(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営の基本的な考え方は、以下のとおりであります。
1. お客様第一の心で商品を創り
2. 知恵と技術で高品質を実現し
3. 人を大切にする明るい職場を築いて
企業の繁栄と豊かな環境作りで社会に貢献する
(2) 中長期的な目標指標
当社グループは、中期的な経営方針として、既存事業の競争力強化と更なる成長、新規領域の事業育成を掲げております。安定的成長と持続的収益性を中期的な目標指標として掲げており、2025年度までを計画期間とする中期経営計画では、売上高2,800億円、営業利益率5.0%を目標として設定しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、持続可能(サステナブル)な社会の実現に事業活動を通して貢献していくことをめざし、「VISION2030」を掲げています。企業グループのめざす姿の実現に向けた活動に全力で取り組んでまいります。
・ビジョン:「この手で笑顔の未来を」
・めざす姿:「確かな技術と品質で 豊かな社会へ新たな価値を創造」
「今をもっと快適に」
「未来の子どもたちに安心と笑顔を」
(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
①既存事業の競争力強化と成長
既存事業のパワートレイン製品は事業の柱として、将来の成長投資のために収益性を高め、さらに燃料ポンプモジュールの事業譲受を機会に、競争力をより一層高めて、今後もトップメーカーとして車のパワートレインを支えてまいります。具体的には「MMK(もっと ものづくり 強化)活動」のグローバル展開、革新ものづくり、最適生産体制構築などの取り組みを進めてまいります。
②将来に向けた新規事業の育成
車の電動化や燃料の多様化に向けた新規事業への取り組みとして、電動化製品事業は、固有技術を活かした製品開発と将来に向けた技術基盤構築を進めてまいります。具体的には、プレス・異物管理などの固有技術を活かした電池セルケース/カバーの量産化、将来のシステム開発を目指した小型モビリティ向け電動化製品の開発やソフトウェア人財育成を進めてまいります。
クリーンエネルギー技術活用事業は、既存技術を応用した開発と将来に向けた新技術・新分野での幅広な要素技術開発を進めてまいります。具体的には、合成燃料やバイオ燃料、水素燃料に対応した自動車向け製品の開発に加え、アンモニアを活用した水素発電システムの開発など、自動車以外の領域での取り組みも進めてまいります。
③サステナビリティ経営の推進
事業を通じた社会課題の解決と持続可能な社会の実現に向けて、以下の課題に取り組んでまいります。
環境課題については、カーボンニュートラルの実現に向けてCO2排出量削減に加え、低炭素材料への切り替えやリサイクルなど、ライフサイクルアセスメント視点での活動を進めてまいります。また、気候変動に関する戦略や取り組みなどを開示してまいります。
人財の多様化については、「自律的に学び、考え、果敢に挑戦する」人財が、「認め合い、活かし合い」ながら、「ともに成長し続ける組織」を目指した人的資本経営の取り組みを進めてまいります。また企業の責任として、人権尊重経営の取り組みを進めてまいります。ガバナンス強化については、ステークホルダーから信頼される企業を目指して、コンプライアンスの徹底や公正かつ積極的な情報開示、リスクマネジメントなどの取り組みを進めてまいります。
これらの活動を通じて、当社グループは、世界のお客様に感動いただける商品・サービスを提供できる企業を めざして努力する所存です。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、持続可能な社会の実現に向けてサステナビリティ基本方針を策定するとともに、VISION2030を基に、2050年以降を見据えた長期視点で事業、環境、人財・風土、社会、ガバナンスの5つの観点から当社の取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定しました。

≪ガバナンス≫
取締役社長を議長とするサステナビリティ委員会において、サステナビリティ基本方針に基づき、経営層がESG分野全般の方向性、適正性について、2回/年以上のマネジメントレビューを実施しています。年2回開催するサステナビリティ委員会において、下部委員会から報告を受け、内容を審議しています。これらの審議の結果のうち、重要事項は取締役会や経営審議会・経営会議に報告されています。
≪リスク管理≫
当社グループでは、サステナビリティ委員会において、下部委員会(※)から報告を受けた経営に重要な影響を与えるリスクに対して、総合的な管理を実施しています。下部委員会から報告されてきたリスクは、抽出・分析・評価を行ったうえで優先的対応リスクを選定し、所管部署が中心となってリスク低減に関する各種施策を実施しています。
下部委員会では、各種施策の進捗状況やリスクの最新状況を確認するとともに、サステナビリティ委員会に報告します。サステナビリティ委員会は、報告に基づいてリスク管理に関する指示・監督を行っています。
※ 下部委員会:TCFD委員会、CN委員会、安全衛生委員会、働き方改革委員会、BCP委員会およびガバナンス委員会
≪人材の育成および社内環境整備に関する方針、戦略≫
当社は、『「自律的に学び、考え、果敢に挑戦する」人財が、「認め合い、活かしあい」ながら、ともに成長し続けるチーム・組織をめざす』をスローガンに風土改革、人財変革、多様な人財活躍の3本柱で人財基盤を強化する取り組みを推進しています。
(1) 風土改革
当社では、経営理念の中に「人を大切にする明るい職場を築く」ことを掲げ、従業員1人ひとりが高い志とやりがいを持ち、イキイキと仕事することを通じて個人も会社も成長を実感できる風土づくり、職場づくりに取り組んでいます。
VUCAといわれる環境下において、企業が健全に成長するためには従業員エンゲージメントを向上させることが重要であるとの認識に立ち、2022年10月にサーベイを実施し、組織・従業員の状態を可視化するとともに、専門家を交えて様々な角度から結果分析を実施して全社ならびに各職場単位で延べ21回の報告会を開催し、把握した課題と改善の方向性について共有し議論を重ねてきました。
また、風土改革に向けた取り組みの一環として、若手従業員の問題意識の把握や会社施策への疑問解消を狙いとして、社長と若手従業員の対話会を実施しました。(計5回、延べ30名)。
なお、参加した若手従業員の満足度は100%となっています。
今後は、従業員の想いを聴き、会社施策や職場風土の改善につなげるべく、役員・幹部と従業員の対話会を重点的に実施していきます。
また、コーチング研修の強化や、1on1ミーティングのトライアル導入等、従業員1人ひとりの成長を支えるマネジメントの在り方を管理型から支援型への変革を推進しています。
(2) 人材改革
現在の自動車業界は、CASE、MaaS、カーボンニュートラルへの対応など、変化が速く、大きく、激しい環境にあります。
他方、当社としては既存のパワートレイン製品事業の競争力強化による更なる成長、保有技術と強みを生かした脱炭素に資する新規領域の事業育成の両面に取り組んでいます。
当社が持続的に成長するためには、その屋台骨である人財の育成が重要なテーマの一つであり、とりわけ、イノベーションに挑戦し続ける人づくりに向け、ソフトウェア教育やDX教育、企業内訓練校(愛三学園)での電子テクノロジー講座の開設等、従業員のリスキリング、アップスキリングに対して積極的な投資を開始しています。
今後は、従業員の学びへの支援として、選抜型から自律型への教育体系の全面改訂や、自律的な学びによる成長を支援するためのオンデマンド型学習アプリ、学習管理システムの導入を2023年度中に実施することを計画しています。
また、変革に向けてチャレンジする従業員を適正に評価・育成していくため2020年度から段階的に新人事制度を段階的に導入しています。今後は非管理職の賃金制度の見直しを実施していきます。
(3) 多様な人財活躍
取り巻く環境が激しく、価値観が多様化している現在において、新たな価値を生み出し、社会に貢献していくためには、これまでの意識や働き方を変える必要性があります。
とりわけ、DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)推進は当社の持続的成長に欠かせない経営戦略であるとのダイバーシティ宣言を発出以後、「認め合い、活かし合う」をキーメッセージに、年齢・性別・国籍・障がいの有無・時間的制約の有無に関係なく、多様な価値観を持つ人財が個性や能力を最大限発揮できるフィールドを整備しています。
当社では、外部有識者を招聘したダイバーシティマネジメント講演会、女性の更なる活躍推進に向けた女性リーダー研修会や健康推進セミナー、座談会等を継続的に実施し、DEIの意識醸成に取り組んできました。
こうした活動が評価され、2022年7月には女性の活躍に関する取り組みの実施状況が優秀な企業に与えられる「えるぼし(2つ星)」に認定されました。
また、男性育児休業取得の理解度向上をねらいとしたマネジメント勉強会などの取り組みを継続した結果、2022年度の男性育児休業取得率は74%となり、前年比45%増となりました。
2022年8月には人権尊重の取り組みを推進するための「人権方針」を策定・発表しました。今後は、サプライヤーを含むすべてのビジネスパートナーにも同方針に基づく人権尊重の働きかけを実施し、サプライチェーン全体での人権尊重の取り組みを進めてまいります。
(4) 指標および目標
当社グループでは、上記「人材の育成および社内環境整備に関する方針、戦略」において、次の指標を用いています。
(※)提出会社の目標値です。
≪TCFD提言に基づく情報開示≫
当社グループでは、気候変動問題を重要な経営課題の1つとして認識し、2022年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明し開示を行いました。
TCFDの考え方に基づきシナリオ分析を行い、経営・事業・財務業績に影響を及ぼすリスクと機会について分析対象を愛三単体から連結グループに拡げて把握し、併せて財務に及ぼす影響の評価を行いました。
これに伴い気候関連のリスクへの軽減と機会創出の取組を中期経営計画に基づいて推進しています。また今後も分析の時間軸を長期に広げるなど、ステークホルダーへの開示を充実していきます。
(1)ガバナンス
取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会において、気候変動問題を含むサステナビリティ分野全般の方向性や適正性を確認しております。気候変動問題については、サステナビリティ委員会の下部委員会であるTCFD委員会(3ヶ月に1回以上開催)において、気候変動問題に関連する計画の策定、実行および管理を行います。
年2回開催するサステナビリティ委員会において、TCFD委員会やその他の委員会から報告を受け、内容を審議しています。これらの審議の結果のうち、重要事項は取締役会や経営審議会・経営会議に報告されています。
(2)戦略
① シナリオ分析の前提
当社グループは、気候変動によって受ける財務影響を把握するため、車の電動化の普及の節目となりうる2030年時点の事業影響について、当社グループ(連結)を対象としたシナリオ分析を実施しました。シナリオ分析は、不確実な将来に適切に対処することにより、持続可能な競争力の強化を図ることを目指して、1.5℃/2℃および4℃の複数のシナリオを採用しました。この2つのシナリオについて、移行リスクの分析では、主に国際エネルギー機関(IEA)のWorld Energy Outlook 2022などを参照し、物理リスクの分析では、主に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書などを参照しました。

② シナリオにおける社会像
1.5℃/2℃シナリオでは、炭素税の導入やGHG排出規制の強化など、現在よりも社会の脱炭素に向けた政策・法制度が整備され、当社を含む自動車業界では、製造工程のみならず、素材や走行時から廃棄に至るまでの製品ライフサイクルでのCO2排出削減が強化されることを想定しています。その結果、新車販売の中で、電気自動車(BEV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)・燃料電池車(FCV)のシェアが広がることを想定しています。
一方で、4℃シナリオでは、地球温暖化が進行することで、自然災害の頻発化・激甚化が進み、被災によりサプライチェーンが寸断され、生産の一時停止などが発生することを想定しています。
③ 気候変動に伴い想定されるリスクと機会
当社グループでは、シナリオにおける社会像に基づき、「ステークホルダーにとっての重要性」と「愛三グループにとっての重要性」を考慮した上で、当社グループにとってのリスクと機会を整理しました。2023年度は、海外子会社を含む愛三グループ各社に向けてヒアリングを行い、各国・地域の状況や事業内容を踏まえたリスク・機会の抽出を行いました。その中で、特に重要度が高いと判断した項目についてそれぞれの2030年度における財務影響の評価を行い、リスク軽減と機会創出の対応に取り組んでいます。
■気候変動リスク・機会と対応

※1 台数前提は2℃シナリオにて算出 ※2 FFV : Flexible-Fuel Vehicle
注1 影響度
単年度の営業利益に与える影響:大 20億円以上、中 1億円~20億円未満、小 1億円未満
注2 当社グループの対応
2022年11月に発表した中期経営計画に気候関連リスクの軽減と機会創出の取組を織り込んで活動を推進しています。
詳細は、当社HPに掲載しております。
(3) リスク管理
当社グループは、サステナビリティ委員会において、TCFD委員会から報告を受けた経営に重要な影響を与える気候変動リスクの他に、各委員会※から報告されてくるその他の経営に重大な影響を与えるリスクを含めて、総合的なリスク管理を実施しています。各委員会から報告されてきたリスクは、抽出・分析・評価を行ったうえで優先的対応リスクを選定し、所管部署が中心となってリスク低減に関する各種施策を実施しています。
各委員会は、各種施策の進捗状況やリスクの最新状況を確認するとともに、サステナビリティ委員会に報告しています。サステナビリティ委員会は、報告に基づいてリスク管理に関する指示・監督を行っています。
※ 各委員会:CN委員会、安全衛生委員会、働き方改革委員会、BCP委員会およびガバナンス委員会
(4)指標と目標
当社グループは、温室効果ガスの削減と企業の成長を両立させた環境経営を強化し、2050年のカーボンニュートラルおよび持続可能な循環型社会の実現に向けて企業の社会的責任を果たすため、中期経営計画を策定するにあたり、目標を大幅に見直しました。
具体的には、基準年を2013年度から2019年度に変更し、あわせてScope3を目標に追加しました。
内容としては、 2030年度におけるCO2排出量(Scope1、2、3)の削減目標を、2019年度比で50%とします。また、削減に向けた取り組みは、サプライチェーンへ拡大し、製品ライフサイクル全体で環境負荷を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)の視点で、CO2削減の取り組みを加速しています。

当社グループの財政状態、経営成績、キャッシュ・フローおよび株価などに影響を及ぼす可能性のある主要なリスクとしては、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経済状況
当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車部品の需要は当社グループが製品を販売している国または地域の自動車生産台数に影響を受けます。
従って、日本、アジアおよび米州等の当社グループの市場における景気後退、およびそれに伴う自動車生産台数の減少は当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 為替レートの変動
当社グループの事業には、世界の各地域における製品の生産・販売が含まれております。一般に現地通貨に対する円高は当社グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。為替レートの大幅な変動は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原材料や部品の価格
当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品を複数の供給元から調達しております。これらの供給元とは取引基本契約を締結し、安定的な取引を行っておりますが、市況の変化による価格の高騰や品不足が生じないという保証はありません。その場合、当社グループの製造原価の上昇を招き、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 車の電動化に関する新製品開発
当社グループはお客様が期待される以上の品質・性能・コストの実現、安全・環境を配慮し、あらゆる動力源に対応したシステム・製品の開発を行い、電動化パワートレイン制御分野での世界トップメーカーをめざしております。
当社グループは今後も継続して魅力あるパワートレインシステムや電動化製品を開発できると考えておりますが、当社グループが属する自動車部品業界の電動化の流れの中で、技術的な進歩をはじめとする急速な変化に対応できない場合、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 価格競争
自動車部品業界における価格競争は大変厳しいものとなっており、販売している各製品が各地域においてさらに厳しい価格競争に直面することが予想されます。このような価格競争に対処すべく、生産性向上などの合理化活動や最適調達などによりコスト低減を図っておりますが、全世界の競合他社との価格競争に打ち勝てない場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 特定の取引先への依存
当社グループの主要な販売先として、その他の関係会社であるトヨタ自動車株式会社があります。当連結会計年度における当社グループの売上高の5割程度はトヨタ自動車株式会社向けであり、同社の販売動向は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 国内外グループ経営に潜在するリスク
当社グループは、様々な国で製品の生産と販売を行っております。その国々における予期しない政治的要因、テロ、戦争などの社会的混乱、経済状況の変化に加え、ストライキによる操業の中断などは、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、国内外グループ会社の経営環境の変化により、グループ事業の再編、撤退などを余儀なくされ、財務的な損失を計上せざるを得ないリスクが生じる可能性があります。
(8) 製品の欠陥
当社グループは、世界のお客様に「安心」「信頼」される品質を実現するため、設計から生産、販売をはじめ、あらゆる工程で品質の造り込みに全力をあげて活動しております。しかしすべての製品に欠陥がなく、将来においてリコール等が発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については万が一に備え保険に加入していますが、この保険が、最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコール等や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストを要するとともに、当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 災害や停電、感染症等による影響
当社グループは、製造ラインの中断やサプライチェーンの分断による影響を最小化するために、定期的な災害防止検査と点検を行っております。しかしサプライチェーンを含めた生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。従って大規模な地震、気候変動に伴う自然災害やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。
感染症の影響が長期化した場合、減産や操業停止など、当社グループ全体の事業運営および業績に影響が及ぶ可能性があります。不可抗力に関する影響は防止または軽減できるものではありませんが、対処可能な事項については、最小化できるような対策を講じます。
(10) 退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等の数理計算上の前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。従って、実際の結果が前提条件と異なった場合、または前提条件が変更された場合は、将来の期間に認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 固定資産の減損損失
当社グループが保有する土地・建物等について、時価が著しく下落した場合や事業の損失が継続するような場合には、固定資産の減損損失の計上により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 繰延税金資産
当社グループは、将来減算一時差異および税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得については、経営環境の変化などを踏まえ適宜見直しを行っておりますが、結果として繰延税金資産の全額または一部に回収可能性がないと判断し、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13) 訴訟および法的手続
当社グループは、ビジネス活動において、継続的な法令遵守に努めています。それにも関わらず、様々な訴訟および規制当局による法的手続の当事者となる可能性があり、その場合には当社グループの業績および財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、当社グループは、他社製品との差別化をはかるために、独自の技術ノウハウの蓄積と知的財産の保護に努めておりますが、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、第三者の知的財産権を侵害しているとして、訴訟の当事者となる可能性があります。
(14) 情報セキュリティ
当社グループは、機密情報の保護・管理等のため、情報セキュリティ推進計画に基づき、外部からのサイバー攻撃への対策や従業員への啓発・教育等を実施しております。また、万が一サイバー攻撃等による損害が発生した場合に備え、サイバー保険を付保しております。それにも関わらず、外部からのサイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が起こった場合、その被害の規模により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度の日本および世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が徐々に緩和され、社会経済活動の正常化が着実に進みました。一方で、世界的インフレや急激な為替変動、ロシア・ウクライナ問題の長期化など、先行き不透明な状況が継続しました。
自動車業界においても、自動車生産台数に一定の回復が見られましたが、半導体の供給不足やサプライチェーンの混乱などによる自動車メーカー各社の生産変動、原材料・エネルギーの価格高騰など、厳しい状況が継続しました。
このような経営環境のなか、パワートレイン製品事業の基盤強化や電動化製品開発の加速、カーボンニュートラルの加速など、愛三グループ一丸となって、企業価値向上に向けて取り組んでまいりました。
「パワートレイン製品事業の基盤強化」としましては、競争力が高く環境にも優しい次期型ダントツ製品の市場投入やMMK(もっとものづくり強化)活動のさらなる進展により、サプライチェーン全体での競争力を高め、厳しい経営環境下でも収益が確保できる体質とすることができました。
また、2022年9月に株式会社デンソーからの燃料ポンプモジュール事業譲受が完了し、今後のブランド変更や生産移管に向けた活動を進めております。
「電動化製品開発の加速」としましては、固有技術を活かして、電動化製品開発の足掛かりとなる電池セルケース/カバーの開発が完了し、一部で受注にいたりました。
また、今後の電池需要の急拡大や顧客ニーズに対応しながら、競争力のある新製品開発を進めていくため、2023年1月に冨士発條株式会社との業務提携に関する基本合意書を締結いたしました。
「カーボンニュートラルの加速」としましては、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減に向けて、電力・エネルギーの見える化や現地現物での省エネ提案活動など、仕入先との協働活動を開始いたしました。
2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、2030年CO2排出量50%削減(2019年比)を目標として、グループ全体での活動を一層強化してまいります。
このようななか、当連結会計年度の業績としましては、売上高は240,806百万円と前期に比べて24.3%の増収となりました。利益につきましては、営業利益は13,632百万円と前期に比べて39.0%の増益、経常利益は14,083百万円と前期と比べて37.3%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は8,504百万円と前期に比べて24.5%の増益となりました。
地域別の業績は次のとおりであります。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
[日本]
売上高は、為替の影響および販売数量の増加により96,548百万円(前年同期比9.0%増)となり、営業利益は収益
改善努力などにより4,009百万円(前年同期比2.2倍)となりました。
[アジア]
売上高は、為替の影響および販売数量の増加により108,769百万円(前年同期比23.8%増)となり、営業利益は8,025百万円(前年同期比29.6%増)となりました。
[米州]
売上高は、為替の影響および販売数量の増加により43,359百万円(前年同期比70.4%増)となり、営業利益は1,515百万円(前年同期比15.6%増)となりました。
[欧州]
売上高は、為替の影響により12,611百万円(前年同期比10.0%増)となりましたが、諸経費の増加などにより営業損失は159百万円(前年同期は営業利益354百万円)となりました。
生産、受注および販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は製造原価によっており、セグメント間内部振替後の数値によっております。
当社グループは、トヨタ自動車株式会社はじめ各納入先よりおおむね四半期ごとの生産計画の提示をうけ、当社グループの生産能力を勘案して、これにより生産計画をたてております。なお、主たる受注先は、トヨタ自動車株式会社で約50%を占めております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、事業譲受に伴う固定資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ23,826百万円増加し、225,762百万円となりました。
負債は、借入金の増加などにより前連結会計年度末に比べ14,333百万円増加し、115,380百万円となりました。
また、純資産は、円安による為替換算調整勘定の増加および利益剰余金の増加などにより前連結会計年度末に比べ9,493百万円増加し、110,382百万円となりました。
地域別の資産は、次のとおりであります。
[日本]
事業譲受に伴う固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、17,589百万円増加し、94,239百万円となりました。
[アジア]
棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、7,193百万円増加し、76,909百万円となりました。
[米州]
事業譲受に伴う資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、17,002百万円増加し、36,941百万円となりました。
[欧州]
売掛債権の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、690百万円増加し、10,313百万円となりました。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、43,972百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,778百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益および減価償却費により20,269百万円の収入となりました。前年同期に比べ6,724百万円の収入増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に事業譲受に伴う支出により29,599百万円の支出となりました。前年同期に比べ22,644百万円の支出増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の増加などにより3,536百万円の収入となりました。前年同期に比べ7,665百万円の収入増加となりました。
資本の財源および資金の流動性については、下記のとおりとしております。
① 資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループ製品の製造のための材料や部品の購入および新製品生産や増産対応等にかかる設備投資によるものであります。
② 財務政策
当社グループは現在、運転資金については、当社および一部の国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入し、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。また、設備投資資金については、原則内部資金または借入により資金調達することとしております。借入による資金調達に関しては、運転資金としての短期借入金を各連結子会社が、設備等の長期借入金を当社および各連結子会社が調達しております。また、その一部はグループ内資金の効率化を目的としグループ会社間で融資を行っております。
当社グループは財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当社グループの将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。
該当事項はありません。
当社グループは、企業の持続的成長を目指し策定した「VISION2030 この手で笑顔の未来を」のスローガンのもと、パワートレイン製品事業の基盤強化や電動化製品開発の加速、カーボンニュートラルの加速など、愛三グループ一丸となって研究開発活動を進めています。
「パワートレイン製品事業の基盤強化」としましては、競争力が高く環境にも優しい次期型ダントツ製品の市場投入やMMK(もっとものづくり強化)活動のさらなる進展により、収益力および競争力をより一層高める開発を進めております。
「電動化製品開発の加速」としましては、固有技術を活用した電池セルケース/カバー開発の目途付けが完了しました。また、将来のシステム開発を視野に入れソフトウェア人財育成を行い、付加価値のあるハードウェアを開発し小型モビリティなどへの貢献を目指しております。
「カーボンニュートラルの加速」としましては、当社の技術や強みを活かしガス燃料やFFV技術を応用した自動車向け製品開発に加え、カーボンニュートラル社会の実現を目指し、アンモニアおよび水素技術の研究を強力に進めております。
ここで培う知見や技術を活かし、将来の自動車向け製品の開発および国内エコプラント構想に取り組み、新たなものづくりに挑戦しております。
これら習得した技術とともに、創業以来培ってきたものづくり力、エンジンシステム開発力および適合技術を生かし、電動化システムへの足掛かりとなる電池、電源系等の製品開発、カーボンニュートラル化への研究開発を加速させてまいります。
当連結会計年度における研究開発費は、日本で