(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営の基本的な考え方は、以下のとおりであります。
1. お客様第一の心で商品を創り
2. 知恵と技術で高品質を実現し
3. 人を大切にする明るい職場を築いて
企業の繁栄と豊かな環境作りで社会に貢献する
(2) 中長期的な目標指標
当社グループは、中期的な経営方針として、強固な収益体質と確実な成長を掲げております。安定的成長と持続的収益性を中期的な目標指標として掲げており、2023年度までを計画期間とする中期経営計画では、売上高2,250億円、営業利益率5.5%を目標として設定しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、持続可能(サステナブル)な社会の実現に事業活動を通して貢献していくことをめざし、「VISION2030」を掲げています。企業グループのめざす姿の実現に向けた活動に全力で取り組んでまいります。
・ビジョン:「この手で笑顔の未来を」
・めざす姿:「確かな技術と品質で 豊かな社会へ新たな価値を創造」
「今をもっと快適に」
「未来の子どもたちに安心と笑顔を」
(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
①基幹製品事業の収益体質強化
基幹製品事業を中期的安定収益基盤とするため、さらなる競争力強化として「MMK活動(もっと ものづくり 強化)」と「バリューチェーン活動」をグローバルに展開し、さらに高い競争力とCO2低減を両立させる次期型ダントツ製品への切替を進め、市場競争力強化を図ってまいります。
また、燃料ポンプモジュールの事業譲受については、既存事業との融合を図り、技術、生産のシナジー効果を引き出し、競争力・商品力を上げ、収益基盤を拡大させてまいります。
②電動化製品開発の加速
カーボンニュートラルへ向けた潮流と車の電動化の中で、パワートレインはHEV、PHEV、FCEV、BEVなど多様化が進行しており、当社はパワートレインを支える専門メーカーとして、あらゆる動力源に全方位に取り組んでまいります。その中でも電動化製品事業を重点取り組みとして位置づけ、変革を進めてまいります。
具体的には、創業以来培ってきたものづくり力、エンジンシステム開発力および適合技術を生かし、電動化動力源のシステムメーカーの足掛かりとなる電池、電源系の製品開発を加速させてまいります。
③経営基盤の強化
カーボンニュートラルへの取り組みを本格化していくため、組織体系の変更・強化を図り、取り組みを加速させるとともに、DX、ダイバーシティ&インクルージョン等による働き方改革を推し進めることで経営基盤を強化し、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の流行やサイバー攻撃の脅威増加などの環境変化にあわせてBCP(事業継続計画)への取り組みをより一層強化してまいります。
これらの活動を通じて、当社グループは、世界のお客様に感動いただける商品・サービスを提供できる企業を めざして努力する所存です。
当社グループの財政状態、経営成績、キャッシュ・フローおよび株価などに影響を及ぼす可能性のある主要なリスクとしては、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経済状況
当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車部品の需要は当社グループが製品を販売している国または地域の自動車生産台数に影響を受けます。
従って、日本、アジアおよび米州等の当社グループの市場における景気後退、およびそれに伴う自動車生産台数の減少は当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 為替レートの変動
当社グループの事業には、世界の各地域における製品の生産・販売が含まれております。一般に現地通貨に対する円高は当社グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。為替レートの大幅な変動は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原材料や部品の価格
当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品を複数の供給元から調達しております。これらの供給元とは取引基本契約を締結し、安定的な取引を行っておりますが、市況の変化による価格の高騰や品不足が生じないという保証はありません。その場合、当社グループの製造原価の上昇を招き、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 車の電動化に関する新製品開発
当社グループはお客様が期待される以上の品質・性能・コストの実現、安全・環境を配慮し、あらゆる動力源に対応したシステム・製品の開発を行い、電動化パワートレイン制御分野での世界トップメーカーをめざしております。
当社グループは今後も継続して魅力あるパワートレインシステムや電動化製品を開発できると考えておりますが、当社グループが属する自動車部品業界の電動化の流れの中で、技術的な進歩をはじめとする急速な変化に対応できない場合、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 価格競争
自動車部品業界における価格競争は大変厳しいものとなっており、販売している各製品が各地域においてさらに厳しい価格競争に直面することが予想されます。このような価格競争に対処すべく、生産性向上などの合理化活動や最適調達などによりコスト低減を図っておりますが、全世界の競合他社との価格競争に打ち勝てない場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 特定の取引先への依存
当社グループの主要な販売先として、その他の関係会社であるトヨタ自動車株式会社があります。当連結会計年度における当社グループの売上高の5割程度はトヨタ自動車株式会社向けであり、同社の販売動向は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 国内外グループ経営に潜在するリスク
当社グループは、様々な国で製品の生産と販売を行っております。その国々における予期しない政治的要因、テロ、戦争などの社会的混乱、経済状況の変化に加え、ストライキによる操業の中断などは、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、国内外グループ会社の経営環境の変化により、グループ事業の再編、撤退などを余儀なくされ、財務的な損失を計上せざるを得ないリスクが生じる可能性があります。
(8) 製品の欠陥
当社グループは、世界のお客様に「安心」「信頼」される品質を実現するため、設計から生産、販売をはじめ、あらゆる工程で品質の造り込みに全力をあげて活動しております。しかしすべての製品に欠陥がなく、将来においてリコール等が発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については万が一に備え保険に加入していますが、この保険が、最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコール等や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストを要するとともに、当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 災害や停電、感染症等による影響
当社グループは、製造ラインの中断やサプライチェーンの分断による影響を最小化するために、定期的な災害防止検査と点検を行っております。しかしサプライチェーンを含めた生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。従って大規模な地震、気候変動に伴う自然災害やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。
感染症の影響が長期化した場合、減産や操業停止など、当社グループ全体の事業運営および業績に影響が及ぶ可能性があります。不可抗力に関する影響は防止または軽減できるものではありませんが、対処可能な事項については、最小化できるような対策を講じます。
(10) 退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等の数理計算上の前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。従って、実際の結果が前提条件と異なった場合、または前提条件が変更された場合は、将来の期間に認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 固定資産の減損損失
当社グループが保有する土地・建物等について、時価が著しく下落した場合や事業の損失が継続するような場合には、固定資産の減損損失の計上により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 繰延税金資産
当社グループは、将来減算一時差異および税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得については、経営環境の変化などを踏まえ適宜見直しを行っておりますが、結果として繰延税金資産の全額または一部に回収可能性がないと判断し、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13) 訴訟および法的手続
当社グループは、ビジネス活動において、継続的な法令遵守に努めています。それにも関わらず、様々な訴訟および規制当局による法的手続の当事者となる可能性があり、その場合には当社グループの業績および財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、当社グループは、他社製品との差別化をはかるために、独自の技術ノウハウの蓄積と知的財産の保護に努めておりますが、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、第三者の知的財産権を侵害しているとして、訴訟の当事者となる可能性があります。
(14) 情報セキュリティ
当社グループは、機密情報の保護・管理等のため、情報セキュリティ推進計画に基づき、外部からのサイバー攻撃への対策や従業員への啓発・教育等を実施しております。また、万が一サイバー攻撃等による損害が発生した場合に備え、サイバー保険を付保しております。それにも関わらず、外部からのサイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が起こった場合、その被害の規模により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度の日本および世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種拡大とともに各国経済の復調が続き、全体として緩やかな回復傾向にありました。
自動車業界においても一定の自動車生産台数の回復が見られました。一方で、一部地域での感染症の拡大や半導体供給の不足、物流の混乱、原材料の高騰などにより依然として先行きの不透明感が継続しています。
このような情勢のなか、VISION2030を実現するために基幹製品事業の体質強化、新規事業への取り組み、カーボンニュートラルへの対応など愛三グループの企業価値向上に向けてグループ一丸となって取り組んでまいりました。
「基幹製品事業の体質強化」としましては、従来から継続的に活動しているMMK活動(もっと ものづくり 強化)とバリューチェーン活動の進化を通じて、収益体質を強化することで損益分岐点を改善することができました。
これらの活動を通じ、品質・原価・供給などの分野において優れた成果をあげ、トヨタ自動車株式会社のグローバル展開に多大な貢献をした仕入先に贈られる最高の栄誉であるグローバル貢献賞をいただくことができました。
また、2019年より株式会社デンソーと協議を重ねてまいりました燃料ポンプモジュール事業について、2022年1月17日に事業譲渡契約を締結いたしました。各国・地域での競争法の承認取得等が完了次第、収益基盤の成長につながるよう事業の具体化を行ってまいります。
「新規事業への取り組み」としましては、車の電動化に対応した製品の事業化に向けた取り組みを進めております。具体的には、電動化技術の習得を目的としたハイブリッドドローン開発を通じたパワーコントロールユニット、モーター、電池などのハイブリッドシステム技術習得が完了し、顧客に対して具体的な製品や投入時期などの提案を開始いたしました。
「カーボンニュートラルへの対応」としましては、軽量・コンパクトで燃費や熱効率の向上に貢献し、CO2低減とコストダウンの両立が可能な次期型ダントツ製品は、開発完了し、市場投入の具体的な計画へとステージを進めることができました。
カーボンニュートラルへの取り組みを加速していくための全社機能横断的な推進部署を立ち上げ、自社製造工程にとどまらず製品ライフサイクル全体でのCO2削減を目指し、2030年50%低減(2013年比)を目標として活動を進めてまいります。
このようななか、当連結会計年度の業績としましては、売上高は193,751百万円と前期に比べて6.8%の増収となりました。利益につきましては、営業利益は9,809百万円と前期に比べて97.9%の増益、経常利益は10,255百万円と2.1倍の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は6,831百万円と前期に比べて93.7%の増益となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高が4,745百万円減少しております。
地域別の業績は次のとおりであります。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
[日本]
売上高は、販売量は増加したものの収益認識会計基準等の適用により88,550百万円(前年同期比1.7%減)となりましたが、営業利益は1,838百万円(前年同期比3.0倍)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高が4,745百万円減少しております。
[アジア]
売上高は、販売量の増加により87,851百万円(前年同期比16.3%増)となり、営業利益は6,195百万円(前年同期比2.2倍)となりました。
[米州]
売上高は、販売量の増加により25,439百万円(前年同期比11.7%増)となり、営業利益は1,311百万円(前年同期比12.6%増)となりました。
[欧州]
売上高は、販売量の増加により11,461百万円(前年同期比13.3%増)となり、営業利益は354百万円(前年同期は営業損失22百万円)となりました。
生産、受注および販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は製造原価によっており、セグメント間内部振替後の数値によっております。
当社グループは、トヨタ自動車株式会社はじめ各納入先よりおおむね四半期ごとの生産計画の提示をうけ、当社グループの生産能力を勘案して、これにより生産計画をたてております。なお、主たる受注先は、トヨタ自動車株式会社で約50%を占めております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金の増加などにより前連結会計年度末に比べ12,017百万円増加し、201,936百万円となりました。
負債は、借入金の減少などにより前連結会計年度末に比べ1,098百万円減少し、101,046百万円となりました。
また、純資産は、利益剰余金および為替換算調整勘定の増加などにより前連結会計年度末に比べ13,116百万円増加し、100,889百万円となりました。
地域別の資産は、次のとおりであります。
[日本]
利益剰余金の計上に伴う資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、675百万円増加し、76,649百万円となりました。
[アジア]
設備投資の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、3,392百万円増加し、69,716百万円となりました。
[米州]
設備投資の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、110百万円増加し、19,938百万円となりました。
[欧州]
減価償却費の計上などにより、前連結会計年度末に比べ、151百万円減少し、9,623百万円となりました。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、48,750百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,381百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益および減価償却費により13,544百万円の収入となりました。前年同期に比べ4,217百万円の収入減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得により6,955百万円の支出となりました。前年同期に比べ169百万円の支出増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に返済による借入金の減少および配当金の支払いなどにより4,128百万円の支出となりました。前年同期に比べ2,952百万円の支出増加となりました。
資本の財源および資金の流動性については、下記のとおりとしております。
① 資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループ製品の製造のための材料や部品の購入および新製品生産や増産対応等にかかる設備投資によるものであります。
② 財務政策
当社グループは現在、運転資金については、当社および一部の国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入し、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。また、設備投資資金については、原則内部資金または借入および社債の発行により資金調達することとしております。借入による資金調達に関しては、運転資金としての短期借入金を各連結子会社が、設備等の長期借入金を当社および各連結子会社が調達しております。また、その一部はグループ内資金の効率化を目的としグループ会社間で融資を行っております。
当社グループは財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当社グループの将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。
(事業の譲受および持分取得)
当社と、株式会社デンソーは、パワートレイン事業の競争力強化に向け、株式会社デンソーから当社へ燃料ポンプモジュールの開発・生産・販売の一連の事業を譲渡することを、2022年1月17日開催の取締役会において決議し、事業譲渡契約を締結いたしました。なお、本事業譲受に伴い、当社は、KYOSAN DENSO MANUFACTURING KENTUCKY, LLCの全持分を取得することとなりました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
当社グループは、「豊かなモビリティ社会の実現に向け、技術とものづくりで貢献」をミッションに掲げ、パワートレインシステム制御技術と製品の提案、ならびに新たな社会的価値の創造をめざして新分野・将来製品の研究開発活動を進めています。
今後ますます加速する電動化と、あらゆる動力源の制御で世界に貢献するため、パワートレインシステム開発の強化に取り組んでおり、電動化技術の習得を目的としたハイブリッドドローン開発を通じたパワーコントロールユニット、モーター、電池などのハイブリッドシステム技術習得が完了しました。
これら習得した技術とともに、創業以来培ってきたものづくり力、エンジンシステム開発力および適合技術を生かし、電動化動力源のシステムメーカーの足掛かりとなる電池、電源系等の製品開発を加速させてまいります。
当連結会計年度における研究開発費は、日本で