また、対象となるお客様へ順次、事実関係のご説明を行うとともに、対象製品についてお客様と協議、評価・検証を2021年1月末まで継続して行ってまいりました。

同委員会からの調査結果の最終報告は2020年9月に受け、その調査報告内容を精査するとともに、同委員会からの提言を受けた再発防止策を策定し、取り組みを開始しております。

 

<再発防止策>

特別調査委員会から、組織体制の見直し・監査機能の強化、生産設備見直しとITシステム導入、教育研修によるコンプライアンスの強化と組織風土改革等の再発防止提言を受け、代表取締役を委員長とする「全社風土改革委員会」を2021年3月1日付で設置いたしました。そして、この委員会の下に重要施策を推進するための5つの分科会を設置し、再発防止策の具体的な活動を立案、推進することといたしました。各分科会の施策と進捗は下記のとおりです。

ⅰ.組織体制の見直し・監査機能の強化

(イ) 3線ディフェンス機能構築

従来、第1線である製造拠点内品質管理課が検査を実施し、お客様への定期検査報告書を作成及び承認を行っていましたが、定期検査報告書の承認は第2線である本社品質保証部門が行うことに変更いたしました(2020年4月~)。また、第3線として内部監査室に製品監査機能を新たに追加し、品質保証部門の監査を行うことといたしました(2021年1月~)。

(ロ) 上記、品質保証の機能強化のため、第2線の品質保証部門の組織改定を実施するとともに、第3線の機能強化のために内部監査室の人員増強を図りました(2021年1月1日付)。

(ハ) 社外取締役・社外監査役との内部通報に関する定期的な情報交換の場を設けるとともに、重大な内部情報は直接、社外取締役・社外監査役に報告する仕組みを構築しました(2021年3月~)。

ⅱ.人の手が介在できないIT検査システムの導入

ITを活用し、検査データを自動的にデータベースへ集積、出力し、定期検査報告書を作成することによって、検査データ修正など人の手が介在できない、トレーサビリティも確保できるIT検査システムの導入を進めております(2021年3月~)。

ⅲ.検査内容・検査項目の見直し

検査技術、部品材料技術の向上等により、現在では合理的でない検査内容・検査項目については当社からお客様へご提案し、お客様と協議の上、見直しを行います(2020年10月より協議開始)。

ⅳ.品質教育・コンプライアンス教育の強化

(イ) 製造現場のオペレーターから班長、係長、幹部職までの階層別の品質教育及びコンプライアンス教育を見直し、体系化して実施しております(2021年4月~)。

(ロ) 開発部門や品質保証部門が関与し、品質分野の専門家の育成、統一した検査員の社内資格制度の仕組み作りを進めております(2021年4月~)。

ⅴ.風土改革・意識改革

経営トップがリーダーシップを取り、組織風土と社員意識の向上、内部統制システム(コンプライアンス、リスク管理、グループ企業管理等)の確保、ガバナンスの強化に取り組みます。また、経営トップからの定期的なメッセージ発信他、社内コミュニケーションの強化、内部通報制度の実効性向上等の施策を行い、社員意識調査等による定期的モニタリングで施策効果を測ってまいります。

 

②事業再生計画の進捗状況と今後の取り組み

当社は、2019年9月18日付「『事業再生計画』の株式会社東京証券取引所への提出に関するお知らせ」にて公表したとおり、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続)の中で全てのお取引金融機関からご同意いただいた事業再生計画に沿って、事業再構築のための各施策に取り組んでおり、全ての拠点・事業部門において、できる限り早期の赤字脱却を実現すべく、聖域なき構造改革を実行し、事業再生計画の達成を目指しております。各地域での構造改革の進捗状況は以下のとおりです。

 

 

(日本)

国内4工場の縮小については、工場の生産最適化に向けた改善活動を鋭意実施しております。また国内工場から海外工場への生産移管については、完成車メーカーとの調整により多少進捗の遅れがあるものの、国内工場間の生産移管はほぼ計画どおり進めております。

なお、2020年12月1日付「国内生産拠点における早期退職措置に関するお知らせ」及び2021年2月16日付「国内生産拠点における早期退職措置の実施結果及び特別損失の計上に関するお知らせ」にて公表したとおり、国内生産再編にともなう人員適正化を目的に、国内生産拠点の社員を対象として早期退職者の募集を行い、募集人員180名程度に対して、223名の応募がありました。以上の施策を推進することで課題である固定費の削減に取り組み、計画達成を目指します。

 

(北米)

米国の生産2拠点の閉鎖については、テネシー州の工場は1か月予定を早め2020年7月末に、サウスカロライナ州の工場は計画どおり2020年9月末までに完了いたしました。また、両拠点の土地・建物などの売却処理も、一部は2021年度になりますが、既に完了しております。今後は引き続き、最終的な1工場体制へのシフトの検討を進め、適正サイズのオペレーションによる収益確保を目指します。

 

(欧州)

欧州の生産拠点及び開発拠点については、当社に損失が生じない形での提携又は売却の交渉を進めてまいりましたが、以下の内容に変更することといたしました。

ハイパフォーマンスブレーキ(高性能量販車用ブレーキ)を製造しているスロバキア工場は、営業利益の黒字化が実現されたこと及び将来の新規受注可能性が高いことなどから、経済性が事業再生計画を上回ることが予想されるため、存続することといたしました。また、ドイツの拠点についても、欧州のお客様との窓口機能及び研究開発拠点として新規受注獲得に貢献でき、スロバキア工場の存続にとって必須であるとの認識から、存続することといたしました。

一方、フランスのアラス工場については、当初の計画通りの提携又は売却が実現できなかったため、既存製品の生産移管等が完了した後の2022年3月に閉鎖を予定し、その後解散することといたしました。なお、フランスのゴネスにある研究開発拠点につきましては、2021年3月末に閉鎖しております。

 

③新型コロナウイルス感染症への対応

昨年来、新型コロナウイルス感染症が全世界で蔓延する中、当社が事業を行う全ての地域において、従業員、さらにはお客様、お取引先様、地域住民の皆様などの安全・安心を第一に考え、各国自治体の指導に基づいた対応を実施しています。今後も社内外における感染防止、及び感染が起きた場合の拡大防止を最重要課題の一つとして各種施策を実行してまいります。

当社の生産活動においては、これまでのところ新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であり、またサプライチェーンへの影響も限定的です。

今後は新型コロナウイルス感染症の影響に起因する輸送問題(港湾作業者不足による輸送遅延)や各地域における感染拡大を注視しながら生産活動の維持を目指します。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業において、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクは、次のようなものがあると考えており、会社運営にあたり注意を払っております。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの事業、業績及び財政状態に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 

(特に重要なリスク)

1) 技術革新・新製品開発に関するリスク

当社グループは、真のグローバリゼーションの中での事業拡大を目指し、将来のニーズを予測し、必要な経営資源を技術革新・新製品開発に投入しておりますが、市場、お客様ニーズ及び業界の技術の急激な変化等により、お客様の必要とする新技術・新製品がタイムリーに開発できなかった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

今後、急速な普及拡大が予想される電動パーキングブレーキについては当社の独自技術を活かした商用車等の高出力発生可能な重車両向け、高性能車両をターゲットとした軽量、コンパクトな電動パーキングブレーキの開発に取り組んでおります。電動サービスブレーキについては競合他社に先行した市場投入を図るべく開発を進めております。これからの自動運転開発の加速も見据え、応答性の速さ、コントロール性の良さ、小型・軽量化を重点課題として電動化開発の推進を図っております。

また、次世代製品として開発を進めているMR流体ブレーキは従来の摩擦ブレーキと全くメカニズムを変え、磁力を活用した当社独自のブレーキとなります。自動運転対応と共に摩耗粉を発生せず、音振動がないという低環境負荷、快適性をコンセプトとして現在、実用化に向けた評価に入っております。加えて、ブレーキの基本構造から新たに開発した新構造ブレーキ開発も進めております。従来製品に対して、ブレーキが安定するほか、大幅な軽量化も狙っております。xEVへのシフトに対応した製品として開発を進めてまいります。

摩擦材開発については銅フリー摩擦材のシェア拡大に向けた取り組みと共に積極的な持続可能資源の活用のもと、昨今、着眼されてきている摩耗粉抑制、回生ブレーキとの協調も含めた小型・軽量化、鉄道分野での先行した次世代摩擦材の開発を推進しております。

当社はこのような将来の環境対応を軸として、お客様ニーズに沿った開発を進めることで、新技術、新製品で他社に先行されるというリスクを抑制しながら社会貢献を図ってまいります。

 

2) 生産技術・設備に関するリスク

当社グループは、事業再生計画に基づく生産拠点の再編を進めており、その基盤となっているのは最適生産への取り組みです。余剰設備の有効活用、工場間及び工場内での寄せ止め、生産設備の稼働率向上を進めており、国内は専門工場化へシフトすることになりますが、その結果として工場間での補完はできないことになります。

具体的には、岩槻から山陽へのドラムブレーキ移管と福島から山形へのブレーキパッド移管を実施することによる専門工場化により、生産補完ができなくなります。国内での補完はできなくとも海外工場との補完は以下のように可能となっております。ただし補完関係にある工場が海外にあり事業継続マネジメント(BCM)のリードタイムが長くなることから、タイムリーな対応・お客様の要望に応える事が出来ずにビジネスチャンスを失い、その結果当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

海外補完体制

製品・主要部品

国内生産工場

海外生産工場

ディスクブレーキ

岩槻製造(埼玉県)

エリザベスタウン(米国)、メキシコ、
広州(中国)、チョンブリ(タイ)、インドネシア

ドラムブレーキ

山陽製造(岡山県)

インドネシア

ブレーキパッド

山形製造(山形県)

グラスゴー(米国)、蘇州(中国)、
チョンブリ(タイ)、インドネシア

ブレーキライニング

福島製造(福島県)

インドネシア

鋳物部品

館林鋳造所(群馬県)

ラチャブリ(タイ)

ピストン

岩槻製造

チョンブリ(タイ)、インドネシア

 

 

 

3) 品質に関するリスク

当社グループでは、安全・安心を支える上で品質は最も重要であると考え、常に、より高度な品質保証体制の構築を目指しております。自工程での品質保証、過去の不具合に学び失敗を繰り返さないなどの活動の浸透を進め、万全の体制をもって製品の生産に努めております。これから電動化による構成部品等が高度で複雑な技術を利用したものが増え、また、部品等を外部のサプライヤーから調達することにより、品質確保へのコントロールが低下する恐れがあり信頼に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)対処すべき課題」に記載のとおり、当社国内生産子会社が製造する一部製品の定期検査報告における不適切な行為について、当社グループでは、IATF 16949及びISO 9001の再認証に向けて尽力するとともに、再発防止策を着実に実行することにより、再発防止と信頼の回復に全力で取り組んでおります。しかしながら、新たに不適切な行為が判明した場合、IATF 16949及びISO 9001の再認証ができなかった場合には、当社グループの製品に対する信用低下による販売活動への影響、お客様に対する補償費用をはじめとする損失の発生、品質管理体制の強化に要する費用の増加等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4) 災害等に関するリスク

当社グループは、国内外に多くの拠点を有しており、地震、台風、洪水等の自然災害や、今般の新型コロナウイルス感染症のパンデミック、大規模火災や爆発のように操業を停止せざるを得ないような事態に備え、事業継続マネジメント(BCM)を行っています。

しかしながら、想定を超える規模の自然災害や疫病、大規模な火災・爆発などの事故が発生した場合、人的資源への影響、建屋や設備の損壊、ライフラインや情報インフラの寸断などにより生産活動が困難となり、顧客への製品供給に遅延や不能が生じることで当社グループの財政状態や業績、ひいては事業の継続に悪影響を及ぼす可能性があります。

その対応策として当社グループでは、危機管理マニュアルの整備、従業員の安否確認方法の整備、BCMの啓蒙活動とこれらに基づいた防災訓練、更に、災害の未然防止や早期復旧を目的とした建屋の耐震補強、生産設備の転倒防止などを、安全・BCM推進部署として独立した組織で行っています。

また、新型コロナウイルス感染症の蔓延の対応として、本社間接系部門の積極的な在宅勤務の推進を図っております。

危機が発生した場合は、安全・BCM推進部署が中心となって関係する国内外の拠点を網羅して速やかに対策本部を立ち上げ、必要な措置を実行しております。

 

5) コンプライアンスに関するリスク

当社グループでは、akebonoグローバル行動規範、akebonoグローバル行動基準やコンプライアンス規定等の整備によりコンプライアンス推進体制を構築するとともに、各事業部門・製造拠点が自ら施策を立案し、コンプライアンス委員会において承認されたそれぞれの年間活動計画に沿ってコンプライアンス活動を推進することを中心に、ハラスメントや長時間労働防止のための労務研修、下請法違反防止・インサイダー取引防止を目的とした各種研修を行うなど、社員のコンプライアンス意識向上のための各種施策を実施しております。なお、当社は、当社国内生産子会社が製造する自動車用ブレーキ製品に関し、お客様(完成車メーカー)に提出する定期検査報告書の記載において、一部不適切な行為が行われていたことを確認したため、社外弁護士で構成する特別調査委員会を設置し、事実関係の調査をしてまいりました。特別調査委員会からの再発防止提言を受け、代表取締役を委員長とする「全社風土改革委員会」を2021年3月1日付で設置し、現在、再発防止策の具体的な活動を立案、推進しております。事案の経緯と再発防止策の詳細につきましては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 対処すべき課題」をご参照ください。

また、内部通報制度として、社外相談窓口と社内相談窓口を設置しており、それぞれの窓口に寄せられた相談については、適宜必要な調査を実施し、適切に対応しております。また、外部相談窓口への相談については、対応部署のみならず全ての取締役が受領することとしており、その対応と進捗については毎月取締役会に報告しております。しかしながら、こうした対策によってもコンプライアンス上のリスクを完全に回避することまで保証できるものではなく、法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合には、法令による処罰や訴訟の提起、損害賠償請求、ステークホルダーからの信頼低下などにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

6) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループでは製品開発や製造、経営等に関わる機密情報や個人情報等の重要情報を保有しており、サイバー攻撃や情報機器の盗難・紛失、社内における誤操作・管理ミス等によりこれら重要情報が漏洩するリスクがあります。

これらの情報が漏洩した場合、会社の信用失墜、損害賠償・法的罰則・競争力低下等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、情報セキュリティに関しての最高意思決定機関として情報セキュリティ委員会を設置し、その配下に情報セキュリティ担当者・情報システム担当者を各業務部門・製造拠点に配置し、情報システム管理部署と連携し、海外子会社とも連携して、漏洩防止等の情報管理徹底に努めております。

平時は、ネットワーク・サーバー等の物理的防御に加え、外部専門家による常時セキュリティ監視を行うと同時に、人に対する情報セキュリティレベルの向上を行うために教育・訓練・啓発活動を行っています。

また有事の際は、情報セキュリティ委員会、情報セキュリティ担当者及び情報システム担当者が情報システム管理部署と連携し、初動から封じ込め、対策までを短時間で行えるよう有事フローを作成し備えています。

昨今は新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴うテレワーク・在宅勤務者が増加しております。これに対応するため、ソフト面ではテレワーク・在宅勤務時のガイドライン等による啓発活動を実施すると同時に、ハード面では外部からの不正アクセスを防止するため暗号化通信を必須とし、セキュアなネットワーク環境の提供、会社貸与デバイス以外でのネットワークアクセスを制限し、リスクの低減を図っております。

 

7) 為替・金利変動に関するリスク

当社グループの事業は、各地域毎に原材料・部品の輸入、製品等の輸出の取引があります。また、当社グループの資産及び負債の一部は外貨建てであり、適宜、為替バランスの監視を行っておりますが、全てのリスクをヘッジすることは難しく、その変動は当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の海外関係会社財務諸表は現地通貨で作成されておりますが、当社グループの連結財務諸表作成時においてこれらの財務諸表は円換算されるため、現地における通貨金額が変わらない場合においても、換算時の為替レートにより円換算後の連結財務諸表上の金額が影響を受けることがあります。また、金利情勢や証券市場の変動が当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(重要なリスク)

8) 市場に関するリスク

当社グループにおける営業収入は当社グループが製品を生産・販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、規制緩和が進む地域がある一方、いまだ感染が拡大している地域がある等、終息の見通しが不透明な新型コロナウイルス感染症の状況に加え、半導体の不足による完成車メーカーの生産計画変更、世界的な海上輸送の遅延、地震などの自然災害のみならず火災などの人為的な災害による部品供給問題等、当社グループの主要市場においても、様々な課題が頻発しており、これらの影響が長引く場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、将来の脱炭素社会を目指す各国政府方針や各完成車メーカーの「CASE」への取り組みによる業界の構図の変化等、国内外の競合他社との競争環境の変化により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

9) 環境・安全に関するリスク

当社グループでは、地球環境保全の見地から環境問題への対応は企業としての重要な社会的責任であると考えており、持続可能な開発目標「SDGs」の推進に向けて、環境に配慮した製品の開発、生産設備の改善、CO2排出量削減を始めとして様々な環境対策を進めております。

また、当社グループが事業を展開する各国における環境に関する規制及び自動車の安全性への規制は強化される傾向にあり、これらの規制を遵守するための技術的課題に適応する投資が必要になると予測しております。環境・安全規制への適応が難しい場合、当社グループへの社会的信頼が損なわれる可能性も想定され、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

10) 原材料等の調達に関するリスク

当社グループは多数の外部取引先から原材料・鋼材・部品等を調達しておりますが、市況変化による価格の高騰や品不足、取引先が製造した製品の欠陥、経営状態の悪化、不慮の事故、自然災害等に伴う原材料・鋼材・部品等の供給停滞によって、当社グループの製造コストの上昇、生産遅延・停止が起こり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、市場における電動化の促進に伴い、より高度で複雑な技術を利用する部品の取引が増えることによるサプライチェーンの複雑化や製造コストの上昇などによって当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

自然災害(地震、豪雨浸水など)や事故(火災、爆発など)による事業継続性への影響を考慮してサプライチェーンにおける適正な在庫量の再検証を進めてまいります。

 

11) 人財に関するリスク

当社グループにとって人財は経営の基盤であり、競争力を維持・向上し続けるためには、高度な専門技術に精通した人財、経営のマネジメント能力に優れた人財を採用し、高齢化に対する技術を伝承する人財を計画的に育成することが重要であると考えております。

特に近年、グローバルな事業活動を一層進めるなかで、それらの環境で活躍できる人財の育成・確保が急務であり、国内外での積極的な採用活動、研修・教育の充実、コア人財の流出の防止などの施策を講じています。

これらの施策にもかかわらず、当社グループの若手社員の人財育成・確保、特定のスキルを持ったベテラン社員の流出、適材適所の配置が計画通り進まなかった場合のモチベーション低下や、急速な事業環境の変化に伴う従業員のストレス増大等による休職や退職者が増加した場合、長期的視点から当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

12) 知的財産に関するリスク

当社グループは、他社製品と差別化できる技術を保有しております。これらの技術は今後の当社グループの発展に不可欠なものであり、積極的に特許出願をするなどして権利確保に努めています。しかし、当社グループが事業を遂行する上で自社が保有する権利以外の知的財産権が必要となる場合があります。この場合、当該権利の保有者よりライセンス等を受けられず、その結果、特定の技術、製品またはサービスを提供できなくなる可能性があります。

また、当社グループの事業が他者の知的財産権を侵害したとして、損害賠償を受ける可能性があります。いずれの場合も当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

13) 事業構造改革に関するリスク

当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 対処すべき課題」に記載のとおり、全ての拠点・事業部門において、聖域なき構造改革を実行し、事業再生計画の達成を目指しておりますが、構造改革が予定どおりに進捗しない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、2021年5月25日付「A種種類株式の転換制限解除事由発生のお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社定款に基づくA種種類株式に付されている普通株式を対価とする取得請求権及び金銭を対価とする取得請求権については、当社とA種種類株主であるジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第弐号投資事業有限責任組合(以下、「JISファンド」といいます。)との間で締結した出資契約(以下、「本出資契約」といいます。)において、2022年7月1日以降においてのみ行使できるとの転換制限が付されておりますが、一定の転換制限解除事由が発生した場合には、2022年6月30日以前であっても、JISファンドは普通株式を対価とする取得請求権及び金銭を対価とする取得請求権を行使できることが合意されております。この度、当連結会計年度の当社の連結営業利益の額がマイナスとなり、本出資契約に規定する水準に達しなかったため、転換制限解除事由が生じております。当該事象により、普通株式を対価とする取得請求権が行使された場合には、既存株主の皆様が保有する普通株式について希薄化が生じる可能性があります。

 

なお、上述した将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

当社グループの新型コロナウイルス感染症の影響による受注の動向は、4月~6月においては、自動車販売の世界的な需要減少にともなう生産調整が行われる厳しい状況となりました。7月~9月においては、地域差はあったものの、自動車需要は徐々に回復に向かい、10月~3月には、全ての地域セグメントにおいてほぼ前年同期程度まで受注が回復いたしました。

当連結会計年度(注)における当社グループの業績は、特に上期において各地域セグメントで新型コロナウイルス感染症の影響により受注が減少したことに加えて、米国では完成車メーカーのモデルチェンジによって生産終了となる製品が大幅に増加した影響が大きく、売上高は1,340億円(前期比30.7%減)となりました。利益面では、事業構造改革の一部の施策の効果、及び各国政府の休業補償などの補填はありましたが、受注減少による影響をカバーできず、営業利益は6億円の損失(前期は営業利益37億円)となり、経常利益は18億円の損失(前期は経常利益11億円)となりました。

特別損益については、前期に引き続き、当期においても事業再生計画に沿って事業構造改革の各施策を実行しており、日本では国内生産拠点における早期退職措置などにより11億円、米国では生産2拠点の閉鎖関連損失28億円(リース設備の中途解約損失9億円に加え、不動産及び設備売却損、退職金及び移管費用など19億円)、フランスのアラス工場閉鎖決定により退職金及び移管費用など13億円、合わせて52億円を事業構造改善費用として計上いたしました。さらに、米国のケンタッキー州エリザベスタウン工場で鑑定評価に基づき38億円、フランス及びタイの工場で2億円、合わせて41億円の減損損失を計上いたしました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は119億円の損失(前期は249億円の利益)となりました。

(単位:億円)

 

前期

当期

増減

増減率

売上高

1,933

1,340

△593

△30.7%

営業利益

37

△6

△43

-%

経常利益

11

△18

△29

-%

税前当期純利益

273

△107

△380

-%

親会社株主に帰属する当期純利益

249

△119

△368

-%

 

 

地域セグメントごとの業績は次のとおりです。

(単位:億円)

 

売上高

営業利益

前期

当期

増減

増減率

前期

当期

増減

増減率

日本

721

608

△113

△15.6%

27

28

0

1.7%

北米

783

404

△380

△48.5%

△35

△52

△17

-%

欧州

142

147

5

3.5%

1

1

△0

△15.4%

中国

162

121

△40

△24.9%

11

6

△5

△44.9%

タイ

75

54

△21

△27.7%

6

2

△4

△70.8%

インドネシア

205

121

△84

△40.9%

24

7

△18

△72.6%

連結消去

△154

△115

39

-%

3

3

0

14.5%

連結

1,933

1,340

△593

△30.7%

37

△6

△43

-%

 

 

①日本

新型コロナウイルス感染症の影響により5月を底に受注が大幅に減少したものの、6月以降は順調に回復し、下期には前年同期程度まで回復してきましたが、売上高は608億円(前期比15.6%減)となりました。

利益面では、大幅な売上減少の影響があったものの、前期に行った本社間接系の早期退職措置及び固定資産の減損損失の計上による労務費及び減価償却費の減少、報酬・給与・賞与等の減額、経費削減の効果もあり、営業利益は28億円(前期比1.7%増)となりました。

 

②北米

完成車メーカーのモデルチェンジによって生産終了となる製品が増えたことにより、過年度から引き続き受注が大幅に減少したことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響を受け第2四半期の4月~5月の受注が、前年同月比8~9割減となり、それ以降は徐々に回復してきたものの、売上高は404億円(前期比48.5%減)となりました。

利益面では、前期から継続して進めてきた人員の適正化及び生産性改善の効果、当期における工場間の生産移管による生産効率化の効果はありましたが、大幅な売上減少の影響が大きく、52億円の営業損失(前期は営業損失35億円)となりました。

③欧州

新型コロナウイルス感染症の影響により期初の4月~5月に受注が大幅に減少しましたが、その後スロバキア工場での受注が急回復し、下期以降は前年同期を上回るほど回復し、売上高は147億円(前期比3.5%増)となりました。

利益面では、スロバキア工場の受注の急回復や、材料費・労務費の削減効果もあり、営業利益はほぼ前期並みの1億円(前期比15.4%減)となりました。

④中国

新型コロナウイルス感染症の影響により、第1四半期の2月には一時的に工場の稼働を停止したものの、それ以降は受注がある程度回復してまいりました。しかしながら、一部の主要な完成車メーカーからの受注が伸び悩み、前期並みの回復には至らず、売上高は121億円(前期比24.9%減)となりました。

利益面では、政府による社会保険料の減免や、経費削減の効果はありましたが、売上減少の影響が大きく、営業利益は6億円(前期比44.9%減)となりました。

⑤タイ

タイの経済成長の鈍化及び新型コロナウイルス感染症の影響により自動車販売台数が伸び悩んだことに加え、米系完成車メーカーのタイ市場撤退や、海外向け輸出製品の受注減少などもあり、売上高は54億円(前期比27.7%減)となりました。

利益面では、生産・調達の合理化に加え、基幹部品である鋳物を外部購入から当社の鋳物工場での内製に切り替え、付加価値を高めたことも寄与しましたが、原価構成の悪化及び売上減少の影響が大きく、営業利益は2億円(前期比70.8%減)となりました。

⑥インドネシア

インドネシアの経済成長の鈍化、自動車関連のローン規制強化及び一部日系完成車メーカーの撤退に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による完成車メーカーの生産台数の大幅な減少が4月~8月までと長引いたことにより、インドネシア国内及び欧州向けの受注がともに減少し、売上高は121億円(前期比40.9%減)となりました。

利益面では、人員適正化による労務費の削減、原材料市場価格上昇の価格転嫁、生産性改善や購入部品の内製化、現地調達への切り替えなどの合理化を実施いたしましたが、売上減少の影響が大きく、営業利益は7億円(前期比72.6%減)となりました。

 

(注)当連結会計年度とは

(1) 北米・中国・タイ・インドネシア:2020年1月~2020年12月

(2) 日本・欧州                    :2020年4月~2021年3月 となります。

 

 

(2) 財政状態

当期末の総資産は、前期末比163億円減少1,326億円となりました。

(単位:億円)

(資産の部)

前期末

当期末

前期末比

(負債・純資産の部)

前期末

当期末

前期末比

流動資産

801

700

△101

流動負債

356

313

△43

現金及び預金

327

296

△31

仕入債務

202

172

△30

売上債権

309

260

△50

有利子負債

40

10

△30

たな卸資産

141

122

△19

その他

115

132

17

その他

24

23

△1

固定負債

594

587

△8

固定資産

689

627

△62

有利子負債

500

480

△20

有形固定資産

563

468

△95

その他

94

107

13

投資有価証券

46

58

11

負債合計

951

900

△51

その他

79

101

21

純資産

539

426

△112

総資産

1,490

1,326

△163

負債・純資産

1,490

1,326

△163

 

 

 (3) キャッシュ・フローの状況

当期末の現金及び現金同等物は、前期末比31億円減少296億円となりました。

(単位:億円)

 

前期

当期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

△3

56

59

投資活動によるキャッシュ・フロー

△20

△27

△7

 

 

 

(フリー・キャッシュ・フロー)

△23

28

52

財務活動によるキャッシュ・フロー

160

△50

△210

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

主な要因として、事業再編による支出28億円があったものの、減価償却費61億円及び運転資本の増減+33億円などにより、資金が増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

主な要因として、有形及び無形固定資産の売却による収入8億円があった一方で、日米を中心とした設備投資により有形及び無形固定資産の取得による支出が36億円となり、資金が減少となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

主な要因として、ファイナンス・リース債務の返済による支出32億円長期借入金の返済による支出7億円及び配当金の支払額4億円などにより、資金が減少となりました。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

54,304

△13.6

北米

38,412

△48.6

欧州

12,885

△1.2

中国

11,894

△26.3

タイ

5,048

△26.9

インドネシア

10,542

△39.6

合計

133,084

△30.4

 

(注) 1 金額は、販売価格によるものであります。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

55,367

△8.9

5,382

31.9

北米

38,191

△50.1

1,145

△16.2

欧州

14,925

18.8

1,302

386.6

中国

12,191

△20.1

1,099

14.6

タイ

5,013

△28.2

551

△9.2

インドネシア

10,368

△41.5

1,296

△10.3

合計

136,054

△28.4

10,775

23.5

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

54,064

△14.7

北米

38,411

△49.5

欧州

13,890

5.5

中国

12,051

△24.1

タイ

5,069

△27.6

インドネシア

10,517

△41.2

合計

134,003

△30.7

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 セグメント間の取引については相殺消去しております。

3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

General Motors LLC

32,921

17.0

 

※当連結会計年度においては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものでありますが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について、当社が保証するものではありません。

 

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度は、売上高は1,340億円対前期比593億円(△30.7%)の減少となりました。新型コロナウイルス感染症の影響などにより北米で380億円の減収、日本で113億円の減収となったことが主な要因です。

売上原価は1,213億円対前期比514億円(△29.8%)の減少となり、販売費及び一般管理費は133億円対前期比36億円(△21.4%)の減少となりました。北米や日本での大幅な減収に対して、事業構造改革の各施策(固定費削減・人員適正化・経費削減)の効果が大きく寄与したものの、受注減少による影響をカバーするには至らず、営業利益は6億円の損失と対前期比43億円の大幅な減益となりました。

営業外損益については、為替差損益が対前期比で8億円改善、また支払利息が対前期比7億円減少したものの、営業利益の大幅な減益により、経常利益は18億円の損失対前期比29億円の減益となりました。特別損益については、減損損失41億円や事業構造改善費用52億円等を計上いたしました。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は107億円の損失(対前期比380億円の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は119億円の損失(対前期比368億円の減益)となりました。

 

(3) 財政状態の分析

(単位:億円)

(資産の部)

前期末

当期末

前期末比

(負債・純資産の部)

前期末

当期末

前期末比

流動資産

801

700

△101

流動負債

356

313

△43

現金及び預金

327

296

△31

仕入債務

202

172

△30

売上債権

309

260

△50

有利子負債

40

10

△30

たな卸資産

141

122

△19

その他

115

132

17

その他

24

23

△1

固定負債

594

587

△8

固定資産

689

627

△62

有利子負債

500

480

△20

有形固定資産

563

468

△95

その他

94

107

13

投資有価証券

46

58

11

負債合計

951

900

△51

その他

79

101

21

純資産

539

426

△112

総資産

1,490

1,326

△163

負債・純資産

1,490

1,326

△163

 

 

 

(資産)

当期末の資産は1,326億円と前期末比163億円の減少となりました。

流動資産は700億円と前期末比101億円の減少となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症の影響による売上高の減少などにより売上債権が50億円減少したことに加え、米国の生産2拠点の閉鎖に関連する支出などにより現金及び預金が31億円減少したことによるものです。固定資産は627億円と前期末比62億円の減少となりました。これは主に、株価の上昇により退職給付に係る資産が27億円増加した一方で、北米セグメントでの固定資産の減損損失の計上や生産2拠点の閉鎖による売廃却などにより、有形固定資産が95億円減少したことによるものです。

(負債)

当期末の負債は900億円と前期末比51億円の減少となりました。

流動負債は313億円と前期末比43億円の減少となりました。これは主に、売上債権の減少にともない仕入債務が30億円減少したことに加え、米国2拠点の閉鎖に関連する支出などによりリース債務が27億円減少したことによるものです。固定負債は587億円と前期末比8億円の減少となりました。これは主に、繰延税金負債が11億円増加した一方で、長期借入金が13億円リース債務が7億円減少したことなどによるものです。なお、有利子負債残高は、前期末の540億円から当期末は489億円50億円減少しております。

(純資産)

当期末の純資産は426億円と前期末比112億円の減少となりました。これは主に、株価の上昇により退職給付に係る調整累計額が20億円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失119億円を計上したことによるものです。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を資金調達の基本としております。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は489億円、現金及び現金同等物の残高は296億円となっております。有利子負債残高から「現金及び預金」を控除したネット有利子負債残高は193億円と前期末と比べ19億円減少しました。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、コア技術である音・振動解析技術を活かし、自動車のみならず、あらゆる交通機関、産業機械の各種ブレーキ製品を担う摩擦材・ブレーキの開発を進めております。また製品開発を支える基礎技術、解析の深化を重点的に行うための研究開発への投資と開発体制の充実を図っております。

開発戦略としては、音・振動に対する知見をさらに深化させ、カーボンニュートラルを見据えたブレーキ低引き摺り化・軽量化・グリーン材料化などの環境対応技術開発、電動ブレーキ開発を始めとした自動運転対応技術開発、高性能車両向けのブレーキ開発を継続し、推進してまいります。これらの開発は日本・米国・欧州・中国・タイの開発拠点を中心として、地産地消を基本に現地開発、現地調達を更に促進し、グローバル拠点それぞれの特長を活かしながら、必要な技術を駆使してグローバル競争力を高めた次期製品開発に注力しております。

 

(日本)

ブレーキ摩擦材開発については、カーボンニュートラルを見据えた環境対応技術開発を軸に取り組みを進めております。グローバルなニーズ及び米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された銅に関する環境規制に対応する銅フリー摩擦材開発を中心に、高性能で音・振動特性に優れ、かつ昨今着目されてきているブレーキ摩耗粉の制御に挑戦しながら、製造工程でのCO2排出量を大幅に削減できる製品の開発を進めております。同時に、低コスト化についても、性能や環境へ配慮しながら開発を進めております。また、xEV車のブレーキ特性にあわせた摩擦材の開発を進めております。

ディスクブレーキの開発においても、高性能車両向け、環境対応、自動運転への対応、更には新構造ブレーキの開発取り組みを軸に開発に注力しております。

高性能車両向けアルミ合金製対向型ブレーキにおいては、F1用ブレーキ開発で培った技術を盛り込み、製品化を実現しております。コスト競争力を向上させつつ、新規開発へのリソースの配分を確保する事によって、差別化製品を提供してまいります。

環境に配慮した製品開発に対しても、車の燃費向上の観点から革新的な軽量化と引き摺り低減に取り組んでおります。自動運転に対応する為の電動化技術として、パーキングブレーキ機構を電動化した電動パーキングブレーキ製品及びサービスブレーキ機構も電動化した電動サービスブレーキ製品の技術開発を進めております。また、電動パーキングブレーキにおいては、量産立上げに向けた事業化準備も併せて展開しております。
ブレーキの基本構造を新たに開発した新構造ブレーキ開発も進めております。従来製品に対して、ブレーキが安定するほか、大幅な軽量化も狙っております。この開発を軸に低燃費車や電気自動車(EV)へのシフトに対応してまいります。

次世代コンセプトブレーキ開発として、摩擦ブレーキとは大きく異なる構造を持つMR流体(Magneto Rheological Fluid)を用いた新発想のブレーキの開発を展開しております。応答性、コントロール性向上、摩耗粉ゼロ・鳴き振動制御による低環境負荷・快適性の追求、構造設計・軽量素材による小型・軽量化を研究開発戦略として取り組んでおります。

また、グローバルでの供給を更に強化させる為、技術面とコスト面のベンチマークを徹底して行い、使用地域の独自性や使用状況に応じた製品造りへの技術開発を進めております。

㈱曙ブレーキ中央技術研究所においては、カーボンニュートラルを見据えた環境対応技術開発を中長期主要課題と捉え、課題解決技術の研究/開発に取り組んでいます。

環境問題に対応できる摩擦材原材料の開発、これによる摩擦材の機能向上、ブレーキの鳴き、振動抑制に向けた要素技術開発、過去の評価や特性データのAI活用などに取り組んでおります。

なお、当社は2021年4月1日付で、㈱曙ブレーキ中央技術研究所及び㈱曙アドバンスドエンジニアリングを吸収合併いたしました。2社で培ってきた基礎研究、先端技術の研究及びその開発のノウハウについては、当社がその財産、権利義務及び従業員を受け継ぎ、当社で一体的な事業運営を行うことによる相乗効果により、全体の開発力強化につなげ、競争力を高めてまいります。

今後も中長期を見据えた研究開発に取り組み、他社との差別化、優位性確保を図ってまいります。

 

 

(北米)

北米自動車メーカー向けはもとより、グローバルなニーズに対応できる製品開発に取り組んでおります。日系自動車メーカー向けにおいても、開発から量産までの現地完結型開発を展開しております。国内開発拠点との緊密な連携により、グローバルでの連携を一段と進めております。米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された環境規制に対応した、乗用車からピックアップトラック用まで高性能で音・振動特性に優れた摩擦材開発を行っております。ブレーキの機構開発に関しては、新構造ブレーキ開発、電動ブレーキ開発を日本と連携しながら進めております。

 

(欧州)

ドイツに開発機関(現地法人)を置き、よりお客様に密接したディスクブレーキ適用開発を進めております。特に高性能車両向けアルミ合金製対向型ブレーキにおいて、F1用ブレーキ開発で培った技術を盛り込み、製品化を加速させております。高性能車両向け摩擦材の研究開発活動についても、日本と連携しながら更なる展開を進めております。

なお、フランスの研究開発拠点は2021年3月末に閉鎖をいたしました。培ってきたノウハウを日本で受け継ぎ、ドイツの開発機関を通じ欧州自動車メーカーに向けた研究開発活動を引き続き進めております。

 

(中国)

特に中国にて開発が進んでいるEV向けの製品を提供するため、現地のお客様の声を反映させた製品の開発・設計を進めております。摩擦材においては、部品・原材料の現地調達化と現地の環境に適したつくり方により、新興国市場で通用するコストと性能特性を有する製品開発を行っております。ディスクブレーキにおいては、EV向けの要求や使われ方を調査・分析し、必要な機能・性能を低コストで提供できる製品の開発と提案を行っております。

 

(タイ)

タイのブレーキ開発拠点を軸に、成長著しいASEAN諸国のニーズを的確につかむためのブレーキ評価を基軸とした開発活動を推進してまいります。

 

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,283百万円であり、この他に日常的な改良に伴って発生した研究開発関連の費用は4,230百万円であります。