文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものでありますが、予測しえない経済状況の変化等、様々な要因があるため、その結果について、当社が保証するものではありません。
(1) 経営方針
当社は、企業理念を、「私達は、『摩擦と振動、その制御と解析』により、ひとつひとつのいのちを守り、育み、支え続けて行きます。」と定めています。この企業理念のもと、モノづくりを通じた新たな価値の創出と、企業価値・株主価値のさらなる向上を目指すとともに、重要保安部品メーカーとして、お客様、株主様、お取引先様、社員、地域社会を含むすべてのステークホルダーと、健全で良好な関係を維持・促進し、持続可能な成長、発展を遂げていくことが重要だと考えています。
(2) 対処すべき課題
① 一部製品の定期検査報告における不適切行為再発防止策の進捗について
当社は、2021年2月16日付「当社国内生産子会社が製造する一部製品の定期検査報告における不適切な行為について」にて、不適切行為の事実の全容及び具体的な再発防止策を公表いたしました。再発防止策につきましては代表取締役を委員長とする「全社風土改革委員会」を同年3月1日付で設置し、同委員会の下、5つの分科会を設置し、再発防止策の具体的な活動を推進しております。これまでに同委員会を6回開催し、再発防止策の進捗確認等を行っております。各分科会の施策と進捗は以下のとおりです。
1.組織体制の見直し・監査機能の強化
3線ディフェンス機能強化、品質保証組織及び内部監査室の人的強化、社外取締役(監査等委員)との連携強化及び内部通報制度の実効性向上の各施策は既に完了しており、実効性を高めるための改善を図りながら、継続して実施しております。
2.人の手が介在できないIT検査システムの導入
ITを活用し検査データを自動的にデータベースへ集積、データベースからの自動出力による定期検査報告作成、データのトレーサビリティ確保の各施策はシステム構築を完了し運用を開始しており、実効性を高めるための改善を図りながら、継続して実施しております。
3.検査内容・検査項目の見直し
検査内容及び検査項目の見直しにつきましては、2020年10月よりお客様(完成車メーカー)と協議を開始しておりますが、継続して協議を進めております。
4.品質教育・コンプライアンス教育の強化
製造品質教育の強化、品質社内資格制度の再構築、品質専門家の育成、コンプライアンス研修は既に完了しており、実効性を高めるための改善を図りながら、継続して実施しております。
5.風土改革・意識改革
経営トップがリーダーシップを取り、社内報、全社員向けビデオメッセージ、生産現場視察等により、品質、コンプライアンス等に関するメッセージを継続して発信しております。また、社員意識調査等による定期的モニタリングで施策効果を測っております。
なお、本件に関し、2021年4月9日に認証機関からISO 9001認証及びIATF 16949認証の取消し通知を受領しておりましたが、両認証とも同年10月13日までに再取得を完了いたしました。
株主の皆様をはじめとした関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
② 事業再生計画の進捗状況と今後の取り組み
当社は、2019年9月18日付「『事業再生計画』の株式会社東京証券取引所への提出に関するお知らせ」にて公表したとおり、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続)の中で全てのお取引金融機関からご同意いただいた事業再生計画に沿って、引き続き事業再構築のための各施策に取り組んでおり、全ての拠点・事業部門において、できる限り早期の赤字脱却を実現すべく、聖域なき構造改革を実行し、事業再生計画の達成を目指しております。各地域での構造改革の進捗状況は以下のとおりです。
(日本)
国内4工場の縮小については、昨年から引き続き工場の生産最適化に向けた改善活動を継続しており、特に国内工場間の生産移管では、計画を一部前倒しにて進行しております。
2021年に実施した国内生産再編に伴う人員適正化の実行、各施策を着実に実行することで固定費削減を進め、計画達成を目指します。
(北米)
前期に閉鎖したテネシー州の工場とサウスカロライナ州の工場の土地・建物等の売却処理が完了しました。今後は引き続き、1工場体制へのシフトの検討も含め、生産性を高めるとともに、売上規模減少に応じた米国本社間接人員の削減により販管費を圧縮し、適正サイズのオペレーションによる収益確保を目指します。
(欧州)
欧州では、Akebono Europe S.A.S.(フランス)を、既存製品の生産移管等が完了した後、閉鎖の上、解散することといたしました。すでに2021年3月末にフランスのゴネスにある研究開発拠点を閉鎖し、土地・建物等の売却を進めております。フランスのアラス工場につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響等により既存製品の生産移管に遅れが生じたため閉鎖予定時期を、2022年3月から同年6月へ変更しております。
営業利益の黒字化が実現されたこと及び将来の新規受注の可能性が高いことを理由に存続を決定したスロバキア工場及びそれを支援するドイツ拠点につきましては、新規のお客様も含む複数のお客様から引き合いをいただいており、新規受注活動を鋭意展開中です。
③ 当社業績に影響を与えうる外部リスクについて
今後の当社グループを取り巻く事業環境は、世界的な半導体不足や新型コロナウイルス感染症等に起因した部品供給不足によるお客様(完成車メーカー)の減産、原材料価格やエネルギー価格の高騰、物流の混乱、さらには地政学的リスクの増大による世界経済への影響等により先行き不透明な状況が続くことが想定されます。
このような状況下ではありますが、当社グループは、新規ビジネスの獲得、生産最適化、車両の電動化や地球環境問題に対応した新製品開発などにより、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、当社グループの中長期的な企業価値の向上と将来の持続的成長を目指してまいります。
当社グループの事業において、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると考えるリスクには、主として次のようなものがあり、会社運営にあたり注意を払っております。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの事業、業績及び財政状態に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
当社グループは、真のグローバリゼーションの中での事業拡大を目指し、将来のニーズを予測し、必要な経営資源を技術革新・新製品開発に投入しておりますが、市場、お客様ニーズ及び業界の技術の急激な変化等により、お客様の必要とする新技術・新製品がタイムリーに開発できなかった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
今後、急速な普及拡大が予想される電動パーキングブレーキについては当社の独自技術を活かした商用車等の高出力発生可能な重車両向け、高性能車両をターゲットとした軽量、コンパクトな電動パーキングブレーキの開発に取り組んでおります。電動サービスブレーキについては競合他社に先行した市場投入を図るべく開発を進めております。これからの自動運転開発の加速も見据え、応答性の速さ、コントロール性の良さ、小型・軽量化を重点課題として電動化開発の推進を図っております。
また、ブレーキの基本構造から新たに開発した新構造ブレーキ開発も進めております。従来製品に対して、見栄えを向上させ、大幅な軽量化も狙っており、xEVへのシフトに対応した製品として開発を進めてまいります。
摩擦材開発については銅フリー摩擦材のシェア拡大に向けた取り組みと共に積極的な持続可能資源の活用のもと、昨今、着眼されてきている摩耗粉抑制、回生ブレーキとの協調も含めた小型・軽量化、鉄道分野での先行した次世代摩擦材の開発を推進しております。
一方、これまで当社が培ってきた技術をベースに、コンピュータシミュレーションを活用した技術開発を推進する為の、専門部署を設置しました。これにより、品質向上と同時に開発リードタイムの短縮も可能となり、お客様へタイムリーに新製品を提案することで、多くのビジネスチャンスを得ることが可能となります。
当社はこのような将来の環境対応を軸として、お客様ニーズに沿った開発を進めることで、新技術、新製品で他社に先行されるというリスクを抑制しながら社会貢献を図ってまいります。
当社グループは、事業再生計画に基づく生産拠点の再編を進めており、その基盤となっているのは最適生産への取り組みです。余剰設備の有効活用、工場間及び工場内での寄せ止め、生産設備の稼働率向上を進めており、国内は専門工場化へシフトすることになります。その結果として、地震、台風、洪水等の自然災害や大規模な火災・爆発などの事故等により建屋や設備の損壊が発生した場合、生産補完ができないため、顧客への製品供給に遅延や不能が生じることで当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
国内での補完はできなくとも海外工場との補完は以下のように可能となっております。補完関係にある工場が海外にあることによってリードタイムが長くなることについては、事業継続マネジメント(BCM)の危機発生時の対応として必要な措置を実行します。
海外補完体制
当社グループでは、安全・安心を支える上で品質は最も重要であると考え、常に、より高度な品質保証体制の構築を目指しております。自工程での品質保証、過去の不具合に学び失敗を繰り返さないなどの活動の浸透を進め、万全の体制をもって製品の生産に努めております。但し、当社グループの製品は直接安全に関わる製品であり、万が一、製品の欠陥等が発生し、お客様への流出が防止できなかった場合、多大な費用の発生と社会的信用の低下により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これから電動化による構成部品等が高度で複雑な技術を利用したものが増え、また、部品等を外部のサプライヤーから調達することにより、品質確保へのコントロールが低下する恐れがあり信頼に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)対処すべき課題」に記載のとおり、当社国内生産子会社が製造する一部製品の定期検査報告における不適切な行為について、当社グループでは、IATF 16949及びISO 9001の再認証の取得を完了し、再発防止策を着実に実行することにより、信頼の回復に全力で取り組んでおります。
当社グループは、国内外に多くの拠点を有しており、地震、台風、洪水等の自然災害や、今般の新型コロナウイルス感染症のパンデミック、大規模火災や爆発のように操業を停止せざるを得ないような事態に備え、事業継続マネジメント(BCM)を行っています。
しかしながら、想定を超える規模の自然災害や疫病、大規模な火災・爆発などの事故が発生した場合、人的資源への影響、建屋や設備の損壊、ライフラインや情報インフラの寸断などにより生産活動が困難となり、顧客への製品供給に遅延や不能が生じることで当社グループの財政状態や業績、ひいては事業の継続に悪影響を及ぼす可能性があります。
その対応策として当社グループでは、危機管理マニュアルの整備、従業員の安否確認方法の整備、BCMの啓蒙活動とこれらに基づいた防災訓練、更に、災害の未然防止や早期復旧を目的とした建屋の耐震補強、生産設備の転倒防止などを、安全・BCM推進部署として独立した組織で行っています。
危機が発生した場合は、安全・BCM推進部署が中心となって関係する国内外の拠点を網羅して速やかに対策本部を立ち上げ、必要な措置を実行しております。
5) 原材料等の調達に関するリスク
当社グループは多数の外部取引先から原材料・鋼材・部品等を調達しておりますが、市況変化による価格の高騰や品不足、取引先が製造した製品の欠陥、経営状態の悪化、不慮の事故、自然災害等に伴う原材料・鋼材・部品等の供給停滞によって、当社グループの製造コストの上昇、生産遅延・停止が起こり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、市場における電動化の促進に伴い、より高度で複雑な技術を利用する部品の取引が増えることによるサプライチェーンの複雑化や製造コストの上昇などによって当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
自然災害(地震、豪雨浸水など)や事故(火災、爆発など)による事業継続性への影響を考慮したサプライチェーンにおける適正な在庫量の再検証や、サプライヤーマップの作成など有事発生による供給影響度の確認プロセスの迅速化に取り組んでまいります。
当社グループでは、様々なコンプライアンス活動を通じてコンプライアンス上のリスクの回避を図っておりますが、法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合には、法令による処罰や訴訟の提起、損害賠償請求、ステークホルダーからの信頼低下などにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
その対応策として、当社グループでは、akebonoグローバル行動規範、akebonoグローバル行動基準やコンプライアンス規定等の整備によりコンプライアンス推進体制を構築するとともに、各事業部門・製造拠点が自ら施策を立案し、コンプライアンス委員会において承認されたそれぞれの年間活動計画に沿ってコンプライアンス活動を推進することを中心に、ハラスメントや長時間労働防止のための労務研修、下請法違反防止・インサイダー取引防止を目的とした各種研修を行うなど、社員のコンプライアンス意識向上のための各種施策を実施しております。
また、内部通報制度として社外相談窓口と社内相談窓口を設置しており、それぞれの窓口に寄せられた相談については、適宜必要な調査を実施し、適切に対応しております。外部相談窓口への相談については、対応部署のみならず全ての取締役が受領することとしており、その対応と進捗については毎月取締役会に報告しております。
なお、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 対処すべき課題」に記載の当社国内生産子会社が製造する一部製品の定期検査報告における不適切な行為については、再発防止策の一つとしてコンプライアンス研修を実施済ではありますが、今後も実効性を高めるための改善を図りながら継続して実施してまいります。
7) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループでは製品開発や製造、経営等に関わる機密情報や個人情報等の重要情報を保有しており、サイバー攻撃や情報機器の盗難・紛失、社内における誤操作・管理ミス等によりこれら重要情報が漏洩するリスクがあります。
これらの情報が漏洩した場合、会社の信用失墜、損害賠償・法的罰則・競争力低下等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティに関しての最高意思決定機関としてISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)委員会を設置し、その配下に各業務部門・製造拠点担当者を配置し、情報システム管理部署と連携し、海外子会社とも連携して、漏洩防止等の情報管理徹底に努めております。
平時は、ネットワーク・サーバー等の物理的防御に加え、外部専門家による常時セキュリティ監視をグローバルで行うと同時に、人に対する情報セキュリティレベルの向上を行うために教育・訓練・啓発活動を行っています。
また有事の際は、ISMS委員会、各業務部門・製造拠点担当者が情報システム管理部署と連携し、初動から封じ込め、対策までを短時間で行えるよう有事フローを作成し備えています。
昨今は新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴うテレワーク・在宅勤務者が増加しております。これに対応するため、ソフト面ではテレワーク・在宅勤務時のガイドライン等による啓発活動を実施すると同時に、ハード面では外部からの不正アクセスを防止するため暗号化通信を必須とし、セキュアなネットワーク環境の提供、会社貸与デバイス以外でのネットワークアクセスを制限し、リスクの低減を図っております。
8) 環境に関するリスク
当社グループでは、持続可能な開発目標「SDGs」の推進に向けて様々な環境対策を進めておりますが、環境問題への対応の遅れや適応が難しい場合、当社グループへの社会的信頼が損なわれる可能性も想定され、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、地球環境保全の見地から環境問題への対応は企業としての重要な社会的責任であると考えており、持続可能な開発目標「SDGs」の推進に向けて、環境に配慮した製品の開発、生産設備の改善、CO2排出量削減を始めとして様々な環境対策を進めております。
また、気候変動を含む環境に関わる課題はサステナビリティ経営推進のための重要なテーマと捉えており、カーボンニュートラルに向けた中長期目標を設定、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報を開示し、将来を見据えた取り組みを進めております。環境に関わる課題はサステナビリティ委員会にて取り組み方針・施策を策定し、事業に重要な影響を及ぼすと判断されたテーマについては、経営会議で検討の上、取締役会へ報告し監督を行っております。
(重要なリスク)
9) 為替・金利変動に関するリスク
当社グループの事業は、各地域毎に原材料・部品の輸入、製品等の輸出の取引があります。また、当社グループの資産及び負債の一部は外貨建てであり、適宜、為替バランスの監視を行っておりますが、全てのリスクをヘッジすることは難しく、その変動は当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の海外関係会社財務諸表は現地通貨で作成されておりますが、当社グループの連結財務諸表作成時においてこれらの財務諸表は円換算されるため、現地における通貨金額が変わらない場合においても、換算時の為替レートにより円換算後の連結財務諸表上の金額が影響を受けることがあります。また、金利情勢や証券市場の変動が当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
10) 経済状況の変動に関するリスク
当社グループにおける営業収入は当社グループが製品を生産・販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる経済活動の停滞、半導体の不足による完成車メーカーの生産計画変更、世界的な海上輸送の遅延、戦争、内乱、紛争、 暴動、テロ等の発生の地政学的リスクの増大等、当社グループの主要市場においても、様々な課題が頻発しており、これらの影響が長引く場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、将来の脱炭素社会を目指す各国政府方針や各完成車メーカーの「CASE」への取り組みによる業界の構図の変化等、国内外の競合他社との競争環境の変化により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、人財は経営の基盤と考え様々な人事施策を行っておりますが、若手社員の人財育成・確保ができない場合や、特定のスキルを持ったベテラン社員の流出、適材適所の配置が計画通り進まなかった場合のモチベーション低下や、急速な事業環境の変化に伴う従業員のストレス増大等による休職や退職者が増加した場合、長期的視点から当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの競争力を維持・向上し続けるためには、高度な専門技術に精通した人財、経営のマネジメント能力に優れた人財を採用し、高齢化に対する技術を伝承する人財を計画的に育成することが重要であると考えております。特に近年、グローバルな事業活動を一層進めるなかで、それらの環境で活躍できる人財の育成・確保が急務であり、国内外での積極的な採用活動、研修・教育の充実、コア人財の流出の防止などの施策を講じています。
当社グループが事業を遂行する上で必要な技術を、他社に特許出願等されてしまうと、市場における自社事業の自由度が確保できなくなり、その結果、特定の技術、製品又はサービスを提供できなくなる可能性があります。
この対策として、当社グループの発展に寄与できるよう積極的な発明提案の発掘活動を行い特許権等の権利を確保することにより、市場における事業の自由度の確保に努めています。
また、当社グループが事業を遂行するなかで、当社グループの事業が他者の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求を受ける可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
この対策として製品開発時に他者の知的財産権とのクリアランスの調査が義務付けられており、他者の知的財産権を侵害しないことを確認しています。
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 対処すべき課題」に記載のとおり、全ての拠点・事業部門において、聖域なき構造改革を実行し、事業再生計画の達成を目指しておりますが、構造改革が予定どおりに進捗しない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社とA種種類株主であるジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第弐号投資事業有限責任組合(以下、「JISファンド」といいます。)との間で締結した出資契約において、A種種類株式には、普通株式を対価とする取得請求権が付されており、JISファンドが取得請求権を行使した場合、既存株主の皆様が保有する普通株式について希薄化が生じる可能性があります。
なお、上述した将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルスの世界的な感染再拡大により経済活動の制限や緩和が繰り返され収束が見通せない状況に加えて、半導体不足による完成車メーカーの減産や原材料価格上昇などもあり、依然として不透明な状況が続いております。
このような状況下、当連結会計年度(注)における当社グループの業績は、北米では半導体不足による影響と米系の完成車メーカーのモデルチェンジによってOEM(新車組付け)用製品がほぼ生産終了となり、欧州においても半導体不足や新型コロナウイルスの感染再拡大に起因するサプライチェーン問題による完成車メーカーの減産影響により受注が減少しました。一方、日本・タイ・インドネシアでは、前期における新型コロナウイルス感染症の影響による完成車メーカーの工場稼働停止や事業活動の制限などからの反動増により受注が大きく回復し、売上高は1,355億円と対前期比15億円(+1.1%)の増収となりました。利益面では、北米や欧州における受注減少による利益の減少はありましたが、日本やアジアにおける新型コロナウイルス感染症の影響による受注減少からの回復、事業構造改革の一部の施策の効果、固定費の削減、特に日本や北米における人員適正化の効果が大きく寄与し、営業利益は42億円(前期は営業損失6億円)となり、経常利益は、為替相場の変動により当社及び連結子会社が保有する外貨建ての資産・負債に対し発生した為替差益などで61億円の利益(前期は経常損失18億円)となりました。
特別損益については、米国のケンタッキー州エリザベスタウン工場で鑑定評価に基づき5億円の減損損失を計上いたしました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は42億円の利益(前期は119億円の損失)となりました。
地域セグメントごとの業績は次のとおりです。
① 日本
半導体不足による完成車メーカーの減産の影響が継続しているものの、前期の新型コロナウイルス感染症の影響による受注減少からの回復や小型トラックの需要拡大により、売上高は650億円と対前期比42億円(+6.9%)の増収となりました。利益面では、市況高騰や前期にあった休業補償の補填がなくなった影響はあったものの、売上高増加による利益の増加に加えて、前期に実施した国内生産拠点の早期退職措置による労務費の適正化、生産性向上、材料スクラップ率改善といった生産合理化やこれまでに取り組んできた費用抑制の効果が持続していることなどにより、営業利益は43億円と対前期比15億円(+54.9%)の増益となりました。
② 北米
主要な顧客であった米系完成車メーカーのモデルチェンジによってOEM用製品がほぼ生産終了となったことに加え、半導体不足による完成車メーカーの減産影響の継続もあり、売上高は327億円と対前期比76億円(△18.9%)の大幅な減収となりました。利益面では、売上高減少による影響に加え、原材料価格上昇の影響などがありましたが、大幅な受注減少に対応するため前期に生産2拠点を閉鎖して、生産人員の適正化や生産性改善、工場間の生産移管による生産効率化などに取り組んできた効果により、営業損失は26億円(前期は営業損失52億円)に留まりました。
③ 欧州
半導体不足や新型コロナウイルス感染再拡大に起因するサプライチェーン問題による完成車メーカーの減産影響、日系完成車メーカー向けグローバルプラットフォーム(全世界での車台共通化)車用製品の生産終了などにより、売上高は128億円と対前期比19億円(△13.0%)の減収となりました。利益面では、スロバキア工場においては、不良品の低減、経費削減、生産性向上などのコスト削減効果はあったものの、売上高の減少、原材料価格の上昇、エネルギーコストの高騰などによる影響があり、加えてフランス工場においても、原材料価格上昇の影響や閉鎖に向けた費用が嵩んだことなどから、営業損失は3億円(前期は営業利益1億円)となりました。
④ 中国
米系完成車メーカーのモデルチェンジによるOEM用製品の生産終了により受注は減少しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復及び円安の影響により売上高は121億円と対前期比1百万円(+0.0%)の増収となりました。利益面では、受注減少による利益の減少に加え、前期にあった政府による社会保険料の減免措置がなくなり、人員の適正化や合理化改善に努めたものの、営業利益は4億円と対前期比2億円(△34.4%)の減益となりました。
⑤ タイ
一部の欧米系完成車メーカーのOEM用製品の生産終了があったものの、前期の新型コロナウイルス感染症の影響による受注減少からの反動により受注が回復し、また、市場回復による主要な日系完成車メーカー向けの補修用製品の受注の増加や輸出販売の好調により、売上高は62億円と対前期比8億円(+14.5%)の増収となりました。利益面では、売上高増加による利益の増加が大きく寄与したことに加え、基幹部品である鋳物の外部購入から当社の鋳物工場での内製への切り替えが進み付加価値が高まったことにより、営業利益は6億円と対前期比4億円(+248.0%)の増益となりました。
⑥ インドネシア
欧州向けグローバルプラットフォーム車用製品の生産終了はあったものの、政府による新車購入時の奢侈税免除・減税が実施されたことに加え、前期の新型コロナウイルス感染症の影響による受注減少からの反動増や、小型乗用車用製品の新規立ち上げが好調なこともあり、売上高は175億円と対前期比54億円(+44.8%)の大幅な増収となりました。利益面では、インドネシア工場で発生した火災によるエキストラ費用の発生やサプライチェーン問題による輸送費の増加はあったものの、下期からの売上高増加による利益の増加が大きく寄与したことに加えて、生産性改善や購入部品の内製化、現地調達への切り替えなどの合理化効果もあり、営業利益は16億円と対前期比10億円(+144.8%)の増益となりました。
(注)当連結会計年度とは
(1) 北米・中国・タイ・インドネシア:2021年1月~2021年12月
(2) 日本・欧州 :2021年4月~2022年3月 となります。
当期末の総資産は、前期末比70億円増加の1,397億円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当期末の現金及び現金同等物は、前期末比7億円増加の303億円となりました。
主な要因として、税金等調整前当期純利益56億円や減価償却費56億円があった一方で、棚卸資産の増減額△35億円や事業再編による支出16億円などにより、資金が増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主な要因として、有形及び無形固定資産の売却による収入28億円があった一方で、日米を中心とした設備投資により有形及び無形固定資産の取得による支出が50億円となり、資金が減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主な要因として、ファイナンス・リース債務の返済による支出7億円、長期借入金の返済による支出3億円及び非支配株主への配当金の支払額2億円などにより、資金が減少となりました。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によるものであります。
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものでありますが、予測しえない経済状況の変化等、様々な要因があるため、その結果について、当社が保証するものではありません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度は、売上高は1,355億円と対前期比15億円(+1.1%)の増加となりました。半導体不足の影響などにより北米で76億円の減収となった一方で、前連結会計年度における新型コロナウイルス感染症影響の反動によりインドネシアで54億円、日本で42億円の増収となったことが主な要因です。
売上原価は1,182億円と対前期比32億円(△2.6%)の減少となり、販売費及び一般管理費は131億円と対前期比2億円(△1.3%)の減少となりました。北米での減収に対して、事業構造改革の各施策(固定費削減・人員適正化・経費削減)の効果が大きく寄与し、営業利益は42億円と対前期比48億円の大幅な増益となりました。
営業外損益については、為替差益が対前期比で19億円増加したことにより、経常利益は61億円の利益と対前期比79億円の増益となりました。特別損益については、減損損失5億円等を計上いたしました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は56億円の利益(対前期比163億円の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は42億円の利益(対前期比161億円の増益)となりました。
(3) 財政状態の分析
(資産)
当期末の資産は1,397億円と前期末比70億円の増加となりました。
流動資産は749億円と前期末比49億円の増加となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症の影響に端を発した海上輸送遅延による在庫積み増しなどにより棚卸資産が45億円増加したことによるものです。固定資産は648億円と前期末比22億円の増加となりました。これは主に、株価の上昇により投資有価証券が20億円増加したことによるものです。
(負債)
当期末の負債は908億円と前期末比8億円の増加となりました。
流動負債は318億円と前期末比4億円の増加となりました。これは主に、在庫積み増しなどの影響により仕入債務が4億円増加したことによるものです。固定負債は590億円と前期末比3億円の増加となりました。これは主に、繰延税金負債が8億円増加した一方で、リース債務が4億円減少したことによるものです。なお、有利子負債残高492億円から「現金及び預金」を控除したネット有利子負債は189億円であります。
(純資産)
当期末の純資産は489億円と前期末比63億円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益42億円を計上したことに加え、株価の上昇によりその他有価証券評価差額金が14億円増加したことによるものです。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を資金調達の基本としております。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は492億円、現金及び現金同等物の残高は303億円となっております。有利子負債残高から「現金及び預金」を控除したネット有利子負債残高は189億円と前期末と比べ5億円減少しました。
該当事項はありません。
当社グループでは、コア技術である音・振動解析技術を活かし、自動車のみならず、あらゆる交通機関、産業機械の各種ブレーキ製品を担う摩擦材・ブレーキの開発を進めております。また製品開発を支える基礎技術、解析の深化を重点的に行うため、社会潮流、市場動向、競合他社など動向をグローバルに見据え、研究開発への投資と開発体制の充実を図っております。
開発戦略としては、音・振動に対する知見をさらに深化させ、カーボンニュートラルを見据えたブレーキ低引き摺り化・軽量化・グリーン材料化、摩耗粉抑制技術開発などの環境対応技術開発、電動ブレーキ開発を始めとした自動運転対応技術開発、高性能車両向けのブレーキ開発を継続し、推進してまいります。これらの開発は日本・米国・欧州・中国・タイの開発拠点を中心として、地産地消を基本に現地開発、現地調達を更に促進し、グローバル拠点それぞれの特長を活かしながら、必要な技術を駆使してグローバル競争力を高めた次期製品開発に注力しております。
(日本)
ブレーキ摩擦材開発については、カーボンニュートラルを見据えた環境対応技術開発を軸に取り組みを進めております。グローバルなニーズ及び米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された銅に関する環境規制に対応する銅フリー摩擦材開発を中心に、高性能で音・振動特性に優れ、かつ昨今着目されてきているブレーキ摩耗粉の制御に挑戦しながら、製造工程でのCO2排出量を大幅に削減できる製品の開発を進めております。同時に、低コスト化についても、性能や環境へ配慮しながら開発を進めております。また、xEV車のブレーキ特性にあわせた摩擦材の開発を進めております。
ディスクブレーキの開発においても、高性能車両向け、環境対応、EV化/自動運転への対応、更には新構造ブレーキの開発取り組みを軸に開発に注力しております。
高性能車両向けアルミ合金製対向型ブレーキにおいては、F1用ブレーキ開発で培った技術を盛り込み、製品化を実現しております。コスト競争力を向上させつつ、新規開発へのリソースの配分を確保する事によって、差別化製品を提供してまいります。
環境に配慮した製品開発に対しても、車の燃費・電費向上の観点から革新的な軽量化と引き摺り低減に取り組んでおります。自動運転に対応する為の電動化技術として、パーキングブレーキ機構を電動化した電動パーキングブレーキ製品及びサービスブレーキ機構も電動化した電動サービスブレーキ製品の技術開発を進めております。また、電動パーキングブレーキにおいては、量産立上げに向けた事業化準備も併せて展開しております。
ブレーキの基本構造を新たに開発した新構造ブレーキ開発も進めております。従来製品に対して、見映えを向上させ、大幅な軽量化も狙っております。この開発を軸に低燃費車や電気自動車(EV)へのシフトに対応してまいります。
また、グローバルでの供給を更に強化させる為、技術面とコスト面のベンチマークを徹底して行い、使用地域の独自性や使用状況に応じた製品造りへの技術開発を進めております。
環境問題に対応できる摩擦材原材料の開発、これによる摩擦材の機能向上、ブレーキの鳴き、振動抑制に向けた要素技術開発、過去の評価や特性データのAI活用などに取り組んでおります。
なお、当社は2021年4月1日付で、㈱曙ブレーキ中央技術研究所及び㈱曙アドバンスドエンジニアリングを吸収合併いたしました。2社で培ってきた基礎研究、先端技術の研究、カーボンニュートラルを見据えた環境対応技術開発及びその開発のノウハウについては、当社がその財産、権利義務及び従業員を受け継ぎ、当社で一体的な事業運営を行うことによる相乗効果により、全体の開発力強化につなげ、競争力を高めてまいります。
今後も中長期を見据えた研究開発に取り組み、他社との差別化、優位性確保を図ってまいります。
北米自動車メーカー向けはもとより、グローバルなニーズに対応できる製品開発に取り組んでおります。日系自動車メーカー向けにおいても、開発から量産までの現地完結型開発を展開しております。国内開発拠点との緊密な連携により、グローバルでの連携を一段と進めております。米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された環境規制に対応した、乗用車からピックアップトラック用まで高性能で音・振動特性に優れた摩擦材開発を行っております。ブレーキの機構開発に関しては、新構造ブレーキ開発、電動ブレーキ開発を日本と連携しながら進めております。
ドイツに開発機関(現地法人)を置き、よりお客様に密接したディスクブレーキ適用開発を進めております。特に高性能車両向けアルミ合金製対向型ブレーキにおいて、F1用ブレーキ開発で培った技術を盛り込み、製品化を加速させております。高性能車両向け摩擦材の研究開発活動についても、日本と連携しながら更なる展開を進めております。
(中国)
特に中国にて開発が進んでいるEV向けの製品を提供するため、現地のお客様の声を反映させた製品の開発・設計を進めております。摩擦材においては、部品・原材料の現地調達化と現地の環境に適したつくり方により、新興国市場で通用するコストと性能特性を有する製品開発を行っております。ディスクブレーキにおいては、EV向けの要求や使われ方を調査・分析し、必要な機能・性能を低コストで提供できる製品の開発と提案を行っております。
(タイ)
タイのブレーキ開発拠点を軸に、成長著しいASEAN諸国のニーズを的確につかむためのブレーキ評価を基軸とした開発活動を推進してまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は