(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、次の社訓、経営理念、経営方針及び行動指針を経営の基本方針として掲げ、企業活動を行っております。
<社訓>
1.社会の信用を "Gain Trust from Society"
2.企業の繁栄を "Seek Prosperity for Company"
3.相互の幸福を "Share Happiness with Everybody"
<経営理念>
当社グループは、誠意と新しい技術の創造によって、価値ある商品、サービスをグローバルに提供し、顧客・株主・従業員をはじめ、全ての関わる人々の幸福を実現します。
当社グループは、過去数年間で毀損した経営基盤を再構築するため、2028年3月期を最終年度とする中期経営計画「Kasai Turnaround Aspiration」を策定し、2025年4月28日に公表しました。
<目指す姿>
当社グループは、不透明な事業環境の中、「Kasai Turnaround Aspiration」にて以下の三領域を柱に、主要経営課題(収益・財務・ガバナンス)の解決に取り組むことにより、経営再建を果たし、成長軌道へのスタートラインに立つことを目指します。
1. 北米事業構造改革を中心とした収益改善により2027年度営業利益4~5%
2. キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善によるフリー・キャッシュ・フロー創出
3. グローバル組織、グローバルプロセスの構築
また、当社の持続的な成長に向けて、新規事業創出とイノベーション開発投資へのシフト及び人的資本経営を推進します。当社グループは、この「Kasai Turnaround Aspiration」に基づく諸施策を順次実行に移しており、経営の再建と将来の成長に向けた基盤の確立を通じて、企業価値の向上に努めてまいります。
<企業構造>
当社グループは、自動車分野を事業領域と位置づけ、研究開発・生産技術開発・営業活動を担っている当社を中心に、世界各国において製造・販売を行う各事業会社で構成されております。各事業会社は、それぞれの国において、販売先OEMへの納入体制を確立し、自律した形で事業運営を行っております。
<事業を行う市場の状況>
当社グループの事業領域である自動車業界では、企業間の競争が世界規模でますます激しくなっております。原材料費やエネルギー価格および人件費の上昇が継続しており、収益環境は引き続き厳しい状況にあります。さらに、中東情勢の緊迫化を含む地政学リスクの高まりや米国の関税政策等を含む通商環境の変化により、グローバルサプライチェーンに不確実性が増しております。また、電動化へのシフトは中長期的には技術革新とともに普及していく大きな流れは変わらないと考えられる一方で、市場環境や各社戦略により、投入時期・車種構成の見直し等の動きも見られます。
このような経営環境の中、当社グループは経営再建を目指して、事業構造改革の取組みを継続して推進しております。
<主要製品・サービスの内容>
当社の主力事業は、ドアトリム・ルーフトリムをはじめとする自動車内装トリムシステム部品の企画・開発・生産であります。当社は独立系部品メーカーとして、全自動車メーカー(販売先OEM)に対しビジネスの門戸を拡げ、高級ブランド車から軽自動車、商用車に至る幅広い販売先OEMニーズにお応えするために、企画・開発・設計・実験、そして生産に至る一貫した体制で高品質、低コストの製品づくりを追求しております。
<顧客基盤>
主要販売先OEMは、日本の自動車メーカーであります。自動車メーカー各社の海外現地生産に追従し、当社は1986年(昭和61年)の北米を皮切りに、積極的な海外展開を進めてまいりました。近年、飛躍的な成長を遂げている中国やアジア諸国においてもすでに供給体制を構築しており、全世界にネットワークを確立しております。製品の現地開発・生産を進めるとともに、非進出国における現地部品メーカーとの技術援助契約の締結、そしてこれらを統括管理するワールドワイドな経営の確立にも努め、グローバルな競争力強化を図っております。
<競争優位性>
当社は内外装トリムシステムサプライヤーとして、キャビントリム・ラゲッジトリム・防音部品など取扱製品の性能向上に取り組むとともに、「快適な移動空間の創造」をありたい姿としてイノベーション開発ロードマップを策定し、未来を先取りする付加価値の高い製品づくりに取り組んでおります。当社は世界各地に生産拠点があり、それぞれの地域や販売先OEMに対応するための開発機能を持っております。製品設計から制作までを一貫して行う開発体制と、お客様にご満足いただける製品を提供するためのグローバルに統一・強化された生産体制で、自動車内外装部品の新しい価値を創造する製品を提供してまいります。
<販売網>
当社グループは高い技術力とともに、最高の品質と価格競争力をもった製品をグローバルに供給するために、国内はもとより、世界8か国に所在する子会社等を通じて販売網を確立しております。
<収益基盤強化と構造改革の推進>
当社グループは、過去数年間で毀損した経営基盤を再構築するため、2028年3月期を最終年度とする中期経営計画「Kasai Turnaround Aspiration」を策定し、収益性の改善及び事業構造改革に取り組んでおります。当連結会計年度においては、これらの施策の着実な実行により、収益性は改善し黒字化に至ったものの、依然として収益水準は十分とは言えず、事業環境の変動に対する耐性を含め、持続的な収益基盤の確立が課題であります。
このような認識のもと、当社グループは、北米事業の構造改革を中心とした収益改善、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善によるフリー・キャッシュ・フローの創出、ならびにグローバル組織及びグローバルプロセスの構築を重点施策として推進しております。これらの取組みを通じて、事業ポートフォリオ及びコスト構造の見直しを進めるとともに、経営基盤の安定化と収益力の一層の向上を図り、外部環境の変化に左右されにくい持続的な成長体制の確立に努めてまいります。
次期見通し(連結業績予想)
(注) 為替レートは、1米ドル=150円を前提としております。上記の業績予想は、本有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は、今後の様々な要因により予想数値と異なる可能性があります。
<内部管理体制の強化>
当社は、過年度決算及び四半期決算の訂正に伴い、財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備が複数年にわたり発生しております。特に、連結子会社における会計処理の誤りや業務プロセスの不備、ガバナンス体制の脆弱さ等が判明し、これらが前事業年度における決算訂正及び有価証券報告書等の提出遅延の主因となったと考えております。
これらの課題に対し、再発防止に向けた抜本的な改善策を策定し、2025年11月11日に東京証券取引所へ改善報告書を提出いたしました。策定した再発防止策を実行し、コーポレートガバナンスの強化、内部管理体制の整備等、再発防止策の実施に真摯に取り組みました。また、当該取組について、2026年5月15日付「東京証券取引所への改善状況報告書の提出に関するお知らせ」において、改善措置の実施状況及び運用状況を公表しております。
引き続き、実施してきた再発防止の取組を今後も全社一丸となって継続的に実行・改善し、内部統制の強化に努めてまいります。そして、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に励み、当社グループすべてのステークホルダーの皆さまからの更なる信頼回復に努めてまいる所存です。
KASAIグループは、環境にやさしい製品開発に取り組むことをグループ経営の課題と位置付け、代表取締役を筆頭に会社を挙げて、企業活動における環境負荷を低減するための活動に取り組んでおります。
当社ホームページ(

これらの課題の解決にあたって関連性の強い主管部署を定め、各々に目標を設定して課題解決に取り組んでいます。世界的な情勢や社会の要請、または経営の観点から、特に脱炭素社会の実現・人的資本経営の取組を拡充しております。
●脱炭素社会の実現に向けた取組
当社は、「美しい地球を次世代へ、人と環境にやさしいモノづくりを目指して」をスローガンに環境負荷の低い製品の開発を継続的に取り組むことをグループ経営の重要な課題と位置付け、脱炭素社会に向けて環境負荷を低減するための活動に取り組んでおります。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が推奨する情報開示の枠組みである「測定基準と目標」・「気候変動が与えるリスクと機会」などを活用して目標を設定し、その目標を達成させるための活動による自社のリスクや機会の抽出・評価を行い、その対応策を事業戦略に反映させていきます。
(1) ガバナンス
KASAIグループでは、環境を含むサステナビリティ関連のリスク及び機会を管理・監督するため、環境マネジメント推進体制を構築しております。
取締役会は月次で開催され、環境保全活動に関する基本方針及び目標を決定するとともに、その達成状況について報告を受け、必要な指示及び監督を行っております。
経営会議は月次で開催され、取締役会が定めた方針及び目標に基づき、環境業務計画の策定及び進捗管理を行うとともに、環境課題への対応方針について審議しております。
全社環境会議は半期毎に開催され、CO2排出量,エネルギー使用量等の環境関連指標の実績、計画の進捗状況を評価し、課題の把握及び改善施策の検討を行っております。
EMS推進会議は四半期毎に開催され、環境関連施策の推進及び実施状況のモニタリングを行うとともに、継続的な環境パフォーマンスの向上に取り組んでおります。
これらの会議体を通じて、環境関連のリスク及び機会に関する情報を収集・評価し、必要な対応策を検討・実施することで、環境マネジメントの継続的な改善を図っております。
環境マネジメント推進体制
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(2) 戦略
気温上昇を1.5℃以内に抑えて脱炭素社会へ移行するシナリオ、及び気温上昇が4℃に達するシナリオの2つのシナリオで2030年の社会を想定し、気候変動のリスクと機会を分析しております。その分析を基に事業インパクトを想定しリスクと機会への対応策を策定しました。
シナリオ分析の検討に際しては、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)及び国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)等を参照しております。
事業インパクトに対するリスクと機会の対応策
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(3) リスク管理
気候変動による経営に与えるインパクトを調査し、インパクトに対するリスクと影響度を評価、更にリスクへの対応策と機会への施策を策定し、環境活動の年次計画・中期計画に取り入れ全社活動で進めております。施策として省エネルギー、産業廃棄物削減、環境負荷の高い化学物質の使用削減等、サステナビリティに係る環境活動の実績を月次で管理し、全社環境会議(1回/6カ月)にて実績報告を行い、環境管理統括責任者判断の下、環境負荷の削減に向け全社で取組を進めております。
(4) 指標と目標
中期目標(グローバル)
2030年度までにCO2排出量を2019年度比で30%削減(年に2019年度比3%削減)する。
(GHG Scope1,2)
●人的資本経営に関する取組
(1) ガバナンス
当社グループは、人的資本を中長期的な企業価値向上の重要な基盤と位置づけております。人的資本に関する方針および重要施策については、経営戦略や事業環境との整合を図りながら、必要に応じて経営会議等において審議し、取締役会が監督する体制としております。また、具体的な施策の企画・実行・進捗管理については、人事部門を中心に関係部門と連携して実施しております。
(2) 戦略
当社は、2025年4月28日付で発表した中期経営計画「Kasai Turnaround Aspiration (KTA)」において、6本の柱の一つとして「人的資本経営」を掲げております。人的資本は、再建の成功と将来の成長を支える基盤であり、その価値の最大発揮が持続的な企業価値向上に資するものと考えております。
当社グループは、社訓および経営理念のもと、多様な人材が「One Kasai」として力を発揮できる環境整備を進めており、エンゲージメント向上、多様性の確保、人材育成の強化を人的資本戦略の中核に据えております。
具体的には、人材の多様性の確保、従業員エンゲージメント向上施策の推進および教育・研修を通じた人材育成に取り組んでおります。教育面では、階層別研修、語学教育、職種別教育等を体系的に整備し継続的に実施しております。
なお、当該教育・研修プログラムの詳細については、当社ホームページ(

(3) リスク管理
当社グループは、人的資本に関する主なリスクとして、事業環境の変化に対応し得る人材の確保・育成の遅れ、従業員エンゲージメントの低下、多様な人材が能力を十分に発揮できないことによる組織活力の低下等を認識しております。
これらの課題に対し、人事関連指標のモニタリングおよび各種施策の進捗確認を通じて状況を把握するとともに、必要な改善策を講じることにより、継続的なリスク低減に取り組んでおります。
(4) 指標と目標
当社は、人的資本戦略における重要指標として、従業員エンゲージメント、多様性の確保および人材育成に関する各種指標を設定し、継続的な改善に取り組んでおります。これらの指標については、定期的に進捗を確認し、その結果を踏まえた施策の見直しを行っております。
<女性の管理職への登用>
当社は、女性管理職比率の向上に向け、女性従業員比率の向上を目標として設定しており、直接雇用の従業員に占める女性比率15%以上を目標としております。母集団の拡充を通じた着実な底上げにより、中長期的な女性管理職比率の向上を図ってまいります。
女性管理職比率の実績については「
なお、海外事業会社においては、性別に関する考え方や文化的背景が日本とは異なる場合が多く、現時点では一律の数値目標設定は行っておりません。各国・地域の法令や文化、価値観を尊重しつつ、多様性の推進に取り組んでまいります。
<男性社員による育児目的休暇の取得>
男性従業員の育児休業取得については、取得率の向上に加え、2か月以上の育児休業取得者の割合について45%以上を目標として設定しており、より実効性のある制度利用の促進に取り組んでおります。
管理職による取得意向の確認や制度周知を通じて取得促進を図るとともに、その取得状況については法令に基づき外部公表を行っております。
<外国人の管理職への登用>
当社グループでは、国籍を問わない人材採用を継続しており、海外事業会社においては事業運営の中核を担う外国人管理職が多数活躍しております。
外国人管理職の登用に関しては、各国・地域における法制度や文化的背景の違いを尊重し、現時点ではグローバルで統一的な数値目標の設定は行っておりません。今後も現地主導の経営体制を支援する観点から、現地外国人の積極的な登用を推進してまいります。
<中途採用者の管理職への登用>
当社グループでは、日本国内において新卒一括採用の慣行が根強く残っていることを踏まえ、中途採用者比率を人的資本指標の一つとして管理しております。
管理職に占める中途採用者の割合は、日本国内において46%(2026年4月末時点)となっており、多様な経験・知見を有する人材の登用が進展しております。今後も組織の活性化および競争力強化に資する人材構成の実現に向けて取り組んでまいります。
一方、連結子会社である河西工業ジャパン株式会社においては、製造現場主体の組織であり業務習熟に一定期間を要する特性を踏まえ、管理職に占める中途採用者の目標比率は定めておりません。
また、海外拠点においては、採用慣行や人事制度が国・地域ごとに大きく異なり、中途採用という区分自体が存在しない場合もあることから、当該指標は日本地域におけるものとして開示しております。
なお、人的資本に関する各指標については、制度、指標定義およびデータ収集体制の整備状況を踏まえ、主として日本地域を対象として開示しております。海外拠点については、各国・地域における制度・文化の違いおよびデータ整備状況を踏まえ、今後、開示対象範囲の拡充について検討してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済状況等
当社グループの連結売上高は、今日までの積極的な海外展開と得意先の海外生産のシフトにより、その海外売上比率は73.6%と高い水準にあります。したがって、当社グループの自動車関連製品の需要は、進出先の国及び地域の経済状況の影響を受けます。特に北米地域の売上高は 55.5%と連結売上高に占める割合が高く、同地域の自動車市場の景気動向と需要変動、米国における通商政策の動向が、当社グループの経営成績等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、北米地域のほか、欧州、アジア地域を含めた、バランスの取れた経営体制を目指してまいります。
(2) グローバル展開
当社グループは、前述のとおり海外売上比率は73.6%と高い水準にあります。そのため、海外生産拠点に予期しない政治・経済の不安定化、法令又は税制の変更、テロ、ならびに近時の中東地域情勢の緊迫化やロシア・ウクライナ情勢等の地政学的リスク、その他の要因による社会的混乱等により事業の遂行に問題が生じる可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの現在の主要販売先OEMは、日産自動車㈱グループと本田技研工業㈱グループであり、当連結会計年度における連結売上高に占める割合は74.2%となっております。当社グループは、両社の自動車販売動向が、当社グループの経営成績等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、両グループとの取引関係を維持発展させつつ、販売先OEMの多様化を推進し、安定した事業運営を目指してまいります。
(4) 為替レートの変動
当社グループの連結売上高に占める海外売上高比率は、当連結会計年度で73.6%(前連結会計年度76.1%)となっており、為替相場の影響を受けやすい状況になっております。当社グループの想定を超えた為替レートの変動が生じた場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループの想定を超えた為替レートの変動に備え、各地域において現地通貨による取引・決済等を進めてまいります。
(5) 製品の欠陥・品質
当社グループは、予期せぬ製品の欠陥や品質面の不備が発生した場合、その欠陥や不備の内容によっては多額のコストが発生したり、当社グループの評価が低下したりすることにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム規格(IATF16949)を国内・海外拠点において取得し、グローバルで品質保証体制の強化に努めております。このシステムを継続的に実践し、製品品質の安定と向上を図るために、マネジメントシステムの定期的な監査と経営層による診断を実施しております。
(6) 原材料等の供給不足・供給価格の高騰
当社グループの事業にとっては、十分な品質の原材料、部品、サービス等を調達することが不可欠であります。しかし、供給業者での不慮の事故、震災などにより供給が中断した場合や不安定となった場合、当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定しておりますが、原油価格上昇等により原材料・部品価格が高騰する可能性があり、この場合には当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。
当社グループにおきましては、不測の事態に備え、複数の供給網を構築し、原材料等の供給不足への対策を講じております。
また、近時の中東地域情勢の緊迫化等を含む地政学的要因により、原材料やエネルギー価格の変動、ならびに一部原材料の供給の不安定化が生じる可能性があります。当社グループでは複数の調達先の確保等により影響の極小化に努めておりますが、これらの動向によっては、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 自然災害等
当社グループの生産拠点において、大規模な地震、台風による水害、昨今の気候変動による洪水・大寒波などの自然災害、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック等は、経済活動に大きな影響を及ぼしております。これら異常事態が発生した場合、一時的な操業停止や減産対応、サプライチェーンへの影響による製品部材等の調達遅延や価格高騰、経済活動の停滞による製品やサービスの受注・売上の減少など、当社グループの経営成績等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
(8) 情報セキュリティ
当社グループは、製品の開発、生産、販売など、事業活動において情報技術やネットワーク、システムを利用しております。これらの情報技術やネットワーク、システムには安全な対策が施されておりますが、サイバーテロ、不正アクセス、コンピューターウイルスへの感染等により、情報システム障害による業務の停止、重要なデータの喪失、機密情報や個人情報の漏洩などが発生する可能性があります。この結果、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、一般的なセキュリティ対策とされる外部からの不正アクセスを防ぐファイヤーウォールの設置、リアルタイムでのウイルスチェックによる検疫、サーバーやネットワーク回線の冗長化に加えクラウドサービスの利用促進、サイバー攻撃を考慮したバックアップシステムの確立、生産系とOA系のネットワークの論理的分離の対策により不測の事態による業務停止リスク軽減など取引先への影響極小化に向けた各種の対策を講じております。
また、当社グループの海外子会社において、これまでにサイバー攻撃を受けた事例があり、情報システム障害等が発生した場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該事象を踏まえ、情報セキュリティ対策の強化及び再発防止に向けた取組みを継続しております。
(9) 価格競争
当社グループの製品は、価格的、品質的、技術的に十分競争力を有していると考えておりますが、新たな競合先の台頭や、既存競合先による市場シェア拡大を目的とした低販売価格に対して、販売を維持、拡大し、収益性を保つことができなくなる可能性があります。この場合には、当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、ユーザー及び販売先OEM各社のニーズに積極的に応える新製品・新工法を提供するため、強力に研究開発を進め、競争力確保に努めてまいります。
(10) 有利子負債依存度、支払利息の増加並びに財務制限条項への抵触
当社グループは、設備投資、システム投資及び研究開発投資等のための資金調達を主に金融機関からの借入金に依存しており、当連結会計年度末現在における有利子負債依存度(有利子負債額/総資産額比率)は51.1%であります。適切な設備投資計画の策定や資産の効率化を図ることで、これ以上有利子負債依存度を高めないように取り組んでおります。しかしながら、現時点における有利子負債依存度は相当程度高く、今後有利子負債依存度がさらに増加した場合には、期待した金利・時期・金額での資金調達に影響を及ぼす可能性があります。
また、市場金利の上昇から、今後借入金利の上昇等により支払利息が増加した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループの借入契約には財務制限条項が付されております。これに抵触した場合、貸付人の請求があれば本契約上の期限の利益を失うため、ただちに当社の財務状況、キャッシュ・フロー、事業継続性等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(11) 希薄化及び流動性に関するリスク
当社は、2024年11月1日付で、第三者割当の方法により日産自動車株式会社(以下「日産自動車」といいます。)に対してA種優先株式を5,827,274株発行しました(以下「本第三者割当増資」といいます。)。A種優先株式には、発行後原則として1年経過後に行使可能な普通株式を対価とする取得請求権が付されており、A種優先株式の累積未払配当金相当額及び日割未払優先配当金額がいずれも存在しない前提でA種優先株式全てについて当初取得価額をもって当社普通株式に転換された場合、2026年3月31日現在の当社発行済株式総数に係る議決権の数を分母とする希薄化率は261.00%となります。したがって、A種優先株式の当社普通株式への転換に伴い、当社普通株式の1株当たりの株式価値及び持分割合が希薄化する可能性があり、また、A種優先株式の累積未払配当金相当額及び日割未払優先配当金額の増加に伴い希薄化規模は増加し、当社株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、全てのA種優先株式が一括して当社普通株式に転換された場合には、株式会社東京証券取引所がスタンダード市場の上場維持基準として定める流通株式比率25%以上の水準に抵触する可能性があります。また、この場合には、当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 大株主との関係に関するリスク
A種優先株式には当社普通株式と同等の議決権が付されており、2026年3月31日現在の総議決権数に占める割合は13.05%となります。また、A種優先株式には普通株式を対価とする取得請求権が付されており、全てのA種優先株式が一括して普通株式に転換された場合には、当社の議決権の3分の2を超える議決権を有する支配株主となります。さらに、日産自動車との投資契約においては、当社の重要事項について日産自動車の事前の承諾を要することとされており、当社の意思決定に対し影響力を持つことになります。
また、日産自動車は、A種優先株式発行後2028年3月31日までは、原則としてA種優先株式(A種優先株式の取得請求権の行使により当社普通株式を取得した場合には、当該普通株式)を譲渡することができませんが、かかる譲渡制限期間経過後、日産自動車が当社株式の一部又は全部を売却する可能性があり、市場で売却した場合には、売却の規模等によっては、当社株式の需給関係及び市場価格に影響を与える可能性があります。
さらに、本第三者割当増資の実施を条件として、日産自動車から2名の取締役が派遣されております。当社は、日産自動車との人的関係を維持する方針ではありますが、何らかの要因により日産自動車の方針等の変更が生じ、人的関係が見直された場合には、当社の経営・事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 金銭を対価とする取得請求権に関するリスク
当種優先株式においては年率7.0%の優先配当条項(複利、累積型)が定められており、当該配当が行われなかった場合には翌期に複利で累積することとなります。また、A種優先株式には、2028年4月1日以降行使可能な金銭を対価とする取得請求権が付されており、その対価の金額はA種優先株式の払込金額相当額並びにA種累積未払配当金相当額及びA種日割未払優先配当金額の合計額となります。したがって、A種優先株主が金銭を対価とする取得請求権を行使した場合、一括して上記の金銭の支払いを行う必要があり、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(14) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、前連結会計年度において営業赤字となったことによる債権者間協定書の財務制限条項への抵触、及び2025年3月期有価証券報告書の提出が法定期限内に行えなかったことによる債権者間協定書における確約条項に抵触したことから、取引金融機関に対して抵触に伴う期限の利益喪失に関する請求の権利放棄を依頼しておりました。しかしながら、取引金融機関からの権利放棄に関する具体的な時期等については未確定であったこと等から「継続企業の前提に関する注記」を記載しておりました。
当社グループは、2025年4月に計画を公表し、2026年2月に目標値を公表いたしました中期経営計画「Kasai Turnaround Aspiration」に基づき、経営再建に向けて主要経営課題に対して真摯に向き合い、課題解決に向けて取り組んでまいりました。その結果、販売先OEMからの支援をはじめとした価格是正等による売上高の増加や、継続して営業損失を計上している北米セグメントについて適切なコストコントロールを実施した結果、赤字幅が縮小したこと等により、当連結会計年度において営業利益の黒字化を達成することができました。
また、2025年12月開催のバンクミーティングにて期限の利益喪失に関する請求の権利放棄を依頼し、取引金融機関と協議を開始いたしました。協議において、業績の見通しのほか、当社が2025年11月11日付「東京証券取引所への改善報告書の提出に関するお知らせ」で公表した改善措置に取り組み、再発防止のため内部統制の強化、業務プロセスの再構築等を進めていることについて説明を重ね、2026年3月31日付で、期限の利益喪失を請求する権利放棄について全取引金融機関より同意を得たことで、確約条項及び財務制限条項への抵触が解消されました。
以上の状況を踏まえ、当連結会計年度において営業利益の黒字化を達成したものの、①自己資本が低水準に留まり、財務体質の改善・強化が必要であること、②北米事業が継続的な取組により改善しているものの未だ途上であること、③当連結会計年度の業績には販売先OEMによる支援も含まれていることから、現時点では依然として継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。
これに対して、当社グループでは当該事象又は状況を改善、解消すべく、当連結会計年度も引き続き、全社を挙げて以下の取組を実行しております。
(1) グループの収益力向上
① 取引先との価格・数量等各種条件の見直し、材料の市況変動による高騰や労務費高騰の販売価格への転嫁、生産現場における生産ロスの圧縮、人員体制の最適化等による人件費抑制の継続などの経営改革を断行し、グループ収益力の向上に引き続き取り組んでまいります。
② 販売先OEMとの販価等の見直し協議は、着実に合意形成が図られており、グループ収益力の向上に取り組んでおります。
③ 特に課題である北米拠点においては、上記取組に加えて、主要販売先OEMのご協力による生産現場改善及び間接部門における早期退職の実施、並びに事務のメキシコへの集約によるコストダウンなどの経営改革を着実に実行しております。
④ 米国関税の影響に関しては、販売先OEM等との協議を通じて、利益圧迫を最小限にすべく取り組んでおります。
⑤ 米国とイランの軍事衝突を巡る中東地域情勢の緊迫化により、中東地域における政治・経済情勢の不確実性がもたらす影響については、原材料の調達先の分散及び代替材料の検討を進めるとともに、供給状況及び価格動向について関係部門横断で継続的なモニタリングを通じて、影響の極小化を図っております。
(2) 財務体質の改善・強化と安定した経営基盤の構築
① 当社グループは抜本的な構造改革施策の実施を目的として、2024年11月1日、日産自動車株式会社からの第三者割当増資による総額60億円の資金調達をしております。
② 2024年11月1日に、古川幸二が当社の代表取締役社長 社長役員に、稲津茂樹が当社の取締役 副社長役員に新たに就任し、2025年4月に公表した中期経営計画「Kasai Turnaround Aspiration」の骨子(方策と取組の概要)を策定の上、経営再建に取り組んでおります。
③ 2026年2月には中期経営計画の経営目標値を公表しており、当該計画における当連結会計年度の経営目標値である営業利益40億円を達成しました。引き続き計画達成に向け施策の実行及び適切な進捗モニタリングを通じて、優先課題である北米事業の赤字縮小に加え、グローバルで経営基盤の強化に取り組んでおります。
(3) 安定的な資金繰りの確保
① 2024年10月23日付で、全取引金融機関との間で、債権者間協定書を締結し、債権者間協定書において定められた新たな弁済条件に基づく金銭消費貸借契約書を併せて締結し、最終返済期限が2028年3月31日に変更されております。また、2024年11月1日、株式会社りそな銀行との間の劣後特約付準金銭消費貸借契約書に基づく、デットデットスワップの効力が生じており、当社の資金繰りの安定化に寄与しております。
② 当社は、2025年3月期有価証券報告書の提出が法定期限内に行えなかったことにより、各取引金融機関と締結しております債権者間協定書における確約条項に抵触していることに加え、前連結会計年度において営業赤字となったことにより債権者間協定書の財務制限条項に抵触しておりましたが、2026年3月31日付で抵触状況は解消しており、業績見通し及び改善状況報告書への取組についての説明を通じて、引き続き金融機関からの支援が受けられる見込みです。
③ 当社は、2025年11月11日付「東京証券取引所への改善報告書の提出に関するお知らせ」で公表した改善措置に取り組み、再発防止のため内部統制の強化、業務プロセスの再構築等を進めてまいりました。決算訂正及び有価証券報告書提出遅延の原因となった事象の解消及び再発防止策の取組について、日本取引所自主規制法人に報告等を実施し、2026年5月15日に改善状況報告書を提出いたしました。
④ 2026年3月31日現在、コミットメントライン契約極度85億円に対し使用額は12億円、未使用額は73億円となっています。当社グループの事業運営上、適切な資金枠を確保できており、投資案件の厳選及び抑制等を図るとともに、営業利益の黒字化などグループ収益力の向上により、事業及び運転資金を安定的に確保しております。
以上のとおり、当連結会計年度において営業利益の黒字化を達成し、債権者間協定書における確約条項及び財務制限条項への抵触が解消しました。また、2027年3月期においても計画の達成可能性は相応にあると考えております。このため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象は存在するものの、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められなくなったものと判断し、当連結会計年度において、「継続企業の前提に関する注記」の記載を解消いたしました。
(15) 内部統制に関するリスク
当社は、過年度決算及び四半期決算の訂正に伴い、財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備が複数年にわたり発生したことを重く受け止めております。特に、連結子会社における会計処理の誤りや業務プロセスの不備、ガバナンス体制の脆弱さ等が判明し、これらが決算訂正及び有価証券報告書等の提出遅延の主因となりました。これらの課題に対し、当社は2025年11月11日付「東京証券取引所への改善報告書の提出に関するお知らせ」で公表した改善措置に取り組み、再発防止のため内部統制の強化、業務プロセスの再構築等を進めてまいりました。決算訂正及び有価証券報告書提出遅延の原因となった事象の解消及び再発防止策の取組みについて、日本取引所自主規制法人に報告等を実施し、2026年5月15日に改善状況報告書を提出いたしました。ただし、これらの再発防止策の継続的な実行及び内部管理体制等の強化が適切になされない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態、レピュテーション並びに金融機関、株主、取引先等との関係等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
世界経済につきましては、一部に持ち直しの動きが見られるものの、米国における通商政策の動向に加え、中東地域情勢の緊迫化やロシア・ウクライナ情勢の長期化に起因する地政学的リスクの高まり等により、エネルギー価格や国際物流への影響を含め、先行きの不確実性が依然として高い状況が続いております。
我が国の経済においても、物価上昇の影響が個人消費に及んでおり、内需回復の動きは緩やかなものにとどまっております。このような環境のもと、当社グループが属する自動車業界では、中国市場を中心とした電気自動車(BEV)へのシフトの進展に加え、国際情勢や通商政策を巡る不確実性等を背景として、事業環境は引き続き厳しい状況が続くものと認識しております。
このような経営環境下において、当社グループは、中期経営計画「Kasai Turnaround Aspiration」に基づく施策を着実に実行するとともに、不採算拠点からの撤退、固定費削減、価格是正の進展等、事業構造改革を継続的に推進してまいりました。
総資産は1,453億29百万円と前連結会計年度末に比べ、4億97百万円の増加(+0.3%)となりました。
負債は1,185億35百万円と前連結会計年度末に比べ、33億86百万円の減少(△2.8%)となりました。
純資産は267億93百万円と前連結会計年度末に比べ、38億84百万円の増加(+17.0%)となりました。
売上高は1,961億89百万円と前連結会計年度に比べ226億11百万円(△10.3%)の減収となりました。営業利益は65億76百万円(前連結会計年度は2億89百万円の営業損失)、経常利益は57億2百万円(前連結会計年度は12億88百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は40億52百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失91億82百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
売上高は516億97百万円と前連結会計年度に比べ5億9百万円(△1.0%)の減収となり、セグメント利益は46億59百万円と前連結会計年度に比べ94百万円の減益となりました。
(北米)
売上高は1,088億23百万円と前連結会計年度に比べ80億64百万円(△6.9%)の減収となり、セグメント損失は4億75百万円と前連結会計年度に比べ58億49百万円の大幅な改善となりました。
(欧州)
売上高は144億17百万円と前連結会計年度に比べ131億31百万円(△47.7%)の減収となり、セグメント利益は4億57百万円と前連結会計年度に比べ7億52百万円の増益となりました。
(アジア)
売上高は212億51百万円と前連結会計年度に比べ9億4百万円(△4.1%)の減収となり、セグメント利益は18億8百万円と前連結会計年度に比べ3億10百万円の増益となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、235億59百万円(前連結会計年度末比31億71百万円の減少)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益47億94百万円の計上に加え、主として減価償却費62億26百万円等による資金の増加があり、一方で、仕入債務の減少27億4百万円等により、96億11百万円の収入(前連結会計年度は9億11百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出58億95百万円、定期預金の預入による支出26億33百万円等により、78億23百万円の支出(前連結会計年度は51億70百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少25億2百万円、長期借入金の返済による支出10億3百万円、リース債務による返済の支出8億78百万円等により、49億21百万円の支出(前連結会計年度は73億2百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によるものであります。
3 当連結会計年度において、欧州セグメントの生産高に著しい変動がありました。
これはドイツ拠点における事業撤退の影響によるものであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、欧州セグメントの受注高及び受注残高に著しい変動がありました。
これはドイツ拠点における事業撤退の影響によるものであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、欧州セグメントの販売高に著しい変動がありました。
これはドイツ拠点における事業撤退によるものであります。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
4 上記の日産自動車株式会社の販売高には、同社の関係会社( 日産車体株式会社、Nissan North America, Inc.、Nissan Mexicana, S.A. De C. V.、Nissan Motor Manufacturing (UK) Ltd.、東風汽車有限公司、Nissan Motor (Thailand) Co., Ltd.、鄭州日産汽車有限公司、日産(中国)投資有限公司、東風汽車有限公司東風日産乗用車公司、NISSAN TRADING CHINA CO.,LTD.、NISSAN TRADING (THAILAND) CO.,LTD.、PT. Nissan Motor Indonesia、Nissan Motor Asia Pacific Co., Ltd.の13社)の販売高を含めております。
5 上記の本田技研工業株式会社の販売高には、同社の関係会社(株式会社本田技術研究所、Honda Development and Manufacturing of America, LLC、Honda Manufacturing of Alabama, LLC、Honda Manufacturing of Indiana, LLC、Honda Canada Inc.、Honda de Mexico S.A. de C.V.、広汽本田汽車有限公司、東風本田汽車有限公司、本田技研科技(中国)有限公司、Honda Automobile (Thailand) Co.,Ltd.、Honda Trading Asia Co., Ltd.、P.T. Honda Prospect Motorの12社)の販売高を含めております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
総資産は1,453億29百万円と前連結会計年度末に比べ、4億97百万円の増加(+0.3%)となりました。この主な要因は、現金及び預金が12億27百万円減少、受取手形及び売掛金が13億52百万円減少した一方で、退職給付に係る資産等の投資その他の資産が26億68百万円増加したことによるものであります。
負債は1,185億35百万円と前連結会計年度末に比べ、33億86百万円の減少(△2.8%)となりました。この主な要因は、賞与引当金が5億81百万円増加、その他流動負債が25億90百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が23億48百万円減少、電子記録債務が12億87百万円減少、長期借入金が21億13百万円減少したことによるものであります。
純資産は267億93百万円と前連結会計年度末に比べ、38億84百万円の増加(+17.0%)となりました。この主な要因は、利益剰余金が40億52百万円増加したことによるものであります。
(前連結会計年度と当連結会計年度の増減分析)
当連結会計年度の売上高は、主要販売先OEMの生産台数の減少及び事業撤退の影響等により、1,961億89百万円と前連結会計年度に比べ226億11百万円(△10.3%)の減収となりましたが、収益構造の改善が進展したことにより、営業利益は65億76百万円(前連結会計年度は営業損失2億89百万円)と黒字転換し、経常利益は57億2百万円(前連結会計年度は経常損失12億88百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は、40億52百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失91億82百万円)となりました。
(計画値と実績値の増減分析)
売上高は主要販売先OEMの生産台数等の減少などにより予想値に比べ1.9%減となりました。北米地域における収益性改善の進展及び、日本地域における固定費削減の原価低減効果等により、営業利益は予想値より約25億円増加しました。経常利益も予想値より約32億円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益も約30億円の増加となり、親会社株主に帰属する当期純利益は約40億円となりました。
(注) 計画値は、2026年2月16日付け「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」にて公表した数値であります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 会社の経営の基本方針」に記載のとおりであります。
(e)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(日本)
物価上昇の影響により、内需の中心である個人消費の低迷が続いたことから、売上高は516億97百万円と前連結会計年度比5億9百万円の減収(△1.0%)となりました。一方で、構造改革に伴う一時的な費用の影響等により、セグメント利益は46億59百万円と前連結会計年度比94百万円の減益(△2.0%)となりましたが、構造改革費用を含む一時的な損益影響を除いた通常の事業活動で継続的に創出される基礎的な収益力は概ね堅調に推移しました。
(北米)
販売先OEMの生産台数の減少や為替の影響により、売上高は1,088億23百万円と前連結会計年度比80億64百万円の減収(△6.9%)となりましたが、生産効率改善、固定費削減、価格是正の進展等、再建施策の着実な実行により、セグメント損失は4億75百万円(前連結会計年度はセグメント損失63億25百万円)と大幅に改善しました。
(欧州)
ドイツ拠点における事業撤退の影響により、売上高は144億17百万円と前連結会計年度比131億31百万円の減収(△47.7%)となりました。一方で不採算拠点の事業撤退効果によりセグメント利益は4億57百万円(前連結会計年度はセグメント損失2億94百万円)となりました。
(アジア)
中国地域では新車効果の寄与があったものの前期比では減収となり、加えて、アセアン地域においても販売先OEMの販売不振の影響を受けたことから、売上高は212億51百万円と前連結会計年度比9億4百万円の減収(△4.1%)となりましたが、不採算拠点の会社清算による連結除外効果等により、セグメント利益は18億8百万円と前連結会計年度比3億10百万円の増益(+20.7%)となりました。
(a)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(b)当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要は、材料費、経費、労務費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規車種の生産準備に係わる金型、生産設備、新工場の増新設及び設備の更新等の投資資金であります。
当社グループは事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としており、これら資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フローを主とし、必要に応じて金融機関からの借入等により資金を充当しております。また、国内連結子会社にCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入、海外連結子会社についても当社がグループ資金を一元管理することで資金の効率化を図っております。さらに、当社は適時に資金繰り計画を作成・更新し、手元流動性を検証することなどにより流動性のリスクを管理しております。
当社は、2024年11月1日、当社グループの安定的な事業運営の継続、自己資本の充実による財務体質の改善・強化及び経営再建を確実とするための抜本的な構造改革施策の実施に必要な資金を確保することを目的として、日産自動車株式会社より、総額60億円の本第三者割当増資を実行いただきました。また、2024年11月1日、株式会社りそな銀行はデットデットスワップ(以下、「本DDS」といいます。)を実行しました。このように、急速な外部環境の変化に対応するため手元流動性を高め、緊急時の資金対応に備えております。
(c)資金配分について
当社グループ全体として得られた資金は、設備投資、元資金に振り分けております。設備投資については、経営戦略を踏まえた投資意義や投資資金の回収可能性を検討の上、投資の可否を判断しております。また、手元資金については、適切な事業環境に応じて一定の水準に抑えることでグループ全体の資金効率を高めていくよう努めております。
なお、翌連結会計年度の設備投資予定額につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(第三者割当による優先株式の発行に係る投資契約)
当社は、2024年5月9日付けで、日産自動車(住所:神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地)との間で、第三者割当の方法により日産自動車に対して総額6,000,000,000円のA種優先株式(以下「A種優先株式」といいます。)を発行すること(以下「本第三者割当増資」といいます。)等に関して投資契約(以下「本投資契約」といいます。)を締結し、2024年11月1日付けで本第三者割当増資に係る払込手続を既に完了しております。本投資契約において、当社の取締役の指名等に関する合意及び当社の株主総会又は取締役会において決議すべき事項等について日産の事前の承諾を要する旨の合意が含まれており、当該合意に係る内容は以下のとおりであります。
1.本投資契約の目的、取締役会における検討状況その他の当社における合意に係る意思決定に至る過程及び当該合意が当社の企業統治に及ぼす影響
当社グループは、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症、及び世界的な半導体不足の影響により、主要販売先OEMの減産や生産の不安定化等の厳しい環境変化に直面しております。その結果、2020年度以降は売上高が大幅に減少し、固定費の負担が大きくなったことから大幅な営業損失を計上し、2023年3月期には、14,925百万円の営業損失を計上しました。これに伴い、財務の健全性を示す自己資本比率は2023年9月末時点で7.8%と2019年12月末時点の38.8%から低下するに至りました。
このような状況において、当社グループは当該事象又は状況を改善・解消すべく、収益力向上及び財務体質の改善・強化を図り、安定した経営基盤を築くために、さまざまな対応策を実施しております。これらの取組みは一定の成果を上げているものの、当社グループとしては、中長期的な企業価値向上を実現するためには、不採算拠点の再編を含む拠点の最適化による固定費の抜本的な削減等の早期の構造改革の断行が不可欠であると考えております。当社グループは、このような状況において、当社グループの安定的な事業運営を継続し財務体質の抜本的な改善を図りつつ経営改革を実行していくためには、スポンサーからの早期の資本性資金の調達が必要であると判断しました。
当社グループは2022年11月以降、スポンサー候補との接触を開始しました。また、フィナンシャルアドバイザーを起用した上で、当社グループとのシナジーが見込める事業会社28社、及び事業規模等の観点から当社グループへの出資が検討可能であると想定されるファンド21社をリストアップし、スポンサー支援の打診を行いました。一方で、各スポンサー候補としては、当社グループの借入金残高が収益力対比で過大であると判断し、複数のスポンサー候補から、借入金の大幅な軽減を前提としない限り本格的な検討は難しいという趣旨の回答が得られました。
こうした状況の中、当社グループは最大の販売先OEMである日産自動車に対して、スポンサー支援の打診を行い、協議を継続してまいりました。その結果、今般協議がまとまり、2024年5月9日開催の取締役会において、日産自動車との間で本投資契約を締結し、第三者割当の方法により日産自動車に対して総額60億円のA種優先株式を発行することを決議いたしました。本投資契約を通じて日産自動車との連携を深めつつ、早期の経営再建を実現することで、当社グループの企業価値向上を実現してまいります。併せて当社といたしましては、日産自動車による当社経営への寄与によりガバナンス体制の向上が図れるものと考えております。
2.本投資契約の内容
(1)取締役の指名等に関する合意内容
当社は日産自動車との間で、当社が取締役(監査等委員である取締役を含みます。)の定数を15名から10名以内に変更すること、日産自動車が、(i)日産自動車が完全希釈化ベースで10%以上の議決権を保有する限り、当社の取締役候補者2名を指名する権利を、(ii)日産自動車が完全希釈化ベースで5%以上の議決権を保有する限り、当社の取締役候補者1名を指名する権利を有することを合意しております。なお、当社には、日産自動車が指名する取締役候補者が株主総会において選任されるよう最大限努力する義務が課されております。上記(i)の場合において、日産自動車が指名する取締役候補者2名が当社取締役に選任されたとき、2名のうち、1名は当社の代表取締役兼CEOに、他の1名は、製造部門を担当する取締役となります。上記(ii)の場合において、日産自動車が指名する取締役候補者が当社取締役に選任されたとき、当該取締役は、製造部門又は当社及び日産自動車の間で合意する他の部門を担当する取締役となります。また、当社には、りそな銀行が指名する取締役候補者1名が株主総会において選任されるよう最大限努力する義務が課されており、りそな銀行が指名する取締役候補者1名が当社取締役に選任された場合、当該取締役は当社のCFO(取締役企画本部長)となります。
(2)事前承諾事由に関する合意内容
当社は日産自動車との間で、日産自動車が完全希釈化ベースで5%以上の議決権を保有する限り、当社グループに関して、日産自動車による事前の承諾なく、以下の事項を行わないことを合意しております。
(i) 定款又はその他重要な組織規程の改訂
(ii) 株式等の発行
(iii) 剰余金の配当又は自己株式の取得
(iv) 負債等の負担、引受け、保証
(v) 資産の売却若しくは処分又は担保権の設定(総額が10億円未満の資産を除きます。)
(vi) 10億円を超える設備投資又は資本支出の実施(本再建計画に記載の事項を除きます。)
(vii) 吸収合併、新設合併、組織再編、清算、解散又は倒産手続の決定
(viii) 負債等の期限前弁済又はローン契約等の契約条件の変更
(ix) 当社の取締役を9名を超えて選任すること
(x) 日産自動車による普通株式対価の取得請求権の行使に必要な相手方の承認又は同意を得るこ となく、チェンジオブコントロール条項を含む重要な契約を締結すること
(3)日産自動車の新株引受権
当社は日産自動車との間で、日産自動車が完全希釈化ベースで5%以上の議決権を保有する限り、当社が株式等を新たに発行する場合、日産自動車がかかる株式等について新株引受権を有することを合意しております。
(4)譲渡制限
本投資契約において、日産自動車は、2028年3月31日までA種優先株式(A種優先株式の取得請求権の行使により当社普通株式を取得した場合には、当該普通株式)の譲渡が制限される旨が定められております。但し、本投資契約において、日産自動車は、上記譲渡制限期間中であっても、保有する当社株式の全てを日産自動車の連結子会社へ譲渡することが認められております。
(劣後特約付準金銭消費貸借契約)
当社は、当社の既存借入金の一部(総額60億円)を資本性劣後ローンへ転換することを目的として、2024年5月9日付けで、株式会社りそな銀行(以下「りそな銀行」といいます。)との間で、劣後特約付準金銭消費貸借契約(以下「本劣後特約付準金銭消費貸借契約」といいます。)を締結しております。
本劣後特約付準金銭消費貸借契約の概要は、以下のとおりであります。
※通常借入金債務とは、本劣後特約付準金銭消費貸借契約締結日現在において当社が負担している全ての債務(但し、劣後債務及び劣後債務と同等の条件を付された債務を除きます。)及び再建計画に基づき当社が新たに負担する全ての借入金債務をいいます。
(借入に関する契約)
1.金銭消費貸借契約(コミットメントライン)
2.金銭消費貸借契約(コミットメントライン)
3.債権者間協定書
当社グループは自動車内装トリム部品の専門メーカーとして、ユーザー及び自動車メーカー各社のニーズに積極的に応える新製品・新工法を提供するため、強力に研究開発を進めております。
なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費の総額は
主な活動は次のとおりであります。
(1) 産業廃棄物を活用した新材料の開発
当社では、環境負荷低減に貢献できる材料として、産業廃棄物となるウニ殻を活用した機能性フィラーの研究開発を進めております。現在、世界各地の沿岸地域では、ウニの大量発生が一因となり、海の砂漠化と呼ばれる「磯焼け」が発生しています。そのため、各地でウニの捕獲・畜養が進められ、陸上の3~6倍のCO2吸収が期待できる藻場の回復が促進されています。
しかし、畜養されたウニは可食部のみが食用として利用され、殻は産業廃棄物として焼却処分されています。当社は、ウニ殻が持つ多孔質構造に着目し、その材料化に取り組んでいます。
作製したウニ殻由来の機能性フィラーは、従来設備による樹脂へのコンパウンド及び成形が可能です。また、粉体のまま消臭剤としての活用についても検討を進めています。
現在、基礎開発は最終段階にあり、協力メーカー様とともに量産体制の構築を進めております。
<ウニ殻由来機能性フィラー「ウニライト®」に期待できる効果>
・ 鉱産物炭酸カルシウムの補強効果に加え、多孔質構造を持つバイオミネラルをフィラーとして活用することで、VOC吸着効果や消臭効果が期待できます。
・ 増量材として利用することで、石油由来樹脂の使用量削減に寄与します。
本件は「人とくるまのテクノロジー展2025」へ出展したほか、新聞・雑誌など複数のメディアにも取り上げられました。
(2) 解析に基づいた新技術開発
①「高分子材料プレス成形と射出成形の評価手法開発」について
当社は、プラスチック成形加工学会第33回秋季大会(2025年11月11日、12日、「ポートメッセなごや」にて開催)において、「高分子材料プレス成形と射出成形の評価手法開発」をテーマに基調講演を行いました。プラスチック成形加工学会は、プラスチック成形加工に関する研究・技術の発展と産業界への貢献を目的として1988年に設立された学術団体で、当社は2015年に「高輝度・高光沢な金属調外観を有する射出成形製品の開発」で、同学会表彰の一つである「青木固技術賞」を受賞しています。高分子材料プレス成形と射出成形の評価手法の事例は、当社が既に発表している講演内容(自動車技術会2022年秋季大会、2024年春季大会及び2025年UT-mobI自動車技術に関するCAEフォーラム)を基に、社内実績の積み上げを踏まえてアップデートしたものであります。プレス成形・射出成形の評価手法は高度な解析運用を含んでおり、プロジェクト適用等の実績を多数重ねたことにより、より実践的な内容となっています。また、解析実行に関係する部門・部署が多岐にわたることから、解析運用における効率的な組織分担の在り方にも言及しています。本解析技術により、これまで根本的に解決できなかった型内で発生する現象を解明し、プレス成形・射出成形における慢性課題の解決範囲をさらに拡大できるよう、今後も取り組みを進めます。当社は、これらを含む基盤技術開発を重要分野として着実に推進しており、今後も継続的な取組により確実な実績を積み上げてまいります。
② 主成分寄与分析手法を用いたラゲッジルーム空間モデル高寄与音響モード抽出手法について
電動化・自動運転化の進展に伴い、より快適な移動空間の実現に向けて車室内の静粛性向上に貢献でき、かつ車両重量の増加による航続距離の低下を招かない、質量に頼らない効率的な騒音低減対策が求められております。当社主力製品を構成するラゲッジルーム周辺のトリム類は、車外からの騒音が車室内へ侵入する境界に位置し、重要な役割を果たしています。これらトリム類の裏面には、車体パネルとの間に、車外から侵入した音が車室内空間へ流れ込む空間経路が形成されていることが、近年の取組から明らかになってきました。騒音要因となる主たる空間経路を特定した後、トリムから効率的な騒音低減対策を行うためには、三次元の空間経路を可視化し、対策すべき部位を抽出する必要があります。そのため、大阪工業大学・吉田教授との共同研究により、実稼働伝達経路解析を利用した主成分寄与分析を適用し、空間内で対策すべき部位となる高寄与音響モードの抽出が可能となりました。
本件は「公益社団法人自動車技術会2025春季大会」にて発表し、自動車技術会論文集2026年57巻1号(p.115-120)に研究論文が掲載されました。また、2026年7月5日から10日にトルコ・イスタンブールで開催される「第32回国際音響振動学会(ICSV32)」にて、続報を発表する予定であります。
(3) 次世代車室内における高付加価値創出を目指した透光表皮加飾技術の開発完了
透光表皮加飾開発は、次世代車室内における意匠性と機能性の高度な融合を目的として、フィージビリティスタディ(FS)フェーズより検討を開始しました。既存技術では両立が困難であった柔軟な触感と均質な透光表現の実現を主要課題と位置付け、材料構成、加飾工法、評価手法の確立に段階的に取り組みました。アドバンスエンジニアリング(AE)フェーズでは、表皮裏面へのマスキング加飾、透明性と耐久性を両立する接着技術、透光性能に優れたソフト層構成の最適化を進め、環境試験及び光学評価を通じて信頼性を検証しました。これらの開発成果を基に、社内基準(KES)への落とし込みを完了し、量産適用に向けた技術的成立性を確認しました。結果として所定のCQT目標を満足すると判断し、AE-OUTとしました。本開発は、当社中期経営計画に掲げる「高付加価値製品による競争力強化」及び「次世代内装領域での差別化」を具現化する技術基盤の一つであり、今後の新規受注獲得及び事業成長への貢献が期待されます。
(4) アップサイクル活動「doacara」の取組
当社では、自動車内装部品の製造工程で発生する端材を有効活用し、新たな価値を創出するアップサイクル活動「doacara」を推進しています。自動車内装材として培われた質感や耐久性を生かし、バッグやクッションなどの生活用品として再生することで、廃棄物削減と資源循環に貢献しています。また、本活動を通じて当社の素材技術やものづくりの価値を新たな形で社会に発信するとともに、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しています。さらに、2026年4月15日には自社公式オンラインストアを開設し、ブランド発信や消費者とのコミュニケーションコンテンツの提供、商品紹介及び販売を行い、新たな顧客接点の創出に取り組んでおります。