第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の経済情勢は、日本は緩やかな回復基調が続きましたものの、年明けから円高が急速に進むなど不透明感が強まりました。海外は新興国の一部で成長鈍化が見られましたが、総じて堅調に推移しました。

このような情勢のなかで、当社グループは、主力製品の商品力・システム開発力強化をはかるとともに、成長地域を主体としたグローバルでの事業拡大、次世代動力源に向けた新技術・新製品の開発に取り組んでまいりました。

「商品力・システム開発力強化」につきましては、米国で新たに導入される世界で最も厳しい環境規制に対応した新型キャニスタを開発いたしました。

「グローバル事業拡大」につきましては、米州における供給体制拡充のため、メキシコに設立した「アイサン オートパーツ メキシコ株式会社」において、エンジンバルブ・スロットルボデーなどの量産を開始いたしました。

「新技術・新製品開発」につきましては、研究開発体制をさらに強化するため、愛知県豊田市に「広瀬テクニカルセンター」を竣工し、来春の稼働をめざして準備を進めております。同センターでは当面、主力の燃料ポンプなど燃料系製品の開発・評価を主体に行いますが、次世代車向けの製品も含め、開発領域の拡大を検討しています。

当連結会計年度の業績といたしましては、売上高は2,153億6千万円と前期に比べて1.3%の増収となりました。利益につきましては、営業利益は98億5千4百万円と前期に比べて8.7%の減益となり、経常利益は93億4千9百万円と17.4%の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は62億8百万円と8.1%の減益となりました。

 

地域別の業績は次のとおりであります。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。 
  また、当連結会計年度より、報告セグメントを「北米」から「米州」に名称変更しております。    

[日本]売上高は1,082億4千5百万円(前期比11.1%減)となり、営業利益は32億2千8百万円(前期比33.8%減)となりました。

[アジア]売上高は736億6千3百万円(前期比13.2%増)となり、営業利益は58億5千8百万円(前期比33.5%増)となりました。

[米州] 売上高は392億6千4百万円(前期比14.7%増)となり、営業利益は1億6千5百万円(前期比82.1%減)となりました。

[欧州]売上高は138億9千6百万円(前期比4.6%増)となり、営業利益は9億2千6百万円(前期比18.5%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は348億1千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ92億4千6百万円増加いたしました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、241億3千2百万円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上および減価償却費によるもので、前年同期に比べ103億6千万円の収入増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、134億4千1百万円の支出となりました。これは主に設備投資によるもので、前年同期に比べ45億9千3百万円の支出減少となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、15億8千5百万円の支出となりました。これは主に短期借入および配当金の支払によるもので、前年同期に比べ54億7百万円支出増加となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

76,467

88.0

アジア

61,035

114.1

米州

36,631

117.3

欧州

11,444

106.9

合計

185,579

101.8

 

(注) 1  金額は製造原価によっており、セグメント間内部振替後の数値によっております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社グループは、トヨタ自動車株式会社はじめ各納入先よりおおむね四半期ごとの生産計画の提示をうけ、当社グループの生産能力を勘案して、これにより生産計画をたてております。なお、主たる受注先は、トヨタ自動車株式会社で約50%を占めております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

90,136

88.9

アジア

72,306

113.0

米州

39,113

114.7

欧州

13,805

104.5

合計

215,360

101.3

 

(注) 1  セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2  主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

107,412

50.5

108,389

50.3

 

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社グループは昨年策定した新たな中期経営計画のもと、全社一丸となって、次の重点課題に取り組みます。

 

(1) 商品開発の強化

車の燃料系・吸排気系分野において、市場動向や技術トレンドを的確に捉え、コア商品の競争力を高めるとともに、周辺部品を含めたサブシステム製品を開発し、エンジンの熱効率向上に貢献します。また、車の電動化の動きも踏まえ、ガス燃料技術などの強みを活かし、燃料電池車(FCV) など次世代車に向けて、製品開発を強化します。

(2) ものづくり進化

成長のために必要な投資は継続する一方、より投資効率を上げるため、既存の生産設備を最大限活用しつつ、品質と生産性を両立する革新的な生産ラインの導入や新工法の開発を進めます。また、米州など成長地域を主体に引続き事業を拡大するとともに、自動車メーカーの生産変動にフレキシブルに対応できるよう、生産性の向上とグローバルでの最適生産を追求します。

(3) 経営基盤の強化

お客様から信頼いただける品質の確保はもとより、収益体質向上のための構造改革、各分野における高い知見と技術・技能を兼ね備えた「専門職」の育成など経営基盤の強化に継続して取り組みます。

これらの活動を通じて、当社グループは、世界のお客様に感動いただける商品・サービスを提供できる企業を目指して努力する所存です。

 

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績および株価などに影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1) 経済状況

当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車部品の需要は当社グループが製品を販売している国または地域の自動車生産台数に影響を受けます。

従って、日本、アジアおよび米州等の当社グループの市場における景気後退、およびそれに伴う自動車生産台数の減少は当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 為替レートの変動

当社グループの事業には、世界の各地域における製品の生産・販売が含まれております。一般に現地通貨に対する円高は当社グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。為替レートの大幅な変動は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料や部品の価格

当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品を複数の供給元から調達しております。これらの供給元とは取引基本契約を締結し、安定的な取引を行っておりますが、市況の変化による価格の高騰や品不足が生じないという保証はありません。その場合、当社グループの製造原価の上昇を招き、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 新製品開発

当社グループはお客様が期待される以上の品質・性能・コストの実現、安全・環境を配慮し、あらゆる動力源に対応したシステム・製品の開発を行い、エンジン制御分野での世界トップメーカーをめざしております。

当社グループは今後も継続して魅力ある製品を開発できると考えておりますが、当社グループが属する自動車部品業界の技術的な進歩をはじめとする急速な変化に対応できない場合、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) 価格競争

自動車部品業界における価格競争は大変厳しいものとなっており、販売している各製品が各地域においてさらに厳しい価格競争に直面することが予想されます。このような価格競争に対処すべく、生産性向上などの合理化活動や最適調達などによりコスト低減を図っておりますが、全世界の競合他社との価格競争に打ち勝てない場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6) 特定の取引先への依存

当社グループの主要な販売先として、その他の関係会社であるトヨタ自動車株式会社があります。当連結会計年度における当社グループの売上高の5割程度はトヨタ自動車株式会社向けであり、同社の販売動向は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 国際活動および海外進出に潜在するリスク

当社グループは、様々な国で製品の生産と販売を行っております。その国々における予期しない政治的要因、テロ、戦争などの社会的混乱、経済状況の変化に加え、ストライキによる操業の中断などは、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 製品の欠陥

当社グループは、世界のお客様に「安心」「信頼」される品質を実現するため、設計から生産、販売をはじめ、あらゆる工程で品質の造り込みに全力をあげて活動しております。しかしすべての製品に欠陥がなく、将来においてリコール等が発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については万一に備え保険に加入していますが、この保険が、最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコール等や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストを要するとともに、当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(9) 災害や停電等による影響

当社グループは、製造ラインの中断やサプライチェーンの分断による影響を最小化するために、定期的な災害防止検査と点検を行っております。しかしサプライチェーンを含めた生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。従って大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。

(10) 退職給付債務

当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等の数理計算上の前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。従って、実際の結果が前提条件と異なった場合、または前提条件が変更された場合は、将来の期間に認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。

(11) 訴訟および法的手続

当社グループは、ビジネス活動において、継続的な法令遵守に努めています。それにも関わらず、様々な訴訟および規制当局による法的手続の当事者となる可能性があり、その場合には当社グループの業績および財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

また、当社グループは、他社製品との差別化をはかるために、独自の技術ノウハウの蓄積と知的財産の保護に努めておりますが、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、第三者の知的財産権を侵害しているとして、訴訟の当事者となる可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

 当社グループは、地球環境にやさしく省エネルギーで世界の人たちに安全にご利用いただけるクルマの創造に貢献できる企業集団を目指して技術開発を進めております。自動車の燃料系・吸排気系製品の専門メーカーとして、低燃費、排出ガス低減、さらには性能向上、安全性・快適性に応えられる製品の開発を強化しております。

 その中でも、低燃費に関しては消費電力低減による燃費向上を、排出ガス低減に関しては北米エバポ規制強化に対応した製品を、その他製品についても性能・信頼性の更なる向上に取り組んでまいりました。 

 成果として、低燃費に関しては、従来と比較し約5W消費電力を低減した燃料ポンプを量産化しました。この燃料ポンプは、エンジンのアイドリングストップ化による多頻度作動にも対応出来るよう寿命向上も行っています。排出ガス低減に関しては、北米LEVⅢ規制に対応したキャニスタを量産化しました。このキャニスタは、将来の中国での規制強化にも対応可能です。その他にも、ホールICの採用により、接点レス化および無段階出力を実現させ、製品寿命および検出精度を大幅に向上させた燃料センダゲージを量産化しました。

 当社グループ全体の研究開発費は、日本において99億6千9百万円、アジアにおいて8億8千5百万円、総額で108億5千4百万円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国で一般に公正妥当と認められている会計基準に従って作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債の金額および報告期間における収益・費用の金額に影響する見積り、判断および仮定を使用する必要があります。当社グループの会計方針のうち、見積り等の重要性が高いものを以下に挙げております。

 

①  製品保証引当金

当社グループは、製品の品質保証費用の支出に充てるため、納入先とのクレーム補償契約に基づくクレームは過去の実績を基礎にして当連結会計年度売上高に対応する発生見込額を繰り入れ、当連結会計年度保証期間経過対応分を取崩しており、そのほか臨時多額に発生したクレームに対応するため、その支出見込額を繰り入れ、支出額を取崩しております。この計算は見積りによるものであり、本質的に不確実性を内包しております。従って、実際のクレーム費は見積りと異なることがあり、製品保証引当金の積み増しの必要性が生じる可能性があります。

 

②  退職給付費用

退職給付費用および債務の計算は、その計算の際に使われた仮定により異なります。これらの仮定には、割引率、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率などの要因が含まれております。これらの仮定と実際の結果との差額は発生した連結会計年度に債務認識しております。当社は使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により、当社グループの退職給付費用および債務に影響を与える可能性があります。

 

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

売上高は、前連結会計年度に比べ26億8千4百万円増収の2,153億6千万円となりました。これは主にフューエルポンプモジュール、スロットルボデーが増加していることによるものであります。

また、海外売上高はアジア、米州地域が増加したため、116億3千6百万円増加し、1,283億1千7百万円となりました。

セグメントの売上高は、日本ではEGRバルブ、インジェクタの減少により1,082億4千5百万円(前期比134億9千4百万円減、11.1%減)となりました。

アジアはフューエルポンプモジュール、スロットルボデーの増加により736億6千3百万円(前期比86億1百万円増、13.2%増)となりました。

米州はスロットルボデー、キャニスタ、フューエルポンプモジュールの増加により392億6千4百万円(前期比50億4千6百万円増、14.7%増)となりました。

欧州はスロットルボデーの増加により138億9千6百万円(前期比6億9百万円増、4.6%増)となりました。

利益につきましては、為替により売上高が増加したものの数量の減少などにより営業利益は98億5千4百万円と前連結会計年度に比べて8.7%の減益となりました。また、経常利益は93億4千9百万円と前連結会計年度に比べて17.4%の減益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、62億8百万円と前連結会計年度に比べて8.1%の減益となりました。

セグメントの営業利益は、日本は自動車生産の減少による売上高の減少により、営業利益は32億2千8百万円(前期比16億5千万円減、33.8%減)となりました。

アジアは主に自動車生産の増加による売上高の増加により、営業利益は58億5千8百万円(前期比14億6千9百万円増、33.5%増)となりました。

米州は主に為替により売上高が増加したものの、メキシコの新規連結子会社の立ち上げ時の固定費負担により、営業利益は1億6千5百万円(前期比7億5千7百万円減、82.1%減)となりました。

欧州は主に自動車生産の増加により売上高が増加したものの、為替による仕入れコストの増加により、営業利益は9億2千6百万円(前期比2億1千万円減、18.5%減)となりました。

 

(3) 資本の財源および資金の流動性

①  資金需要

当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループ製品の製造のための材料や部品の購入および新製品生産や増産対応等にかかる設備投資によるものであります。

②  財務政策

当社グループは現在、運転資金および設備投資資金については、原則内部資金または借入により資金調達することとしております。借入による資金調達に関しては、運転資金としての短期借入金を各連結子会社が、設備等の長期借入金を当社および各連結子会社が調達しております。また、その一部はグループ内資金の効率化を目的としグループ会社間で融資を行っております。

当社グループは財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当社グループの将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。