(1) 会社の経営の基本方針
当社は、お客さまをはじめとするステークホルダーの皆様から信頼され、選ばれ続けるブランドとなることを目指し、全社一丸となって事業活動を推進すべく、下記の「コーポレートビジョン」を策定しています。
私たちはクルマをこよなく愛しています。
人々と共に、クルマを通じて豊かな人生を過ごしていきたい。
未来においても地球や社会とクルマが共存している姿を思い描き、
どんな困難にも独創的な発想で挑戦し続けています。
1.カーライフを通じて人生の輝きを人々に提供します。
2.地球や社会と永続的に共存するクルマをより多くの人々に提供します。
3.挑戦することを真剣に楽しみ、独創的な“道(どう)”を極め続けます。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
① 中期経営計画(2020年3月期~2026年3月期)
当社は、企業として存在し続け、持続的な成長を遂げるために「人と共に創る独自性」を経営方針に置いた中期経営計画を策定し、それに基づいた施策を着実に進めております。
中期経営計画 主要施策
■ブランド価値向上への投資 -独自の商品・技術・生産・顧客体験への投資-
・効率化と平準化による継続
・段階的な新商品/派生車の導入
・継続的な商品改良の実行
■ブランド価値を低下させる支出の抑制
■固定費/原価低減を加速し損益分岐点台数を低減
■遅れている領域への投資、新たな領域への投資開始
■協業強化(CASE対応(*1)、新たな仲間作り)
これまでに築いてきた資産を活用して本格成長を図り、時代の大きな変化に耐えうる強靭な経営体質の実現に向けて取り組みを加速してまいります。また、グローバルでの環境規制の強化・加速などによる経営環境の変化やCASE時代の新しい価値創造競争を踏まえ、技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」の実現に向けて2030年を見据えた事業構造の転換に取り組んでおります。
中期経営計画 財務指標
中期経営計画の最終年度となる2026年3月期の財務指標は以下のとおりです。
(*1) コネクティビティ技術(connected)/自動運転技術(autonomous)/シェアード・サービス(shared)/電動化技術(electric)といった新技術の総称。
(*2) 現金及び現金同等物から有利子負債を差し引いた金額がプラスの状態を維持すること。
② 2030年に向けた経営方針
現在、当社は2026年3月期までの財務目標達成に向けて中期経営計画の取り組みを推進しておりますが、各国の環境規制動向、社会インフラ整備をはじめ、電源構成の変化、そして消費者の価値観の多様化など、経営を取り巻く環境の不確実性が高まっていることを受け、2022年11月に、視点を2030年まで延ばし、世界の潮流を想定した経営方針と主要な取り組みを示しました。
経営基本方針
1.地域特性と環境ニーズに適した電動化戦略で、地球温暖化抑制という社会的課題の解決に貢献すること
2.人を深く知り、人とクルマの関係性を解き明かす研究を進め、安全・安心なクルマ社会の実現に貢献すること
3.ブランド価値経営を貫き、マツダらしい独自価値をご提供し、お客様に支持され続けること
社会の不確実な変化に対し、2030年までを3つの期間に分け柔軟に対応してまいります。
第1フェーズ(2022–2024年):蓄積した資産を活用したビジネス基盤強化
第2フェーズ(2025–2027年):電動化へのトランジション
第3フェーズ(2028–2030年):バッテリーEV本格導入
未来を拓く主な取り組み
1. カーボンニュートラルに向けた取り組み
当社が目標とする2050年のカーボンニュートラル(*3)(以下、「CN」)実現に向けては、まず自社のCO2排出について、「2035年にグローバル自社工場のCN実現」と中間目標を定め、省エネ、再エネ、CN燃料活用の3本柱で取り組みを進めてまいります。加えて、サプライチェーン(*4)への対応も必要であり、輸送会社様や購買お取引先様と共にCO2排出量を削減する活動を段階的に進めてまいります。国内においては、サプライチェーンの構造改革に取り組むほか、CN燃料の活用拡大を進めてまいります。
2. 各フェーズにおける電動化の取り組み
EV時代への移行期間には、地域の電源事情に応じて、適材適所でEV、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車等の商品を提供していくマルチソリューションのアプローチが有効と考えております。当社は各国の電動化政策や規制の強化動向を踏まえ、2030年のグローバルにおけるEV比率の想定を25–40%としており、パートナー企業と共に段階的に電動化を進めてまいります。
第1フェーズ(2022–2024年):蓄積した資産を活用したビジネス基盤強化
既存の技術資産であるマルチ電動化技術をフル活用して魅力的な商品を投入し、市場の規制に対応してまいります。ラージ商品群を投入し、プラグインハイブリッド車やディーゼルのマイルドハイブリッド車など、環境と走りを両立する商品で収益力を向上させつつ、バッテリーEV専用車の技術開発を本格化させます。
第2フェーズ(2025–2027年):電動化へのトランジション
電動化への移行期間における燃費向上によるCO2削減を目指し、新しいハイブリッドシステムを導入するなど、これまで培ってきたマルチ電動化技術をさらに磨きます。電動化が先行する中国市場においてバッテリーEV専用車を導入するほか、グローバルにバッテリーEVの導入を開始します。内燃機関における再生可能燃料の利用可能性を踏まえ、熱効率の更なる改善技術の適用等により、内燃機関の性能についても極限まで進化させてまいります。
加えて、電動化の進展に向けて、地域経済が持続的に発展していくため、電動駆動ユニット(以下、「電駆」)の高効率な生産技術の開発やその生産・供給体制を確立すべく、株式会社オンド、広島アルミニウム工業株式会社、株式会社ヒロテックと当社の4社で合弁会社を設立いたしました。また、「走る歓び」の価値を進化させ続けるため、電駆の基幹部品であるインバーターの開発については株式会社今仙電機製作所(以下、「今仙電機」)、ローム株式会社と共同開発契約を締結し、今仙電機と合弁会社を設立いたしました。モーター技術については、富田電機股份有限公司(以下、「富田電機」)と共同開発契約を締結し、中央化成品株式会社及び富田電機と合弁会社を設立いたしました。
電池については、第1・第2フェーズを通して、「グリーンイノベーション基金事業」(*5)に採択された先端電池技術の自社研究開発を続けながら、パートナー企業からの調達を進めます。なお、今回、既存のパートナー企業に加え、国内で生産予定のEV向けに、株式会社エンビジョンAESCジャパンからの調達を新たに合意いたしました。
第3フェーズ(2028–2030年):バッテリーEV本格導入
バッテリーEV専用車の本格導入を進めるとともに、外部環境の変化や財務基盤強化の進捗を踏まえ、電池生産への投資なども視野に入れた本格的電動化に軸足を移してまいります。
3. 人とITの共創による価値創造への取り組み
「ひと中心」の思想に基づき、モデルベース開発・研究(*6)を基盤にして人の能力を最大限引き出せるよう、今後も人の研究に投資いたします。また、危険な状況に陥ってから対処するのではなく、危険自体を回避するというマツダの安全思想「MAZDA PROACTIVE SAFETY」の下、IT技術を活用した高度運転支援技術の開発を継続し、運転者も同乗者も周囲の人も安全・安心なクルマづくりを進め、2040年を目途に自動車技術で対策が可能なものについては、自社の新車が原因となる死亡事故ゼロを目指します。
人材への投資として、2030年までに間接社員全員がAIやITに係る一定以上の能力を持てるよう、株式会社アイデミーと共に変革を進めております。
さらに、業務プロセスのモデル化により2030年には生産性を倍増し、捻出した経営資源をより付加価値が高くなる仕事に投じます。
4.原価低減とサプライチェーンの強靭化
原価低減は、従来の商品原価や、製造原価だけにとどまらず、その範囲を拡大し、サプライチェーンとバリューチェーン(*7)全体を鳥瞰し、ムリ・ムラ・ムダを徹底的に取り除く取り組みを通じて原価の作りこみを行うよう変えてまいります。
サプライチェーンについては、材料調達からお客様へのデリバリーに至るまでの全ての工程における個々の改善にとどまらず、モノがよどみなく流れ、しかもそのスピードが最大化される「全体最適の工程」を実現するよう取り組んでまいります。また、材料・部品調達の階層を浅くし、種類を産む場所を近場に寄せていくなどの調達構造の変革や、汎用性の高い材料や半導体の活用拡大に取り組み、地政学的リスクや新型コロナウイルス感染症、地震といった大規模災害などの外部環境の変化に対する影響も最小限にとどめてまいります。
(*3)地球上の炭素(カーボン)の総量に変動をきたさない、二酸化炭素(CO2)の排出と吸収がプラスマイナスゼロになるようなエネルギー利用のあり方やシステム。
(*4)商品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れ。
(*5)経済産業省が、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で、「経済と環境の好循環」を作り出すためにNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)に総額2兆円の基金を造成し、組成された基金。
(*6)シミュレーションによる机上検討を開発の中心に据えることで、試作回数や実機評価をできる限り少なくし、効率良く開発を進める手法。
(*7)商品の付加価値を創出するための、商品企画、デザイン、開発、生産技術、製造、販売、サービスといった一連の事業活動の流れ。
※文中における将来に関する事項につきましては、本報告書提出時点において当社グループが判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は実際の結果とは異なる可能性があり、その達成を保証するものではありません。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日時点において当社グループが判断したものであります。
コーポレートビジョンに基づき、私たちマツダグループは、すべてのステークホルダーの要望や期待に誠実に応えるよう努力しながら、グローバルな事業活動を通じて企業としての持続的な成長を目指すとともに、自社の強みを生かしてさまざまな社会課題の解決に向け取り組むことにより社会の持続可能な発展に貢献していきます。
当社グループは、社会環境の変化を踏まえ、グローバル視点で当社に期待されているサステナビリティの取り組みを討議するため、「CSR経営戦略委員会」を設置し、定期的に開催しています。CSR経営戦略委員会は、代表取締役社長を委員長とし、経営会議メンバーで構成されており、重点課題(マテリアリティ)の見直し・特定及び社会からのニーズやトレンド、社外評価分析結果などを討議しています。CSR経営戦略委員会で決まった取り組み方針やガイドラインを理解した上で、社内各部門は、業務目標や計画などを策定し、グループ会社と連携を図りながら、業務を行っています。また、取締役会で適時・適切にサステナビリティを巡る課題の報告と討議を行っています。
当社グループは、国連が定めるSDGsや、グローバルなESG評価機関の調査項目などを参考としたステークホルダーにおける影響度、中期経営計画の実現に向けた事業取り組みなどの当社グループにとっての影響度(リスクと機会)の2つの視点を考慮し、重点課題を見直し・特定しました。特定したマテリアリティの項目に対し、着実な実行とフォローアップを行うための具体的な取り組み計画を策定中です。今回特定したマテリアリティと今後策定する取り組み計画をステークホルダーへ開示するとともに、定期的に評価し、見直すことで、計画・実行・評価・改善というPDCAプロセスを構築していきます。
[マテリアリティの8つの項目]
「地球」
・2050年カーボンニュートラルへの挑戦
・資源循環
「人」
・人々の心の健康への貢献
・働きがいの向上
「社会」
・事故のない安全なクルマ社会の実現
・心豊かに生活できる仕組みの創造
「地球」「人」「社会」共通
・品質向上
・「人と共に創る」仲間づくり
マテリアリティの見直し・特定プロセスにつきましては、2022年12月公表「
(https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/sustainability/download/2022/2022_all.pdf)
TCFD推奨開示項目(*2)に沿った概要は次のとおりであります。詳細につきましては、以下のWebサイトをご参照ください。
(https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/sustainability/download/disclosure/tcfd_20230614.pdf)
[基本的な考え方]
当社グループは2019年5月、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に対する賛同を表明して「TCFDコンソーシアム(*3)」に参加し、気候変動への取り組みを強化していく姿勢を示しました。また、2021年1月には、2050年サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルへの挑戦を宣言しました。TCFD推奨開示項目に沿って、気候変動への取り組みを進めていきます。
①ガバナンス
<移行リスク>
2050年のCNへの挑戦にあたり、取締役がCN戦略を統括し、CN担当役員を任命しています。2021年、経営戦略室をリード部門とし商品・製造・購買・物流・販売・リサイクルなどに携わる部門から成るCN対応を専門とするチーム(以下、専門チーム)を結成しました。CN担当役員の下、経営戦略室がチームを率いて、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)のシナリオや動向をもとに選別したリスクと機会へのライフサイクルアセスメント(LCA)視点での対応戦略、取り組みに必要な投資や経費、対応スケジュールなどを立案・推進してきました。
2023年4月、経営戦略室と商品戦略本部の一部機能を統合した経営戦略本部を新設し、その中にCN戦略を推進する部署を新たに設置しました。従来の専門チームはこの部署のリードの下、それぞれの専門領域にて、戦略立案と共にこれまで立案された戦略に基づいた計画を実行に移していきます。また、計画実行を全社で推進するために、従来からのISO14001環境マネジメントシステム(EMS)にCNを融合させる管理を開始しました。また商品・技術の領域においては、経営戦略本部内に新設された部署にて、全社戦略と整合した計画立案を推進していきます。
こうした戦略は、代表取締役社長も出席する経営会議や取締役会で報告・審議(*4)しています。また、気候変動を含むサステナビリティを巡る課題への対応については、取締役会へ適時・適切に報告しています。
<物理的リスク>
気候変動に伴う急性の物理的リスクである豪雨災害対応などについては、従来より事業継続計画(BCP)の一環として緊急時のリスクマネジメント体制の中で管理しています。
また、慢性の物理的リスクである高潮や水の枯渇への懸念に対しては、護岸インフラの補強や水保全の取り組みを専門部門の実務の中で進めています。
②戦略
IPCCやIEAのシナリオ、政策や規制動向、業界動向をもとにした検討から、当社独自の前提を置いたシナリオを策定し、この中から主なリスクと機会として以下を認識しました。
<主なリスクと機会>
③リスク管理
<移行リスク>
IPCCやIEAのシナリオ、政策や規制動向、業界動向をもとにした検討から主なリスクと機会を抽出しました。専門チームでは、隔週で取り組みの進捗状況や課題を共有しながら、リスクの特定・評価プロセスを実施しています。検討した戦略は、代表取締役社長も出席する経営会議や取締役会で報告・審議しています。
また、お取引先さまに対しては、当社から定期的に共有プラットフォームで気候関連リスクに関する情報を共有しています。
<物理的リスク>
豪雨災害などへの迅速な対応体制を整備し、従来より事業継続計画(BCP)の一環として緊急時のリスクマネジメント体制の中で管理しています。こうした取り組みに加え、近年において豪雨災害が激甚化・頻発化していることから、気象予報収集力を高め、予め設定したタイムスケジュールに基づき迅速な防災対応意思決定ができるようにしています。また、大雨シーズン毎に対応の振り返りを行い、対応力の改善を行っています。
高潮や水の枯渇への懸念に対しては、護岸インフラの補強や水保全の取り組みを専門部門の実務の中で進めています。
近年頻発化している熱波に対しては、従業員の健康管理として、定期的に職場ごとの暑さ環境を計測・評価し、適切な空調設備などの維持管理につなげています。また、建屋においては断熱材・断熱塗料などを活用し、環境に配慮した対策を取り入れています。
疫病蔓延への防備として、従業員をはじめ同居する家族の方々が感染した場合も想定した就業環境を整備・運用しています。
④指標と目標
・Scope1、2、3(*5)の温室効果ガス(GHG)排出量
2021年度の実績につきましては、2022年12月公表「
(https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/sustainability/download/2022/2022_all.pdf)
・水使用量
2021年度の実績につきましては、2022年12月公表「
(https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/sustainability/download/2022/2022_all.pdf)
・主な目標と指標
<温暖化対応>
<水資源保全>
(*1)TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures の略。G20 財務大臣及び中央銀行総裁からの要請を受け、金融安定理事会(FSB)が設置した、民間主導の組織
(*2)出典:https://tcfd-consortium.jp/about
(*3)気候変動に関して「企業の効果的な情報開示」や「その開示情報を金融機関などが適切な投資判断につなげる取り組み」について議論することを目的として国内で設立された団体。経済産業省・金融庁・環境省がオブザーバーとして参加。
(*4)2023年6月時点、取締役会で4回報告・審議。
(*5)Scope 1:燃料の使用や工業プロセスにおける排出量などの直接排出、Scope 2:購入した熱・電力の使用に伴う排出(エネルギー起源の間接排出)、Scope 3:Scope 1, 2を除く、その他の間接排出。
①戦略
当社グループは「最大の経営資源は人である」と考えており、どこよりも「人」がイキイキしている企業を目指しています。「人と共に創る」という価値観のもと、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、年齢、精神もしくは身体の障害、性的指向、性自認など、さまざまな背景を持った従業員の多様性を尊重します。また、働き方/処遇/働く環境改善を含めた取り組みを行い、従業員のモチベーションの向上と全体最適の視点による業務の効率化を推進していきます。
そして、成長・雇用・分配の好循環を回す観点から、雇用を維持しつつ、成長による成果をステークホルダーに還元するとともに、従業員への持続的な還元にも繋げていきます。
具体的には、雇用の安定、生活の質の向上、人材育成の観点から、会社の現状を考慮し、柔軟に賃金の引き上げを含めた従業員への還元を行っていきます。
還元の1つとして、処遇改善だけでなく、教育を含めた人への投資も計画、実行中であり、その一例として、「デジタル人材」育成投資を開始しました。今後も、企業の成長につながる能力開発支援を始めとする投資を進め、従業員の活躍や成長を後押ししていきます。
これらに向けた人材育成体制・社内環境整備の実施状況については、2022年12月公表「
(https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/sustainability/download/2022/2022_all.pdf)
②指標と目標(提出会社)
「①戦略」に記載のとおり、当社は、従業員の属性に関係なく、個人の能力や実績に基づき人材登用することを方針としているため、女性管理職数及び男性育児休職者数以外には、自主的かつ測定可能な目標を定めておりません。
<女性雇用の拡大と活躍の場の創設>
当社は、ワークライフバランス施策の充実などを通して、女性にとって働きやすい職場づくりの取り組みを進めています。2021年に、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」および「次世代育成支援対策推進法」に基づき、「2025年度までに女性管理職数: 80人とする(2014年度比約4倍)」と「2025年度までに男性育児休職取得者数(*6): 80人/年とする(2020年度比約2倍)」を数値目標として、事業主行動計画の届け出を行いました。
2023年3月末時点における当社の女性管理職数は65名、男性育児休職取得者数(*6)は117名と着実に進捗しています。登用候補となる女性社員の個別育成計画を策定・推進するとともに、男性従業員も含めた全社的な育児休職制度の周知・運用見直し・啓発活動を開始し、女性の活躍をさらに加速させていくよう、今後も取り組みを進めていきます。
(*6)当社独自の育児休暇取得者数及び2022年10月に施行された出生時育児休職取得者数は含まない。
当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、主として以下のようなものがあります。
ただし、以下に記載する事項は、予想される主なリスクを記載したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。なお、文中における将来に関する事項につきましては本報告書提出日時点において当社グループが判断したものであります。
市場及び事業に関するリスク
当社グループは、日本を始め北米、欧州、アジアを含む世界各地域で製品を販売しており、それぞれの市場における景気動向や需要変動に強い影響を受けています。従いまして、当社グループの主要市場において、景気の減速または後退、需要構造の変化、需要減少、価格競争の激化等が進むこと、及び経済安全保障として米国や中国における輸出管理、データ保護などに関する政策が強化された場合、生産・開発・購買・営業などの事業活動にかかる対応費用などが生じ、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、原材料及び部品の購入を複数のサプライヤーに依存しています。サプライチェーン全体を鳥瞰し、材料調達のスピードの最大化や種類を産む場所の近場化など、ムリ・ムラ・ムダを徹底的に取り除く取り組みを通じて、環境変化に対する耐性の強いサプライチェーンを構築します。今期は、第一四半期に上海ロックダウンによる物流混乱や不安定な半導体供給による部品購入の制約のため、生産台数が減少しました。今後も半導体供給不足や、部品供給元企業が災害等により被災した場合等の供給能力の制約や物流機能の低下、また需給の逼迫や契約条件の変更または破棄等により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難になる場合や、調達した原材料または部品の品質が不十分であった場合には、製品の生産状況の悪化を招く可能性があり、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、商品の開発、生産、販売に関し、技術提携や合弁等の形で、他社と共同活動を実施、もしくは検討を行っています。これにより経営資源の最適化、集中化及び相乗効果を期待しています。しかしながら、経営、財務またはその他の理由により当事者間で不一致が生じた場合、あるいは、提携や合弁の変更または解消等により、期待される結果を生まなかった場合には、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、意図しない提携や合弁の変更または解消が、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが製品を販売している自動車市場は、コネクティビティ技術、自動運転技術やシェアード・サービス、電動化技術に代表される新たな付加価値ビジネスの拡大、それに伴う異業種からの新規参入が相次ぐなど、産業構造が急激に変化しており、競争環境が激化・多様化しています。ブランド価値の維持発展を含む市場での競争力の維持強化は当社グループの成長にとって非常に重要であり、急激な変化に対応すべく製品の企画・開発・製造・販売等すべての領域において競争力の強化に向けた取り組みを進めています。しかしながら、想定を超える範囲とスピードで競合環境が変化した場合、あるいは技術力や生産上の問題等により、魅力ある製品を適切な時期に投入することが出来なかった場合、また、急速に多様化が進むお客様の価値観やニーズの変化に対応した流通網、販売手法を効果的に展開できなかった場合、販売シェアの低下や製品価格の低下を含め、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業の優位性を確保するために他社製品と区別化できる技術とノウハウの蓄積、それらの保護並びに、第三者の知的財産権に対する侵害予防に努めています。それにもかかわらず、認識または見解相違により、第三者からその知的財産権を侵害したとして訴訟を受け、当社グループとして製造販売中止、あるいは損害賠償などが必要となった場合には、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、特定の地域では当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があります。第三者が当社グループの知的財産権を無断使用して類似した製品を製造した場合、多額の訴訟費用のみならず製品区別化が図れないことによる販売減少により、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、市場の要求に応えるべく品質改善に努める一方で、製品の安全性の確保にも最善の努力を注いでいます。しかしながら、技術や機能向上によるシステムの複雑化、ソフトウェア不具合など、予測できない原因により製品に欠陥が生じ、大規模なリコール等が発生した場合には、多額のコストの発生、ブランドイメージの低下、市場信頼性の失墜などにより、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 情報技術への依存
当社グループは、製品の開発、生産、販売など、様々なビジネス活動の遂行において、情報技術やネットワーク、システムを利用しています。また、当社製品にも、運転支援システムなど、これら技術を採用した装備が搭載されています。情報技術やネットワーク、システムには、安全な運用のため対策が施されていますが、インフラ障害、対策を上回るサイバー攻撃、コンピューターウイルスへの感染等によって、各種業務活動の停止、データの喪失、機密情報の漏洩、当社製品の機能低下などが発生する可能性があります。この場合、対策費用の発生、当社製品の信用の失墜やブランドイメージの毀損などにより、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) コンプライアンス、レピュテーション
当社グループは、全てのビジネス領域における法令等の遵守のため、従業員への業務に関連する法令教育や、コンプライアンス意識啓発活動等を通じた、コンプライアンス違反の未然防止対策を講じています。さらに、コンプライアンスに係る案件を察知した場合には速やかに対応する体制も整備しており、当社グループの社会的信用や評判に与える影響を防いでいます。しかしながら、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、法令違反の事実、あるいは対応の内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループの社会的信用や評判に悪影響を及ぼし、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 気候変動
気候変動が当社グループの事業に及ぼすリスクについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) TCFDへの対応」をご参照ください。
(10) 人材の確保と育成
当社グループは「最大の経営資源は人である」と考えており、どこよりも「人」がイキイキしている企業を目指しています。CASEやカーボンニュートラルに代表される時代の要請に応えるため、高度専門的な領域で活躍いただける「人」の確保をより積極的に目指すだけでなく、多様な価値観を持つ従業員が最大活躍できるよう、働き方の多様化を踏まえた育成強化や自律的に働くことができる処遇・環境整備、新たな価値創造に果敢に挑戦できる文化・風土作りを推進していきます。
しかしながら、採用競争の激化により計画通りの採用が行えなかった場合や、人材流動性の高まりや育成・環境・風土整備の不十分さにより当社グループの「人」が活躍できないまま離職されるような場合には、中長期的に当社グループの経営や事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
金融・経済に係るリスク
当社グループは、日本から世界各地域へ製品を輸出しているほか、海外の工場で製造した製品を世界の他の市場へ輸出するなど、グローバルな事業活動を展開しています。これらの取引は様々な通貨を通じて行われているため、為替レートの変動は当社グループの経営成績と財政状態に影響を与えます。加えて、海外の現地通貨建の資産・負債等を円換算しているため、為替レート変動により、為替換算調整勘定を通じて自己資本に悪影響を及ぼす可能性があります。また、為替レート変動リスクを最小限にするために為替予約を行っていますが、為替レートの変動状況によっては機会損失が発生する可能性があります。
当社グループは、原材料及び部品の購入を複数のサプライヤーに依存しています。地政学リスクの高まりや需給の逼迫により、原材料の価格や物流費、及びサプライヤーの部品生産に必要なエネルギーや人件費等が高騰し、生産性向上などの内部努力による製造コストの低減や製品価格への転嫁などによりその影響を吸収できない場合、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、銀行からの借入に加え、株式及び社債の発行等により資金調達を行っています。しかしながら、今後、金融市場が混乱した場合、税制改正や政府系金融機関の制度変更等がなされた場合、もしくは当社グループの信用格付けが引き下げられた場合等においては、資金調達コストの増加や必要とする金額の資金調達が困難となること等により、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの有利子負債には金利変動の影響を受けるものが含まれており、金利上昇により金融コストが上昇した場合には、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループの財務内容の悪化が一部借入金等の財務制限条項に抵触し、期限の利益を喪失することとなった場合には、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
政治・規制・法的手続・災害等に関するリスク
当社グループは、事業展開する各国において、燃費及び排気ガス、車両の安全性、製造工場からの汚染物質排出レベルに関する規制などの環境規制のほか、労働規制など、様々な法的規制を受けています。とくに昨今、カーボンニュートラル化への要求が世界的に急速に高まっています。当社グループとしても、企業としての社会的責任を果たすため、「Well-to-Wheel(燃料採掘から車両走行まで)」視点に加えて、クルマの製造、物流、廃棄、リサイクルまでカバーするライフサイクルアセスメント(LCA)視点でのCO2削減に向けて、各国の電源事情や使用環境、お客様の多様性やご要望を踏まえた、電動化のマルチソリューションにより課題解決に取り組んでおります。しかしながら、今後、欧米等における更なる政策や法的規制の強化によるコストの増加などにより、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日本を始め世界各地域で製品を販売しており、米国、欧州及び発展途上市場や新興市場を含む海外市場において事業活動を行っています。これらの海外市場での事業展開には以下のようなリスクが内在しており、当該リスクの顕在化により、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・不利な政治、経済要因
・法律または規則の変更による障害
・関税などの輸出入規制、不利な税制及びその他の規制
・検疫強化や船舶不足等による製品物流の逼迫
・人材の採用と確保の難しさ
・未整備のインフラ
・ストライキ等の労働争議
・テロ、戦争あるいは新型コロナウイルス感染症のような疾病その他の要因による社会的混乱や規制
当社グループは、製造設備等の主要施設に関して、防火、耐震対策などを実施すると共に、財務リスクを最小化すべく災害保険加入等の対策を行っています。しかしながら、大規模な地震、台風、豪雨、洪水等の自然災害及び火災等の事故の発生により製品供給に重大な支障を来たした場合、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。
当連結会計年度の当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞が世界的に解消され、わが国でも、政府により行動制限の緩和等が進められ、経済活動の正常化が進んでいる一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、資源価格の高騰、サプライチェーンの混乱、さらに金融資本市場の変動等、先行き不透明な事業環境は依然として継続しております。
このような状況の中、当社グループは、上海ロックダウン、半導体や自動車輸送船の不足等による生産・出荷台数の減少のほか、原材料価格や物流費の高騰など外部環境の悪化があったものの、設計変更等による半導体不足への対応、単価改善、販売費用の抑制、原価低減や固定費の効率化といった活動を全社で推進し、収益基盤の改善を着実に進めております。さらに、中期経営計画の足場固め期間(2020年3月期~2022年3月期)で築いてきた米国工場、マルチ電動化技術、ラージ商品群などの資産を最大限活用して、ビジネスを成長軌道に乗せ、財務基盤を強化する本格的成長期間の初年度として取り組みを進めてまいりました。
昨年4月には、北米にて、新型クロスオーバーSUV「MAZDA CX-50」の販売を開始し、また、昨年8月には欧州、9月には日本にて、新世代ラージ商品群の第一弾となる新型クロスオーバーSUV「MAZDA CX-60」を導入しました。この「CX-60」では、新開発の縦置きプラットフォームと高出力パワートレインがもたらす滑らかでパワフルな走りに加え、意識喪失に対してドライバーの運転が継続できないと判断した場合にクルマが自動で減速停止し、緊急通報まで繋げる先進安全技術「ドライバー異常時対応システム」を初採用しています。また、自動ドライビングポジションガイドなどの機能をもつ「ドライバー・パーソナライゼーション・システム」を採用しています。これらの技術は、「2022~2023 日本自動車殿堂 カーテクノロジーオブザイヤー」に選定されるなど、高く評価されています。
当社は、「CX-60」に続き、2023年4月には、新世代ラージ商品群の第二弾となる新型ミッドサイズクロスオーバーSUV「MAZDA CX-90」を米国で導入しました。2023年中には、「MAZDA CX-70」、「MAZDA CX-80」と、更にラージ商品2車種を導入予定であり、各市場の特性や顧客ニーズに応えるSUVラインアップを拡充することにより、ビジネス及びブランドの更なる成長を図ってまいります。
[グローバル販売]
当連結会計年度のグローバル販売台数は、上期の半導体の供給不足による減産や輸送船不足の影響などにより、日本を除く各市場で販売が減少したことから、前期比11.3%減の1,110千台となりました。
市場別の販売台数は、次のとおりであります。
<日本>
2022年9月に販売を開始した「CX-60」に加え、2022年10月に商品改良した「MAZDA CX-5」や「マツダ ロードスター」が増加したことにより、前期比10.8%増の165千台となりました。
<北米>
米国は、上期での減産影響などにより、前期比9.3%減の301千台となりましたが、2022年4月より販売を開始した「CX-50」に加え、「MAZDA CX-30」などSUV商品群が販売の増加に貢献し、第4四半期連結会計期間の販売台数は、前年同期比7.4%増の88千台となりました。北米全体では、メキシコでの「MAZDA2」や「CX-5」の増加などにより、前期比7.4%減の407千台となりました。
<欧州>
ロシアやウクライナでの販売の減少に加え、上期の減産影響などにより、前期比15.5%減の160千台となりました。なお、第4四半期連結会計期間としては、「MAZDA2 Hybrid」や「CX-60」のプラグインハイブリッドモデルを中心に増加し、前年同期比20.9%増の52千台となりました。
<中国>
主要モデルサイクルの一巡に加え、価格競争の激化などにより、前期比50.4%減の84千台となりました。
<その他の市場>
主要市場のオーストラリアでは、荷揚げ時の検疫強化に伴う物流遅延の影響などにより、前期比11.7%減の91千台となりました。その他の市場全体では、ベトナムなどで販売増加があったものの、ASEAN市場全体としては前年同水準となったことなどにより、前期比3.1%減の294千台となりました。
[財政状態及び経営成績]
a. 経営成績
当連結会計年度の当社グループの連結業績は、次のとおりです。
b. 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より2,911億円増加し、3兆2,593億円となり、負債合計は、前連結会計年度末より1,510億円増加し、1兆8,025億円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益1,428億円等により、前連結会計年度末より1,401億円増加し、1兆4,568億円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末より0.4ポイント増加し、44.2%(劣後特約付ローンの資本性考慮後45.2%)となりました。
c. セグメントごとの財政状態及び経営成績
当連結会計年度のセグメント別の連結業績は、次のとおりです。
<日本>
売上高は、3兆1,948億円(前期比6,501億円増、25.5%増)、営業利益は713億円(前期比144億円減、16.8%減)となりました。これは、主に国内の販売台数増加に加え、販売が好調な北米向けを中心に出荷台数が増加した一方で、原材料価格が高騰したことなどによります。セグメント資産は、前期比1,566億円増加の2兆5,523億円となりました。
<北米>
売上高は2兆440億円(前期比6,020億円増、41.7%増)、営業利益は381億円(前期は95億円の損失)となりました。これは、主に米国での新型SUVの販売台数増加やメキシコ工場での生産台数増加などによります。セグメント資産は、前期比1,458億円増加の6,715億円となりました。
<欧州>
売上高は6,659億円(前期比1,056億円増、18.8%増)、営業利益は149億円(前期比0.2%増)となりました。これは、主に新型SUVの導入や販売単価の改善など、販売の質的改善の取り組みが進んだことによるものです。セグメント資産は、前期比823億円増加の2,677億円となりました。
<その他の地域>
売上高は6,561億円(前期比440億円増、7.2%増)、営業利益は267億円(前期比102億円増、61.6%増)となりました。これは、主にオーストラリアやタイなどでの販売費用の抑制や為替の円安効果などによるものです。セグメント資産は、前期比83億円増加の3,722億円となりました。
当連結会計年度末において、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より233億円減少の7,171億円、有利子負債は、前連結会計年度末より653億円減少の6,155億円となりました。この結果、1,016億円のネット・キャッシュ・ポジションとなっております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,700億円に対し、棚卸資産の増加等により、1,374億円の増加(前期は1,892億円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出798億円等により、994億円の減少(前期は1,362億円の減少)となりました。
以上により、連結フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、380億円の増加(前期は529億円の増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済等により、899億円の減少(前期は864億円の減少)となりました。
当連結会計年度における車両生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 北米は、メキシコ工場と米国工場との合計であります。
当社グループは、主として販売会社の販売実績及び受注状況等を考慮して生産計画を立て、見込生産を行っております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.主要な販売先については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文中の将来に関する事項は、本報告書提出日時点において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。なお、当社グループの経営に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク 」に記載しております。
<売上高>
当連結会計年度における売上高は、出荷台数の増加と単価改善等により、3兆8,268億円(前期比7,065億円増、22.6%増)となりました。
仕向地別では、国内は、販売台数増により、6,229億円(前期比534億円増、9.4%増)となり、海外は、主として北米市場向けの出荷台数の増加等により、3兆2,039億円(前期比6,530億円増、25.6%増)となりました。
製品別では、出荷台数の増加や新型SUVの導入効果に加え、為替の円安などにより、車両売上高は3兆2,555億円(前期比6,743億円増、26.1%増)となり、海外生産用部品売上高は162億円(前期比250億円減、60.7%減)となりました。そのほか、部品売上高は3,204億円(前期比580億円増、22.1%増)、その他売上高は2,347億円(前期比10億円減、0.4%減)となりました。
<営業利益>
売上高増加に加え、販売の質的改善や為替の円安効果などが原材料価格高騰の影響をオフセットしたことにより、営業利益は1,420億円(前期比378億円増、36.2%増)、連結売上高営業利益率は3.7%(前期比0.4ポイント増)となりました。
なお、営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。
<経常利益>
為替差益260億円や持分法による投資利益158億円の計上により、1,859億円(前期比624億円増、50.5%増)となりました。
<親会社株主に帰属する当期純利益>
ロシアでの関連会社持分の譲渡に伴う関係会社整理損110億円を特別損失に計上したことや税金費用257億円等により、1,428億円(前期比612億円増、75.1%増)となりました。
当連結会計年度の財政状態の分析、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、キャッシュ・フローの創出に努めております。また、自動車及び同部品の製造販売事業を行うために必要となる設備投資等に充当することを目的として、銀行借入や社債発行などにより、必要な資金を調達しております。
当社グループの資金の流動性管理にあたっては、資金繰り計画を作成し、適時に更新するなどによりリスク管理を行っているほか、急激な外部環境変化に対応できるよう、一定水準の手元流動性を確保する方針としております。また、当社はグループ全体の資金を一元管理し、グループ内での相互貸借機能を保有することで、流動性リスクに対し機動的に対応できる体制を構築しております。加えて、当社は国内金融機関とのコミットメントライン契約の締結により、十分な流動性を確保する手段を保有しております。
当連結会計年度末において、現金及び現金同等物7,171億円に未使用のコミットメントライン2,000億円を加えた流動性は、月商比2.9ヶ月に相当する9,171億円となっております。
株主還元につきましては、当期の業績及び経営環境並びに財務状況等を勘案して決定することを方針とし、安定的な配当の実現と着実な向上に努めることとしております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす見積り及び仮定を行うことが求められます。当期の連結財務諸表の作成において設定した様々な見積り及び仮定は、当社経営者がその内容について合理的であると判断したものであり、実際の業績は、これらの見積り及び仮定とは異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a. 貸倒引当金
売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検証し、回収不能見込額を計上しておりますが、将来、取引先等の財務状況が悪化するなど支払能力が低下した場合は、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
b. 損害補償損失引当金
将来の損害補償損失に備えるため、損失の発生可能性を検証し、その損失額を合理的に見積もることができるものについて、当該損失見込額を計上しておりますが、将来、損失の発生が増加した場合は、引当金の追加計上が発生する可能性があります。
c. 環境規制関連引当金
環境規制に対応する費用の発生に備えるため、各国の環境規制を検証し、当連結会計年度末における発生見込額を計上しておりますが、将来、各国での環境規制がより強化された場合は、引当金の追加計上が発生する可能性があります。
d. 退職給付関係
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しておりますが、これらの前提条件が変動した場合、あるいは、運用環境の悪化等により年金資産が減少した場合には、将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性があります。
e. 固定資産の減損
当社グループは固定資産の減損会計の適用に際し、原則として事業会社毎を1つの資産グループとし、遊休資産、賃貸用資産及び売却予定資産は、個々の物件ごとに資産グループとして、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っておりますが、経営状況の悪化等により帳簿価額を回収できないと判断された場合には、対象資産の帳簿価額に対する減損損失の計上が必要になる可能性があります。
f. 繰延税金資産
繰延税金資産は、将来減算一時差異等に対して、将来の課税所得に関する予想等に基づく回収可能性を評価することにより計上されていますが、経営状況の悪化により回収できないと判断された場合や、税率変更を含む税制改正等があった場合には、評価性引当額の計上などにより、繰延税金資産の額が減額され、税金費用が発生する可能性があります。
g. 製品保証引当金
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) (製品保証引当金)」に記載しております。
当社グループは、2022年11月に「中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針について」を公表いたしました。本経営計画に係る経営指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
当社グループは、技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」に基づき2030年に向けた新たな技術・商品の開発を進めてまいります。2030年に生産する全てのクルマに電動化技術を搭載することを目標に掲げ、地域での共創・共生の考えのもと、さまざまなパートナーと共に関連する研究や取り組みを行ってきています。その一つとして電動駆動ユニットの開発・生産において専門的な知見を有する、株式会社今仙電機製作所、株式会社オンド、中央化成品株式会社、広島アルミニウム工業株式会社、株式会社ヒロテック、富田電機股份有限公司および、ローム株式会社と協業していくことを合意しました。これらの取り組みを通じて、2050年のサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向け着実に挑戦を進め、豊かで美しい地球と永続的に共存できる未来を目指してまいります。
セグメントごとの研究開発体制は、日本では本社R&D部門とマツダR&Dセンター横浜にて新商品の企画・デザイン・設計・実験研究、並びに新技術の先行研究を行っています。海外では、北米は米国のマツダモーターオブアメリカ, Inc.、欧州はドイツのマツダモーターヨーロッパGmbH、その他の地域は中国のマツダ(中国)企業管理有限公司の各R&D部門と連携し、それぞれの市場特性に適合した商品の研究開発に取り組んでいます。
長期ビジョンの実現に向けて、当連結会計年度は、新世代ラージ商品群第一弾である新型クロスオーバーSUV「MAZDA CX-60」を販売開始しました。縦置きプラットフォームと高出力のパワートレインがもたらす滑らかでパワフルな走りに加え、日本人の感性や美意識を元にした内外装デザイン、最新の環境・安全性能や安心感を高次元でお届けすることを目指した、全く新しいSUVです。エンジンは、2.5Lガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせたマツダ初のプラグインハイブリッドシステム「e-SKYACTIV PHEV」、排気量アップによる高出力化とクリーンな排ガス性能を同時に実現した直列6気筒ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 3.3」に電動化技術M HYBRID BOOST(48V マイルドハイブリッド)を組み合わせた「e-SKYACTIV D」を設定し、新開発のトルコンレス8速ATを組み合わせることで、優れた環境性能と心昂るような運転体験を感じていただけます。また、「匠塗TAKUMINURI」(*1)による新しい特別塗装色の、「ロジウムホワイトプレミアムメタリック」、「アーティザンレッドプレミアムメタリック」を導入しています。
北米では、CX-60に続く「走る歓び」と「環境安全性能」を大幅に進化させたラージ商品群の第2弾となる新型ミッドサイズクロスオーバーSUV「MAZDA CX-90」を現地初公開しました。家族や友人など他人数でのドライブをさらに楽しくする快適性や機能性を高めたワイドボディの3列シートSUVで、パワートレインには、新開発 3.3L直列6気筒ガソリンエンジン(ターボチャージャー付)に M HYBRID BOOST(48V マイルドハイブリッド)を組み合わせた「e-SKYACTIV G」を設定し、北米のお客さまのニーズを踏まえて新たに開発した商品です。
また欧州にて、「MAZDA MX-30 e-SKYACTIV R-EV」を初公開しました。バッテリーEV MX-30の提供価値はそのままに、新開発した発電用ロータリーエンジン(*2)を、高出力モーター、ジェネレーターと同軸上に配置し、17.8kWhのリチウムイオンバッテリー、50Lの燃料タンクを組み合わせたシリーズ式プラグインハイブリッドモデルです。使用シーンに合わせて選択できる「EVモード」「ノーマルモード」「チャージモード」の3つの走行モードで、お客さまのアクティブなカーライフをサポートします。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
(*1) 熟練職人が手塗りしたような精緻で高品質な塗装を量産ラインで実現する当社独自の塗装技術。
(*2)エンジン型式8C