第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針

 企業は株主・従業員・社会の三者の共有物である、というのがNOKグループの基本的考え方であります。これに顧客・仕入先・金融機関等を加えた利害関係者、いわゆるステイクホルダーの方々が誇りを持てる企業、それがNOKグループの目指すべき姿と考えております。そのためには、「技術に裏打ちされた独自性のある、かつ社会に有用な商品を世界中で安くつくり適正価格で売る」ことにより高い収益力を持つ強い企業集団をつくりあげることが重要と考え、この考えに基づき事業経営を展開しております。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題等

 今後の当社グループを取り巻く経営環境につきましては、国内においては、個人消費は緩やかな回復基調となり、公共投資等の経済政策や設備投資は底堅く推移し、景気の緩やかな回復が継続することが期待されます。海外においては、中国の経済成長率は鈍化していく可能性があるものの、米国経済は回復が続く見込みです。但し、地政学リスクや、政治的混乱等によって、世界経済が減速するリスクがあり、先行き不透明感は高まっております。

 

シール事業では、自動車向けについては、国内需要は新型車の投入効果や軽自動車の需要回復が一巡したことにより微減するとみられます。海外では、北米の需要は微増、中国の需要の伸びは鈍化するとみられます。一般産業機械向けについては、国内の建設機械需要は引き続き好調を維持するとみられます。海外では、中国の建設機械需要は堅調に推移し、工作機・ロボット等も好調を維持するとみられます。その中で、国内および海外の競合他社との競争激化が見込まれるため、営業・生産・技術一体となり、拡販の推進、最適地生産による生産体制の効率化に取り組むとともに、品質のさらなる向上についても引き続き取り組んでまいります。

 

電子部品事業では、高機能スマートフォンの成長鈍化やハードディスクドライブ等の台数減少による需要の伸び悩み、季節的な需要変動の拡大等が課題となっております。これらに対応するべく、自動車向け、および新たな用途への拡販を推進するとともに、全社一丸となった、変動に強い体質づくりと、品質のさらなる向上について引き続き取り組んでまいります。

 

ロール事業では、事務機市場の成長鈍化、および価格競争激化による製品価格の下落により、販売の減少が想定されます。これらに対応するべく、営業・技術一体による品質・コスト面での競争力向上、新製品の開発による更なる拡販を図るとともに、経営効率をより一層高めて収益力の向上に取り組んでまいります。

 

このような課題に対処するとともに、自然災害等に備え、BCM(事業継続マネジメント)の構築、ますます拡大する海外事業の適切な管理、品質力のさらなる向上や新商品開発、ならびにこれらを担う人材の育成に力を入れ、将来を見据えて当社グループが持続的に成長発展していけるよう、下記方針に基づき、3カ年計画(平成29年度から平成31年度まで)に取り組み、全社一丸となって邁進、努力していく所存であります。

 

スローガン(基本方針)

持続性ある企業体質の構築

 

方針

(1)バランスのとれた顧客構成の構築

   -拡販と新商品の開発による拡大均衡を目指して

(2)ダントツ品質の定着

(3)実効性あるBCMの構築

(4)人間尊重経営の実践

   -活力に溢れた人づくり、職場づくり

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクとして、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末(平成30年3月31日)現在において判断したものであります。

 

(1)自然災害等について

当社グループは、地震・台風・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症等の発生により、当社グループの生産活動や物流活動に支障をきたす事態に備えて、生産拠点の分散化や安全対策を行い事業継続のためにリスクの最小化に努めております。しかしながら、これらの事態の発生を完全に防止または軽減することができない可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)政治経済情勢について

当社グループは、日本、北米、欧州、中国、その他アジア諸国等において事業を展開しております。そのため、当社グループが製品を製造・販売している国や地域の政治情勢や経済状況の変動により、当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。

 

(3)法的規制等の影響について

当社グループは、事業を展開する各国において様々な法規制の適用を受けております。将来においてこれらの法規制が改正・強化された場合、新たな規制を遵守するために発生する追加コストの負担は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)訴訟その他の法的手続にかかわるリスクについて

当社グループが、各国で事業を遂行する上で、訴訟や規制当局による措置その他の法的手続の当事者となる可能性があります。これらの法的手続の結果、当社グループに対して金銭的な賦課や事業遂行に関する制約が課された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)知的財産権侵害の影響について

当社グループは、特許権その他の知的財産権の取得により自社の保有技術を保護すると共に、第三者の知的財産権に対する侵害の予防にも注意を払っております。しかし、国情の相違等から当社グループの知的財産権の保護が十分に得られず販売減少や訴訟費用が発生した場合や、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害したために販売中止や賠償金支払が必要となった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)情報流出の影響について

 当社グループは、事業を遂行する上で、技術情報や個人情報等の機密情報を有しております。これらの情報の外部流出防止のため社内体制・手続を構築しておりますが、予期せぬ事態により情報が外部に流出した場合、社会的信用の低下や賠償金支払等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)製品の品質問題が及ぼす影響について

当社グループは、各生産拠点において世界的に認められた品質管理基準に従って製品を製造しておりますが、予測できない原因による製品の品質不具合の発生を皆無にすることは困難であります。万が一大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような製品の不具合が発生した場合、多大な対応コストや社会的信用の低下により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)為替変動の影響について

当社グループの当期連結売上高に占める海外売上高比率は約7割であり、各地域における為替動向が、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。このため為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、当社グループの業績及び財務状況は為替変動の影響を受ける可能性があります。

 

(9)金利変動の影響について

当社グループは、資金需要、調達手段、及び金融情勢を勘案し資金調達をしておりますが、金融情勢の変化により調達金利が変動した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(10)株式市場の動向による影響について

国内外の株式市場の動向は、当社が保有する投資有価証券の評価額、及び当社グループの年金資産の運用状況に影響を及ぼします。株式市場が低迷した場合、投資有価証券の評価損が発生する可能性、及び年金資産が目減りし、会社負担が増大する可能性があります。

 

(11)原材料の価格変動について

当社グループの製品の主要原材料である鋼板・合成ゴム・銅箔・樹脂フィルム・金等の価格は、需給動向等により変動しております。これら原材料価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、原材料価格の変動により、当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。

 

(12)顧客の業績への依存について

当社グループでは、シール製品及び電子部品の製造・販売が事業の大部分を占めており、これらの分野においては国内外の主要な自動車メーカー、建機メーカー、及び電子機器メーカー等を主な得意先としております。これらの顧客企業への売上は、その顧客企業の業績や予期しない契約の変更等、当社グループにて管理できない要因により影響を受ける可能性があります。このような顧客への売上減少により当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。

 

(13)需要動向の変化による影響について

当社グループの主要製品であるオイルシール等については、主に内燃機関(エンジン)に用いられるものでありますが、近年においては燃料電池自動車、及び電気自動車も市場投入されております。そのため当社グループでは将来の普及に備え、燃料電池に搭載可能な新製品等に関する研究開発も進めております。しかしながら、現時点において将来、燃料電池自動車、及び電気自動車の普及が当社グループの業績及び財務状況に与える影響を見通すことは困難であります。

また、自動車、建機、電子機器製品、及び事務機のコモディティ化の流れの中で、新興国等での現地メーカーの台頭もあり、今後より一層の競争激化とそれに起因する価格下落が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)他企業との提携について

当社グループは、事業を展開する上で、他社と様々な提携活動を行っておりますが、提携先固有の事情による提携の解消等、当社グループで管理できない要因により業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

とりわけ、当社は昭和35年よりフロイデンベルグ社(以降同社)との間で、資本及び技術提携を行っており、当社グループの事業展開において、同社(グループ企業含む)は、パートナー企業として重要な位置付けを有しております。

現在同社は、投資会社であるフロイデンベルグ・エス・エーを通じて当社発行済株式の25.1%を保有する筆頭株主であり、昭和35年の提携以降、同社との関係は継続しております。今後においても、同社との提携関係は安定的に継続していくものと当社グループは認識しておりますが、同社との提携関係又は同社の事業戦略等に変化が生じた場合においては、当社グループの事業に対して影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、公共投資等の経済対策効果や設備投資の増加基調により、景気は緩やかな回復局面が継続しています。海外においては、米国は堅調さを維持しており、中国も安定的に推移しました。

 

自動車業界は、国内では、新型車投入効果や軽自動車の需要回復により好調に推移しました。海外では、北米は安定的に推移し、中国も日系各社が市場の伸びを大きく上回って好調に推移しました。タイでは国内需要が順調に回復し、緩やかながらも回復基調が継続しました。

電子機器業界は、スマートフォンの需要が引き続き堅調に推移しています。ハードディスクドライブについては、パソコン向けの需要は減少しているものの、サーバー向けの需要が増加しており、ほぼ横ばいの推移となっております。

事務機業界は、事務機市場の成熟化により、複合機の需要は微増、プリンターの需要は微減で推移しました。

 

このような環境の中、当社の当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

なお、当連結会計年度より、従来「電子機器部品事業」としていた報告セグメントの名称を「電子部品事業」に変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。なお、前連結会計年度のセグメント情報についても変更後の名称で記載しております。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末対比で437億円増加し、7,954億9千7百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末対比で10億8千3百万円減少し、2,956億3百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末対比で447億8千3百万円増加し、4,998億9千4百万円となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高は7,293億4千1百万円(前年同期比2.3%の増収)となりました。営業利益は449億3千4百万円(前年同期比13.0%の増益)、経常利益は562億9千1百万円(前年同期比23.2%の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は352億8千1百万円(前年同期比29.1%の増益)となりました。

 

当社のセグメント別の経営成績は以下のとおりです。

 

シール事業は、売上高は3,368億6千6百万円(前年同期比8.5%の増収)、営業利益は、408億8百万円(前年同期比9.9%の増益)となりました。

 

電子部品事業は、売上高は3,611億1百万円(前年同期比1.6%の減収)、営業利益は、29億6千3百万円(前年同期比23億3千1百万円の増益)となりました。

 

ロール事業は、売上高は208億3千1百万円(前年同期比7.8%の減収)、営業損益は、4千9百万円の損失(前年同期は8億1千8百万円の営業利益)となりました。

 

特殊潤滑剤等のその他事業におきましては、売上高は105億4千2百万円(前年同期比20.0%の減収)、営業利益は11億円(前年同期比0.4%の減益)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末に比べ12億9百万円減少し894億2千万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

営業活動の結果、得られた資金は、695億2千6百万円(前年同期比2.2%の増加)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益の計上、および非資金項目である減価償却費の計上によるものです。

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

投資活動の結果、使用した資金は、586億8千1百万円(前年同期比5.4%の減少)となりました。これは主として有形固定資産の取得によるものです。

 〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

財務活動の結果、使用した資金は、130億1千万円(前年同期比77.6%の増加)となりました。これは主として長期借入金の返済による支出、および配当金の支払によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

シール事業

351,522

112.7

電子部品事業

383,687

105.3

ロール事業

21,232

95.5

その他事業

11,078

83.6

合計

767,520

107.8

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。

2.上記中には商品仕入高を含んでおりますが、当社グループにおいては仕入販売事業の事業規模には金額的重要性はありません。

3.上記中には消費税等は含まれておりません。

b. 受注実績

当社グループは、主として得意先より生産計画の内示を受け、それに基づく見込み生産を行っているため記載しておりません。

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

シール事業

336,866

108.5

電子部品事業

361,101

98.4

ロール事業

20,831

92.2

その他事業

10,542

80.0

合計

729,341

102.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

  至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

  至 平成30年3月31日)

Apple Inc.

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

148,155

20.8

146,720

20.1

     3.上記中には消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。

その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的・保守的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

a. 経営成績等

1)財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、7,954億9千7百万円となり、前連結会計年度末対比で437億円の増加となりました。これは主に、商品及び製品と有形固定固定資産が増加したこと、および株価の上昇に伴い投資有価証券勘定の時価評価額が増加したことによるものです。

負債合計は、2,956億3百万円となり、前連結会計年度末対比10億8千3百万円の減少となりました。これは、繰延税金負債が増加したものの、長期借入金が減少したこと等によるものです。

純資産は、その他有価証券評価差額金の増加、および親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加により、前連結会計年度末対比447億8千3百万円増4,998億9千4百万円となり、自己資本比率は57.8%となりました。

 

2)経営成績

当社の経営成績は以下のとおりです。

 

シール事業におきましては、自動車向けについては、国内での好調な需要に加え、中国での日系車の好調を受けて、販売は増加しました。一般産業機械向けについては、中国を中心とした建設機械市場の回復に加え、工作機・ロボット市場等も好調に推移した事により、販売は増加しました。

その結果、売上高は3,368億6千6百万円(前年同期比8.5%の増収)となりました。営業利益は、増収により408億8百万円(前年同期比9.9%の増益)となりました。

 

電子部品事業におきましては、自動車の電子化に伴い需要が好調に推移しました。しかしながら、高機能スマートフォン向けの販売は減少しました。

その結果、売上高は3,611億1百万円(前年同期比1.6%の減収)となりました。営業利益は、自働化、歩留り改善効果、為替の影響等により、29億6千3百万円(前年同期比23億3千1百万円の増益)となりました。

 

ロール事業におきましては、複合機向けの需要は横ばいに推移しましたが、プリンターの市場在庫調整の影響により販売は減少しました。

その結果、売上高は208億3千1百万円(前年同期比7.8%の減収)となりました。営業損益は、人件費・経費等の削減に努めましたが販売の減少の影響が大きく4千9百万円の損失(前年同期は8億1千8百万円の営業利益)となりました。

 

特殊潤滑剤等のその他事業におきましては、売上高は105億4千2百万円(前年同期比20.0%の減収)となりました。営業利益は11億円(前年同期比0.4%の減益)となりました。

 

営業外収支(収益費用の純額)については、当連結会計年度113億5千7百万円の収益となり、前年同期比で54億2千4百万円収支が良化いたしました。これは主に、前連結会計年度においては為替差損を計上しておりましたが、当連結会計年度においては為替差益を計上したこと、および持分法による投資利益が前連結会計年度より増加したことによるものです。

 

特別損益の収支(利益損失の純額)については、当連結会計年度34億2千5百万円の損失となり、前年同期比で4億5千9百万円収支が良化いたしました。これは主に、固定資産売却益が前連結会計年度より増加したこと、および事業構造改善費用が前連結会計年度より減少したことによるものです。

 

税金等調整前当期純利益に対する法人税等の負担率は、当連結会計年度25.9%(前連結会計年度27.8%)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は7,293億4千1百万円(前年同期比2.3%の増収)となりました。営業利益は449億3千4百万円(前年同期比13.0%の増益)、経常利益は562億9千1百万円(前年同期比23.2%の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は352億8千1百万円(前年同期比29.1%の増益)となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

シール事業

 「事業の拡大」、「競争力ある生産体制の構築」、「グローバル事業の強化」、「ダントツ品質の追求」を柱に、持続性ある企業体質の構築を図ることが重要と考えております。

 「事業の拡大」につきましては現有製品のシェアアップ、新商品開発力強化と発明創出の促進、中国・東南アジア事業の拡大を図り、「競争力ある生産体制の構築」につきましては製品所管部門へのマザー機能の拡充、生産子会社との連携強化を促進し、「グローバル事業の強化」につきましては新商品の海外展開を進め、「ダントツ品質の追求」につきましては品目毎の重点管理並びに品質・技術の教育・伝承を検討してまいります。

 

電子部品事業

 「拡販による顧客ベースの多角化」、「変化に対応できる収益体質の強化」、「ダントツ品質の実現」により、変化を乗り越える構造改革の断行を進めてまいります。

 「拡販による顧客ベースの多角化」につきましては自動車向けビジネス拡大の加速並びに提案力の強化により新規顧客・新用途向けビジネスを拡大し、「変化に対応できる収益体質の強化」につきましては人に頼らないものづくりの実現、聖域なき総原価低減活動の推進、業務の生産性向上による間接部門のスリム化、フリーキャッシュフローの増加による財務体質の改善を進め、「ダントツ品質の実現」につきましては人に頼らないものづくりによる品質の安定化、自動車要求品質への対応を行ってまいります。

 

ロール事業

 「現場管理・量産条件による抜本的な品質改善」、「BEPの改善による利益体質の改善」、「拡販の推進」を軸に、OA機器業界NO.1のロールメーカーを目指してまいります。

 「現場管理・量産条件による抜本的な品質改善」につきましては徹底した現場管理による品質の安定化、良品・量産条件の再検討による製法の見直しを促進し、「BEPの改善による利益体質の改善」につきましては品質改善・生産性向上・内製化、生産管理システムの構築と活用、業務の効率化を推進し、「拡販の推進」につきましては新仕様開発による受注拡大、立上品質の確保、価格競争力の向上を図ってまいります。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」で述べましたとおり以下が主なものとなります。

  a. 自然災害等

  b. 政治経済情勢

  c. 法的規制等の影響

  d. 訴訟その他の法的手続にかかわるリスク

  e. 知的財産権侵害の影響

  f. 情報流出の影響

  g. 製品の品質問題が及ぼす影響

  h. 為替変動の影響

  i. 金利変動の影響

  j. 株式市場の動向による影響

  k. 原材料の価格変動

  l. 顧客の業績への依存

  m. 需要動向の変化による影響

  n. 他企業との提携

 

 当社グループでは自然災害等に備え、BCM(事業継続マネジメント)の構築、ますます拡大する海外事業の適切な管理、品質力の更なる向上や新商品開発、並びにこれらを担う人材の育成に力を入れ、将来を見据えて当社グループが持続的に成長発展していけるよう、3カ年計画(平成29年度から平成31年度まで)を作成し、取り組んでおります。

 また、経営成績に影響する各種リスクを回避できるよう、引き続き経営者として努力してまいりますとともに、企業目的である「全てのステークホルダーに利益と誇りをもたらす」、そのための事業方針である「技術に裏打ちされた独自性ある、かつ社会にとって有用な商品を世界中で安くつくり適正価格で売る」の具現化に努めてまいります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について

 ①キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 ②契約債務

 平成30年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

58,398

58,398

長期借入金

9,931

7,078

1,321

1,531

リース債務

317

147

111

55

3

 

 ③財務政策

 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は固定金利の長期借入金で調達しております。

 

 

 

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 平成29年度の達成・進捗状況は以下のとおりです。

(単位:百万円)

指標

平成29年度(計画)

平成29年度(実績)

平成29年度(計画比)

売上高

705,000

729,341

24,341(3.5%)

営業利益

40,000

44,934

4,934(12.3%)

 

 セグメント別の達成・進捗状況は以下のとおりです。

 

シール事業

 自動車向けの販売については、国内の新車需要増、軽自動車の復調、また中国での自動車税減税終了に伴う反動減が想定ほど大きくなかったこと等から、増加しております。

 一般産業機械向けの販売については、中国建機市場が計画時点での想定以上に回復が進み、国内外で販売の増加に繋がっております。

 これらの急激な販売増に対し、生産面では人員の確保や設備の導入が思うように進まなかったため、現場の努力を中心にカバーせざるを得ませんでした。結果として固定費を大きく増やさず生産対応することとなり、当期の利益増に繋がりましたが、引き続き償却費等あるべき固定費の配置や時間外労働時間のコントロールが課題となります。

 以上の結果、売上高は3,368億6千6百万円(平成29年度計画比8.0%の増収)となり、営業利益は408億8百万円(平成29年度計画比27.5%の増益)となりました。

 

電子部品事業

 下期に高機能スマートフォン向けの需要が減少しましたが、為替の影響もあり全体としてはほぼ計画並みの販売となりました。また下期の急激な販売減に伴い減益となりました。

 以上の結果、売上高は3,611億1百万円(平成29年度計画比0.3%の増収)となり、営業利益は29億6千3百万円(平成29年度計画比57.7%の減益)となりました。

 

ロール事業

 市場在庫調整とプリンターの減産影響により販売は減少しました。また販売の減少の影響が大きく、減益となりました。

 以上の結果、売上高は208億3千1百万円(平成29年度計画比2.7%の減収)となり、営業損益は4千9百万円の損失(平成29年度計画は2億3千万円の営業利益)となりました。

 

 

 

4【経営上の重要な契約等】

当社グループ(当社及び連結子会社)が締結している重要な契約は次のとおりであります。

提出会社

①技術提携契約

相手先

国名

内容

契約日

フロイデンベルグ社

ドイツ連邦共和国

オイルシール、Oリング等のシール製品及びそれに関連する技術の共同開発

平成29年12月21日

 

②合弁契約

相手先

国名

内容

合弁会社名

契約日

フロイデンベルグ社

ドイツ連邦共和国

米国子会社(NOK Inc.)とフロイデンベルグ社の米国子会社によるオイルシール、Oリング等のシール製品並びに関連製品事業の合弁

フロイデンベルグ
NOK GP

平成元年3月23日

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、当社技術本部及び連結子会社の各技術部門を中心に、相互連携を図りながら、担当分野に係る新技術・新製品等の開発活動を進めております。当連結会計年度の研究開発費の総額は、94億4千3百万円となっており、セグメント別の研究開発活動の状況は次のとおりであります。

 

 (1)シール事業

「環境」、「安全」及び「IT化対応」を重点として、継続的に技術・製品開発を進めております。環境関連では、低摩擦損失による省エネルギー効果に寄与する製品、電気自動車(EV)・ハイブリッド(HEV)・燃料電池自動車(FCV)に対応するクリーンな製品の開発を進めております。

安全やIT関連では、自動車制動関連の製品や電子部品との複合等による高付加価値製品の開発に取り組んでおります。

オイルシールにおいては、しゅう動抵抗の低減によって省エネルギーに貢献する低摩擦技術、具体的には低摩擦コティング,低摩擦ゴム材料ならびに子会社のNOKクリューバー(株)と共同開発したシール専用の低摩擦グリースの市場投入を積極的に進めています。これら低摩擦技術群はLe-μ’sという商標で登録し、NOKグループの保有する低摩擦技術のさらなる普及を図っております。また、海外の新興国に向けた過酷な道路環境に対応する耐ダスト性が向上した製品も市場投入しております。

Oリングにおいては、環境対応エンジンに対する高圧用シール、組立性向上コーティング、燃料電池関連シールを市場投入する一方で、E-mobility用シールの開発を進めております。

新商品関連では、EV/HEV/FCV(燃料電池自動車)に代表されるエコカーのニーズに対し、従来のシール製品群に加え、電子機器や電動ユニット向けにFPC一体シール部品、および放熱をサポートする熱伝導性ゴムを開発しております。さらに燃料電池の中核を成すセルスタック向けに低反力・省スペースのシール部品を開発し、一部顧客向けに量産を開始しております。

また、自動運転に代表される先進運転支援システム(ADAS)が注目を集めております。それには運転者の状態を判断する「ドライバモニタリング」も必要とされており、我々の開発した生体信号を測定できるゴム電極は心電、筋電位、脳波等のモニタリングが可能であり、運転者の疲労や眠気の検知への利用が期待されています。自動車以外の分野においては、新たな分野・市場への参入に向け、ゴムや樹脂のモールド技術を用いて耐候性や耐衝撃性を向上させたICタグ、医療・バイオ分野に向けた機能性ゴム部品など、より付加価値の高い製品開発を進めております。化学合成品関係では、環境負荷の低減に対応した素材の開発や、フッ素系機能性化合物製品の開発とそれらの新規製造法を検討するとともに、生産プロセス面からも資源・省エネルギーや環境に配慮した商品開発を推進しております。

なお、当事業に係る研究開発費は67億3千8百万円であります。

 

 

 (2) 電子部品事業

スマートフォン/タブレットなどの小型携帯電子機器向けをはじめ、今後の成長電子市場である車載向けやロボット、医療・ヘルスケア等の分野に向けたフレキシブル配線板(FPC)のプロセス/材料/部品実装開発及びFPCの新商品開発を推進しております。開発概要は、FPCの高精細/高機能化、低伝送損失化、モジュール化を実現するコア技術の確立であります。

小型携帯電子機器に向けては、配線の高密度化に対応するために、サブトラクティブ工法による更なる配線の高精細化に取り組むと共に、超微細配線の形成に向けたセミアディティブ工法の開発を推進し、顧客試作に向けたプロセス構築を進めております。また、配線微細化と同時に必要となるビアの小径化に対し、レーザ加工技術において、新技術の適用および量産適用の推進、更なる小径化対応を進めております。

次世代通信規格対応として、信号の高周波化・高速化、データの大容量化に関し、ベース樹脂にLCP(液晶ポリマー)フィルムを適用した高周波対応FPCの開発、および顧客対応を進めております。用途として小型携帯電子機器の他、車載向けに、近い将来登場することが確実な自動運転化に伴う各種センサー等の高速伝送化に対応する技術開発を推進しております。また同様に、自動車の電化に伴う取り組みとして、FPCと車載デバイス間等の高信頼性接続技術の開発を推進し、車体重量軽量化に資するワイヤーハーネスの一部FPC化の検討を進めております。

ロボット市場向けには、VR/AR技術へのFPCの応用として、遠隔操作によるロボットの指の触覚が操作者に伝わる、触覚グローブの開発を推進しております。グローブに内包した指の大きさ程のマトリクス状に配置したFPC端子部からの電気刺激により、触覚器官が刺激され、遠隔操作によるロボットの指先が何かに触れた感覚が伝わるものです。

また、基材のエラストマーと配線の両方が伸縮性を持ち、肌への密着に関し違和感のない透湿性、装着感を備え、精度の高いバイタルデータセンシングを可能とするストレッチャブルFPCの開発を推進し、顧客向けの試作及び量産対応への準備をしております。今後市場が拡大するウエアラブル電子機器、医療・ヘルスケア用途への適合性があるものとして、更なる開発推進とともに、大学等との共同研究も継続致します。

なお当事業に係る研究開発費は、19億9千6百万円であります。

 

(3) ロール事業

事務機業界では、最近の市場動向として中国・ASEAN地区への生産二極化の進展、また低価格分野向けを中心にローカル部品メーカーの参入などが顕著な動きとなってきています。

一方、事務機の機能トレンドである高速化、高画質化を目的として新タイプトナーへの変更等の開発が進められており、使用される部品についても従来仕様以上の機能を要求されております。弊社は引続き顧客要求に合わせた開発推進を行ってまいります。併せて、品質向上、開発工期の短縮と共により安定した生産体制の構築に努めてまいります。

なお、当事業に係る研究開発費は5億4千8百万円であります

 

(4) その他事業

潤滑剤関係では、自動車の電動化に対応した新商品や、国内外の物質法規則を先取りした環境対応製品を中心に摩擦摩耗現象や低摩擦化メカニズムの解明といった基盤技術に裏打ちされた開発を推進しております。

また、次世代技術や更なる省エネルギー化に対応すべく、新素材、新技術の研究開発に注力しています。

なお、当事業に係る研究開発費は1億6千万円であります。