(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、公共投資等の経済対策効果や設備投資の増加基調により、景気は緩やかながらも回復基調を維持しております。一方、海外においては、中国での景気減速が一服、米国経済も引き続き好調を持続しております。
自動車業界は、国内では、熊本地震の影響による自動車生産の一時操業停止等がありましたが、新車投入効果等により、需要は回復しました。海外では、北米での需要は引き続き好調に推移し、加えて、中国では小型車減税の影響により需要が増加しました。
電子機器業界は、ハードディスクドライブや、デジタルカメラ、タブレット端末の需要が減少しました。スマートフォンについては、需要は増加するも成長は鈍化しました。
事務機業界は、複合機の需要は横ばいで推移したものの、プリンターの需要が減少しました。
このような環境の中、当社のセグメント別の業績は以下のとおりです。
シール事業におきましては、自動車向けについては、国内の需要回復に加えて、北米や中国等、海外での需要増加により販売が増加しました。一般産業機械向けについては、建設機械等の需要回復により、販売は増加しました。
その結果、売上高は3,105億6千9百万円(前年同期比4.9%の増収)となりました。営業利益は、増収により371億3千2百万円(前年同期比14.1%の増益)となりました。
電子機器部品事業におきましては、自動車向けは好調に推移しているものの、スマートフォン向け等の減少に加え、為替影響もあり販売は減少しました。
その結果、売上高は3,668億円(前年同期比10.5%の減収)となりました。営業利益は、販売の減少、品目構成の変化、償却費の増加、および為替の影響等により、6億3千1百万円(前年同期比95.4%の減益)となりました。
ロール事業におきましては、プリンターの需要減少等により販売は減少しました。
その結果、売上高は225億8千6百万円(前年同期比18.1%の減収)となりました。営業利益は、販売の減少等により8億1千8百万円(前年同期比32.4%の減益)となりました。
特殊潤滑剤等のその他事業におきましては、売上高は131億8千2百万円(前年同期比4.2%の増収)となりました。営業利益は11億3百万円(前年同期比46.1%の増益)となりました。
以上の結果、当社グループの業績は、売上高は7,131億3千8百万円(前年同期比4.4%の減収)となりました。営業利益は397億7千6百万円(前年同期比17.6%の減益)、経常利益は457億9百万円(前年同期比14.9%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は273億2千8百万円(前年同期比9.1%の減益)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末に比べ34億3百万円減少し906億2千9百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
営業活動の結果、得られた資金は、680億3千8百万円(前年同期比23.1%の減少)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益の計上、および非資金項目である減価償却費の計上によるものです。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
投資活動の結果、使用した資金は、620億3千5百万円(前年同期比5.6%の減少)となりました。これは主として有形固定資産の取得によるものです。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
財務活動の結果、使用した資金は、73億2千7百万円(前年同期比69.5%の減少)となりました。これは主として配当金の支払によるものです。
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
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シール事業 |
312,035 |
105.7 |
|
電子機器部品事業 |
364,493 |
89.3 |
|
ロール事業 |
22,233 |
80.5 |
|
その他事業 |
13,251 |
107.4 |
|
合計 |
712,014 |
95.8 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2.上記中には商品仕入高を含んでおりますが、当社グループにおいては仕入販売事業の事業規模には金額的重要性はありません。
3.上記中には消費税等は含まれておりません。
(2) 受注状況
当社グループは、主として得意先より生産計画の内示を受け、それに基づく見込み生産を行っているため記載しておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
シール事業 |
310,569 |
104.9 |
|
電子機器部品事業 |
366,800 |
89.5 |
|
ロール事業 |
22,586 |
81.9 |
|
その他事業 |
13,182 |
104.2 |
|
合計 |
713,138 |
95.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は次の通りであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
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Apple Inc. |
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
177,710 |
23.8 |
148,155 |
20.8 |
|
3.上記中には消費税等は含まれておりません。
(1)経営の基本方針
企業は株主・従業員・社会の三者の共有物である、というのがNOKグループの基本的考え方であります。これに顧客・仕入先・金融機関等を加えた利害関係者、いわゆるステイクホルダーの方々が誇りを持てる企業、それがNOKグループの目指すべき姿と考えております。そのためには、「技術に裏打ちされた独自性のある、かつ社会に有用な商品を世界中で安くつくり適正価格で売る」ことにより高い収益力を持つ強い企業集団をつくりあげることが重要と考え、この考えに基づき事業経営を展開しております。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
今後の当社グループを取り巻く経営環境につきましては、国内においては、個人消費は緩やかな回復基調となり、公共投資等の経済政策や設備投資は底堅く推移し、景気は緩やかに回復していくことが期待されます。海外においては、中国経済の景気減速は一服しているものの先行きの懸念があり、米国経済は引き続き堅調に推移すると見込まれますが、英国EU離脱、米国保護主義的外交政策により、先行き不透明感が高まっております。
シール事業では、自動車の需要は、国内、米国では微減、中国では小型車減税の駆け込み需要の反動による成長の鈍化等の懸念があります。その中で、国内および海外の競合他社との競争激化が見込まれるため、営業・生産・技術一体となり、拡販の推進、最適地生産による生産体制の効率化に取り組むとともに、品質のさらなる向上についても引き続き取り組んでまいります。
電子機器部品事業では、スマートフォン市場の成長鈍化やハードディスクドライブ等の台数減少による需要の伸び悩み、競争激化による販売価格の下落、季節的な需要変動の拡大等が課題となっております。これらに対応するべく、自動車向け、および新たな用途への拡販を推進していくと同時に、生産工程の自動化による生産体制の効率化に取り組んでまいります。
ロール事業では、事務機市場の成長鈍化、および競争激化による製品価格の下落により、販売の減少が想定されます。これらに対応するべく、営業・技術一体による競争力の向上により拡販を図るとともに、経営効率をより一層高めて収益力の向上を図ってまいります。
このような課題に対処するとともに、昨年の熊本地震での被災を教訓にBCM(事業継続マネジメント)の構築、ますます拡大する海外事業の適切な管理、品質力のさらなる向上や新商品開発、ならびにこれらを担う人材の育成に力を入れ、将来を見据えて当社グループが持続的に成長発展していけるよう、新たな3カ年計画(平成29年度から平成31年度まで)を策定し、取り組むことといたしました。
下記方針に基づき、全社一丸となって邁進、努力していく所存であります。
スローガン(基本方針)
「持続性ある企業体質の構築」
方針
(1)バランスのとれた顧客構成の構築
-拡販と新商品の開発による拡大均衡を目指して
(2)ダントツ品質の定着
(3)実効性あるBCMの構築
(4)人間尊重経営の実践
-活力に溢れた人づくり、職場づくり
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクとして、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において判断したものであります。
(1)自然災害等について
当社グループは、地震・台風・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症等の発生により、当社グループの生産活動や物流活動に支障をきたす事態に備えて、生産拠点の分散化や安全対策を行い事業継続のためにリスクの最小化に努めております。しかしながら、これらの事態の発生を完全に防止または軽減することができない可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)政治経済情勢について
当社グループは、日本、北米、欧州、中国、その他アジア諸国等において事業を展開しております。そのため、当社グループが製品を製造・販売している国や地域の政治情勢や経済状況の変動により、当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。
(3)法的規制等の影響について
当社グループは、事業を展開する各国において様々な法規制の適用を受けております。将来においてこれらの法規制が改正・強化された場合、新たな規制を遵守するために発生する追加コストの負担は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)訴訟その他の法的手続にかかわるリスクについて
当社グループが、各国で事業を遂行する上で、訴訟や規制当局による措置その他の法的手続の当事者となる可能性があります。これらの法的手続の結果、当社グループに対して金銭的な賦課や事業遂行に関する制約が課された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)知的財産権侵害の影響について
当社グループは、特許権その他の知的財産権の取得により自社の保有技術を保護すると共に、第三者の知的財産権に対する侵害の予防にも注意を払っております。しかし、国情の相違等から当社グループの知的財産権の保護が十分に得られず販売減少や訴訟費用が発生した場合や、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害したために販売中止や賠償金支払が必要となった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報流出の影響について
当社グループは、事業を遂行する上で、技術情報や個人情報等の機密情報を有しております。これらの情報の外部流出防止のため社内体制・手続を構築しておりますが、予期せぬ事態により情報が外部に流出した場合、社会的信用の低下や賠償金支払等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7)製品の品質問題が及ぼす影響について
当社グループは、各生産拠点において世界的に認められた品質管理基準に従って製品を製造しておりますが、予測できない原因による製品の品質不具合の発生を皆無にすることは困難であります。万が一大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような製品の不具合が発生した場合、多大な対応コストや社会的信用の低下により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)為替変動の影響について
当社グループの当期連結売上高に占める海外売上高比率は約7割であり、各地域における為替動向が、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。このため為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、当社グループの業績及び財務状況は為替変動の影響を受ける可能性があります。
(9)金利変動の影響について
当社グループは、資金需要、調達手段、及び金融情勢を勘案し資金調達をしておりますが、金融情勢の変化により調達金利が変動した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)株式市場の動向による影響について
国内外の株式市場の動向は、当社が保有する投資有価証券の評価額、及び当社グループの年金資産の運用状況に影響を及ぼします。株式市場が低迷した場合、投資有価証券の評価損が発生する可能性、及び年金資産が目減りし、会社負担が増大する可能性があります。
(11)原材料の価格変動について
当社グループの製品の主要原材料である鋼板・合成ゴム・銅箔・樹脂フィルム・金等の価格は、需給動向等により変動しております。これら原材料価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、原材料価格の変動により、当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。
(12)顧客の業績への依存について
当社グループでは、シール製品及び電子機器部品の製造・販売が事業の大部分を占めており、これらの分野においては国内外の主要な自動車メーカー、建機メーカー、及び電子機器メーカー等を主な得意先としております。これらの顧客企業への売上は、その顧客企業の業績や予期しない契約の変更等、当社グループにて管理できない要因により影響を受ける可能性があります。このような顧客への売上減少により当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。
(13)需要動向の変化による影響について
当社グループの主要製品であるオイルシール等については、主に内燃機関(エンジン)に用いられるものでありますが、近年においては燃料電池自動車、及び電気自動車も市場投入されております。そのため当社グループでは将来の普及に備え、燃料電池に搭載可能な新製品等に関する研究開発も進めております。しかしながら、現時点において将来、燃料電池自動車、及び電気自動車の普及が当社グループの業績及び財務状況に与える影響を見通すことは困難であります。
また、自動車、建機、電子機器製品、及び事務機のコモディティ化の流れの中で、新興国等での現地メーカーの台頭もあり、今後より一層の競争激化とそれに起因する価格下落が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(14)他企業との提携について
当社グループは、事業を展開する上で、他社と様々な提携活動を行っておりますが、提携先固有の事情による提携の解消等、当社グループで管理できない要因により業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
とりわけ、当社は昭和35年よりフロイデンベルグ社(以降同社)との間で、資本及び技術提携を行っており、当社グループの事業展開において、同社(グループ企業含む)は、パートナー企業として重要な位置付けを有しております。
現在同社は、投資会社であるフロイデンベルグ・エス・エーを通じて当社発行済株式の25.1%を保有する筆頭株主であり、昭和35年の提携以降、同社との関係は継続しております。今後においても、同社との提携関係は安定的に継続していくものと当社グループは認識しておりますが、同社との提携関係又は同社の事業戦略等に変化が生じた場合においては、当社グループの事業に対して影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ(当社及び連結子会社)が締結している重要な契約は次のとおりであります。
提出会社
①技術提携契約
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相手先 |
国名 |
内容 |
契約日 |
|
フロイデンベルグ社 |
ドイツ連邦共和国 |
オイルシール、Oリング等のシール製品及びそれに関連する技術の導入及び供与 |
平成21年1月1日 |
②合弁契約
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相手先 |
国名 |
内容 |
合弁会社名 |
契約日 |
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フロイデンベルグ社 |
ドイツ連邦共和国 |
米国子会社(NOK Inc.)とフロイデンベルグ社の米国子会社によるオイルシール、Oリング等のシール製品並びに関連製品事業の合弁 |
フロイデンベルグ |
平成元年3月23日 |
当社グループは、当社技術本部及び連結子会社の各技術部門を中心に、相互連携を図りながら、担当分野に係る新技術・新製品等の開発活動を進めております。当連結会計年度の研究開発費の総額は、82億7千4百万円となっており、セグメント別の研究開発活動の状況は次のとおりであります。
(1) シール事業
「環境」、「安全」及び「IT化対応」を重点として、継続的に技術・製品開発を進めております。環境関連では、低摩擦損失による省エネルギー効果に寄与する製品、ハイブリッド(HEV)・電気自動車(EV)・燃料電池自動車(FCEV)に対応するクリーンな製品の開発を進めております。
安全やIT関連では、自動車制動関連の製品や電子部品との複合等による高付加価値製品の開発に取り組んでおります。
オイルシールにおいては、しゅう動抵抗の低減によって省エネルギーに貢献する低摩擦技術、具体的には低摩擦コーティング,低摩擦ゴム材料ならびに子会社のNOKクリューバー(株)と共同開発したシール専用の低摩擦グリースの市場投入を積極的に進めています。これら低摩擦技術群はLe-μ’sという商標で登録し、NOKグループの保有する低摩擦技術のさらなる普及を図っております。また、海外の新興国に向けた過酷な道路環境に対応する耐ダスト性が向上した製品も市場投入しております。
Oリングにおいては、環境対応エンジンに対する高圧用シール、組立性向上コーティング、燃料電池用水素ガス対応シールを市場投入する一方で、熱マネジメント用シールの開発を進めております。
新商品関連では、EV/HEV/FCV(燃料電池自動車)に代表されるエコカーのニーズに対し、従来のシール製品群に加え、電子機器や電動ユニット向けにFPC一体シール部品、および放熱をサポートする熱伝導性ゴムを開発しております。さらに燃料電池の中核を成すセルスタック向けに低反力・省スペースのシール部品を開発し、一部顧客向けに量産を開始しております。
また、自動運転に代表される先進運転支援システム(ADAS)が注目を集めております。それには運転者の状態を判断する「ドライバモニタリング」も必要とされており、我々の開発した生体信号を測定できるゴム電極は心電、筋電位、脳波等のモニタリングが可能であり、運転者の疲労や眠気の検知への利用が期待されています。
自動車以外の分野においては、新たな分野・市場への参入に向け、ゴムや樹脂のモールド技術を用いて耐候性や耐衝撃性を向上させたICタグ、医療・バイオ分野に向けた機能性ゴム部品など、より付加価値の高い製品開発を進めております。
化学合成品関係では、環境負荷の低減に対応した素材の開発や、フッ素系機能性化合物製品の開発とそれらの新規製造法を検討するとともに、生産プロセス面からも資源・省エネルギーや環境に配慮した商品開発を推進しております。
なお、当事業に係る研究開発費は62億9百万円であります。
(2) 電子機器部品事業
スマートフォン/タブレットなどの小型携帯電子機器向けをはじめ、今後の成長電子市場である車載向けや医療・ヘルスケアに向けたフレキシブル配線板(FPC)のプロセス/材料/部品実装開発及びFPCの新商品開発を推進しております。開発概要は、FPCの高精細/高機能化やモジュール化を実現するコア技術の確立であります。
小型携帯電子機器に向けては、配線の高密度化に対応するために、サブトラクティブ工法による更なる配線の高精細化に取り組むと共に、超微細配線の形成に向けたセミアディティブ工法の開発を推進し、顧客試作に向けたプロセス構築を進めております。また、配線微細化と同時に必要となるビアの小径化に対し、レーザ加工技術において、新技術の適用および量産適用の推進、更なる小径化対応を進めております。
信号の高周波化・高速化、データの大容量化への対応に関し、ベース樹脂にLCP(液晶ポリマー)フィルムを適用した高周波対応FPCの開発、および顧客対応を進めております。用途として小型携帯電子機器の他、車載向けに、近い将来登場することが確実な自動運転化に伴う各種センサー等の高速伝送化に対応する技術開発を推進しております。また同様に、自動車の電化に伴う取り組みとして、FPCとケーブル、FPCと機器間の高信頼性接続技術を開発し、各顧客への技術紹介を推進しております。
医療・ヘルスケア市場向けには、従来の曲げ・屈曲に加えて関節やジョイント部に適用可能な伸縮性を持つプリーツ型成形FPCの商品化を進めております。現在、ロボット・マイクロメカトロニクス分野への展開を推進しております。
また、基材のエラストマーと配線の両方が伸縮性を持ち、肌への密着に関し違和感のない透湿性、装着感を備え、精度の高いバイタルデータセンシングを可能とするストレッチャブルFPCの開発を推進し、顧客向けの試作及び量産対応への準備を開始しました。今後市場が拡大するウエアラブル電子機器、医療・ヘルスケア用途への適合性があるものとして、更なる開発推進とともに、大学等との共同研究も継続致します。
なお、当事業に係る研究開発費は17億1百万円であります。
(3) ロール事業
事務機業界では、最近の市場動向として中国・ASEAN地区への生産二極化の進展、また低価格分野向けを中心にローカル部品メーカーの参入などが顕著な動きとなってきています。
一方、事務機の機能トレンドである高速化、高画質化を目的として新タイプトナーへの変更等の開発が進められており、使用される部品についても従来仕様以上の機能を要求されております。弊社は引続き顧客要求に合わせた開発推進を行ってまいります。併せて、品質向上、開発工期の短縮と共により安定した生産体制の構築に努めてまいります。
なお、当事業に係る研究開発費は2億3千3百万円であります。
(4) その他事業
潤滑剤関係では、省エネルギーや快適性向上に寄与する、材料調達リスクや法規制を先取りした新商品開発を推進しております。また、自動車業界や一般産業機械業界向けオイル・グリース・コーティングの更なる高機能化を目的として、摩擦摩耗現象や低摩擦化メカニズムの解明、新素材の探求等の研究開発に注力しています。
なお、当事業に係る研究開発費は1億2千9百万円であります。
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。
その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的・保守的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
①財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、7,517億9千7百万円となり、前連結会計年度末対比で548億7百万円の増加となりました。これは主に、受取手形及び売掛金と有形固定資産が増加したこと、および株価の上昇に伴い投資有価証券勘定の時価評価額が増加したことによるものです。
(負債)
負債合計は、2,966億8千6百万円となり、前連結会計年度末対比331億円の増加となりました。これは主に、買掛金と短期借入金が増加したこと、および割引率の変更に伴い退職給付に係る負債が増加したことによるものです。
(純資産)
純資産は、その他有価証券評価差額金の増加、および親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加により、前連結会計年度末対比217億6百万円増の4,551億1千1百万円となり、自己資本比率は55.7%となりました。
②キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1.業績等の概要(2)キャッシュ・フロー」に記載しております。
③経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は7,131億3千8百万円(前年同期比4.4%の減収)となりました。セグメント別の売上高の状況は「第2 事業の状況 1.業績等の概要(1)業績」に記載しております。
損益面では、営業利益は、397億7千6百万円と前年同期比で84億8千1百万円の減益(前年同期比17.6%の減益)となりました。
営業外収支(収益費用の純額)については当連結会計年度59億3千2百万円の収益となり、前年同期比で4億6千3百万円収支が良化いたしました。これは主に、為替差損が前連結会計年度より減少したことによるものです。
特別損益の収支(利益損失の純額)については当連結会計年度38億8千5百万円の損失となり、前年同期比で20億2百万円収支が良化いたしました。これは主に、前連結会計年度において計上した投資有価証券評価損と出資金売却損、および環境対策引当金繰入額が、当連結会計年度に発生しなかったことによるものです。
税金等調整前当期純利益に対する法人税等の負担率は、当連結会計年度27.8%(前連結会計年度29.3%)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、273億2千8百万円となり、前年同期比で27億2千5百万円の減益(前年同期比9.1%の減益)となりました。1株当たり当期純利益は158円39銭と前年同期比で15円58銭減少いたしました。