(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、次の社訓、経営理念、経営方針及び行動指針を経営の基本方針として掲げ、企業活動を行っております。
<社訓>
1.社会の信用を "Gain Trust from Society"
2.企業の繁栄を "Seek Prosperity for Company"
3.相互の幸福を "Share Happiness with Everybody"
<経営理念>
当社グループは、誠意と新しい技術の創造によって、価値ある商品、サービスをグローバルに提供し、顧客・株主・従業員をはじめ、全ての関わる人々の幸福を実現します。
<経営方針>
当社グループは、業界トップクラスの「コスト競争力・品質水準・技術水準」を基盤として、グローバルで自動車内外装部品の専門メーカーとしての地位を確立するために以下の3点を基本方針としております。
1. 継続してお客様に満足される最高水準の品質を提供する
2. 常に自動車部品業界をリードする先進技術を生みだし、商品化に繋げる
3. 永続して高収益を出せる強靭な体質を構築する
<行動指針>
-Act with Ownership!-
自ら考え 自ら行動
最後までやり抜く
より速く、より早く 結果で示す
当社は、2022年2月24日に公表した2022年度から2024年度の3か年を対象とする中期経営計画「Athletes Kasai 24+」に基づき企業価値の向上を目指してまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や半導体供給不足等の影響に伴う主要販売先OEMの減産や生産の不安定化等の外部環境の変化により当該中期経営計画は達成が困難となっていることを踏まえ、近時の経営環境の変化に迅速に対応し、外部環境の実態に即した事業戦略のもとに当社の総力を最大限にすべく、新たな中長期的な経営戦略を現在策定中であります。
<企業構造>
当社グループは、自動車分野を事業領域と位置づけ、研究開発・生産技術開発・営業活動を担っている当社を中心に、世界各国において製造・販売を行う各事業会社で構成されております。各事業会社は、それぞれの国において、得意先への納入体制を確立し、自律した形で事業運営を行っております。
<事業を行う市場の状況>
当社グループの事業領域である自動車業界では、企業間の競争が世界規模でますます激しくなっております。また、世界的な半導体の供給不足は自動車業界全体に影響を及ぼしており、各自動車メーカーは稼働調整を行うなど、当社の事業運営にも世界規模で影響しております。
このような経済環境の中、市場の回復は見通しにくい状況にありますが、当社では更なる発展を目指して、経営基盤の強化を進めているところであります。
<主要製品・サービスの内容>
当社の主力事業は、ドアトリム・ルーフトリムをはじめとする自動車内装トリムシステム部品の企画・開発・生産であります。当社は独立系部品メーカーとして、全自動車メーカー(OEM)に対しビジネスの門戸を拡げ、高級ブランド車から軽自動車、商用車に至る幅広い得意先ニーズにお応えするために、企画・開発・設計・実験、そして生産に至る一貫した体制で高品質、低コストの製品づくりを追求しております。
<顧客基盤>
主得意先は、日本の自動車メーカーであります。自動車メーカー各社の海外現地生産に追従し、当社は1986年(昭和61年)の北米を皮切りに、積極的な海外展開を進めてまいりました。近年、飛躍的な成長を遂げている中国やアジア諸国においてもすでに供給体制を構築しており、全世界にネットワークを確立しております。製品の現地開発・生産を進めるとともに、非進出国における現地部品メーカーとの技術援助契約の締結、そしてこれらを統括管理するワールドワイドな経営の確立にも努め、グローバルな競争力強化を図っております。
<競争優位性>
当社は内外装トリムシステムサプライヤーとして、キャビントリム・ラゲッジトリム・防音部品など取扱製品の性能向上に取り組むとともに、車室全体からの視点で、「環境」「安全」「魅力/快適」の3つのテーマで次世代自動車の開発を支える製品・技術開発を進め、未来を先取りする付加価値の高い製品づくりに取り組んでおります。当社は世界各地に生産拠点があり、それぞれの地域や得意先に対応するための開発機能を持っております。製品設計から制作までを一貫して行う開発体制と、お客様にご満足いただける製品を提供するためのグローバルに統一・強化された生産体制で、自動車内外装部品の新しい価値を創造する製品を提供してまいります。
<販売網>
当社グループは高い技術力とともに、最高の品質と価格競争力をもった製品をグローバルに供給するために、国内はもとより、世界12か国に所在する子会社等を通じて販売網を確立しております。
当社グループは、2022年2月24日に公表した2022年度から2024年度の3か年を対象とする中期経営計画「Athletes Kasai 24+」に基づき企業価値の向上を目指してまいりました。しかしながら、前連結会計年度において新型コロナウイルス感染症の感染拡大や半導体供給不足等の影響に伴う、主要販売先OEMの減産や生産の不安定化を受け、売上が減少し固定費を回収することができず、2期連続で営業損失を計上しており、当該中期経営計画は達成が困難となっております。加えて、当連結会計年度においては、国内・欧州での業績は改善するも、北米での原材料や人件費の高騰による業績悪化を受け営業損失149億25百万円を計上しており、また、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおり財務制限条項に抵触していること等から、前連結会計年度に引き続き継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。
当社グループでは、当該事象又は状況を改善、解消するため、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (11) 継続企業の前提に関する重要事象等」に記載の対応策に取り組んでまいります。
KASAIグループは、環境にやさしい製品開発に取り組むことをグループ経営の重要な課題と位置付け、代表取締役を筆頭に会社を挙げて、企業活動における環境負荷を低減するための活動に取り組んでいます。
当社ホームページ(https://www.kasai.co.jp/sustainability/sustainability/)においても詳細を掲載しております。

これらの重要課題の解決にあたって関連性の強い主管部署を定め、各々に目標を設定して課題解決に取り組んでいます。世界的な情勢や社会の要請、または経営の観点から、特に脱炭素社会の実現・人的資本経営の取り組みを拡充しております。
●脱炭素社会の実現に向けた取り組み
当社は、「美しい地球を次世代へ、人と環境にやさしいモノづくりを目指して」をスローガンに環境負荷の低い製品の開発を継続的に取り組むことをグループ経営の重要な課題と位置付け、脱炭素社会に向けて環境負荷を低減するための活動に取り組んでいます。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が推奨する情報開示の枠組みである「測定基準と目標」・「気候変動が与えるリスクと機会」などを活用して目標を設定し、その目標を達成させるための活動による自社のリスクや機会の抽出・評価を行い、その対応策を事業戦略に反映させていきます。
環境マネジメント推進体制
取締役会の定めた環境保全活動の方針や設定目標を設定します。執行組織として設定された目標を実現するために「経営会議」で環境業務計画の策定・監督、「全社環境会議」で環境業務計画の達成度の評価を行い、「EMS推進会議」で環境業務計画の推進を行います。
環境マネジメント推進体制
当社ホームページ(

気候変動による経営に与えるインパクトを調査し、インパクトに対するリスクと影響度を評価、更にリスクへの対応策と機会への施策を策定し、環境活動の年次計画・中期計画に取り入れ全社活動で進めています。施策として省エネルギー、産業廃棄物削減、環境負荷の高い化学物質の使用削減等、サステナビリティに係る環境活動の実績を月次で管理し、全社環境会議(1回/6カ月)にて実績報告を行い、環境管理統括責任者判断の下、環境負荷の削減に向け全社で取り組みを進めています。
気温上昇を1.5℃以内に抑えて脱炭素社会へ移行するシナリオ、および気温上昇が4℃に達するシナリオの2つのシナリオで2030年の社会を想定し、気候変動のリスクと機会を分析しています。その分析を基に事業インパクトを想定しリスクと機会への対応策を策定しました。
シナリオ分析の検討に際しては、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)および国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)等を参照しています。
事業インパクトに対するリスクと機会の対応策
当社ホームページ(

指標と目標
中期目標
2030年度までにCO2排出量を2019年度比で30%削減(年に2019年度比3%削減)する。
(GHG Scope1,2)
CO2削減のパフォーマンスデータ(2022年度)
河西工業グループ(日本)CO2年間総排出量

* Scope1とScope2の値の合計とは、四捨五入の関係で必ずしも一致しません。
●人的資本経営に関する取り組み
(1) 中核人材の登用等における多様性の確保について
当社は、社内における人材の多様性を確保し、多様化する顧客ニーズに対応すべく、国籍・性別・年齢・学歴を問わず、人材採用を継続的に進めており、グローバルで活躍できる高度な専門スキルを有する社員を育成するための教育体系を整え、一人ひとりがキャリアを築けるよう取り組んでおります。
<女性の管理職への登用>
当社グループは、女性活躍推進を積極的に行っており、近年、女性管理職比率も向上し、様々な場で重要な役割を担っており、多数活躍しています。今後とも能力ある女性を積極的に管理職に登用し、中長期的な女性管理職比率の更なる向上を目指し、2026年3月期までに当社の女性管理職比率を9%に向上させることを目標として掲げています。
女性管理職比率の詳細については「
<外国人の管理職への登用>
当社グループでは、毎年国籍を問わない多国籍な人材採用を継続的に進めてきており、当社グループを支える海外事業会社においては、事業運営の中核を担う外国人管理職が多数活躍しております。今後も海外拠点での現地外国人の積極的な人材採用を進めてまいります。
<中途採用者の管理職への登用>
当社は、人材の多様性を強化する方針のもと、現在、当社管理職における中途採用者の割合は49%を占めております。現在の割合の維持を目標とし、今後も引き続き、当社の成長を促進させるために必要な多様性を確保するため、中途採用を進めてまいります。
(2) 人的資本への投資等
当社は、様々な教育・研修などのサポートプログラムを整え、一人ひとりがキャリアを築けるよう人的資本強化に努めており、全社員を対象とした階層別研修や語学教育、専門スキルを磨く職種ごとの教育等を下記体系図のように整備し、実行しております。
当社ホームページ(

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況等
当社グループの連結売上高は、今日までの積極的な海外展開と得意先の海外生産のシフトにより、その海外売上比率は74.1%と高い水準にあります。したがって、当社グループの自動車関連製品の需要は、進出先の国及び地域の経済状況の影響を受けます。特に北米地域の売上高は46.8%と連結売上高に占める割合が高く、同地域の自動車市場の景気動向と需要変動が、当社グループの経営成績等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、北米地域のほか、欧州、アジア地域、を含めたバランスの取れた経営体制を目指してまいります。
(2)グローバル展開
当社グループは、前述のとおり海外売上比率は74.1%と高い水準にあります。そのため、海外生産拠点に予期しない政治・経済の不安定化、法律又は税制の変更、或いはテロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等により事業の遂行に問題が生じる可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの現在の主な販売先は、日産自動車㈱グループと本田技研工業㈱グループであり、当連結会計年度における連結売上高に占める割合は73.7%となっております。当社グループは、両社の自動車販売動向が、当社グループの経営成績等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、両グループとの取引関係を維持発展させつつ、販売先の多様化を推進し、安定した事業運営を目指してまいります。
(4)為替レートの変動
当社グループの連結売上高に占める海外売上高比率は、当連結会計年度で74.1%(前連結会計年度75.9%)となっており、為替相場の影響を受けやすい状況になっております。当社グループの想定を超えた為替レートの変動が生じた場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループの想定を超えた為替レートの変動に備え、各地域において現地通貨による取引・決済等を進めてまいります。
(5)製品の欠陥・品質
当社グループは、予期せぬ製品の欠陥や品質面の不備が発生した場合、その欠陥や不備の内容によっては多額のコストが発生したり、当社グループの評価が低下したりすることにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム規格(IATF16949)を国内・海外拠点において取得し、グローバルで品質保証体制の強化に努めております。このシステムを継続的に実践し、製品品質の安定と向上を図るために、マネジメントシステムの定期的な監査と経営層による診断を実施しております。
(6)原材料等の供給不足・供給価格の高騰
当社グループの事業にとっては、十分な品質の原材料、部品、サービス等を調達することが不可欠であります。しかし、供給業者での不慮の事故、震災などにより供給が中断した場合や不安定となった場合、当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定しておりますが、原油価格上昇等により原材料・部品価格が高騰する可能性があり、この場合には当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。
当社グループにおきましては、不測の事態に備え、複数の供給網を構築し、原材料等の供給不足への対策を講じております。
(7)自然災害、新型コロナウイルス感染症等による異常事態
日本各地で発生している大規模地震や台風、米国で発生した大寒波などの自然災害、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック等は、経済活動に大きな影響を及ぼしております。これら異常事態が発生した場合、一時的な操業停止や減産対応、サプライチェーンへの影響による製品部材等の調達遅延や価格高騰、経済活動の停滞による製品やサービスの受注・売上の減少など、当社グループの経営成績等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報セキュリティ
当社グループは、製品の開発、生産、販売など、事業活動において情報技術やネットワーク、システムを利用しております。これらの情報技術やネットワーク、システムには安全な対策が施されておりますが、サイバーテロ、不正アクセス、コンピューターウイルスへの感染等により、情報システム障害による業務の停止、重要なデータの喪失、機密情報や個人情報の漏洩などが発生する可能性があります。この結果、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、一般的なセキュリティ対策とされる外部からの不正アクセスを防ぐファイヤーウォールの設置、リアルタイムでのウイルスチェックによる検疫、サーバーやネットワーク回線の冗長化に加えクラウドサービスの利用促進、サイバー攻撃を考慮したバックアップシステムの確立、生産系とOA系のネットワークの論理的分離の対策により不測の事態による業務停止リスク軽減など取引先への影響極小化に向けた各種の対策を講じております。
(9)価格競争
自動車業界の価格競争の激化を受け、自動車メーカーから部品メーカーに対する価格引下げ要請は強まってきております。当社グループの製品は、価格的、品質的、技術的に十分競争力を有していると考えておりますが、価格競争の激化による競合先の低販売価格に対して、販売を維持、拡大し、収益性を保つことができなくなる可能性があります。この場合には、当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、ユーザー及び自動車メーカー各社のニーズに積極的に応える新製品・新工法を提供するため、強力に研究開発を進め、競争力確保に努めてまいります。
(10)有利子負債依存度、支払利息の増加
当社グループは、設備投資、システム投資及び研究開発投資等のための資金調達を主に金融機関からの借入金に依存しており、当連結会計年度末現在における連結総資産に占める有利子負債依存度は53.8%であります。今後、借入金利の上昇により支払利息が増加した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、借入金について現在各取引金融機関と協議中であり、資金調達の方法・金額・条件・時期については確定しておりません。
当社グループでは、適切な設備投資計画の策定や資産の効率化を図り、これ以上有利子負債依存度を高めないように取り組んでおります。なお、当社グループでは、新型コロナウイルス感染症や半導体供給不足、原材料の高騰等、先行きが不透明な状況を鑑みて、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、2022年5月26日にシンジケートローン契約及びコミットメントライン契約を締結し、また、2022年9月30日にコミットメントライン契約を締結いたしました。
(11)継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、前連結会計年度において新型コロナウイルス感染症の感染拡大や半導体供給不足等の影響に伴う、主要販売先OEMの減産や生産の不安定化を受け、売上が減少し固定費を回収することができず、2期連続で営業損失を計上しております。当連結会計年度においては、国内・欧州での業績は改善するも、北米での原材料や人件費の高騰による業績悪化を受け営業損失149億25百万円を計上しており、また、後記(追加情報)(財務制限条項)のとおり財務制限条項に抵触していること等から、前連結会計年度に引き続き継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。
当社グループでは、当該事象又は状況を改善、解消すべく経営体制の刷新や生産体制の見直し等の対応策を実施してまいりましたが、翌期以降においてもグループの収益力向上及び財務体質の改善・強化を図り、安定した経営基盤を築くために、以下の対応策に取り組んでまいります。
(1) 経営再建策の断行
① 北米拠点では、外部専門家も交えた再建チームを立ち上げて、業績悪化の真因究明、課題に対する具体的な対応策を組み込んだ経営再建策を策定・断行してまいります。また、主要販売先OEMとも協働し、生産現場改善にも取り組んでまいります。
② 欧州拠点では、拠点再編・不採算事業の撤退等も含めた収益改善施策を検討してまいります。
③ 本社拠点では、人員体制の最適化等による人件費抑制策等の施策を継続的に実施してまいります。
(2) 資金繰りについて
① 各取引金融機関には、財務制限条項の抵触を理由とする期限の利益喪失請求等の権利行使を猶予いただくことにご同意頂いております。その後も継続的な支援が得られるように、各取引金融機関とは定期的に協議を行う等により緊密な連携を続けてまいります。
② 保有資産の売却や投資案件の厳選及び抑制等により、事業及び運転資金の安定的な確保に努めてまいります。
③ 財務体質の改善・強化及び運転資本の充実のため、あらゆる資本政策等の可能性についても検討してまいります。
以上の対応策を実施するとともに、今後も引き続き有効と考えられる施策につきましては、積極的に実施してまいります。
現在、各取引金融機関には財務制限条項の抵触を理由とする期限の利益喪失請求等の権利行使を猶予いただくことにご同意頂いていますが、その後の支援継続については現在各取引金融機関と協議中であり、資金調達の方法・金額・条件・時期については確定していないことから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、米銀の経営破綻を契機に金融システム不安が台頭し、米欧景気の先行き不透明感が強まる状況が続いております。米国では金融引き締めが続く中、複数の米銀が経営破綻し、金融環境が悪化しており、景気回復に暗雲が見込まれ経済への悪影響も大きくなることが想定されております。欧州においては、大手金融機関の経営不安が見られ、景気は回復基調ですが先行き不透明感の強まりが懸念されております。中国では、景気が回復、ゼロコロナ解除も受け、サービス消費改善、不動産投資も改善の兆しが見られます。アジアでもゼロコロナ解除により景気は底堅いと見られるものの、輸出依存度が高い地域では世界経済や半導体サイクルを反映し、先行き不透明な状況となっております。
わが国の経済は、インバウンド増加等により景気回復が見られますが、物価高による消費下押し等から景気への影響が懸念されております。
総資産は1,485億円と前連結会計年度末に比べ、70億39百万円の増加(+5.0%)となりました。
負債は1,286億25百万円と前連結会計年度末に比べ、182億60百万円の増加(+16.5%)となりました。
純資産は198億74百万円と前連結会計年度末に比べ、112億20百万円の減少(△36.1%)となりました。
売上高は1,754億30百万円と前連結会計年度に比べ290億55百万円(+19.8%)の増収となりました。営業損失は149億25百万円(前連結会計年度は131億10百万円の営業損失)、経常損失は138億89百万円(前連結会計年度114億1百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は139億6百万円(前連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失194億65百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
売上高は455億15百万円と前連結会計年度に比べ102億3百万円(+28.9%)の増収となり、セグメント利益は13億74百万円と前連結会計年度に比べ32億35百万円の増益となりました。
(北米)
売上高は821億76百万円と前連結会計年度に比べ195億69百万円(+31.3%)の増収となり、セグメント損失は192億2百万円と前連結会計年度に比べ61億29百万円の損失の増加となりました。
(欧州)
売上高は190億72百万円と前連結会計年度に比べ13億52百万円(△6.6%)の減収となり、セグメント損失は10億37百万円と前連結会計年度に比べ13億76百万円の損失の減少となりました。
(アジア)
売上高は286億65百万円と前連結会計年度に比べ6億34百万円(+2.3%)の増収となり、セグメント利益は38億81百万円と前連結会計年度に比べ47百万円の増益となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、306億85百万円(前連結会計年度末比46億39百万円の増加)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費71億72百万円、前受金の増加45億50百万円等による資金の増加があり、一方で、税金等調整前当期純損失115億32百万円、法人税等の支払額36億54百万円等により、△18億98百万円の支出(前連結会計年度は20億71百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入53億56百万円、投資有価証券の売却による収入11億25百万円、有形固定資産の取得による支出34億50百万円等により、27億41百万円の収入(前連結会計年度は36億2百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加92億89百万円、長期借入れによる収入119億17百万円、長期借入金の返済による支出163億51百万円、非支配株主への配当金の支払額15億1百万円、リース債務の返済による支出14億25百万円等により、23億43百万円の収入(前連結会計年度は62億42百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によるものであります。
3 当連結会計年度において、日本セグメントの生産高に著しい変動がありました。これは前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症及び半導体供給不足の影響による得意先減産がありましたが、当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによる反動増加によるものであります。
4 当連結会計年度において、北米セグメントの生産高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、日本セグメントの受注高及び受注残高に著しい変動がありました。これは前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症及び半導体供給不足の影響による得意先減産がありましたが、当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによる反動増加によるものであります。
3 当連結会計年度において、北米セグメントの受注高及び受注残高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。
4 当連結会計年度において、アジアセグメントの受注残高に著しい変動がありました。これは中国地域におきまして新型コロナウイルス感染症が再拡大した影響による得意先減産によるものであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、日本セグメントの販売高に著しい変動がありました。これは前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症及び半導体供給不足の影響による得意先減産がありましたが、当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによる反動増加によるものであります。
3 当連結会計年度において、北米セグメントの販売高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。
4 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
5 上記の日産自動車株式会社の販売高には、同社の関係会社(NISSAN NORTH AMERICA,INC.、NISSAN MEXICANA S.A. de C.V.、NISSAN MOTOR MANUFACTURING (UK) LTD.、日産車体株式会社、東風日産乗用車公司、鄭州日産汽車有限公司、日産 (中国) 投資有限公司、Nissan Motor (Thailand) Co.,Ltd.、Renault Nissan AutomotiveIndia Private Limitedの9社)向けの販売高を含めております。
6 上記の本田技研工業株式会社の販売高には、同社の子会社(Honda of America Mfg.,Inc.、Honda Canada Inc.、Honda of the U.K. Manufacturing Ltd.、Honda Manufacturing of Alabama,LLC、Honda Manufacturing of Indiana,LLC、Honda de Mexico.S.A.de C.V.、株式会社本田技術研究所、本田汽車用品(広東)有限公司、広汽本田汽車有限公司、東風本田汽車有限公司、Honda Automobile (Thailand) Co.,Ltd.、P.T. Honda Prospect Motorの12社)向けの販売高を含めております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
総資産は1,485億円と前連結会計年度末に比べ、70億39百万円の増加(+5.0%)となりました。この主な要因は、現金及び預金が49億33百万円増加したことによるものであります。
負債は1,286億25百万円と前連結会計年度末に比べ、182億60百万円の増加(+16.5%)となりました。この主な要因は、長期借入金が77億67百万円減少したものの、短期借入金が161億86百万円増加、支払手形及び買掛金が36億16百万円増加、その他が102億38百万円増加したこと等によるものであります。
純資産は198億74百万円と前連結会計年度末に比べ、112億20百万円の減少(△36.1%)となりました。この主な要因は、為替換算調整勘定が23億3百万円増加したものの、利益剰余金が139億6百万円減少したことによるものであります。
(前連結会計年度と当連結会計年度の増減分析)
当連結会計年度の売上高は、日本地域、北米地域、アセアン地域における主要得意先の生産台数の増加に加え円安による為替影響により、1,754億30百万円と前連結会計年度に比べ290億55百万円(19.8%)の増収となりました。営業損失は、急激なインフレ率の上昇による諸費用(労務費、材料費、物流費、電力料等)の高騰や新規車種立上げ関連費用の増加、為替の影響により、149億25百万円(前連結会計年度は、営業損失131億10百万円)となり、経常損失は138億89百万円(前連結会計年度は、経常損失114億1百万円)となりました。なお、前連結会計年度で計上した事業整理損を当連結会計年度では計上していないこと、連結子会社において収益性の低下に伴う減損損失が大幅に減少したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は、139億6百万円(前連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失194億65百万円)となりました。
(計画値と実績値の増減分析)
異常なインフレ率の上昇による電力料やガソリン価格の上昇により、家計への負担が増大し、新車購買意欲の低下から、当初想定していた生産台数を下回り、売上高は計画に比べて11,969百万円の減収となりました。営業損失は急激なインフレによる諸費用(労務費、材料費、物流費、電力料)の高騰により、計画に比べて2,325百万円の減益となりました。経常損失につきましても、計画に比べて1,189百万円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、法人税の還付により計画比406百万円の減益となりました。
(注) 計画値は、2022年11月14日付け「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」にて公表した数値であります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 会社の経営の基本方針」に記載のとおりであります。
(e)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(日本)
主要得意先の生産台数増加により、売上高は455億15百万円と前連結会計年度比102億3百万円の増収(+28.9%)となりました。加えて支出抑制や人員減少等によるコスト圧縮により、セグメント利益は13億74百万円(前連結会計年度はセグメント損失18億61百万円)となりました。
(北米)
主要得意先の生産台数の増加や円安による為替影響により、売上高は821億76百万円と前連結累計会計年度比195億69百万円の増収(+31.3%)となりました。しかしながら、急激なインフレ率の上昇による諸費用(労務費、材料費、物流費、電力料等)の高騰や新規車種立上げ関連費用の増加、為替の影響により、セグメント損失は192億2百万円(前連結会計年度はセグメント損失130億72百万円)となりました。
(欧州)
部品供給問題による生産台数の減少や、欧州地域の工場の閉鎖並びに拠点解散に伴い売上が減少したため、売上高は190億72百万円と前連結会計年度比13億52百万円の減収(△6.6%)となりました。一方で、採算性の低い工場の閉鎖並びに拠点の解散に伴い費用の抑制が図られセグメント損失は10億37百万円(前連結会計年度はセグメント損失24億13百万円)となりました。
(アジア)
中国では生産台数の減少が継続していますが、アセアン地域の生産台数が回復し、売上高は286億65百万円と前連結会計年度比6億34百万円の増収(+2.3%)となり、セグメント利益は38億81百万円と前連結会計年度比47百万円の増益(+1.2%)となりました。
(a)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(b)当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要は、材料費、経費、労務費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規車種の生産準備に係わる金型、生産設備、新工場の増新設及び設備の更新等の投資資金であります。
当社グループは事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としており、これら資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フローを主とし、必要に応じて金融機関からの借入等により資金を充当しております。また、国内連結子会社にCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入、海外連結子会社についても当社がグループ資金を一元管理することで資金の効率化を図っております。さらに、当社は適時に資金繰り計画を作成・更新し、手元流動性を検証することなどにより流動性のリスクを管理しています。
当連結会計年度におきましては、2022年5月に、新型コロナウイルス感染症や半導体供給不足、原材料の高騰等、先行きが不透明な状況を鑑みて、安定的な資金調達を実現し当社グループの財務基盤の安定性を高めることを目的に総額303億円のシンジケートローン契約を締結、及び総額30億円のコミットメントライン契約を締結いたしました。さらに2022年9月には、新たに45億円のコミットメントライン契約を締結いたしました。このように、急速な外部環境の変化に対応するため手元流動性を高め、緊急時の資金対応に備えております。
なお、当連結会計期間の末日現在においてコミットメントライン契約の未使用枠を合計75億円保持しております。
(c)資金配分について
当社グループ全体として得られた資金は、設備投資、株主還元、手元資金に振り分けております。設備投資については、経営戦略を踏まえた投資意義や投資資金の回収可能性を検討の上、投資の可否を判断しております。また、業績に応じた株主還元を実施することを基本方針としており、配当政策については、継続的かつ安定的な配当の維持を目指しております。手元資金については、適切な事業環境に応じて一定の水準に抑えることでグループ全体の資金効率を高めていくよう努めております。
なお、翌連結会計年度の設備投資予定額につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、半導体供給不足の問題が依然として生じており、今後の半導体供給不足の解消時期等を予測する事は困難であります。このような状況下、当社グループは、会計上の見積りに関する判断については、現時点で入手可能な外部情報等から、翌連結会計年度(2024年3月期)の一定期間にわたり当該影響について、当年度と同様な状況が継続するという仮定に基づき、会計上の見積りを行っております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(シンジケートローン契約及びコミットメントライン契約)
当社は、2022年5月26日開催の取締役会において、総額303億円のシンジケートローン契約及び株式会社りそな銀行を貸付人とした総額30億円のコミットメントライン契約を締結することを決議し、同日締結いたしました。なお、いずれの契約についても2023年3月31日付及び同年6月28日付の変更契約の締結に伴い、返済期日及びコミットメント期日に変更が生じています。
1.本契約締結の目的
新型コロナウイルス感染症や半導体供給不足、原材料の高騰等、先行きが不透明な状況を鑑みて、安定的な資金調達を実現し当社グループの財務基盤の安定性をより高めることを目的としております。
2.シンジケートローン契約の概要
※1 2022年12月31日付の実行予定額27.4億円、及び2023年3月31日付の実行予定額24.3億円については、財務制限条項に抵触するおそれがあったことから、不実行となっております。
※2 2023年6月28日付の変更契約の締結に伴い、返済期日が2023年9月29日に変更されております。
※3 契約締結時は株式会社三井住友銀行でありましたが、2023年3月27日付であおぞらアセット株式会社に債権譲渡されました。
(11) 財務制限条項
借入人は、本契約締結日以降、借入人が貸付人及びエージェントに対する本契約に基づく全ての債務の履行を完了するまで、以下の各号を遵守することを確約する。
① 2022年5月末日を初回とし、各暦月末日における単体の貸借対照表における現金及び預金(現金同等物を含まない。)の合計額に、借入人の相手方当事者としての金融機関が貸付義務を有するコミットメントライン契約の未使用貸付極度額を加算した金額を20億円以上に維持する。
② 2023年3月期の第2四半期末日及び決算期末日における連結の貸借対照表における純資産の部の金額を2022年3月期比75%以上に維持する。
(注) 本財務制限条項に加えて、当社の現預金残高を一定金額以上に維持する要件があります。
なお、当連結会計年度末において上記財務制限条項②に抵触しておりますが、各取引金融機関から抵触を理由とする権利行使の猶予にご同意頂いております。
3.コミットメントライン契約の概要
※1 2023年6月28日付の変更契約の締結に伴い、コミットメント期日が2023年9月29日に変更されております。
(固定資産の譲渡)
当社の連結子会社である河西サポートサービス株式会社は、2022年8月5日開催の取締役会において、その保有する固定資産の譲渡を決議し、当該決議に基づき、2022年8月5日に譲渡契約を締結いたしました。
1.譲渡の経緯・目的
経営資源の有効活用と財務体質の向上を図るため、譲渡することといたしました。
なお、現在の綾瀬工場の生産工程は、物件明け渡し迄の約2年の間に当社グループの寒川工場等に移管を予定しております。移管が完了するまで、当該土地については譲渡先と使用貸借契約を締結し継続して使用いたします。
2.譲渡資産の内容
3.譲渡先の概要
譲渡先は国内の事業法人であり、譲渡先との機密保持の観点から開示を控えさせていただきますが、譲渡先と当社の間には、資本関係・人的関係・取引関係・関連当事者として特筆すべき事項はありません。
4.連結子会社の概要
5.譲渡の日程
子会社取締役会決議日 2022年8月5日
売買契約締結日及び所有権移転日 2022年8月5日
物件明渡日 2024年7月31日(予定)
(コミットメントライン契約)
当社は、2022年9月30日に株式会社りそな銀行を貸付人とした45億円のコミットメントライン契約を締結いたしました。なお、2023年3月31日付及び同年6月30日付の変更契約の締結に伴い、コミットメント期日に変更が生じています。
1.本契約締結の目的
新型コロナウイルス感染症や半導体供給不足、原材料の高騰等、先行きが不透明な状況を鑑みて、安定的な資金調達を実現し当社グループの財務基盤の安定性をより高めることを目的としております。
2.コミットメントライン契約の概要
※1 2023年6月30日付の変更契約の締結に伴い、コミットメント期日が2023年9月29日に変更されております。
(9)財務制限条項
借入人は、本契約締結日以降、借入人が貸付人に対する本契約に基づく全ての債務の履行を完了するまで、以下の各号を遵守することを確約する。
① 2022年10月末日を初回とし、各暦月末日における単体の貸借対照表における現金及び預金(現金同等物を含まない。)の合計額に、借入人の相手方当事者としての金融機関が貸付義務を有するコミットメントライン契約の未使用貸付極度額を加算した金額を20億円以上に維持する。
② 本契約締結日以降の決算期(第2四半期を含む)の末日における連結の貸借対照表における純資産の部の金額を2022年3月期比75%以上に維持する。
なお、当連結会計年度末において上記財務制限条項②に抵触しておりますが、取引金融機関から抵触を理由とする権利行使の猶予にご同意頂いております。
当社グループは自動車内装トリム部品の専門メーカーとして、ユーザー及び自動車メーカー各社のニーズに積極的に応える新製品・新工法を提供するため、強力に研究開発を進めております。
その一環として2023年2月に新しいプレゼンテーションルームを寒川本社に開設いたしました。
河西サステナビリティ方針に沿った私たちの開発の考え方や将来に向けた取り組みの発信基地という意味を込めて「WAKUWAKU BASE」と名付けました。現在はコンセプトモデル、VRコンテンツ、環境に優しい新材料開発、快適製品の先行開発等13アイテムを展示しており、開所以来、カーメーカー、協力企業の皆様はじめ社内外の多くの方に訪問いただいております。
当社は、お客様との対話から新しい価値を創造し、モビリティー社会の快適空間の実現を通して、成長を目指してまいります。
なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費の総額は
主な成果は次のとおりであります。
(1)環境対応
SDGsの達成に向けサステナブルなモビリティー社会の実現に貢献するための活動を進めております。
当社では、再生材料を原料とした循環型リサイクルシートを始め、当社より排出される廃棄物のゼロ化を目指し様々な取り組みを行っております。
研究開発事例としまして、天井トリム向け複合材料の端材をその特性を活かしポリプロピレン材料の補強材としての再利用に取り組んでおり、当社工場内で使用する樹脂コンテナボックスへの採用を検討中です。
将来的には自動車部品への適用も視野に開発を進めてまいります。
また、石油由来材料の削減、CO2排出量の削減を目的にバイオマス材料の開発にも取り組んでおり、社会に貢献する材料、及び製品の開発に力を入れております。
(2)軽量化
当社は今までも車両の軽量化に貢献できる技術研鑽を続けてきましたが、新たに、薄肉高発泡成形の開発に成功しました。これは、使用するプラスチック材料の削減と製品性能を両立させる技術で、更なる車両の軽量化、CO2削減へ貢献します。これにより、業界トップレベルの製品軽量化が可能となり、2023年発売の車両に採用されることとなりました。(従来品と比較して20%の軽量化に貢献)
当社は、これからも新しい自動車内装価値の創造に取り組み、お客様に提供してまいります。
(3)安全性
側面衝突時の安全性に寄与するドアの高性能なエネルギー吸収パッドを射出成形樹脂で廉価に実現し、更に機能性を向上させる開発を完了し各車種への搭載を開始しております。
(4)快適環境
当社の開発した高性能インシュレータは、吸遮音性能と断熱性能を両立したインシュレータとなっております。
昨今、自動車室内空間を広く確保する取り組みにより、エンジンなどの熱源と自動車室内の距離が近くなる傾向にあります。熱源からの熱を自動車室内に伝えにくく、さらに従来以上の吸遮音性能を実現いたしました。協力先フェルトメーカ様と当社の独自繊維配合により、性能面では同板厚、同質量の従来インシュレータに対して、最大約120%の吸音性能、約110%の断熱性能を達成いたしました。尚、今回2023年発売予定の車両では輸送効率向上を狙い1枚のシートで構成し、成形レスで裁断形状を工夫することにより車両組付け時に立体的に追従させる設計としております。当社は、これからもお客様の快適性へのニーズを材料、設計開発の両輪で提供を進めてまいります。
(5)魅力機能
近年、期待が高まる自動運転、コネクティビティなどCASEを中心とする次世代自動車技術をいち早く先取りして、内装がクルマと乗員のインターフェースとなる、インテリア ユーザー インターフェース(IUI)コンセプトを提唱し、透光表皮技術やインビジブル照明を活用する事で次世代に向けた内装革新商品の研究開発を強力に進めております。