第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものでありますが、予測しえない経済状況の変化等、様々な要因があるため、その結果について、当社が保証するものではありません。

 

(1) 経営方針

当社は、企業理念を、「私達は、『摩擦と振動、その制御と解析』により、ひとつひとつのいのちを守り、育み、支え続けて行きます。」と定めています。この企業理念のもと、モノづくりを通じた新たな価値の創出と、企業価値・株主価値のさらなる向上を目指すとともに、重要保安部品メーカーとして、お客様、株主様、お取引先様、社員、地域社会を含むすべてのステークホルダーと、健全で良好な関係を維持・促進し、持続可能な成長、発展を遂げていくことが重要だと考えています。

 

(2) 対処すべき課題

① 事業再生計画の進捗状況と今後の取り組み

当社は、2019年9月18日付「『事業再生計画』の株式会社東京証券取引所への提出に関するお知らせ」にて公表したとおり、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続)の中で全てのお取引金融機関からご同意いただいた事業再生計画に沿って、引き続き事業再構築のための各施策に取り組んでおり、全ての拠点・事業部門において、できる限り早期の赤字脱却を実現すべく、聖域なき構造改革を実行し、事業再生計画の達成を目指しております。各地域での構造改革の進捗状況は以下のとおりです。

 

(日本)

国内4工場の縮小については、国内工場間の生産移管が2022年10月に計画より前倒しにて完了いたしました。引き続き工場の生産最適化に向けた改善活動を継続中であります。また、国内生産再編に伴う人員適正化及び各施策を着実に実行することにより固定費削減を進めております。

 

(北米)

テネシー州の工場とサウスカロライナ州の工場の閉鎖が完了し、土地・建物等の売却処理も完了いたしました。今後は引き続き、1工場体制へのシフトの検討も含め、売上規模減少に応じた米国本社間接人員の削減により販管費を圧縮するとともに、オペレーションの適正化と生産性の向上により収益の確保を目指します。

 

(欧州)

フランスにおいて、ゴネスにある研究開発拠点は2021年3月末に閉鎖が完了し、アラス工場は2022年6月末に閉鎖が完了しております。以上により、Akebono Europe S.A.S.(フランス)は予定通り2022年6月末に解散しております。

営業利益の黒字化が実現されたこと及び将来の新規受注の可能性が高いことを理由に存続を決定したスロバキア工場とそれを支援するドイツ拠点につきましては、新規のお客様も含む複数のお客様から引き合いをいただいており、新規受注活動を鋭意展開中です。

 

② 当社業績に影響を与えうる外部リスクについて

今後の当社グループを取り巻く事業環境は、世界的な半導体不足によるお客様(完成車メーカー)の減産は改善傾向にあるものの、原材料価格やエネルギー価格の高騰、さらには地政学的リスクの増大による世界経済への影響等により、先行き不透明な状況が続くことが想定されます。

このような状況下ではありますが、当社グループは、既存ビジネスの収益改善、新規ビジネスの獲得、生産最適化、車両の電動化や地球環境問題に対応した新製品開発などにより、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、当社グループの中長期的な企業価値の向上と将来の持続的成長を目指してまいります。

 

 

③ 一部製品の定期検査報告における不適切行為再発防止策の進捗について

当社は、2021年2月16日付「当社国内生産子会社が製造する一部製品の定期検査報告における不適切な行為について」にて、「不適切行為の事実の全容」及び「具体的な再発防止策」を公表いたしました。再発防止策につきましては代表取締役を委員長とする「全社風土改革委員会」を同年3月1日付で設置し、同委員会の下、「組織体制の見直し・監査機能の強化」、「人の手が介在できないIT検査システムの導入」、「検査内容・検査項目の見直し」、「品質教育・コンプライアンス教育の強化」、「風土改革・意識改革」の5つの分科会を設置し、再発防止のための具体的な施策を推進しております。各施策は、基本的な構築は完了しておりますが、実効性を高めるための改善を図りながら継続して実施しております。風土改革・意識改革につきましては、社員意識調査等による定期的なモニタリングで施策効果を測定し、施策の改善を図っております。なお、全社風土改革委員会はこれまでに10回開催し、進捗確認等を行っております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループは、サステナビリティ方針を「曙ブレーキグループは、サステナビリティを経営の基軸と位置づけ、『曙の理念』のもと、持続可能な社会の発展に貢献していきます。」と定め取り組んでいます。

取り組みの体制につきましては、執行役員である経営企画・事業管理部門長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、また、委員会のもとに「地球環境ワーキンググループ」、「社会課題ワーキンググループ」、「ガバナンスワーキンググループ」を組織し、サステナビリティに関する取り組みを検討・審議しています。

なお、サステナビリティに関する当社グループの取り組みにつきましては、当社ウェブサイト(https://www.akebono-brake.com/)のサステナビリティをご参照ください。

 

(1) ガバナンス

サステナビリティ委員会において検討・審議された内容や取り組みの進捗状況につきましては、経営会議での審議を経て、1年に1回以上取締役会において報告又は審議され、取締役会による監督が行われています。なお、当事業年度は2回の審議・報告を実施いたしました。

 

(2) 戦略

サステナビリティ委員会において、地球環境を含む社会的課題から当社におけるリスクと機会の検討を行い、以下の3項目をESG課題におけるマテリアリティ(重要課題)として特定し、取り組んでおります。

① 「安全・安心な製品・サービスの提供」

安全・人権が確保された職場環境での生産活動と、地球環境やお客様の安全に配慮した製品・サービスの提供を継続してまいります。

② 「誰もが活躍できる会社の実現と社会への貢献」

サプライチェーンを含めた人権尊重に取り組み、多様性を尊重し、ワークライフバランスを推進するとともに会社の持続的成長を実現する人財を育成してまいります。

③ 「地球温暖化防止への貢献と環境負荷低減の推進」

地球環境の保全に努め、環境と調和した持続可能な社会の発展に継続的に取り組んでまいります。

 

なお、リスクの重要度と機会の検討は、国連をはじめとする国際的な機関や業界団体からの情報及び従業員、お取引先様、お客様、投資家等とのコミュニケーションを通して得られた情報をもとに行われます。

 

人財の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

人財育成方針

当社グループは、「会社を成功に導く最も重要なファクターは『人財(社員)』である」という考えのもと、理念の実現に向けて、社員一人ひとりが活躍するために必要な知識やスキルを自発的に学べる機会と環境を提供し続け、「自律型人財」の育成を進めていきます。また、事業のグローバル展開において「社員一人ひとりの能力を最大限発揮できる組織づくり」が必要不可欠と考え、その人らしい働き方や生き方を尊重し、それぞれが活躍できる機会を提供していきます。

 

 

社内環境整備方針

当社グループは、人財育成の再構築とキャリア支援、多様化推進、ワークライフバランス推進、健康経営に取り組んでいきます。

ⅰ)人財育成の再構築とキャリア支援

事業環境の変化に対応し、かつ一人当たりの生産性向上に向けて、社員一人ひとりが自ら学び成長できる仕組みの構築を目指しています。具体的には、選抜型研修によるプロアクティブな教育体系の構築や外部環境変化への対応に必要な教育プログラム(ITリテラシーやDX推進等のリスキリングプログラム)の拡充、社員の自律を促す人財育成マップの構築等に取り組んでいます。また、社員一人ひとりが自身のキャリアを選択し実現するための研修・キャリア支援を行っています。例えば、公開講座「Ai-Campus」は、全社員が受講できる教育カリキュラムで、安全・品質、生産・製品などの基礎知識やマネジメント層向けの管理者知識を学べる約50の講座を提供しています。また、「あけぼのビジネススクール」は、業務に必要な知識・スキルの習得を目的に社員が受講できる通信教育講座で、指定期間での修了を条件に、当社が受講料の一部を補助しています。

 

ⅱ)多様化推進

年齢、性別、国籍を問わず、多様な人財の採用活動を行っており、新卒採用のみならず、多様なスキル・経験を有する人財を確保するための経験者(中途)採用にも力を入れています。また、管理職層向けにアンコンシャス・バイアスやダイバーシティ・マネジメントに関する研修等を実施し、多様な人財が活躍できる環境づくりを推進しています。特例子会社であるあけぼの123㈱では、障がいを持つ社員一人ひとりの特性(個性)を認め合って強みを活かし、従来実施していた本社敷地内の清掃業務や名刺印刷に加え、職域の拡大を進めています。製造現場での部品の梱包業務等において継続的な業務改善や多能工化に積極的に取り組み、当社グループ全体の競争力向上に貢献しています。

 

ⅲ)ワークライフバランス推進

多様な働き方の実現を目指し、育児や介護と仕事の両立を多方面からサポートする様々な制度を設けています。育児や介護、配偶者の海外転勤など家庭の事情で退職した社員に復職の機会を提供するキャリアパートナー制度やコアタイムなしのフレックス勤務制度及び在宅勤務制度等を導入している他、事業所内保育所「あけぼの保育園 Ai-Kids(アイ・キッズ)」を運営しています。また、育児・介護休業法の改正に伴い、休職中の一部就労を可能とする「産後パパ育休」をいち早く導入し、男性社員の育児休職取得を支援しています。今後もすべての社員がいきいきと働ける企業を目指し、取り組みを継続していきます。

 

ⅳ)健康経営

当社は、社員とその家族の健康維持・促進を、重要な経営課題の一つであると考えております。2017年に「健康経営宣言」を制定し、社員が心身ともに健康で充実した生活を送るとともに、社員と会社がともに成長し、社会に貢献し続けていくために、健康づくりに資する様々な施策を積極的に推進することを宣言しています。具体的には、働き方改革、心身両面の健康促進、ヘルスリテラシーの向上を3本柱として、健康経営を推進していきます。全社一体となった健康づくり活動が実を結び、2023年には、経済産業省と日本健康会議が共同で推進する優良な健康経営を実践している大規模法人を顕彰する「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定を受けました。今回の認定は、6年連続6回目となります。

 

(3) リスク管理

サステナビリティ委員会では、「地球環境ワーキンググループ」、「社会課題ワーキンググループ」、「ガバナンスワーキンググループ」を設置し、将来の地球環境を含む社会的課題からバックキャストの考え方により当社におけるリスクと機会の検討を行うとともに、取締役会におけるガバナンスと情報開示の向上についても検討を行い、ESG課題におけるマテリアリティ(重要課題)の特定と当社の目指す姿、取り組みの検討を適宜行っております。

 

 

(4) 指標及び目標

① 「安全・安心な製品・サービスの提供」

サプライチェーンマネジメントによる人権尊重への取り組みや安全な労働環境の整備により、人権課題や重大災害の発生ゼロを目指します。品質マネジメントシステムの継続的改善や、予防安全に親和性の高い電動ブレーキの開発の推進により当社製品に起因する重大事故のゼロを目指します。また、シミュレーション技術や、レース活動を通した先端技術を一般車両向け製品に応用することで、社会やお客様ニーズの早期対応の実現とともに、安全はもとより、生産工程での二酸化炭素(CO)排出の削減や軽量化による車両の燃料消費低減への貢献を目指します。なお、開発戦略につきましては「6 研究開発活動」も合わせてご参照ください。

② 「誰もが活躍できる会社の実現と社会への貢献」

サプライチェーンも含めた「曙ブレーキグループ人権方針」の推進により、社会的な「人権尊重の責任」を果たしてまいります。内部統制システムの継続的改善を通し、取締役会によるガバナンスの強化を図るとともに、コンプライアンス活動や教育により、重要コンプライアンス違反の発生を防止します。また、「多様化促進」「キャリア支援」「ワークライフバランス」「健康経営」の推進により一人ひとりが働きやすい制度の拡充と活用しやすい環境の定着、生産性、創造性の向上を目指し、自律人財の育成と確保を目指します。

③ 「地球温暖化防止への貢献と環境負荷低減の推進」

省エネルギーへの取り組み、再生可能エネルギーの積極利用等を通し、2030年にはScope1,2において、2013年度比50%のCO排出量削減を目指します。また、国内外の環境規制に対し、より厳しい自主規制とライフサイクルアセスメントにより開発段階から環境負荷物質の削減に取り組み地球環境の保全に貢献します。

 

人財の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績の一部は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

リスキリングプログラムの受講者数

2027年度までに50名

―(翌連結会計年度開始)

管理職に占める女性労働者の割合(提出会社)

2030年度までに10%

6.4%

管理職に占める中途採用者の割合(提出会社)

28%程度(2021年度実績)を維持

27.1%

男性労働者の育児休業取得率(提出会社)

2030年度までに85%

56.3%

メンタルヘルス(セルフケア)研修受講率

毎年度の受講率100%

―(翌連結会計年度開始)

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業において、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると考えるリスクには、主として次のようなものがあり、会社運営にあたり注意を払っております。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの事業、業績及び財政状態に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 

(特に重要なリスク)

1) 技術革新・新製品開発に関するリスク

当社グループは、真のグローバリゼーションの中での事業拡大を目指し、将来のニーズを予測し、必要な経営資源を技術革新・新製品開発に投入しておりますが、市場、お客様ニーズ及び業界の技術の急激な変化等により、お客様の必要とする新技術・新製品がタイムリーに開発できなかった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

現在、急速な普及拡大がみられる電動パーキングブレーキについては当社の独自技術を活かした商用車等の高出力発生可能な重車両向け、高性能車両をターゲットとした軽量、コンパクトな電動パーキングブレーキの開発に取り組み、既存の製品ではカバーできないニーズの取り込みが可能な独自製品の商品化を目指しております。電動サービスブレーキについては競合他社に先行した市場投入を図るべく開発を進めております。これからの自動運転開発の加速も見据え、応答性の速さ、コントロール性の良さ、小型・軽量化を重点課題として電動化開発の推進を図っております。

また、ブレーキの基本構造から新たに開発した新構造ブレーキ開発も進めております。従来製品に対して、見栄えを向上させ、大幅な軽量化も狙っており、xEVへのシフトに対応した製品として開発を進めてまいります。

摩擦材開発については銅フリー摩擦材のシェア拡大に向けた取り組みとともに積極的な持続可能資源の活用のもと、欧州にて具体的な規制が示されたブレーキ摩耗粉排出の抑制、xEVへのシフトで着眼されている回生ブレーキとの協調、さらには原材料や製造プロセスを抜本的に見直し製造過程でのCO発生量を従来比で50%削減できるブレーキパッド開発を含め、今後の市場の変化に対応した次世代摩擦材の開発を推進しております。

これらに加えて、これまで当社が培ってきた技術をベースに、コンピュータシミュレーションを活用した技術開発の強化を図っております。これにより、品質向上と同時に開発リードタイムの短縮も可能となり、お客様へタイムリーに新製品を提案することで、多くのビジネスチャンスを得ることが可能となります。

当社はこのような将来の環境対応を軸として、お客様ニーズに沿った開発を進めることで、新技術、新製品で他社に先行されるというリスクを抑制しながら社会貢献を図ってまいります。

 

2) 生産技術・設備に関するリスク

当社グループは、事業再生計画に基づく生産拠点の再編を実施しており、その基盤となっているのは最適生産への取り組みです。余剰設備の有効活用、工場間及び工場内での寄せ止め、生産設備の稼働率向上を進めており、国内は専門工場化しております。その結果として、地震、台風、洪水等の自然災害や大規模な火災・爆発などの事故等により建屋や設備の損壊が発生した場合、生産補完ができないため、顧客への製品供給に遅延や不能が生じることで当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

国内での補完はできなくとも海外工場との補完は以下のように可能となっております。補完関係にある工場が海外にあることによってリードタイムが長くなることについては、事業継続マネジメント(BCM)の危機発生時の対応として必要な措置を実行します。

 

海外補完体制

製品・主要部品

国内生産工場

海外生産工場

ディスクブレーキ

岩槻製造(埼玉県)

エリザベスタウン(米国)、メキシコ、
広州(中国)、チョンブリ(タイ)、インドネシア

ドラムブレーキ

山陽製造(岡山県)

インドネシア

ブレーキパッド

山形製造(山形県)

グラスゴー(米国)、蘇州(中国)、
チョンブリ(タイ)、インドネシア

ブレーキライニング

福島製造(福島県)

インドネシア

鋳物部品

館林鋳造所(群馬県)

ラチャブリ(タイ)

ピストン

岩槻製造

チョンブリ(タイ)、インドネシア

 

 

3) 品質に関するリスク

当社グループでは、安全・安心を支える上で品質は最も重要であると考え、常に、より高度な品質保証体制の構築を目指しております。自工程での品質保証、過去の不具合に学び失敗を繰り返さないなどの活動の浸透を進め、万全の体制をもって製品の生産に努めております。但し、当社グループの製品は直接安全に関わる製品であり、万が一、製品の欠陥等が発生し、お客様への流出が防止できなかった場合、多大な費用の発生と社会的信用の低下により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)対処すべき課題」に記載のとおり、当社国内生産子会社が製造する一部製品の定期検査報告における不適切な行為について、再発防止策を着実に実行することにより、信頼の回復に全力で取り組んでおります。

 

4) 災害等に関するリスク

当社グループは、国内外に多くの拠点を有しており、地震、台風、洪水等の自然災害や、今般の新型コロナウイルス感染症のパンデミック、大規模火災や爆発のように操業を停止せざるを得ないような事態に備え、事業継続マネジメント(BCM)を行っています。

しかしながら、想定を超える規模の自然災害や疫病、大規模な火災・爆発などの事故が発生した場合、人的資源への影響、建屋や設備の損壊、ライフラインや情報インフラの寸断などにより生産活動が困難となり、顧客への製品供給に遅延や不能が生じることで当社グループの財政状態や業績、ひいては事業の継続に悪影響を及ぼす可能性があります。

その対応策として当社グループでは、危機管理マニュアルの整備、従業員の安否確認方法の整備、BCMの啓蒙活動とこれらに基づいた防災訓練、さらに、災害の未然防止や早期復旧を目的とした建屋の耐震補強、生産設備の転倒防止などを、安全・BCM推進部署として独立した組織で毎年チェックと評価、改善を行っています。

危機が発生した場合は、安全・BCM推進部署が中心となって関係する国内外の拠点を網羅して速やかに対策本部を立上げ、必要な措置を実行しております。

 

5) 原材料等の調達に関するリスク

当社グループは多数の外部取引先から原材料・鋼材・部品等を調達しておりますが、市況変化による価格の高騰や品不足、取引先が製造した製品の欠陥、経営状態の悪化、不慮の事故、自然災害等に伴う原材料・鋼材・部品等の供給停滞によって、当社グループの製造コストの上昇、生産遅延・停止が起こり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、市場における電動化の促進に伴い、より高度で複雑な技術を利用する部品の取引が増えることによるサプライチェーンの複雑化や製造コストの上昇などによって当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

自然災害(地震、豪雨浸水など)や事故(火災、爆発など)による事業継続性への影響を考慮したサプライチェーンにおける適正な在庫量の再検証や、サプライヤーマップの作成など有事発生による供給影響度の確認プロセスの迅速化に取り組んでまいります。

 

6) コンプライアンスに関するリスク

当社グループでは、様々なコンプライアンス活動を通じてコンプライアンス上のリスクの回避を図っておりますが、法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合には、法令による処罰や訴訟の提起、損害賠償請求、ステークホルダーからの信頼低下などにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

その対応策として、当社グループでは、akebonoグローバル行動規範、akebonoグローバル行動基準やコンプライアンス規定等の整備によりコンプライアンス推進体制を構築するとともに、各事業部門・製造拠点が自ら施策を立案し、コンプライアンス委員会において承認されたそれぞれの年間活動計画に沿ってコンプライアンス活動を推進することを中心に、ハラスメントや長時間労働防止のための労務研修、下請法違反防止・インサイダー取引防止を目的とした各種研修を行うなど、社員のコンプライアンス意識向上のための各種施策を実施しております。

 

また、内部通報制度として社外相談窓口と社内相談窓口を設置しており、それぞれの窓口に寄せられた相談については、適宜必要な調査を実施し、適切に対応しております。外部相談窓口への相談については、対応部署のみならず全ての取締役が受領することとしており、その対応と進捗については毎月取締役会に報告しております。

なお、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 対処すべき課題」に記載の当社国内生産子会社が製造する一部製品の定期検査報告における不適切な行為については、再発防止策の一つとしてコンプライアンス研修を実施済ではありますが、今後も実効性を高めるための改善を図りながら継続して実施してまいります。

 

7) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループでは製品開発や製造、経営等に関わる機密情報や個人情報等の重要情報を保有しており、サイバー攻撃や情報機器の盗難・紛失、社内における誤操作・管理ミス等によりこれら重要情報が漏洩するリスクがあります。

これらの情報が漏洩した場合、会社の信用失墜、損害賠償・法的罰則・競争力低下等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、情報セキュリティに関しての最高意思決定機関としてISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)委員会を設置し、その配下に各業務部門・製造拠点責任者及び担当者を配置し、情報システム管理部署と連携し、海外子会社とも連携して、漏洩防止等の情報管理徹底に努めております。

平時は、ネットワーク・サーバー等の物理的防御に加え、外部専門家による常時セキュリティ監視をグローバルで行うと同時に、人に対する情報セキュリティレベルの向上を行うために教育・訓練・啓発活動を行っています。

また有事の際は、ISMS委員会、各業務部門・製造拠点責任者及び担当者が情報システム管理部署と連携し、初動から封じ込め、対策までを短時間で行えるよう有事フローを作成し備えています。

昨今、新型コロナウイルス感染症の蔓延は収束しつつあるものの、その対策として開始されたテレワーク・在宅勤務は働き方の一つとしても定着しております。これに対応するため、ソフト面ではテレワーク・在宅勤務時のガイドライン等による啓発活動を実施すると同時に、ハード面では外部からの不正アクセスを防止するための暗号化通信の必須化、セキュアなネットワーク環境の提供、会社貸与デバイス以外でのネットワークアクセスの制限等により、リスクの低減を図っております。

 

8) 環境に関するリスク

当社グループでは、持続可能な開発目標(SDGs)の推進に向けて様々な環境対策を進めておりますが、環境問題への対応の遅れや適応が難しい場合、当社グループへの社会的信頼が損なわれる可能性も想定され、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、地球環境保全の見地から環境問題への対応は企業としての重要な社会的責任であると考えており、SDGsの推進に向けて、環境に配慮した製品の開発、生産設備の改善、CO排出量削減を始めとして様々な環境対策を進めております。

また、気候変動を含む環境に関わる課題はサステナビリティ経営推進のための重要なテーマと捉えており、カーボンニュートラルに向けた中長期目標を設定、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報を開示し、将来を見据えた取り組みを進めております。環境に関わる課題はサステナビリティ委員会にて取り組み方針・施策を策定し、事業に重要な影響を及ぼすと判断されたテーマについては、経営会議で検討の上、取締役会へ報告し監督を行っております。

 

(重要なリスク)

9) 為替・金利変動に関するリスク

当社グループの事業は、地域毎に原材料・部品の輸入、製品等の輸出の取引があります。また、当社グループの資産及び負債の一部は外貨建てであり、適宜、為替バランスの監視を行っておりますが、全てのリスクをヘッジすることは難しく、その変動は当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の海外関係会社財務諸表は現地通貨で作成されておりますが、当社グループの連結財務諸表作成時においてこれらの財務諸表は円換算されるため、現地における通貨金額が変わらない場合においても、換算時の為替レートにより円換算後の連結財務諸表上の金額が影響を受けることがあります。また、金利情勢や証券市場の変動が当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

10) 経済状況の変動に関するリスク

当社グループにおける営業収入は、当社グループが製品を生産・販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。当社グループの主要市場において、以下の事象が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・予期しない法律や規制の変更

・戦争、内乱、紛争、暴動、テロ、疾病等による社会的又は経済的混乱

・深刻な景気後退による自動車需要の減少とそれに伴う完成車メーカーの生産計画変更

また、将来の脱炭素社会を目指す各国政府方針や各完成車メーカーの「CASE」への取り組みによる業界の構図の変化等、国内外の競合他社との競争環境の変化により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

11) 人財に関するリスク

当社グループは、人財は経営の基盤と考え様々な人事施策を行っておりますが、若手社員の人財育成・確保ができない場合や、特定のスキルを持ったベテラン社員の流出、適材適所の配置が計画通り進まなかった場合のモチベーション低下や、急速な事業環境の変化に伴う従業員のストレス増大等による休職や退職者が増加した場合、長期的視点から当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの競争力を維持・向上し続けるためには、高度な専門技術に精通した人財、経営のマネジメント能力に優れた人財を採用し、高齢化が進む中で技術を伝承する人財を計画的に育成することが重要であると考えております。特に近年、グローバルな事業活動を一層進めるなかで、それらの環境で活躍できる人財の育成・確保が急務であり、国内外での積極的な採用活動、研修・教育の充実、コア人財の流出防止などの施策を講じています。

 

12) 知的財産に関するリスク

当社グループが事業を遂行する上で必要な技術を、他者に特許出願等されてしまうと、市場における自社事業の自由度が確保できなくなり、その結果、特定の技術、製品又はサービスを提供できなくなる可能性があります。

この対策として、当社グループの発展に寄与できるよう積極的な発明提案の発掘活動を行い特許権等の権利を確保することにより、市場における事業の自由度の確保に努めています。

また、当社グループが事業を遂行するなかで、当社グループの事業が他者の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求を受ける可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

この対策として製品開発時に他者の知的財産権とのクリアランスの調査が義務付けられており、他者の知的財産権を侵害しないことを確認しています。

 

13) 事業構造改革に関するリスク

当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 対処すべき課題」に記載のとおり、全ての拠点・事業部門において、聖域なき構造改革を実行し、事業再生計画の達成を目指しておりますが、構造改革が予定どおりに進捗しない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社とA種種類株主であるジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第弐号投資事業有限責任組合(以下、「JISファンド」といいます。)との間で締結した出資契約において、A種種類株式には、普通株式を対価とする取得請求権が付されており、JISファンドが取得請求権を行使した場合、既存株主の皆様が保有する普通株式について希薄化が生じる可能性があります。

 

なお、上述した将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

当社グループを取り巻く事業環境は、半導体不足の影響は地域ごとの差はあるものの段階的に改善傾向にありますが、中国のロックダウンによる部品供給不足などのサプライチェーン問題に起因する完成車メーカーの減産に加え、地政学的リスクの増大などによる原材料価格やエネルギーコストの市況高騰など、依然として不透明な状況が続いております。

このような状況下、当連結会計年度(注)における当社グループの業績は、半導体不足やサプライチェーン問題に起因する完成車メーカーの工場稼働停止により受注が減少しましたが、円安の影響により、売上高は1,540億円(前期比13.6%増)となりました。

利益面では、受注減少による利益の減少を挽回するべく固定費の削減や労務費の適正化などに努めたものの、原材料価格やエネルギーコストの市況高騰が大きく影響し、営業利益は2億円(前期比95.6%減)となりました。経常利益は、為替相場の変動により当社が保有する海外子会社への外貨建ての貸付金に対して発生した為替差益などにより23億円(前期比62.8%減)となりました。

特別損益については、フランスにおける閉鎖した拠点の資産売却による固定資産売却益や、国内生産拠点における早期退職措置の実施に伴う事業構造改善費用を計上しました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は10億円(前期比76.9%減)となりました。

 

(単位:億円)

 

前期

当期

増減

増減率

売上高

1,355

1,540

185

13.6%

営業利益

42

2

△41

△95.6%

経常利益

61

23

△38

△62.8%

税金等調整前当期純利益

56

26

△30

△53.2%

親会社株主に帰属する当期純利益

42

10

△32

△76.9%

 

 

地域セグメントごとの業績は次のとおりです。

(単位:億円)

 

売上高

営業利益

前期

当期

増減

増減率

前期

当期

増減

増減率

日本

650

672

22

3.3%

43

18

△25

△57.5%

北米

327

419

92

28.1%

△26

△37

△11

-%

欧州

128

132

4

2.8%

△3

△1

1

-%

中国

121

121

△0

△0.2%

4

△6

△10

-%

タイ

62

68

6

10.0%

6

6

0

6.5%

インドネシア

175

235

60

34.3%

16

20

3

21.2%

連結消去

△109

△107

2

-%

2

2

0

9.4%

連結

1,355

1,540

185

13.6%

42

2

△41

△95.6%

 

 

① 日本

半導体不足の継続に加え、中国のロックダウンによる部品供給の停滞があったものの、原材料価格やエネルギーコストの市況高騰影響の一部を販売価格に転嫁したことや一部完成車メーカーの受注回復傾向により、売上高は672億円(前期比3.3%増)となりました。

利益面では、上記販売価格への転嫁や、材料スクラップ率改善や生産性向上などの合理化による利益の確保に努めたものの、市況高騰の影響が想定以上に大きく、営業利益は18億円(前期比57.5%減)となりました。

 

 

② 北米

半導体不足による完成車メーカーの減産影響の継続があった一方で、円安影響や補修品ビジネス市場における摩擦材製品の交換需要増加に加え、原材料価格やエネルギーコストの市況高騰影響の一部を販売価格に転嫁したことにより、売上高は419億円(前期比28.1%増)となりました。

利益面では、補修品ビジネスの受注増加や販売価格への転嫁に加え、人員の適正化などの合理化や経費削減に努めたものの、市況高騰の影響が大きく、営業損失は37億円(前期は営業損失26億円)となりました。

 

③ 欧州

フランスのアラス工場を6月末に閉鎖したことにより受注は減少しましたが、スロバキア工場では半導体不足の影響が改善傾向にあることに加え、円安の影響もあり売上高は132億円(前期比2.8%増)となりました。

利益面では、原材料価格やエネルギーコストの市況高騰の影響があったものの、スロバキア工場の受注増加や生産性向上などの合理化に努めたことにより営業損失は1億円(前期は営業損失3億円)となりました。

 

④ 中国

中国国内市場の自動車生産台数や販売は回復基調にあるものの、ロックダウンや半導体不足などの影響により主要な日系完成車メーカーを中心に受注が減少したことにより売上高は121億円(前期比0.2%減)となりました。

利益面では、生産性向上などの合理化に努めたものの、受注減少による利益の減少に加え原材料価格やエネルギーコストの市況高騰が影響し、営業損失は6億円(前期は営業利益4億円)となりました。

 

⑤ タイ

日系完成車メーカーのモデルチェンジによる生産終了や、半導体不足による完成車メーカーの減産影響があったものの、主力製品の受注回復や円安の影響があり、売上高は68億円(前期比10.0%増)となりました。

利益面では、原材料価格やエネルギーコストの市況高騰影響があったものの、材料スクラップ率改善や生産性向上などの合理化に努め、営業利益は6億円(前期比6.5%増)となりました。

 

⑥ インドネシア

半導体不足の影響が改善傾向にあり、小型乗用車用製品の受注が好調なことから、売上高は235億円(前期比34.3%増)となりました。

利益面では、原材料価格などの市況高騰や前期に発生したインドネシア工場火災によるエキストラ費用の発生があったものの、受注の増加により、営業利益は20億円(前期比21.2%増)となりました。

 

(注)当連結会計年度とは

(1) 北米・中国・タイ・インドネシア:2022年1月~2022年12月

(2) 日本・欧州                    :2022年4月~2023年3月 となります。

 

 

(2) 財政状態

当期末の総資産は、前期末比16億円増加1,413億円となりました。

(単位:億円)

(資産の部)

前期末

当期末

前期末比

(負債・純資産の部)

前期末

当期末

前期末比

流動資産

749

739

△10

流動負債

318

329

11

現金及び預金

303

255

△48

仕入債務

176

205

29

売上債権

250

285

35

有利子負債

10

14

4

棚卸資産

167

177

10

その他

131

110

△21

その他

29

22

△7

固定負債

590

581

△9

固定資産

648

674

26

有利子負債

482

482

1

有形固定資産

466

494

28

その他

109

99

△10

投資有価証券

77

66

△12

負債合計

908

910

2

その他

105

115

10

純資産

489

503

14

総資産

1,397

1,413

16

負債・純資産

1,397

1,413

16

 

 

 (3) キャッシュ・フローの状況

当期末の現金及び現金同等物は、前期末比48億円減少255億円となりました。

(単位:億円)

 

前期

当期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

55

46

△8

投資活動によるキャッシュ・フロー

△22

△64

△42

 

 

 

(フリー・キャッシュ・フロー)

32

△18

△50

財務活動によるキャッシュ・フロー

△11

△17

△6

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

主な要因として、税金等調整前当期純利益26億円減価償却費63億円があった一方で、売上債権の増加額△22億円事業再編による支出△9億円などがあり、資金が増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

主な要因として、フランスにおける閉鎖した拠点の資産売却などにより有形及び無形固定資産の売却による収入11億円があった一方で、日本・北米・中国を中心とした設備投資により有形及び無形固定資産の取得による支出75億円などがあり、資金が減少となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

主な要因として、長期借入金の返済による支出9億円ファイナンス・リース債務の返済による支出4億円及び非支配株主への配当金の支払額4億円などにより、資金が減少となりました。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

60,165

3.3

北米

40,250

27.8

欧州

12,854

△2.0

中国

11,437

△3.5

タイ

6,207

11.0

インドネシア

22,776

35.8

合計

153,689

12.1

 

(注) 金額は、販売価格によるものであります。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

60,686

5.9

5,248

8.1

北米

41,313

31.8

1,870

65.7

欧州

13,098

9.3

1,197

34.6

中国

10,979

△5.0

700

△28.2

タイ

6,257

11.4

537

5.5

インドネシア

23,183

36.8

2,026

19.9

合計

155,516

15.4

11,578

15.3

 

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

60,292

4.2

北米

40,571

29.4

欧州

12,791

3.2

中国

11,254

△3.6

タイ

6,229

10.1

インドネシア

22,847

38.0

合計

153,984

13.6

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものでありますが、予測しえない経済状況の変化等、様々な要因があるため、その結果について、当社が保証するものではありません。

 

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度は、売上高は1,540億円対前期比185億円(+13.6%)の増加となりました。北米における円安の影響、補修品ビジネス市場における摩擦材製品の交換需要増加に加え市況高騰影響の転嫁などにより92億円、インドネシアにおける小型乗用車製品の好調な受注などにより60億円の増収となったことが主な要因です。

売上原価は1,404億円対前期比222億円(+18.8%)の増加となり、販売費及び一般管理費は134億円対前期比3億円(+2.5%)の増加となりました。合理化や経費の削減に努めたものの市況高騰の影響が大きく、営業利益は2億円対前期比41億円(△95.6%)の減益となり、経常利益は23億円対前期比38億円(△62.8%)の減益となりました。

特別損益については、フランスにおける閉鎖した拠点の不動産売却などにより固定資産売却益7億円を計上した一方、日本における生産拠点の早期退職措置などに伴い事業構造改善費用5億円を計上いたしました。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は26億円対前期比30億円(△53.2%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は10億円対前期比32億円(△76.9%)の減益となりました。

 

(3) 財政状態の分析

(単位:億円)

(資産の部)

前期末

当期末

前期末比

(負債・純資産の部)

前期末

当期末

前期末比

流動資産

749

739

△10

流動負債

318

329

11

現金及び預金

303

255

△48

仕入債務

176

205

29

売上債権

250

285

35

有利子負債

10

14

4

棚卸資産

167

177

10

その他

131

110

△21

その他

29

22

△7

固定負債

590

581

△9

固定資産

648

674

26

有利子負債

482

482

1

有形固定資産

466

494

28

その他

109

99

△10

投資有価証券

77

66

△12

負債合計

908

910

2

その他

105

115

10

純資産

489

503

14

総資産

1,397

1,413

16

負債・純資産

1,397

1,413

16

 

 

 

(資産)

当期末の資産は1,413億円と前期末比16億円の増加となりました。

流動資産は739億円と前期末比10億円の減少となりました。これは主に、設備投資などにより現預金が48億円減少した一方で、円安の影響や受注の回復などにより売上債権が35億円増加したことによるものです。固定資産は674億円と前期末比26億円の増加となりました。これは主に、減価償却費を計上した一方で設備投資及び円安の影響により有形固定資産が28億円増加したことによるものです。

(負債)

当期末の負債は910億円と前期末比2億円の増加となりました。これは主に、円安の影響や受注の回復などにより仕入債務が29億円増加した一方で、事業再編による支出に伴い未払費用が12億円、支払いにより設備関係支払手形が8億円、それぞれ減少したことによるものです。なお、有利子負債残高496億円から「現金及び預金」を控除したネット有利子負債残高は241億円であります。

(純資産)

当期末の純資産は503億円と前期末比14億円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が10億円増加したことや円安の影響により為替換算調整勘定が7億円増加したことによるものです。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を資金調達の基本としております。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は496億円、現金及び現金同等物の残高は255億円となっております。有利子負債残高から「現金及び預金」を控除したネット有利子負債残高は241億円と前期末と比べ53億円増加しました。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2022年6月16日開催の取締役会において、中国における当社連結子会社である広州曙光制動器有限公司及び曙光制動器(蘇州)有限公司について、伊藤忠商事株式会社及び伊藤忠商事(香港)有限公司との合弁契約を解消し、あらたに富士和機械工業(昆山)有限公司と合弁契約を締結することについて決議を行い、同日付けで合弁契約を締結いたしました。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは、コア技術である音・振動解析技術を活かし、自動車のみならず、あらゆる交通機関、産業機械の各種ブレーキ製品を担う摩擦材・ブレーキの開発を進めております。また製品開発を支える基礎技術、解析の深化を重点的に行うため、社会潮流、市場動向、競合他社など動向をグローバルに見据え、研究開発への投資と開発体制の充実を図っております。

開発戦略としては、音・振動に対する知見をさらに深化させ、カーボンニュートラルを見据えたブレーキ低引き摺り化・軽量化・グリーン材料化、摩耗粉抑制などの環境対応技術開発、電動ブレーキ開発を始めとした自動運転対応技術開発、高性能車両向けのブレーキ開発を継続し、推進してまいります。これらの開発は日本・米国・欧州・中国・タイの開発拠点を中心として、地産地消を基本に現地開発、現地調達をさらに促進し、グローバル拠点それぞれの特長を活かしながら、必要な技術を駆使してグローバル競争力を高めた次期製品開発に注力しております。

 

(日本)

ブレーキ摩擦材開発については、カーボンニュートラルを見据えた環境対応技術開発を軸に取り組みを進めております。グローバルなニーズ及び米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された銅に関する環境規制に対応する銅フリー摩擦材開発を中心に、高性能で音・振動特性に優れ、かつ昨今欧州にて具体的な規制が示されたブレーキ摩耗粉排出の抑制に挑戦しながら、製造工程でのCO排出量を大幅に削減できる製品の開発を進めております。同時に、低コスト化についても、性能や環境へ配慮しながら開発を進めております。また、xEV車のブレーキ特性にあわせた摩擦材の開発を進めております。

ディスクブレーキの開発においても、高性能車両向け、環境対応、EV(電気自動車)化/自動運転への対応、さらには新構造ブレーキの開発取り組みを軸に開発に注力しております。

高性能車両向けアルミ合金製対向型ブレーキにおいては、F1を始めレース活動で培ったブレーキ開発技術を盛り込み、製品化を実現しております。コスト競争力を向上させつつ、新規開発へのリソースの配分を確保する事によって、差別化製品を提供してまいります。

環境に配慮した製品開発に対しても、車の燃費・電費向上の観点から革新的な軽量化と引き摺り低減に取り組んでおります。自動運転に対応するための電動化技術として、パーキングブレーキ機能を電動化した電動パーキングブレーキ製品及びサービスブレーキ機能も電動化した電動サービスブレーキ製品の技術開発を進めております。

ブレーキの基本構造を新たに開発した新構造ブレーキ開発も進めております。従来製品に対して、見映えを向上させ、大幅な軽量化も狙っております。この開発を軸に低燃費車やEVへのシフトに対応してまいります。

また、グローバルでの供給をさらに強化させるため、技術面とコスト面のベンチマークを徹底して行い、使用地域の独自性や使用状況に応じた製品づくりへの技術開発を進めております。

環境問題に対応できる摩擦材原材料の開発、これによる摩擦材の機能向上、ブレーキの鳴き、振動抑制に向けた要素技術開発、過去の評価や特性データのAI活用などに取り組んでおります。

今後も中長期を見据えた研究開発に取り組み、他社との差別化、優位性確保を図ってまいります。

 

(北米)

北米完成車メーカー向けはもとより、グローバルなニーズに対応できる製品開発に取り組んでおります。日系完成車メーカー向けにおいても、開発から量産までの現地完結型開発を展開しております。国内開発拠点との緊密な連携により、グローバルでの連携を一段と進めております。米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された環境規制に対応した、乗用車からピックアップトラック用まで高性能で音・振動特性に優れた摩擦材開発を行っております。ブレーキの機構開発に関しては、新構造ブレーキ開発、また昨今、北米市場における成長が著しい新興EVメーカーからの引き合いに対応した電動ブレーキ開発を日本と連携しながら加速させております。

 

(欧州)

ドイツに開発機関(現地法人)を置き、よりお客様に密接したディスクブレーキ適用開発を進めております。特に高性能車両向けアルミ合金製対向型ブレーキにおいて、F1を始めレース活動で培ったブレーキ開発技術を盛り込み、製品化を加速させております。高性能車両向け摩擦材の研究開発活動についても、日本と連携しながら更なる展開を進めております。

 

(中国)

特に中国にてシェアの拡大が急速に進んでいる新興EVメーカー向けの製品を提供するため、現地のお客様の声を反映させた製品の開発と、それに並行して特にご要望の多い開発期間の半減を目指した開発プロセスの構築を日本と連携しながら進めております。摩擦材においては、部品・原材料の現地調達化と現地の環境に適したつくり方により、中国市場で通用する性能特性を有する製品開発を行っております。ディスクブレーキにおいては、中国においてシェア拡大が著しい高級高性能EVのニーズに合致した、意匠性の高さも盛り込み付加価値の高いアルミ合金製対向型キャリパーの開発と提案を行っております。開発期間の短縮ニーズに対しては、日本と連携したシミュレーション技術・バーチャル技術の活用により試作・評価の点数を削減し、かつ手戻りの少ない効率的な開発プロセスの構築を目指しています。

 

(タイ)

タイのブレーキ開発拠点を軸に、成長著しいASEAN諸国のニーズを的確につかむためのブレーキ評価を基軸とした開発活動を推進してまいります。

 

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,408百万円であり、この他に日常的な改良に伴って発生した研究開発関連の費用は3,809百万円であります。