文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、経営方針として、「企業理念」、「行動憲章」、「行動基準」、「行動指針」及び「環境基本方針」を掲げ、事業活動を通して社会に貢献してまいります。また、技術立社として、トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑技術)の領域をコアにテクノロジーリーダーとして、来るべき時代を見据え、技術を磨き、企業としての社会的責任を果たしていく所存であります。
当社グループは、上記の経営方針を踏まえ、「あらゆる動きを支えて 豊かな暮らしに貢献する」ことをパーパスとして、この度、2025年度から2030年度までの新中期経営計画「Bridge to Daido 2030」をスタートさせました。当社グループは、この新中期経営計画に基づく活動を通して、企業価値の向上に取り組んでまいります。
世界経済のデカップリング化の加速、業界の構造変化等、予測が難しい状況下ではあるものの、当社グループは、グループシナジーの追求によるすべり軸受業界におけるプレゼンスの更なる引き上げを図り、世界唯一の総合すべり軸受メーカーとして世界No.1の企業であり続けます。
(2)中長期的な会社の経営戦略
(目指す未来)
新中期経営計画の策定にあたっては、2050年を展望し、当社グループが提供してきた製品の社会的価値や大切にしてきた価値観を未来へのパーパス(Purpose)とし、また、当社グループが目指す姿をビジョン(Vision)としました。新中期経営計画のスタートに合わせて、事業セグメント名称を変更し、新中期経営計画で掲げた目標を達成するために、従来以上に事業セグメント毎の戦略を明確化し、経営資源の配分見直しなども進めます。
これらの取り組みを通じて、当社グループが目指すべき事業ポートフォリオを実現してまいります。
(目指す事業ポートフォリオ)
当社グループは、自動車や船舶に使用されるエンジン周りの軸受の製造・販売をコア事業としてきました。世界唯一の総合すべり軸受メーカーとして世界No.1の企業であり続けるため、これまでエンジン周りの軸受事業で培った技術・製造ノウハウ・信頼と安心の品質・事業基盤の強みをさらに活かしてまいります。
具体的には、エンジン用軸受の品揃え・環境負荷対応力など、お客様のニーズに応え続けるための全方位戦略(マルチパスウェイ戦略)を軸として進めます。
また、その上で、エンジン周り以外の領域で使用される製品の拡販も図り、具体的戦略を段階的に実行に移し、「エンジン周り以外」、「自動車・船舶以外」の各事業のウェイトを引き上げます。すべり軸受の価値を、従来の自動車や船舶だけでなく一般産業向けにも幅広く提供することで事業基盤を強化し、すべり軸受以外の事業領域へ拡充を図ってまいります。
(定量目標)
新中期経営計画では、前半3年目の2027年度における「売上高:1,500億円」、「営業利益:120億円」、「営業利益率:8%以上」、「ROE:8%以上」を中間地点の目標数値とし、最終年度である2030年度には「営業利益率:10%以上」、「ROE:9%以上」が達成できるよう目指してまいります。
米国が導入した相互関税は、当社グループの売上高や利益に大きな影響を与えることが予想されますが、当社グループとしては、外部環境の変化とは関係なく、前中期経営計画後半より取り組んでいる利益創出力向上のための構造改革を引き続き進めます。目標利益達成の具体的戦略として、新たな用途開発や新しいお客様の開拓などによる売上高の拡大、利益の増加のみならず、材料費・労務費などの販売価格への転嫁、製品別損益管理の徹底、原価管理の高度化などにも継続的・計画的に取り組みます。併せて、設備投資の効率的な運用やサプライチェーンマネジメント強化によるリードタイムの短縮などにより総資産回転率や財務レバレッジの適正化を図るなど、財務健全化も並行して進め、ROEの向上に取り組んでまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2023年度に前中期経営計画「Raise Up “Daido Spirit”~Ambitious,Innovative, Challenging~」が最終年度を迎え、2024年度は2025年度を開始年度とする新中期経営計画の準備期間と位置付けて日々の業務に取り組んでまいりました。
2024年度においても原材料価格や資源価格の高騰が継続したほか、労務費の上昇などが見られ、当社グループの利益を押し下げる要因となりました。
しかしながら、そのような状況下におきましても、当社グループは、自動車主要顧客の生産増や船舶業界・建設機械業界における旺盛な需要に対応し、2024年度の売上高は136,303百万円(前期比7,565百万円増)となり、前年度実績を上回りました。
利益面につきましても、材料費・労務費などの価格転嫁の取組強化により利益の押し下げ要因の解消に努め、営業利益は7,091百万円(前期比1,006百万円増)、営業利益率は5.2%(前期比0.5ポイント増)となりました。
当社グループを取り巻く環境の目まぐるしい変化や将来予測の見通しが難しい状況は変わりませんが、この難局に的確に対処するべく、当社グループは、2025年度を開始年度とする新中期経営計画を着実に遂行し、企業価値の向上に努めていく所存です。
(新中期経営計画 「Bridge to Daido 2030」)
新中期経営計画「Bridge to Daido 2030」の詳細は当社ウェブサイト(https://www.ir.daidometal.com/manage
ment/policy.html)に掲載しているとおりですが、当社グループは、新中期経営計画を通じて、資本コストを上回
る持続的成長が展望・創出できる企業を目指します。2025年度から2030年度までの期間を、2030年以降を見据えた
事業体制の再構築を行う6年間と位置付けた上で、前中期経営計画の成果と課題や2024年度における取組、昨今の
新たな事業環境の変化も踏まえ、今回の新中期経営計画を策定いたしました。
(事業戦略)
2030年度以降の成長戦略も見据え、4つの柱を重要な軸と位置付けて事業戦略を展開していきます。
第1の柱:利益体質強化のための構造改革
第2の柱:コア事業の磨き上げ
第3の柱:ネクストコア事業・セミコア事業の強化
第4の柱:非財務資本重視の経営の推進
第1の柱:利益体質強化のための構造改革
当社グループの利益水準は、コロナ禍からの需要の戻りの過程で回復途上にありますが、利益創出力の更なる強化のためには構造改革が必要と認識しています。当社グループは、2023年度から「改革プラン」を立ち上げて改革すべき領域を定め、鋭意取り組んでおり、新中期経営計画においては、その取り組みの効果を実現させてまいります。
とりわけ、アルミダイカスト事業については、その赤字の要因を解消するため、生産面の課題に取り組み、その効果が表れつつあります。今後も継続して、材料調達・金型製作、製品製造、検査・出荷の生産過程毎に課題を潰し込み、安定した生産体制を目指します。また、厳しい事業環境にある欧州地区の各拠点については、既に一部拠点において、グループ内での生産設備の移管を進めるなど、改革に向けた施策を始動させています。他にも、生産設備の減価償却費の適正化を目的とした設備投資管理改革、原材料の調達・生産体制の見直しなどによる製造原価の引き下げに向けた活動も進展させてまいります。
このように、当社グループは、2030年以降を見据えつつ、中長期的な課題に計画的・積極的に取り組むとともに、低採算事業の縮退や組織再編などについても進めてまいります。
第2の柱:コア事業の磨き上げ
パワートレイン事業(これまでの自動車用エンジン軸受事業)におけるマーケットシェアにつきましては、2023年に引き続き、世界トップシェア(2024年暦年、当社推定)を達成いたしました。世界的にEV(電動)化が進展している状況は変わりませんが、EV化進行度合いの鈍化により、内燃機関の需要の減少までには一定の猶予があると見込まれます。当社としましては、設備投資については慎重に検討・対処しつつも、市場の顕在ニーズ及び潜在ニーズに確実に応え、トラックエンジン用軸受の拡販やガソリンエンジン用軸受の新規開拓等により更なるシェア拡大を目指してまいります。また、エンジン周り以外で軸受の需要があるショックアブソーバーを中心とした自動車部品向けの更なる拡販や、EV車の新規需要の開拓、空調機器等の一般産業向け軸受の開拓にも取り組み、ライフ事業(これまでの自動車用エンジン以外軸受)の拡大にも努めてまいります。
マリン・エネルギー事業(これまでの非自動車用軸受事業)における舶用低速エンジン用軸受のマーケットシェアにつきましては、海外市場の開拓強化が実って75.0%(2024年暦年、当社推定)を維持すると共に、船舶市場の需要も引き続き堅調に推移しました。同じく、マリン・エネルギー事業の舶用・産業用中高速エンジン用軸受においても、造船や建設機械市場における受注増に伴い、シェアを拡大することができました。引き続き、舶用低速エンジン用軸受のマーケットシェアの維持に努めるとともに、日本拠点の新工場建設や英国拠点での設備増強を通じて生産能力を拡大させ、発電機向け中高速エンジン用軸受の需要増加に応えてまいります。
第3の柱:ネクストコア事業・セミコア事業の強化
フロンティア事業(これまでの自動車用軸受以外部品事業)に含まれるアルミダイカスト事業においては、新規に納入するEV(電動)自動車用部品の受注増加及び精密金属加工部品事業における曲げパイプ・ノックピンなどの精密金属加工部品も需要増により、売上高は前年度より増加しました。過年度において多額の減損損失を計上したアルミダイカスト事業については、生産管理体制や工程改善に進展が見られ、2025年度以降の利益水準の回復が見通せる状況となりました。引き続き、生産管理体制や工程改善の更なる強化、品質管理面の体制の抜本的見直し等により、利益確保に向けた取り組みを強力に進めてまいります。
目指す事業ポートフォリオを実現するためにも、前中期経営計画期間中に取り組んでまいりましたコア技術を応用した顧客ニーズ(性能・コスト・軽量化)への対応強化など、エンジン周り以外で使用される軸受の需要開拓を進め、すべり軸受の社会的価値の新たな発掘に継続的・計画的に取り組みます。ガスタービンや水力発電向けビジネスの新規開拓、風車ビジネスの技術基盤の確立など、未来への足掛かりも築いてまいります。
第4の柱 非財務資本重視の経営の推進
当社グループは、グローバル企業として持続可能な社会の実現に貢献すべく、「ステークホルダーにとっての影響度」と「当社グループにとっての重要度」の2軸からESGの各分野で優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、推進を図っております。また、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みも継続しており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明した上で、TCFD提言に基づく開示をしております。長期的な企業価値の向上及び資本コストを意識した経営の実践を目指して、ESGの強化を柱としたサステナビリティ経営を戦略的に推進してまいります。
新中期経営計画では、人的資本強化とDX推進・風土改革に取り組みます。人的資本強化では「人事体制整備」や「働き方改革」、「人材育成・採用活動強化」を軸に、また、DX推進・風土改革では「組織活性化」や「風土改革」、「地域貢献」を軸に積極的に推進してまいります。そして、このような取り組みを通じた活力ある組織づくりにより、従業員の生産性の改善を図り、企業価値の向上に繋げてまいります。引き続き、Daido Spirit(高い志、改革する意欲、挑戦する心)を根底に、自らの能力やスキルを高めながら、社内で自由闊達な議論を行い、創造性の発揮、イノベーションを生み出す人材の育成など、当社グループの将来を支える人材の育成に努めてまいります。
当社グループは、上記の4つの柱を重要な軸と位置付けて、企業価値の向上を実現するためのあらゆる施策を実行してまいります。企業価値の向上のため、ROEの引上げのみならず、資本コストの最適化のため、非財務資本の取組強化も図るほか、サステナビリティ経営の推進、関係会社を含めたグループ全体でのコーポレートガバナンスの強化など、リスクの少ない経営を進め、PBRの改善に取り組んでまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当社グループは、企業市民として責任ある行動が求められる中で持続的な成長を続けるために、法令遵守や社会貢献をはじめとする企業の社会的責任を果たすのはもちろんのこと、事業を通して社会に貢献する役割を果たし、お客様、株主様、従業員、お取引先様、更には地域社会から信頼される企業となることが重要であると考えています。
①ガバナンス
当社グループは、社会のサステナビリティ・企業のサステナビリティおよびそのために必要な経営・事業変革(トランスフォーメーション)を通じ、企業価値を創出するための活動に関わる審議・討議を行い、内容とその結果を取締役会に具申し、また必要に応じて承認を求める機関としてサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ活動に関わる課題解決に向けた取組について審議を行っています。サステナビリティ委員会の主な審議・討議事項は以下の通りです。
・サステナビリティに関わる方針・目標・活動計画の決定
・活動の推進、進捗モニタリング、成果の確認・活動の見直し
・マテリアリティのKPI設定と進捗管理
・統合報告書の企画

(2025年3月31日時点)
②戦略
当社グループの存在意義は「あらゆる動きを支えて 豊かな暮らしに貢献する」です。これを実現していくために、注力すべきマテリアリティとして特定し、中期経営計画の中に組み込んで具体的な取組みと目標を設定して事業を通じて実行しています。
③リスク管理
「
④指標と目標
ESGの各分野で優先的に取り組むべきマテリアリティについては、テーマごとにKPIを設定し進捗を図るとともに、経営課題との連動を高め、ESGの各分野においてサステナビリティ経営を推進しています。
(2)気候変動対応について
①ガバナンス
当社グループは、マテリアリティとして気候変動への対応を認識しています。気候変動に関するリスクと機会への対応方針を含む経営の方向性については、代表取締役社長を委員長としたサステナビリティ委員会にて審議を行い、取締役会へ定期的に報告し、指示・監督を受けています。また、気候変動対応に関し、グローバルでの中長期目標の設定や再生可能エネルギーの導入など重要事項については、取締役会の審議を経てグループとしての経営戦略に反映しています。
サステナビリティ委員会は、年に2回以上開催し、気候変動を含むサステナビリティ活動に関わる課題解決に向けた取組について審議を行っています。2025年度を開始年度とする中期経営計画において定めた国内外のグループ各拠点における中長期のCO2排出量削減目標の達成に向けて、定期的に管理してまいります。
②戦略
気候変動が当社グループ事業へ及ぼす影響を把握するため、当社グループ全事業を対象とし、以下の2種類のシナリオを用いて「リスク」と「機会」の分析を行いました。
●21世紀末の気温上昇が1.5℃以下に抑えられ、脱炭素社会への移行を実現する「1.5℃シナリオ」
●現状を上回る温暖化対策がとられず、物理的な影響が想定される「4℃シナリオ」
(重要なリスクと機会)
気候変動に対するリスクと機会の洗い出しを行い、当社グループにとっての重要度と発生する可能性のある時期について検証を行いました。
●時間軸(発生時期)・・・短期:2025年頃まで、中期:2030年頃まで、長期:2050年頃まで
●重要度(戦略・財務計画等に及ぼす影響)・・・大:影響範囲が大、中:影響範囲が中程度、小:自社に影響がほとんどない
※ZEV・・・走行時に二酸化炭素等の排出ガスを出さない電気自動車(BEV)や燃料電池自動車(FCV)など
(気候変動リスク及び機会への対応方針)
当社グループは、シナリオ分析を用いた中長期のリスクと機会の洗い出しにより、経営戦略や財務面の影響について分析を行い、リスクへの適切な対応及び機会に対する競争力の強化や新たな事業機会の獲得に向けて対策を進めてまいります。その結果については、当社ウェブサイトや統合報告書などの媒体を通じてステークホルダーの皆様に開示・報告いたします。
(HPリンク)⇒
③リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全体の取組に組み込んでいます。2024年度は、気候変動に関するリスク、自然災害によるリスク等を、当社グループの優先リスクと特定致しました。詳細については「(1) 当社グループのサステナビリティの考え方及び取組 ③リスク管理」をご参照ください。
④指標と目標
当社グループは、昨今の環境意識の高まり、日本政府の2050年における「カーボンニュートラル実現」などの動きを踏まえ、当社グループの「カーボンニュートラル方針」を策定しました。地球社会の一員としての責任を果たすため、当社グループ全体で2050年のカーボンニュートラル(スコープ1、2、3)を目指すという長期目標を掲げました。また、当社グループ全体で2030年の中間目標を、CO2実質排出量2019年度比35%削減(スコープ1、2)として設定し、2050年カーボンニュートラルの目標達成に向けてロードマップを作成し、段階的にCO2削減に取り組んでまいります。
具体的には、省エネ対応や再生可能エネルギーの利用拡大を推進するとともに、事業所、工場、設備ごとのCO2排出量の見える化を進め、設備的な対策等のコストを算定した上で優先順位、ターゲットを絞り、取組を進めてまいります。また、自社からのCO2排出量(スコープ1、2)だけでなく、サプライチェーン全体(スコープ3)での排出削減についても、まずは排出量の算定範囲の拡大を進め、お取引先様とともに取り組んでまいります。CO2排出量(スコープ1、スコープ2)の実績については、当社ウェブサイトに記載していますのでご参照ください。
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なお、当該サイトは2025年10月に更新予定です。
(CO2排出量削減目標)


(3) 人的資本・多様性
①ガバナンス
当社グループは、2007年に定めた人事理念に基づき、人事戦略および経営上重要な人事施策や人材育成について、取締役会及び経営会議である経営戦略会議に具申し、企業価値を創出するために審議・討議を行い、グループとしての経営戦略に反映させています。
②戦略
当社グループは、「Daido Spirit(高い志、改善・改革する意欲、挑戦する心)を根底に、多様な人材が自らの能力やスキルを高めながら、メンバーと自由闊達な議論を行い、創造性を発揮してイノベーションを起こすことができる人材の育成及び職場環境の構築」を人材戦略の基本方針としています。2025年度を開始年度とする中期経営計画では人的資本戦略として「人事体制の整備」、「働き方改革」、「人材育成・採用活動強化」を軸にして、「主体性・挑戦」」、「変化に強い組織」、そして「それを支える仕組み」の3つの要素を柱として進めています。
「主体性・挑戦」として、従業員一人ひとりが自ら学び、能力を高めることを重視します。継続的な学習と経験の機会を提供し、キャリアパスを明確にすることで、従業員が成長を実感できる環境を整えます。
「変化に強い組織」は、組織全体が柔軟で変化に強くなることを目指します。多様な価値観・雇用形態・働き方の従業員が結び付いて、付加価値を生み出す組織を構築します。
「それを支える仕組み」として、明確な目標設定と評価、成果に応じた報酬、そして従業員の健康とワークライフバランスをサポートする制度を充実させます。
③リスク管理
日本国内における労働力人口の減少や海外における人材獲得競争の高まりによる人材確保に関するリスクを、当社グループの優先課題として掲げ、リスクへの対応策として、多様性を意識した採用ややりがいを実感できる社内環境の整備など従業員のエンゲージメント向上を図っています。詳細は「

④指標と目標
■主体性・挑戦に関わる指標(提出会社)
■変化に強い組織に関わる指標(提出会社)
■仕組みに関わる指標(提出会社)
(4)人権尊重の取組について
①ガバナンス
②戦略
当社グループは、「大同メタルグループ行動憲章」の中で、人権を侵害するまたはそれに準ずる行為の禁止を明文化し、徹底を図ってきました。人権に関する取組をより一層推進すべく「国際人権章典」や「労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」「ビジネスと人権に関する指導原則」などの各種国際規範にしたがって、「大同メタルグループ人権方針」を2023年4月に策定しました。2025年度からの中期経営計画においても、「人権の尊重」をマテリアリティの一つとして新たに特定いたしました。
事業活動においては、直接または間接的に人権に影響を及ぼす可能性があることを認識し、従業員やお取引先様、商品・サービスあるいは事業活動が影響を及ぼす地域社会に対する人権を侵害しないよう配慮しています。また、従業員やお取引先様、製品・サービスなどに直接関与する関係者に対して、人権を尊重し侵害しないよう働きかけています。
(人権方針URL)(
【人権デュー・ディリジェンスのプロセス】

③リスク管理
当社グループは、2023年度に人権方針の策定を行い、同年よりお取引先様と当社グループへの人権侵害リスクに関する調査を実施しています。2024年度に実施した調査から、社内への啓発活動として、役員トレーニングや入社時の教育、社内報での情報発信などを実施しました。2025年度には、人権侵害防止・軽減措置をより進めていくために、社内教育の拡充、人権侵害リスクに関する調査の対象範囲の拡大などの取組を行うことを予定しています。また、是正・苦情処理メカニズムの整備も並行して進めてまいります。
④指標と目標
当社グループは、サプライチェーンを含めた人権デュー・ディリジェンスを確実に実施することにより、事業活動に影響を受けるすべてのステークホルダーの皆様の人権を守り、改善を続けることで、人権尊重の取組を進めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している重要なリスクには、以下のようなものがあると考えております。また、それぞれのリスクについて、顕在化する可能性及び事業に与える影響度を踏まえてリスクの優先度(最優先・優先)を設定しております。
当社は、グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定めた上で、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会による情報収集を通じて、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行っております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
《最優先リスク》
(1)グローバル事業展開に伴うリスク(前年度:最優先リスク)
当社グループは、日本国内はもとより、北米、アジア、欧州をはじめ世界各地で事業を展開しており、これらの地域における政治・経済情勢の変動、ウクライナ情勢によるロシア向け輸出関連規制、アメリカの関税政策による影響、さらには各種規制の変更、賃金制度、労使関係及び人権問題等に起因する諸問題が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該リスクへの対応策として、関係会社管理規程に基づき連結子会社を含む関係会社の業務執行について適時適切な報告が受けられる体制を整備するとともに、内部統制システムの整備及び当該システムの適切な運用を通じて、コンプライアンスを含む関係会社における適切な社内体制の整備・運用状況につき定期的に検証、指導し、体制強化を進めております。
また、当社グループは、人権方針に基づき、当社の商品・サービスや事業活動が従業員やお取引先様、地域社会の方々の人権を侵害するような事態が生じないよう最大限配慮するとともに、人権デュー・ディリジェンスの仕組みと手続を通じて、サプライチェーンにおける自らの事業活動に関連した人権侵害リスクを回避すべく取り組んでいます。
(2)原材料の需給環境の不安定化によるリスク(前年度:最優先リスク)
当社グループは、軸受の主材料である鋼材・非鉄(銅、アルミ、錫、樹脂原料他)等の原材料を購入しております。これらの価格が需給環境の変化で不安定に推移することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの対応策としては、従来にも増して、材料の使用量削減(歩留向上等)の強化を図り、また、原則二社発注化の推進と、調達先とのリスク回避に向けた連携強化等による安定的な調達に加え、コスト低減にも取り組んでまいります。併せて、原材料や燃料価格の高騰に対する顧客との価格改定の交渉を継続的に実施してまいります。
(3)サイバー攻撃、情報技術ネットワーク及びシステム障害によるリスク(前年度:最優先リスク)
当社グループにおいては、ハッカーやコンピュータウイルスによるサイバー攻撃等によって、当社グループの業務活動の停止、データ喪失又は個人情報を含む当社グループ内外の情報流出等が発生する可能性があります。その場合、事業活動の停止による直接的な影響や当社グループの社会的信用が失墜すること等によって、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの対応策としては、事業を推進するにあたって利用している情報システム及び付随する情報技術ネットワークシステムの安全な運用のため、社外のデータセンターを利用し、且つ、ネットワーク及び各種サーバー群の状況を常時監視する体制をとっており、安全管理対策を適切に講じております。
また、サイバー攻撃への対応として、有事の際に適切な対応を実現するべく、情報インシデント対応規程に基づき情報管理体制を構築しており、従業員に対しては、標的型メールへの対応訓練の実施を含む情報セキュリティ教育を実施しております。
さらに、当社は、自社内にCSIRT※1を設置するとともに日本シーサート協議会※2に加盟しており、社内CSIRTの運営方法や有事の際の対応方法、セキュリティに関連する法制度の動向等を随時把握できるよう努めております。そして、適時にこれらを社内に展開することで、平時及び有事における対応体制を強化しております。
※1 CSIRT(シーサート:Computer Security Incident Response Team)とはコンピュータインシデントに対応する非専任部門横断組織です。
※2 日本シーサート協議会とは、所属するチームが緊密な連携を図り、各チームにおける課題解決に貢献するための組織です。
《優先リスク》
(1)自然災害及び事故等によるリスク(前年度:優先リスク)
当社グループの国内における主力工場は、愛知県、岐阜県、千葉県、栃木県、福島県及び佐賀県に立地しており、懸念される大規模地震が発生した場合には、当社グループの生産活動に支障が生じ、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ及び当社グループ取引先等の事業拠点が、地震・洪水等の自然災害の発生による電力・ガス等の供給停止等により操業が困難になった場合には、同様に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの工場については、日常的な建屋・設備等の点検・整備のほか、定期的に災害・事故等に備えた保全・改修等も実施しておりますが、災害・事故等により工場及びその周辺に物的・人的被害が及んだ場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの対応策としては、大規模地震の発生等を想定した事業継続計画(BCP)を策定し災害訓練を実施するとともに、事業の継続と復旧にかかる体制整備の強化を図っております。
なお、国内全ての生産工場において火災・風水害の保険に加入しているほか、主な生産工場(愛知県犬山市、岐阜県関市、岐阜県郡上市、千葉県習志野市・香取郡神崎町、栃木県矢板市、福島県南会津郡南会津町及び佐賀県武雄市)においては、付保限度額まで地震保険に加入しております。
(2)製品の不具合によるリスク(前年度:優先リスク)
当社グループは、品質の信頼性の維持向上に努めておりますが、万が一製品の不具合に起因する事故、クレームやリコールが発生した場合、多額の製品補償費用等が発生するほか、顧客が他社発注に切り替えることにより当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの対応策としては、各工場において製品の不具合に繋がる事案の抽出と対策検討を実施し、品質改善計画に基づき継続対応を実施するとともに、国内・海外PL保険(生産物賠償責任保険)を付保し、第三者に損害が生じた場合の補償費用等による影響を緩和しているほか、取引上の状況に応じリコール保険への加入を行う等、リスク回避に努めております。
(3)価格競争によるリスク(前年度:優先リスク)
近年、特にグローバル競争の激化により、価格競争力の強化が求められております。価格競争力は当社製品のグローバルシェアに影響するため、市場のニーズに対応していくことが重要であると認識しております。また、過剰な価格競争により市場の低価格化が進行した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの対応策としては、生産効率の向上やコスト低減活動等による原価低減に取り組むことで、市場ニーズに追従した製品価格を実現し、その影響を最小限にとどめる努力をしております。
(4)新製品開発の不奏功によるリスク(前年度:優先リスク)
当社グループは、市場ニーズに対応した新製品開発や将来の需要を想定したシーズ開発を継続的に行っておりますが、研究開発活動の成果は不確実なものであり、たとえ多額の支出を行ったとしても必ずしも成果に結びつかない可能性があります。
当社グループは、当該リスクへの対応策として、設計・開発部門、製造・生産技術部門、販売部門のトライアングル体制を構築して積極的かつ的確な市場ニーズの把握に努め、開発すべき新製品の市場適合性や採算性を考慮した開発を行っております。
(5)環境規制によるリスク(前年度:優先リスク)
当社グループは、事業活動を行う上で環境負荷の高い物質を使用する場合があり、加えて最近は環境先進地域であるEUのみならず新興国でも環境意識が高まっており、生産活動はもとより製品自体に関しても、世界各国の様々な環境規制に対応する必要があります。
今後、環境規制が更に強化され、その対応のために相当のコスト増加要因が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、世界各国の様々な環境規制に対応するため、環境負荷物質を含まない新規材料の開発等の企業努力に加え、当該対応に要するコスト負担についても顧客と相互に協議することによって様々な環境規制に対応し、環境に対する責任を果たすため積極的に取り組んでおります。
(6)設備投資、合弁事業・提携・買収等に関わるリスク(前年度:優先リスク)
当社グループは、広範囲にわたる事業領域において設備投資を実施しており、また、第三者との間で様々な合弁事業や戦略的提携・事業買収等を行っております。これらは、必ずしも確実に予期したとおりの成果が得られる保証があるわけではなく、事業環境の急変等により、予期せぬ状況変化や初期の事業計画からの大幅な乖離が生じた場合、固定資産の減損損失等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの対応策としては、設備投資、合弁事業・提携・買収等の実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について、外部専門家による評価結果等の慎重な検討や買収先事業計画の慎重な査定を行った上で取締役会における十分な討議を行う等、様々な観点から検討を行っております。
(7)気候変動に関するリスク(前年度:優先リスク)
当社グループは、気候変動に関する国内外の政策及び法規制、ステークホルダーからの要請等を踏まえて、SDGsで掲げる諸目標の達成に向けた取り組みを行っていますが、研究開発や設備投資等によるコスト増及び当該取り組みの遅れによる機会損失等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの対応策としては、世界各国で加速する自動車電動化とカーボンニュートラルに対する当社グループ全体としての対応力強化のため専担組織を設置して取り組んでおります。
また併せて、風車ビジネスの拡販に向け、風車軸受に関する基礎技術開発(設計・評価)を専担する組織として、風車技術研究所を設置し、実験棟を建築しました。当社グループは、気候変動に関する国内外の政策及び法規制や社会的な要請内容、市場環境、顧客ニーズを的確に把握するとともに、当社グループが永年培ったコア技術を最大限に活用することにより地球社会に貢献可能な技術・商品を早期に開発・提供できるよう努めております。
(8)人材確保に関するリスク(前年度:優先リスク)
当社グループは、人材の獲得や育成を進めておりますが、日本国内における労働人口の減少や海外における人材獲得競争の高まりによってこれらが計画どおりに進まない場合、事業活動の制限や企業成長の停滞等が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該リスクへの対応策として、新卒採用だけではなく、キャリア採用も積極的に行うことによって人材確保に努めるとともに、外国人や女性社員、シニア世代の更なる登用及び活躍を積極的に推し進めております。
また、多様なキャリアパスを構築することにより、高いモチベーションを保ちながら自律的、主体的に行動する人材の育成に取り組むとともに、多様な人材が多様な働き方で、その能力を最大限発揮し、やりがいを実感できる組織風土や社内環境を整備することで社員のエンゲージメントの向上を図ってまいります。
(9)コンプライアンスに関するリスク(前年度:優先リスク)
当社グループは、世界各地で事業を展開しているため、国内外の各地域における企業の不祥事や従業員の不注意等が原因となって法的責任が問われたりレピュテーションが低下するおそれがあり、その結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、コンプライアンス体制の整備・強化を目的に「企業行動倫理委員会」を設置しており、当社グループ全体の内部通報に関する利用状況を確認し、コンプライアンス違反に関係する事案が発生した場合や発生するおそれのある場合における報告体制を整備しています。これにより、コンプライアンス違反の未然防止、早期発見及び再発防止に向けた取り組みを推進しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、全体としては緩やかな持ち直しが見られたものの、ウクライナ・中東情勢をはじめとする地政学的リスクや各国の政策動向、中国経済の減速などによる影響も見られ、予断を許さない状況が続きました。
わが国経済においては、経済活動の正常化を背景に回復基調がある一方で、世界的な原材料・エネルギー価格の高止まり、人件費や物流コスト増加などに伴う物価上昇の影響により、先行きが不透明な状況が続きました。
このような市場環境下、当連結会計年度における当社グループ全体の業績につきましては、売上高は前期比5.9%増収の136,303百万円となりました。
利益面につきましては、売上高の増収影響などにより、営業利益は前期比16.5%増益の7,091百万円となり、また、売上高営業利益率は5.2%(前連結会計年度は4.7%)となりました。
経常利益につきましては、前期比17.1%増益の6,820百万円となりました。また、売上高経常利益率は5.0%(前連結会計年度は4.5%)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前期比5.9%増益の2,720百万円となりました。また、売上高当期純利益率は2.0%(前連結会計年度は2.0%)となりました。
1株当たり当期純利益は57円70銭(前連結会計年度は1株当たり当期純利益54円50銭)、自己資本利益率は3.8%(前連結会計年度は4.0%)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
なお、セグメント間の内部売上高又は振替高は、セグメントの売上高に含めております。
また、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照ください。
① 自動車用エンジン軸受
世界の新車販売台数(2024年暦年)は主要市場である北米市場ではEV政策の方針転換等によりハイブリッド車の販売が増加し、中国でも様々なインセンティブや車両価格の値下げに支えられた影響などにより、前年度比2.1%増となりました。国内(2024年度)の新車販売台数は前年度比1.0%増の約457万台、海外(2024年暦年)は米国が前年度比2.3%増、欧州はほぼ横ばい、中国は同4.5%増加したものの、中国国内の日系メーカーにおいては18.4%減少しました。
そのような状況下、当社グループの国内での売上高は、前年度比で微減、海外については米国の堅調な需要や円安影響を受け、前年度比約7%の増加となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は前期比3.6%増収の72,589百万円となり、セグメント利益は増収に伴い前期比2.0%増益の9,285百万円となりました。
② 自動車用エンジン以外軸受
タイでは金融機関によるローン審査の厳格化や景気減速、欧州ではEV化に伴う内燃機関搭載用部品の需要減による影響を受けたものの、米国の自動車関連部品の堅調な需要推移や中国の電動自動車向けの開拓などに伴う受注増の影響があり、当セグメントの売上高は前期比5.9%増収の21,266百万円、セグメント利益は前期比11.5%増益の3,119百万円となりました。
③ 非自動車用軸受
・大型船舶
中東情勢の悪化による航路の長距離化や船腹需給のひっ迫による需要の押し上げによる好調な海運市況により、2025年3月末の手持ち工事量は2,938万総トンと前年度比で6.3%増となりました。LNG船(液化天然ガス運搬用)、自動車運搬船やばら積み船の需要増加や主に中国の旺盛な需要環境に伴う受注増や値上げ効果により、売上高は前年度比で大幅な増収となりました。
・中小型船舶/産業用発電機/建設機械他
建設機械用サービスパーツの在庫調整による受注減があったものの、船舶用補機、発電機用、データセンター向け非常用電源やオイル・ガス採掘向けの建設機械用などに使われる中高速エンジン用軸受の受注は堅調に推移し、売上高は前年度比で増加となりました。
・電力エネルギー/産業用コンプレッサー他
水力発電機用軸受では既設のリプレイス需要によるスポット案件や中東における石油精製プラント稼働好調の影響によるコンプレッサー用軸受の受注増があったものの、蒸気タービン用軸受の一部で在庫調整などに伴う減少により、売上高は前年度比で微減となりました。
これらの結果、当セグメントの売上高は前期比7.7%増収の17,923百万円となり、セグメント利益は前期比14.7%増益の3,712百万円となりました。
④ 自動車用軸受以外部品
・アルミダイカスト製品
タイの自動車業界については、金融機関によるローン審査の厳格化や景気減速などの影響により、前年度のタイ国内生産は前年度比で19.5%減少しております。
このような厳しい環境下にありつつも、当社グループにおいては、受注価格調整の効果による影響や北米向け電動自動車用部品の需要好調に伴う受注増により、売上高は前年度比で増収となりました。
セグメント損失はエア便単価高騰の影響はあったものの、金型管理の高度化、仕上げ工程の改善や不良品の流出防止などの改善活動の成果が出始め、第3四半期に続き第4四半期では更に大幅なエア出荷数量の減少により第4四半期黒字化を達成し、前年度比で改善しました。
・精密金属加工部品(曲げパイプ、ノックピン、NC切削品などの部品)
北米向け電動自動車用部品の需要好調に伴う受注増により、売上高は前年度比で増収となりました。セグメント損失は増収効果や物流費の減少による影響により前年度比で改善しました。
これらの結果、セグメント売上高は前期比10.0%増収の23,680百万円となり、セグメント損失は1,362百万円(前期はセグメント損失1,722百万円)となりました。
⑤ その他
ポンプ関連製品事業でのコロナ明け需要反動による受注減があったものの、金属系無潤滑軸受の新規開拓による受注増などにより、金属系無潤滑軸受事業、ポンプ関連製品事業、電気二重層キャパシタ用電極シート及び不動産賃貸事業等を加えた当セグメントの売上高は前期比6.6%増収の2,403百万円、セグメント利益は前期比5.0%増益の416百万円となりました。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
得意先の生産計画の内示等による見込生産が主体であるため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 財政状態
(総資産)
当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度末に比べ4.4%増加し196,656百万円となりました。
これは主に有形固定資産、商品及び製品、仕掛品が増加したことによります。
(純資産)
当連結会計年度における純資産は、前連結会計年度末に比べ4.3%増加し82,095百万円となりました。
これは主に為替換算調整勘定、利益剰余金が増加したことによります。
(自己資本比率)
当連結会計年度における自己資本比率は、前連結会計年度に比ベ0.5ポイント増加し37.0%となりました。
(1株当たり純資産額)
当連結会計年度における1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比ベ83円04銭増加し1,543円09銭となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ432百万円(1.8%)の増加となり25,019百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動において獲得した資金は10,924百万円となりました。これは主に棚卸資産の増加による支出が3,760百万円あった一方、減価償却費による資金の獲得が9,513百万円、税金等調整前当期純利益が6,820百万円あったことによるものであり、前連結会計年度に比べ5,730百万円(34.4%)の収入の減少となりました。
前連結会計年度との主な差額は、棚卸資産の増減額が4,680百万円減少したことです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動において使用した資金は8,390百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出10,582百万円によるものであり、前連結会計年度に比べ87百万円(1.0%)の支出の増加となりました。
前連結会計年度との主な差額は、有形固定資産の取得による支出が2,975百万円増加したことです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動において使用した資金は2,391百万円となりました。これは主に非支配株主への配当金の支払額が2,419百万円あったことによるものであり、前連結会計年度に比べ107百万円(4.3%)の支出の減少となりました。
前連結会計年度との主な差額は、長期借入金による収入が7,200百万円増加した一方で、短期借入金の純増減額が3,243百万円減少したこと、非支配株主への配当金の支払額が1,842百万円増加したこと、長期借入金の返済による支出が1,222百万円増加したこと、配当金の支払額が757百万円増加したことです。
② 資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品等の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。
設備投資の概況については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりです。
③ 資金調達の状況
当社グループの運転資金及び設備投資資金は主として自己資金により充当し、必要に応じて借入れによる資金調達を実施することを基本方針としております。
当連結会計年度の当社グループの設備投資資金につきましては、自己資金及び借入金を充当いたしました。
今後も、資本の効率化と財務の安全性確保を重視しつつ、有利子負債の圧縮を視野に入れながら、バランスのとれた財務運営を目指してまいります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、SDGs(持続可能な開発目標)で掲げる諸目標の達成に向けた取り組みを意識し、事業戦略を推進する上で重要な研究開発活動及び軸受性能に関する解析技術や性能評価技術向上、長期的な成長基盤となる基礎的研究及び新規事業の創出活動を実施しております。なお、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は
主な研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
<自動車用エンジン軸受>
・カーボンニュートラルへの対応、CO2排出量規制強化に伴うエンジン熱効率向上に対応するため、さらなる摩擦損失低減を目指し、従来とは異なるコンセプトで低摩擦特性を向上させた樹脂オーバレイ(オーバレイ:表面処理)を開発し、良好な実機試験結果を得ています。さらに、環境に配慮した製造方法、成分の研究も継続的に実施しております。
・水素などカーボンニュートラル燃料に対応可能な軸受を提供し、試験結果について確認するとともに、さらなる性能向上に向けた新材料の研究、開発や各種代替燃料使用時における軸受への影響について、継続的に調査、研究を実施しております。
・排出ガス規制強化に対応するため、トラックなどディーゼルエンジン向けに、高面圧などの厳しい使用環境に加え、長寿命、高ロバストネスなどの要求に耐え得る新しい鉛フリーオーバレイを開発し、継続的に実機評価用に提供するとともに、自社実機試験も開始し、順調に運転しております。同様に、従来にない新しい製法、成分系の銅合金系ブシュ材料を開発し、良好な試験結果を得ております。
・F1レース、NASCAR、INDYCAR、MotoGPなど4輪、2輪各種レースのような高速、高面圧で使用される高性能軸受 を開発、継続的に納入し、軸受技術の向上に寄与しております。
・世界各国の自動車顧客からの厳しい品質要求への対応や、生産性向上、不良率低減等に寄与するため、各種生産設備へのIoT・ロボティクス・AI技術の導入および生産・検査設備の自動化などを進めるとともに、グローバルで、生産ラインの再構築を進めています。
・各種の損傷要因解析、設計提案などに積極的に理論解析を利用し、さらに、開発期間の短縮に向けて、計算予測精度、単体評価精度の向上に努めています。
<自動車用エンジン以外軸受>
・地球環境保護の観点から、バイオマス材料の使用やPFASフリーなど、新しい樹脂系軸受の研究開発に取り組んでおり、特に、PFASフリー材料については、従来と同等性能を確保した新材料を開発し、顧客評価に向けて提供を開始しました。
・ショックアブソーバー用軸受において、自動車、オートバイ用以外の用途への展開を目指し、性能に優れ、軽量化にも貢献できる新たな材料を開発しています。
・一般産業用部品において、従来よりも樹脂層の厚い新しい樹脂系軸受材料を開発し、量産に向けて顧客評価が進んでおります。
・電動化に対応した新たな自動車用部品に適用するため、継続的に新しい樹脂系材料の開発、評価を進めております。
・油圧部品用摺動材料について、Pbフリー化に向けて新材料、新工法の開発を進めています。
<非自動車用軸受>
・中高速ディーゼルエンジン用の高面圧化に対応する新しい鉛フリーオーバレイ開発品は、継続して良好な実機評価結果を得ております。さらに、ガスエンジンなどの特殊環境下に対応可能な鉛フリー銅合金開発品も、実機にて供試中です。
・低速および中高速ディーゼルエンジンともに、アンモニア、水素、メタノールなど代替燃料使用時における軸受への影響について、各種実験を実施し、その結果について、実機試験結果との比較も含め一部顧客と意見交換をはじめております。
・再生可能エネルギーの需要の高まりを受け、風力発電ニーズの高い欧州での風力発電用の特殊軸受を提供し、陸上及び洋上の風力発電実機で試験を継続実施中です。さらに同市場に適用可能な各種特殊軸受の技術研究を推進しており、NEDOグリーンイノベーション基金事業(洋上風力発電の低コスト化プロジェクト)を活用し、風量発電実施の主軸用軸受と同等の使用環境を実現可能な軸受ベンチ試験機(軸径1,000㎜)の導入を含め、各種軸受評価試験機による軸受性能の信頼性試験を継続的に実施しております。
<その他>
・従来の電極シート製造技術をベースに、その特性を活かした各種応用製品の研究、開発を進めており、複数の問合せを頂き、一部はサンプル提供を実施しております。
また、㈱マテリアルイノベーションつくばとの共同開発により、世界初のグラフェン厚膜電極の開発に成功し
ました。
<新規事業創出活動>
持続的発展のために、地球環境、カーボンニュートラル社会への貢献を目指し、特に水素社会の実現に向けて、当社固有技術を活かした新規事業の創出、育成活動を積極的に取り組んでおり、以下の様な研究開発活動を行っております。
・電気二重層キャパシタ用電極シートを応用した水処理装置の研究、開発(各種展示会に出展済、実証実験中)
・異種金属材料を接合するクラッド技術を応用した積層材料の用途開発(軽量化など)
・吸音性、吸水性、放熱性などの機能と金属の強度、耐熱性を併せ持つ金属多孔質体の用途開発