文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社では、「合理性、透明性の高い経営を実践し、企業価値を高め、社会から信頼される会社をめざす」、「自然と調和した資源の活用と再生を考え、美しい地球の環境保全に努める」、「先端技術の開発に努め、お客様、市場との率直な対話を通じて、付加価値の創造と共有を図り、社会に貢献する」、「広く人材を求め、登用の多様性を図る」の4つの経営理念を掲げております。これらの経営理念を踏まえ、企業価値を向上させるべく、時代の変化やニーズの変化を的確に捉え、ステークホルダーの期待に応えるよう業務の変革に挑戦してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略
収益改善に向けた施策を着実に実行し、成長事業への経営資源の集中と選択を進め、安定的な収益基盤の構築を図ってまいります。
(3)目標とする経営指標
売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本比率及び自己資本利益率(ROE)について重要な経営指標として位置付け、その向上に取り組んでおります。
(4)経営環境
今後の経済見通しは、コロナ禍後の社会経済活動の正常化が一段と進展する一方で、ウクライナや中東地域をめぐる情勢不安、世界的な金融引き締めの影響、中国経済の減速懸念等の海外経済の下振れ要因も並存しており、先行きは依然として不透明な状況が続くことが見込まれます。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、更なる成長・持続的な成長の実現に向け、これまで実施してまいりました事業構造改革を更に継続進展させてまいります。
また、コロナ禍からの社会経済活動の回復が進展する一方で、ウクライナや中東地域をめぐる情勢不安、世界的な金融引き締めの影響、中国経済の減速懸念等の海外経済の下振れ要因も並存する厳しい環境下ではありますが、生産性の向上及びコストの削減を着実に進め、更なる収益性の改善・向上に確実につなげてまいります。
現在、自動車業界は100年に一度と言われる大変革期を迎え、世界的に脱炭素・カーボンニュートラルの流れが一段と加速しておりますが、エンジン部品メーカーである当社は、この大きな外部環境の変化に適切に対応していく必要があります。
その大きな変化を乗り越えるために、当社グループは新規事業の創出を最優先課題として、経営資源を集中的に投入し優先的な取り組みを展開してまいります。
また、更なる企業価値の向上に向け、引き続き、売上高の拡大・収益の拡大に努めて行く必要がありますが、そのためにも、従来からの自動車関連事業に固執することなく、それに加え、新たに非自動車関連事業についても積極的に展開・対応してまいります。
(6)具体的取組状況
事業構造転換に向けたインフラの整備及び諸施策を継続的に実施してきており、具体的には新規営業推進活動の積極的な展開、経費の削減、材料費の削減、製品別採算見直しによる販売価格の改定、生産性の向上等に取り組んでおります。
また、2021年度にスタートした3ヶ年の中期経営計画は、大きな外部環境の変化に適切に対応するとともに、その変化を乗り越えるために「将来の主力となるべき新規事業の創出」を最優先課題として、全社を挙げて積極的な対応を図ることを基本方針として活動してまいりました。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、中長期的な企業価値向上のためサステナビリティを巡る課題への対応は経営の重要課題と認識しております。今後、サステナビリティを巡る課題への対応に関して体制整備をおこない、基本方針の策定を検討してまいります。また、その進捗については、取締役会で定期的にフォローしてまいります。管理体制は、当社のコーポレート・ガバナンス体制において運用してまいります。なお、ニッキグループコーポレートガバナンスガイドラインとして、ガバナンス体制を当社ホームページ(https://www.nikkinet.co.jp/)に開示しております。
なお、当社は、全社の全部門が環境改善活動に参画する体制を構築しております。当社の全体の目標から、部門の各階層における中期3ヶ年の改善の目標を設定し、毎年具体的な手段を明確にした四半期ごとの実施計画を策定して改善活動を推進しております。またISO14001の継続取得や利害関係のニーズ、期待・リスク及び機会の分析に基づいた内部監査を年1回実施することにより、環境マネジメントレベルの維持向上とパフォーマンスの向上に努めております。
(環境経営推進体制)
(2)戦略
①環境(気候変動を含む)
当社は環境中期計画(2024年~2026年)を策定しており、その基本方針及び取り組みは次のとおりです。
基本方針
・持続可能な開発目標を念頭に、世界的な脱炭素・カーボンニュートラルに向けた取り組みを進めるため、「地球環境保全」「社会との共存」「環境マネジメントシステムの推進」に取り組む。
・循環型社会の構築を目指し社会的責任を果たすとともに、サステナビリティの課題を重視した「企業イメージの向上」と「ステークホルダーの信頼感の獲得」を図る。
取組項目及び環境目的
②人的資本
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備については、能力や適性など総合的に判断する人事評価制度により、性別・国籍や採用ルートによらず登用しておりますが、従業員に占める女性・外国人の比率が大きくないため、現時点では測定可能な数値目標を定めるには至っておりません。今後も多様性の確保に向けた施策を推進するとともに、目標についても引き続き検討してまいります。
(3)リスク管理
当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が求める、気候関連のリスクと機会がもたらす当社組織の事業、戦略、財務計画への現状及び潜在的な影響を以下に分析しております。
それらシナリオ分析の結果も含めてTCFD提言に沿った開示を試行しております。また、今後も継続的に提言に準拠した開示ができるように取り組みを進めてまいります。
(不確実性の高い気候変動について、2つのシナリオで2030年の社会を考察)
世界平均地上気温変化(1986年~2005年平均との差)
・4℃シナリオ(低炭素・炭素循環は推進されず、化石燃料の依存が継続)
異常気象の激甚化により物理的リスクが増加、力による支配が他地域で拡大、資源の奪い合い、他
・2℃シナリオ(脱炭素化が推進され、電動化対応関連機器・水素関連商品の需要が拡大)
BEV化が頭打ち、次世代燃料へのニーズが拡大し、代替燃料噴射システム(水素・アンモニア・e-fuel等)の需要が増大、再エネの普及が進行し、電力価格が上昇
(今後のTCFDに関する取り組み(案))
TCFDの開示
・分析結果を基に、不足情報の作成及び中・長期CO2削減目標を設定することにより、引き続き開示を行ってまいります。
開示後の取り組み
・分析結果の開示後はCG報告書及び当社HPにて、ステークホルダーの皆さまに公表し、開示内容の見直し(精度向上)を図ってまいります。
(4)指標及び目標
①環境
・電力使用量の削減
当社では、世界的な脱炭素・カーボンニュートラルに向けた取り組みを進めるため、地球温暖化防止対策として、事業活動による主要な使用エネルギー源である電力の使用量削減を中心に取り組み、2005年から毎年前年度比1%削減を目標に活動してまいりました。特に、2022年度は新本社工場が完成し、徹底した資源削減及び効率化を図った結果、前年度比20.7%の削減となりました。引き続き2050年のカーボンニュートラル実現に向けて生産量(業務量)と資源削減のバランスに取り組んでまいります。
・CO₂排出量の削減
2022年度の使用エネルギーによる温室効果ガス(GHG)のCO2排出量は2,133t-CO2となりました。その結果、2022年度は2021年度に対して22.4%削減することができております。主な要因としては、新本社工場完成によりCO2全体の削減ができたことによります。今後も、引き続き政府方針を見据えた、サステナブルな改善活動により、電力使用量・CO2排出量の削減を実施し、カーボンニュートラル実現に向けて継続的にエネルギー全体の削減に取り組んでまいります。
・海外子会社電力使用量の削減
当社及び関連子会社では、地球温暖化防止対策として、グローバルな視点で使用エネルギー源である電力の使用量削減に取り組んでおります。その結果、2022年度は子会社全体で前年度比13.5%の削減となりました。引き続きニッキグループ全体として、使用エネルギー・資源(試験油・水・他)の削減と生産効率向上に取り組んでまいります。
なお、各指標につきましては、更新時期は未定でありますが更新した場合は当社ウェブサイト(https://www.nikkinet.co.jp/csr/)環境報告書にて開示致します。
②人的資本
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータの管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
(2024年3月31日時点)
・従業員における男女比率 男性:88.4%、女性:11.6%
・男女の平均勤続年数 男性:19.5年、女性:18.4年
・管理職に占める女性労働者の割合 2.78%
なお、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づく行動計画の目標としては、採用者に占める女性の割合について30%以上を継続して確保することとしております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)海外依存度及び為替変動に伴うリスクについて
当社グループの海外売上高比率は2023年3月期58.1%、2024年3月期57.0%と高い比率を占めております。特に米国への売上高は、当連結会計年度において40億4千4百万円と連結売上高の43.2%を占めております。このため、当社グループの財政状態及び経営成績は海外マーケットの状況及び為替相場の変動により影響を受ける可能性があります。
(2)国際活動におけるリスクについて
当社グループは、複数の国において事業を展開しており、それぞれの地域における治安悪化やテロ、戦争等の政治的、経済的混乱等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)環境にかかる法的規制等の影響について
当社は、「自然と調和した資源の活用と再生を考え、美しい地球の環境保全に努める」ことを経営理念の一つとし、環境に対し悪影響を与える物質の削減を考慮した設計・開発を行っております。しかし、当社グループが提供する製品及びサービスは、自動車・小型エンジン用気化器並びに燃料関連デバイス、ガス燃料供給システム機器であり、製品を使用する国、地域の環境保護規制・法律により規制の対象となった場合は当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)企業買収等について
昨今、新しい法制度の整備や企業構造の変化等を背景に、会社の経営陣の賛同を得ることなく、一方的に大量の株式の買付を行う動きが顕在化しつつあります。そうした中で当社グループが企業買収を実施したり、または企業買収の対象となる場合があります。買収の目的や買収後の経営方針によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)クレーム処理費用の発生について
当社は、「お客様の満足と信頼に応えるため、品質最優先に徹した商品とサービスを提供する。また、この活動を通して一人一人が成長し、ものづくりの達成感・充実感を感じていく。」を品質方針としており、要求事項への適合及び品質マネジメントシステムの有効性の継続的改善を行っております。しかし、将来において大規模なクレーム処理費用の発生や製造物責任賠償につながるような欠陥が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が一段と進み、個人消費や設備投資に持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調で推移したものの、原材料・エネルギー価格の高騰や物価上昇の長期化、先行き不透明な為替変動等の影響もあり、依然として予断を許さない状況が続いております。
また、世界経済は、ウクライナや中東地域をめぐる情勢不安、世界的な金融引き締めの影響、中国経済の減速懸念等の海外経済の下振れ要因も並存しており、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当連結会計年度の業績は、中国市場向けガス製品の販売増加等により、連結売上高は93億5千5百万円(前連結会計年度比6.3%増加)となりました。
損益につきましては、原材料コスト・物流コストの上昇や減価償却費の増加、電動系新商品の開発費の先行負担等の影響もあり、営業利益は9億4百万円(同22.7%減少)、経常利益は12億7千8百万円(同9.1%減少)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産の譲渡に伴う特別利益の計上等もあり、21億9千2百万円(同149.6%増加)となりました。
事業の種類別セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度において、株式会社神奈川精工の株式を取得し、新たに連結の範囲に含めたことにより、当連結会計年度より報告セグメントとして新たに「産業機器事業」を追加しております。また、「産業機器事業」については、前連結会計年度の実績がないため、比較情報を記載しておりません。
ガス機器事業は、受託実験の増加や中国市場向け製品の販売増加等により、売上高は34億4千3百万円(同6.3%増加)となりましたが、新商品の立上げに伴う投資負担等もあり、営業利益は2億5千5百万円(同23.8%減少)となりました。
汎用機器事業は、主要マーケットである米国市場の在庫調整の影響等により、売上高は41億1百万円(同1.1%減少)となりましたが、為替相場が想定よりも円安基調で推移したこと等により、営業利益は6億円(同8.1%増加)となりました。
自動車機器事業は、フォークリフト向けキャブレターの販売増加等により、売上高は9億3千7百万円(同8.6%増加)となりましたが、電動系新商品の開発費の先行負担等もあり、営業損失は2億8千4百万円(前連結会計年度は1億3千8百万円の損失)となりました。
産業機器事業は、売上高は3億3千9百万円となりましたが、のれんの償却負担等もあり、営業損失は4千4百万円となりました。
不動産賃貸事業は、賃貸不動産の変更(譲渡・取得)等により、売上高は5億3千2百万円(同3.3%減少)、営業利益は3億7千7百万円(同9.2%減少)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローの増加(19億1千8百万円)が投資活動によるキャッシュ・フローの減少(24億5千2百万円)及び財務活動によるキャッシュ・フローの減少(3億6千7百万円)を下回り、また、現金及び現金同等物に係る換算差額(1億5千8百万円)の増加による調整を行った結果、現金及び現金同等物の残高は、38億3千1百万円(前連結会計年度は45億7千5百万円)となり、前連結会計年度より7億4千4百万円減少しました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は19億1千8百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益(30億6千6百万円)、固定資産除売却損益(16億5千1百万円)、減価償却費(6億7千3百万円)、売上債権の減少(3億1百万円)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は24億5千2百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出(45億8千9百万円)、有形固定資産の売却による収入(34億9千5百万円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出(12億2千7百万円)、定期預金の預け入れによる支出(6億9千9百万円)、定期預金の払戻しによる収入(5億3千3百万円)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は3億6千7百万円となりました。これは主に長期借入金の返済による支出(2億9百万円)、配当金の支払額(1億4千7百万円)によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ガス機器事業(千円) |
3,733,305 |
111.1 |
|
汎用機器事業(千円) |
3,557,630 |
76.5 |
|
自動車機器事業(千円) |
947,763 |
109.9 |
|
産業機器事業(千円) |
365,076 |
- |
|
合計(千円) |
8,603,774 |
96.9 |
(注)金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は各メーカーの生産内示に基づいた生産であり、受注高は生産高にほとんど等しくなるため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ガス機器事業(千円) |
3,443,858 |
106.3 |
|
汎用機器事業(千円) |
4,101,227 |
98.9 |
|
自動車機器事業(千円) |
937,893 |
108.6 |
|
産業機器事業(千円) |
339,779 |
- |
|
不動産賃貸事業(千円) |
532,630 |
96.7 |
|
合計(千円) |
9,355,388 |
106.3 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
グローバルコンポーネントテクノロジー株式会社 |
2,014,301 |
22.9 |
1,910,128 |
20.4 |
|
Briggs & Stratton Corporation |
1,404,900 |
16.0 |
1,395,068 |
14.9 |
|
Kohler Co. |
907,680 |
10.3 |
1,278,000 |
13.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、固定資産の減損会計、繰延税金資産の回収可能性の判断等については、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果と異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は90億3千9百万円(前連結会計年度末は97億5千2百万円)となり、前連結会計年度末と比べて7億1千3百万円減少しました。主な増減項目は、現金及び預金の減少(5億円)、商品及び製品の減少(2億8千万円)、売掛金の減少(1億3千9百万円)、その他流動資産の減少(1億1千7百万円)、仕掛品の増加(3億6千3百万円)であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は140億2千5百万円(前連結会計年度末は105億2千4百万円)となり、前連結会計年度末と比べて35億1百万円増加しました。主な増減項目は、建物及び構築物の増加(20億1千6百万円)、機械装置及び運搬具の増加(8億2千8百万円)、のれんの増加(5億9千9百万円)、投資有価証券の増加(3億円)、その他投資資産の増加(1億9千9百万円)、建設仮勘定の減少(9億1千8百万円)であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は59億9千2百万円(前連結会計年度末は51億6千1百万円)となり、前連結会計年度末と比べて8億3千万円増加しました。主な増減項目は、未払法人税等の増加(8億2百万円)であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は46億7千6百万円(前連結会計年度末は52億8千5百万円)となり、前連結会計年度末と比べて6億9百万円減少しました。主な増減項目は、預り敷金の減少(4億6千万円)、長期借入金の減少(3億9百万円)、退職給付に係る負債の減少(3千2百万円)、長期繰延税金負債の増加(2億円)であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は123億9千5百万円であり、株主資本107億7千4百万円、その他の包括利益累計額合計15億9千4百万円、非支配株主持分2千6百万円であります。
ロ.経営成績の分析
当連結会計年度の業績は、中国市場向けガス製品の販売増加等により、連結売上高は93億5千5百万円(前連結会計年度比6.3%増加)となりました。
損益につきましては、原材料コスト・物流コストの上昇や減価償却費の増加、電動系新商品の開発費の先行負担等の影響もあり、営業利益は9億4百万円(同22.7%減少)、経常利益は12億7千8百万円(同9.1%減少)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産の譲渡に伴う特別利益の計上等もあり、21億9千2百万円(同149.6%増加)となりました。
ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
1)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
2)財務政策
当社グループは、運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金、金融機関からの借入により資金調達することを基本としております。今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。
ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画において、「持続的な成長の実現」をめざしております。このため、売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本比率及び自己資本利益率(ROE)を重要な指標として位置付けております。
当連結会計年度における売上高営業利益率は9.7%(前年同期比3.6ポイント減少)、売上高経常利益率13.7%(前年同期比2.3ポイント減少)、自己資本比率53.6%(前年同期比5.3ポイント増加)及び自己資本利益率(ROE)19.8%(前年同期比10.5ポイント増加)となっております。引き続き、安定的な収益基盤の構築を図り、企業価値の向上をめざして、目標達成に取り組んでまいります。
(固定資産の譲渡及び取得)
当社は、2023年7月31日開催の取締役会において、以下のとおり、固定資産の譲渡及び取得を決議し、2023年8月4日付で不動産売買契約を締結いたしました。
(1)譲渡及び取得の理由
経営基盤の強化及び収益性の向上を図るために保有資産の見直しを行い、下記に記載する固定資産の譲渡及び取得を行うことといたしました。
(2)譲渡資産
|
資産の内容及び所在地 |
帳簿価額 (2023年3月末時点) |
現況 |
|
東京都品川区北品川5-11-3 土地 4,959.08㎡ 建物 20,582.71㎡ |
1,887百万円 |
事務所 |
譲渡価額につきましては、取得元の意向及び守秘義務契約により非開示とさせていただきます。
(3)譲渡先の概要
譲渡先につきましては、譲渡先の意向及び守秘義務契約により非開示とさせていただきます。なお、当社と譲渡先との間には記載すべき資本関係、人的関係及び取引関係はなく、関連当事者にも該当いたしません。
(4)交換により取得した資産
|
資産の内容及び所在地 |
現況 |
|
(1)東京都新宿区下落合一丁目 土地 1,028.83㎡ 建物 2,919.41㎡ |
住居 |
|
(2)東京都江東区森下四丁目 土地 700.05㎡ 建物 2,354.78㎡ |
住居 |
|
(3)東京都新宿区新宿五丁目 土地 365.85㎡ 建物 2,226.23㎡ |
住居 |
|
(4)東京都杉並区永福四丁目 土地 813.86㎡ 建物 2,182.86㎡ |
住居 |
取得価額につきましては、取得元の意向及び守秘義務契約により非開示とさせていただきます。
(5)取得元の概要
取得元につきましては、取得元の意向及び守秘義務契約により非開示とさせていただきます。なお、当社と取得元との間には記載すべき資本関係、人的関係及び取引関係はなく、関連当事者にも該当いたしません。
(6)譲渡及び取得の日
|
取締役会決議日 |
2023年7月31日 |
|
契約締結日 |
2023年8月4日 |
|
物件引渡日 |
2024年1月16日 ※上記譲渡資産、上記取得資産の(1)及び(2) 2024年3月28日 ※上記取得資産の(3)及び(4) |
(7)連結損益へ与える影響
当該固定資産の譲渡及び取得に伴い、当連結会計年度において、特別利益として固定資産売却益1,659百万円を計上いたしました。
(取得による企業結合)
当社は、2023年8月23日開催の取締役会において、株式会社神奈川精工の全株式を取得することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載のとおりであります。
当社グループでは、主に当社が研究開発活動を行っております。
当社の研究開発については経営計画の重要施策である新商品群展開と連動して、(1) ガス機器事業(CNG(圧縮天然ガス)、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)用燃料システム)に関する研究開発、(2) 汎用機器事業に関する研究開発を主体に行っております。
当連結会計年度の各セグメントの研究開発状況は次のとおりであります。
(1) ガス機器事業
ガス機器事業では、代替エネルギーとして注目されているCNG及びLNGを使用するCNG自動車・LNG自動車等の電子制御燃料噴射システムとこれらをコントロールするエンジン制御技術、及びそのシステムの主要部品の研究開発を主体に取組んでおります。
当事業に係る研究開発費用は、
(2) 汎用機器事業
汎用機器事業では、汎用エンジン及び二輪エンジンの燃料供給装置と、これらの排出ガス規制対応の研究開発を主体に取り組んでおります。また、電子制御燃料噴射システムについても研究開発を進めております。
当事業に係る研究開発費用は、
(3) 自動車機器事業
自動車機器事業では、電動車両のエンジン制御技術と、電動制動装置の研究開発を主体に取組んでおります。
当事業に係る研究開発費用は、
上記(1) (2) の事業の要となるECU(Electronic Control Unit)についても、小型化・高機能化並びに最新制御理論に基づいた制御ロジックの研究開発を行っております。
また、高度化する世界の排出ガス規制とOBD(On Board Diagnosis)に対応し、さらに自動車の機能安全規格であるISO26262に対応する制御システム並びにシステム部品についても研究開発を進めております。
なお、グループ全体の研究開発に要した費用総額は