第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、経営方針として、「企業理念」、「行動憲章」、「行動基準」、「行動指針」及び「環境基本方針」を掲げ、事業活動を通して社会に貢献してまいります。また、技術立社として、トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑技術)の領域をコアに、テクノロジーリーダーとして、来るべき時代を見据え、技術を磨き、企業としての社会的責任を果たしていく所存であります。

当社グループは、中長期的な視野に立って、販売・生産・技術・新事業などの事業戦略を掲げ、安定的な発展と成長を目指しておりますが、CASEの進展による自動車需要・利用形態の変化やEV化の加速(但し、内燃機関は暫くは残存)、脱炭素・カーボンニュートラル社会への進化に向けた再生可能エネルギー需要の高まりや、ESG, SDGs対応強化の流れなど、企業を取り巻く環境は常に大きく変化しており、その短期的な経営判断は、将来に向けた持続的な成長を確実なものとするうえで極めて難しい舵取りを要求されます。

そのような経営環境の中、2018年度から2023年度までの6ヵ年の中期経営計画として、「Raise Up "Daido Spirit" ~Ambitious, Innovative, Challenging~」(“大同スピリット”を更なる高みに引き上げ、大きな飛躍を果たす~高い志、改革する意欲、挑戦する心~)を推進しております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による世界的な影響や環境変化が激しく、予測が難しい状況下ではあるものの、大同メタルグループの進化のスピードを上げて、揺るぎない体制を創りあげてまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、中期経営計画に基づき、引き続きすべり軸受の全分野において世界トップシェアの獲得を目指すと同時に、自動車の来るべきパラダイムシフト(エンジンからモーターへ)に向けEV・PHV・HVなどの電動自動車で多くの需要が見込まれるアルミダイカスト製品などの新事業領域への取り組みを強化し、また、成長が期待される既存事業領域である一般産業分野の風力発電等の再生可能エネルギー向け特殊軸受の世界的拡販体制を整備、強化し需要拡大に対応することでシェアの拡大を図り、自動車用エンジン軸受以外の売上高比率を高めることで事業拡大を進めてまいります。

 

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2021年5月14日に中期経営計画(2018年度~2023年度)に関する後半3年間の計画を発表してから、1年が経過いたしました。2021年5月時点において、事業を取り巻く環境や会社経営を取り巻く環境、働き方・働く人を取り巻く環境の変化を認識しておりましたが、更なる材料費、及び物流費の高騰等、現在に至るまで、一層厳しい事業環境が続いております。他方、そのような中におきましても、自動車産業、船舶業界等において新型コロナウイルス感染症による影響からの需要の回復が国内外で見られ、また、当社グループを挙げた生産性の向上や合理化によるコストダウン等の更なる固定費・経費の削減に取り組みました。その結果、2021年度時点の目標であった「売上高:920億円」、「営業利益:35億円」、「営業利益率:3.8%」に対し、「売上高:1,040億円(+120億円)」、「営業利益:50億円(+15億円)」、「営業利益率:4.8%(+1.0%)」となり、計画を上回る結果を達成することができました。

未だ新型コロナウイルス感染症の終息が見えない中、材料費高騰の継続、半導体需要逼迫の長期化、ウクライナ情勢悪化による資源価格高騰等、先行きの見通しはさらに不透明感を増しておりますが、当社グループは、中期経営計画に掲げた「既存事業の磨き上げ」、「新規事業の創出・育成」、「強固な基盤の確立」、「組織・コミュニケーションの活性化」を基本戦略とし、事業を取り巻く環境やその変化を捉え、柔軟に、かつ迅速に対応することで、さらに収益を向上させていく所存です。

当社は、中期経営計画において、経営の重要な軸として次の四本の柱を位置付けており、2021年度の主な実績及び優先的に対処すべき課題は以下のとおりです。

 

第1の柱:既存事業の磨き上げ

"真のトライボロジーリーダーへ"

第2の柱:新規事業の創出・育成

"新たな事業の柱を築く"

第3の柱:強固な基盤の確立

"システム、財務基盤など経営基盤の整備"

第4の柱:組織・コミュニケーションの活性化

"外部環境に適応した柔軟で活力ある組織づくり"

 

 

<第1の柱:既存事業の磨き上げ>

① 自動車用エンジン軸受、自動車用エンジン以外軸受

既存事業におけるマーケットシェア(2021年暦年、当社推定)につきましては、2020年に引き続き自動車エンジン用半割軸受において世界トップシェア(36.7%)を達成いたしました。EV化が進展している中ではありますが、EV化の進展による内燃機関の需要の減少までには猶予があると見込まれます。当社としましては、設備投資については慎重に検討・対処しつつも、市場の顕在ニーズ及び潜在ニーズに確実に応え、トラックエンジン用軸受の拡販やガソリンエンジン用軸受の新規開拓等により更なるシェア拡大を目指してまいります。

自動車用エンジン以外軸受につきましては、市場のニーズに対応した新製品・新用途の拡販を、さらにスピードを上げて進めてまいります。

② 非自動車用軸受

舶用低速ディーゼルエンジン用軸受のマーケットシェア(2021年暦年、当社推定)につきましても、2020年に引き続き、世界トップシェア(66.0%)を達成いたしました。特に大型コンテナ船やLNG船等の需要の高まりといった受注環境の好転が継続していることに伴い、海外の新規顧客を取り込むことができ、シェア拡大に繋がりました。また、舶用中高速ディーゼルエンジン用軸受についても、国内・海外市場の積極的な開拓によりシェア拡大を果たすことができました。今後も生産性及び競争力を高め、更なるシェア拡大を目指してまいります。

また、一般産業分野におけるエネルギー分野においては、火力発電向けのガスタービンや蒸気タービン用軸受の需要の増加が当面の間継続することが想定されるため、マーケットシェアの拡大を目指すとともに、小水力分野の開拓も進めてまいります。

③ 自動車用軸受以外部品

アルミダイカスト製品については、主に電動化自動車用アルミダイカスト製品を生産する新子会社であるDMキャスティングテクノロジー(タイ)CO., LTD.が2021年夏に本格的な量産を開始しました。電動化自動車用部品の積極的な開拓により、2021年度売上高目標を達成することができました。収益的には、不良率低減を含む歩留りの向上や物流コスト等になお課題があると考えていますので、2022年も売上拡大とあわせて収益改善にも取り組んでまいります。

曲げパイプ、ノックピン、NC切削品などの部品についても、日本や北米、中国における堅調な需要回復により、2021年度売上高目標を達成することができました。

 

 

<第2の柱:新規事業の創出・育成>

グリーンエネルギーへの貢献として、風力発電用軸受の積極的な市場開拓に継続して取り組んでおります。2022年春には、風力発電用軸受に関する基礎技術開発(設計及び評価)を専業で行う独立組織「風車技術研究所」を新設し、風車ビジネスの拡販に向けてさらにスピードアップを図ってまいります。

また、当社グループ主力事業であります自動車業界においてはEV化の進展が加速していることから、「電動化対応推進センター」を新設し、EV化への対応のみならず、化石燃料を用いない自動車(水素燃料車等)への対応等、自動車業界におけるニーズを新規ビジネスに結びつけるべく取り組んでまいります。

さらに、環境、エネルギーに優しい材料、機能をもつ商品の開発等に繋がる新領域研究につきましても、当社コア技術の基礎研究や新領域における技術開発を通じて、当社が長年培ってきた技術を最大限活用しながら、引き続き積極的に取り組んでまいります。

 

<第3の柱:強固な基盤の確立>

当社グループは、グローバル企業として持続可能な社会の実現に貢献すべく、「ステークホルダーにとっての影響度」と「当社グループにとっての重要度」の2軸からESGの各分野で優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定いたしました。

そして、昨今の環境意識の高まり、日本政府の2050年における「カーボンニュートラル実現」などの動きを踏まえ、当社グループの戦略を策定し、各種施策を統括する専門組織「カーボンニュートラル推進センター」を新設し、カーボンニュートラルの実現に向けても取り組んでまいります。

2021年度においては、技術開発体制において世界5拠点の技術開発情報の共有を継続実施しましたが、2022年春には日本と海外との人材交流も図ってまいります。

さらに、リスク管理の観点でも、海外拠点含め管理体制を再構築し、昨今製造業各社が被害を受けているサイバー攻撃への対応を強化いたしました。また、強化した品質監査基準にて品質保証制度の運用を一部開始し、更なる品質向上を目指していくとともに、事業運営・日常業務に対するガバナンスの強化、リスク管理体制の強化も引き続き行ってまいります。

 

<第4の柱:組織・コミュニケーションの活性化>

当社グループは、コミュニケーションの活性化に向け、各種社内コミュニケーションツールの充実を図るとともに、中期経営計画(2018年度~2023年度)に関する後半3年間の計画初年度である2021年は、当該計画の浸透を目的として、策定を主管した経営企画部門と各部門や関係会社各社との直接対話を実施してまいりました。

また、当社は、従業員の心身の健康増進を重要な経営課題の1つとして捉え、さまざまな活動を行った結果、2022年3月に経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」の認定を受けることができました。今後も、多様な人材が多様な働き方で活躍できる職場づくりの実現と職場の整備を、引き続き推進してまいります。

 

(4)目標とする経営指標

 当社グループは、経営戦略策定において、経営資源を柔軟かつ効率的に活用することに努めており、収益性や資本効率の高い経営を維持していくために、「売上高営業利益率」や「自己資本利益率(ROE)」などを重視しております。

売上高営業利益率については、前半3年間に実施した各種施策を後半3年間では確実に成果に繋げることで、2023年度には8.0%の達成を目指しております。

自己資本利益率(ROE)については、当社株主に対する安定的な配当を継続しつつ、株主資本コストを意識し、2023年度には9.0%の達成を目指しております。目標達成のために、今後も運転資金の効率化や通常投資の見直し等、さらなるキャッシュ・フローの改善を進めます。

今後も、経営環境の大きな変化に柔軟に対応できる企業体質の強化と合理化等に取り組み、中長期的な企業価値向上に努めてまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している重要なリスクには、以下のようなものがあると考えております。また、それぞれのリスクについて、顕在化する可能性及び事業に与える影響度を踏まえてリスクの優先度(最優先・優先)を設定しております。

当社は、グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定めた上で、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会による情報収集を通じて、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行っております。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

《最優先リスク》

(1)新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるリスク(前年度:最優先リスク)

新型コロナウイルス感染症については、ワクチンの接種が進展する一方、年明け以降に変異株による急速な感染拡大が見られるなど、再び、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による景気の下振れ懸念が強まっております。

また、従業員が新型コロナウイルス感染症に感染し、従業員同士の接触等により社内での感染が拡大した場合や当社グループの仕入先及び協力会社の操業が感染拡大による影響を受けた場合は、当社グループにおいて工場の操業の停止を余儀なくされ、生産や出荷に支障をきたす可能性もあります。

当社グループは、当該リスクへの対応策として、感染拡大に対する世界各国・各機関による諸施策及び顧客の生産活動の動向を注視し、適切な操業体制の編成により費用の圧縮に努め利益の確保を図るとともに、各国政府の支援策を活用することを含め、企業持続のための諸施策を継続して実行しております。

また、当社グループ内における感染ケースの発生に伴う企業活動の停滞を防止するため、事業継続計画(BCP)の担当取締役を委員長とする新型コロナウイルス対策委員会を設置し、大同メタルグループにおける新型コロナウイルス感染症の感染対策に係る基本方針の策定及び各拠点に対する具体的な対応指示等を実施しております。

さらに、社内外への感染拡大の抑止と各拠点に勤務する従業員の健康と安全を確保するために、全従業員に対する検温記録の実施や、衛生管理の徹底、在宅勤務制度やリモート会議の積極的な活用、ワクチンの職域接種の推進等の継続的な感染予防対策も実施しております。

これらに加え、主要な仕入先及び協力会社において感染拡大が生じた場合に、当社グループにどのような影響が生じるか等について調査を行うとともに、当社グループへの資材等の供給に懸念が生じた際には速やかに情報を共有できるよう体制を整えております。

 

(2)原材料の需給環境の不安定化によるリスク(前年度:最優先リスク)

当社グループは、軸受の主材料である鋼材・非鉄(銅、アルミ、錫、樹脂原料他)等の原材料を購入しております。これらの価格が需給環境の変化で不安定に推移することにより、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等により原材料の安定的な調達に支障をきたした場合、適時の調達が困難となり、生産活動への支障により同様の影響を受ける可能性があります。

当社グループの対応策としては、従来にも増して、材料の使用量削減(歩留向上等)の強化を図り、また、原則二社発注化の推進と、調達先とのリスク回避に向けた連携強化等による安定的な調達に加え、コスト低減にも取り組んでまいります。併せて、原材料や燃料価格の高騰に対する顧客との価格改定の交渉を継続的に実施してまいります。

 

 

(3)サイバー攻撃、情報技術ネットワーク及びシステム障害によるリスク(前年度:最優先リスク)

当社グループにおいては、ハッカーやコンピューターウイルスによるサイバー攻撃等によって、当社グループの業務活動の停止、データ喪失又は個人情報を含む当社グループ内外の情報流出等が発生する可能性があります。その場合、事業活動の停止による直接的な影響や当社グループの社会的信用が失墜すること等によって、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

当社グループの対応策としては、事業を推進するにあたって利用している情報システム及び付随する情報技術ネットワークシステムの安全管理のため、社外のデータセンターを利用しており、安全管理対策を適切に講じております。  

また、サイバー攻撃への対応として、有事の際に適切な対応を実現する情報管理体制を構築しており、従業員に対しては、標的型メールへの対応訓練の実施を含む情報セキュリティ教育を実施しております。 

 

《優先リスク》

(1)自然災害及び事故等によるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループの国内における主力工場は、愛知県、岐阜県、千葉県、栃木県、福島県及び佐賀県に立地しており、懸念される大規模地震が発生した場合には、当社グループの生産活動に支障が生じ、業績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。また、当社グループ及び当社グループ取引先等の事業拠点が、地震・洪水等の自然災害の発生による電力・ガス等の供給停止等により操業が困難になった場合には、同様に影響を受ける可能性があります。

当社グループの工場については、日常的な建屋・設備等の点検・整備のほか、定期的に災害・事故等に備えた保全・改修等も実施しておりますが、災害・事故等により工場及びその周辺に物的・人的被害が及んだ場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの対応策としては、大規模地震の発生等を想定した事業継続計画(BCP)を策定し災害訓練を実施するとともに、事業の継続と復旧にかかる体制整備の強化を図っております。

なお、国内全ての生産工場において火災・風水害の保険に加入しているほか、主な生産工場(愛知県犬山市、岐阜県関市、岐阜県郡上市、千葉県習志野市・香取郡神崎町、栃木県矢板市及び佐賀県武雄市)においては、付保限度額まで地震保険に加入しております。

 

(2)製品の不具合によるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、品質の信頼性の維持向上に努めておりますが、万が一製品の不具合に起因する事故、クレームやリコールが発生した場合、多額の製品補償費用等が発生するほか、顧客が他社発注に切り替えることにより当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの対応策としては、品質改善計画に基づく対応を継続するとともに、国内・海外PL保険(生産物賠償責任保険)を付保し、第三者に損害が生じた場合の補償費用等による影響を緩和しているほか、取引上の状況に応じリコール保険への加入を行う等、リスク回避に努めております。

 

(3)為替レートの変動によるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループにおいては、海外連結子会社のビジネス拡大により、外貨建取引(米ドル、ユーロ等)が増加しておりますが、決算時の換算為替レートにより当社グループの業績及び財産評価が影響を受ける可能性があります。

また、当社グループが日本から輸出する場合における海外売上については、外貨建取引の比率自体は低いものの、同様の影響を受ける可能性があります。

当社は、当該リスクへの対応策として、為替リスクヘッジ取引の方針及びリスク管理手続等を定めた外国為替管理規程を策定した上で、所管部門が3ヶ月に1回以上、為替リスク管理状況を取締役会に報告し、為替方針対策会議においてリスク対策を検討しております。連結子会社については、当社における対応又は外国為替管理規程に準じて管理を行っております。

 

 

(4)グローバル事業展開に伴うリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、日本国内はもとより、北米、アジア、欧州(ロシアを含みます)をはじめ世界各地で事業を展開しており、これらの地域における政治・経済情勢の変動、紛争の発生、各種規制の変更、賃金制度、労使関係及び内部統制システムの運用不備等に起因する諸問題が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

当社グループは、当該リスクへの対応策として、関係会社管理規程に基づき連結子会社を含む関係会社の業務執行について適時適切な報告が受けられる体制を整備するとともに、内部統制システムの整備及び当該システムの適切な運用を通じて、コンプライアンスを含む関係会社における適切な社内体制の整備・運用状況につき定期的に検証、指導し、体制強化を進めております。

 

(5)特定の業界への依存によるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループの売上高については自動車用エンジン軸受のセグメントが高い比率を占めているため、自動車の急激な需要変動や「2050年カーボンニュートラル」に伴うグリーン成長戦略を受けた内燃機関の需要減少等が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクへの対応策として、自動車用エンジン軸受に対する高い依存状況を緩和すべく、再生可能エネルギー分野の特殊軸受や電動化自動車関連分野のダイカスト製品の市場拡大、航空機用軸受への参入、既存事業における自動車用エンジン以外軸受の更なる拡販推進、及び中期経営計画の第2の柱として新規事業の創出・育成を掲げ、新たな事業の柱を築く努力を続けております。

 

(6)価格競争によるリスク(前年度:優先リスク)

近年、特にグローバル競争の激化により、低価格化の傾向が強まっております。今後、こうした低価格化の傾向が更に進行することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの対応策としては、原価低減に取り組むとともに、技術的優位性の高い製品開発を推進することにより、その影響を最小限にとどめる努力をしております。

 

(7)新製品開発の不奏功によるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、市場ニーズに対応した新製品や高性能な製品を継続的に市場投入できるように製品の研究開発を行っておりますが、研究開発活動の成果は不確実なものであり、たとえ多額の支出を行ったとしても必ずしも成果に結びつかない可能性があります。

当社グループは、当該リスクへの対応策として、設計・開発部門、製造・生産技術部門、販売部門のトライアングル体制を構築して積極的かつ的確な市場ニーズの把握に努め、開発すべき新製品の市場適合性や採算性を考慮した開発を行っております。

 

(8)環境規制によるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、事業活動を行う上で環境負荷の高い物質を使用する場合もありますが、最近は環境先進地域であるEUのみならず新興国でも環境意識が高まっており、生産活動はもとより製品自体に関しても、世界各国の様々な環境規制に対応する必要があります。

今後、環境規制が更に強化され、その対応のために相当のコスト増加要因が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

当社グループは、世界各国の様々な環境規制に対応するため、環境負荷物質を含まない新規材料の開発等の企業努力に加え、当該対応に要するコスト負担についても顧客と相互に協議することによって様々な環境規制に対応し、環境に対する責任を果たしております。

 

 

(9)知的財産権に関するリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、事業活動における優位性を確保するために商品力の強化に取り組んでおり、その一環として特許権、意匠権、商標権等の知的財産権の適正な取得による権利保護に努めておりますが、特定の地域及び国では法的制約があるために知的財産権による十分な権利保護を受けられない場合があります。そのため、第三者が当社グループの知的財産権を侵害した場合においても、効果的に当該侵害を防止できない可能性があります。

また、将来、当社グループが自らの知的財産権による権利保護を確保するために訴訟等を提起しなければならない事態が生じる可能性や、当社グループが他社の知的財産権を侵害し、第三者より訴訟等を提起される可能性もあります。その場合、多額の訴訟費用等を必要とする可能性があり、また、訴訟等の結果によっては、当社グループが損害賠償責任を負う可能性があります。

当社グループの対応策としては、知的財産権管理の専門部署を設け、確実な知的財産権の取得及び保全に努めるとともに、当社グループにおける製品開発・販売にあたっては他社の知的財産権を侵害しないよう十分に事前調査を実施しております。

 

(10)設備投資、合弁事業・提携・買収等に関わるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、広範囲にわたる事業領域において設備投資を実施しており、また、第三者との間で様々な合弁事業や戦略的提携・事業買収等を行っております。これらは、必ずしも確実に予期したとおりの成果が得られる保証があるわけではなく、事業環境の急変等により、予期せぬ状況変化や初期の事業計画からの大幅な乖離が生じた場合、固定資産の減損損失等が発生し、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

当社グループの対応策としては、設備投資、合弁事業・提携・買収等の実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について、外部専門家による評価結果等の慎重な検討や買収先事業計画の慎重な査定を行った上で取締役会における十分な討議を行う等、様々な観点から検討を行っております。

 

(11)気候変動に関するリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、気候変動に関する国内外の政策及び法規制、ステークホルダーからの要請等を踏まえて、SDGsで掲げる諸目標の達成に向けた取り組みを行っていますが、研究開発や設備投資等によるコスト増及び当該取り組みの遅れによる機会損失等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの対応策としては、世界各国で加速する自動車電動化とカーボンニュートラルに対する当社グループ全体としての対応力強化のため、2022年4月より専担組織として、電動化・カーボンニュートラル対応ユニットを新設しました。

併せて、風車ビジネスの拡販に向け、風車軸受に関する基礎技術開発(設計・評価)を専担する組織として、風車技術研究所を新設しました。当社グループは、気候変動に関する国内外の政策及び法規制や社会的な要請内容、市場環境、顧客ニーズを的確に把握するとともに、当社グループが永年培ったコア技術を最大限に活用することにより地球社会に貢献可能な技術・商品を早期に開発・提供できるよう努めております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種の進展に伴って持ち直しが見られつつも、半導体不足や物流の混乱などの影響により厳しい状況で推移しました。また、足元では、ウクライナ情勢の緊迫化に伴う原材料・エネルギー価格の高騰など、先行き不透明な状況が続いております。

わが国経済においては、年明け以降に新型コロナウイルスの変異株による急速な感染拡大が見られるなど、再び、景気の下振れに対する懸念が強まっております。

当社グループの主要産業分野である自動車業界につきましては、国内新車販売台数(2021年度)はサプライチェーンの問題から、前年度と比べ低調に推移しました。また、世界新車販売台数(2021年暦年)はロックダウンと世界的な部品の供給不足が影響し、前年比で微増にとどまりました。世界最大の市場である中国の新車販売台数(2021年暦年)は、2018年から3年連続で減少しておりましたが、若干の増加に転じており、米国の新車販売台数(2021年暦年)につきましても、前年比で微増となりました。

非自動車分野における造船業界につきましては、荷動きの増加や海運市況の高騰などを受け、2021年暦年の世界の新造船受注量は前年から大きく増加に転じ、新造船竣工量も増加となりました。日本における2022年3月末時点の輸出船手持工事量につきましても、前年度末比で大幅に増加しました。

建設機械業界につきましては、2021年度の建設機械出荷額は、内需は、公共工事及び民間工事向けともに需要が堅調に推移し2年ぶりの増加となりました。また、外需は、北米、欧州、アジア、中近東などで一般建機の需要が好調に推移し、特に北米やインドネシアでは鉱山機械の需要も大きく増加し、3年ぶりの増加となりました。

さらに、当社関連の一般産業分野につきましては、前年度は2019年初頭からの米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により設備投資が抑制されておりましたが、2021年度においては、総じて回復基調が見られ、底堅く推移しました。

 

このような市場環境下、当連結会計年度における当社グループ全体の業績につきましては、売上高は前期比22.8%増収104,024百万円前連結会計年度は84,720百万円)となりました。

利益面につきましては、売上高増加による収益の増加、継続的な固定費・経費の削減、収益改善活動及び生産性の向上等に取り組み、営業利益は5,042百万円と前期比3,726百万円の増益前連結会計年度は1,315百万円)となりました。また、目標とする経営指標の売上高営業利益率は4.8%前連結会計年度は1.6%)となりました。

経常利益につきましては、4,836百万円と前期比3,962百万円の増益前連結会計年度は874百万円)となりました。また、売上高経常利益率は4.6%前連結会計年度は1.0%)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、1,897百万円と前期比1,793百万円の増益前連結会計年度は104百万円)となりました。また、売上高当期純利益率は1.8%前連結会計年度は0.1%)となりました。

1株当たり当期純利益は40円70銭前連結会計年度は2円25銭)、目標とする経営指標であります自己資本利益率は3.3%前連結会計年度は0.2%)となりました。

 

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、当社グループ全体での売上高は223百万円減少し、売上原価は224百万円減少し、営業利益、経常利益はそれぞれ0百万円増加しております。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

なお、セグメント間の内部売上高又は振替高は、セグメントの売上高に含めております。

 

① 自動車用エンジン軸受

国内は、2021年度の新車販売台数が前年度比で減少し、海外でも、タイや欧州では、2021年暦年で、前年比減少となりました。しかし、中国、米国では増加となり、全体では新型コロナウイルス感染症の影響からの回復が見られて底堅く推移した結果、前年度に比べ微増となりました。

そのような状況下、当社グループの売上高は、各社がサプライチェーンの分断リスクに対応すべく在庫の積み上げ等を行ったことにより、国内、海外ともに増加となりました。

これらの結果、セグメント売上高は前期比23.8%増収58,388百万円となり、セグメント利益は前期比38.5%増益8,380百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は0百万円減少し、セグメント利益は0百万円減少しております。

 

② 自動車用エンジン以外軸受

自動車用エンジン軸受同様に、当社グループの売上高は国内、海外ともに増加し、セグメント売上高は前期比27.3%増収20,399百万円、セグメント利益は前期比82.5%増益3,338百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は111百万円減少し、セグメント利益は1百万円増加しております。

 

③ 非自動車用軸受

・船舶分野

船舶については、世界的な荷動きの増加に伴う新造船の需要増により好調に推移しております。当社グループにおいては、LNG船(液化天然ガス運搬用のタンカー)や他のタンカー船の低速ディーゼルエンジン用軸受に関して中国向けの新規開拓によるシェアアップが進んだことに加えて、足元では大型船の新規量産納入も始まったことにより、売上高は増収となりました。

・建設機械分野

停滞していた住宅建設、インフラ整備の作業再開や燃料価格の上昇に伴う石油・天然ガスの採掘機械などの需要の増加により、売上高は大幅な増収となりました。

・一般産業分野におけるエネルギー分野

エネルギー市場においては、再生可能エネルギーが注目されている中、水力発電機用軸受ユニットの受注が好調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症の影響によるプラント・設備関連の工期延長などにより、主に蒸気タービンやガスタービン用軸受の需要が減少し、売上高は減収となりました。

これらの結果、一般産業分野におけるエネルギー分野の需要が減少した一方、主に船舶分野における低速ディーゼルエンジン用軸受の旺盛な需要や新規開拓活動、建設機械分野の需要回復に伴う大幅な需要の増加により、セグメント売上高は前期比7.6%増収11,076百万円となり、セグメント利益は前期比20.0%増益1,750百万円となりました。

 

④ 自動車用軸受以外部品

・アルミダイカスト製品

タイにおける自動車産業については、通年ではロックダウンや半導体不足の影響が残ったものの、タイ政府の新型コロナウイルス感染症に関する経済支援策等もあり、総じて回復基調が継続しております。また、電動自動車用部品の生産を開始したタイの新工場(DMキャスティングテクノロジー(タイ)CO., LTD.)においては、電気自動車用部品新規納入の本格量産が通年で寄与し、売上高は大幅に増加しました。

利益面につきましては、新工場の建屋を含む償却や初期投資費用の増加等はあったものの、売上高増加に伴い、前期比で改善いたしました。

 

・曲げパイプ、ノックピン、NC切削品などの部品

新型コロナウイルス感染症の影響からの回復に伴い、国内外において受注が増加しました。

これらの結果、セグメント売上高は前期比34.5%増収14,436百万円となり、セグメント損失は1,649百万円(前期はセグメント損失1,852百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は111百万円減少しております。

 

⑤ その他

新型コロナウイルス感染症の影響による需要の減速から回復し、工作機械・各種産業機械をはじめとした全般的な設備投資や建設機械等の需要の増加を受け、電気二重層キャパシタ用電極シート、金属系無潤滑軸受事業及びポンプ関連製品事業に不動産賃貸事業等を加えた当セグメントの売上高は前期比3.8%増収2,122百万円となり、セグメント利益は前期比7.8%増益343百万円となりました。

 

上記の経営成績を分析・検討しました結果、当社としては、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)優先的に対処すべき事実上及び財務上の課題 <第1の柱:既存事業の磨き上げ>」に記載のとおり、対処してまいります。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

  自動車用エンジン軸受

60,535

130.8

  自動車用エンジン以外軸受

21,173

132.1

  非自動車用軸受

10,781

106.9

 自動車用軸受以外部品

13,814

137.9

  報告セグメント計

106,304

129.0

 その他

1,337

106.1

合計

107,642

128.6

 

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

② 受注実績

得意先の生産計画の内示等による見込生産が主体であるため記載を省略しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

  自動車用エンジン軸受

57,595

123.3

  自動車用エンジン以外軸受

20,255

127.1

  非自動車用軸受

11,033

107.5

 自動車用軸受以外部品

13,688

132.2

  報告セグメント計

102,572

123.2

 その他

1,451

100.8

合計

104,024

122.8

 

 

 

(2) 財政状態

(総資産)

当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度末に比ベ7.1%増加166,155百万円となりました。

これは主に無形固定資産が減少した一方、商品及び製品、仕掛品が増加したことによります。

(純資産)

当連結会計年度における純資産は、前連結会計年度末に比ベ6.4%増加68,695百万円となりました。

これは主に利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したことによります。

(自己資本比率)

当連結会計年度における自己資本比率は、前連結会計年度末と同様の36.3%となりました。

(1株当たり純資産額)

当連結会計年度における1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比ベ76円88銭増加し1,289円96銭となりました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ230百万円1.2%)の増加となり18,868百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動において獲得した資金は13,207百万円となり、前連結会計年度に比べ3,109百万円30.8%)の収入の増加となりました。これは主に税金等調整前当期純利益4,379百万円、減価償却費9,240百万円によります。

前連結会計年度との主な差額は、税金等調整前当期純利益が2,933百万円増加したこと、棚卸資産の増減額が9,358百万円減少したこと、仕入債務の増減額が5,947百万円増加したことです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動において使用した資金は8,072百万円となり、前連結会計年度に比べ1,028百万円14.6%)の支出の増加となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出6,453百万円によります。

前連結会計年度との主な差額は、有形固定資産の売却による収入が1,191百万円減少したことです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動において使用した資金は5,076百万円となり、前連結会計年度に比べ1,977百万円63.8%)の支出の増加となりました。これは主に長期借入れによる収入6,640百万円の一方、長期借入金の返済による支出8,681百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出1,051百万円によります。

前連結会計年度との主な差額は、長期借入れによる収入が3,052百万円減少したこと、ファイナンス・リース債務の返済による支出が1,099百万円減少したことです。

 

② 資金需要

当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品等の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。

設備投資の概況については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりです。

 

 

③ 資金調達の状況

当社グループの運転資金及び設備投資資金は主として自己資金により充当し、必要に応じて借入れによる資金調達を実施することを基本方針としております。

当連結会計年度の当社グループの設備投資資金につきましては、内部資金により充当いたしました。

今後は、資本の効率化と財務の安全性確保を重視しつつ、有利子負債の圧縮を視野に入れながら、バランスのとれた財務運営を目指してまいります。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、SDGs(持続可能な開発目標)で掲げる諸目標の達成に向けた取り組みを意識し、事業戦略を推進する上で重要な研究開発活動及び軸受性能に関する解析技術や性能評価技術向上、長期的な成長基盤となる基礎的研究及び新規事業の創出活動を実施しております。なお、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は1,934百万円であります。

主な研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

<自動車用エンジン軸受>

・世界的なカーボンニュートラルへの対応、CO2排出量規制強化に伴うエンジン熱効率向上に対応するため、さらなる摩擦損失低減を目指し、耐摩耗性・耐焼付性・摩擦特性を飛躍的に向上させた各種樹脂オーバレイ(オーバレイ:表面処理)の開発に積極的に取り組んでおり、量産納入が確定しました。

・水素エンジンなどカーボンニュートラルに向けた技術開発に貢献するための軸受を提供し、各種代替燃料使用時における軸受への影響について、調査、研究を実施しております。

・排出ガス規制強化に対応するため、トラック用エンジンなど、高面圧化、高温環境、長寿命などの厳しい要求に耐え得る新しい鉛フリーオーバレイを開発、提供し、実機評価がはじまっております。同様に、新しい銅合金系ブシュ材料の開発も進めております。

・F1レース、NASCAR、2輪に使用される超高速回転に対応する信頼性に優れた高性能軸受を開発し、継続的に納入し、採用が拡大しております。

・世界各国の自動車顧客からの厳しい品質要求に対応するための、各種生産および検査設備を開発し、導入しております。

・継続的に理論解析技術、単体評価技術の向上を図り、開発期間の短縮に努めております。

 

<自動車用エンジン以外軸受>

・自動車、オートバイのショックアブソーバー用軸受における乗り心地(操舵安定性、振動吸収性など)向上要求に対応するための鉛フリー樹脂系軸受材料について更なる性能向上を図るべく、新しい単体評価試験機も導入し、継続して材料開発を進めております。

・自動車用部品、一般産業用部品において、従来よりも低フリクションや樹脂層の厚い新しい樹脂系軸受材料などの適用アプリケーション拡大を目指し各種評価を実施しております。

バイオマス材料を使用するなど、環境を意識した、新しい鉛フリー樹脂系軸受の開発も取り組んでおります。

・各種軸受用途の運転状況を再現できる新しいシミュレーション試験機を開発、実機と相関性のある軸受性能評価を実施するように、常に改良を施しております。

 

<非自動車用軸受>

・中高速ディーゼルエンジン用の高面圧化に対応する新しい鉛フリーオーバレイを開発・提供し、良好な評価を継続的に得ており、さらに、ガスエンジンなどの特殊環境下に対応可能な鉛フリー銅合金を開発、紹介し、実機評価に向けて提供を予定しております。

・低速および中高速ディーゼルエンジンともに、アンモニア、水素、e-fuelなど代替燃料使用時における軸受への影響について、調査、研究を実施しております。

・再生可能エネルギーの需要の高まりを受け、風力発電ニーズの高い欧州での風力発電用の特殊軸受を開発・提供し、良好な評価を得ております。さらに同市場に適用可能な各種特殊軸受の技術研究を推進しており、NEDOグリーンイノベーション基金事業(洋上風力発電の低コスト化プロジェクト)に応募し採択されました。

 

<その他>

・電気二重層キャパシタ用電極シートについて、更に継続的に性能向上を図り、新しい顧客、アプリケーションへの適用拡大に向けて活動するとともに、シート製造技術の応用にも継続的に取り組んでおります。

 

<新規事業創出活動>

・持続的発展のために、CASE対応に加え、カーボンニュートラル社会への貢献を目指し、当社固有技術を活かした新規事業の創出、育成活動を積極的に取り組んでおります。

・従来の吸音材製造技術をベースに、吸音性、吸水性、放熱性などの機能と金属の強度、耐熱性を併せ持つ金属多孔体型機能材料の開発に取り組んでおります。

・従来の電極シート技術をベースに、その特性を活かした各種応用製品の研究、開発に取り組んでおります。