第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

・会社の経営の基本方針

 当社グループは、「技術と信用を重んじ 一致協力して企業の生々発展に努力し広く社会に奉仕する」ことを経営理念としています。

 お客様や取引先をはじめ株主・従業員・地域社会などの数多くの人々との関係の中で、企業としての社会的役割、責任を自覚した経営を行い、公正で健全な企業活動を通じて、安全で高性能・高品質な製品とサービスを提供して、社会への貢献と企業価値の拡大を図ることを経営の基本方針としています。

 このような方針のもと、当社グループは特装車事業、環境事業、パーキング事業の3つを展開しています。

 

・中長期的な会社の経営戦略

 2030年度を見据えた長期経営ビジョン ~Kyokuto Kaihatsu 2030~及び、本長期経営ビジョン実現に向けた第2ステップである中期経営計画(3カ年計画)2025-27 [ Creating The Future As One (Ⅱ) ](2025年4月1日~2028年3月31日)では、前中期経営計画期間中に実施した過去最大の成長投資及び各種取り組みの果実をベースに、グループ間シナジーをさらに強化することで、財務・非財務の両面で高度化を図り企業価値の向上を目指すとともに、以下の通り具体的数値目標や方針を掲げています。

 

<中期経営計画2025-27 [ Creating The Future As One (Ⅱ) ]>

 長期経営ビジョンでは、「サステナブル社会の実現・発展に貢献し業界をリードするグローバルな総合インフラメーカー」を目指しておりますが、その実現に向けた第2ステップとして策定した本計画では、5つの基本方針を定め、確実な計画実行により極東開発グループの基盤確立を図ります。また、これまでの事業活動で得た資金と当中期経営計画の期間において獲得するキャッシュ・フローをメインに効率的調達も含め「成長への積極的投資」と「社会・ステークホルダーへの還元」とのバランスのとれた戦略によって投資・還元のキャッシュアロケーションを最適化し、最重要課題の一つである企業価値のさらなる向上を図ります。

 

1.基本方針

(1)高付加価値製品・サービスを通じた社会的課題解決と価値創造

(2)生産性の向上と利益体質の強化

(3)海外事業の成長加速

(4)サステナビリティ経営の推進による魅力ある企業づくり

(5)企業価値向上を実現する資本政策の推進

 

2.財務方針

  ・戦略投資:3ヵ年累計で、成長投資に300億円、新規M&A投資に100億円

  ・株主還元:3ヵ年累計で、総額150億円以上

        ≪配当≫DOE(株主資本配当率)4%以上の安定的な利益還元

 

3.業績目標

 

2027年度目標値

≪ご参考≫

長期経営ビジョン

売上高

1,900億円

2,000億円

営業利益率

8%

10%

ROE

8%

10%

 

 

 

4.サステナビリティ目標

 

2027年度目標値

≪ご参考≫

長期経営ビジョン

CO2排出量削減(※1)

2013年度比 △28%

2013年度比 △38%

新環境基準(ゴールドラベル)

認証取得率(※3)

100%

100%

生産時の廃棄物リサイクル率(※2)

99%以上

99%以上

役職者(係長級以上)

における女性比率(※1)

3%

4%

総労働時間削減

2024年度比 △5%

-

休業災害削減(※2)

休業災害度数率 (※4)

= 1.16

(2023年度 製造業平均:1.29)

-

 (※1)対象:国内グループ会社

 (※2)対象:極東開発工業・日本トレクス

 (※3)・ゴールドラベル: 日本自動車車体工業会の定める認証で、認定要件のひとつに「製品の素材リサイクル率95%」がある。

  ・対象:      極東開発工業・日本トレクスの日本自動車車体工業会 分科会該当の新製品。

それ以外の製品はゴールドラベル要件に準じる。

 (※4)度数率=(休業者数÷総労働時間)×1,000,000

 

5.資本コスト(2025年3月末)

・WACC(加重平均資本コスト):約6%と推定 (内、株主資本コスト:約7%と推定)

 

・目標とする経営指標

 長期経営ビジョン ~Kyokuto Kaihatsu 2030~では、連結ベースで売上高200,000百万円、営業利益率10%、ROE10%とすることを経営目標としています。

 また、中期経営計画 2025-27 [ Creating The Future As One (Ⅱ) ] (2025年4月1日~2028年3月31日)の最終年度である2027年度(2028年3月期)に連結ベースで売上高190,000百万円、営業利益率8%とすることを経営目標としています。

 

・経営環境及び対処すべき課題

 当社グループの展開する事業セグメントには、特装車事業、環境事業、パーキング事業の3つがあります。各セグメントの連結売上高に占める割合は、主力の特装車事業が約84%、環境事業が約10%、パーキング事業が約6%となっています。

 

特装車事業について

 当社グループの特装車事業の売上高の大半は、主に極東開発工業株式会社と日本トレクス株式会社によって構成されています。製品の主な販売先として、トラックメーカー、トラックの販売会社(ディーラー)、レンタル会社、建機商社、自治体、ユーザー(運送会社や廃棄物処理企業等)への直接販売等があります。

 受注生産を基本としており、一部の例外を除き先行生産や在庫を保有することはなく、顧客からの注文を受けて製造に着手します。

 

 主要な製品群は次のとおりです。これらに大型・中型・小型の分類があり、かつ仕様についても顧客のカスタムオーダーを細かく織り込んで生産していくため、「多品種少量生産」が当社グループにおける特装車事業の特徴となっています。

 

 

1.建設系車両(ダンプトラック、コンクリートポンプ車)

2.物流・省力関連車両(トレーラ、ウイング、バン、テールゲートリフタ、タンクローリ、散水車、給水車、粉粒体運搬車、車輛運搬車)

3.環境関連その他(ごみ収集車、脱着ボデー車、その他特殊車)

 

 次に主要な生産拠点は次のとおりです。工場ごとに担当製品を定め、それに応じた設備を設け生産活動を行っています。

神奈川県大和市 横浜工場  ダンプトラックなど

愛知県小牧市  名古屋工場 テールゲートリフタなど

兵庫県三木市  三木工場  コンクリートポンプ車、ごみ収集車など

福岡県飯塚市  福岡工場  ダンプトラックなど

愛知県豊川市  日本トレクス本社工場 トレーラ、バンなど

愛知県豊川市  日本トレクス音羽工場 ウイングなど

愛知県豊川市  日本トレクス御津工場 スワップボデーなど

新潟市東区   北陸重機工業本社工場 保線用鉄道車両など

 

 特装車事業における各製品の需要動向は基本的に、1.国内のトラックの需要動向と、2.上記のそれぞれの製品分野の景気動向に影響を受けます。必ずしも一概には言えませんが、一例として建設・土木需要が好調な際は建設系車両の需要が相応に高まり、物流ニーズが強いときは物流関連車両の需要も高まります。他の製品群と比べますとごみ収集車など環境関連は比較的変動が少なく安定した分野です。

 

 当社グループは上記の製品の中で、コンクリートポンプ車やトレーラなど複数の製品で国内トップシェアを確保しておりますが、2位、3位の製品もあります。

 同業他社と比較した当社グループの特徴は、総合的に各種特装車のラインナップを備えている点と、連結業績における特装車事業の比率が高い点が挙げられます。

 

 特装車事業は、国内のトラックに関する排気ガス等の環境法規制や車両重量規制、あるいは自動車の型式変更のタイミングなどにおいて駆け込み需要や反動減などが生じる業界です。

 ここ数年の国内のトラック需要は比較的安定しており、特にウイングなど物流関連の車両が非常に高水準で推移した後、やや落ち着きを取り戻しましたが、直近ではトレーラ需要の高まりが見られます。建設関連は東日本大震災後の復興需要で増加したのち、近年は低調でしたが、その後やや回復しています。2025年3月期においては国内・海外ともに受注は底堅く、好調に推移しました。また継続的に取り組んできた製品価格改定の効果が表れたことや、トラックシャシの供給が徐々に改善してきたこと等に伴う生産性の向上により、売上高・利益共に増加しました。

 なお、特装車事業においては2025年3月末現在で約995億円余りの受注残高を有しており、これは連結特装車事業売上高の10カ月分以上に該当します。

 

 

環境事業について

 当社グループの環境事業は、主に地方自治体向けの廃棄物処理施設の設計施工(建設業)と、これら施設の運転受託及びメンテナンス・サービス等によって構成されています。

 一般的に廃棄物処理施設の市場全体の中では焼却炉の分野が多くを占めますが、当社グループでは主に廃棄物の選別及び再資源化等のリサイクル分野を中心に手掛けており、その中ではトップクラスのシェアを確保しています。最近ではごみ中継施設やバイオガス事業の分野にも進出し、関連する事業領域の拡大を図っています。

 環境事業の販売先の多くは地方自治体又は自治体が組成する清掃組合等となりますが、同業他社や建設会社がこれらの販売先から直接施設の建設を受注した際に当社がその一部の再委託先として参入する商流もあります。一部民間の産業廃棄物処理企業等にも販売しています。

 当社グループでは、施設の建設から竣工後の運転、メンテナンスやサービスなど、顧客の要求する一連のサービスを網羅的に提供し、リサイクルや環境整備等の社会貢献を通じて事業の拡充に努めています。

 国内の廃棄物処理施設に関する市場は、少子高齢化や地方自治体の財政難及び統廃合等を背景として今後大きな増加を期待することは困難ですが、国民の生活に必要不可欠の施設であることから、今後も施設の更新や再投資など一定の需要は継続する分野です。

 足元では定期的に新規受注を確保し、一定の受注残高を維持しながら複数の建設工事を同時並行で進めています。2025年3月期の環境事業は、プラント建設では期中に1物件が竣工したほか、グループの重要な収益基盤と位置付けている運転受託やメンテナンス等のストックビジネスの分野も引き続き堅調に推移しました。

 

パーキング事業について

 当社グループのパーキング事業は、駐車場事業と、一部の保有不動産の賃貸による有効活用の分野に大別されます。

 駐車場事業は主に連結子会社の極東開発パーキングが運営しており、機械式立体駐車装置の製造(建設業)と、時間貸駐車場(コインパーキング)の運営で構成されています。

 機械式立体駐車装置の販売先は、マンションのデベロッパーや建設会社、管理会社、管理組合、あるいは自動車の販売会社等です。近年マンション等の駐車場設置率は徐々に低下していますが、駐車場のリニューアル工事や定期点検、アフターサービスの分野に注力しています。

 時間貸駐車場(コインパーキング)は、土地を所有者から賃借し駐車場設備を設置の上、一般利用の顧客から収益を得ています。稼働状況により時間貸と月極を組み合わせた運営を行うほか、地方自治体や商業施設の駐車場の運営を受託する商流もあります。大手同業他社もある中で当社グループでは特に採算性を重視した事業運営を行っています。

 

 駐車場事業全体では、時間貸駐車場(コインパーキング)の分野と機械式立体駐車装置の新規販売及びこれらのメンテナンス・アフターサービス等の分野共に底堅く推移しています。

 2025年3月期においては、機械式立体駐車装置はリニューアル及びメンテナンス等のストックビジネスに注力し収益の確保を図ったほか、新規物件の積極的な受注活動にも注力しました。時間貸駐車場(コインパーキング)は稼働率の向上と採算性重視の事業展開を進め、売上・利益の確保を図りました。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項 は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)当社グループにおけるサステナビリティの考え方及び取組み

①ガバナンス

 当社グループは経営上の重点課題であるマテリアリティを管理するために、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しています。

 サステナビリティ委員会ではマテリアリティについて目標の設定、対策の立案、取組み状況のモニタリング及び不適合の是正に関する審議を行っており、経営戦略上の重要と判断される事項は、取締役会に報告しています。

 サステナビリティ委員会は2024年度において、四半期に1度開催いたしました。

 

<マテリアリティの管理体制>

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②戦略

 当社グループは、サステナビリティを事業戦略の中核に組み入れ、ステークホルダーから寄せられる社会課題を背景にした様々なニーズと期待に応える「サステナビリティ経営」を実践し、ステークホルダーに関わる「中核主題」に対して、「社会的責任の原則」を果たすことで、持続可能な社会の実現と当社グループの社会的価値向上の両立を目指します。

 

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 当社グループはサステナビリティ委員会において内部・外部環境分析をもとに、サステナビリティに関わる企業のリスク・機会を識別・評価し、対応すべき項目を以下の手順で抽出・特定しています。

 

1)SDGsなど持続可能な社会に向けた様々な課題が、当社グループに与える影響を把握します。

2)国際的なガイドライン規格であるISO26000をもとに、持続可能な社会の実現にあたってステークホルダーが当社グループに寄せるニーズと期待を、アンケートやヒアリングで明確にします。

3)明確になったニーズと期待に関して、「ステークホルダーにとっての関心度・重要度」と「当社グループにとっての影響度」の2つの視点でリスク及び機会の大きさを評価します。

4)リスク及び機会の評価結果をもとに、高リスク・機会の項目をマテリアリティ(経営上の重点課題)として選定します。マテリアリティは、サステナビリティ委員会の審議を経て取締役会にて承認します。

 

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<参照したフレームワーク、ガイドライン等>

・GRIスタンダード

・ISO26000

・持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)

・国連グローバルコンパクトの10原則

・OECD多国籍企業行動指針

・気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosure)

・国際統合報告評議会(IIRC)「国際統合報告フレームワーク」

 

 また、特定された当社グループの重点課題(マテリアリティ)は次ページの通りです。

 

《特定された16の重点課題(マテリアリティ)》※1

 

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※1 当社グループは2024年度中のサステナビリティ委員会にてマテリアリティの見直しを決定しました。

   2025年度より、新しく定めた上記マテリアリティにて取組みを進めていきます。

※2 「Diversity」「Equity」「Inclusion」「Belonging」の略称。

 

③リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティ関連のリスク・機会を全社的に管理することが重要であることを踏まえ、特定した重点課題(マテリアリティ)を「サステナビリティ委員会」にて分析し、計画的にリスク・機会の管理を実施しています。

 

④指標及び目標

 2030年度までのグループ目標「長期経営ビジョン」の中に、「経営業績ビジョン」と併せ環境・人・ガバナンス に関わる指標として「サステナビリティビジョン」を掲げています。

 

《 長期経営ビジョンにおける「サステナビリティビジョン」》

 

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 また、16項目のマテリアリティの一部については「中期経営計画2025-27 -Creating The Future As One (Ⅱ)-」の中で2027年度までの3か年目標を掲げ、管理・モニタリングを実施していきます。

※目標詳細は②戦略の《特定された16の重点課題(マテリアリティ)》をご覧ください。

 

(2)気候変動

①ガバナンス

 当社グループは、気候変動を含む環境問題への対応を経営上の重点課題のひとつと認識し、「長期経営ビジョン-Kyokuto Kaihatsu 2030-」及び「中期経営計画2025-27 -Creating The Future As One (Ⅱ)-」の中で取り上げています。取締役会直下のサステナビリティ委員会(委員長:代表取締役社長)では、気候変動リスクと機会の評価・管理・改善に関する計画の決定及び状況の監視を行っています。

 サステナビリティ委員会は2024年度において、四半期に1度開催いたしました。また、その報告・協議を経て、経営戦略上重要と判断される事項は、取締役会に報告しています。

 

②戦略

 当社グループでは、地球の平均気温が産業革命前に比べ1.5℃上昇することを想定した戦略を策定しており、気候変動における1.5℃から2℃及び4℃のWEO及びIPCC5・6次報告書の規格に基づく、複数のシナリオ分析を実施した上で、戦略におけるリスク・機会項目の特定及び財務影響額の算出等を実施しています。

 当社グループにおけるシナリオ分析の規格及び気候変動のリスク・機会の概要につきましては、以下のとおりです。

※WEO……世界経済見通し/IPCC……国際気候変動における政府間パネル

 

(シナリオ分析の規格)

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(気候変動のリスク・機会の概要)

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③リスク管理

(気候変動に関連するリスクと機会を特定、評価、優先順位付け)

 当社グループでは、気候関連のリスク・機会を全社的に管理するプロセスを構築することが重要であることを踏まえ、サステナビリティ委員会において他のマテリアリティとともに気候関連リスク・機会を扱っています。

 気候関連リスク・機会については、サステナビリティ委員会において、IEA、IPCCにおける1.5℃から2℃シナリオ、4℃シナリオの仮定に基づく内部・外部環境分析をもとに、気候変動に係る企業のリスク・機会を識別・評価し、企業における対応すべきリスク・機会の抽出を行っています。また、当社グループにおける気候変動を含めたマテリアリティの項目のリスク・機会については、全て重要なリスク・機会と捉えて対応しています。

 

(全体的な監視プロセス・リスク管理プロセス)

 サステナビリティ委員会において抽出された気候関連リスク・機会については、同委員会の指示を受けた各事業部門が内部監査部門と連携しながら調査を実施した上で、その結果をサステナビリティ委員会に報告し、リスク・機会の各項目を審議しています。さらに、その結果を最終的に取締役会に報告するというPDCAサイクルを構築し、リスク管理のプロセスとしています。

 また、取締役会への報告後、取締役会の指示に基づき、サステナビリティ委員会の監督体制の下、各事業部門及び内部監査部門の調査結果及び報告を踏まえた上で、当社グループの気候変動における戦略に反映し、対応しています。

 

④指標と目標

 当社グループでは、2013年を基準年として、2030年までに総排出量におけるScope1・2の38%を温室効果ガスの削減目標の指標として定めています。

 Scope1・2・3の第三者認証後の確定値につきましては、2025年秋頃に当社グループのホームページに掲載される予定となっています。

 

(3)人的資本

①ガバナンス

 当社グループにおける人的資本に関する課題につきましては、サステナビリティ委員会にてマテリアリティとして特定されており、サステナビリティにおけるガバナンスの考え方と同様であることから、(1)当社グループにおけるサステナビリティの考え方及び取組み ①ガバナンスの項目をご参照下さい。

 

②戦略

(人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)

 当社グループは従業員一人ひとりの持つ個性や能力を貴重な「資本」として捉え、その価値を最大化できる経営を目指しています。

 想定外のことが起こりうる現代社会では、責任感を持って主体的に仕事を進めていく自律型人材が求められています。かつ、変化に柔軟に対応するための異見を受け入れる人間力も必要です。あらゆる社会課題に真摯に向き合い、経営理念にある「広く社会に奉仕する会社」を目指すために「仕事を通じた価値創造ができる人材育成」に取り組んでいます。

 また人材育成とあわせて、従業員がそれぞれの多様性や能力を最大限活かし、いきいきと働ける仕組みと環境づくりを推進しています。

 

〈各課題に対する戦略と取組み〉

a:『ダイバーシティの推進』

 少子高齢化に伴う労働人口の減少が大きな課題となっている今、当社グループも女性や高齢者、外国人、障がい者といった様々な人材の活用が求められています。また、従業員が互いに多様な価値観を認め合い、新たな意見を取り入れたイノベーションを起こすためにも、誰もが安心して働ける環境の整備、必要人材の採用・登用を進める必要があります。当社グループでは「ダイバーシティの推進」をマテリアリティに掲げ、以下の取組みを通じて多様な人材が活躍する組織を目指します。

(取組み)

・管理職・係長向け アンコンシャス・バイアス研修を実施

・障がい者雇用の推進(きょくとう柏ファーム、きょくとう八千代ファームの運営等)

・外国人技能実習生の受け入れ

・フレキシブルな勤務形態の推進(育児・介護・傷病等による時短や休暇、フレックスタイム制、時差出勤、在宅勤務、計画有給制度、有給の時間単位取得)

・男性の育休取得促進を目的とした、管理職向け 法令改正説明セミナーの実施 など

 

b:『従業員エンゲージメントの向上』

 当社グループが経営理念に則り社会へ奉仕し続けるためには、個々の従業員が仕事を通じて価値創造のできる人材になる必要があると考えています。そのために、従業員のエンゲージメント向上を目指し、「ワーク・ライフ・バランスの追求」と「人財の育成」及び「健康経営」をマテリアリティとして特定しています。これらのマテリアリティへの取組みを通じて、従業員エンゲージメントを高めることで、社是にもある「和協」の精神を深化させ、誇りを持って働く従業員の育成を進めます。また当社グループと従業員がビジョンを共有しwin-winな関係を築くためにも、従業員の意見や考えを活かし、協議できる仕組み・文化づくりが必要だと考えています。

 

(取組み)

・従業員表彰制度の運用

・自己啓発通信教育奨励制度、資格奨励金制度の運用

・能力開発のための各種研修の実施(オンライン研修、動画研修サービスの実施)

・各種福利厚生の運用

・健康経営推進による健康づくり活動(ウォーキングキャンペーン)

・睡眠の大切さを勉強する睡眠セミナー動画配信

・クラブ活動の補助

・定期的な労使間協議の実施(年間10回以上) など

 

c:『人権(ハラスメントの根絶・心理的安全性の向上)』

 ハラスメントやコンプライアンス違反などが発生しない職場づくりを目指し、「人権への配慮」をマテリアリティに掲げ、各種教育やガバナンス体制の構築を推進しています。また、万が一、従業員の人権が侵害される事態が発生した場合にも速やかに是正・救済措置にアプローチできるよう、内部通報制度として「企業倫理ヘルプライン」や相談窓口を複数設置しています。また、2024年度からはハラスメントに特化したハラスメント相談窓口も新たに設置しました。これらの仕組みの周知や、活用・相談がしやすい環境づくりを進めています。

 また、管理職を中心に、ハラスメントに関する正しい知識を身に着け、これを予防するための研修を行っています。

(取組み)

・企業倫理ヘルプライン、ハラスメント相談窓口の設置

・「ハラスメント相談委員」の設置

・人事部門、労働組合を窓口とする社内相談の受付

・提携保健師による健康相談の実施

・管理職向けハラスメント研修を実施 など

 

③リスク管理

 当社グループにおける人的資本に関わる課題につきましては、サステナビリティ委員会にてマテリアリティとして特定されており、サステナビリティにおけるリスク管理の考え方と同様であることから、(1)当社グループにおけるサステナビリティの考え方及び取組み ③リスク管理の項目をご参照下さい。

 

④指標及び目標

 2030年度までのグループ目標「長期経営ビジョン」及び「中期経営計画2025-27 -Creating The Future As One (Ⅱ)-」の中に、「経営業績ビジョン」と併せ環境・人・ガバナンスに関わる指標として「サステナビリティビジョン」、「サステナビリティ目標」を掲げています。

 また、人的資本の課題については中期・長期の指標に加え、より多角的に組織の現状をモニタリングするため、複数の指標を併せて用いています。利用指標の詳細は以下の通りです。

 

a:『ダイバーシティの推進』

・採用者数(国内)における女性比率

・女性社員比率

・女性管理職比率

・男女間賃金格差

 

b:『従業員エンゲージメントの向上』

・従業員エンゲージメント

・男性育休取得率

・3年間の新規採用者の定着率

・平均勤続年数

・年間総労働時間

 

c:『人権(ハラスメントの根絶・心理的安全性の向上)』

・提携保健師による健康面談件数

・管理職向けハラスメント研修受講者数

 

当該指標に関する2024年度における実績と進捗は次の通りです。

 

2024年度実績(2025年3月末日時点)

a)『ダイバーシティの推進』に関する指標

項目

極東開発工業

日本トレクス

女性社員比率

11.1%

10.8%

採用者数における女性比率

14.3%

7.5%

女性管理職比率

0.8%

1.1%

男性育休取得率

35.0%

43.5%

男女の賃金格差(全従業員)男性=100

64.6%

70.6%

男女の賃金格差(正社員)男性=100

67.8%

71.7%

男女の賃金格差(パート・契約社員)男性=100

67.7%

68.3%

 

b)『従業員エンゲージメントの向上』に関する指標

項目

極東開発工業

日本トレクス

平均年齢(全従業員)

男性:42.1歳

女性:40.4歳

男性:40.5歳

女性:42.5歳

平均勤続年数(全従業員)

男性:16.9年

女性:10.8年

男性:14.3年

女性:12.1年

平均年齢(正社員)

男性:40.6歳

女性:38.1歳

男性:39.4歳

女性:41.2歳

平均勤続年数(正社員)

男性:16.4年

女性:10.8年

男性:14.3年

女性:12.6年

従業員エンゲージメント ※

3年間の新規採用者の定着率(定期採用)

90.0%

90.0%

※従業員エンゲージメントについては、基準の見直しを行い、2025年度よりモニタリング開始予定のため、記載していません。

 

c) 『人権(ハラスメントの根絶・心理的安全性の向上)』に関する指標

項目

極東開発工業

日本トレクス

提携保健師による健康面談件数

310

158件

管理職向け ハラスメント研修受講者数

231

101名

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 

(リスクマネジメントについて)

 当社グループでは、日々変化する経営環境を把握し分析することで、備えるべき様々な「リスク」の状況を監視しています。それぞれのリスクは関連の事業部や部署にて監視・情報収集を実施しており、リスクをコントロールしながら収益機会の創生と最大化に努めています。

 当社グループは、経営における全社リスクに関わる重要事項を経営会議にて議論・決定しており、決定された内容のうち特に重要と判断される事項は取締役会に報告しています。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響については合理的に予見することが困難であるため記載していません。また、当社グループがリスク要因に対して影響を軽減するための対応内容につきましては、決定済みの内容についてのみ記載し、未定のものは今後リスク毎にシナリオを仮定し優先順位をつけて議論を進めます。

 ここで記載する内容は、有価証券報告書提出日(2025年6月26日)現在において当社グループが合理的であると判断したものです。

 

(リスクが顕在化した際の組織体制)

 当社グループでは、リスクの顕在化に備え、「経営危機管理規定」を制定しています。本規定では、経営状況に関わる顕著なリスクが顕在化した場合に、リスク管理の担当役員を中心とした対策本部を設置する手順を定めています。設置された対策本部は迅速に対応方針の決定および事態の収拾と再発の防止をはかります。また、対策本部は、危機の内容、対応策、再発防止策等を速やかに取締役会に報告します。

 

(当社グループが想定する事業等のリスク)

① 人材確保

 人材流出や採用難は少子高齢化、人口減少の環境下において今後さらに深刻化していくとみられ、人材不足を起因とした品質やサービスの低下による当社グループへの業績への悪影響を及ぼす可能性があります。

 このため、当社グループは連結全体での人材の採用や育成を強化するとともに、連結内人材の活用を促進することで必要人材の確保を行っていきます。加えて人事制度や福利厚生の見直しや拡充を図ることで多様かつ柔軟な働き方の実現に努めていきます。

 

② 特定の取引先への依存

 特装車事業は、各種の特装車を国内のトラックメーカー、及びその系列のディーラー、商社等へ販売しており、技術面においても車種ごとに種々の製造・販売に関するノウハウを構築しています。

 また、環境事業につきましては、自治体や産業廃棄物処理業者向けに各種のごみ処理プラントの建設、アフターサービスや運転受託等の事業を行っています。

 このため、各種の特装車の販売先や需要の動向、地方自治体の公共投資の動向等は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 特有の法的規制

 特装車事業に関しては、道路交通法、道路運送車両法、道路法など関連法規の適用を受けます。これらの法規が制定又は改訂されることにより、基準に適合しない製品は使用又は保有が認められなくなることがあるため、適用期日前の駆け込み需要や、適用後の反動による減少などが発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 環境事業に関しては、ごみ処理プラントの建設工事が建設業法等の規制の対象となり、国土交通大臣より建築工事業や清掃施設工事業等の許可を得て事業を展開しています。これらの規制が制定又は改訂されること、あるいは許可を得られないこと等により、プラント建設工事の受注ができず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 原材料価格の変動

 当社グループでは、生産に必要な鋼材をはじめとする原材料や部品等の多くを外部から調達しています。これらの価格が変動した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 海外での事業活動

 当社グループでは、製品の輸出や、現地法人での生産、販売並びに部品の調達等を行っています。予期し得ない景気変動、通貨価値の変動、法律や規制の変更等、経済的に不利な要因の存在又は発生、テロ、戦争、その他の要因による社会的又は政治的混乱等のリスクが存在します。こうしたリスクの顕在化により、当社グループの業績及び計画に影響が生じる可能性があります。

 

⑥ 取引先の信用リスク

 当社グループは国内、海外において様々な取引先と取引をしています。取引先の信用不安などによる貸倒れリスクが顕在化した場合は、損失や引当が必要となる場合があり、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ リコール及び製造物責任

 当社グループが提供する製品やサービスにおいては、当社が定める品質基準に基づいた管理を行っているものの、想定外の不具合や欠陥が生じるリスクがあります。大規模なリコールや製造物責任による損害賠償等が発生した場合は、当社グループのブランド価値の低下を招くほか、損失の発生等により、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 固定資産の減損

 当社グループは事業の用に供する様々な固定資産を有していますが、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」等の適用により、このような資産において、時価の下落や将来のキャッシュ・フローの状況によっては、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となる場合があり、減損損失が発生した場合、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 資本・業務提携、M&A

 当社グループでは将来的な成長に向けた競争力強化の一環として、国内外他社との事業・資本提携やM&Aを行うことがありますが、今後の市場及び事業環境の変化などにより、当初想定していた効果を得ることができない場合や、提携・出資先の事業、経営及び資産の悪化等が生じた場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 大規模自然災害

 当社グループは大規模地震や台風等の自然災害の発生を想定し、事業継続のための各種対策及び連絡体制等の施策を講じていますが、実際に大規模な自然災害が発生し、施設・設備の損壊等による人的被害や事業の中断が生じた場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 感染症の流行

 社会的影響の大きな感染症の拡大が発生した場合、次の因果関係により各セグメントの業績に影響を及ぼす可能性があり、その結果、当社グループの連結業績及び財政状況に影響が生じる可能性があります。

 

・特装車事業

営業活動における新規商談の遅延及びキャンセル

生産活動におけるトラック搬入の遅延や部品調達等サプライチェーンへの影響

・環境事業

営業活動における新規商談の遅延及びキャンセル

建設工事における工期や建設資材調達の遅延

・パーキング事業

営業活動における新規商談の遅延及びキャンセル

建設工事における工期の遅延や部品調達等サプライチェーンへの影響

外出規制等によるコインパーキング部門の収益低下等

 

⑫ その他当社グループの現況に関する重要な事項

 当社と当社子会社である日本トレクスは、製造する「架装物」の販売をめぐってカルテルを結んでいた疑いがあるとして、2024年11月12日、公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。

 事実関係につきましては調査中でございますが、当社及び日本トレクスは、今後も公正取引委員会の検査に全面的に協力してまいります。

 公正取引委員会による調査の結果、本件に関して当社及び日本トレクス株式会社に独占禁止法に違反する行為があったと認定された場合、それに伴う課徴金納付命令等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 なお、「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号 2022年10月28日。以下「2022年改正会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しています。当該会計基準は遡及適用され、本項に記載の前連結会計年度については遡及処理後の数値で比較分析を行っています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 「注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりです。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善や、企業の好調な業績を背景とした設備投資の増加などにより緩やかな回復基調が続いた一方で、継続的な物価高に加え、米国新政権の政策動向による世界経済への影響の懸念等によって、景気は依然として先行きが不透明な状況となっています。

 このような状況下、当社グループは2031年3月期(2030年度)を見据えた長期経営ビジョン ~Kyokuto Kaihatsu 2030~の実現に向けた第1ステップである中期経営計画(3カ年計画)2022-24 ~Creating The Future As One~(2022年4月1日~2025年3月31日)の総まとめとして、生産性向上による利益体質の強化や、持続的成長と変革を支える強固な事業基盤の構築など各施策の実行に努めました。

 この結果、当連結会計年度末の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の財政状態は前連結会計年度末と比較して、総資産は17,331百万円(10.2%)増加して187,748百万円、負債合計は17,753百万円(33.7%)増加して70,476百万円、純資産合計は422百万円(0.4%)減少して117,271百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の業績は、売上高は前連結会計年度と比較して(以下、前期比)12,423百万円(9.7%)増加し140,449百万円となりました。営業利益は前期比1,831百万円(38.0%)増加し6,656百万円、経常利益は前期比1,273百万円(22.7%)増加し6,890百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比2,319百万円(66.2%)増加し5,820百万円となりました。

 

 次に連結ベースでのセグメントの概要を前連結会計年度と比較してご説明申しあげます。

 

・特装車事業

 受注は国内・海外ともに底堅く、好調に推移しました。また継続的に取り組んできた製品価格改定の効果が表れたことや、トラックシャシの供給が徐々に改善してきたこと等に伴う生産性の向上により、売上高・利益共に増加しました。

 なお、2025年4月に特装車の一部製品及び特装車向け補修用部品について販売価格の改定を行っています。

 国内の取り組みとしては、営業体制の強化とストックビジネスの拡充を目的として、2024年4月に当社東北支店を移転拡張しました。同拠点は直営サービス工場である「エフ・イ・オート 仙台サービスセンター」も併設しています。また2024年12月には、横浜工場で小型リヤダンプトラックボデー自動化ラインが、2025年3月には日本トレクスが本社工場内にて建設しておりましたトレーラ生産用の新工場棟がそれぞれ完成し、生産体制の強化を図りました。

 さらに、2024年10月に2t車級回転板式ごみ収集車「パックマン®」(排出板押出式)をフルモデルチェンジしたほか、東京都港区様にBEVシャシ向け電動式ごみ収集車「eパッカー®」の特別仕様車で、日本初となる「eCanter」架装の環境学習用スケルトンパッカー車を納車しました。

 今後に向けた成長投資としては、IoT・AI等の新技術をはじめ、カーボンニュートラルに向けた社会的変革に対応する研究開発体制の強化を目的とした当社グループ研究開発拠点(極東開発グループテクニカルセンター)の建設を進めました。

 海外事業では、インドのグループ会社であるSATRAC社がチェンナイ市近郊の新工場建設を進めたほか、2024年12月にオーストラリアの特装車メーカーであるSTG Global Holdings Pty Ltdの株式を取得し、グループ化いたしました。今後、各国の多様なニーズに対応した高品質な製品をタイムリーに提供できる体制を構築し、海外事業のさらなる成長・拡大を図ってまいります。

 当セグメントの売上高は前期比11,593百万円(10.8%)増加し118,708百万円となりました。営業利益は前期比2,224百万円(90.7%)増加し4,676百万円となりました。

 

 

・環境事業

 プラント建設では受注済物件の建設工事と新規物件の受注活動を進めた結果、2024年6月に兵庫県尼崎市様より一般廃棄物処理施設の整備・運営事業を、2024年7月に石川県輪島市と穴水町の1市1町で構成される輪島市穴水町環境衛生施設組合様よりマテリアルリサイクル推進施設の整備工事を、2024年9月に大分県由布市様よりごみ中継施設の整備工事をそれぞれ受注しました。

 併せて、メンテナンス・運転受託等のストックビジネスについても引き続き注力しました。

 当セグメントの売上高は前期比371百万円(2.7%)増加し14,193百万円となりました。営業利益は前期比127百万円(4.8%)増加し2,772百万円となりました。

 

・パーキング等事業

 立体駐車装置はリニューアル及びメンテナンス等のストックビジネスに注力し収益の確保を図ったほか、新規物件の積極的な受注活動にも注力しました。

 コインパーキングは稼働率の向上と採算性重視の事業展開を進め、売上・利益の確保を図りました。

 また新事業である立体駐車装置・コインパーキング向けEV用充電設備設置・充電管理サービス「Charge-mo® (チャージモ)」の展開を進めました。

 当セグメントの売上高は前期比487百万円(6.3%)増加し8,187百万円となりました。営業利益は前期比66百万円(8.5%)増加し847百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて855百万円(4.4%)増加して、20,253百万円となりました。

 その主な内訳は次のとおりです。

 

・営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動による資金収支は、5,225百万円(前期比+7,070百万円)となりました。これは売上債権の減少等によるものです。

 

・投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動による資金収支は、△15,472百万円(前期比△5,989百万円)となりました。これは連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得等によるものです。

 

・財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動による資金収支は、11,200百万円(前期比+12,696百万円)となりました。これは短期借入金の増加等によるものです。

 

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

特装車事業

118,683

+10.8

環境事業

14,193

+2.7

パーキング等事業

7,572

+6.8

合計

140,449

+9.7

(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

特装車事業

134,475

+29.6

99,561

+21.1

環境事業

21,801

△30.0

47,510

+19.1

パーキング等事業

3,725

+8.4

1,960

+14.0

合計

160,002

+15.7

149,032

+20.3

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。

2 パーキング等事業に含まれるコインパーキング及び不動産賃貸につきましては、継続取引のため除いています。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

特装車事業

118,683

+10.8

環境事業

14,193

+2.7

パーキング等事業

7,572

+6.8

合計

140,449

+9.7

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しています。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産、負債の計上金額及び偶発資産、偶発負債の開示及び報告期間における収益・費用の計上金額に影響を与えるような見積り、判断、仮定を必要とします。

 当社グループは、継続的に過去の実績あるいは状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な仮定に基づき、その見積りと予測を評価しています。これらの評価の結果は、資産、負債、収益及び費用の計上金額についての判断の基礎となります。

 これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。当社グループは会社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与え、かつその適用にあたってマネジメントの重要な判断や見積りを必要とするものを重要な会計方針であると考えており、その具体的な内容につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりです。

 

経営成績の分析

・売上高

 当連結会計年度における売上高は、主に特装車事業において半導体不足等に伴う国内トラックシャシの供給遅延が改善したことや、環境事業においてプラントが1物件竣工したことなどから、前連結会計年度と比較して、12,423百万円(9.7%)増加して140,449百万円となりました。各報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に対する割合は、特装車事業が84.5%、環境事業が10.1%、パーキング等事業が5.4%となりました。

 

・売上総利益

 当連結会計年度における売上総利益は売上高の増加等により前連結会計年度と比較して、4,049百万円(19.6%)増加して24,752百万円となりました。

 

・営業利益

 当連結会計年度における営業利益は製品価格の改定等により前連結会計年度と比較して、1,831百万円(38.0%)増加して6,656百万円となりました。

 

・経常利益

 当連結会計年度における経常利益は営業利益の増加等により前連結会計年度と比較して、1,273百万円(22.7%)増加して6,890百万円となりました。

 

・親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における親会社株主に属する当期純利益は投資有価証券売却益の計上等により前連結会計年度と比較して、2,319百万円(66.2%)増加して5,820百万円となりました。

 

 

財政状態の分析

 当連結会計年度末の財政状態は、前連結会計年度末と比較して、総資産は17,331百万円(10.2%)増加して187,748百万円となりました。

 流動資産につきましては、棚卸資産の増加等により5,527百万円(6.0%)増加して96,933百万円となりました。

 固定資産につきましては、のれんの増加等により11,803百万円(14.9%)増加して90,814百万円となりました。

 負債につきましては、流動負債は短期借入金の増加等により17,590百万円(51.1%)増加して52,023百万円、固定負債はその他に含まれるリース債務の増加等により163百万円(0.9%)増加して18,453百万円となりました。

 純資産につきましては、その他有価証券評価差額金の減少等により、422百万円(0.4%)減少して117,271百万円となりました。

 なお、当連結会計年度末現在の自己資本比率は61.8%(前連結会計年度末68.7%)となりました。

 

キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3  事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりです。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、鋼材や部品等をはじめとした材料の仕入れのほか、外注費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものです。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としています。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は30,185百万円となっています。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は20,253百万円となっています。

 

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりです。

 2030年度を見据えた長期経営ビジョン ~Kyokuto Kaihatsu 2030~では、連結ベースで売上高200,000百万円、営業利益率10%、ROE10%とすることを経営目標としています。

 また、当連結会計年度は本長期経営ビジョン実現に向けた第1ステップである中期経営計画 2022-24 ~Creating The Future As One~ (2022年4月1日~2025年3月31日)の最終年度であり、連結売上高は目標(140,000百万円)を上回り140,449百万円となりましたが、営業利益率は目標7%以上に対し4.7%と未達となりました。この結果も踏まえ、2030年度の長期経営ビジョンの実現に向けた第2ステップとして新中期経営計画 2025-27 [ Creating The Future As One (Ⅱ) ](2025年4月1日~2028年3月31日)を策定し、2027年度において売上高190,000百万円、営業利益率8%、ROE8%の達成を経営目標としており、本目標を達成すべく諸施策を実行してまいります。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

5【重要な契約等】

販売提携契約

会社名

契約対象品目

契約内容

相手方の名称

国名

契約期間

提出会社

床下格納式ゲート

床下格納式ゲートの販売提携・アフターサービス

日本フルハーフ株式会社

日本

自 2000年4月1日

至 2026年3月31日

(注) 契約期間が2025年3月31日付をもって終了となっていましたが、契約期間を延長して上記のとおりとしました。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発は、新規製品、新技術の開発、新分野の開拓、既開発製品の改良を主体とし、当社及び連結子会社の日本トレクス株式会社並びに極東開発パーキング株式会社が担当して行っています。

 当社の研究開発において、新規製品、新技術の開発、新分野の開拓は主として技術本部及び環境事業部が担当し、既に商品化している製品の改良開発、シリーズ拡大などは各工場及び環境事業部が技術本部と共同で行っています。

 また、連結子会社の日本トレクス株式会社においては、新規製品、新技術の開発並びに製品の改良開発は開発部が担当しており、連結子会社の極東パーキング株式会社においては、新規製品、新技術の開発並びに製品の改良開発は技術部が単独もしくは当社の技術本部と共同で行っています。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は1,938百万円です。

 

<特装車事業>

 特装車事業では、当社及び連結子会社の日本トレクス株式会社において、物流、荷役、環境保全に注力し、流通コストの低減、省力化、安全性や操作性の向上に貢献できる製品の開発・改良・シリーズの拡大など商品力の強化に取り組んでいます。

 

 当連結会計年度に開発が完了した主な製品は次のとおりです。

・2トン車級回転板式ごみ収集車「パックマン®」(排出板押出式)をフルモデルチェンジ

・ハルデックス製EBSモジュレーター採用

・クイックリリースバルブ廃止によるエアバッグ噛み込み対策

・空力性能改善ボデーの開発

・いすゞ完成車(Gカーゴ)の軽量化

・ウィングボデー向アルミ製中間ポストの変更

・パネクトパネルバン外板繊維強化プラスチックの採用

 

 当連結会計年度における産業財産権の出願件数は132件で、研究開発費は1,709百万円です。

 

<環境事業>

 環境事業では、当社において、地球規模で叫ばれている環境保全・リサイクル化の観点から、益々重要となる廃棄物処理のトータルシステムの構築を目指し、資源ごみの選別装置、RDF(ごみ固形燃料化)装置、バイオガスプラントなどの技術開発・改良に取り組んでいます。

 当連結会計年度における産業財産権の出願件数は0件で、研究開発費は195百万円です。

 

<パーキング等事業>

 パーキング等事業では、連結子会社の極東開発パーキング株式会社において、集合住宅向け立体駐車装置のシリーズ化・改良・開発を行っています。

 当連結会計年度における産業財産権の出願件数は7件で、研究開発費は33百万円です。