当社グループの事業展開上、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与えるリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載します。
(内部統制に関するリスクについて)
当社は、過年度決算および四半期決算の訂正に伴い、財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備が複数年にわたり発生したことを重く受け止めております。特に、連結子会社における会計処理の誤りや業務プロセスの不備、ガバナンス体制の脆弱さ等が判明し、これらが決算訂正および有価証券報告書等の提出遅延の主因となりました。これらの課題に対し、2025年11月11日に東京証券取引所へ改善報告書を提出し、再発防止に向けた抜本的な改善策を策定しております。ただし、これらの再発防止策の継続的な実行及び内部管理体制等の強化が適切になされない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態、レピュテーション並びに金融機関、株主、取引先等との関係等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(継続企業の前提に関する重要事象等)
当社グループは、前連結会計年度において営業赤字となりました。当中間連結会計期間は、営業黒字を確保できたものの、①自己資本が低い水準に留まり、収益力向上、財務体質の改善・強化、安定した経営基盤の構築及び安定的な資金繰りの確保を求められていること、②北米事業は継続的な再建への取組みにより赤字幅は着実に縮小しているものの、未だ改善途上にあること、③当連結会計年度の業績には販売先OEMによる支援も含まれていること、④下記のとおり各取引金融機関と締結しております債権者間協定書における確約条項及び財務制限条項に抵触していることから、現時点では依然として継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。
これに対して、当社グループでは当該事象又は状況を改善・解消すべく、当連結会計年度も引き続き、全社を挙げて以下の取組みを実行しております。
(1) グループの収益力向上
① 販売先OEMとの販売価格・数量等の改定交渉、材料の市況変動による高騰や労務費高騰の販売価格への転嫁、生産現場における生産ロスの圧縮、人員体制の最適化等による人件費抑制の継続などの経営改革を断行し、グループ収益力の向上を図って参りました。
② 販売先OEMとの販売価格等の改定交渉は、着実に合意形成が図られており、グループ収益力の向上に関する確実性は高まってきております。
③ 特に課題である北米拠点においては、上記取組みに加えて、主要販売先OEMのご協力による生産現場改善及び間接部門における早期退職の実施、並びに事務のメキシコへの集約によるコストダウンなどの経営改革を着実に実行しております。
④ 米国関税の影響に関しては、販売先OEM等との交渉を通じて、利益圧迫の懸念は大きく後退しております。
⑤ 欧州拠点においては、拠点再編・不採算事業の撤退が完了し、引続き収益改善施策に取り組んでおります。
(2) 財務体質の改善・強化と安定した経営基盤の構築
① 当社グループは抜本的な構造改革施策の実施を目的として、2024年11月1日、日産自動車株式会社からの第三者割当増資による総額60億円の資金調達しております。更なる生産拠点の再編を伴う抜本策を策定中であり、引続き財務体質の改善・強化に取り組んでおります。
② 2024年11月1日に、古川幸二が当社の代表取締役社長 社長役員に、稲津茂樹が当社の取締役 副社長役員に新たに就任し、2025年4月に公表した中期経営計画「Kasai Turnaround Aspiration」を策定の上、経営再建に取り組んでおります。適切な進捗モニタリングを通じて、優先課題である北米事業の赤字縮小に加え、グローバルで成果が表れつつあります。
(3) 安定的な資金繰りの確保
① 2024年10月23日付で、全取引金融機関との間で、「債権者間協定書」を締結し、「債権者間協定書」において定められた新たな弁済条件に基づく金銭消費貸借契約書を併せて締結し、最終返済期限が2028年3月31日に変更されております。また、2024年11月1日、株式会社りそな銀行との間の劣後特約付準金銭消費貸借契約書に基づく、デットデットスワップの効力が生じており、当社の資金繰りの安定化に寄与しております。
② 当社は、2025年3月期有価証券報告書の提出が法定期限内に行えなかったことにより、各取引金融機関と締結しております債権者間協定書における確約条項に抵触していることに加え、前連結会計年度において営業赤字となったことにより債権者間協定書の財務制限条項に抵触しております。この結果、当該契約に基づき、金融機関からの請求により期限の利益を喪失する事由に該当する可能性があります。現時点において、金融機関からの期限の利益喪失に関する請求は受けておりませんが、当社としては、グループの収益力向上へのさらなる取組みを実施するとともに、東京証券取引所へ提出した改善報告書にて報告した、決算発表及び有価証券報告書提出遅延の原因となった事象の解消及び再発防止策の実行により、期限の利益喪失請求等の権利を放棄いただくことに理解を得られるよう努めております。
③ 2025年9月30日現在、コミットメントライン契約極度85億円に対し使用額は53億円、未使用額は32億円となっています。当社グループの事業運営上、適切な資金枠を確保できており、投資案件の厳選及び抑制等を図るとともに、営業利益の黒字化などグループ収益力の向上により、事業及び運転資金を安定的に確保しております。
しかしながら、現在進めている経営再建策の進捗のみならず、主要販売先の生産台数の動向による売上減少要因や原材料等の供給価格の高騰によるコスト増加要因などの外部環境の急激な変化により当社の業績に影響を及ぼす可能性があることから、計画している業績の回復が早期に達成できない可能性があります。また、期限の利益喪失請求等の権利の放棄に対して金融機関の理解が得られず、期限の利益を喪失する事態となった場合には、当社の財務状況、キャッシュ・フロー、事業継続性等に重大な影響を及ぼす可能性があります。現時点では各金融機関に期限の利益喪失請求等の権利を放棄いただくことが確定していないため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(資産)
総資産は1,356億31百万円と前連結会計年度末に比べ、92億円の減少(△6.4%)となりました。この主な要因は、受取手形及び売掛金が52億60百万円減少、現金及び預金が11億8百万円減少、固定資産が22億9百万円減少したことであります。
(負債)
負債は1,196億33百万円と前連結会計年度末に比べ、22億88百万円の減少(△1.9%)となりました。この主な要因は、短期借入金が25億50百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が30億70百万円減少、長期借入金が14億83百万円減少したことであります。
(純資産)
純資産は159億98百万円と前連結会計年度末に比べ、69億11百万円の減少(△30.2%)となりました。この主な要因は、為替換算調整勘定が40億60百万円減少、利益剰余金が12億42百万円減少したことであります。
世界経済は、米国関税政策による影響を回避しつつコストを吸収するなどして、実体経済は比較的底堅く推移しているものの、価格転嫁が進むことで成長は鈍化すると見込まれています。
わが国の経済も、相互関税影響により輸出は減少する見込みながら、賃上げが消費を下支えすることから、底堅い成長が続くと見込まれます。こうした中、当社グループの関連する自動車業界は、米国関税影響、中国レアアース輸出管理強化などが与える影響への懸念から米国通商政策などの動向に留意が必要な状況となっています。
この結果、当中間連結会計期間における売上高は、931億30百万円と前中間連結会計期間に比べ163億49百万円(△14.9%)の減収となりましたが、営業利益は1億1百万円(前中間連結会計期間は16億65百万円の営業損失)となりました。経常損失は大幅な為替差損の影響により11億73百万円(前中間連結会計期間は34億40百万円の経常損失)となり、親会社株主に帰属する中間純損失は、12億42百万円(前中間連結会計期間は48億19百万円の親会社株主に帰属する中間純損失)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
主要販売先の生産台数の減少、金型売上減により、売上高は224億56百万円と前中間連結会計期間に比べ26億94百万円の減収(△10.7%)となりました。構造改革費用を始めとした各種費用の削減により収益改善を図りましたが、セグメント利益は13億41百万円と前中間連結会計期間に比べ79百万円の減益(△5.6%)となりました。
主要販売先の生産台数減少、為替影響等により、売上高は554億50百万円と前中間連結会計期間に比べ36億57百万円の減収(△6.2%)となりました。一方で材料費、労務費、製造経費等を中心とした構造改革の進捗により、セグメント損失は13億64百万円(前中間連結会計期間はセグメント損失39億25百万円)となりました。
ドイツ拠点の事業撤退、英国拠点の販売先生産台数減少により、売上高は62億28百万円と前中間連結会計期間に比べ79億83百万円の減収(△56.2%)となりました。不採算拠点の撤退、英国拠点の減産影響により、セグメント損失は3億32百万円(前中間連結会計期間はセグメント損失1億8百万円)となりました。
主に中国地域における主要販売先の生産台数減少により、売上高は89億95百万円と前中間連結会計期間に比べ20億12百万円の減収(△18.3%)となりました。減収影響により、セグメント利益は6億57百万円と前中間連結会計期間に比べ2億39百万円の減益(△26.7%)となりました。
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物は、前中間連結会計期間に比べ63億71百万円減少し239億9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純損失14億22百万円、仕入債務の減少11億89百万円等による資金の減少があり、一方で、減価償却費31億74百万円、売上債権の減少24億98百万円等による資金の増加により、33億64百万円の収入(前中間連結会計期間は20億95百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出17億97百万円、有形固定資産の取得による支出30億7百万円等による資金の減少があり、48億92百万円の支出(前中間連結会計期間は33億20百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、非支配株主への配当金の支払額8億83百万円、長期借入金の返済による支出4億98百万円、リース債務の返済による支出4億54百万円等による資金の減少に対して、短期借入金の純増減額が15億68百万円等による資金の増加があり、48百万円の収入(前中間連結会計期間は113億69百万円の収入)となりました。
当中間連結会計期間において継続的に当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は次のとおりであります。
当社は、連結子会社であるKASAI MEXICANA S.A. DE C. V.(以下「KMEX」)における買掛金勘定の誤り等に起因して、2025年3月期の有価証券報告書について提出期限延長に係る承認申請を行い、2025年6月27日に、延長後の提出期限を2025年9月26日とする承認を頂き、過年度決算の訂正金額の確定作業、過年度に係る有価証券報告書及び四半期報告書の作成、確認作業を行って参りましたが、9月26日に提出する事が出来ず、最終的に2025年10月8日に関東財務局長宛に有価証券報告書を提出いたしました。また、当社は、KMEX及び当社において、2025年3月期に財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備があるとの開示を行っております。
これを受けて当社は、再発防止策を策定の上、2025年10月8日付「過年度決算の訂正、開示遅延に関する原因分析と再発防止策について」を公表し、2025年11月11日付で改善報告書を株式会社東京証券取引所に提出するとともに、同日付けで「東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ」を公表しております。3事業年度継続して過年度決算訂正が発生した原因として、KMEXにおける業務プロセスの脆弱性、KMEX及び当社におけるガバナンス不足、人員体制の脆弱性に関する問題、またグループ内部統制について課題があることを認識しており、当社及びKMEXにおいて以下の再発防止策による内部統制の再徹底を図ってまいります。
(再発防止策)
KMEX側の改善措置
KMEXのガバナンス強化
必要なレポート機能の開発(新システム)
買掛金勘定の残高を確定させる統制整備
発注から支払いまでの業務プロセスの見直し
受入データの事務的な削除作業の廃止
KMEX経理部門の体制強化
業務フローの点検実施、及びマニュアルの整備
教育の実施
当社側の改善措置
本社によるガバナンス強化
子会社管理体制、サポート体制の強化
当社経理部門の人員体制強化
教育の実施(役職員を含む)
マニュアル類の整備
内部監査体制の強化
エスカレーション・ルールの再周知
システム導入時の当社側サポート
過去2回の決算訂正時に、KMEXの買掛金勘定の誤りを発見できなかった原因に対する対策
有価証券報告書の提出を遅延させた原因に対する対策
今後、これらの再発防止策を実行すると共に、適正な内部統制の整備及び運用のさらなる強化に真摯に取り組み、再発防止に努めてまいります。
当中間連結会計期間において、当社グループの会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間における研究開発費の総額は7億49百万円であり、この他に新車開発及び既存製品の改良等で発生した研究開発関連の費用は23億83百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、日本セグメント、北米セグメント、欧州セグメント、アジアセグメントにおける自動車内装部品の受注の実績が減少しております。これは日本地域、北米地域において主要販売先OEMの生産台数が減少したこと、欧州地域においてドイツ拠点の撤退によるもの、中国地域におけるガソリン車市場の縮小を受け、販売先OEMが減産したことによるものであります。
当中間連結会計期間において、重要な契約等の決定又は締結等はありません。